1: 2011/05/25(水) 23:22:07.35
今考えてみたら、弟で処O喪失って、大変なことなんじゃないか?

キスをするだけだったのに、愛おしさが止めどなく押し寄せて来て…

って、やめやめ!
こんな文学ちっくなの、私らしくないよな。

と、1人雨の日のショッピングで、一人ごちてみる。

澪を誘えば良かったかな。

4: 2011/05/25(水) 23:24:41.47
小学校で、澪に出会ってから、澪と私はいつも一緒で。
気付いたら、高校生になってまで、私達は仲良しだった。

仲良し。
親友。

とても良いフレーズだ。

そんなかけがえの無い親友となぜ私は今、一緒にいないんだろう。

電話してみっか。

9: 2011/05/25(水) 23:30:08.12
あれ?あそこで座ってるのは、律じゃない。
雨の日の休日に1人なんて、けいおん部の皆はどうしたのかしら。

「律?どうしたの?1人で。」

どうやら、電話の相手は留守の様で、携帯をしまい、立ち上がった彼女に私は声をかけてみた。

律「和!どうしたんだ?こんなとこで…」

和「私が商店街で買い物してちゃだめかしら?」

律「いや、悪くないけど…」

そういえば、二人きりって、はじめてかもしれない。

10: 2011/05/25(水) 23:33:07.42
和「1人って珍しいわね。皆は?」

律「いやー、なぜか1人でフラフラ~っとね。」

和「そうなの?」

律「せっかくだし、お茶でもしないか?」

和「あら、デートのお誘い?」

私は冗談で、笑みを見せながらいったのに、律は、うろたえているみたい。

律「ば、ばかっ!女の子通しだろー!」

案外、かわいいとこもあるのね、律。

11: 2011/05/25(水) 23:38:43.41
なんだろう。
今の笑みに一瞬ドキッとしてしまった。

和の普段あまり見れない私服と表情に、惑うとは…。

私が先導しようと思ったのに、和に主導権を握られ、どこか調子を狂わされながら、喫茶店へと入る。

和「で?1人でフラフラ~っと、買い物なんかして、どうしたの?」

和は、何かを見透かす様に、私に聞いて来た。

でも、これは話すべきじゃないよな。

12: 2011/05/25(水) 23:44:00.56
少し無言が続く。
私はあからさまに元気がないらしい。

和「律?本当に大丈夫?」

私は確かに外をぼーっと見ていたけど、心配されるとは、思っていなかった。
あわてて何もないことを取り繕うと、注文したアイスティーを飲み干す。

私の異変は、丸わかりだった。

14: 2011/05/25(水) 23:47:07.23
律「わたし…さ…」

なんで、話したんだろうと思う。
思った以上に私は、弟との出来事を心に溜め込み、苦しんでいたらしい。

話した後、何処からともなく涙が流れてくる。

好きなのに姉弟で
好きなのに、結ばれちゃいけないなんて

そんな辛い事って、あるんだな。

ひとしきり泣いた後、和はハンカチを差し出してくれた。

優しすぎるだろ、和ー。

16: 2011/05/25(水) 23:50:01.00
予想以上の告白に私は面を食らった。

ドラムがうまく叩けないとか、澪と喧嘩したとか、大穴で勉強に行き詰まったとか、そういう話題だと思っていた。

慰めるのは、簡単だと思っていた。

まさかそんな話題だったなんて…。

そんな話、漫画の中とかドラマの話よ、律。

18: 2011/05/25(水) 23:55:02.16
私はハンカチを差し出す。
それ位しかできないと思った。

二人の愛は、常人にはわからない。
中途半端に、言葉はかけられない。

私のハンカチを受け取り、涙を拭う律。
そんな、弱々しい律を見るのははじめてで…。

なんとかしてあげたい。
そう、思った。

19: 2011/05/25(水) 23:57:59.22
律「は?」

私は、唐突な提案に、耳を疑った。

和「ちゃんと、聞いてよ。私の家に来ないかって聞いたのよ。」

律「え?い、いいのか?」

和「ええ。両親もいると思うけど、どうかしら。」

和の家か…。
初めての友達の家って、緊張すると同時に、わくわくするのはなんでだろう?


22: 2011/05/26(木) 00:02:04.07
少しでも、気を紛らわせたかったというのもあると思う。
私は和の申し出を快諾していた。

律「なぁ、料理は私が作っても良いかな?」

和「え?律って、作れるの?」

律「料理の腕には自信がある!」

和「へ~…意外ね…」

律「まったく…ひどい言い草だな~。」

なんか、楽しくなって来た。
そうそう。私はくよくよしてるなんて、似合わないよな。

23: 2011/05/26(木) 00:10:13.02
和「到着よ。」

律「おお~…」

思った以上の、THE・日本家屋に、私は思わず感嘆の声をあげた。

和「ちょっと、古いけど…住めば都…だと思うわ。」

私の感嘆の声をマイナスイメージで、捉えたらしい。

律「そ、そういう意味でいったんじゃないぞ!なんか、こう…味わいがあるよな…」

こういう時、馬鹿な私の頭をどうにかしたいと思う。

24: 2011/05/26(木) 00:18:45.82
律「お口に合うか、わかりませんが…」

他人の、しかも両親に料理を振る舞うなんて初めての体験で、いつも以上に緊張した。
私のいつも通りの力で、料理を振舞ったつもりだ。

和の両親は、とても美味しいと絶賛してくれ、泊まっていく様に言ってくれた。

私はその善意を受け入れた。

やっぱ、1人になりたいというか、かえりたくないという、気持ちがあったんだと思う。

25: 2011/05/26(木) 00:26:52.68
律「ありがとな、和」

和「いいえ。こんなことしかできないもの。」

そりゃそうだ。
私の告白は、万人が聞いて、驚かない人はいないだろう。
そんな私に優しくしてくれたのは、和との距離が、あったからかもしれない。

同じ学年で、友達でありながら、あまり接する事がなかった。

けいおん部は、近すぎる。
近すぎると、大きすぎる悩みは、打ち明け辛い。

和「あと、謝らなきゃいけないことがあるんだけど…」

このとき、私は、この後に衝撃的な展開が起ころうなどとは、思わなかったのだった…。

27: 2011/05/26(木) 00:39:18.40
律「い、一緒に風呂にはいるのか?!」

和「え、ええ…だめかしら?」

少し恥ずかしがっている和に、ドキッとする。
和って、こんな可愛かったかな?

律「い、いや、だめじゃないけど…」

人の家で風呂なんで、小学生の時以来な気がする…

なぜか心臓がバクバク言っている。
このドキドキは、なんなんだろう。


28: 2011/05/26(木) 00:44:44.51
一人一人はいるより、効率が良い。
表向きはそういうことだが、二人で入った方が、色々と節約できる。

私の家の財政状況は、厳しい。
そんなことを友人に伝えて、心苦しく過ごして欲しくはない。

恥ずかしい気持ちはあるけど、家のことを考えると…。

女の子通しだし、深い考えは、ない。

30: 2011/05/26(木) 00:52:57.88
友達通し。女の子通し。
それはわかっているのに、なぜかドキドキする。

このドキドキは、ただの緊張なのか、それとも…。

その答えは、わからない。
私には、恋愛と会う経験値が少ないのだ。

律が、カチューシャを外す。
その姿にさらにドキッとする。

律「そ、そんなに見られてたら、着替えにくいのですが…」

和「ご、ごめん!」

私は、何時の間にか律に見とれていたらしい。
見とれるなだんて、おかしいのかしら。

31: 2011/05/26(木) 00:59:25.47
カチューシャを外した律は、ぱっと見男の子に見える。
その大雑把な性格や口調も、男の子さを際立たせる。

律「入らないの?」

着替えることを忘れ、律のカチューシャを外した姿を頭に思い浮かべていて、自分の服を脱ぐのを忘れていた。

和「は、入るわよ。」

急いで、着替えると、眼鏡を外し忘れ、眼鏡を床に落としてしまう。

和「あっ」

咄嗟にしゃがんで、眼鏡に手をのばした、そのとき、律と手が触れてしまう。

使い古された、何処にでもある、手が触れてしまう瞬間だった。

数秒目と目が合う。

32: 2011/05/26(木) 01:04:22.03
慌てて、手を引っ込める。
この胸の高鳴りはなんなの?

私は、普通だと思っていた。
女子校に行ったのは、唯と同じ高校に行きたいと同時に、家に近く、勉強の時間を取りたいためだった。

きっと、この胸の高鳴りは女の子律に対してではない。

律「和?大丈夫か?」

優しくかけてくれる言葉も、どこか男の子を感じさせる。

和「だ、大丈夫。今脱ぐから…」

火照りの取れないまま、私は慌てて服を脱いだ。

今日の下着は可愛く無いかもしれない。
ふと、そんなことを考えてしまった。

33: 2011/05/26(木) 01:13:21.67
和の眼鏡外した姿を初めて見た気がする。

数秒間、眼鏡を拾った時に見つめあってしまった。
その時感じた、可愛いという感情。

思わず口に出しそうになった。
それほど、眼鏡外した和は、魅力的だった。

二人で風呂にはいる。
会話がまったくない。
その静けさが、またドキドキ感を増幅する。


35: 2011/05/26(木) 01:25:11.54
和「律…これから、どうするの?」

湯船に二人で入った時、和から突然話しかけられた。

どうする…私のこの感情。
聡を好きだという、この感情。

私はこの先、この感情を忘れることができるほどの、恋愛ができるのだろうか?

和「私は…反対よ。」

和の言葉は、正解だ。
誰に聞いても、こう言うだろう。

この感情は、私のためにも聡のためにもならないのだから。

36: 2011/05/26(木) 01:28:43.40
律「そう、だよな…」

私は聡の姉だ。
血のつながりのある、正真正銘の姉だ。
答えは出ている。
この感情は、捨てなければならない。

和「私がいるわ。」

思いも寄らない言葉に、私は素早く反応してしまう。

和は、優しく微笑んでいる。

和「唯も、澪も、ムギも、それに、梓ちゃんもいるでしょう?あなたには。」

そう。私には、支えてくれる人がいる。

37: 2011/05/26(木) 01:32:14.97
そっと、和に、近寄る。
近寄る、と言っても向かい合って湯船にギリギリ座っているのだけど。

律「抱きしめても良いかな?」

和は、少し動揺したようで、湯舟が波立つ。
少しの間の後、また和は微笑んで、「いいわよ。」と、言ってくれた。

律「ありがとう。」

と、私は呟いて、和をそっと抱きしめる。

抱きしめ返してくれる暖かさが、本当に嬉しかった。

私は前に、進まなければならない。

聡、こんな姉ちゃんで、ごめんな。

38: 2011/05/26(木) 01:37:24.47
律は、意を決したらしい。

抱きしめてもいいか聞かれた時は、流石にびっくりしてしまった。
あんなの、落とし文句じゃない。

抱きしめられた時、私の胸の高鳴りは、頂点に達していた。
こんなドキドキは、異性にしか感じないはずだった。

和「り、つ?」

長い間抱きしめられ、もうのぼせそうだったので、声をかける。
もっと、抱きしめていたかったけど、のぼせてしまうし、節約的にもいっしょに入った意味がなくなってしまう。

律「ごめん…ありがとう。」

もう一度、ありがとうと言った律に、私は完全に心奪われていることに気付いた。

どうして、こうなったのかしら…。

39: 2011/05/26(木) 01:42:22.15
両親に長い風呂だったことを突っ込まれてしまう。
二人で入ったと言うことを告げると、一瞬にだなんて、唯以来だと、笑っている。

律「やっぱり、唯とは入ってたんだなー。」

和「唯とはいると、大変だったわ…」

その時の苦労を思い出し笑いしてしまう。
あの姉妹は、本当に放っておけない。

しかし、今は新しく、放ってはおけない人ができてしまった。

律ー。そんなことは、私だって想像していなかった。
でも、私は優しく、彼女を見守りたい。
けいおん部の誰よりも近くにいたい。

そんな思いが、私の中に蓄積されていくのだろう。
そう推測してしまうほど、私は完全に、律を好きになっている。

案外、簡単に人は、恋に落ちるのかもしれない。


40: 2011/05/26(木) 01:45:43.17
その対象が、男の子であれ、女の子であれ、落ちる時は落ちるのだ。

学校でも男の子同士が、恋愛をする漫画が、流行っている。
本屋で見かけたが、その本はかなりの部数を売り上げているみたいだった。

同性同士の恋愛ができるのだろうか。

そんなことは、したことがないからわからない。
でも、私は律のそばに居たい。

恋愛は、先が見えないから、楽しいのか。
先が見えないから、怖いのか。

そんな体験を私だってしてみてもいいわよね?

42: 2011/05/26(木) 01:48:45.77
和と一緒に、二階の和の部屋で布団を敷いた。

すぐに、布団に入って眠りに就こうとする和に、私は問いかける。

律「勉強とか…しないの?」

和「休みの日位、ちゃんと休むわ。平日にしっかりやってるし…って、律は、するのかしら?」

律「まぁ…休みの日は休むよなー」

平日も、休むけど…やっぱり和は偉いな。


43: 2011/05/26(木) 01:52:23.36
二人で布団に入る。
明日が来たら、私は家へ帰って、学校へ行く。

そして、帰って来て、聡にちゃんと話をする。
聡は、弟。私はお前の姉ちゃんだ。
だから、こういうことは、もうしない。
姉ちゃんはー。

和「律…」

呼ばれてはっとする。
和が、思ったより近くにいる。
どうやら、同じ布団に入っているようだ。

44: 2011/05/26(木) 01:58:40.13
律「の、和さん?」

手を握られる。少し強めに、ぎゅっと。

和「私が一番そばに居ちゃだめかしら?」

淡々と、和は、大胆なことを口にする。
一番にそばにって…。

和の握る手は、また強くなる。
和は、強い意思で、私に言ってくれたのだ。

律「ありがとう。」

猛烈に和を抱きしめたくなり、私は和を引き寄せ、抱きしめた。

暖かく、優しい感じがするのは、お風呂に入ったからではないだろう。
和から溢れ出る気持ちが、私の心に染み込んでいる。

45: 2011/05/26(木) 02:02:13.66
和と、見つめ合う。
改めて、眼鏡のない和は、可愛いと思う。
口に出してみよう。

律「和、可愛いな。」

和は、そう言われると、顔を真っ赤にして顔をそらした。
その仕草も、女の子らしくて可愛い。

そばにいて欲しい。
本気でそう思った瞬間だった。

女の子同士って、ありなのかな。


46: 2011/05/26(木) 02:06:53.18
か、可愛いわけないじゃない!

顔が今までになく、真っ赤になっているのが、わかる。
熱い、熱い。
せっかくお風呂に入ったのに、汗をかきそうだ。

もう一度、律を見つめたい。
好きになってしまった人の、顔を。

うつむいた顔をあげ、また目を合わせる。

目をつむった律の唇に吸い寄せられる様に、私は律の唇に自分の唇を重ね合わせる。

本当に自然と、私は律とキスをしていた。

初めてのキス。
相手は女の子だなんて、誰にも言えないかもしれない。
でも、私の中で、このキスは、忘れられないキスになりそうだ。

47: 2011/05/26(木) 02:09:21.51
柔らかく、潤いのある律の唇は、私の唇を優しく受け止めてくれる。

この先のキスの仕方はわからない。

キスした唇を離すと、律が優しく抱きしめてくれる。

和「そばにいて、いい?」

誰よりも、何よりも。

律「うん…というか、いて欲しい。」

私の恋の始まりは、意外なことから、始まった。

49: 2011/05/26(木) 02:14:16.88
朝になって、私は急いで家へ戻り、学校へ行く準備をする。
聡は、もう先に学校へ行った様だ。

母親に迷惑はかけなかったのか、ちゃんとご挨拶はしたのか、と聞かれる。
私は、大丈夫だよ!と、母親に言うと、用意された朝食を素早く平らげて、家を出る。
急ぎすぎじゃないかと、父親に問われ、私は微笑んで、言う。

律「一緒に行く約束してるんだ。」

澪じゃなく、私を支えてくれる、大切な人とね。

おわり



51: 2011/05/26(木) 02:16:52.40
和ちゃんを書きたかったんや!

もう律しかいないと、思いまして、むりやりですが、律とくっつけました。

次は、また澪と紬のイチャじゃなく、ラブを書きたいと思っております。

即興ですので、誤字脱字、おかしな点もあるとは、思いますが、みていただいてありがとうございました。

失礼いたします。

52: 2011/05/26(木) 02:18:06.86

聡じゃなくて律和で良かった

54: 2011/05/26(木) 02:29:09.40

引用元: 律「オリジナル・ラブ」