1: 2012/11/09(金) 22:13:12.49
P「何本目だろう……」

P「すいません小鳥さん、ペン貸してくれませんか?」

「……」

P「……社長と出かけてるんだっけ。律子もいないし」

P「みんなも仕事だし」

P「仕方ない。どこかに買いに行くか……」

2: 2012/11/09(金) 22:14:31.24
・・・

P「うう、寒い……」

P「いつの間にこんなに寒くなったんだろう。つい最近まで夏だと思ってたのに」

P「……」

P「春もそうやって来るんだろうな」

P「いつのまにか雪が降って、クリスマスが来て、正月が終わって……」

P「……クリスマスは、雪歩の誕生日か」

P「たまにはデパートまで足を延ばしてみようか。買い物ついでにプレゼントを見たいし」

P「ちょっと遠いけど」

3: 2012/11/09(金) 22:15:35.75
・・・

P「雪歩にプレゼント……」

P「やっぱりお茶っぱかな」

P「……」

P「……そういえば最近雪歩のお茶を飲んでないな」

P「仕方ないよな。忙しくて事務所に居られないし」

P「……お茶はやめておこう。きっと余らせてしまうから」

P「……」

4: 2012/11/09(金) 22:17:07.97
・・・

P「化粧品……」

P「プレゼントに贈るのはどうなんだろう。香水なら大丈夫かな」

P「……これ、貴音がしてるメーカーの奴か」

P「……やっぱり、綺麗だな」

P「……」

P「ラーメン食べに行く約束、したのいつだっけ」

P「……今更誘っても困らせるだけか。そもそも最近ラーメン自体食べて無いらしいし」

P「飽きちゃったのかな。それとも他の何かに心が移ったのか」

P「……そんな話、しないから分からないけど」

P「……」

6: 2012/11/09(金) 22:19:32.75
・・・

『『お昼やっすみは♪ ウキウキwatching♪』』

P「亜美と真美か」

P「そういえば今日は二人で揃ってお昼の番組だったな」

P「司会の人にも可愛がられてるみたいでよかった。イタズラも程度を控えてるみたいだし」

P「……最後にイタズラされたの、なんだっけ」

P「ああそうだ。携帯に落書きされたんだった。でっかいサイン」

P「……」

P「……機種変する前の話だったか」

P「どこにやったんだっけ、前の携帯……」

P「……」

7: 2012/11/09(金) 22:22:06.85
・・・

『ウイスキーが♪ お好きでしょう♪』

P「お酒か」

P「社長が好きなのはこれだったよな。小鳥さんもよく飲んでた」

P「ああ、でもあずささんにキツい酒は飲ませられないか」

P「じゃあ、こっちかな。こっちの甘いお酒の方が……」

P「……」

P「……いや。どうせ忙しくてみんなで飲む機会なんて無いか」

P「家にビールがあるし、今日はそれでいいよな……」

P「……」

8: 2012/11/09(金) 22:25:43.22
・・・

P「久しぶりに本でも買って帰ろうかな」

P「……真が表紙になってる」

P「女性誌だけど。まあいいか」

P「……」

P「可愛く撮れてる。流石プロのスタイリストは……」

P「いや、違うよな。真だって最近はもっと女の子らしくなってきたんだ」

P「自覚は無いんだろうけど」

P「……俺がすることはなさそうだ。こう言うのは女の子だけでやらせた方が上手くいく」

P「……」

10: 2012/11/09(金) 22:27:26.60
・・・

P「響のコラムもあるんだっけ」

P「……」

P「初めの頃は文章でも訛っててよく怒られてたよな」

P「……怖い編集者さんだった」

P「でも、そのお陰で仕事の幅も広がった……」

P「……完璧っていうのも。もう強がりじゃないんだよな」

P「ほんと。よく出来た子だよ」

P「……」

11: 2012/11/09(金) 22:29:31.80
・・・

P「……千早の写真集もある」

P「よく笑えてる」

P「宣材写真ですらまともに笑えなかったのに」

P「……本当に楽しそうに笑うようになった」

P「よかった……」

P「……」

P「もう、心配いらないな」

P「……」



P「心配、いらないんだよな……」

14: 2012/11/09(金) 22:31:34.44
・・・

P「たまには自分で晩ごはんを作ろうか」

P「……ああ、そうだ」

P「やよいに教えてもらった奴でも作ってみよう」

P「……それか、材料だけ買ってやよいの家にお邪魔するのも」

P「……」

P「……やめておこう。本当に邪魔になってしまうから」

P「肉を買って行ってもお節介にもなりやしない」

P「家族の時間は大切にしてあげないと」

P「……」

16: 2012/11/09(金) 22:34:17.66
・・・

P「アクセサリーか。来るたびに美希にせがまれてたっけ」

P「これとか、似合いそうだな。たまには……」

P「……ん」

P「……星井美希デザイン」

P「ああ、雑誌の取材ついでに自分でとってきた仕事だっけ」

P「だったら、当然向こうから貰ってるか。俺が買ってやるまでもなく……」

P「……」

P「……前に来た時、何か買ってあげれば良かったのかな」

P「どうなんだろう」

21: 2012/11/09(金) 22:37:36.02
・・・

P「……」

P「すごいな。伊織があんなに大きなになってる」

P「服のせいかな。随分大人っぽく見える」

P「……服のせいだよな」

P「……どうなんだろう。最近大人しいし。竜宮でやってるうちに色々と思うところもあるのかも」

P「久しぶりにオレンジジュースでも買ってやるか……」

P「……」

P「銘柄、どれだっけ」

P「……忘れちゃったよ。買わないうちに」

P「……」

22: 2012/11/09(金) 22:40:05.49
・・・

P「そろそろ帰るか。なんだかひどく疲れた」

P「……甘い物でも買おう」

P「……これ」

P「春香のクッキーか。製菓会社の企画もの」

P「……」

P「春香といっしょにレシピを作ったっけ」

P「……これにしよう」

P「……」

P「……懐かしい味がするかもしれない」

P「……」

24: 2012/11/09(金) 22:42:32.52
・・・
・・


P(765のみんなは今や文句のつけようもなくらいに売れっ子集団だ)

P(テレビをつければそこにいる。雑誌を開けばそこにいる。街を歩けばそこにいる)

P(いつでも会えるアイドル達)

P(でも)

P(でも俺がいつでも会えていたアイドル達は……)

P(……もう、どこにに行っても会えない)

26: 2012/11/09(金) 22:44:12.60

・・
・・・

P「ただいま戻りました……」

律子「あっ、プロデューサー!」

律子「もう。どこに行ってたんですか? 事務所をほっぽり出して」

P「律子。戻ってたのか」

P「ペンのインクが切れたから。買いに行ってただけだよ」

律子「へえ、で、そのペンはどこに?」

P「……あ」

律子「プロデューサー……」

27: 2012/11/09(金) 22:45:52.43
伊織「もう、しっかりしてよね」

亜美「そーだよ兄ちゃーん! そうやってボケっとしてると」

真美「こんな風に携帯も取られちゃうかも!」

P「あ、返せよ」

亜美「うあうあー! これチョ→新しい機種じゃん!」

真美「これはイタズラせずにはいられませんなあ!」

P「おい、お前ら……」

伊織「にひひっ、間抜けな方が悪いのよっ」

P「……」

伊織「……何よ、ニヤついて」

P「……いいや」

伊織「?」

28: 2012/11/09(金) 22:47:07.26
響「もしかしてプロデューサー、疲れてる?」

P「歩いたからな。でもなんとも無いよ」

響「……本当?」

P「……本当だって」

やよい「プロデューサー! 元気がないなら無理しちゃダメですよ!」

やよい「いつでも私の家に来てください! 美味しいごはん作ってあげますよ!」

P「邪魔になるだろ? 気にする事無い」

やよい「そんなことありませんよぉ! 弟達だって会いたがってます」

P「……ありがとうな」

32: 2012/11/09(金) 22:49:19.44
真「元気がないなら、逆に体を動かすのも一つですよ!」

真「営業周りで歩いてるからって、運動したことにはなりませんしね」

P「はは、そうだな」

雪歩「でも、やっぱりゆっくりするのが一番ですよ」

雪歩「お茶、どうぞ」

P「ああ、ありがとう……」

高木「みんな、ただいま」

小鳥「プロデューサーさん! お土産にいいお酒貰って来ましたよ!」

あずさ「あらあら小鳥さん、みんなの前でお酒のお話はちょっと……」

P「あははは……」

35: 2012/11/09(金) 22:51:21.85
美希「ハニー!」

P「うわっ、と……!」

美希「久しぶりのハニーなの……」

P「おい、お茶がこぼれるだろ」

美希「それでもハニーならなんとかしてくれるはず!」

P「あのなあ……」

貴音「美希、あまり迷惑をかけてはなりませんよ」

美希「ぶー……」

P「助かったよ」

貴音「それはそれは」

39: 2012/11/09(金) 22:52:33.69
P「……貴音、少し近くないか?」

貴音「約束を守らぬ方への戒めですよ。ずっとお待ちしていましたのに」

P「約束って……。ああ、ラーメン……」

P「今更過ぎると思って遠慮してたんだ」

貴音「今更なことなどありません。今からでも、いつでもいいのです」

P「……悪かった」

41: 2012/11/09(金) 22:54:06.57
千早「プロデューサー……」

P「ああ、千早。あの写真集、よかったよ」

千早「えっ! あ、あれを見たんですか……」

P「うん。笑顔がよかった」

千早「笑顔、ですか」

千早「……」

P「そうそう。そんな感じの」

千早「……からかわないでください」

P「そんなつもりはないよ」

P「……」

44: 2012/11/09(金) 22:56:13.79
・・・
・・


春香「プロデューサーさん!」

P「春香」

春香「ちょっと、疲れてます?」

P「静かな事務所に慣れちゃったから」

P「こう騒がしいと、少しな」

春香「でも、嬉しそうです」

P「……そう?」

春香「はい!」

P「そっか。そうかもな」

P「……いや。その通りだ。騒がしい方が、いい」

P「それで、どうして今日はみんな揃ってるんだ?」

春香「それは……」

46: 2012/11/09(金) 22:58:03.07
春香「……あの、プロデューサーさん」

P「うん?」

春香「渡したいものがあるんです」

P「俺に?」

春香「はい」

春香「これ……、万年筆なんですけど」

春香「プロデューサーさん、いつもペンのインク切らしてますから」

春香「ボールペンだと手も疲れて大変だろうって」

春香「みんなで一緒に選んだんですよ!」

P「……」

春香「だから、これはみんなからのプレゼントです!」

春香「えへへ……」

47: 2012/11/09(金) 22:58:39.94
「いつも私達のためにありがとうございます!!」

48: 2012/11/09(金) 22:59:15.28
P「……」

春香「プロデューサーさん?」

P「……ありがとう」

P「ありがとう……大事にするよ」

P「大事に……」

春香「プロデューサーさん?」

春香「……泣いてるんですか?」

P「……」

50: 2012/11/09(金) 22:59:47.99
P(いつでも会えるわけじゃない)


P(けど)


P(……いつまでも一緒だ)



おわり

52: 2012/11/09(金) 23:00:45.47
以上です
読んでくれた人と支援保守してくれた人に感謝

オチが弱くて申し訳ない……

53: 2012/11/09(金) 23:00:59.44
安心した

56: 2012/11/09(金) 23:01:36.95

安心した

72: 2012/11/09(金) 23:10:09.79
>>67
先週書いたやつなら…
春香「プロデューサーさん! カーナビですよ! カーナビ!」
真「冬が来るまで」
P「さらにとりとめのない話」

79: 2012/11/09(金) 23:18:00.63
前のSSまで読んでくださってありがとうございます
次も頑張ります

引用元: P「インクが切れた」