436: 2014/08/26(火) 22:43:06.63

由比ヶ浜「キス……しても、いい?」八幡「なっ!?」
の続編となります

没ネタ・小ネタ・最後にエピローグという構成になっております

んじゃ、はじめまーす。


437: 2014/08/26(火) 22:44:29.02

※時系列的には、⑦梅雨(>>54)より後、⑧歌うのって楽しいよね!(>>69)より前くらいの話のつもりです。


   【没ネタ①:アプリ】


   ピコピコ
結衣「~~~♪」

八幡「高校の時からしょっちゅうケータイ弄ってたけど、よく飽きないな」

結衣「んー? ヒッキーが構ってくれるならすぐやめるよ?」

八幡「いや、止めろってわけじゃないんだけどさ、ただ何してんのか少し気になっただけだ」

結衣「高2の時と今とじゃ、やってること結構違うかな。ほら、去年あたりスマフォに変えたし」

八幡「スマフォもガラケーも変わんないだろ。あんなん俺にとっちゃ、ただの暇つぶし機能付きの目覚ましだ」

結衣「そうかなぁ? なんだかんだ言ってヒッキーも、あたしや小町ちゃんと結構メールしてるよね」

八幡「……じゃあ、暇つぶし機能&メール機能付きの目覚ましだ。これでいいか?」

結衣「あはは。それもう普通のケータイじゃん」

八幡「ぐぬぬ……」



434: 2014/08/26(火) 00:24:20.87
やっはろー!

乙レス、ありがとうございます!!


日曜のバイト中店長に、「月曜・火曜・水曜研修に行ってきて」
って急に言われちゃったので最近少し忙しいんだけど、ちょっとだけ書き貯めできました。
(没ネタは頭の中にあっただけであり、既に書いたものを没にしたわけではない)


多分明日あたり更新するんで、その時はまたよろしくお願い致します。

438: 2014/08/26(火) 22:45:39.37


結衣「ってか、その暇つぶし機能が大事なんじゃないの?」

八幡「ま、たしかにそうだな」

結衣「ヒッキーはアプリとか何いれてる?」

八幡「ん、ほれ」

結衣「相変わらず、よく人にケータイ渡せるなぁ……」

八幡「見られて困るものなんて何も入ってな……あっ、やっぱ返せ」

結衣「えっ! なんかマズイもんあんの!?」


八幡(修学旅行の時のツーショットとか、ディスティニーでの写真とかバッチリ保存してあるんだって)
八幡(なんかバレたら恥ずかしいじゃん……)


八幡「あぁ~、やっぱり見られて嫌な物がないわけでもなかったが、アプリを確認するくらいなら別にいいか」

結衣「なんか気になる言い方だな~。まぁいいや」

439: 2014/08/26(火) 22:46:59.82
結衣「えぇと、どれどれー……うわっ、アイコンの数すくな!」

八幡「余計なデータはほぼ全て消したからな。メールとネットとアラームと、あとはモバマスとスクフェスができれば十分だ」

結衣「モバマス? スクミズ?」

八幡「スクフェスだスクフェス! なんつー聞き間違えしてやがるんだよ、まったく……」

結衣「たははー……」

八幡「スクフェスは音ゲーだ。歌に合わせてタイミングよくボタン押してくゲームくらい、何かしらやったことあるだろ?」

結衣「うん。太鼓の達人とか得意だよ!」

八幡「ゲーセンで例えるなら、どっちかっつーとポップンやユビートの方が近い気がしないでもないけど、大体そんな感じの認識であってる」
八幡「そんでもってモバマスってのは、アイドルマスターシンデレラガールズの略でアイドル育成ゲームだ」

結衣「あ、それはCMで見た事あるかも」

八幡「だろうな。んで、由比ヶ浜はどんなのやってんの?」


440: 2014/08/26(火) 22:50:23.62

結衣「えっとねー、よくやってるのはLINEとかパズドラとかモンストかな?」

八幡「ケッ、いかにもミーハーって感じだな」

結衣「別にいいでしょ! 楽しいんだから!!」

八幡「LINEなんて個人情報流出ツール使って一体何の意味があんだよ。メールで十分だろ」

結衣「そんなことないってば! グループ作れば数人でチャットみたいなことができるんだよ?」
結衣「それにLINEでゲームも色々できるし」

八幡「ゲームねぇ」

結衣「うん。最近はツムツムってのにハマっててー、ほら、こんな感じ」ピコーン

八幡「……え、なにこれ。パズドラのパクリ?」

結衣「ハァ!? 全然違うし! パズドラはカカカカカって感じで、ツムツムはピピピピピって感じだからぁ!!」

八幡「まったくもって意味が分からん……」

結衣「えぇ~、ヒッキーもLINEやろうよ! 楽しいよ!!」

八幡「お前の今のプレゼンを聞いて、やってみたい思える要素が1つもなかったんだが……」

結衣「もう! さっきから文句ばっかり! ヒッキーのバカっ!!」


441: 2014/08/26(火) 22:52:48.30


八幡「……悪かったよ。LINEはともかくパズドラくらい始めてやるから、機嫌直せって」

結衣「ほんと?」

八幡「おう。今度一緒に対戦しような」

結衣「うんっ!」



結衣「……って、パズドラで対戦とかできないからぁ! 絶対知ってて言ってるでしょ!?」

八幡「バレたか」チッ…





   ◆没にした理由

ハハ、クオリティー低wwwww
この話を思いついたは良かったけど、普通に面白くないなーと思ったのでボツ!
LINEでグループでも作れば、ゆきのんや小町も含めて色々な掛け合いができそうだけど、俺ガイルLINEスレは他にありますしね。
それに、そういったアプリをやらない人には通じなさそうな話題だからボツ!!



442: 2014/08/26(火) 22:57:33.43


※時系列的には、⑬八月八日(>>110)の数日前くらいの話のつもりです。



【没ネタ②:発見っ!?】



   ~in八幡部屋~

結衣「…………」ゴロゴロ

結衣「…………」ペラッ ペラッ

結衣「ヒッキー、漫画読み終わっちゃったー」


八幡「ん、次の巻ならそこの本棚にあるから勝手に取っていいぞ」

結衣「はーい」



444: 2014/08/26(火) 22:59:07.46


   ガサゴソ ガサゴソ

結衣(あれー? 見つかんないなー)

   ガサゴソ ガサゴソ

結衣(う~ん、どこだろ……あっ)ビクッ!

結衣(…………ヤッバー。エOチな本発見しちゃった……)

結衣(……ヒッキーが普段どんなの見てるのか気になっちゃうし、少しくらいなら見てもいい……よね?)


結衣「…………」ゴクリ…

結衣「………………」ペラッ…ペラッ…


結衣(うわぁ~~~、なんか凄く艶めかしいんだけど……)/////

結衣(ヒッキーこういうの好きなんだ、どうしようどうしよう)


445: 2014/08/26(火) 23:01:04.32


八幡「いつまで漫画探してんだ? 前にも言ったけど変なとこ漁るなよ」

結衣「わっ!? な、なんも変なとこ漁ったりとか変な物見つけたりとかしてないし!」
結衣「ほんとそんなこと全然ないからぁ!!」ブンブン!

八幡「…………」ジィー…

結衣「うっ……」タジタジ

八幡「おい、今明らかに嘘ついただろ」

結衣「さー、なんのことやら(棒」

八幡「じゃあ後ろに隠してる物見せてみろ」

結衣「…………うん」つ[工口本]


八幡(うわぁ~マジかー。バレないように隠しておいたはずなのに、なんで見つけちゃうんだよ……)
八幡(ってか漫画とは全然違う場所に隠しといたのに、どうしてこうなったorz)



446: 2014/08/26(火) 23:02:16.66


八幡「おい! 今すぐ忘れろ! 見なかったことにしろ!」

結衣「そんなの無理だし! ってか見つけたくって見つけたわけじゃないんだし仕方なくない?」
結衣「それに色々と思うところはあるけど、何一つ文句言ってないじゃん! ちゃんと我慢してるじゃん!!」

八幡「我慢してるのかよ……」

結衣「うん。特に黒髪ロング美女ってあたりが許せない」

八幡「……由比ヶ浜が発見してしまったのが、偶然そういうのだっただけだ」

結衣「やっぱり他にも色々と持ってるんだ……」

八幡「そこはほら、詮索しちゃ駄目だろ」

結衣「わかった。じゃあそこはスルーしてあげるけど、1つだけ聞きたいことがあります」

八幡「……なんでせうか」



結衣「この女の人、少しゆきのんに似てるように見えるのはあたしの気のせい?」



八幡「………………気のせいじゃないか?」






447: 2014/08/26(火) 23:03:25.06


結衣「今超目ぇ逸らした! 絶対嘘だ!! あたしに嘘吐いたりしないでよね!!!」

八幡「あぁもう分かった認めるよ!」
八幡「どことなく雪ノ下に似てるなーと思ってました! そんなこと考えながら興奮してました! 悪いかコンチクショー!!」

結衣「物凄い問題発言しながら開き直ったっ!?」

八幡「ってかマジで雪ノ下には絶対言うなよ。頼むから」

結衣「心配するとこそこなんだ……」

八幡「だって前にイメチェンするかしないかみたいな話しをした時、見た目だけなら雪ノ下系統がタイプだって正直に言っちゃったことが既にあるし……」

結衣「たしかにそうだけどさ……、そこはもうちょっと優しい嘘吐こうよ……」ショボン…

八幡「嘘吐くなって言ったり嘘吐けって言ったりどっちなんだよ」

結衣「なんていうか……、ヒッキーに空気読めとか言うだけ無駄だろうしもういいや……」シュン…


448: 2014/08/26(火) 23:04:26.45


八幡(あ、あれ?)
八幡(なんかガハマさん本気でしょんぼりしていらっしゃらない?)

八幡(こいつに嫌われるのはマジでまずい。冗談抜きで命を絶ちくなっちゃうまである)
八幡(うぅむ、どうするべきか。空気を読んだ発言……、空気を読んだ発言……)


八幡「…………由比ヶ浜、愛してるぞ」
結衣「っ!???」


結衣「なんのみゃくらくもなくそんなこと言われたってちっとも嬉しくないっていうか、いややっぱ嬉しいんだけど、でもでも、えぇっと、うぅぅぅぅぅ~~~~~」//////


八幡(こいつチョロいわぁ~。詐欺に遭わないか心配になっちゃうレベル)


八幡「……ま、本音ないんだけどな」ボソッ…





   ◆没にした理由

なんかほら、こういう話は……ね?ww
だからボツ!!


449: 2014/08/26(火) 23:06:13.11

とりまここまで。

あと2つくらい没ネタあるけど書き貯めてないから、それはまた後日~。

458: 2014/08/29(金) 23:42:14.50


※時系列的には、⑯大☆乱☆闘(>>164)の後、⑰視線(>>196)の前くらいの話のつもりです。



   【没ネタ③:観賞会】


結衣「どっか遊びに行こうよー」

八幡「暑いから嫌だ」

結衣「むぅ~。じゃあ室内でできるなんか良い遊び考えて」

八幡「うーん、ゲーム対決はこの前やったしなぁ。じゃあ互いに好きな映像持ち寄って、DVD観賞会なんてどうだ?」

結衣「それいいね! ヒッキーの案にしては普通に面白そう」

八幡「失礼な……。あ、それと、恋愛脳丸出しのくだらねぇドラマとか持ってこられても困るからアニメ限定な」

結衣「それDVD観賞会じゃなくてアニメ観賞会じゃん!!」



459: 2014/08/29(金) 23:46:22.41



   ~数日後~


結衣「やっはろー!」

八幡「おう」

小町「結衣さんいらっしゃ~い!」


結衣「ちゃんとツタヤでDVD借りてきたよ!!」

八幡「んじゃ、さっそく観るか。由比ヶ浜のが先でいいぞ」

結衣「ん~、こういう時一番最初ってなんか嫌なんだよね」

八幡「俺は自分が選んだ作品的に締めが良いんだけど」


小町「そういうことなら小町におっまかせ~☆ まずは小町のターンってことで!!」

八幡「ん? 小町もなんか観たいのあるのか?」

小町「うん。最近2期がはじまった作品なんだけど、1期を見返したくなったんだよね」

八幡「ほう」


460: 2014/08/29(金) 23:53:29.63


小町「よーし、再生っ!」ピッ!


 (☝ ՞ਊ ՞)☝ウェェェェェェェェェェェェェイ! on 眩しい光 鋭く 目を背ける 一瞬へ~♪


八幡「お、Freeか」

小町「うん。とりあえず1話だけ見ようかなって」

結衣「これ水泳アニメ?」

小町「そうですね」

結衣「へぇ~、こういうの好きだったんだ。なんか意外」

八幡「映像も凄く綺麗だし、ストーリー自体は普通に面白いぞ。……まぁ色々とアレな作品だが」

結衣「どゆこと?」

八幡「観てりゃその内分かる」


461: 2014/08/29(金) 23:54:27.99


   ~Free!視聴後~


結衣「あぁ~、ヒッキーの言ってた意味ちょっと分かったかも……」

八幡「だろ?」

結衣「なんか姫菜が好きそうな感じだね」

小町「えぇー。最高じゃないですかー」

八幡「小町が腐ってしまわないかお兄ちゃん心配だよ……」



結衣「え、えっと、次はあたしの番だね!」

小町「結衣さんは何持って来たんですか?」

結衣「これっ!」つ『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』

八幡「なるほどな……、これか……」

結衣「ハガレン嫌いなの?」

八幡「いや、ハガレンは好きだぞ。それにこういう時、それ1本で終わる映画をチョイスするセンスも良いと思う」

結衣「でもなんか不満そう」

八幡「まぁ、感想は観終わってからってことで」



462: 2014/08/29(金) 23:55:53.71


   ~シャンバラを征く者視聴後~


八幡「小町はどうだった?」

小町「結衣さんには悪いんですけど、そもそものストーリーがよく分かんなかったです」
小町「これって1期の続編映画ですよね?」
小町「ハガレンの1期やってた頃って、小町はまだ小さかったのであんまり話を覚えてないっていうか……」

結衣「あ、そっか! ごめん!!」

小町「いえいえ、結衣さんが気にすることじゃないですよ。バトルシーンなんかはかっこよかったですし!」

八幡「俺もアニメ1期の内容そのものに物申したい」

結衣「ものもうすって……」

八幡「前半は良かったけど、後半のアニメオリジナルストーリーは一体なんなんだよ。あんなん完全に黒歴史だろ」

八幡「これはどのアニメにおいても言えることだが、尺の都合で原作をカットするならまだ分かる。しかし話自体を変える必要はどこにもない」
八幡「そういった改変が改悪になることはあっても、改良になることなんてまずないからな」

八幡「アニメのハガレンは、FULLMETAL ALCHEMISTと1期のOP・EDさえ覚えておけばそれで良い」

結衣「ふんっ! 原作厨乙」

八幡「なっ!?」

小町「珍しくバッサリだ~」



463: 2014/08/29(金) 23:57:53.47


八幡「……気を取り直して、最後は俺のターンだな」

結衣「散々ケチつけたんだから、ちゃんと面白いやつ見せてよね」

八幡「任せとけ。俺が今日観てもらいたいのは、CLANNADの1話~9話だ」

結衣「長っ!!」

八幡「仕方ないだろ。9話が区切り良いんだから」

小町「クラナドって原作ギャルゲでしょ? そんなの妹と彼女に見せるとか、ものすごーくポイント低いんだけど」

結衣「ギャルゲを9話も見せるつもりなんだ……」

八幡「おいおまえら引くな。CLANNADマジで良い話だから!」

小町「無難にゴシックとかいぬぼくにしとけばいいのに」

八幡「アイマスとかラブライブを選ばなかったあたり、ちゃんと配慮してんだろうが」
八幡「あとワタヌキッチンのことは忘れてさしあげろ……」


八幡「それに丁度昼時だし、昼飯でも食いながらノンビリ視聴してれば9話なんてあっという間だろ?」
八幡「1話あたり24分、それが9話分で、えっと……」

結衣「24×9=216分っ!」

小町「てことは約3時間半ですね」

八幡「くっ……。計算は由比ヶ浜に勝てないのが酷く屈辱的だ……」

結衣「なんか失礼なこと言われたっ!?」

八幡「俺はテキトーに飯の準備してくるから、お前等真剣に観てろよ。前半はあんま面白くないからって寝るなよ!」

結衣「面白くないんだ……」



464: 2014/08/30(土) 00:01:29.67


   ~CLANNAD視聴後~


小町「イイハナシダナー……」ウルウル…

結衣「うぅ……風子ちゃん…………」ボロボロ

八幡「おい由比ヶ浜、感受性が豊かなのは良いことだが号泣しすぎだから」つハンカチ

結衣「ありがと……。ってかなにこれ、全然涙止まんないんだけど……」

八幡「な、良い話だったろ?」

結衣「うん……。途中風子ちゃんが可哀想すぎて……、でも最後には…………」ウワーン!

小町「お兄ちゃんがこういう話を好きだったことに小町はビックリだよ」

結衣「あ、たしかに……。普段のヒッキーだったら、学園青春ラブコメとかハートフルストーリー?とかすごいバカにしそうなのに……」グスン…

八幡「ばっか。そんなこと気にしてたらラノベなんて何も読めないだろ」
八幡「そもそも2次元と3次元は全くもって違う。同一に考える方が余程まちがっている」

小町「うんまぁたしかに」

八幡「だからCLANNADは、あくまで架空の物語として大好きなんだよ。これが現実だったら馬鹿にするだろうけどな」

結衣「えぇ~。もし現実でこんなことが起きたら、あたしなら絶対一緒になって頑張っちゃうなー」


465: 2014/08/30(土) 00:03:21.37

八幡「うわ、マジかよ。冷静に考えてみるとあいつら、ゴミにしかならない木材を怪奇現象と共に配り歩くキチガイ集団だぞ?」
八幡「そんなのと一緒に頑張るとかないわー。由比ヶ浜さんマジひくわー」


小町「うわぁ……。せっかくの余韻が台無しすぎる……」

結衣「…………ヒッキー本気で気持ち悪い」

八幡「っ!? お前等CLANNADに感情移入しすぎだからぁ!!」

小町「あ、なんか今の言い方結衣さんっぽい」

八幡「えっ、俺がこいつに影響受けてるってのか? おいおい小町、それはいくならんでも俺に失礼だろ」

結衣「そっちの方が失礼すぎだからぁ!!」




   ◆没にした理由

あおちゃんがFree!大好きなのは有名だけど、東山奈央さんがハガレンやCLANNAD好きなことは知らない人が多いのではないかと思ったので。
多くの方に通じなさそうな中の人ネタはボツ!
あと最後の方、CLANNAD知らない人は何言ってんだか分からないと思ったのでボツ!!
それとあおちゃんFree2期出演おめでとうございます。



467: 2014/08/30(土) 01:41:47.19


※時系列的には、【⑳飲食店】(>>265)のすぐ後の話のつもりです。



【没ネタ④:服屋さん】


結衣「ゆきのんゆきのん、次はこのお店入ろーよ!」

雪乃「洋服店ね、構わないわよ」

結衣「わーい!」

八幡「んじゃ、俺はどっかで待ってるわ」

結衣「なんで? ヒッキーも一緒に行こうよ」

八幡「なんでって、明らかに女性向けの店だしそりゃあ入りにくいだろ」

結衣「えぇ~、ヒッキーにも一緒に選んでほしかったのに」

八幡「どうして雪ノ下の目の前でお前の服を選ばにゃならんのだ……」


468: 2014/08/30(土) 01:42:35.13

結衣「あ、そっか。なんか恥ずかしいもんね」

八幡「……ん、そだな」

雪乃「あら。まるで私の前でなければ、由比ヶ浜さんの服を選んであげるかのような言い方ね」

八幡「う、うっせ。いちいち上げ足取るんじゃねぇよ」
八幡「まぁとにかく、俺はその辺でテキトーに時間つぶしてるから」

結衣「どっか行っちゃうの?」

八幡「その辺の本屋でもぶらぶらしてるだけだから気にすんな。それにお前の買い物は無駄に長いしなぁ」

雪乃「そうね、では由比ヶ浜さんの気が済み次第連絡するわ」

八幡「おう、頼む」

結衣「むぅ・・・…」



469: 2014/08/30(土) 01:45:00.75


   ~in服屋~


雪乃「それで、どんな服が気になっているの?」

結衣「んーとね、色々かな~」ルンルン♪

雪乃「……比企谷くんの言う通り、長い買い物になりそうね」

結衣「色々見て回るのが楽しいんじゃん! ゆきのんは何か欲しい服とかないの?」

雪乃「特にこういうのが欲しいということはないのだけれど、せっかく立ち寄ったのだし一着くらい買っていこうかしら」
雪乃「そもそもそこまで多く普段着を持っていないから、大学へ何を着ていくか困る事が多いのよ」

結衣「ドレスとかああいうのを持ってる方が凄いと思うけど……」

雪乃「そうかしら?」
雪乃「とにかく私は普段着のバリエーションに乏しいものだから、制服が指定されていた中学・高校時代がいかに楽だったか、最近になって痛感しているわ」

結衣「んじゃあ今日とかすっごく暑いし、いかにも夏服!って感じなの選んでみよっか」

雪乃「夏休み明けの大学生活を想定するのなら、徐々に涼しくなってくるわけだし秋服を選ぶ方が良いのではないかしら?」
雪乃「それに由比ヶ浜さんのセンスで派手なものを選ばれてしまっても、正直困るのだけれど」

結衣「そんなことしないから! ちゃんとゆきのんに似合いそうなの探すし任せて任せてっ!!」グッ!


雪乃(本当に大丈夫かしら……)


470: 2014/08/30(土) 01:46:59.47


結衣「あっ、これなんてどう? ハデすぎないし地味すぎないし、フツーにお洒落な感じじゃない?」

雪乃「そうね……。系統としては申し分ないのだけれど、少々首回りが緩くないかしら?」

結衣「そう? 鎖骨がギリギリ見えるか見えないかくらいな感じだし、こんくらいならちっとも際どくないと思うけど」

雪乃「…………あなたが着た場合はそうでしょうね」

結衣「ほぇ?」

雪乃「……だから、私がそういった服を着た状態でしゃがんだりすると、その……、なんというか……、胸元に隙間が…………」

結衣「あっ……、ゴメン……」

雪乃「くっ……」シュン…


471: 2014/08/30(土) 01:50:21.63

結衣「え、えっと、ゆきのん超可愛いしメチャクチャ綺麗だし、そのくらい全然気にする必要ないと思うっていうか」アセアセ


雪乃「コホン……、変な気を遣わせてしまってごめんなさい」
雪乃「服を真剣に選んでくれているのは伝わってきているし、とても嬉しいから大丈夫よ」
雪乃「えぇ、本当に大丈夫よ。これくらいのことなんともないわ。いちいち気にするのも馬鹿らしいくらいね」
雪乃「何の役にも立たない脂肪の有無なんてこれっぽっちも気にしてなんかいないから」


結衣「うんうん。ほんと役に立つことなんて何もないから」

雪乃「…………それは嫌味のつもりかしら」チッ…


結衣「えぇ~……。なんかゆきのんがヒッキー並みに面倒だ……」

雪乃「し、仕方がないじゃない! 高校の頃からほとんど成長していないのよ? 実は常にとてつもなく気にしているに決まって───」

結衣「あたしだって高校の頃とサイズ変わってないからぁ!」

雪乃「由比ヶ浜さんはもうその大きさで十分でしょう?」

結衣「うん。ってかマジで良いことなんてないからね?」


472: 2014/08/30(土) 01:53:59.30

雪乃「……例えば?」

結衣「肩凝りやすいし、走ったりうつ伏せになったりする時邪魔だし、歳とると垂れるってよく聞くし……」
結衣「あと一番嫌なのは、しょっちゅう男の人にチラチラ見られることかな」
結衣「まぁ仕方のないことなんだろうし怒ったりはしないけど、不快なものはやっぱり不快っていうか」

雪乃「フッ。私の場合どの道男性の視線を集めてしまうから、その点については胸の有無なんて関係ないわね」ドヤァ!


結衣「…………」

雪乃「…………」

結衣「…………」


雪乃「……なんか悲しくなってきたわ」グスン…

結衣「あ、あははー……」





   ◆没にした理由

やめたげてよぉ!
最初は「貧乳を気にしてるゆきのん可愛い!」って感じの話を書いてみたかったんだけど、
話の構成を考えてみたところ「ゆきのんカワイソス(;ω;)」って内容になっちゃったからボツ!!

カップリング的にはブッチギリで八結推しなんだけど、
キャラとしては普通に雪乃も好きだからこういうのは無しの方向で……。

473: 2014/08/30(土) 02:03:25.59

さて、これにてネタは全て尽きた。


あ、エピローグ後の話(キスしたは良いけどお互い意識しまくっちゃってどうのこうの~みたいなやつ)も、書けないことはない気がする。

でもエピローグ>>270より後に話を付け足すのは蛇足になっちゃうかな?

まぁ没ネタの時点でもう十分蛇足な気がしないではないけど、時系列的には全てエピローグより前の話だからセーフという言い訳。


どうしませうか。



506: 2014/09/19(金) 00:01:11.62


   【小ネタ①:手】


八幡「…………」ペラッ ペラッ


結衣(あ、ヒッキー片手で本読んでる)


結衣「よく片手で読めるね」

八幡「んー、普段はこんなことあんましないけどな。読みにくくなるだけだし」
八幡「たまになんとなく、気分でこうしたくなるだけだ」

結衣「そうなんだ。でもあたし大きいモノ片手で持ったりできないから羨ましいな~」
結衣「ってかヒッキーの手大きくない?」

八幡「そうか? かなり普通サイズだと思うんだけど」

結衣「そっかなー?」

八幡「お前の手が小さすぎるだけなんじゃね?」

結衣「むぅ……、なんかムカツク……」


507: 2014/09/19(金) 00:02:05.58

結衣「でもそれ他の人にも言われたことあるかも」

八幡「ほらな。やっぱり由比ヶ浜の手が他の人の手より小さいだけだろ」

結衣「そんなに小さいのかなぁ……」


結衣「……はいっ!」つ

八幡「……ん? なにそれ、御手? 犬の真似?」

結衣「オテじゃないしッッッ!!!」
結衣「手の大きさ比べしようってこと! ふつーに考えてそんくらい分かるでしょ?」

八幡「悪かったな。あいにく俺は普通じゃないもんでしてね」

結衣「まったくもう……」


八幡「わーったよ。大きさ比べすればいいんだろ? ほれ」ピトッ

結衣「ほんとに結構大きさ違うね~」


508: 2014/09/19(金) 00:04:20.87


八幡(由比ヶ浜の手、ほんとちっせーな)
八幡(ってか何これ、超スベスベなんだけど。ちっちゃかわいい……)サワサワ


結衣「わっ!?」

八幡「っ!! わ、悪い。その、なんというか、つい…………」

結衣「あ、ええと、急にだったから驚いただけで嫌なわけじゃないっていうか、ヒッキーにだったら手くらいいつ触られても構わないっていうか……」

八幡「そ、そうか……」///


八幡(わーーー、やっちまったやっちまった! メチャクチャ恥かしいんですけど!!)


結衣「えいっ!」ギュッ!

八幡「えぇと、なんでしょうか……?」

結衣「ヒッキーの方から手ぇニギニギしてきたんだから、恋人繋ぎくらいしてみたって文句はないでしょ?」

八幡「たしかに文句は言えないけど……」

結衣「ふふっ、ならいーじゃん!」ニヘラー


八幡(……ま、かなり得した気分だし別にいいか)



509: 2014/09/19(金) 00:06:57.42

※過去篇其ノ一:本日はお日柄もよく、つまるところ練習日和である(>>13)の、数日後の話です。



   【過去篇1.1話:つつがなく、入学式は取り行われる。】


小町「お兄ちゃ~ん! 小町の晴れ着姿はどう?」

八幡「ただの制服だろ。ってかこの前も見た」

小町「何そのつまんない反応! 小町的にポイント低いよ」

八幡「もうおまえも高校生なんだから、その変な口癖止めろよ」


八幡(たまに俺までその口癖に感染しちまうじゃねぇか)
八幡(まぁ、好きな相手のことは自然と真似たくなるっていうしな。あ、今の八幡的にポイント高い)


510: 2014/09/19(金) 00:08:24.57

小町「むぅ~……。そだ、そういえばさ」

八幡「ん、どうした?」

小町「もしかしてお兄ちゃん、高校の入学式体験するのって今回が初めて?」


八幡(俺は事故のせいで、自分の入学式に参加できていないのであった)
八幡(そうか、あの始まりの事故から、今日で2年も経つのか……。なんだか感慨深いな)


八幡「あぁ、そういえばそうだな。言われるまで全然考えてもみなかった」

小町「よしっ、じゃあ気合いれて行かなきゃね! はりきってレッツゴー!!」ビシッ!

八幡「え……もしかしてこれから毎日、おまえを自転車に乗せてかなきゃいけないの?」

小町「え? そんなの当たり前じゃん」ウェヒヒヒ

八幡「当たり前なのかよ、はぁ……」



511: 2014/09/19(金) 00:09:52.00


   ~入学式~

一色「えー、新入生の皆さん、御入学おめでとうございます」
一色「長い冬も過ぎ去り、暖かな春の日差しが心地よく感じられる季節となりました。まるで皆様の入学を待ちわびていたかのように、校庭の花々も綺麗に咲いています」
一色「これから、皆様の新たな───」ペラペラ


八幡(不安だった生徒会長の挨拶も、とりあえず何とかなったみたいだ。その後も特に問題は起こらず、入学式は至って普通に終了した)ホッ…


小町「あっ、おにーちゃーん! お~い!!」ブンブン

八幡「ったく、あんまり大声出すなよ。初日から変な目で見られても知らないぞ」

大志「お兄さん、お久しぶりっす!」

八幡「げっ、おまえもうちに入学したのかよ。お兄さんって呼ぶなと何度言ったら分かるんだ。……あとおまえ誰?」

大志「大志っす! 川崎大志っす!! 絶対分かってて聞いてますよね!?」

八幡「んだようっせぇな……」



512: 2014/09/19(金) 00:11:37.55



沙希「おい」

八幡「あん?」
八幡(なんだ、川なんとかさんも来てたのか)

沙希「あんまうちの弟いじめるんじゃないよ」キッ!

八幡「別にいじめてねぇよ。妹に付く悪い虫を追っ払ってるだけだ」


沙希「このシスコン」

八幡「黙れブラコン」



小町(この二人、兄弟愛強いところとか、目付き悪いところとか、普段一人で居るところとか、どことなく似てるな~……)
小町(ハッ! まさか、思っていた以上に有力なお姉さん候補っ!?)


小町「これはこれは、楽しい高校生活になりそうですなぁ」ニヤニヤ


八幡(小町のこの笑顔を見ていると、嫌な予感しかしない……)



517: 2014/09/22(月) 00:00:24.05


※過去篇其ノ二:いつの間にやら、部員は増えている(>>27)の、数日後の話です。



   【過去篇2.1話:喧嘩するほど仲が良い……もとい、ただの犬猿の仲である。】


八幡(とある放課後のことだ)
八幡(小町用のティーカップを買いに行くのに付き合わされた後、小町と由比ヶ浜に無理矢理連行される形で、俺と雪ノ下はボウリング場へ連れて来られていた)

八幡(それはまだいい。いいのだが……)



戸部「っべー! 隼人くんまたスペアとかほんとぱないわー」

葉山「いやいや、ボウリングは俺より優美子の方がよっぽど上手いよ。さっきからストライク出しまくりだし」

戸部「いやぁ~。なんつーか、アレじゃね? 向こうのレーンはレベルが違いすぎっつーか……」



518: 2014/09/22(月) 00:05:31.67



   ~向こうのレーン~


雪乃「ふふ……、これで私の勝ちね……」ハァ…ハァ…

三浦「あ? 一回くらいただのマグレっしょ? 3ゲーム制にすれば絶対あーしが勝つし」イラッ

雪乃「望むところよ……。何度やったって結果は同じ……格の違いを見せてあげるわ……」ハァ…ハァ…


八幡(……どうしてこうなった)


八幡「おい雪ノ下、止めとけって。長期戦になったらおまえに勝ち目ないだろ」

雪乃「部外者は口を挟まないでっ」キッ

三浦「ヒキオは引っ込んでろ!!」ギロリ

   バチバチバチバチ



八幡(こえぇ~、こいつら超こえぇ~……)



519: 2014/09/22(月) 00:11:31.32


結衣「ヒッキーごめんね?」
結衣「今日サッカー部が休みなこと知らなくって、まさか優美子達が居ると思ってなかったから」アハハ…

八幡「別に、おまえが謝ることじゃないだろ」

結衣「うん……」ショボン…

八幡「……変に空気読んで縮こまってなんかいないで、おまえもとっととボール取ってこいよ」
八幡「この際向こうはもう放っといて、こっちはこっちで普通に楽しもうぜ」

結衣「えっ/// う、うん! それじゃあこっちは仲良く勝負しようね!」

八幡「いや……、勝負はしなくても……」

結衣「負けった方が勝った方にアイス奢ることっ! んじゃ、すぐボール取ってくるから!!」トテテ


520: 2014/09/22(月) 00:12:13.18


八幡「はぁ……」


小町「むふふ~。今の態度は小町的にも結衣さん的にもポイント高いよ!」ニヤニヤ

八幡「うっせ!」




521: 2014/09/22(月) 00:21:25.45


   【小ネタ②:膝枕】



八幡「すー……すー……」zzz

結衣「…………」ナデナデ


結衣(寝てると腐った眼も隠れて普通にイケメンだなー。ってかヒッキーの寝息可愛い……)



522: 2014/09/22(月) 00:27:22.41


八幡「…………」zzz
八幡「……んぅ」パチクリ


八幡(あれ……?)


八幡「…………」

結衣「あ、ヒッキー起きた? おはよー」


八幡(あ…ありのまま今起こったことを話すぜ! 目が覚めたら、そこは由比ヶ浜の膝の上だった……)
八幡(何を言っているのかも何が起こっているのかも俺が一番わけ分かんないんですけどっ!? え、マジでなにこれ)



523: 2014/09/22(月) 00:34:21.72


八幡「由比ヶ浜さん? この状況を説明してもらえると助かるんだが」

結衣「ほら、お昼ご飯食べた後ヒッキー寝ちゃってたから」

八幡「それは覚えてる。俺が聞いてるのはそういうことじゃなくてだな、えぇと……」モゾモゾ

結衣「わっ!? ちょっと急に動ないでよ!!」

八幡「わ、わるい」アセアセ
八幡「……って、俺何も悪くなくね?」


八幡(このままだと太腿のスベスベ柔らかな感触に屈してしまいそうで色々とまずい)
八幡(しかも由比ヶ浜の顔を見ようと上を向くと、大きな二つの膨らみがどうやっても視界にばっちり映ってしまい俺の理性がヤバイ)



524: 2014/09/22(月) 00:45:40.18


八幡「……とりあえず起きていいか?」

結衣「えぇ~。せっかくだしもう少しこうしてようよー」

八幡「駄目だ」

結衣「なんで?」

八幡「駄目なもんは駄目だ!」

結衣「あ、もしかしてヒッキー照れてる?」

八幡「……かなり」


八幡(照れてるとかそんなもんじゃ済まなくなりそうで困るから早く逃げさせてくださいお願いしますいやもうほんとマジで!!)



525: 2014/09/22(月) 00:53:38.04


結衣「まったくもー、しょうがないなぁ」

八幡「ふぅ……、助かった……」

結衣「んで、よく眠れた?」

八幡「よく眠れたかどうか忘れるくらい、精神的に一気に疲れた」

結衣「なにそれっ。人がせっかく膝枕してあげたのに意味わかんない!」

八幡「してくれなんて誰も頼んでねぇよ!」

結衣「むぅ~~~、ヒッキーのばかぁ」


八幡「あー、その、なんだ……。不快だったとかそういうわけじゃなくて、むしろなんというか……」
八幡「あぁもう! スゲー幸せだったけど妙な気分になりそうだったから嫌だったんだよ!!」///

結衣「ふ~ん、そっかそっか」
結衣「ふふ、許したげる」エヘヘー


八幡(あぁ……、最近恥ずかしい思いをさせられてばかりな気がする……)



531: 2014/09/26(金) 23:29:38.23

※過去篇其ノ三:由比ヶ浜結衣は皆に愛されている(>>48)の、数日前くらいの話です。



   【過去篇2.5話:どこからどう見ても、デート以外の何事でもない件について。】


八幡「小町! 今年も遂にこの日がやってきたぞ! いざ出撃だ!!」

小町「おぉー!!」


八幡(最寄りのバス停からバスで15分、『東京わんにゃんショー』の会場である幕張メッセに到着だ)

八幡(東京わんにゃんショーが行われるのも、東京ディスティニーランドがあるのも千葉であることから分かるように、『千葉≒東京』という計算式が出来上がる)
八幡(……つまり、真の首都はもはや千葉であるといえる。やはり千葉最高)



532: 2014/09/26(金) 23:31:05.94




・・

・・・

・・・・

・・・・・



八幡「なん…だと!?」


八幡(幕張メッセに辿り着くと、そこにはなんと懐かしのツインテゆきのんが待ち構えていた)


八幡「え……、なんでおまえが居んの?」

雪乃「いつにも増して腐った目と、そのぬぼーっとした顔でこちらを見るのを止めてもらえないかしら」

八幡「いや、だからなんでおまえ居んの……」

雪乃「私は小町さんに呼ばれたから来ただけなのだけれど、どうやら小町さんは居ないようね」
雪乃「妹をダシに使って私を呼び出すなんて、随分と卑怯で下卑たやり方ね、下衆谷君」

八幡「ちょっとまて小町ならすぐ横に……って、あれ?」


八幡(あ、あんにゃろー……、謀ったなぁぁぁああああ!!!)




533: 2014/09/26(金) 23:33:08.51


八幡「んで、どうして俺の後に付いてくんだよ。小町が消えたんだから、一緒に見て回る必要はないだろ」

雪乃「さっきまで小町さんは居たのでしょう?」
雪乃「なら、こうして色々見て回っていればどこかで遭遇できるかもしれないし、私の様な美少女と共に行動出来るのだからあなた側に不利益はないはずよ」
雪乃「文句を言われる筋合いはないわ」

八幡「自分で美少女とか言っちゃうなよ……」
八幡「いや別に文句があるわけじゃないが、俺も雪ノ下も自分のペースで見て回りたい派だろ?」


八幡(あと、なんか女子と二人でお出かけとか恥ずかしいし。ただし小町相手の場合は除く)
八幡(あ、やっぱり文句あったわ。久々の小町とのデートを邪魔してんじゃねぇよ)ギリリ…


雪乃「それはそうなのだけれど、その……、私は犬が苦手というわけではないにしろ得意ではないのだし、たとえ比企谷くんのような人であれ、居ないよりは居てくれた方がまだマシというか……」
雪乃「それと、先程とても不愉快な視線を感じたのだけれど」

八幡「き、気のせいだろ……」

534: 2014/09/26(金) 23:35:51.71


八幡(そういえばこいつは犬が超苦手なうえに、滅茶苦茶方向音痴だったな)


八幡「でも良いのか? 俺なんかと二人きりで行動することになって」

雪乃「初めてのことというわけでもないのに、何を今更……」
雪乃「男女が二人で行動したからといって、必ずしもデートというわけではないでしょう?」

八幡「まぁ、それはそうだが」


八幡(そうだ。これは断じてデートなどではない。方向音痴で犬が駄目なやつの面倒を見てあげる、ただそれだけのことだ。他意は何もない)



雪乃「それに、あなたと二人きりというのも、その……、嫌いではないわ」



八幡「そ、そうか……」
八幡「んじゃ、一緒に色々見て回るか。……猫を重点的に」

雪乃「そうね、そうしましょう。比企谷君にしては珍しくとても賢明且つ聡明な判断だと思うわ」ウキウキ

八幡「おまえどんだけ猫好きなんだよ……。楽しみにしすぎだろ……」



535: 2014/09/26(金) 23:37:16.42


   ~鳥ゾーン~


八幡「おぉ~! やっぱ鷲や鷹はかっこいいなー!!」

雪乃「昨年もそうだったけれど、普段はまるでゾンビの様なのに動物を見ている時は妙に元気ね」

八幡「仕方ないだろ。こういうのは見てるだけでテンション上がってくる!」

雪乃「ふふ、分からなくもないわ」

八幡「だろ?」

雪乃「でも私は勇壮で美しい鳥だけではなく、ペンギンの様な可愛らしいものも好きよ」

八幡「あいつら可愛いか? ペンギンの語源って──」

雪乃「ラテン語で肥満の意だと言いたいのでしょう? それくらい知っているわ」

八幡「ぐぬぬ……、流石ユキペディアさん……」

雪乃「残念だったわね、あなたのその矮小な自尊心を満たすことができなくて」クスクス

八幡「……そこまで言う必要なくね?」



536: 2014/09/26(金) 23:38:59.09


   ~犬ゾーン~


  ワンワン!  キャンキャン!  クーン  ワンワン!


雪乃「うぅ…………」ガクブル

八幡「おい、あんま背中に引っ付くな」

雪乃「別に引っ付いてなどいないわ。私はただ自分の安全を確保するために当然の行動を取っているだけであって……」

八幡「小型犬相手にビビる行為のどこが当然なんだよ」

雪乃「比企谷くんの癖に生意気よっ」


八幡(ほんとあんまりくっつかないで下さい鬱陶しい暑苦しい恥ずかしい良い匂い……)



537: 2014/09/26(金) 23:42:33.64


   ~猫ゾーン~


雪乃「ようやくたどり着いたわね」
雪乃「まったく、犬ゾーンを通過しなければ猫ゾーンへ来られないなんて、とても不親切な配置だと思うのだけれど」

八幡「いや、人気動物である猫や犬を中央付近に持ってくるのは普通だと思うぞ?」

雪乃「そんなことはどうでもいいわ。早く猫と触れ合いましょう」

八幡「自分で文句言っといてどうでもいいのかよ……」


八幡(そう言うと雪ノ下は早速猫と戯れ始めた)
八幡(最初はどうなることかと思ったが、こんな無邪気な笑顔の雪ノ下を眺めているのも、まぁ───)


   ───悪くはない。そんな気がした。




538: 2014/09/27(土) 00:00:48.77


※過去篇其ノ三:由比ヶ浜結衣は皆に愛されている(>>48)の、数日後の話です。



   【過去篇3.1話:果たして、結婚とは如何様なものか。】


平塚「はぁぁぁ~~~……、結婚したい…………」グスン

八幡「なんか、今回はいつにも増して深刻そうですね」

平塚「あぁ。今まで私が結婚したいと言ってきたのは、ほら、親戚の目や親の小言が要因だろ?」

八幡「はぁ、そうみたいっすね」

平塚「けどな、この前友人の結婚式に呼ばれて……」

八幡「ジューンブライドってやつですか?」

平塚「そうだな。それを見ていたら結婚そのものに憧れというか……、ああいう幸せな花嫁に私も早くなりたいと、深く思ってしまったのだよ……」


539: 2014/09/27(土) 00:03:06.09

八幡「幸せな花嫁ですか。幸せそうに見えるだけで、本当に幸せかどうかなんて傍から見ても分からないでしょ」

平塚「幸せな花嫁ではなく、幸せそうな花嫁か。たしかにそうかもしれんな。しかし最初はそれでも良いんじゃないか?」

八幡「?」

平塚「真の幸せとは、夫の有無に関わらず、己の力で掴み取るべきものさ」ドヤァ!


八幡(うわぁ~この人今自分でかっこいいこと言った気になってるよ……。まぁ実際かっこいいけど)


平塚「比企谷はそういうのに興味はないのかね?」

八幡「あぁ、俺も相互助力関係としての結婚には興味ありますよ。なんてったって専業主夫目指してますし」

平塚「まずは恋愛をしなければ何も始まらんだろうに……」ヤレヤレ

八幡「んなこと先生にだけは言われたくな───」

平塚「何か言ったかね?」ギロリ

八幡「ひぃぃぃいいい!? いえ何でもございませんっ!」

平塚「なら良い」


540: 2014/09/27(土) 00:08:00.07

八幡「ぐっ……。んで、なんでしたっけ? 恋愛っすか?」
八幡「俺はこう見えて、中学時代は恋愛経験豊富でしたよ。……全部片想いのまま終わりましたけど」

平塚「そ、そうか」
平塚「だがまぁ焦ることはないさ。今の君の周りには魅力的な女性が沢山居ることだしな」

八幡「俺の周りに魅力的な女性? 何ですかそれ、もしかして自分のこと言ってます?」

平塚「ッ!? ひ、比企谷には私が魅力的な女性に見えるのかね!??」


八幡(え……、冗談で言っただけなのに何この食いつき様……)


八幡「えぇっと……、平塚先生は物凄く生徒想いな人ですし、惚れ惚れする程かっこいいですし、魅力的な人間だと思いますよ?」

八幡(まるでダンディなおっさん的なかっこよさだが、女性云々は置いといて魅力的な人であることは事実だし嘘は一切言っていない……はずだ)
八幡(もうちょい普段から女性的なところを見せれば、この人絶対モテモテなのにな)


541: 2014/09/27(土) 00:09:07.65


平塚「そ、そうか! 比企谷は私のことをそう思っていたのか! 御世辞だとしても嬉しいぞ!」///

八幡「いやあの別に御世辞のつもりはないというか……」

平塚「ハハハ! 今日の君は随分と口が上手いな! そうだ、ジュースでも奢ってあげよう! 遠慮せずに欲しい物を言いたまえ」

八幡「あ、はい。じゃあMAXコーヒーで……」


八幡(今日の平塚先生、普段以上にチョロすぎる!)
八幡(もうほんと誰か早く貰ってあげて!!)




542: 2014/09/27(土) 00:44:18.59


   【小ネタ③:ヤキモチ】



小町「お兄ちゃんさー」

八幡「んー?」

小町「結衣さんとデートとかちゃんとしてるのは小町的にもポイント高いんだけど、えぇと……」

八幡「……なんだ?」

小町「あ、いや、やっぱなんでもない」

八幡「おい。そんな気になるような言い方しておいて、なんでもないってことはないだろ」


543: 2014/09/27(土) 00:46:41.43

小町「なんでもないったらなんでもないの! ほんと気にしなくていいから!!」

八幡「…………なに、もしかしてお前、最近構ってもらえなくて寂しいの?」

小町「うっ」ギクッ!
小町「別に寂しいってわけじゃないんだけどさ、なんていうか、まぁ……、当たらずとも遠からずというか……」モジモジ

八幡「うわなにこのカワイイ生き物今すぐ抱きしめたい!」


小町「……割と本気で気持ち悪いんでこれ以上近づかないで下さい」

八幡「え、あ、すいません」


544: 2014/09/27(土) 00:48:03.79


小町「はぁ……。お兄ちゃん普段は凄く鈍感なのに、なんで変なとこで鋭いかなー?」

八幡「何言ってんだ。俺はいつでも過敏で敏感で過剰で、これっぽっちも鈍感の要素なんてないだろ」

小町「いやいやそっちこそなに言ってんの」
小町「女子の気持ちとか分かってない時ばっかだし超鈍感じゃん! 現に結衣さんもお兄ちゃんの鈍感っぷりのせいで散々苦労してたじゃん!!」

八幡「はぁ? 由比ヶ浜の気持ちくらい高校の時から大体気づいてたから。気づかない振りしてただけだから」

小町「うわぁ~……、ほんと最低だー……」

八幡「我ながらかなり酷いことしてたとは思うが仕方ないだろ。俺にも色々とあったんだよ」
八幡「それになんだかんだで上手くいったんだから、別に問題ないたろ?」

小町「うん? そう……なのかな? いやでもやっぱりごみいちゃんがクズだという事実に変わりはないっていう……」


545: 2014/09/27(土) 00:51:09.88

八幡「おいやめろって。あんまり俺を傷つけるなよナイーブなんだから」


小町(なんか今日のお兄ちゃんいつにも増してキモいなぁ……)


八幡「まっ、今でも由比ヶ浜の気持ちが分からないこととかまだまだ多々あるが、小町が何考えてるかならなんとなく分かるんだよ」

小町「ふ~ん」

八幡「当たり前だろ? 何年も一緒に暮らしてきた小町と出会って数年の由比ヶ浜となら、小町のことのほうが断然よく分かる」

小町「そっかそっか……」

八幡「だから俺が最近由比ヶ浜と遊んでることが多いからって、お前が遠慮する必要はないさ」

小町「んー、じゃあ今度お出かけに付き合ってくれると嬉しいな~」

八幡「おう。そんくらい全然構わないぞ」


546: 2014/09/27(土) 00:52:30.07

小町「ヤッター! じゃあ週末までにちゃんとお出かけの準備しといてね!」
小町「食べたいスイーツとか欲しい新作のお洋服とか色々あるから!!」

八幡「えっ、小町さん? 準備って金用意しとけって意味なの?」
八幡「俺お財布代わりなの???」

小町「ふふっ、彼女が出来ても妹に優しいお兄ちゃんは、小町的にもきっと世間的にもポイント高いよ!」

八幡「お、おう……」


八幡(財布の中身大丈夫かなぁ……?)
八幡(まぁ小町の笑顔のためなら、そんくらい安いもんか)



547: 2014/09/27(土) 00:59:51.68

おしまーい。


八結スレとはいえここんとこ八結の話ばっかりだったから、今日の更新分は違う要素を詰め込んだ感じの内容にしてみました。

たまにはこういうのもアリかなーと思うのですが、いかがでしたでしょうか?



あと、パソコン壊れた期間に始めたスクフェスに普通にハマって、アニメの方も1期2期共に一気見してしまいました。
ハマったっつっても課金とかは一切するつもりないし、まだランク60だけど。
シャンシャンするの楽しい!!

561: 2014/10/18(土) 23:52:19.67

※過去篇其ノ四:想いは雨の様に降り注ぎ、鳴りやまない(>>57)の、数日後くらいの話です。



   【過去篇4.1話:比企谷八幡の夏休みは、始まる前から既に詰んでいる。】


結衣「あーもー疲れたぁ~……」グダー

雪乃「あなた、受験に向けて頑張るのではなかったの?」

結衣「そうだけどさー、最近毎日毎日勉強じゃん?」

八幡「そりゃ受験生だしな。いつまでも、のんびり読書したりケータイいじってるわけにはいかないだろ」

結衣「ぶぅ~」

雪乃「けれど、たしかに最近頑張っていたものね。今日はもう終わりにしましょうか」

結衣「ワーイ! 勉強終わりー!」

八幡「あのな由比ヶ浜、勉強ってのはやめることはあっても終わることはないんだぞ。人生一生勉強だ」

結衣「なんか同じようなこと前にも聞いたし……」


562: 2014/10/18(土) 23:54:02.89

八幡「以前言ったのは、『仕事ってのはやめることはあっても終わることはねぇんだよ』だ」

小町「嫌なこと言うの好きだねぇ」

八幡「だが、最近よくよく考えてみるとそうでもないような気がしてきた」

小町「?」

八幡「ほら、うちの親父とか定年した後絶対何もしねぇぞ」
八幡「その頃には小町も大人になって働いてるだろうし、かーちゃんの方は定年後も家事とか色々仕事がありそうだけどな」

雪乃「そう考えると、主婦の方だけ一生仕事なのかもしれないわね」

八幡「だろ? 人生不公平だよな」

小町「でもさ、お兄ちゃん専業主夫志望でしょ?」

八幡「おう。だから自ら茨の道を突き進む俺は、まさに人間の鏡といえる」

雪乃「そうね。あなたを鏡にして己を省みれば、さぞかし立派な人間ができるのではないかしら」

八幡「あ? なにそれ? 俺のこと反面教師って言ってるようにしか聞こえないんだけど」

雪乃「あら、自覚があったの?」

八幡「ぐぬぬ……」


小町(仲良いなぁ~)ニヤニヤ


563: 2014/10/18(土) 23:55:25.98


結衣「でもさー、こう毎日毎日部室で勉強ばっかしてたら、小町ちゃん退屈しちゃわない?」

小町「ん~、そうですねー……。そういえば結衣さん、なんで急に勉強頑張りだしたんですか?」

結衣「えっ? えぇと~、それは……」

雪乃「あなた、たしか志望校のレベルを上げると言っていたわよね」

小町「はっ!! もしやこの前、小町にお兄ちゃんの志望校を聞いてきたのと何か関係がっ!?」

結衣「わぁぁぁあああっ!!! ダメだよ小町ちゃん! しぃ~っ!」アタフタ

小町「むふふ。そういうことなら部室でじゃんじゃん勉強しちゃって下さい!」
小町「小町は適当に宿題とか読書とかしてるんで御心配なさらずにっ☆」

結衣「やめてよもぉ~///」


八幡(お、俺は何も聞いてない何も聞こえてない!)
八幡(この前意味深なこと言われて以降、今まで以上に由比ヶ浜のこと意識しちゃったりとかそんなこと全然ないんだからねっ!)



564: 2014/10/18(土) 23:56:56.02

雪乃「由比ヶ浜さん、そろそろ夏休みだけれど何か予定はあるの?」

結衣「ん? えーっと、たしか今年は家族旅行の予定ないし~……」
結衣「優美子や姫菜とは遊び行くかもだけど。うん、多分基本的に暇だよ! 何して遊ぶ?」

雪乃「そうね……、毎日というわけにはいかないでしょうけど、2・3日に一度くらいの頻度で私の部屋に来られないかしら?」

結衣「えっ!? そんな頻繁に行って良いの?」

雪乃「ええ、もちろん」

結衣「何しよっかなぁ~。ゲームにー、お菓子パーティーにー、あとお泊まり会もしたいし~、あとは───」ルンルン♪

雪乃「それもいいけれど、勉強道具を絶対に忘れないようにね」ニッコリ

結衣「っ!?」ガクゼン…

565: 2014/10/18(土) 23:57:56.87


雪乃「……比企谷君、あなたは聞くまでもなくいつでも暇よね?」

八幡「えっ」

雪乃「流石に私一人で受験範囲を教え尽くすのは骨が折れるから、あなたも必ず来ること。いい? これは確認ではなく確定事項よ」

八幡「いやちょっと待て!」
八幡「俺にも夏季講習とかゲームとか宿題とか昼寝とか夏季講習とか読書とかアニメ鑑賞とか……、あとほら夏季講習とか色々あるから無理だって!」

雪乃「はぁ……。実質、夏季講習しか予定ないじゃない。小町さん、比企谷君の夏季講習の日程は分かるかしら」

小町「はいはい! 小町におっまかせ~♪ 家に帰って確認したら、速攻でメール送りますねっ!」

雪乃「助かるわ。それに合わせて予定を組んだら由比ヶ浜さんにも連絡を入れるから、三浦さん達と遊ぶのは極力、勉強会以外の日にしてほしいのだけれど」

結衣「うぅ……。高校生活最後の夏休みなのに、予定が勉強で埋め尽くされていく……」ガックシ



八幡(俺の優雅な休日ライフが……、早くもオワタorz)



566: 2014/10/18(土) 23:59:26.01

   【過去篇4.2話:モノクロの世界から、輝いたこの世界。】



八幡(夏休み開始から2週間程が過ぎ、雪ノ下が住むマンションで勉強会をするのがもはや日課となってきてしまった……)

八幡(しかし、今日はいつもと違うことが2つある)

八幡(まず1つ目に、普段はリビングで勉強をしているのに、現在俺達が居るのはどういうわけか雪ノ下の寝室だ)
八幡(机は3人で使うにはなんとも狭いものしかないし、部屋中から良い匂いがするため勉強に全然集中できなくて困る)

八幡(そして2つ目。普段は昼過ぎから集まっているのに、今日は午前中から来るようにとの部長命令をなぜか厳守させられていた)



567: 2014/10/19(日) 00:00:05.80

雪乃「さて、そろそろ昼食にしましょうか」

八幡「そういや、どうして今日は朝から呼んだんだ?」

雪乃「……察しくらいはついているものだと思っていたのだけれど、本当に何も分かっていないの?」

八幡「は? 何のことやらさっぱりだ」

雪乃「そう。それならそれで構わないわ。由比ヶ浜さん、行きましょう」

結衣「うんっ!」グッ!

八幡「行くってどこにだよ。ってかおまえ、なんで気合入れてんの?」

結衣「なんでって言われても……、秘密っ!」

八幡「……あっそ」

雪乃「とにかく、比企谷君はここで大人しく勉強を続けていてちょうだい」
雪乃「社会的に殺されたくなければ、私と由比ヶ浜さんの目がないからといって物色の様な真似をしないことね」

八幡「んなことしねぇよ……」

結衣「あ! あと、絶対部屋から出ちゃダメだからね!」ビシッ!

八幡「はいはい」



568: 2014/10/19(日) 00:00:48.19



・・

・・・

・・・・

・・・・・



八幡「あぁ~……。腹減った……」グダー…


八幡(あいつら一体何してんだよ。雪ノ下が「そろそろ昼食にしましょうか」って言ってから、既に1時間以上経ってるぞ。何だかとても嫌な予感がする……)


  ガチャッ!
結衣「ヒッキーお待たせ~! リビングに来ていいよ」

八幡「おう。まさかとは思うが、おまえが料理してたんじゃないだろうな……」

結衣「え、えぇ~と、それは……」アセアセ

八幡「マジでそうなのかよ……。俺、今日無事に帰れるかな……」

結衣「失礼すぎだしっ!」



569: 2014/10/19(日) 00:02:26.92


八幡(リビングに行くと、随分と豪勢な料理が並んでいた。七面鳥とかケーキとかそんなのだ)


八幡「…………」

雪乃「あら、だんまり?」

八幡「あ、いや……。ケーキはともかく、七面鳥ってクリスマスか何かかよ……」

雪乃「けれど、これで何のために朝から呼んだのか分かったのではないかしら?」

八幡「でもそれなら、由比ヶ浜だけ朝から呼んでおいて、俺は普段通り昼過ぎから来れば良かったんじゃないのか?」
八幡「昼飯を食べずに来いって言われりゃそうしたし」

雪乃「仕方なかったのよ。由比ヶ浜さんと一緒に料理を作るとなると、どれだけ時間がかかるか分からないもの」
雪乃「だから料理中にあなたが来てしまわないように、どこかに監禁しておくのが安全だと判断したまでよ」

八幡「さっきまでのあれは監禁だったのかよ……」



結衣「そんなことよりヒッキー、」

雪乃「比企谷君、」




  「「お誕生日おめでとう!」」



570: 2014/10/19(日) 00:03:14.64

八幡(今日が俺の誕生日ということは分かっていたけれど、まさか祝ってもらえるなんて微塵も思っていなかった)
八幡(誕生日って、基本的に嫌な思い出しかなかったからな)

八幡(例えば、俺だけが呼ばれなかった誕生日会、俺のためかと感動してたら俺と同じ日に生まれたクラスメイトのために歌われていたバースデーソング等々……)


八幡(こんなにちゃんと祝ってもらえたのなんて、多分初めてだ……)



雪乃「……何か感想くらい言うのが常識だと思うのだけれど」

八幡「わ、悪い。驚いて言葉が出なかったというか、正直、物凄く感動した……」

結衣「よかった~」フゥ~…

雪乃「味付けは大体私が行ったから、食べられない物はないと思うわ。……多分」チラッ

結衣「こっち見て酷い事言われたっ!?」ガビーン!



571: 2014/10/19(日) 00:04:05.61

八幡(とても嬉しいことに変わりはないのだが、近くで見てみるとこのケーキ、何というか色々と酷い)
八幡(特にクリーム塗るの下手すぎだろ。どっちがやったのか丸分かりだな。だが、まるで悪い気はしない)

八幡(……ごめんやっぱ嘘食べるのちょっと不安かも。いやまぁ絶対食べるけど)


雪乃「このケーキ、見た目は不格好なものの味は保証するわ」
雪乃「スポンジの材料を混ぜたのは由比ヶ浜さんなのだけれど、私が事前に分量を量ったものを用意しておいたし、焼いたのも私だから」

結衣「なんか、ぐちゃぐちゃになっちゃってごめんね?」シュン…

八幡「別に、美味けりゃ問題ないだろ。早速少し食べてみて良いか?」

結衣「ケーキって普通最後に食べるものじゃないの?」

八幡「……早く食べてみたくなったんだよ」

結衣「……そっか。なら、どうぞ。召し上がれ……」


572: 2014/10/19(日) 00:04:52.36

  モグモグ
八幡「…………」

結衣「ど、どうかな……?」モジモジ

八幡「ん、凄く美味いぞ」

結衣「ほんとっ!?」パァァァ!

八幡「あぁ。でも、このちょっとジャリジャリするのは何だ? 隠し味的な不思議調味料でも入れたの?」

結衣「あっ……」

雪乃「あなた……、あれだけ余計なものを入れようとしないように念を押したのに、まさか勝手に何か入れたの?」

結衣「違う違うそうじゃないし!」ブンブン!

雪乃「…………」ジトー…

結衣「えっと、あの、多分それ…卵の殻だと思う。ちゃんと取ったつもりだったんだけどなぁ~、あはは…………。ほんとごめん……」

八幡「そんな落ち込むなよ。ほんの少しジャリっとしただけだし、これくらいなら問題なく食べられる」

結衣「ヒッキー……」ウルウル

八幡「でも、そうか……。由比ヶ浜は卵を割ることすらまともにできないのか……」

結衣「だ、だって! コンコンってやってもヒビ入んなくって、卵って意外と固いんだなぁ~と思ってゴンゴンッ!ってやったら、こう、ブシャーって……」

雪乃「卵は料理の基本でしょうに、呆れたわ……。これからは受験勉強だけでなく、料理も猛特訓する必要がありそうね」

結衣「そんな~! ゆきのーん!」ウワーン!



八幡(何はともあれ、今までの人生の中で、今日は最も輝いた8月8日になったのであった)



573: 2014/10/19(日) 00:06:49.57


   【小ネタ④:身長差】



八幡「…………」ジィー…

結衣「ん? どうかした?」

八幡「いや、なんつーか、もしかしておまえ少し縮んだ?」

結衣「ハァ!? 1ミリたりとも縮んでないしっ!!」プンスカ!

八幡「これくらいのことでマジになって怒んなよ」

結衣「ちっちゃいの気にしてるのにそーゆーこというヒッキーのせいでしょ!」

八幡「手の大きさの件に引き続き、身長も気にしてたのか……。つうか平均より多少低いだけで、そんなチビじゃないだろ」

結衣「ヒッキーが縮んだとか言うのが悪いんじゃん! まったくもう!」



574: 2014/10/19(日) 00:07:38.91


結衣「ってかさ、ヒッキーが背ぇ少し伸びたんじゃない?」

八幡「そうか?」

結衣「うん。多分高校の頃よりほんのちょっとだけ伸びたんだと思うよ? あたしは高2くらいの頃から、身長も体重もほとんど変化ないし……」

八幡「あぁ~。そういえば大学入学直後にやった身体測定の時、少し伸びてたような気がしないでもない」

結衣「うわー曖昧だなぁ」

八幡「小さすぎたりでかすぎたりしたら不便かもしれないけど、そうじゃない限り別に気にするようなことじゃないだろ」

結衣「とか言って、ほんとはもうちょい身長ほしいと思ってるくせにぃ~」

八幡「うっ」ギクッ

結衣「平塚先生よりヒッキーのほうが小さいもんね」

八幡「いやあのそれはあれだから! 向こうが無駄にでかいだけで決して俺が小さいわけじゃないから!」アセアセ



575: 2014/10/19(日) 00:08:25.65


八幡「早寝でも心掛ければ、今からでもどうにかなるだろうか……」

結衣「あはは、やっぱりもっと伸びてほしいんじゃん」

八幡「うっせ」

結衣「でもあんまり大きくなっちゃダメだよ?」

八幡「?」

結衣「カップルの理想の身長差って15cmなんだってさ」

八幡「……へぇ」

結衣「あ、ヒッキー少し照れてる?」

八幡「…………ふん」プイッ!



八幡(ま、今のままでもいいか……)



576: 2014/10/19(日) 00:09:46.20

本日の更新はここまでです!

久々の更新にもかかわらず見て下さった方々、ありがとうございます!!

581: 2014/10/23(木) 23:46:54.65

   Kousin S.T.A.R.T!!

582: 2014/10/23(木) 23:48:25.39

※過去篇其ノ五:人ごみに紛れないように握ってくれた手が、胸の奥までつかんで離さない(>>75)の、1ヶ月後くらいの話です。



   【過去篇5.5:残り少ない高校生活イベントは、次々と過ぎ去っていく。】





一色「それでは、体育祭の終了と、奉仕部の御協力に感謝を祝して……」



一色「かんぱ~い!」

結衣&小町「「かんぱ~い!!」」イエーイ!

八幡「乾杯」

雪乃「……乾杯」



八幡(文化祭やら体育祭やら一色に半強制的に手伝わされた数日後、俺と雪ノ下は打ち上げにまで強制参加させられていた)

八幡(まぁ、小町と……ついでに由比ヶ浜も楽しそうだし別にいいけど)



583: 2014/10/23(木) 23:49:08.59

一色「おっ、良い感じでお肉が焼けてきましたねー」

小町「美味しそうですね!」

結衣「よ~し! おもいっきし食べるぞー!!」

八幡「太っても知らねぇぞ」

結衣「ヒッキーデリケートなさすぎっ! 体育祭で沢山走ったりしたから今日は良いの!!」ムキー!

雪乃「……由比ヶ浜さん、それを言うなら『デリカシーなさすぎ』ではないかしら」

結衣「あっ……」



584: 2014/10/23(木) 23:50:35.76


一色「美味しいですね~」

結衣「肉も野菜もうんまー!」

八幡「この野菜はな、野菜そのものが良いのではなくかかってる塩ダレが美味いんだよ。やっぱタレ最高だな」

小町「概ね同意だけど、わざわざそういうこと口に出しちゃうあたりがポイント低いよ」

結衣「同意しちゃうんだ……」


雪乃「私は焼肉屋に来るのは今回が初めてなのだけれど、どうして箸がこう金属製なのかしら?」

小町「メタリックでかっこ良いですよねっ!」

八幡「だよなっ!」


一色(やっぱりこの兄妹変わってるなぁ……)



585: 2014/10/23(木) 23:51:49.79


結衣「エコとかそういうアレじゃない? 割り箸だといちいち捨てなくちゃならないし」

八幡「マジレスすると毒殺を防ぐために使っていた名残って聞いたことあるぞ?」

結衣「毒殺? どゆこと?」

雪乃「たしかに銀製の箸やスプーンを使用していれば、毒が盛られていた際に変色してくれるものね」

結衣「え、毒でお箸の色変わっちゃうの……?」

雪乃「えぇ。もっとも、そういった理由で銀製の者が使用されていたのは韓国の王宮時代の話だったはずよ」
雪乃「だから日本の焼肉店である以上、そんな昔の名残云々よりも環境面を理由とした方がしっくりくるのだけど。そもそもこの箸はステンレスのようだし」

結衣「じゃあやっぱりエコってことだね!」エッヘン!

八幡「いや、正解がどうかは知らないけど、今のは雪ノ下の勝手な見解に過ぎないからな? こんなことで勝ち誇られても困るんだが……」


586: 2014/10/23(木) 23:52:37.27


八幡「そうだ。なぁ小町」

小町「ん?」

八幡「文化祭や体育祭、一緒に一色達の手伝いしててどうだった?」

小町「普通に楽しかったよ? 中学の頃の生徒会とそこまで大きな違いはなかったし、先生達のポイントも稼げるし」

八幡「理由がせこいな……」

小町「もちろん会長さん達が良い人だから楽しかったんですけどねっ☆」

一色「もぉー照れるなぁ~。小町ちゃんこそ色々手伝ってくれて大助かりだったよ! ほんっと怠け者の兄とは大違い!」

小町「いえいえ、それほどでも~」


八幡(こいつらの会話はどこまで本心でどこから御世辞なのだろうか……)


小町「んで、急にそんなこと聞いてきてどうしたの?」

八幡「いや、楽しかったならそれで良いんだ」

小町「? 変なお兄ちゃん。ま、いっか」



587: 2014/10/23(木) 23:59:34.47


   【過去篇5.6話:雪乃のパーフェクト(?)料理教室。】



        そうだ、パンケーキを作ろう(唐突)


八幡「え、なんで? パンケーキって、ようするにホットケーキのことだよな?」

雪乃「えぇ、日本ではホットケーキという呼び方の方が親しみ深いかもしれないわね。パンケーキというのは主に英語圏での呼び方だそうよ」
雪乃「もっとも、近頃では国内でもパンケーキという呼称を使うケースが増えてきているように思うのだけれど」

八幡「そういうユキペディアさん的な知識を聞いているわけじゃなくてだな、なんで作らなきゃならないんだよ……」

雪乃「この前の焼肉屋、由比ヶ浜さんも一緒に肉を焼いていたにも関わらず、何も悲惨なことが起きなかったでしょう?」

結衣「いきなりバカにされたっ!?」

八幡「まぁ火加減は俺が気にしてたし、あとはただ肉を置いてひっくり返すだけだからな」
八幡「焦げる前に誰かが食べるだろうし、悲惨なことになりようがないだろ」

雪乃「つまり! 焼いてひっくり返すだけの作業であれば、由比ヶ浜さんにもできるということよ!」ドヤァ!

八幡「お、おう……」


588: 2014/10/24(金) 00:01:31.41


八幡「……ん? 一瞬納得しそうになってしまったが、焼肉とホットケーキってまるで違くね?」

雪乃「とにかく、夏休みに受験勉強だけでなく料理も教えると言った以上、やれるだけのことはやるわよ」

結衣「うん! 頑張る!!」エイエイオー!

八幡「はぁ……」




・・

・・・

・・・・

・・・・・



  ~雪ノ下亭~

雪乃「まずは簡単なことから始めるべきでしょうし、今回はホットケーキミックスを使用するわ」

結衣「ホットケーキミックス?」

八幡「ホットケーキを作るなら、本来は小麦粉使わなきゃならないんだよ。ホットケーキミックスってのがあると、そういう手間が省けるわけだ」

結衣「へぇ~」

589: 2014/10/24(金) 00:02:52.75

八幡「つっても、牛乳や卵は混ぜなきゃならないわけだが……。おまえ、たしか卵を割ることすらまともにできなかったよな……」

結衣「そ、それくらいもうできるようになったからっ! ……多分!」

八幡「多分なのかよ」

雪乃「本当なら全て由比ヶ浜さんにやらせた方が良いと思うのだけれど、今日は余分な卵もないことだし仕方ないわね。割るのは私がやるわ」パカッ!

結衣「わっ! ヒッキー今の見た!? 卵片手で割ってたよ!!」

八幡「慣れてるやつなら普通なんじゃね? 小町もそれできるし」


八幡(まぁ俺は無理だけど。しかし両手を使用してなら普通に割ることができるので何の問題もない)


結衣「……あたしもそれやってみたい」ワクワク

八幡「食い物で遊ぶのはやめとけ」

結衣「遊びじゃないしっ!」

雪乃「食べ物を粗末にするのはやめておきなさい」

結衣「うぅ~……。ゆきのんまで酷い」



590: 2014/10/24(金) 00:05:16.16


八幡(さて、ここからがホットケーキ作りの本番である)

八幡(といっても、初級編ということで卵の黄身と白身を分けるような本格的な真似はしない)

八幡(単にホットケーキミックスと卵と牛乳を混ぜ合わせるだけなのだが───)




雪乃「由比ヶ浜さん、周りにぴちゃぴちゃ飛ばすのは止めて頂戴」



雪乃「全然混ざっていないわ。ちゃんとボウルを手で押さえて」



雪乃「……そんなにムキになってかき混ぜる必要はないのよ? こう、手首のスナップを利かせて、軽く素早く動かせばいいの」ハァ…



八幡(───なんでこんなに悪戦苦闘してんだよっ!)

591: 2014/10/24(金) 00:07:06.91

八幡(そんなこんなで雪ノ下のHPをガンガン削りつつも、ようやく焼く段階までたどり着く)

八幡(なんか見てるだけで俺まで疲れてきたんだけど。もう帰っていいかなぁ?)


雪乃「……火はもっと弱く」

結衣「うん。あ、あれ? 火が消えちゃった……えいっ! わわっ!? 今度は強くなりすぎたしっ! あ、また消えちゃった……」

雪乃「なぜカセットコンロで弱火を維持することすらできないのかしら……。眩暈がしてきたわ……」

八幡「ちょっとどいてろ。火加減は俺がやるから」


八幡(こうして四苦八苦の末、どうにかこうにか完成である)



592: 2014/10/24(金) 00:07:38.66

結衣「いっただっきまーす!」

八幡&雪乃「「いただきます」」ハァ…


  モグモグ モグモグ

結衣「んまー!」

八幡「うむ。中々美味いな」

雪乃「そうね。失敗しなくて本当に良かったわ」


結衣「……あ、あれ? 結局、かき混ぜる意外あたし何もやってなくない?」

八幡「…………」

雪乃「…………」

結衣「ゆきのん……、これ、あたしの料理の練習だったんだよね?」

雪乃「え、えぇ、そうね。」

八幡「……気が付かなければ全員幸せのまま終われたのにな」


八幡(やはり由比ヶ浜結衣の料理はまちがっている……)



593: 2014/10/24(金) 00:08:48.07


※時系列的には、没ネタ④:服屋さん(>>467)の数時間後の話です。



   【小ネタ⑤:うつらうつら】


     ~帰りの電車の中~

結衣「いやぁ~、楽しかったねっ!!」

八幡「そうだなー。……あ」


雪乃「………………」コクリ…コクリ…


八幡「雪ノ下さんのせいで寝不足だって言ってたし、寝かしといてやるか」

結衣「うん、そだね」


594: 2014/10/24(金) 00:11:18.42


雪乃「………………」ユラユラ…

雪乃「………………」コテン


結衣「あっ」

雪乃「………………」スー…スー…


結衣(わぁぁぁ、寄りかかってきてるゆきのんマジ可愛いんだけど……)

結衣(まつ毛長っ。肌すべすべだし髪サラサラだし寝顔最高だし、なんか羨ましいなー。美貌ドレインとかできないかな?)

結衣(むぅ~……、ちょっとくらい触っても起きないよね?)


結衣「…………」ツンツン

雪乃「…………んん」


結衣(ほっぺ超プニプニ! なにこれヤバイ癖になりそう!!)


595: 2014/10/24(金) 00:16:31.21

八幡(雪ノ下のやつ、寝てると棘のない分綺麗さと可愛さが普段以上に際立って半端ないな)

八幡(ってか大学生になって、更に美貌度増したんじゃね?……じゃなくって)


八幡「何イタズラしてんだよ」

結衣「まあまあ、少しくらいいいじゃん」

八幡「寝かしといてやれって」

結衣「うぅ~~~、こんなチャンス滅多にないのに」
結衣「ゆきのんのこんな寝顔なんて、次いつ見れるか分かんないんだよ?」


八幡(フッ、この理性の鬼である俺が、そんな安い誘惑に負けるわけ……)


雪乃「すぅ……すぅ……」zzz

結衣「せっかくなんだしもっと堪能しとかなきゃ!

八幡「うぐっ……」

結衣「ヒッキーはもったいないと思わないの?」


八幡「……たしかに」

結衣「でしょ?」



596: 2014/10/24(金) 00:18:50.83


八幡(彼女の目の前でこんなことを考えてしまうのもどうかと思うが、あの毒舌や凍てつく視線が無い分寝顔の雪ノ下は破壊力が半端ない)

八幡(由比ヶ浜の言う通り、このまま何もしないというのも何かもったいない気がしてきてしまった……)


八幡「…………写メとか撮っちゃう?」

結衣「…………う、うん」


八幡&結衣((これバレたら絶対ヤバイ……))


八幡「よし、いくぞ……」ゴクリ…

結衣「いぇ~い」ヒソヒソ

八幡「お前も一緒に写るのかよ。まぁいいけど」ヒソヒソ


   パシャリ!!

結衣「わぁーーー。ヒッキー何やってんの。無音カメラとか使わなきゃダメだってッッッ」ヒソヒソ

八幡「仕方ないだろっ。んなアプリ持ってねえって」ヒソヒソ

結衣「仕方ないで済むわけないじゃんっ。もしバレたらどーすんの?」ヒソヒソ

八幡「どうするも何も、お前は怒られるだけで済みそうだが俺は殺されるかもしれんな……」ヒソヒソ




雪乃「そうね。比企谷くんのことは社会的に抹頃しようかしら」


結衣「っ!!!?」
八幡「ヒィィィッ!?」



597: 2014/10/24(金) 00:20:12.16



・・

・・・

・・・・

・・・・・



   ~比企谷家~

小町「お兄ちゃんおかえりー!」

八幡「……おう」

小町「あれ? なんか元気ないね。楽しんできたんじゃないの? 何かあった?」

八幡「いやっ、なんでもないぞ! なんでも!!」



八幡(うむ。何もなかった、そういうことにしておこう……)ガクブル



598: 2014/10/24(金) 00:21:45.38

 本日の更新はここまで!

 ダスビダーニャ。

603: 2014/11/03(月) 23:47:55.03


   【過去篇5.7話:とどのつまり、最初から結果は見えている。】



      ~生徒会役員選挙の数日後~


彩加「この前の生徒会選挙、小町ちゃんが無事当選して良かったね!」

八幡「おう。ありがとな」

義輝「八幡よ、我にはあれがデキレースのようにしか見えなかったのだが……」

八幡「まぁな。そうなるようにこっちで仕組んだ」

彩加「そういえば由比ヶ浜さんの応援演説、随分らしくない感じだったけど、あれも八幡が仕組んだことなの?」

八幡「ん、あの文面を考えたのは雪ノ下だ」
八幡「単純な知名度だったら雪ノ下の方が上かもしれないが、由比ヶ浜の方が人脈広いし好感触も得やすいしな。だから由比ヶ浜に読ませた」


604: 2014/11/03(月) 23:48:39.86


八幡(一色を当選させることは至極簡単だった)

八幡(小町が中学の時使っていた手……つまり、事前に「私が生徒会やるよ!」と周囲に言いふらしておけば、今までも生徒会長だった一色に対抗しようという奴は出てこない)
八幡(それに去年同様、公約を雪ノ下が考え、応援演説は葉山だったしな。もう負ける要素がない)

八幡(しかし、まだ高校内では知名度が高くない小町の場合、事前に周囲を牽制する様な方法はあまり有効ではない)
八幡(いくら小町の人望が高かろうと、1年生間の票を集めるのが精々といったところだろう)

八幡(そこで今回は2つ手を打った。1つは、先程述べた通り人脈の広い由比ヶ浜に応援演説をやらせること)
八幡(文化祭の時なんか目立っていたから、雪ノ下程ではないにしろ知名度も高いし、これで2・3年の票も得やすくなる)

八幡(そして2つ目、これはあまり褒められた方法ではないだろうな……)



605: 2014/11/03(月) 23:50:40.70


彩加「八幡、どうかしたの?」

義輝「お主、さては悪に手を染めたな?」

八幡「不正って程のことはしてないけどな。選管を利用させてもらっただけだ」

義輝「戦艦とな。バーニングラブでも放ったか……」

八幡「バーカ。選挙管理委員会だよ。あれは前の生徒会メンバーがやってるんだ」

彩加「それって一色さん達のことだよね?」

八幡「おう」

義輝「クックック。票数を後悔しない以上、いくらでも改竄し放題というわけか! 流石八幡汚いでござる!!」
八幡「だから不正はしてねぇっつったろ。それに、今回も立候補してる一色は票数を数えるとこまでは関われないから、結果をいじるのは不可能だ」

彩加「じゃあ何をしたの?」

八幡「誰がどの役職に立候補するのかを、一般生徒に公表する前に教えてもらっただけだよ。だから一番倍率の低そうな所に小町は立候補できたんだ」

彩加「なるほど~。やっぱり八幡は頭良いね!」ニコッ!

八幡「そ、そうか?」///



606: 2014/11/03(月) 23:53:44.46



   ドタバタ ドタバタ


小町「あっ! お兄ちゃんみっけ!」

一色「せんぱいっ! 何こんなとこで遊んでるんですか! 生徒会室の衣替えするんでとっとと手伝ってくださいー」

八幡「あ? 冷蔵庫とか暖房器具とか去年運び込んだまんまだろ? 何するってんだよ……」

一色「去年度とまったく同じままじゃつまらないじゃないですかー。いいから来てください」

八幡「ちょっ! 俺今戸塚とオマケと話してるとこなんだけど」

義輝「オマケっ!??」

小町「いいからほら、早く早く!」

八幡「はぁ……」ウンザリ…


607: 2014/11/03(月) 23:55:12.68




・・

・・・

・・・・

・・・・・



一色「ふぅ~~~。ようやく終わりましたねー。お疲れ様でした!」

小町「お疲れ様でした!」

八幡「衣替えっつうか、ただの大掃除だったじゃねえか。俺は雑用係じゃないんだが……」

小町「まあまあ。今日の晩御飯はお兄ちゃんが好きなものばっかり作ってあげるから! あ、今の小町的にポイント高い」

八幡「はいはい」


一色「それにしても、今年の選挙のことまで考えていてくれたなんて思ってもみませんでしたよー」
一色「改めて、本当にありがとうございました」ペコリ

八幡「……アホか。おまえのためじゃねぇよ。全部小町のためにやったに決まってんだろ」

小町「まったく、相変わらず捻デレさんだなぁ」

八幡「うっせ」



608: 2014/11/03(月) 23:55:51.88



八幡「……小町」

小町「ん?」

八幡「生徒会に入ったからといって奉仕部を辞めたわけじゃないんだし、いつ遊びに来ても良いんだからな」

小町「もちろん!」

八幡「それと、何かあったら少しくらい手伝ってやるから、ほどほどに頑張れよ」

小町「……うんっ! 小町におっまかせ~☆」ラジャッ!



八幡「あぁ。応援してるぜ、新生徒会役員!」

小町「えへっ!」




609: 2014/11/04(火) 00:02:25.60


※過去篇其ノ六:聖夜に流れる滴は……(>>83)の、数日後くらいの話です。



   【過去篇6.1:またしても月日は過ぎ去り、ついに新たな年を迎える。】


八幡「……よお」

雪乃「あら、比企谷君。まさか、新年早々あなたの腐った目を見なければならないなんてね」
雪乃「……明けましておめでとう」

八幡「えっ、なにおまえ俺が来ること知らなかったの? 言いだしっぺの由比ヶ浜もまだ来てないみたいだし、遅れたかと思って急いだ俺がバカみたいじゃねぇか」

雪乃「いえ、丁度時間通りよ。ちなみにあなたも来ることは知っていたわ」

八幡「なら余計な事言わないで『あけましておめでとう』の一言でよかったろ」
八幡「こちとら早起きさせられて寝不足なんだよ。正月っつったら寝正月が基本だろ……」

雪乃「私は、年が明けてもあなたの目が相変わらず腐っているという事実を、ただ述べただけなのだけれど」

八幡「……俺は新年になったくらいのことでそう簡単に変わる気はねえよ。おまえの方こそ、年が明けても全然毒気抜けないのな」

雪乃「それはどうも。褒め言葉として受け取っておくわ」

八幡「ふん」


610: 2014/11/04(火) 00:03:45.83


雪乃「……普段以上に瞳が濁っている様に感じるのは気のせいかしら。何かあったの?」

八幡「何もねぇよ」

雪乃「…………」ムスッ

八幡「はぁ……。大丈夫だ。おまえが気にしなきゃならないようなことは、本当に何も起きてねぇよ」

雪乃「そう。なら、そういうことにしといてあげるわ」

八幡「……助かる」


八幡(そう。あれ以来本当に何もなかった)

八幡(川崎とは、クリスマス以降も冬期講習で何度か顔を合わせている。だが、こっちは色々気にしていたというのに、向こうは至って普段通りであった)
八幡(今までと変わらない、俺と川崎の距離。関係とも呼べない程度の関係)

八幡(きっと、そういう風に振る舞ってくれているのであろう。だがそれで良い)
八幡(互いに取りつくろい無理に笑顔を演じるより、言葉を交わさない方が余程マシなはずだ)


八幡(もっとも、それはそれで虚飾なのかもしれないけれど……)



611: 2014/11/04(火) 00:05:35.84


  トテトテ トテトテ

結衣「ごっめ~ん! これ着るのに手間取って遅れちゃったー」バタバタ

雪乃「大丈夫よ、そんなに待たされていないわ。あけましておめでとう、由比ヶ浜さん。その……今年もよろしくお願いします」

結衣「うんっ、ゆきのんあけおめー! こちらこそよろしくねー!」


八幡(雪ノ下のやつ、俺が来た時と大分態度が違くありませんかねぇ)


結衣「ヒッキーもあけおめことよろ~!」

八幡「お、おう」

結衣「それにしても、ゆきのんの浴衣すっごいきれー」

八幡「……は?」

結衣「ん、どしたの?」

雪乃「これは浴衣ではなく着物なのだけれど……」

結衣「えっ」

八幡「ちなみに、今おまえが着てるそれも着物な。まさか浴衣と着物の違いが分からないとか言うんじゃ……」

結衣「は、はぁ!? そ、そんなわけないじゃん! ちょっと言い間違っただけだし!! ヒッキーマジキモい!!!」


八幡「ま、二人とも似合ってるんじゃねぇの?」ボソッ…


結衣「えっ」

雪乃「ふふ」


八幡「ほら、合格祈願するんだろ? とっとと済ませて早く帰ろうぜ、行くぞ」

結衣「あ、待ってよ~!!」



612: 2014/11/04(火) 00:06:30.50


   チャリーン! パンパン!


結衣(ヒッキーと同じ大学へ行けますように……)

八幡(由比ヶ浜の受験がどうにかなりますように……)




・・

・・・

・・・・

・・・・・


雪乃「それじゃ、私はもう帰らせてもらうわ」

八幡「おう。んじゃ俺も帰るわ」

結衣「え~。せっかくだしどっかで遊んでこうよー」

雪乃「三箇日は実家にいなければならないという話をしたはずなのだけれど……。自由な時間を貰えたのは、初詣の間だけよ」

613: 2014/11/04(火) 00:07:13.61

結衣「……じゃあ1月3日も遊べないの?」

雪乃「えぇ。3日がどうかしたのかしら?」

結衣「ゆきのんの誕生日じゃんっ! あたしの時はケーキ作ってもらったりしたんだし、今度はあたしが何か作ってあげようと思ってたのにぃ~」


雪乃「…………」
八幡「…………」


雪乃「……由比ヶ浜さん、変な気は回してくれなくても大丈夫よ。えぇ、本当に大丈夫だから。謹んで遠慮させてもらうわ」

結衣「?」

八幡「あのな……めでたい日に、わざわざ不幸をプレゼントすんのはやめてやれ」

結衣「ッ!? 二人とも酷過ぎだしっ!!」プンプン!


雪乃「……もうしばらく、賑やかな日々は続きそうね」フフッ

八幡「だな」



614: 2014/11/04(火) 00:12:40.62

さてさて。

最近没ネタやら小ネタやら過去篇ばっかりで、本編の内容をお忘れの方も多いのではないでしょうか?


と、いうわけでぇ~~~。

小町が懇切丁寧に説明してあげちゃいますよっ!




               【☆★前回のオレガイル!★☆】
           (※小ネタや過去篇ではなく本編軸>>270の話です)


小町「お兄ちゃんと結衣さんが付き合い始めてから早数ヶ月、そろそろ夏休みも終わるそんな頃」

小町「二人は毎年恒例の花火大会デートへ!」

小町「結衣さんからメールで聞いた話によると、とっても幸せなデートになったみたいだよ! やったね☆」


小町「でも、家に帰ってきたお兄ちゃんは妙にソワソワ」

小町「理由を聞いてもはぐらかされちゃったし……まったくもう!」


小町「そして数日後」

小町「結衣さんが我が家へ遊びに来たんだけど……あれ? なんかギクシャクしてない?」

小町「も、もしやッ! 花火大会にかこつけて、目を合わせるのも恥ずかしくなるような一夏の経験をしちゃったの!???」


小町「そんなこんなで変な雰囲気の二人!」

小町「果たして八結の運命や如何に!?」




▼次回、ようやく本当に最終回!!


620: 2014/11/06(木) 23:00:29.97


   【最終回:やはり俺の青春ラブコメは……。】



八幡「…………」

結衣「…………」



……沈黙。

沈黙とは、口を利かず黙っていること。
もしくは、活動をやめて静かにしていることである。


現在9月中盤。
大学の夏休みは長いことだしまだまだ休んでいられるだろうと高を括っていたのも束の間、休日終了が刻々と目の前に迫ってきていた。
夏、終わらないで(切実)

本来夏休みは休むためにあるのだから、残り僅かな時間を沈黙──つまり活動をせず静かな状態──
で過ごすことは全くもって正しい行いであり、その理論に則って考えれば「沈黙って素晴らしい!沈黙最高!」となるはずなのだが……。


八幡「…………」

結衣「…………」


……どうしてこんなに気まずいんですかねぇ?



621: 2014/11/06(木) 23:02:44.11


なぜ由比ヶ浜とまともに会話することができないのか、問題点を1から整理していこう。
まず、事の発端は数日前の花火大会に遡る。



   ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~





結衣「キス……しても、いい?」

八幡「なっ!?」






八幡「由比ヶ浜さん? こんな公共の場で正気か……」

結衣「こういう雰囲気でファーストキスできたら良いなぁって、思って。ダメ……かな?」
結衣「ほ、ほら! みんな花火の方見てるし、周りの目を気にする必要はないかなぁ~、みたいな……」


八幡「…………」チュッ…
結衣「ッ~~~~~~!????」

八幡「…………」
結衣「………ん」



八幡「……これで良かったか?」

結衣「    」ポケー…

八幡「由比ヶ浜? おーい、大丈夫かー?」

結衣「    」

八幡「大丈夫か、……結衣」

結衣「……うぇっ!? ヒ、ヒッキー? 今、あたしのこと名前で……」

八幡「……できない約束はしないって話、したことあったろ。この前、その内名前で呼ぶって言っちまったしな……」

結衣「うん……、ありがと…………は、八幡」



   ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~  ~



622: 2014/11/06(木) 23:04:48.07


そう。
ここまではいい。
何一つとして間違えていない、我ながら完璧な青春ラブコメであったといえよう。

しかし、そんなShinyでDreamyな時間もあえなく終わりを告げる。
なぜかって?
我がコミュ力の底辺ぶりをあまり舐めるなよ。
良い雰囲気のまま帰宅……なんて真似ができるわけないだろ!

だって口付けとか当然初体験なわけですし?
とてつもなく恥ずかしすぎて頭が沸騰しそうだったわけですし?

緊張のあまりまともに会話するどころか相手の顔を見ることすらできなくなってしまったのは俺がいけないのではなく、当然のことでありむしろ自然なことなのではないだろうか。
そうだよ。
仕方なかったんだって。

ほら、花火大会の後無言のままお別れとはならず、こうやって今日会う約束を取り付けただけでも上出来であるといえよう。
うん。俺頑張った。すげー頑張った。


八幡「…………」

結衣「…………」


まっ、そんな言い訳をいくら考えてみたところで事態が好転するわけじゃないんですけどね。
いやほんと誰か助けて。


623: 2014/11/06(木) 23:07:19.12


うぅむ……。
由比ヶ浜の方からいつも通りのテンションで接してきてくれればなんとかなるような気がする。


結衣「…………」


おいおい、ほんと頼むぜ。
空気読んだ行動とるの得意だろ?
とりあえずこの気まずい感じを何とかしてくださいお願いします。

いやまあ、空気を変えるのは俺も得意っちゃ得意なんだが、俺のやり方だと悪い意味で空気をぶち壊してるだけだからなぁ。
もうそんな方法を使うわけにはいかない。
ましてや、大切な存在が相手であっては尚のことだ。

…………くそっ。
柄じゃないなんてことは重々承知しているが、こうなったら正攻法で行くしかないのか。


八幡「……な、なあ」

結衣「……なぁに?」

八幡「あー、えぇっと……」アセアセ


624: 2014/11/06(木) 23:09:56.96


どうにかしようにも言葉が出てこない。
こういう時ばかりは、普段は好きな己の性格が本当に恨めしい。

……言葉にできないのならば、気持ちだけでもきちんと向き合わなければ。
俺は意を決して、今まで宙をさまよっていた視線を由比ヶ浜の方へと向ける。


八幡「…………」

結衣「ヒッキー?」


あ、ヤバイ。
由比ヶ浜の顔を見ていると、どうしてもあの夜のことが鮮明に思い出されてしまう。

暗がりでも分かるほどに上気した肌。
揺れる瞳。
交わる唇。
そして、柔らかいの一言では表現しきれない、どうにも不思議で幸せな感触。

思い出すだけでもどうにかなってしまいそうだ。
悪意には耐性のある俺ではあるものの、こういった気恥ずかしさには滅法弱い。

日頃の屈強な理性による抵抗も虚しく、俺の視線は由比ヶ浜の唇へと吸い込まれ───



625: 2014/11/06(木) 23:11:21.62


八幡「…………」ジー…

結衣「ッ! ちょっ、そんなマジマジ見られると恥ずかしいんだけど」///

八幡「わ、わるい」

結衣「ってかさっきから妙にソワソワしすぎだし!」
結衣「意識しちゃうのは分かるっていうかあたしも結構恥ずかしかったりするげさぁー、ヒッキーの場合気にしすぎ!!」

八幡「いや、そりゃそうだけど、そっちこそさっきからずっとダンマリで……」

結衣「それは超話しかけづらいふいんき出してるのが悪いんでしょ」


え? 俺が悪いの?
それとふいんきじゃなくてふんいきな。

とかそんなツッコミを入れてる場合じゃなかった。


八幡「今日の俺、そんなに話しかけにくかったか?」

結衣「うん。すっごく」

八幡「……誠に申し訳ございませんでした」

結衣「まったくもう」


626: 2014/11/06(木) 23:13:50.89


話しかけづらいとか……んなこと言われても、ねぇ?
どうしろってんだよ。


八幡「…………」ソワソワ

結衣「って、またソワソワしてるし!」

八幡「それは仕方ないだろ! 抑えようにもどうしようもないんだって!!」

結衣「むぅ~~~。これから先、ずっとそんな感じでいる気?」

八幡「いや、それは……」


たしかにこのままではまずい自覚はある。
とはいえ、普通に振る舞えと言われてもすぐにはできそうにないというかなんというか……。


八幡「その、悪いと思ってはいるんだが、まだ気恥ずかしさが抜けなくてだな」

結衣「じゃあ……、慣れてみる?」

八幡「……ぇ?」


627: 2014/11/06(木) 23:15:43.58

結衣「いや、ほら、さっきからヒッキーあたしの唇チラチラ見てから……」
結衣「えぇと、またああいうことしたいのかなー、とか……、そんで慣れれば平気になるかもなー……、とか、思ったり……」

八幡「    」


……………は? ハァァァ!?

あんなことしたから俺は普通でいられなくなっているというのに、だったら慣れるまでしちゃえばいいじゃんとか何それ意味分かんない!
トンデモ理論すぎんだろっ!!


結衣「……嫌?」


うぐっ……。
だから瞳を潤わせつつの上目使いはズルイと思います。


八幡「嫌、って、わけじゃ……ないけど……。でも、なんつうか……」

結衣「嫌じゃないなら、さ……」ズイ…

八幡「えっ、ちょっと待て、おいっ」

結衣「ん」ズズイ…


由比ヶ浜がどんどんこちらへ近づいてくる。
後ずさるも背中が壁に当たり、退路が断たれ、そして───・・・・・・…………



628: 2014/11/06(木) 23:17:33.10



   ・

   ・ ・

   ・ ・ ・

   ・ ・ ・ ・

   ・ ・ ・ ・ ・



結衣「ふふふ。ヒッキー、少しは慣れた?」ニコニコ

八幡「あー……。慣れたっつうか、しばらくはもう結構です……」グッタリ…

結衣「えぇー。そんなこと言わないでさー、またしようよ!」

八幡「致しません」

結衣「むぅ。つれないな~」


つれないも何も、しょっちゅうこんな目にあってたら俺の神経がもたないっつうの。
つーかこっちは気が気でないってのに、なんでそんなに元気なんだよ。

いやまぁ、由比ヶ浜のおかげで普通に喋れるようにはなったし感謝はしてるんだけどよ。



629: 2014/11/06(木) 23:19:34.66


結衣「迷惑だった、かなぁ?」

八幡「そ、そんなことはないぞ。むしろ大変幸福でありましたというか、えぇと」

結衣「えへへー」ニヘラー


そんな嬉しそうにニヤけやがって。
可愛すぎんだろっ。


結衣「それじゃ、そろそろ帰るね」

八幡「おう」

結衣「またね。……八幡っ!」

八幡「っ///」


……おい!
不意打ちしといて言い逃げはズルイだろ。




630: 2014/11/06(木) 23:22:19.81



   ヒョコッ!

小町「おに~ぃちゃんっ!」

八幡「うをっ! いきなりビックリさせんなよ」

小町「にひひー。それで、お兄ちゃんはさっきまで結衣さんと何をしてたのかなー?」ニヤニヤ

八幡「なななななな何もしてないぞッ!?」

小町「……ごまかすの下手すぎでしょ」

八幡「…………」


小町「まっ、別に何しててもいいんだけどさ、しっかり責任を持った行動しなよ?」

八幡「責任とらなきゃいけないような行為には至ってねえよ。ほんとに」

小町「首元にバッチリキスマーク付けながらそんなこと言われましても……」


っ!? マジで!??
うっわーこれどうすんだよ親にはぜってーバレたくねえ。
ってか小町にバレた時点で結構精神的にキツイ。


631: 2014/11/06(木) 23:25:17.79

あ、本当にキス以上のことはしてないからね?
……キスは何度も何度もされまくっゲフンゲフン。


八幡「少なくとも、小町に迷惑かけるような事態は起こさないさ」

小町「小町のことは二の次でいいからさ、ちゃんと結衣さんを幸せにしてあげなきゃダメだよ?」

八幡「気が早えよ」

小町「どうだか」ジトー

八幡「……小町ちゃん? ほんとキス以上のことはしてないからね? ほんとにほんどからねっ!?」

小町「ほ~。キスしてたことは認めますかそうですかそうですか」ニヤリ


ぐっ!
しまった、墓穴を掘ったか。

……どのみちバレバレだっただろうけど。



632: 2014/11/06(木) 23:30:59.25


八幡「まぁあれだ。幸せにするとかそういう大層なセリフを吐くのは、大学卒業後も……そしてそれから先も、ずっと関係が続いてたらの話だろ」

小町「そっか。じゃあ、ちゃんと続くといいね」

八幡「……ん、そだな」




とはいえ、俺と由比ヶ浜の関係が平穏なまま続くなんてことはあり得ないだろう。

なんつっても、俺はキス1つで取り乱しまくるようなヘタレだからな!

きっとこれからも、何度か気まずくなったり波乱が巻き起こったりするんだろうな~。嫌だな~。


それでも、俺はずっと一緒にいたいと思っている。

それはきっと、向こうも同じだろう。


普通の恋人同士とはズレているのかもしれないけれど、それをいけないことだとは思わない。

それぞれに適した付き合い方というものがあるのだ。

普通でなくても、正しくなくても、俺達は俺達なりのやり方で頑張ってみるさ。



  だから、今までもこれからも─────



                      ─────やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。








             やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 二次創作SS

              由比ヶ浜「キス……しても、いい?」 八幡「なっ!?」


                                    ~了~


634: 2014/11/06(木) 23:35:07.94



ふぅー。
くぅ疲くぅ疲。

8月7日にスタートしたこのスレですが、なんか3ヶ月間も続いちゃいましたね。
これもひとえに皆様の応援のおかげです!


後半は中々蛇足気味だったかもしれませんが、こんなSSに最後までお付き合いくださり、本っっっ当にありがとうございました!!!!!


647: 2014/11/08(土) 12:01:26.24
乙でした
面白かったです

652: 2014/11/16(日) 16:14:06.23


   ~数年後、結婚式場~


     ワイワイ ガヤガヤ

義輝「ふむぅ……。まさか我々の中で、八幡が一番最初に結婚することになるとは」

彩加「あはは。たしかに八幡は一生独身だったとしても楽しく生きていそうな感じがするし、こうも早く籍を入れるっていうのはすごく意外だね」

八幡「別れる気がない以上、遅かれ早かれ結婚することになるわけだしな」
八幡「結婚は人生の墓場とかよく聞くが、まぁ……、あいつと同じ墓に入ることになるならそう悪いもんでもないさ」

義輝「なぬっ!? おむしの口からそのような言葉を聞くことになるとは……」
義輝「もしや貴様、八幡の偽物であるなッ!!!?」ババッ!

八幡「あ? おまえなに言ってんの? つーかいい歳して中二病続けてんじゃねぇよ」

義輝「いやほら、俺だってほんとは恥ずかしいんだけどさ、最近は作家もメディアに露出する機会が偶にあったりするからキャラ立ちも重要というか……ね?」

八幡「お、おう……。おまえも色々と苦労してるんだな……」

彩加「ほら、材木座君のそういうところを気に入って応援してくれいる人だってきっと少なくないよ! がんばって!!」

義輝「うん。ありがとう……」


義輝「ごほん! ごらむごらむ……それはそうと、花嫁は放っておいてよいのか?」

八幡「あぁ~、さっき控室に行ったら小町と雪ノ下に追い返された。メイクやら衣装やらバッチリ決めてる姿をギリギリまで見せたくないってのが、結衣の希望だとさ」
八幡「なんで小町と雪ノ下は控室に入ってよくて、新郎である俺が立ち入り禁止なんだよ」ケッ!

義輝「おぬしの奉仕部内での扱いは、今も昔も変わっていないのだな」

八幡「うっせ」


彩加「え、えっと。何はともあれ八幡、本当に結婚おめでとう!」

義輝「うむ! めでたいめでたい!!」

平塚「比企谷、私からも祝福させてもらうぞ」


八幡「みんな、ありがと……ん?」

義輝「…………」
彩加「…………」
八幡「…………」


平塚「うん? どうかしたのか?」

八幡「……平塚先生、いつからここに居たんですか」

平塚「いつからも何も最初から居たさ。招待状を送ってくれたのは君と由比ヶ浜だろうに」

八幡「あー、えっと、そうじゃなくってですね」

平塚「おっと! そうかそうか、もう由比ヶ浜ではなく比企谷になるんだったな。私としたことがうっかりしていたよ、すまない」

八幡「はぁ、なんかもういいや……。別に結衣の呼び方くらい自由で構わないと思いますよ」

平塚「そうかね? たしかに二人とも比企谷では紛らわしいものな、ハハハ」



653: 2014/11/16(日) 16:14:58.70

平塚「それにしても、先程は随分と惚気ていたな」

八幡「はい?」

平塚「ほら、『あいつと同じ墓に入ることになるならそう悪いもんでもない』だのなんだの」

八幡「そんなとこから聞いてたんですか」

平塚「ハハハ。だから最初からここに居たと言っているだろう」
平塚「君たちは私のような売れ残りの存在など、気にもとめていなかったようだがな!」

義輝「…………」

彩加「…………」

八幡「……その歳で自虐ネタされても、さすがに笑えないっす」

平塚「グハッ!!」

義輝「そのような発言と性格のせいで売れ残っているのでは……」

平塚「ぐうぅぅうううッッッッ」

戸塚「二人とも、そんなこと言っちゃダメだって!」
戸塚「……今更内面を変えたところでもう手遅れなんだからさ」ヒソヒソ…


平塚「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





・ ・

・ ・ ・

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・



平塚「という夢を見たんだ……」ズーン…

八幡「んな話されましても……」


八幡「ってか、俺と由比ヶ浜が付き合い始めてからまだ半年も経ってませんよ? いくらなんでも結婚とか気がはやすぎなんじゃ」

平塚「し、仕方ないだろう! 私だって好きでそんな夢を見たわけではないんだ!」

八幡「はいはい」

平塚「ぐぬぬ……」



平塚「しかしまぁ真面目な話、君たちは互いに一途そうだからな。もしかしたら正夢になってしまうかもしれないぞ?」

八幡「いやいや、さっきのか正夢になっちゃったら困るでしょう。……平塚先生が」

平塚「……グスン」


平塚「と、とにかく! せっかく素敵な彼女が出来たんだ。あまり悲しませるような真似をするんじゃないぞ」

八幡「言われなくともわかってますよ」
八幡「それに、先生にも色々と感謝してますから。怒られるような真似はもうしませんって……多分」

平塚「ふふ、そうかそうか」



654: 2014/11/16(日) 16:17:48.97

HTML化依頼を出してきます。

それでは、またいつか! ( ・ω・)ノシ


657: 2014/11/16(日) 17:02:23.42
おつ
凄く良かった

引用元: 由比ヶ浜「キス……しても、いい?」 八幡「なっ!?」