1: 2014/06/02(月)02:51:42
灰原「彼女に正体を明かさなくていいのかしら」

灰原「彼女、余命わずかなんでしょ」

コナン「ちょっと黙ってろ灰原」


俺たちは元の姿に戻れないまま20歳を迎えた。
少年探偵団は解散したが、腐れ縁は続いている。


灰原「彼女かわいそうね、こんなに近くにいたのに知らないなんて」

コナン「黙ってろって言ってるだろ」


大人になった俺は
なるべく工藤新一に似ないように、まだメガネをかけている。
髭も生やし髪型も変えた。

おっちゃんは探偵を引退した。
毛利探偵事務所は、俺が引き継いで中々の評判だった。
忙しい毎日の中、蘭は一生懸命手伝ってくれた。


工藤新一を待ちながら……。

3: 2014/06/02(月)02:57:22
蘭は寝る間も惜しんで手伝ってくれた。
体調が悪そうなときもあった。


コナン「蘭ねぇちゃん、無理しちゃだめだよ」

蘭「ありがとうコナン君、でも大丈夫よ」

蘭「体だけは丈夫なんだから」


そう言って空手のポーズをとる蘭をみて俺は安心してた。

8: 2014/06/02(月)03:00:50
コナン「蘭……」

コナン「こんなに痩せて……」


蘭は静かに眠っている。
病室には機械の音が静かに響く。





蘭「し……んい……ち……」


春の訪れを待つように
蘭は工藤新一を待っている……。

10: 2014/06/02(月)03:05:51
コナン「なあ灰原、頼みがある」

灰原「なにかしら」


数年前、灰原はAPTX4869と同じものを完成させた。
それから更に歳月がたったが、APTX4869の解毒剤を完成させていた。
しかし、体が縮んでからの歳月がたち過ぎていたからか
俺達には効果がなかった。

動物実験では成功した。
俺も見た。
でも俺達には効かなかった。


コナン「もう一度、解毒剤をくれないか」

コナン「駄目元で試したい」

灰原「いいわよ、彼女に伝える決心はついたようね」

灰原「準備するから数日時間をくれない」

11: 2014/06/02(月)03:10:13
それから、仕事を大急ぎで片付け、蘭の見舞いに行き
限られた時間を蘭と一緒にいることだけに使った。
気づいたらつぼみだった桜が咲き始めている。
時間だけはあっという間に過ぎていく。
正直、体が疲れているが、そんなことを気にしている場合じゃない。

蘭は徐々に口数を減らしていく。
眠ってる時間が長くなる。
そして必ず『しんいち』と呟く。

その言葉を聞くたびに胸が痛む……。

おっちゃんの『あの探偵坊主はなにをやってるんだ』も胸に突き刺さる

13: 2014/06/02(月)03:15:36
灰原「はいこれ」

コナン「ありがとう灰原」

コナン「それじゃ蘭のところに行ってくる」

灰原「待って」

灰原「あなた顔が赤いわよ」

灰原「熱があるんじゃない」

コナン「大丈夫だ」

灰原「あなたは大丈夫かもしれないけど」

灰原「彼女は大丈夫じゃないわ」

14: 2014/06/02(月)03:17:44
コナン「それなら今ここで飲む」

過去にも同じようなことがあった。
熱がある時に解毒剤を飲むと熱が引いていた。




そして、その時は必ず元の姿に戻れた。

15: 2014/06/02(月)03:19:28
メガネをはずし髭もそり
髪型も工藤新一に戻した。


~病室~

新一「蘭、待たせたな」

蘭「し……んい…ち……?」

蘭「新一なの?本当に新一なの?」


蘭は、喜びとも戸惑いともいえる複雑な表情で、俺の名前を何度も何度も呼んだ。
俺は細くなった蘭の体を強く抱きしめた。


そのまま蘭は眠りについた。






俺はまだコナンの正体を言えないままだった。

16: 2014/06/02(月)03:20:25
~翌日~

蘭「新一」

新一「ここにいるよ」

蘭「よかった、夢じゃない」

蘭「最後に新一に会えるなんて思わなかった」

蘭「本当によかった」

蘭「これでいつ氏んでもいいや」

新一「バーロー……」


俺は今まで蘭の前に現れなかったことを謝った。
でも側にいたこと、いつでも見てたこと
江戸川コナンとしてずっと一緒にいたこと


全てを話した。

17: 2014/06/02(月)03:21:07
蘭「ありがとう新一」

蘭「でもそんな嘘付かなくてもいいよ」

蘭「最後に新一に会えたんだから」

蘭「私はそれで満足」


そう言って蘭は眠りについた。


新一「バーロー……嘘じゃねーよ」

18: 2014/06/02(月)03:21:49

蘭は信じてくれなかったが
おっちゃんは信じてくれた。
毛利探偵事務所で働き始めてからの
俺の推理を見て『まさかな』とは思っていたようだ。

その根拠は、俺の親父と推理する時の行動が似ていたらしい。

20: 2014/06/02(月)03:23:45
~翌日~

灰原「ちゃんと伝えてきたかしら工藤君」

新一「ああ…ありがとう……灰原」


灰原(彼の様子がおかしい)

灰原(呼吸も荒いし目もうつろ……まさか)


灰原「今日は私も一緒に行っていいかしら」

21: 2014/06/02(月)03:25:15
蘭「新一今日も来てくれたんだ」


―灰原と一緒に蘭の病室についた―


蘭「哀ちゃんも来てくれたのね」


―でも、なんだこれ体が熱い―


蘭「どうしたの新一」


―目が回る―


蘭「大丈夫?ねえ」


―苦しい苦しい苦しい―


蘭「新一、ねえ新一」

23: 2014/06/02(月)03:29:23
彼、工藤新一は江戸川コナンに戻った。
彼女、毛利蘭の前で。

大人から子供に戻るのと違って
今は大人から大人の姿になっただけ
でも20歳の江戸川コナンと30歳の工藤新一ではやはり違う。

恐らく解毒剤は、効果がなかったとしか言えない。
今回は過去の例と同じく、風邪の症状時に飲んだことにより
一時的に元の体に戻った。そうとしか考えられない。

私が作った薬によりこのような結果になってしまった。

24: 2014/06/02(月)03:32:13
蘭「ん……」

灰原「蘭さん」

蘭「哀ちゃん、新一は?」

灰原「江戸川君は隣のベッドで寝てるわ」

蘭「新一は?コナン君じゃなくて新一は?」

灰原「隣の彼がそうよ」

灰原「江戸川君が工藤新一よ」

26: 2014/06/02(月)03:35:06
蘭「……嘘じゃなかったんだ」



蘭「いつも一緒にいたんだ」



蘭「ずっとずっと一緒だったんだ」

27: 2014/06/02(月)03:38:03
蘭「哀ちゃんお願いがあるの」

蘭「私が氏んだら新一……コナン君のことよろしくね」

蘭「きっとお似合いよ」

蘭「コナン君のことよろしくね」






彼女は泣きながらそう言った。

28: 2014/06/02(月)03:40:53
灰原「おことわりだわ」

灰原「彼にはあなたがお似合いよ」


そう言って私は薬を渡した。


APTX4869
投与されたものは氏亡するが低確率で幼児化する。


灰原「彼も私もこの薬を飲んだの」

灰原「もっとも、彼の場合は飲まされたってのが本当だけど」

灰原「効果は氏ぬか幼児化」

灰原「幼児化といっても、私たちが飲んだ年齢から約10歳若返るとあの年齢だったってだけ」

29: 2014/06/02(月)03:42:34
蘭「哀ちゃん……」




蘭「ありがとう」








蘭「明日、また同じ時間に来てくれるかな」


彼女は一方的に話した後、眠ってしまった。
隣の彼は、彼女のお父さんが文句を言いながら運んで行った。

30: 2014/06/02(月)03:45:37
~しばらくして~

灰原「彼女にAPTX4869を渡したわ」

灰原「彼女の最後のチャンスよ」

コナン「まさかおまえ」

灰原「そのまさかよ」

灰原「このまま氏ぬのを待つか、あなたと生きていくか」

31: 2014/06/02(月)03:46:37
蘭(この薬を飲むと氏ぬか10歳若返るか幼児になる……か)

蘭(幼児になったらお父さんどう思うかな)

蘭(孫の気分かな)

蘭(孫なら私がちゃんと産みたかったな)

蘭(10歳若返ったら……)

33: 2014/06/02(月)03:55:15
~翌日、同時刻~

蘭(もうすぐみんなが来る)

蘭(手紙も書いた)

蘭(覚悟を決めよう)

34: 2014/06/02(月)03:55:36
病室についた俺が見たのは
空手の時のような凛とした蘭だった。




蘭「二人ともありがとう」

蘭「もし若返ったら……」

蘭「新一のお嫁さんにしてください」


そう言うと俺が返事をする前に蘭は薬を飲んだ。


コナン「らああああああああああああん」

35: 2014/06/02(月)03:55:55
一気に病室が騒がしくなる。
医者や看護師が駆けつける中
蘭が苦しんでいる。

何もできない自分が歯痒い
ただ見ているだけ……見てることしかできなかった……。

36: 2014/06/02(月)03:59:33
~満開の桜の季節~

「ランドセル似合ってるな」

「もう、恥ずかしいからジロジロ見ないで」

「いいから写真撮るから、ここに立って」

「おっちゃんも並んで」

「おっ丁度良いタイミングで歩美と元太がきた」

「わりいけど写真撮ってくれないか」

「おう。わかったぜ」

「4人とも笑顔でなー」




「ハイチーズ」




~Fin~

37: 2014/06/02(月)04:00:13
駄文失礼しました。
象速禁止でお願いします。

ありがとうございました。

40: 2014/06/02(月)04:06:34
乙!面白かった
質問が2つあるんだけど

1.最後、蘭は10歳を通り越して幼児化したって事でいいんかな?

2.光彦は……?

41: 2014/06/02(月)04:10:58
>>40
わかりにくかったですね

蘭は10歳若返りました
最後の4人ってのは小五郎とコナンと蘭とその子供です。入学式です。
時間がだいぶ飛んでます

光彦は多分氏んでると思います

44: 2014/06/02(月)04:21:09
APTX4869は細胞を後退化するものなので
仮に蘭の病気が癌だったとしたら癌細胞の後退化
病気の原因を排除できたことにより健康になった

と解釈してもらえれば


まあご都合主義です

引用元: 灰原「江戸川君が工藤新一よ」蘭「……」