1: 2009/01/24(土) 02:07:37.36
キョン「もう何日目だ? ここのところずっと天気が悪いな」
古泉「雨は三日目ですね。そして僕が最後に太陽を拝んだのは、一週間前です」
キョン「……あいつか」
古泉「えぇ」

みくる「涼宮さん、今日も部活に来ないんですか?」
キョン「みたいですね。気がつけば帰ってました」
古泉「もうSOS団に興味がないのでしょうか……」
キョン「俺にはわからないな。そうだ、閉鎖空間は?」
古泉「不思議なことに、何も発生していません」
長門「わかっていることは、彼女は今普通の精神状態ではない」
キョン「…」
みくる「涼宮さんがいないと、私達が集まってる意味もないですね」
キョン「……今日はもう解散しますか」

2: 2009/01/24(土) 02:12:12.32
キョン「はぁ、これだけ雨が続くとこっちまでブルーになっちまうな」
古泉「そうですね」
キョン「お前はあんまりそうなってるふうには見えないけど」
古泉「はは、酷いですね」

キョン「で、やっぱりマズイのか」
古泉「……あまりいい状態ではないですね」
キョン「なにが原因なんだ?」
古泉「わかりません。ただ、この状態が続くと必ず閉鎖空間も生まれるでしょう」
キョン「今はまだ現れてないんだよな」
古泉「えぇ。恐ろしいほどに……無音です」
キョン「…」
古泉「とにかく、原因がわからないのでは我々にはなにも」
キョン「そうか。おう、わかったよ」

6: 2009/01/24(土) 02:16:57.53
みくる「あの、キョン君」
キョン「? なんですか?」
みくる「涼宮さんから……なにも聞いてないんですか?」

キョン「なにもって、はぁ」
みくる「こう言うと酷く聞こえるかもしれませんけど……私、プライベートではあまり」
キョン「わかってますよ。SOS団を抜きにすれば、俺もあいつのことはよくわからない」
みくる「なにか、悩んでるんです。多分」
キョン「……でしょうね」
みくる「私、未来からやってきたけど……こういうとき、全然頼りになれないですね。ごめんなさい」
キョン「そんなことないですよ。俺だって、あいつとほぼ同じ時間生きてるけどよくわかってないですもん」
みくる「…」
キョン「……話を聞けそうなら、聞いてあげてください」
みくる「はい、もちろん。キョン君も……」
キョン「わかってます」

9: 2009/01/24(土) 02:20:38.79
長門「…」
キョン「お前も、何も聞いてないか」
長門「…」コク
キョン「そうか」

長門「ただ」
キョン「?」
長門「彼女が最後に部室に訪れた時」
キョン「……なんだ?」
長門「とても、寂しそうな顔をしていた」
キョン「寂しそうな顔……」
長門「私は、それを気にしたほうがよかった?」
キョン「そうだな……今度から、そうしてくれ」
長門「…」コク
キョン「お前も人間らしくなってきたな。寂しい顔ってのが、わかるなんて」
長門「普段のあなた達と、空気が違った」
キョン「ハルヒが?」
長門「そう。観た事がない、データにない表情」
キョン「…」

15: 2009/01/24(土) 02:24:02.15
キョン「っと、水たまり」
キョン「……道がデコボコだな。水たまりだらけじゃないか」

国木田「独り言?」
キョン「! なんだ、国木田か」
国木田「キョンも帰り? 最近……部活? やってないの?」
キョン「なんで疑問系なんだよ。あぁ、生憎顔を見せるだけで解散してるばっかりだ」
国木田「へぇ」
キョン「…」
国木田「涼宮さん?」
キョン「あいつ、どうしちゃったんだろうな」
国木田「うん……元気ないよね、最近」
キョン「まあ大人しいにこしたことはないんだけどな」
国木田「心配してるくせに」
キョン「……うるさいな」

20: 2009/01/24(土) 03:20:12.79
国木田「これだけ雨雲が続いてれば、そういう風にもなっちゃうのかもね」
キョン「これはあいつが……いや、うん。そうかもな」
国木田「あーあ。洗濯物も乾かないし最悪だよ」

国木田「ゲーセン寄っていかない? どうせ暇なんでしょ」
キョン「まあ暇だな。行くか」
国木田「谷口も呼ぶ? あいつも暇人だから、すぐに来ると……あ」
キョン「?」

ハルヒ「…」
国木田「……涼宮さんだ」
キョン「あいつ……何やってるんだ?」

26: 2009/01/24(土) 03:30:48.10
国木田「待ち合わせ?」
キョン「さあ、どうだろうな」
国木田「行ってきたら?」
キョン「なんでだよ」

国木田「心配なんでしょ?」
キョン「……別に」
国木田「じゃあゲーセン行く?」
キョン「…」
国木田「ほらね」
キョン「でも、何を話せって」
国木田「それはキョンが考えればいいじゃない。あははっ、なんかナンパするみたいだね」
キョン「あのなぁ」
国木田「……暗い顔してるね。ほら、行ってあげなよ」
キョン「…」

27: 2009/01/24(土) 03:32:49.10
キョン「…」(動かないな……やっぱり待ち合わせか)
ハルヒ「…」

キョン「…」
ハルヒ「…」
キョン「……なにやってんだよ」
ハルヒ「…」
キョン「…」(全然動かない……どうしたんだ?)
ハルヒ「はぁっ……」
キョン「……あぁもう」トトッ

キョン「よう、ハルヒ」
ハルヒ「……キョン?」
キョン「なにしてんだよ? こんなに雨が降ってるのに」
ハルヒ「……なんでもいいでしょ。あんたには関係ないわ」
キョン「…」

30: 2009/01/24(土) 03:36:57.42
キョン「誰かを待ってるのか?」
ハルヒ「そうよ。邪魔だからどっか行ってよ」
キョン「そっか……わかったよ」

ハルヒ「……待って」
キョン「ん?」
ハルヒ「あの……部活は?」
キョン「誰かさんが欠席してるから早々に切り上げたよ」
ハルヒ「…」
キョン「どうしたんだよ。お前、最近変だぞ?」
ハルヒ「うるさいわね。早くどっか行ってよ!」
キョン「っと、わかったよ。じゃあな」
ハルヒ「…」

32: 2009/01/24(土) 03:40:09.45
キョン「で、どっか行けって言われた」
国木田「だから置いてきたの?」
キョン「どうしろと」
国木田「…」
谷口「うりゃぁ! どあああ!」ピコピコ

国木田「戻ったほうがいいんじゃない?」
キョン「はぁ? なんだだよ」
国木田「なんとなく、かな」
キョン「どういう意味だよ。どっか行けっつったのはアイツだぞ?」
谷口「せいせいせいっ!」カチカチ
国木田「ウソついてるかもしれないじゃん」
キョン「嘘?」
国木田「誰とも待ち合わせしてないってこと」
キョン「……なんでそんな嘘を」
谷口「ああっ! またやられた!!」チュドーン
キョン「うるせぇ」

33: 2009/01/24(土) 03:44:16.08
国木田「涼宮さんが、誰と待ち合わせするの?」
キョン「そんなの誰とでもするだろ」
国木田「そうかもしれないけど、あんななんの目印もないようなところで、こんな天気なのに」
キョン「……知らない、そんなこと」

国木田「やっぱり、戻ったほうがいいと思うよ」
キョン「また邪険にされるだろ?」
国木田「だけど、心配だよ」
キョン「じゃあお前がいけよ。俺はもういいよ」
国木田「僕が行ってもなにもできないもん。それに、キョンだから行ったほうがいいかなって」
キョン「どういう意味だ?」
国木田「僕が知ってる範囲だけど、涼宮さんが一番仲いいのはキョンだもん」
キョン「……そうかね」
国木田「そのキョンにも言えない人と待ち合わせってのも……ね?」
キョン「…」

35: 2009/01/24(土) 03:47:23.46
谷口「アレじゃねーの? 彼氏とか」
キョン「谷口、聞いてたのか」
谷口「あいつ昔っからモテてたからな~。おかしくはないだろ?」
キョン「そうかもな」

国木田「うーん」
キョン「なんでまだ悩んでるんだよ」
国木田「涼宮さんに……彼氏……多分、ないと思う」
キョン「?」
国木田「それはだって、ほらキョンが」
キョン「俺は関係ないだろ」
国木田「そうかな。僕はキョンが一番、涼宮さんとそういう関係に近いと思うけどなぁ」
谷口「なに、キョンそうだったのか?」
キョン「黙れ」
国木田「とにかくほら。もう一度行ってみなよ」
キョン「もう居ないかもしれないだろ?」
国木田「ならそれでいいじゃん。居るか居ないか、その確認だけでも」
キョン「……わかったよ。行ってくる」

36: 2009/01/24(土) 03:53:03.94
谷口「涼宮、どうかしたのか?」
国木田「うん。なんか様子がおかしいかなってさ」
谷口「お前そういうのよく気がつくなぁ」
国木田「そうかな? 彼女、最近ずっと静かじゃないか」
谷口「……言われてみれば」

谷口「キョンもよくやるよ。こんな雨の中よくもまあ」
国木田「あはは、青春だよね」
谷口「……お前がそう仕向けたんじゃないか??」
国木田「まあほら、クラスメイトが困ってるのもさ?」
谷口「ほっといても大丈夫だと思うけどなぁ」
国木田「キョンに任せてみよう。あ、順番あいてるよ」
谷口「っし! 今度こそクリアするぜ!」

37: 2009/01/24(土) 03:55:57.13
キョン「寒っ……雨のせいか? 冷えるな」
キョン「さすがにもう居な――」
ハルヒ「…」
キョン「――なにやってんだよ……っとに」

キョン「……ずっとあそこにいるのか?」
ハルヒ「…」
キョン「なんか……なにやってんだよ。風邪ひくぞ?」
ハルヒ「……くしゅっ!」
キョン「ほら。って、俺はなにを一人でブツブツと」
ハルヒ「…」
キョン「……行くか」

キョン「おーい、まだ来ないのか? 待ち合わせの人」ヒョコ
ハルヒ「! キョ、あんた……まだ居たの? 早く帰りなさいよ」
キョン「まあそういうなって。ほら、コーヒー奢ってやる。寒いだろ?」
ハルヒ「…」

38: 2009/01/24(土) 04:01:40.68
キョン「はぁ、暖かい」
ハルヒ「……どっか行きなさいよ。邪魔よあんた」
キョン「うるさいな。コーヒー飲む間ぐらいいだろ?」

キョン「ほら飲めよ。冷めるぞ」
ハルヒ「…」
キョン「?」
ハルヒ「開けなさい」スッ
キョン「なんでだよ。自分で開けろそんぐらい」
ハルヒ「手が冷たくてできないの! いいからやりなさいよっ!」
キョン「っと……わ、わかったよ。そうカリカリすんなって」スッ

キョン「ほら」
ハルヒ「…」スッ
キョン「うわ、冷たっ! お前、こんなに」
ハルヒ「……触らないでよ」
キョン「マジで風邪ひくぞ? せめてほら、コンビニとか」
ハルヒ「あんたには関係ないでしょ! もういいから帰りなさいよバカッ!」
キョン「……なにをそんなに怒ってるんだよ。そろそろ、俺も怒るぞ」

40: 2009/01/24(土) 04:05:41.67
キョン「お前、最近どうしちゃったんだよ。ずっと部活にも来ないし」
ハルヒ「あ、あんたには関係ないでしょっ」
キョン「そうかもしれんが。そんなピリピリしてるのを見せられると、気にはなるぞ?」
ハルヒ「気にしないでよ」
キョン「気にするっての」

ハルヒ「……ほら、もう飲んだでしょ。消えてよ」
キョン「お前が飲んでない」
ハルヒ「もういいってば。お願い、邪魔だからどっか行ってよ!」
キョン「……どうしたんだよ。そんなに俺に知られたくない人か?」
ハルヒ「そ、そうよ。そうなの。だから」
キョン「嘘つけ」
ハルヒ「嘘じゃないわよ!」
キョン「本当のこと、言ってみろって。なにかあるんだろ?」
ハルヒ「あぁぁっ! もう! いいからどっか行きなさいよバカ! バカバカッ!」
キョン「っと、痛いって! 殴るなよ! ……わかったよ。もういい」
ハルヒ「はぁっ、はぁ……帰って……帰りなさいよっ」


42: 2009/01/24(土) 04:11:49.92
キョン「帰るよ。帰るから、おちつけ」
ハルヒ「……もういいから、行って」
キョン「じゃあな。また明日」

キョン「…」トトッ
ハルヒ「…」
キョン「なぁ、ハルヒ」
ハルヒ「…」
キョン「……誰にも言わないから、何か悩んでるなら……俺に言えって」
ハルヒ「…」
キョン「お前って意外と、なにか抱えると自分一人でどうにかしちゃう奴だからな」
ハルヒ「…」
キョン「たまには、その、俺も……頼ってみても、いいんだから」
ハルヒ「…」
キョン「…」

ハルヒ「……バカ……ッ、キョンの、バカ!」
キョン「?」
ハルヒ「は、早くどっか、んっ、行きなさいよ……っ!」
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「ぐすっ……キョンのバカ……ッ」
キョン「お前……ほ、ほら。ちょっとこっちこい」グッ

46: 2009/01/24(土) 04:22:56.21
キョン「どっか店……あぁ、ゲーセンに戻るか。あそこなら」
ハルヒ「…」グッ
キョン「? なんだよ、別に変なトコに連れて行こうってわけじゃ」
ハルヒ「……嫌」
キョン「え?」

ハルヒ「……誰も……居ないトコ」
キョン「誰も? 何、聞こえん」
ハルヒ「……誰も居ないとこがいいの……おねがい」
キョン「え、あ……おお、おう。あいよ、わかったわかった!」(これは……っ!)
ハルヒ「…」

キョン「つってもなぁ、あはは、俺あんま金ないし」
ハルヒ「…」
キョン「ウ、ウチ来るか? 今なら誰もいないしさ」
ハルヒ「…」コク
キョン「よし、じゃあ行こう。ほら、歩けるか?」(この展開は……マジかっ)

50: 2009/01/24(土) 04:27:03.99
キョン「ただいまー……って、誰もいないけどな?」
ハルヒ「…」
キョン「……ほら、まあ上がれって」

ガチャ
キョン「カバンその辺置いてて、とりあえず座れよ」
ハルヒ「……ありがと」スッ
キョン「お、おぅ」
ハルヒ「…」
キョン「……な、なんかアレだなー。外寒かったよな? あぁ、寒かった」
ハルヒ「…」
キョン「そうだ、飲み物持ってくるよ。ついでになにか食うものでも」
ハルヒ「……キョン」
キョン「!? お、おう! なんだ、どうした? ん?」


56: 2009/01/24(土) 04:37:13.31
ハルヒ「…」
キョン「な、なんだよ? どうした?」
ハルヒ「…」

キョン「待ち合わせ、やっぱり嘘だったんだな」
ハルヒ「……ごめんね」
キョン「あぁいや、別に」
ハルヒ「…」
キョン「……うん、なんだ。聞くよ。言えって」
ハルヒ「…」ポロポロッ
キョン「! な、なんだよ。ほら泣くなって……ハルヒ?」
ハルヒ「んっ……キョン、キョン……あ、あたしねっ、あのね……っ」

59: 2009/01/24(土) 04:42:24.87
キョン「怖い?」
ハルヒ「んっ……」コクン

キョン「怖いって、人と話すのが? なんで?」
ハルヒ「わかんない。わかんないけど……誰とも話したくないの」
キョン「…」
ハルヒ「学校に居てもイライラするし、話しかけられると鬱陶しく思っちゃうし……」
ハルヒ「だけど……寂しくて……でも誰かと話すのは、嫌で、なんか、んっ」
キョン「ほら、ゆっくりでいいから。うん、落ち着いていいぞ? 今は俺しか居ないから」
ハルヒ「…」

ハルヒ「あたし、どうしちゃったのかな」
キョン「…」
ハルヒ「全部全部嫌になって、皆あたしのこと綺麗さっぱり忘れえてくれれば……解決するかなって」
キョン「お前……ダメだ。そんなこと考えちゃダメだぞ?」
ハルヒ「……キョンのことも……嫌いになりそうで……だからさっき」
キョン「わかったよ。別にそれは攻めないから。なんていうか……疲れてるんだよ。ハルヒはきっと」

62: 2009/01/24(土) 04:49:25.21
ハルヒ「そんなことないわよ! なによ疲れてるって!」
キョン「! いや、あの……」
ハルヒ「あ……」
キョン「…」

ハルヒ「ごめん……ごめんなさい」
キョン「いいって。謝るなよ、大丈夫だから」
ハルヒ「…」
キョン「…」
ハルヒ「携帯のね」
キョン「?」
ハルヒ「アドレスも変えて、データも消したの」
キョン「携帯……なんでさ」
ハルヒ「鬱陶しくて、怖くて、嫌で……でも……キョン」
キョン「…」
ハルヒ「わかんないよ……なんであたし、こんなことしてるの?」
キョン「大丈夫、大丈夫だ。ハルヒはなんにも悪くないから……うん」

63: 2009/01/24(土) 04:54:02.58
キョン「じゃあずっと、学校終わってから一人であんな風に?」
ハルヒ「家に帰ってもやることないし、でも誰とも話したくないし……」
キョン「…」
ハルヒ「だけど寂しいから、誰かに話しかけてもらえればって……でもイライラしちゃって」

ハルヒ「なにが原因かわからないけど……こんなので部活行っても、皆に迷惑かけちゃうから」
キョン「だから来なかったのか」
ハルヒ「…」コク
キョン「そうか……うん。わかった。ハルヒは優しいな、ちゃんと皆の事考えてる」
ハルヒ「そっ、そんなことないわよ! だって、あたし話しちゃうと……今日みたいに」
キョン「だからさ。嫌な言葉吐いちゃうかもしれないから、自分から皆と離れてたんだろ?」
ハルヒ「……うん……」
キョン「俺は大丈夫か? 鬱陶しいなら、もう家まで送るぞ?」
ハルヒ「やっ、やだ。キョンは、キョンは……ココにいて?」
キョン「……あぁ、居るよ。安心しろ」(っつっても俺の家だけどな……)

65: 2009/01/24(土) 05:00:45.75
キョン「ほら、紅茶淹れてきたぞ。美味いかどうかはわからんが」
ハルヒ「……ありがとう」

キョン「寒くないか? そうだ、暖房つけるよ」ピッ
ハルヒ「…」
キョン「ほら、ブランケット使っていいぞ? 風邪ひくと大変だからな」スッ
ハルヒ「…」コク
キョン「……落ち着くまで、ウチで休んでいいから。ちゃんと後で送ってやるからさ」
ハルヒ「うん……」
キョン「…」

68: 2009/01/24(土) 05:10:55.90
ハルヒ「隣、座っていい?」
キョン「いいよ。ほらおいで」
ハルヒ「…」ススッ

キョン「なんか変な感じだな。ハルヒが俺の部屋にいるってのはさ」
ハルヒ「…」
キョン「うっ……すまん」
ハルヒ「ありがとう、キョン」
キョン「?」
ハルヒ「キョンに話したら、なんか楽になった。キョンだけなら……大丈夫みたい」
キョン「……朝比奈さんや古泉、長門とかは?」
ハルヒ「わかんない……でも、話したくない」
キョン「そっか」
ハルヒ「最低ね、あたし」
キョン「いいや、そんなことない。ハルヒはいい子だよ。最低なんかじゃない」ナデナデ
ハルヒ「…」

69: 2009/01/24(土) 05:18:14.86
キョン「俺は大丈夫ってんなら、ずっと聞いててやるから、うん」
ハルヒ「…」
キョン「傍に居ていいなら、いるからさ。もう一人で悩んだりすんなよ?」

ハルヒ「ひっついていい?」
キョン「……お、おおぅ」
ハルヒ「ん」スッ
キョン「…」
ハルヒ「……はぁ」
キョン「なんか俺に……してほしいこととかあるんなら、遠慮せずに言えよ?」
ハルヒ「……じゃあ」
キョン「おう」
ハルヒ「二人っきりのときだけ……甘えさせて?」
キョン「任せとけ。って、どうすれば?」
ハルヒ「…」ジー
キョン「……まあいいや、そこ座ってな。ハルヒが安心できるように頑張ってみる」
ハルヒ「ふふっ、なにを?」
キョン「うっさい。それを考えるんだ。その……まあいいや、黙ってろ」
ハルヒ「うん。わかった」
キョン「…」ナデナデ

72: 2009/01/24(土) 05:23:26.04
キョン「もしかすると……病院とか、行ったほうがいいかも」
ハルヒ「病院……」
キョン「いや、わかんないけどな? まあ……今は、大丈夫そうだ」
ハルヒ「心の病気ってやつ? でもあたしがそんな」
キョン「だからだよ。ハルヒがそうなってても……俺もお前も、信じられないだろ?」
ハルヒ「…」

キョン「だけど、今はとりあえず大丈夫」
ハルヒ「…」
キョン「話したくないなら、話さなくていい。逢いたくないなら逢わなくても」
キョン「少しずつ、元に戻れるようにさ? 俺も……一緒になって考えてやるから」
ハルヒ「キョン……」
キョン「ほら泣くなよ。ハルヒは笑ってるほうが似合うんだから」
ハルヒ「…」コクン
キョン「雨、止めばいいな……早く晴れれば、いいんだけどな」

73: 2009/01/24(土) 05:28:38.71
ハルヒ「そろそろ帰る。もうこんな時間」
キョン「ん、送るよ」
ハルヒ「いいわよ。もう大丈夫」

キョン「本当に大丈夫か? 自転車もあるし、すぐだぞ?」
ハルヒ「大丈夫だってば。色々と……ごめんね」
キョン「気にすんな。お前も、なにかあれば電話でもメールでもいいから」
ハルヒ「……うん」
キョン「一人で抱えようとするなよ? 明日もちゃんと、学校に来るんだ」
ハルヒ「わかってるわよ。じゃあね」
キョン「あぁ、また明日な」

キョン「…」
キョン「……大丈夫かな……」

75: 2009/01/24(土) 05:41:26.75
キョン「ってわけだ。だから、しばらくはハルヒはそっとしておいてほしい」
古泉「そうですか……。鬱、とでも言えばいいんでしょうか?」
キョン「わからんな。ただ誰とも会いたくない。喋りたくないとは言ってた」

古泉「涼宮さんは自分自身すら、否定していたのですか? どうりで閉鎖空間も生まれないわけだ」
キョン「? でも、ストレスはかなり」
古泉「しかし自分に原因があると自覚しているんでしょう。だから、消えるべきなのは自分自身だと」
キョン「……なら、このままだとあいつは」
古泉「えぇ。あなたの想像している通りに」
キョン「…」
古泉「ですから、彼女が存在するためには」
キョン「俺がどうにかしてやらないと、ってか」
古泉「おや、わかりましたか?」
キョン「そりゃ……今日一日で、ハルヒのことが結構わかったつもりではあるしな」
古泉「ではおねがいします。今回ばかりは僕達は……なにも協力できそうにないです」

76: 2009/01/24(土) 05:44:21.28
キョン「明日は晴れるといいんだけどなぁ」
キョン妹「明日? でも明日は雨だーって」
キョン「誰が言ってたんだ?」
キョン妹「てれび!」
キョン「……どうだろうな。あいつらは予想しかできないさ」
キョン妹「んー?」
キョン「ほら、もう寝なさい」

カチカチ
キョン「おやすみ……っと。今のところ大丈夫そうだな」
キョン「…」
キョン「あいつ、ずっと一人で悩んでたのか……」
キョン「もっと早く気がついてやればよかったな……うん」

77: 2009/01/24(土) 05:46:26.07
キョン妹「キョンくーん! あさ! 朝だよー!」
キョン「んんっ……んー」

キョン「…」
キョン妹「御飯できてるよ」
キョン「うー……すぐ行くよ」
キョン妹「早くしないとウインナーもらっちゃうぞーっ」テテテ…
キョン「それは勘弁……ん?」

キョン「…」
キョン「曇りか……すこしは晴れた、のか?」
キョン「……うし、頑張ろう」

171: 2009/01/24(土) 15:55:18.12
キョン「おはよう」
国木田「あ、キョン。おはよう」

キョン「……ハルヒはまだ来てないのか」
国木田「ん? あぁ、みたいだね。休みかな」
キョン「いや、ちゃんと来るとは言ってた」
国木田「へぇ……よく知ってるね」
キョン「そりゃあ……!」
国木田「じゃあ昨日は、なんとかなったみたいだね?」
キョン「まあ、そうだな。でも多分まだちょっと」
国木田「?」

キョン「おっ」
ハルヒ「…」
キョン「お、おはようハルヒ」
ハルヒ「…」コク

178: 2009/01/24(土) 15:59:22.77
キョン「…」
キョン「…」(結局一言も話さないまま昼休みか)

キョン「んー……なぁ、ハルヒ? よかったら昼飯」
ハルヒ「来て」ゴソゴソ
キョン「えっ? あ、あぁ。あいよ」
国木田「……?」
谷口「なんだ、涼宮の奴またなんか企んでるのか……」
国木田「うーん、どうなんだろ?」

186: 2009/01/24(土) 16:11:38.71
キョン「部室行くか、部室。お前最近全然来ないだろ? 昼休みだけでもさ」
ハルヒ「…」コク
キョン「……大丈夫か? 気分悪いとかなら」
ハルヒ「大丈夫」
キョン「そ、そうか」

ガチャ
キョン「……ほら、誰も居ない」
ハルヒ「…」
キョン「やっぱりダメか? 教室……色んな奴いるもんな」
ハルヒ「声がうるさっくって……イライラする」
キョン「大丈夫、大丈夫。すぐ慣れるよ」
ハルヒ「…」
キョン「元は大丈夫だったんだ。今はちょっと嫌なだけ。大丈夫だから」
ハルヒ「……ん」
キョン「ほらハルヒ。弁当食べよう、俺も腹へったよ」

190: 2009/01/24(土) 16:19:00.00
キョン「ハルヒの弁当美味しそうだな、彩りも綺麗だ」
ハルヒ「そう? これ、自分で作ったのよ」
キョン「そうなのか? へぇ、ハルヒも料理とかできるんだな」
ハルヒ「むっ、なによそれ!」

キョン「いやいや、イメージしてたのとは違うぞ? お前はそういうのは不器用かと」
ハルヒ「酷いわね! ちゃんとできるに決まってるじゃない!」
キョン「はは、そうだな。それ見てわかったよ」
ハルヒ「……親と顔あわせるとさ……なんか酷いこと言っちゃいそうで」
キョン「…」
ハルヒ「早起きして、自分でお弁当作って……でも一番最初に学校着くのは嫌だから、その辺ブラブラしてたの」
キョン「あー……うん、そっか。偉いよ。自分でこんな」
ハルヒ「…」
キョン「俺も貰っていいか? ほら、これと交換だ。こっちも美味しいぞ? ほら、あーん」
ハルヒ「……あむっ」

195: 2009/01/24(土) 16:26:00.10
キョン「あ、飲み物忘れた……ちょっと買ってくる」
ハルヒ「! ちょ、ちょっと。ドコ行くの?」
キョン「自販機んトコまでだ、すぐ戻ってくるって。それとも一緒に行くか?」
ハルヒ「…」
キョン「すぐ戻ってくるから。ほら、鍵は俺が持って……ハルヒは中から鍵閉めてろ」
ハルヒ「わかった……走って帰ってきなさいよ? 遅かったら怒るからね?」
キョン「わかってるよ」

キョン「…」ピッ  ガコン
キョン「結構キツいな……あのハルヒが、あんなに」
みくる「あれ、キョン君?」
キョン「! 朝比奈さん」
みくる「あー、そのジュース美味しいですよね。私も大好きです」
キョン「あぁ、そうですね。俺も結構好きかも」
みくる「ちょっと部室に忘れ物しちゃって、また放課後に~」
キョン「! ちょ、待った!!」
みくる「!?」

198: 2009/01/24(土) 16:32:25.82
みくる「涼宮さんが……」
キョン「えぇ。だから、ちょっとあいつと逢うのは」
みくる「わかりました。それなら部室には……でもちょっと困ったなぁ」
キョン「?」

みくる「あの、次の授業で使わないといけないから」
キョン「朝比奈さんもちゃんと授業受けてるんですね」
みくる「そりゃあ、失った青春をもう一度……! きっ、禁則事項ですっ!」
キョン「……じゃあ俺がとってきますよ。多分、俺じゃないとマズいんで」
みくる「あ、じゃあ部室の前までは行きますね。ここまで持ってきてもらのは悪いですから」

201: 2009/01/24(土) 16:38:46.88
ハルヒ「……キョン……遅い」
コンコン
ハルヒ「!」

ハルヒ「……キョン?」
ハルヒ「へ、返事しなさいよっ」
ハルヒ「あんた鍵持ってるんでしょ? 自分で――」
長門「開けて」
ハルヒ「っ!」
長門「本の続きを読みたい。ここを、開けて」
ハルヒ「あ……」
長門「…」

キョン「だから、あいつが大丈夫になるまでは部活も……!」
長門「?」
キョン「な、長門! お前、なにやってるんだ」
長門「本を読みたい」
キョン「本か? すまん、できれば違うところで」
長門「違う。ここにある、本」
キョン「……ちょっと待ってろ。どんな本だ? 本棚にあるやつか?」

204: 2009/01/24(土) 16:45:11.69
キョン「ハルヒ、俺だ。入るぞ?」
ガチャン
キョン「あれ、ドアが」

キョン「?」グッ
ハルヒ「ダメ……帰って」ググッ
キョン「……俺しか入らないから。朝比奈さんも長門も、もう居ないから。な?」
ハルヒ「みっ、みくるちゃんも居るの? むむっ、無理! 帰ってよ帰りなさいよ!!」
キョン「…」ガチャッ
ハルヒ「!」
キョン「大丈夫! ほら居ないだろ? 二人共荷物とりに来ただけだから、もう帰ったから。な?」
ハルヒ「……キョン……キョン、遅いキョン、遅いよ……ぉ」
キョン「よし、ごめんな。俺が悪かったよ。ほら、二人の荷物だけ返してやろうな? 今度はすぐに帰ってくるから」

211: 2009/01/24(土) 16:56:41.18
キョン「ほら、もう大丈夫だ。もう本当に誰もいない」
ハルヒ「まだ誰かドアの外に居るんじゃないの?」
キョン「誰も居ないって。俺がハルヒに嘘つくと思うか?」
ハルヒ「…」

キョン「朝比奈さんとはたまたま逢ってさ? 長門は本を読みに来ただけだ」
ハルヒ「どうせあんた……あたしが居るからって、二人共呼んできたんでしょ」
キョン「そんなわけないだろ。本当に偶然だ、信じてくれ」
ハルヒ「……二人共、あたしのこと変だって思ってるわよね」
キョン「思ってない。お前のことを悪く思うわけないだろ?」
ハルヒ「だって! こんなトコで一人で……」
キョン「……大丈夫、皆心配して……いや、なんにも思ってないから。ハルヒはハルヒだよ」
ハルヒ「…」
キョン「ほら、ここ座れって。とりあえず座って落ち着こう、こっちおいで」

216: 2009/01/24(土) 17:04:50.53
キョン「ほら、このジュース甘くて美味しいぞ?」
ハルヒ「…」
キョン「ごめんな、すぐ戻ってくるって言ったのにな」
ハルヒ「……バカキョン」

キョン「……朝比奈さんも長門も、やっぱりダメか」
ハルヒ「…」コク
キョン「あぁ、でも気にするなよ? 本当に二人ともなんにも思ってないからな?」
ハルヒ「そんなわけないじゃない……いつもは嫌ってほどあたしが」
キョン「いいや、そんなわけあるって。いいから……なんにも考えるな」ナデナデ
ハルヒ「……嫌われちゃうよね……こんなの、皆鬱陶しいって」
キョン「俺はちゃんと傍に居るだろ? 変なこと考えるな、俺はちゃんとお前のこと……す……き、だから、うん」
ハルヒ「…」グッ

223: 2009/01/24(土) 17:22:30.85
キョン「よしよし、もう大丈夫か? そろそろ離れてくれると助かる」
ハルヒ「…」フルフル
キョン「わかったよ、もうちょっとこのまま……」

キョン「…」(授業始まっちまうなぁ……)
ハルヒ「…」
キョン「…」(ん? 眠ってる?)
ハルヒ「あんた」
キョン「あ、起きてた……」
ハルヒ「もしかして、あたしに告白した?」
キョン「は? ……! あ、あぁいや、あれはその」
ハルヒ「……嘘?」
キョン「うううっ、嘘じゃないぞ!」
ハルヒ「好きって言えば、あたしが安心するからって」
キョン「そんなわけないだろ。ちゃんと本当だ」
ハルヒ「じゃあ……もう一回言ってよ」
キョン「……す、好きだ。ハルヒ」
ハルヒ「……うん、とりあえず聴いておいてあげる。……ありがと」

227: 2009/01/24(土) 17:31:28.69
キョン「もう授業始まるぞ?」
ハルヒ「…」
キョン「ハールヒ、黙ってるとわからないだろ」
ハルヒ「……帰る」

キョン「え?」
ハルヒ「なんか頭痛い。それに……また誰かに逢ったら」
キョン「でもお前、今日耐えれないと明日は来れないかもしれないぞ?」
ハルヒ「それでもいいもん」
キョン「ダメだ。座ってるだけでいいから、ノートもなんなら俺が書いててやるから」
ハルヒ「……いいわよ別に」
キョン「とにかく、あと二時間だけ頑張ろう。そんで授業終わったらすぐに帰ろう、俺も一緒に帰るから」
ハルヒ「…」
キョン「よし、じゃあ離れろ。よっと……軽いなぁハルヒ」
ハルヒ「手は繋いでてよ」
キョン「……教室の前までな。ほら、行こう」キュッ

228: 2009/01/24(土) 17:33:26.87
国木田「あれ、遅いよキョン」
キョン「あぁ、まだ先生来てないのか?」
国木田「みたいだね」

ハルヒ「…」
キョン「大丈夫か? 大丈夫だな」
ハルヒ「…」フルフル
キョン「座ってるだけでいいから。不安になったら、俺の制服引っ張れ。ちゃんと振り返るからな?」
ハルヒ「……わかった」
キョン「よし」

谷口「なんだなんだ? 仲いいなあいつら!」
国木田「うーん、なんか違うような……」

231: 2009/01/24(土) 17:37:51.14
カリカリ…
キョン「…」
ハルヒ「…」
キョン「…」(寝てるのか……なら安心だ)

キョン「ハルヒ、授業終わったぞ」ユサユサ
ハルヒ「……起きてるわよ」
キョン「あれっ、そうか」
ハルヒ「カーテン閉めてもいい?」
キョン「いいよ。でも曇ってるからあんまり意味は」
ハルヒ「視界が広いのは嫌なの」
キョン「……よし、じゃあ閉めとこうな」シャッ

キョン「あと一時間、頑張れるか?」
ハルヒ「…」コクッ
キョン「よし、じゃあ頑張ろうな」

234: 2009/01/24(土) 17:51:23.64
キョン「よし、帰るか」
ハルヒ「待って」グッ
キョン「? なんだよ、ちゃんと一緒に」
ハルヒ「そうじゃないの……待ってってば」

キョン「…」
ハルヒ「…」
キョン「もう皆帰っちまったぞ」
ハルヒ「……帰りましょ」
キョン「はぁ」
ハルヒ「雨、降るかな?」
キョン「あのさ」
ハルヒ「?」
キョン「そんなに無理なのか? 俺以外の奴と話すのは」
ハルヒ「……なによ」
キョン「いや、聞いてみただけ」
ハルヒ「……ごめん……だって、イライラして……」
キョン「ああっ、いや! なら仕方ないよな、うん」
ハルヒ「皆私のこと忘れてくれないかな。そうすればひっそりと」
キョン「そういうこと言うなって。俺、ハルヒのこと忘れちゃったら嫌すぎるぞ?」
ハルヒ「……うん」

235: 2009/01/24(土) 17:55:07.47
キョン「どこか寄って帰るか? いや、すぐ帰るほうがいいか」
ハルヒ「うん」
キョン「じゃあ行こう。出来るだけ人が居ない道、通ってさ?」

ハルヒ「……部活してる」
キョン「そりゃするさ。高校生だからな」
ハルヒ「あたし達も部活しないとね」
キョン「? 部室行くか?」
ハルヒ「……今度」
キョン「おう、わかった。ほら行こう」
ハルヒ「誰も居ない?」
キョン「居ないよ。居たとしても、無視すればいい」
ハルヒ「……話しかけてきたら?」
キョン「そうなったらハルヒは俺の後ろに隠れてればいい。俺がどうにかするから」
ハルヒ「……子供みたいね……あたし」
キョン「いいよいいよ、なんにも気にしてないし。ほら、寒いから早く行くぞ?」

243: 2009/01/24(土) 18:07:42.28
キョン「雨は……降りそうにないな。よかった」
ハルヒ「わからないわよ。そのうち降るかも」
キョン「そうなったら慰めるよ。どうにか止ませてみせる」
ハルヒ「?」

キョン「でも、なにが原因なんだろうな」
ハルヒ「……それがわかったら苦労しないわよ」
キョン「ゆっくりでいいから、ハルヒが話しかけられるときに皆に話しかければいいから」
ハルヒ「…」コク
キョン「SOS団の皆も、ハルヒのこと待ってると思うぞ?」
ハルヒ「どうかしらね、煩いのがいなくて清々してるかも」
キョン「そんなわけないだろ? なんでも悪い方に考えるなって」
ハルヒ「…」
キョン「俯くなって。ほら、ハルにゃん?」クッ
ハルヒ「! や、やめてよ! 何言ってるのよバカ」
キョン「ほら笑った。うじうじしてるとハルにゃんって呼ぶからな?」

249: 2009/01/24(土) 18:16:56.60
キョン「ほら、着いたぞハルヒ」
ハルヒ「ん」

キョン「もう大丈夫か……それじゃ、また明日な」
ハルヒ「待ちなさいよ」
キョン「?」
ハルヒ「ど、どうせ暇なんでしょ? 上がっていきなさいよ」
キョン「え……いや、でも」
ハルヒ「一人で居てもつまらないもん。それに、親と居ると気まずいっていうか……」
キョン「…」(それは俺のセリフのような……)
ハルヒ「…」
キョン「……わかったよ。でも、あんま遅くまでは居られないぞ? その、迷惑だろうし」
ハルヒ「うん、ほら。入って」

253: 2009/01/24(土) 18:25:27.23
キョン「…」(ハルヒの部屋……)
ハルヒ「なにキョロキョロしてんのよ、変態」
キョン「なっ」

ハルヒ「あっ」
キョン「?」
ハルヒ「……着替える」
キョン「あぁ、じゃあ外に」
ハルヒ「そこに居てよ」
キョン「なんでだよ」
ハルヒ「あんた、勝手に帰っちゃいそうだもん」
キョン「帰らないって、というか……じゃあどうすれば」
ハルヒ「……こっち見るな」
キョン「わ、わかったよ」

シュルッ
キョン「…」
シューッ
キョン「…」(後ろでハルヒが……別に振り返ってもバチは当たらないんじゃないか?)

258: 2009/01/24(土) 18:31:43.92
ハルヒ「もういいわよ」
キョン「…」クルッ

キョン「あれ、普通に着替えてる」
ハルヒ「? なによ普通って」
キョン「いやあ、何かを期待したんだけど」
ハルヒ「変態っ」
キョン「し、仕方ないだろ。だってお前、状況が状況だし……」
ハルヒ「……だって……一人で居るのは嫌だもん」
キョン「うっ」
ハルヒ「だけど誰かと居るのも嫌だし……よくわかんない」
キョン「あぁ、ごめんハルヒ。俺がバカだったよ。ほら、こっちおいで?」
ハルヒ「……キョンが帰るまで、ずーっと引っ付いててもいい?」
キョン「もちろん。ただその、できるなら部屋の鍵を閉めててくれ」

263: 2009/01/24(土) 18:36:13.12
ハルヒ「はぁ……疲れた」
キョン「静かなのはなんか恥ずかしいから、テレビ点けてていいか?」
ハルヒ「なによ、落ち着きないわね」
キョン「だってお前……女の子の部屋でふたりっきりってのも」
ハルヒ「あたしは昨日、平気だったわよ」
キョン「それはまあ、知らんけど」

ハルヒ「変なの。キョン、オロオロしちゃってる」
キョン「してないぞ。別に、普通だ」
ハルヒ「ほんとに?」
キョン「……ほんとだ」
ハルヒ「嘘だ」
キョン「うるさいな。からかうなら帰るぞ」
ハルヒ「だめ。まだ時間大丈夫でしょ? 傍にいるって言ったのキョンだもん」
キョン「……わかったよ」

268: 2009/01/24(土) 18:41:24.24
ハルヒ「ふふっ、でも確かに変ね。キョンがあたしの部屋にいる」
キョン「それにこんな近くに、な」
ハルヒ「……ほんとに、あたしのこと好き?」
キョン「なっ……そ、それは今言わないといけないのか?」
ハルヒ「…」コク
キョン「……うん」

ハルヒ「ちょっと、なんであたしの方見てくれないの?」
キョン「なんでって、別に理由はない」
ハルヒ「じゃあ見てよ。キョンしかあたし……頼れないの」
キョン「…」
ハルヒ「イライラしたり、不安になったりしなくなるまででいいから……見てて」
キョン「わかったよ、頑張る」
ハルヒ「? 頑張る?」
キョン「俺が俺でいられるようにな。まあ……大丈夫か」(俺は……今のところ、ハルヒが唯一心を開いてくれるわけだし)
ハルヒ「なに言ってるのかわかんない」
キョン「気にすんな」(俺が変なことしちまうと、こいつは本当に誰も信じられなくなるもんな)

274: 2009/01/24(土) 18:53:03.87
キョン「明日も、ちゃんと学校行けるか?」
ハルヒ「……多分」
キョン「何がダメなんだ? 話しかけられたりするのか」
ハルヒ「全部。話すのも見られるのも、見るのも嫌」

キョン「…」
ハルヒ「イライラしてきて、怖くなって……」
キョン「うん」
ハルヒ「大丈夫? って言われるのも、ムカつきそうな気がして」
キョン「あ、そうか。ごめん」
ハルヒ「ううん、キョンは別。キョンは……いいの」
キョン「俺は大丈夫か……でも、俺以外も別に考えてることは」
ハルヒ「あたしはキョンだけに話しかけててほしいの」
キョン「…」
ハルヒ「……学校も行かないで、ひっそりとしてるほうがいいのかな」
キョン「いいや、そんなことない。今はそういう時期ってだけだよ」
ハルヒ「キョン……」グッ

280: 2009/01/24(土) 19:03:48.44
キョン「くるしいってハルヒ。抱きつくなよ」
ハルヒ「…」
キョン「……ごめんな。俺、傍に居て聞いてやるしかできなくてさ」
ハルヒ「それだけで、十分よ」

キョン「本当言うと、ハルヒの思ってること……よくわかってないんだ」
ハルヒ「…」
キョン「昨日まで一緒に笑ってた人と、話すのが辛くなるってのは」
キョン「俺の想像の外っていうか……励ますことしか、できない」

キョン「だけど、それでハルヒが辛い思いしてるのは、俺も同じぐらい辛いんだ」
キョン「……俺にできることがあれば、遠慮しないで全部言えよ?」
ハルヒ「キョン……んっ、うん。わかった。キョン……好き」
キョン「…」ナデナデ

292: 2009/01/24(土) 19:12:40.02
キョン「そろそろ帰るよ。腹減ってきた」
ハルヒ「御飯作ってあげようか?」
キョン「いや、家に晩御飯あるだろうし……男がずっと居るのも、いい気がしないだろ?」
ハルヒ「気にしないでいいのに」
キョン「気にするよ。ほら、さすがに一人で出て行けないから玄関まで送ってくれ」

ハルヒ「……ほんとに帰るの?」
キョン「帰るよ。寂しいなら電話してこい」
ハルヒ「さ、寂しくなんかないわよっ」
キョン「なんでもいいけど、あんまり一人で考えんなよ? 俺も一緒だからな」
ハルヒ「……うん」
キョン「明日も早起きするのか?」
ハルヒ「多分する」
キョン「じゃあ俺も来るよ。一緒に行こう、ゆっくりでもいいから」
ハルヒ「…」
キョン「ほらハルヒ、バイバイってしろ。バイバーイ」フリフリッ
ハルヒ「な、なにそれ。子供みたい……バイバイ、キョン」


300: 2009/01/24(土) 19:17:56.28
キョン「寒っ……早く帰ろう」
キョン「やっぱり曇ってる……すぐには晴れないか」

キョン「…」
キョン「?」
キョン「あれ……ん?」

ハルヒ「キョン、帰っちゃった」
ハルヒ「…」
ピリリr
ハルヒ「! もしもしっ」
キョン「ハルヒ? なぁ、ちょっと窓の外見てみ」
ハルヒ「外? ……?」
キョン「空のさ、少しだけ雲が晴れてるとこ……わかるか?」

303: 2009/01/24(土) 19:20:40.56
ハルヒ「見えにくい……部屋の電気、消してみる」
キョン「とにかく見てみろ。そこから少しだけ星が見えるから」

ハルヒ「……これがどうしたの?」
キョン「いや、星が見えてるのをお前に教えたかった。それだけだよ」
ハルヒ「別に珍しくもなんともないんじゃない?」
キョン「そうだけど。とにかく俺は……これだけでも嬉しいんだ」
ハルヒ「? 変なの」
キョン「はは、そうかもな。でもこれは……よかった」
ハルヒ「…」
キョン「明日も、絶対に学校行くぞ。ちゃんと一緒に、な」
ハルヒ「うん……わかった。よくわかんないけど、ありがと。キョン」

405: 2009/01/25(日) 00:19:31.94
国木田「あれ、ドコ行くのキョン?」
キョン「ちょっとな。先に体育館行っててくれ」

キョン「ハルヒ……居た」
ハルヒ「あっ、キョン」
キョン「大丈夫か? 体育、でられそうか」
ハルヒ「…」コク
キョン「さすがに体育まで一緒にいることはできないからな……辛くなったら休めよ?」
ハルヒ「うん……多分、大丈夫だと思う」
キョン「よし、じゃあまた後で」

キョン「……大丈夫かなぁ」
国木田「キョーン! ボール飛んでったよー!」
キョン「おっと!」

414: 2009/01/25(日) 00:24:33.42
キョン「そら、谷口っ」
谷口「ごおっ!」バシーン
国木田「あっ、今の見たことある。顔面キャッチだ」

キョン「女子は外か……」
国木田「何眺めてるの? むしろ誰?」
キョン「うるさい」
国木田「あ、あれ」
キョン「?」
国木田「涼宮さん……あれっ、どっか走ってった」
キョン「なっ……ご、ごめん! ちょっとトイレ行ってくる!」
谷口「痛てっ、鼻血出てきた。俺も保健室に――」
キョン「我慢してろ!」
谷口「へっ!?」

418: 2009/01/25(日) 00:29:05.94
キョン「ドコに……多分ココだな」

【保健室】

キョン「先生、ちょっと体育やってたら気分悪くなったんで……えぇ、朝からちょっと」
キョン「こっち誰か寝てるんですか? えっ、俺と同じクラス? はぁ」
キョン「……ハルヒ」
ハルヒ「…」
キョン「やっぱりダメだったか? ほら、俺だよ」
ハルヒ「キョン? なんでここに?」
キョン「お前がどっか行ってるのが見えたから、心配して追いかけてきたんだよ」
ハルヒ「……二人組作れって言われて……」
キョン「うん、そっか。わかった。もう休んでていいぞ、寝てな?」
ハルヒ「……うん」

426: 2009/01/25(日) 00:37:47.05
キョン「……余ったのか」
ハルヒ「違うわよ。まあ……違わないけど」
キョン「…」

ハルヒ「いつもならね、適当にその辺の子捕まえてやるんだけど」
キョン「うん」
ハルヒ「今日は……誰ともやりたくなくて……」
キョン「それで、気分悪くなっちゃったか?」
ハルヒ「うん。なんか、怖くなって……サボっちゃった」
キョン「俺もサボってるからな。お互い様だよ」
ハルヒ「一人になるのはいいんだけどね? でも……そのうち誰かに話しかけられると思ったら」
キョン「……一人になるのも、本当は辛いことだと思うぞ?」
ハルヒ「…」
キョン「うん、俺も隣で寝てるから、次の授業始まる前に着替えに戻ろうな」ナデナデ

435: 2009/01/25(日) 00:45:12.30
キョン「…」
ハルヒ「……SOS団なんか、作ったからいけないのかな」
キョン「?」

ハルヒ「高校に入って、周りの人とも話せるようになって……」
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「だから、それに慣れちゃったから、考え方が昔に戻っただけで」
キョン「何言ってるんだよ、ハルヒ」
ハルヒ「……もしかすると、キョンとも話さないほうが」
キョン「そんなわけないだろ。誰とも話さないで、それが正解なんてあるわけない」
ハルヒ「…」
キョン「お前がこうやってこの高校に来て、SOS団があるから……俺も楽しいって思えてるんだ」
ハルヒ「でも……あたしが居なくても楽しいでしょ?」
キョン「いいや、楽しくないよ。俺にとって、ハルヒは今世界で一番大切な人なんだ」
ハルヒ「……先生、居るわよ?」
キョン「あっ……い、いいさ。聞こえてないだろ……多分」


443: 2009/01/25(日) 00:57:15.35
キョン「もうそろそろ、行こう。そろそろ他の奴らも帰ってくる」
ハルヒ「……起こして」
キョン「なっ、一人で起きられるだろ?」
ハルヒ「起こしてよ。じゃないと起きないわよ」
キョン「…」

キョン「ほら」グッ
ハルヒ「…」ギュウ
キョン「……痛いって。抱きつくなよ」
ハルヒ「…」
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「ぐすっ……ん」
キョン「…」ポンポン
ハルヒ「…」ギュウッ

キョン「ほら、俺も着替えてくるから。着替え終わったら自分の席座ってな」
ハルヒ「うん……すぐ戻ってきなさいよ?」
キョン「もちろん。それじゃ、また後で。あー……顔も洗っとけ、うん」
ハルヒ「…」コク

456: 2009/01/25(日) 01:09:39.45
キョン「…」モグモグ
ハルヒ「…」

キョン「部室で昼飯食うのも、慣れてみれば静かでいいもんだな」
ハルヒ「そんなわけないじゃない……」
キョン「なんでだよ。いいじゃないか、俺とハルヒだけの空間っていうか」
ハルヒ「……ふふっ、意味わかんないわよ」
キョン「なんだよ、笑うな」

キョン「ほら、さっき売店で飴買ってたんだ」ガサガサ
ハルヒ「ん」
キョン「あ、ソーダ味は俺のな」
ハルヒ「……そっち座ってもいい?」
キョン「? そっちって?」
ハルヒ「キョンの……膝」
キョン「ひ……ま、まあいいけど……椅子の方が」
ハルヒ「…」
キョン「ほら、どうぞ」ポフポフ

469: 2009/01/25(日) 01:18:49.65
キョン「……こっち向いた方が座りやすいのか?」
ハルヒ「うん……っていうか、キョンの方見てるほうが落ち着くの」
キョン「…」

ハルヒ「こうしてるのが、一番幸せ。なにも考えないで……キョンに甘えとく」
キョン「まあ……俺も悪い気分じゃあないけどな」
ハルヒ「…」
キョン「だけど、俺もその……男だから……色々とアレだからな、うん」
ハルヒ「……キョンがいなかったら、あたしどうなっちゃうのかな」
キョン「それは多分、ハルヒが居なくなったときの俺と同じだと思うぞ」
ハルヒ「どんな感じ?」
キョン「考えたくないな。考えなくていいことは、考えなくていいんだ」
ハルヒ「…」
キョン「色々考えるから、疲れちゃうんだ。今だけでもいいから……なんにも考えるな」ナデナデ
ハルヒ「うん……そうする」

482: 2009/01/25(日) 01:32:55.50
キョン「子守唄とか、歌えればいいのかね」
ハルヒ「なによそれ……バカにしてる?」
キョン「はは、冗談だ。静かにしてるよ」

ハルヒ「今度の体育……どうしようかな」
キョン「できるだけ、参加するほうがいいと思うぞ」
ハルヒ「だって」
キョン「そうだな……うん、気にしなきゃいい」
ハルヒ「気にしないでいられるなら、こんなに悩まないわよ」
キョン「一時間だけ。一時間だけなんにも気にしないで普通にする。そんで、終わったら俺のトコに飛んで来い」
ハルヒ「…」
キョン「ハルヒが楽になれるのなら、俺はなんだってしてやるから。遠慮なんて、しなくていいからな?」
ハルヒ「……一番キョンに迷惑かけてるわね……自分勝手で、最低最悪」
キョン「いいや。俺も嬉しいぞ? だってほら、好きな子に引っ付いてもらえるのは……な?」
ハルヒ「変態」
キョン「なんだっていいさ。それで、ハルヒが少しでも楽になれるのなら。なんだってな」
ハルヒ「……ほっぺ合わせて。もっとキョンの近くがいい」
キョン「ん、こうか? っと……冷たいな」ピト

494: 2009/01/25(日) 01:48:09.15
ハルヒ「このまま、キョンと一つになれればいいのにね」
キョン「それは……」
ハルヒ「変なコト考えてるでしょ? そうじゃないわよ……本当に一つになるの」
キョン「…」

ハルヒ「そうすれば、キョンから離れなくていいから……なんにも怖くない」
キョン「だけど、こうやって抱きしめたり、体温を確かめたりとか……そういうのもできないぞ?」
ハルヒ「……冗談よ。本気にしないでよ、ばか」
キョン「そんな真剣な声で言われたら、本気にもするさ」
ハルヒ「…」
キョン「あと二時間、頑張れそうか?」
ハルヒ「もしかしたら」
キョン「えっ?」
ハルヒ「キョンが大丈夫なんじゃなくて、キョン以外がダメなのかな」
キョン「同じ意味じゃないのか?」
ハルヒ「全然違うわよ。もう……キョンだけでいいのかも」
キョン「そんなわけないだろ? 俺もハルヒさえいればいいって思うけど……現実はそういうもんじゃない」
ハルヒ「…」

508: 2009/01/25(日) 02:12:17.49
キョン「ハルヒが逢いたくないって思ってても、逢いたいって思ってくれてる人はいる」
キョン「話したくない人の中にも、話たいって思ってる人が」
キョン「消えたいって思ってても……消えてほしいって思ってる人なんて、いないんだから」

キョン「今は俺だけでいいって思うかもしれないけど、必ず皆必要って思えるようになるさ」
ハルヒ「そんなの……わかんないわよ」
キョン「朝比奈さんや長門、古泉や鶴屋さん。他にも沢山、お前のこと好きな人がいるんだぞ?」
ハルヒ「…」
キョン「なのにハルヒは、俺さえいればそれでいいって思えるのか?」
ハルヒ「……キョンが……一番大切」
キョン「あぁ、ありがとう。俺もそうだ、ハルヒが一番大切。だけど他の人も大切だ」
ハルヒ「だけど、怖いのはどうしようもないもん。話せないのは……辛いのはどうしようも」
キョン「……皆がハルヒを必要としてるってことだけは……忘れないようにしてろ。それだけでいいから」
ハルヒ「…」
キョン「無理強いはしないから。誰も攻めないし、焦らせないから」
ハルヒ「……がんばる」
キョン「おう、頑張れ。またここで、皆と笑って過ごせるように、な」ナデナデ

510: 2009/01/25(日) 02:16:23.96
キョン「今週の休みは、暇か?」
ハルヒ「もちろん。一歩も外に出たくないわね」
キョン「それじゃ、俺とデートしよう」
ハルヒ「……外に出たくないって、言ってるでしょ」

キョン「いいじゃないか。別に誰かと会うってわけじゃない」
ハルヒ「…」
キョン「二日間、ずっと二人で過ごしてみよう。できるだけ、ハルヒが一人になる時間を減らしたい」
ハルヒ「……鬱陶しいって思っちゃうかも」
キョン「ならすぐに消えるさ」
ハルヒ「でも、寂しいって思うかも」
キョン「すぐに帰ってくる」
ハルヒ「……人の居るとこ、いけないわよ?」
キョン「行かなければいい。時間がゆっくり流れる場所で、ゆっくり過ごせばさ?」
ハルヒ「…」コク
キョン「よし、じゃあ約束な。ゆびきりするか?」
ハルヒ「しないわよ、そんな子供っぽいこと」
キョン「いいじゃないか、約束は大事だぞ? ほら、小指だせ」クッ

517: 2009/01/25(日) 02:31:39.59
ハルヒ「あと二時間……」
キョン「一日を考えると、二時間なんてちょっとだろ? 我慢しろって」
ハルヒ「ずっとひっついてたら、だめかしら?」
キョン「俺も一応、周りの目ってのは気になるからな」

ハルヒ「キョンの後ろの席でよかった」
キョン「?」
ハルヒ「辛くなって、息苦しくなっても……目の前にはちゃんとキョンの背中があるもん」
キョン「……お前が後ろに座ってる限りは、俺はどこにもいかないさ。安心してろ」
ハルヒ「はぁ……」
キョン「ため息すんなって。ただ座ってるだけでもいいんだから」
ハルヒ「…」
キョン「ゆびきりしただろ。頑張るって言ったのはハルヒだ」
ハルヒ「……うん」
キョン「よし、じゃあ戻ろう。そろそろ授業始まる」
ハルヒ「最後にぎゅーって、ぎゅー」
キョン「よ……っと。はは、ハルヒがまるで俺の子供みたいだ」ギューッ

537: 2009/01/25(日) 02:55:38.81
中々長くなっちまったなぁ…
まあ、朝までは俺が起きてると思うので
眠い人は安心しておやすみ。

540: 2009/01/25(日) 03:04:10.54
キョン「…」
ハルヒ「…」

キョン「っし、もう皆帰ったぞ。ハルヒ」
ハルヒ「……ん」
キョン「さあ、俺達も帰ろう」
ハルヒ「…」
キョン「送るよ」
ハルヒ「……帰らないでよね」
キョン「まあ……昨日ぐらいまでは、一緒にいるよ」
ハルヒ「約束」
キョン「あぁ、約束だ。ほらカバン持って」

鶴屋「おや~、ハルにゃんとキョン君じゃないか~っ!」
キョン「! つっ、鶴屋さん?」
ハルヒ「あ……っ」
鶴屋「最近部活やってないみたいだねぇ? なになに、ふふっ……これからデートってやつかい!?」

558: 2009/01/25(日) 03:42:10.52
鶴屋「いいねいいねー、仲いいねぇ!」
キョン「あ、あの鶴屋さん」

鶴屋「ふふっ、ラブラブで部活どころじゃないってかい?」
ハルヒ「…」
鶴屋「? おーいハルにゃん?」
キョン「あの、すいません! 急いでるから……ほら、ハルヒ」
鶴屋「あっ、おーい!」

ハルヒ「…」
キョン「だ、大丈夫かハルヒ?」
ハルヒ「大丈夫よ。別に、なんにも……」

575: 2009/01/25(日) 04:08:37.26
ハルヒ「わかってるわよ。別に、気にすることじゃないわ」
ハルヒ「鶴屋さんは別に悪気があって話しかけてきたわけでもないし?」
ハルヒ「そのぐらいでいちいち気を悪くしてたら、もたないもの」

ハルヒ「だから、全然気にしてないわ」
ハルヒ「ぜん……ぜんっ」
ハルヒ「……ふっ、普通に……話しかけてくれた、だけっ」
キョン「ハル……ハルヒ」
ハルヒ「べっ、別に、なんにも……っ」
キョン「うん、わかってる。大丈夫、わかってるから」
ハルヒ「っ、んっ……」ポロポロ
キョン「ほら、もう少しだけ歩こう。ハルヒの家まで、ちょっとだから」

キョン「…」
ハルヒ「ひっ、ひっく……もう、やだぁ……なんであたしっ」
キョン「大丈夫、大丈夫……ハルヒは悪くないよ。悪くないからな?」ナデナデ

580: 2009/01/25(日) 04:13:26.59
キョン「ほら、家の鍵貸してみ?」
ハルヒ「んっ……」チャラ
キョン「開けるぞ。誰も……居ないみたいだな」

キョン「ほらハルヒ、お前の部屋だ。もう誰も居ないよ、安心しな?」
ハルヒ「ひっく……ごめん、ごめんなさいキョン」
キョン「いいって。なに誤ってるんだよ? 俺はなんにも」
ハルヒ「ごめん、ごめん……あたし、たったあれだけなのに……っ」
キョン「…」ポンポンッ
ハルヒ「ぐすっ」
キョン「……泣きたいだけ泣けよ、俺が傍にいるときは……幾らでも」

595: 2009/01/25(日) 04:50:18.61
キョン「落ち着いたか?」
ハルヒ「はぁっ……う、うん」

キョン「ほら、泣き終わったんなら笑ってくれ。辛い顔してるハルヒは見たくない」
ハルヒ「……ごめんね、キョン」
キョン「ごめんね、も使うな。なんにも悪いことなんかないし、俺はなんとも思ってないから」
ハルヒ「…」
キョン「目真っ赤じゃないか……ほら、疲れただろ。ちょっと横にでも」
ハルヒ「うん……」フラッ
キョン「っと、大丈夫か?」
ハルヒ「……フラフラする」
キョン「よし、捕まってろ。そう、抱っこするぞ? よっ……と」ギシッ
ハルヒ「んっ」
キョン「気分は大丈夫か? 気持ち悪いとか、ちょっとでもおかしかったら言えよ?」
ハルヒ「うん……フラフラするだけ、大丈夫」

596: 2009/01/25(日) 04:52:59.82
キョン「……本当に、病院行ったほうがいいのかもな」
ハルヒ「…」
キョン「精神的な病気なのかも。少しだけ、休んだほうが」
ハルヒ「あたし……もうダメなのかな?」

ハルヒ「このまま頭おかしくなって……氏んじゃうとか」
キョン「そんなわけないだろ、バカなこと言うな」
ハルヒ「でも……話しかけられただけで、泣いちゃうし……体調崩しちゃうし」
キョン「…」
ハルヒ「もうやだ……学校も、行きたくない。外出たくないよキョン」
キョン「……うん……とりあえず、眠りな? 今日はもういいから、ゆっくり休んでさ」

601: 2009/01/25(日) 05:06:02.28
ハルヒ「……外、また雨降っちゃってるわね」
キョン「…」
ハルヒ「もういいわよ、今日はもう……帰っても」

キョン「雨が止むまではいるよ」
ハルヒ「…」
キョン「せめて、止むまでは居させてくれ」
ハルヒ「……でも」
キョン「好きな子がこんなに弱々しくなってるのに……あっさり帰られるわけないだろ」
ハルヒ「キョン……」
キョン「お前がどんなに小さく、か弱くなっても……俺は離れないから」
ハルヒ「…」
キョン「幾らでも迷惑掛けていいから。泣いても、喚いても」
ハルヒ「くっ……バカ……ッ、そんな、そんなこと言われたら……バカキョンッ」
キョン「…」ナデナデ

603: 2009/01/25(日) 05:11:12.96
キョン「熱とかでてないかな……」ピトッ
ハルヒ「んっ」
キョン「大丈夫そうだな」

キョン「他になにか、してほしいこととかあるか?」
ハルヒ「ううん……大丈夫」
キョン「明日はそうだな……どうしても無理なら、休んでもいいよ」
ハルヒ「…」
キョン「そのかわり、俺も休むからな。いよいよダメなら、一緒に病院行こう」
ハルヒ「で、でも」
キョン「一人にはしないさ。ずっと一緒にいるよ、小指で約束しただろ?」
ハルヒ「……キャラじゃないわよ、あんた」
キョン「いいんだ、今はハルヒと俺だけしかいないから」
ハルヒ「…」
キョン「二人だけだから、幾らでも見つめられるだろ?」
ハルヒ「は、恥ずかしいわよ。バカ」
キョン「ははっ、ほら笑った。やっぱりその顔が可愛いよ、ハルヒ」
ハルヒ「……もっと顔近づけて?」

610: 2009/01/25(日) 05:24:20.25
キョン「涙のあと、ついてる」
ハルヒ「拭って」
キョン「ほら、目も真っ赤で……ウサギみたいだ」

ハルヒ「手も繋いでよ」
キョン「こう?」
ハルヒ「ううん……こう」
キョン「……簡単に外せないな、これじゃあ」
ハルヒ「外れなくてもいいわよ」
キョン「そういうわけにもいかないさ」
ハルヒ「誰かの前で、あんなに泣いたの……初めて」
キョン「じゃあ、一人でならあるのか?」
ハルヒ「うーん……ないかも」
キョン「涙ってのは、血と同じ成分でできてるんだ。だから枯れちまうと、氏んじゃうかもしれん」
ハルヒ「?」
キョン「枯れないように……時々ああやって沸かせることも、大切なんだろうよ」
ハルヒ「……かな」
キョン「おう」
ハルヒ「あたしのこと……好き?」
キョン「大好きだ」
ハルヒ「……あたしも」

615: 2009/01/25(日) 05:29:40.72
キョン「ん? 雨、止んでるな」
ハルヒ「帰る?」
キョン「んー……ハルヒが帰してくれるなら」

ハルヒ「いいわよ。もう大丈夫」
キョン「そうか、なら帰ろうかな」
ハルヒ「あ……ま、待ちなさいよ」
キョン「?」
ハルヒ「おかえし」
キョン「なんのだよ」
ハルヒ「安心させてくれた、お返しよ。もっかい顔近づけて」
キョン「ほら」
ハルヒ「んっ」

キョン「…」
ハルヒ「……今日はもう、大人しくしておくわね」
キョン「お、おう」
ハルヒ「明日……明日も、できるだけ頑張ってみる」
キョン「…」
ハルヒ「鶴屋さん、許してくれるかな?」
キョン「怒ってなんかいないさ。誰も……うん」
ハルヒ「……バイバイ」フリフリ
キョン「あぁ、おやすみ」

ガチャン
キョン「……はぁ……こんなときでも可愛いのな……ハルヒ」

616: 2009/01/25(日) 05:32:19.65
キョン妹「あー、キョン君帰ってきたー!」
キョン「ただいま」

キョン妹「? どーしたの? なんか疲れてるねー」
キョン「疲れてないよ。どきどきしてるだけだ」
キョン妹「どきどき? びっくりした!」
キョン「そうだな。びっくりもしたけど……なんだろう、よくわからん」
キョン妹「?」
キョン「腹減ったよ、晩御飯は?」
キョン妹「ハンバーグ! キョン君のはおっきいやつだよー!」
キョン「そりゃよかった」

617: 2009/01/25(日) 05:36:37.02
古泉「なるほど」
キョン「……一応、病院行ったほうがいいんだよな」
古泉「そうですね。目には見えないけど、重病かもしれません」
キョン「…」

古泉「ただ……これもはっきりとはしてないんですが」
キョン「?」
古泉「あなたと彼女が接触してると思われる時間が、一番平穏な世界を作っているんです」
キョン「……それは」
古泉「ですから、病院に通ったりするよりは」
キョン「俺と一緒で、尚且つあいつの心を元通りに」
古泉「難しいですよね」
キョン「……あいつは、事あるごとに自分を消してしまいたいと思ってる」
古泉「…」
キョン「もしかすると、閉鎖空間の時のように……」
古泉「最後の鍵は、あなたということに。なら、あの時と同じことでもすれば?」
キョン「いや、それは……あー……違ったみたいだ」
古泉「?」

619: 2009/01/25(日) 05:42:39.31
鶴屋「キョン君ー、あ。いた」
キョン「?」
鶴屋「ちょっといいかな?」
キョン「あ、はい」

鶴屋「ハルにゃんは?」
キョン「トイレ行ってると思いますけど」
鶴屋「あの……このあいだはごめんっさ」
キョン「この間? ……あぁ」
鶴屋「みくるから聞いたよ。ハルにゃん、大変なんだってね?」
キョン「まあ、そうですね。でも大丈夫ですよ」
鶴屋「こればっかりは、私が近づいていくわけにもいけなさそうだし……」
キョン「あいつから話しかけれるようになるまでは、すいませんけど」
鶴屋「うん。わかったよ! ほらほら、ハルにゃん帰ってくるっさ!」
キョン「っと」
鶴屋「ハルにゃんは私達の大切な友達なんだよ……お願いしかできないけど、よろしくお願いしまっす」
キョン「……はい」

ハルヒ「あ、キョン」
キョン「段々晴れてきたな。もう来週には……日本晴れになるかも」
ハルヒ「?」

624: 2009/01/25(日) 05:47:39.31
キョン「よし、今週も終わり。帰るかハルヒ」
ハルヒ「そうね。帰りましょ」

キョン「もう少し待ってから帰るか……」
ハルヒ「ううん」
キョン「え?」
ハルヒ「なんか……大丈夫かも」
キョン「そ、そうなのか?」
ハルヒ「あのね、なんかね……あんまり気にならなくなってきた」
キョン「ハルヒ……」
ハルヒ「話しかけられるのは、まだ嫌だけど……怖くはないの」
キョン「…」
ハルヒ「キョンに迷惑掛けてると思ったら、このぐらいどうにかしないとって」
キョン「別に、迷惑なんて」
ハルヒ「天気がいいとこをキョンと二人で歩くには……あたしも元気にならないとね?」
キョン「……よし、わかった。じゃあ帰ろう」

625: 2009/01/25(日) 05:52:30.91
キョン「靴紐……あぁもう」
ハルヒ「かた結びみたいになってるじゃない。貸してみなさいよ」
キョン「っと、悪い」
キョン「…」
ハルヒ「ほら、できたわよ……あっ」
キョン「ありが……ん?」

鶴屋「!」
キョン「あ……」
鶴屋「は……ははっ、ばいばいっさ!」
ハルヒ「…」
キョン「ほら、行くぞハルヒ」
ハルヒ「待って」
キョン「えっ?」

ハルヒ「あの、鶴屋さん」
鶴屋「! は、ハルにゃん?」
ハルヒ「……ごめんね、この間は」
鶴屋「いや、あの……ううん! ははっ、なんのことかわっかんないっさ!」
ハルヒ「あたし……あの……」
鶴屋「……ハルにゃんは偉い子だよ。いつもいつも元気で可愛い女の子」
ハルヒ「?」
鶴屋「不安になったりするのも、そんないつもがあるからなのさ。だから……大丈夫」
ハルヒ「…」
鶴屋「キョン君が待ってるよ? ほら、行った行った!」
ハルヒ「うん……ありがとう」

629: 2009/01/25(日) 05:55:42.18
キョン「ハルヒ、お前」
ハルヒ「……はぁ」
キョン「だ、大丈夫か?」
ハルヒ「うん。全然平気よ」

ハルヒ「あたしが行動しないと……なんの解決にもならないでしょ?」
ハルヒ「だから、い、いつも通りよ! いつも通り話しかけただけ!」
キョン「ハルヒ……」(震えてる……)
ハルヒ「ははっ、はぁ……うん。大丈夫、大丈夫だから」
キョン「頑張ったな、偉いぞ」ナデナデ
ハルヒ「……キョンのおかげ」
キョン「いいや、ハルヒの力だ」
ハルヒ「…」
キョン「来週は、SOS団も再開させような。ほら行こう」

637: 2009/01/25(日) 06:02:59.46
キョン「今日は、普通に帰っても大丈夫か?」
ハルヒ「うん……でも、明日は」
キョン「? あぁ、わかってる。朝早くに来るよ」
ハルヒ「……一日中一緒に居るんだからね?」

キョン「それじゃ、また明日」
ハルヒ「まっ、待ってよ」
キョン「なんだよ」
ハルヒ「……えっと……その」
キョン「?」
ハルヒ「……ううん。なんでもない」
キョン「手だけ繋ごう。今日はそこまで」
ハルヒ「…」
キョン「徐々にでいいから、依存しないように……だけど忘れないように、俺の温度を覚えてるといい」
ハルヒ「……うん」キュッ

640: 2009/01/25(日) 06:05:52.89
キョン「電車?」
ハルヒ「えぇ、電車。最近乗ってなかったから」

キョン「いいけど……混んでると思うぞ」
ハルヒ「だからよ。混んでるから、大丈夫かどうかがわかるの」
キョン「…」
ハルヒ「それに、時間はたっぷりあるもの。少し遠くまで……行ってみたい」
キョン「わかった、そうしよう。辛くなったら言うんだぞ?」

ガタンゴトン
キョン「……大丈夫か?」
ハルヒ「うん……なんとか」
キョン「気持ち悪くなったら、外見てればいい。すこしはまぎれるだろ」
ハルヒ「……手、放さないでね」
キョン「もちろんだ」

643: 2009/01/25(日) 06:12:14.31
キョン「空は曇ってるけど、景色はいいなぁ」
ハルヒ「あっちなに? 海?」
キョン「海だろうよ。池じゃないはずだ」

ハルヒ「でっかいわね……」
キョン「これを渡っていくと、色んな国があるわけだ」
ハルヒ「…」
キョン「色んな人が居て、色んな文化があって……日本なんて小さい国だって思えちまう」
ハルヒ「それなのに、あたしは一人でなにを抱えてたのかしら」
キョン「…」
ハルヒ「他のことなんて、どうでもいいぐらいに悩んでたけど……他から見れば、こんなに小さいのね」
キョン「……どうだろうな」
ハルヒ「ねぇ、キョン? あっち行きたい」
キョン「よし、行ってみよう」
ハルヒ「腕組んで歩きましょうよ」
キョン「えぇ?」
ハルヒ「いいじゃない。じゃないと泣くわよ?」
キョン「……まったく、ほらよ」

645: 2009/01/25(日) 06:18:54.39
キョン「なんか動物がいる……なんだあれ!?」
ハルヒ「ひつじ? でもなんか、首が長いわね」

キョン「アルカパ……だってさ」
ハルヒ「へぇ、キモイわね。でも可愛い」
キョン「キモ可愛いってのか」
ハルヒ「撫でても平気?」
キョン「いいんじゃないか?」
ハルヒ「……ゴワゴワ」
キョン「へぇ」

ハルヒ「なんか、普通にデートね」
キョン「そう……かもな」
ハルヒ「……毎日こうだといいのにな」
キョン「学生であるかぎり、仕方ないさ」
ハルヒ「大人になれば、こうなる?」
キョン「まあ……たまには。でも、辛い事も沢山あると思うぞ」
ハルヒ「……皆、いろんなことに悩んで大人になってるのかな」
キョン「…」

652: 2009/01/25(日) 06:28:22.27
ハルヒ「ねぇキョン? あたし……来週から、ちゃんと部活行ってみる」
キョン「……そうか、うん」
ハルヒ「皆にごめんって謝って……そしたら、許してくれるかな?」
キョン「許すもなにも、誰も怒ってないよ。皆、ハルヒを待ってるから」

ハルヒ「……キョン……ありがとう」
キョン「…」
ハルヒ「あたし、消えてしまいたい、皆の記憶から忘れられたいって思ったけど」
ハルヒ「キョンが支えて、励ましてくれたから……それが間違いだってことに気がついた」
ハルヒ「あたしが必要だって思ってる人は……あたしのことを必要と思ってくれる」
キョン「ハルヒが大切な人は、ハルヒを大切だと思ってる」
ハルヒ「……イライラしたって、無駄なだけ。理由も根拠も……なんにもなかったのね」
キョン「最初から言ってただろ? ハルヒは、笑ってる顔が一番可愛いんだ」
ハルヒ「……ありがと。ふふっ、真顔で変なこと言わないでよねっ」

656: 2009/01/25(日) 06:37:21.96
キョン「それじゃ、もう明日は……」
ハルヒ「うん……一人で学校行く。もうなんにも怖くないわ」

キョン「治ったのかな」
ハルヒ「わからないけど……気分はいいわね」
キョン「…」
ハルヒ「心配?」
キョン「心配だよ。ダメなら、すぐに言えよ?」
ハルヒ「……キョンが心配してくれるから……大丈夫」
キョン「?」
ハルヒ「笑いかけると、笑い返してくれる人。そういうのって、大切なのね」
キョン「……かもな」
ハルヒ「それに気がつけたから、あたしは……悩んで、正解だったのかも」
キョン「俺も、その……ハルヒと大分近づけたから」
ハルヒ「好きだって言ってくれるのが、キョンでよかった」
キョン「……うん、そうだな」

658: 2009/01/25(日) 06:40:17.61
キョン「…」
キョン「まだ少しだけ、雲が残ってるな」

キョン「完全な青空ってのは、ありえないと思うんだ」
キョン「どこまでいったって、雲はなくなることはない」
キョン「だけど……見えてる範囲だけでも、青空になってるなら」
キョン「それはとても幸せなことじゃないかと、俺は思うんだよ」
古泉「独り言ですか?」
キョン「さぁ、どうだろうな。とりあえず明日だ。明日……」

キョン「俺は、ハルヒを信じてみる」
キョン「あいつはもう、一人だって思わないと、信じてみるよ」

661: 2009/01/25(日) 06:42:47.63
キョン妹「キョンくーん! あっさだよー!」
キョン「む……」
キョン妹「起きろ起きろー!」ドスドスッ

キョン「ぬ、ぬう……あと五分」
キョン妹「むー、ハルにゃん待ってるよ?」
キョン「ハルにゃ……ハルヒ?」
キョン妹「うん、外に居るって!」
キョン「! 外……そうだ、空は!?」
キョン妹「?」

ガラッ
キョン「あ……あぁ」
キョン妹「天気いいねー。お日様すっごい元気!」
キョン「……そうだな……久しぶりに、とてもいい天気だ」
ハルヒ「こらキョン! 早く降りてきなさいよっ!」
キョン「あ、ハルヒ。……おはよう」

662: 2009/01/25(日) 06:45:15.79
ガチャ
キョン「……大丈夫か?」
ハルヒ「どういうふうに、見える?」
キョン「…」

キョン「もうちょっと近づかないと、わからないな」
ハルヒ「ならここまで来てよ。うんと近づいていいわよ」

キョン「…」
ハルヒ「おはよう、キョン」
キョン「……やっぱり、言ったとおりだ」
ハルヒ「?」
キョン「朝からハルヒのこの顔を見るのが……一番の幸せ。この笑顔だよ、俺が見たかったのは」
ハルヒ「……もぅ、バカキョン! ほら、行くわよ!」
キョン「っと! 腕を引っ張るな!」

664: 2009/01/25(日) 06:47:40.75
ハルヒ「授業が終わったら、すぐに部活よ?」
キョン「あぁ、わかってるよ」
ハルヒ「しばらく休んでたから、したいこと沢山あるんだからっ」

キョン「……お手柔らかに、頼めると嬉しいな」
ハルヒ「ふふっ、どーしよっかな?」
キョン「あとハルヒ、あの……腕」
ハルヒ「?」
キョン「朝っぱらから腕組んで歩くのは、どうなんだ?」
ハルヒ「いいじゃん。もう、他人の目も気にならないし……」
キョン「いやあの、俺がだな」

666: 2009/01/25(日) 06:53:51.61
みくる「じゃあ、もう大丈夫なんですね」
キョン「はい、もうなんていうか……前よりうるさいです」
長門「昼休みに見かけた。あなたと、お弁当を食べて」
キョン「よし、そこまでだ。それ以上言うな」
みくる「ふぇ? なになに、なんですかぁ~?」

古泉「校内でなんだかいかにもってカップルがいると聞きましたが」
キョン「……なんだよ。俺はある意味被害者だぞ?」
古泉「前の涼宮さんと、少しだけ違うみたいですね。あなたに対する態度が、明らかに」
キョン「まあ……いい迷惑だよ。ほんとうに」
長門「まんざらでも、ない」
キョン「なっ!?」

ガチャ
ハルヒ「やっほー! みんな集まってるわね!」
みくる「あっ……涼宮さん」
古泉「お久しぶりです」
長門「…」コク

669: 2009/01/25(日) 06:57:00.58
ハルヒ「ほらほら! あたしはキョンの隣ーっ!」グィグィ
キョン「……狭い」
みくる「あらあら……ふふっ」

ハルヒ「……ごめんね皆。なんか、久しぶりね」
古泉「そうですね」
長門「…」
みくる「涼宮さんが居ないから、お茶を淹れたのも久しぶりですよ」
ハルヒ「ふふっ、もう大丈夫! もう……ね? キョン!」
キョン「はいよ。そうだなハルヒ」


670: 2009/01/25(日) 07:00:59.33
ハルヒ「休んでるうちに気がついたのは……SOS団は、あたしにとって大切な集まりってこと」
みくる「…」
ハルヒ「だから、これからも迷惑掛けるかもしれないけど……皆、よろしくね?」
キョン「そうだな。俺は腹くくったぞ?」
長門「……ユニーク」
みくる「あの……へ、変なこと以外でしたら」
古泉「僕も、異論ありません」

ハルヒ「じゃあそういうことで! ほら、キョン行くわよ!」
キョン「は? ど、どこにだよ?」
ハルヒ「だからデートよ! まだちょっと遊び足りないから、今度は皆で!」
キョン「……それはデートって言わないんじゃ……まあ、いいかどうでも」
ハルヒ「それじゃ、出発!」ギューッ
キョン「痛い痛い! 抱きついてくるなバカッ!」


                                    終。

671: 2009/01/25(日) 07:01:58.02
お疲れ。

引用元: キョン「……今日も雨か」