1: 2010/08/07(土) 16:35:56.58
和「皆さん投票し終わりましたね。では、開票します」

和「平沢さん」

和「平沢さん」

和「……平沢さん」

和「平沢さん平沢さん平沢さん平沢さん
  平沢さん平沢さん平沢さん平沢さん
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 …
 …
 …

和「満場一致で木Gの役は平沢さんに決定しました」

唯「やった~♪」

6: 2010/08/07(土) 16:40:35.26
律「そんなに嬉しいものなのか……?」

姫子「おめでと、唯」

唯「ありがと~姫ちゃん。私、絶対に木の役がやりたかったんだ!」

澪「出来るなら変わってほしい……」

紬「駄目よ、澪ちゃん! もう私の中では二人のロミオ像とジュリエット像が出来上がっているんですもの!」

澪「ううっ……」

律「でも、よくクラス全員が唯に投票したもんだよな~」

エリ「唯は木の中でもGって感じだもんね」

アカネ「私も、気づけば唯ちゃんに投票しちゃってたんだ」

いちご「あなたは、しょせん木がお似合い……」

唯「えへへ~」

律「誉めてんのか貶してんのか……、まぁ、私も結局唯に投票はしたんだけどさ……何故か」

8: 2010/08/07(土) 16:49:50.05
和「これで、小中高と木をやることになったわね、唯」

唯「うん、そうなんだ。高校生になってから木をやる機会がなかったけど
  やっとそのチャンスが回ってきたよ!」

紬「どういうことなの? 和ちゃん」

和「小学校の時の学芸会でも、クラス全員の一致で唯が木に選ばれたの。
  中学の時の文化祭だって、最初は木の役なんてなかったのに
  配役を決めようってなったときに、何故か木があったほうがいいかもってなって
  結局その木の役に唯がこれまたクラス全員の一致で選ばれたのよ」

律「へ~、なんだか劇では木と縁があるんだな、唯は」

澪「当たり障りのない役に無理矢理押し込められたんじゃ……」

律「あ~、なるほど。唯が台詞ある役やったら劇が潰されるかもってこと?」

唯「も~! 二人とも酷いよ~!」

姫子「私は、唯にこの木の役がピッタリだと思って投票したんだよ
   決してそんな後ろめたい理由じゃないってば」

「そうだよ! 頑張って唯!」「期待してるわよ、唯の木G」
「唯だったら、いままでの木の役のイメージを覆してくれると思っているわ!」
「あなたが、どこまで木をやりきれるか……期待してあげてもいいわ」

唯「みんな……。私、頑張るよっ!!」

11: 2010/08/07(土) 16:58:00.83
澪「木一つですごい盛り上がりようだな。まぁ私も唯に投票したんだけど、何故か」

和「この木の役は舞台の演出上重要な位置づけにあるのよ」

唯「なんとっ!?」

律「そ、そうなのか……」

和「ええ。その辺は脚本演出担当のムギに聞いてもらえる?」

澪「ムギ、木が重要な役割って、いったいどういうことなんだ?」

紬「舞踏会で出会い名前を知った二人」

紬「許されない恋とはわかっていても、一度灯った愛の炎は消えはしない」

律「なんか始まった……」

紬「真夜中、バルコニーに出たジュリエットはその苦しい胸の内を吐露するの」

紬「ああ、ロミオ……あなたは何故ロミオなの……。
  私を想うなら、あなたのお父さまをすてて、お名前を名乗らないでくださいな。
  もしそうなさらないなら、私への愛を誓って欲しいですわ。
  そうすれば、私はキャピュレット家の人でなくなりましょう」

澪「は、迫真の演技だな……」

律「もう、ムギがジュリエットすればいいと思う」

13: 2010/08/07(土) 17:06:12.72
紬「そんな愛の告白にも似た言葉を偶然聞いたロミオはジュリエットが立つ
  バルコニーの近くにある木によじ登りジュリエットのもとに行く」

紬「そして二人は結婚の約束をするの……。ああ、素敵……」

律「あの、もしかしてそのバルコニーへ行くためによじ登る木っていうのが……」

和「木はA~Gまであるんだけど、そのバルコニーに一番近い木が唯のやるGなのよ」

澪「木あり過ぎだろ……」

和「一応場面としては果樹園の近くってことになってるし」

澪「そこまで忠実に庭に木を多く生やす必要もないと思うけど……」

律「いやいや、問題は、その木をやってる唯にしがみついてバルコニーに登らなきゃいけないってことだろ」

澪「そうだ、何もジュリエットがいるバルコニーまで登らなくてもいいんじゃ……」

紬「私は、そんなロミオの必氏さを表現したいのよ!」

律「でもさ~……。和も何か言ってやってよ」

和「演出はムギに一任してるから」

律「そうは言っても……」

15: 2010/08/07(土) 17:13:22.66
唯「大丈夫だよ、りっちゃん」

唯「今までの木役人生は、このときのためにあったと言っても過言じゃないっ!」

和「いい心意気ね唯。だけど、今までの木と今回の木は比べ物にならないわよ」

唯「!?」

和「小学校の時の学芸会はうさぎとかめ」

和「唯の木役人生の最初の一歩はゴール地点の丘の一本杉」

律「なんだ、意外と目立ってるじゃん」

和「……のとなりのとなりに生えている
  なんの変哲も特徴もない小さな木が唯の木役人生の始まりだったわ」

律「要らないじゃん! そんな木!」

澪「もっと言うならゴールのとなりの木も必要ないだろ!」

唯「あのときは本当に苦労したよ……」

澪「苦労する要素が思い当たらないんだが……」

17: 2010/08/07(土) 17:21:12.06
和「そして、中学のときの文化祭は、オリジナルの作品」

紬「へ~、なんだかすごいわね」

和「その当時、クラスで飼っていたヤゴがトンボに成長するまでの期間
  クラスであった出来事を描いたノンフィクション」

和「なかなかの評価をもらったと自負しているわ」

律「へ~、じゃあ、生徒がそのままその役でやってるってわけか」

澪「……ちょっと待て、じゃあなんで唯は木の役で出てるんだ?」

和「教室に観葉植物があったほうがいいって意見が出て」

唯「それに私が選ばれたんだよ! 皆は自分の役だけど、私だけ自分以外の役だったんだ」

和「それだけ、唯には自分以外の何かになりきる役者の魂があったってわけよ」

和「その劇を公開した当時、あの隅っこで突っ立っているのはいったい何なんだ?
  って話題にもなったわ」

律「木として理解されてないじゃん……」

澪(むしろそれってイジメなんじゃ……)

18: 2010/08/07(土) 17:27:16.68
和「そして、今回のロミオとジュリエット」

和「数ある木の中でも、一番重要な木G」

和「唯には今までの木役人生で得た全てをここでぶつけてもらいたいわ!」

澪「むしろ、G以外の木は要らないんじゃ……」

風子「!?」

風子「しくしく……」

律「あー、秋山さんが木C役の高橋さんを泣かせた~
  い~ややこやや せ~んせいに言うた~ろ~」

澪「あっ……ごめんね、高橋さん。私そんなつもりじゃ……」

風子「ううん、いいの。私なんてしょせん台詞のない木がお似合いなんだから……」

唯「風ちゃん! そんなこと言っちゃあ駄目だよ!」

風子「えっ……」

唯「だったら、風ちゃんは他の木役の子もそんな風に思ってるの!?」

20: 2010/08/07(土) 17:33:36.63
風子「そんなこと、ないよ……」

唯「なら、もっと木役に自信を持とうよ!」

唯「どこかのおじさんも言ってるよ! 『モリハ、イキテル』って
  『モリハ、ココロヲユタカニスル』って!!」

唯「そんな森は木が沢山あって初めて森になるんだよ!」

唯「木が自信をなくしちゃったら……森は泣いちゃうよ……」

風子「!?」

唯「私は、そんな想いで今までずっと木の役をやってきたんだよ!」

風子「ごめんね、平沢さん……。私……一生懸命に木をやり抜くわっ!」

唯「うん! 一緒にがんばろうね!」

和「ふふっ、唯ったら。木をやることでこんなに成長しちゃって」ホロリ

律「親の心境か……」

紬(唯ちゃんの言ってることが良く理解出来ないのは私だけかしら……)

唯「ちなみに憧れの木は屋久島にある樹齢3,000年と言われている縄文杉さん!!」

唯「将来なってみたい木は日立の気になる木!!」

21: 2010/08/07(土) 17:41:14.94
律「でもさ~、唯が木Gだとしたら、澪が唯にしがみついて登らなきゃいけないんだぜ」

律「はたして唯に澪が支えきれるかどうか……」

澪「それって、私が重いってこと……?」

律「あれ? 他にどう聞こえる?」

澪「律っ!!」

律「いや~冗談冗談。だけどさ、このクラスにはそんな木にピッタリな人がいるじゃん」

律「酒屋の娘で、押しても引いてもビクともしなさそうな……」

信代「もしかして、ワシのことかの~?」

律「そう! 信代を置いてそんな木役にピッタリな人はいないはず!」

信代「残念じゃの~。ワシはもう岩役に決まっとるんじゃ。ガッハッハッハ~!」

紬「ロミオとジュリエットが一緒に困難を乗り越えようと、重い岩を力を合わせて動かす
  そんな二人の共同作業の重要な場面だからノブちゃんをこの岩役から動かすわけにはいかないの」

澪「そんな場面ってあったっけ……?」

24: 2010/08/07(土) 17:49:06.04
和「それに、もうクラスの全員が唯に木Gをやってもらいたいって結果も出てるし」

律「それも、そうだな~。私も唯に投票した一人だしな」

澪「で、でも……」

唯「大丈夫! 毎日重いギー太で練習してるんだし、力だって相当ついてるはずだから
  澪ちゃんなんて軽々と持ち上げることが出来るよ!」

律「じゃあ、試しにおぶってみたら?」

唯「余裕余裕」

澪「だ、大丈夫かな……」

律「おや? 自分は重いかもって自覚があるのかな?」

澪「そ、そんなことはない! 唯! しっかりと私を支えてくれ!」

唯「ラジャー!!」

澪「ふぅ~~~~~~~~っ」

律「息吐いてその分軽くしようという試みですか?」

26: 2010/08/07(土) 17:56:26.37
澪「行くぞ唯」

唯「いつでも!」

澪「よいしょ……っと」

唯「うぐっ!?」

  ドサッ  プチッ

澪「ちょ!? 唯! 大丈夫か!?」

律「大変だー!! 唯が澪に潰されてペラペラになったー!!」

律「誰か! 誰か空気入れを持ってるお客様はいらっしゃいませんか!!」

和「そんなマンガみたいになるわけないでしょ」

和「ほら、唯もふざけてないで早く立ち上がりなさ……」

唯「……」

和「……ちょっと、唯?」

姫子「そんな……、唯……」

澪「えっ? ええっ!?」

27: 2010/08/07(土) 18:00:46.29
紬「大変! こんな時はあれよ! 人工呼吸よ!」

和「そ、そうね。じゃあ、幼なじみでもある私が……」

姫子「ちょっと待って、唯は私になついてるんだからここは私が……」

和「何を言ってるのよ。たまたま隣の席ってだけでしょ!」

姫子「あんたこそ、たまたま幼なじみだったってだけでしょ!」


                ゚・,从・゚;.バチバチ
  和 ──wwヘ√レvv──*──wwヘ√レvv── 姫子
          バチバチ.;・゚.W'゚・;.


律「お、おい! こんなときに火花散らしてどうするんだよ!」

28: 2010/08/07(土) 18:04:12.39
澪「おい唯! 頼むから目を覚ましてくれ~!!」

唯「う……うぅ……」

紬「唯ちゃん!」

唯「ムギ……ちゃん……」

紬「何? 唯ちゃん」

唯「ムギちゃんのお菓子、今日はまだ食べてなかったから……力が出ない……」

澪「みんな、聞いたか!? 私が重いせいじゃないって!」

いちご「必氏ね、見苦しい……」

澪「!?」

30: 2010/08/07(土) 18:11:47.43
律「まったく、人騒がせな奴だなぁ」

唯「えへへ、ごめんね」

紬「じゃあ、部室でケーキ食べた後にもう一度挑戦ね」

唯「今度は倒れたりしないよ!」

澪「本当に頼むぞ!!」


和「唯は、私が作る玉子焼きがこの世で一番好きなのよ」

姫子「唯は、私の長くてフワフワした髪が宇宙で一番好きだって言ってくれたし」

和「私は、唯の全身のホクロの数を知ってるのよ!」

姫子「私は、唯が授業中寝てる時に垂れた涎を舐めたこともあるし!」

和「昔はよく唯が『将来は和ちゃんと結婚する』って言ってたのよ!」

姫子「うぐっ!? 昔か……くそっ……幼なじみの強み……」

和「じゃ私生徒会行くね」フフン

姫子「あ! コラ! 勝ち逃げするな!」


律「何やってんだよ……」

31: 2010/08/07(土) 18:19:39.78
 放課後 部室

梓「先輩たちのクラスはロミオとジュリエットやるんですか」

紬「そうなのよ。私が脚本と演出で」

澪「私が……ロミオ……」

梓「宝塚歌劇団みたいなの期待してます!」

澪「あ、あんまりプレッシャーをかけないでくれ///」

律「で、私がジュリエット」

梓「吉本新喜劇みたいなの期待してます!」

律「うをいぃぃぃっ!! 中野ぉぉぉぉっ!!」

唯「そして、私は木G!!」

梓「G?」

唯「木GのGは『GOD』の『G』!!」

梓「そうなんですか~、へ~、すごいですね~(棒)」

32: 2010/08/07(土) 18:26:01.01
唯「もう! あずにゃんったら!」

梓「すみません。でも興味がないのも事実なんで」

紬「梓ちゃん、今回の唯ちゃんの木Gは物語の中核をなす役なのよ」

梓「木なのにですか!?」

紬「ロミオがジュリエットと愛を誓い合えるかどうかは唯ちゃんの木Gにかかってるの!」

律「そこまでのことか!?」

紬「もし、唯ちゃんが澪ちゃんの体重に耐えきれずに倒れたりなんかしたら……」

紬「その時点で物語は終りを告げるわ……」

唯「せ、責任重大だね……!!」ゴクリ…!!

澪「なんでそこまでして……」

33: 2010/08/07(土) 18:39:16.45
紬「じゃあ、ケーキも食べたことだし、早速澪ちゃんをおぶってみる?」

唯「ムギちゃんのケーキを食べたら元気100倍だよ!」

律「おやおや? 澪はケーキ食べないのか~?」

澪「わかってるくせに聞くな!」

唯「さぁ! 澪ちゃんどうぞ!」

澪「よ、よし」

唯「むふふ……澪ちゃんの胸が私の背中に」

澪「変なことを言うな!」

唯「じゃあ、立つよ」

紬「がんばって! 唯ちゃん!」

35: 2010/08/07(土) 18:45:37.29
唯「ふんっ!!」

澪「わわわっ!?」

律「おおっ! 立ち上がれるか!?」

唯「う、ううぅ……」プルプル

梓「唯先輩! 中腰の方がしんどいですよ!」

紬「そうよ唯ちゃん! しっかりと立ってしまった方が」

唯「うぐぐ……」プルプル

澪「頑張れ唯! 立つんだ!」

律「立つんだ! 唯ーーーー!!!!」




唯「駄目だ~~~~」バターン

澪「うわっ!?」

36: 2010/08/07(土) 18:50:51.92
律「あ~……、やっぱり駄目だったか~」

澪「唯! もっと頑張れ! 持ち上がらないわけないだろ!」

律「おい、澪、落ち着け」

澪「服か!? 服が重いのか!? 脱ぐか!?」

梓「澪先輩! 気持ちはわからないでもないですが、とりあえず脱ぐのはやめましょう!」

紬「唯ちゃん、大丈夫?」

唯「……」

梓「唯先輩?」

37: 2010/08/07(土) 18:54:47.70
唯「私……悔しいよ……」

唯「みんなが期待して私に木Gを任せてくれたのに……」

唯「澪ちゃんを持ち上げられないばっかりに……」

唯「そんな私は木G失格だよ!!」ダッ!!

紬「ああっ! 唯ちゃん!?」

  ガチャ バタン




梓「……行っちゃいましたね」

38: 2010/08/07(土) 19:00:51.59
律「も~、澪が重いばっかりに」

澪「わ、私のせい!?」

紬「澪ちゃんは悪くないわ」

澪「だ、だよな!」

紬「悪いのはいつもお菓子を持ってきて澪ちゃんを肥えさせてしまった私よ……」

澪「……」

梓(容赦ないなぁ……)

澪「……絶対」

律「ん? どうした?」

澪「絶対に痩せて、唯に難なくおぶらせてみせるっ!!」

律「なんかズレてきたなぁ……」

39: 2010/08/07(土) 19:07:52.43
 翌日

律「今日は、唯休みか……」

紬「昨日のことが相当堪えたのかしら……」

和「何かあったの?」

律「実は、やっぱり澪の体重に耐えきれずに」

紬「それで『私は木Gの資格が無い』って」

和「ああ、それで澪も着ぐるみを着てサウナダイエットしてるわけね」

澪「誰か……水を下さい……」カラカラ

律「お前も無理すんな」

40: 2010/08/07(土) 19:15:35.15
紬「唯ちゃん、大丈夫かしら……」

和「大丈夫よ、あの子ならきっと乗り越えることが出来るわ」

和「だって、今までやると決めて半端にしたことなんてないんですもの」

律「和……。さすが幼なじみの言う事は重みがあるな」

和「ええ、唯は必ず木をマスターする!」

姫子「そうね、それは私も保証する」

和「ちょっと、なんであなたがそんなこと言えるのよ」

姫子「だって、わかるものは仕方ないし」

和「デタラメ言ってるんじゃないわよ!」

姫子「あ~やだやだ。古女房が血相変えてさ」

和「ちょっと表に出なさい!」

姫子「やってやろうじゃないのさ!」

いちご「もう二人とも一生帰ってこなくてもいいわよ……」

和・姫子「!?」

澪「み、水……」カラカラ

44: 2010/08/07(土) 20:06:06.81
 放課後 部室

律「えっ!? 憂ちゃんも今日休みだったのか?」

梓「はい。連絡取ろうとしても携帯に出ようともしないんです……」

紬「これは……、事件?」

律「んなわけないだろ」

梓「きっと、唯先輩が落ち込んでるもんだから一緒になって……」

律「あ~、それはあり得るな」

紬「じゃあ、今日は唯ちゃんの家にお見舞いにいこうか」

律「そうだな、落ち込んでる暇があったら木になりきる練習しろ!
  って喝を入れてやるか!」

澪「ぁ…ょ…ゃ…ぇ…」

梓「あの……、ところで澪先輩は何故こんなにやつれているんですか?」

45: 2010/08/07(土) 20:10:49.41
澪「私が…重かったせいで…唯の…自信を…無くさせちゃったから…」

澪「だから…せめて…ダイエットをと…思って…」

梓「ああ~……」

律「昼もろくに食べてなかったもんな」

紬「澪ちゃん、それじゃあ元気出ないわよ!」

澪「いいんだ…劇が…終わるまでの…辛抱…だから…」

梓「でも、それじゃあ、劇も危ういんじゃ……」

律「そうだぜ澪。そんなダイエットなんて、失敗する最たるものだぞ」

紬「ちゃんとカ口リーや栄養バランスを計算した料理をウチのシェフに作らせるわ」

梓「普段の部室でもお菓子も一緒に我慢します」

律「そうそう、だからもっと健康的にいこうぜ」

澪「み、みんな……」ウルウル

46: 2010/08/07(土) 20:15:28.83
紬「あ、でも、今日持ってきたケーキどうしよう」

澪「それはムギが持って帰れば……」

梓「それはもったいないので食べましょう!」

律「もちろん澪は我慢な!」

紬「今日は特に美味しいやつなの!」

梓「本当です! すごく美味しいです!」

律「ああ! こいつは今までで一番美味しいな!」

梓「唯先輩にも食べてもらいたいです!」

律「そうだな、お土産に持ってくか!」

紬「何故だか今日は沢山持ってきたからいっぱい食べてね」

律「天国じゃ~」

澪「……」

47: 2010/08/07(土) 20:22:27.07
 ・ ・ ・ ・ ・

律「さて、ケーキもたらふく食べたことだし、そろそろ唯の様子でも見に行くか」

梓「そうですね。こんな美味しいケーキを食べたらきっと唯先輩だって元気になりますよ」

澪「ま、待って……」ヨボヨボ

紬「澪ちゃん、早く行かないと置いていっちゃうわよ」

澪「もはや、歩く元気もない……」

梓「世話がかかりますね~」

澪「お願いだから誰かおぶっていって……、いつもより軽くなってるだろうから……」

律「そんな一日やそこらで変わるわけないだろ」

紬「任せて、りっちゃん!」

48: 2010/08/07(土) 20:28:52.36
紬「さぁ、澪ちゃん。私にすべてを委ねて」

澪「ああ、頼む……」

紬「どっこいしょー!!」

澪「うをっ!?」

律「あら、いとも簡単に軽々と」

澪「や、やっぱり、ダイエットは成功したんだ!」

紬「そうね~。今の澪ちゃんの重さは私のキーボードで言うと3台と1/5くらいかしら」

梓「絶対重感!?」

律「えっと、ムギのキーボードの重さって何キロだったっけ……?」

澪「やめろ~、計算するな~」

50: 2010/08/07(土) 20:41:33.61
 ・ ・ ・ ・ ・

律「とうちゃ~く!」

澪「は、恥ずかしかった……」

紬「私は楽しかったわ♪」

律「すごいな。汗一つかかずに」

律(もう、ムギが木Gやればいいのに……)

澪「にしても、道行く人に見られまくってた……」

律「そりゃあ、女子高生が人をおんぶして
  笑顔で全力疾走してる様はどうしても注目を浴びざるを得ないだろうからな」

澪「ムギの前世はきっと飛脚だな……」

梓(澪先輩のスカートがめくれてパンツがずっと見えていたのは黙っておこう)

52: 2010/08/07(土) 20:51:31.97
律「ごめんく~ださい」

紬「唯ちゃ~ん?」

梓「憂~、いないの?」

律「留守か?」

澪「鍵開いてたんだから、そんなことはないだろ」

律「なら、おじゃましま~す」

澪「勝手に入っていいのか?」

律「鍵開いてるんだったら平気だって」

紬「それに……事件の可能性も捨てきれないわ」

梓「もう捨ててしまいましょう、縁起でもないです」

54: 2010/08/07(土) 20:56:34.59
律「唯~、いるのか~? 入るぞ~」

  ガチャ…

律「!?」

澪「!?」

紬「!?」

梓「!?」

澪「な、なんなんだ、この部屋は……」

梓「異様すぎます……」

紬「部屋一面に……これは、土?」

梓「カブトムシのような匂いがしますね」

律「土は土でも、これは腐葉土だ!」

56: 2010/08/07(土) 21:02:10.26
紬「プランターなんかで家庭菜園するときに使う土ね」

梓「それに、こっちには図鑑みたいなのもあります」

律「これは、学研こども図鑑シリーズ 光合成のしくみ!!」

紬「その近くにあるのは緑色の絵の具かしら……?」

澪「こっちには、肥料みたいなのもあるぞ」

律「それにHB-101まで……。唯、本気なんだな」

紬「このノート……何かしら?」

梓「見てみましょう!」

律「えっと……『木に土は必要不可欠。まずはそこから』これは、唯の字だな」

紬「続き、読んでみましょう!」

57: 2010/08/07(土) 21:07:52.89
律「『肥料まずい』あいつ……食ったのか……」

澪「『私は知っている。植物は光合成をして養分を得ている』
  なんだかいつもより知的だな」

梓「『どうやら光合成は葉っぱで行っているらしい。葉っぱは緑だ。
   緑の絵の具で全身を塗れば私だってきっと』
  そうでもなかったみたいですね……」

紬「『色々と試してみたけど、やればやるほど木にはなれないんじゃないかと思えてきた』
  唯ちゃん……きっと苦しんでいたのね……」

律「そりゃあ、木にはなれないだろ……」

梓「どうやらここで終わってますね……」

澪「最後の方の字は、唯が授業中寝ながら書いてる字みたいになってるな……」

律「まぁ、唯だし……やってる途中で眠くなったんだろうな……」

紬「ちょっと待って。最後のページに何か書いてある」

紬「『やっぱりあそこへ行かなければ』
  どういうこと? あそこってどこなのかしら?」

59: 2010/08/07(土) 21:12:34.05
    スン…  スン…

澪「な、なぁ。何か聞こえてこないか?」

紬「何かしら? 泣き声?」

澪「ひぃぃぃぃっ!」

梓「声が聞こえてくるのは憂の部屋からっぽいです!」

律「よし! 行ってみよう!」

60: 2010/08/07(土) 21:20:21.94
憂「ううっ……お姉ちゃん……」

梓「憂っ!」

憂「ヒッグ……梓ちゃん……」

梓「どうしたの!? 酷い顔だよ!」

憂「う……うわ~~~~ん!」

律「憂ちゃん! いったい何があったのか教えてくれないか?」

紬「唯ちゃんの部屋の状況から見てただ事じゃないことはわかってるわ!」

憂「お姉ちゃん昨日大量に何かを買って帰ってきたかと思ったら
  ずっと部屋に閉じこもりっぱなしで」

憂「心配だったけど、絶対に部屋には入らないでっていわれていたので……」

憂「そしたら朝になってリビングに下りてみたら、こんな書置きが」

    『屋久島に行ってきます』

律「屋久島……! あいつ、縄文杉を見にいったんだ……」

61: 2010/08/07(土) 21:27:41.11
紬「唯ちゃん憧れって言ってたもんね」

澪「そこまでして、唯は……」

憂「お姉ちゃん……」

梓「憂……」

律「憂ちゃんはお姉ちゃん大好きだもんな……」

梓「唯先輩が修学旅行に行っちゃったときも大変でした」

紬「大丈夫よ憂ちゃん、唯ちゃんすぐに帰ってくるわ」

律「そうだぜ、きっと『憂がいなきゃ何も出来ないよ~』って
  もう今にも泣きついてくるって」

憂「お姉ちゃん……私……辛いよ……」

澪「憂ちゃん……」

憂「あの部屋を掃除しなきゃいけない私の身にもなってよ~!」ビエ~ン!!

律「ええっ!? そっち!?」

澪「いや、そっちの方が結構切実かもな……」

62: 2010/08/07(土) 21:37:07.56
 数週間後

律「唯……まだ帰ってこないんだな……」

紬「学園祭、もう明日なのにね……」

澪「私もせっかくダイエットに成功したのに……」

律「もう、唯の木G抜きでやるしかないな」

紬「代役立てなきゃいけないわね……」

和「ちょっと待って! 木Gは唯しかいないわ!」

姫子「あんたたち軽音部の仲間だろ? もうちょっと信じて待ってやりなよ」

和「きっと唯は私に逢いたくなって明日には帰ってくるわ!」

姫子「いやいや、私の声が聞きたくなって、私のバイト先のコンビニにひょっこりと
   現れるに違いないって」

和「くっ!」

姫子「ちっ!」

律「また始まった……」

64: 2010/08/07(土) 21:48:36.54
和「あなたね! 本当は校則でアルバイトは禁止なんだってわかってるの?
  母子家庭で生活が苦しいのは知ってるけど、夜遅くまで働いてそのあと勉強して
  成績優秀者は学費免除になる大学へ入ろうって頑張ってるけど
  そんなんで本当に体がもつの? あんまり心配させるんじゃないわよ!」

姫子「あんただって、生徒会長やって学級委員長も引き受けて、この学校がよりよくなるために
   日夜努力しているにもかからわず、そんな苦労なんて微塵も感じさせないし
   私が生徒指導の先生にバイト見つかった時も、あんたがその先生に私がバイト続けられるように
   必氏に頼んでくれたって聞いて、なんて御礼を言えばいいかわかんないよ!」

和「そんな時代遅れのルーズソックスだって
  『私は時代になんて流されない』って意思表示っぽくってどこか素敵だって思ってたし」

姫子「メガネかけてる奴って優等生っぽくって良いイメージなかったけど
   私とここまでやりあった奴ってあんたくらいのもんだし
   それによく見たらそんなメガネ姿も可愛いかも……って」

和「こんど、唯の幼稚園のときの写真持ってきてあげるわ。姫リーナ」

姫子「ええ。楽しみにしてるわ。ノドッペ」

澪「いきなり友情が芽生えたっ!」

いちご「……ふん」

律「いちご?」

いちご「……うらやましい」ボソッ

クラス一同「!!?」

66: 2010/08/07(土) 21:55:15.57
 放課後 部室

梓「こんにち……」

唯「……」

梓「まだ、誰も来てない……か」

唯「……」

梓「唯先輩、今日も帰ってこないのかな……」

唯「……」

梓「憂も元気ないし……」

唯「……」

梓「ところで、この部室にある木はいったい誰のだろ?」

67: 2010/08/07(土) 22:03:10.26
唯「……」

梓「こんなところにあったら練習の邪魔になってしかたないし……」

唯「……」

梓「こんな変なイタズラする人なんて唯先輩以外に考えられないけど今はいないし……」

唯「……」

梓「唯先輩……早く帰ってきてください……私……」

唯「……」

梓「唯先輩に会いたい……」

唯「……私もだよ、あずにゃん」

梓「き、木が喋った!?」

68: 2010/08/07(土) 22:11:51.85
唯「やだな~あずにゃん、私だよ」パッ

梓「唯先輩! えっ? どうやって化けていたんですか!?」

唯「うん。ほら、こうやってじっとしてたら……」スッ

梓「木になった!」

唯「で、動くと」パッ

梓「すごいです! すご過ぎです唯先輩!!」

律「おい梓、さっきから部室の外にまで声が響いてたぞ」

澪「なにそんなに、はしゃいでるんだ?」

梓「あ! 唯先輩が帰ってきたんですよ!」

紬「唯ちゃん? どこ?」

梓「ここですよ! ここ!」

律「木しかないじゃん。それにしても邪魔な木だなぁ」

澪「ほら、部室の外に出すから梓も手伝ってくれ」

唯「みんな! ただいま!!」

律澪紬「木が喋った!!」

70: 2010/08/07(土) 22:22:54.76
 ・ ・ ・ ・ ・

律「ほぇ~~~」

澪「本当に唯なんだな……」

紬「し、信じられないわ……」

唯「屋久島まで行った努力の結果です!」

梓「でも、例え見た目が木みたいになっても澪先輩を支えることが出来なければ駄目なんじゃ……」

澪「大丈夫だ梓! 以前の私と比べたらりんご3つ分は軽くなってるはずだ!」

律「キティちゃんかよ……」

紬「唯ちゃん、大丈夫?」

唯「任せてよ!!」

72: 2010/08/07(土) 22:31:19.98
澪「じゃあ、行くぞ……」

唯「いつでもどうぞ!」スッ

唯「本物の木に登るみたいにしてもいいよ」

澪「よ、よし!」グッ

律「澪がしがみついて地面から足を離したのに……!!」

梓「唯先輩はビクともしないっ!」

紬「まるで本当に地面に根を張っているかの如く!」

澪「すごい……とても安定している……」

澪「やっぱりダイエットの成果があった!!」

律「行ける……行けるぞ唯!!」

梓「私、感動しました! 唯先輩!!」

紬「あの澪ちゃんの重さにも顔色一つ変えない
  やっぱり木Gは唯ちゃんしかいないわっ!!」

律紬梓「ゆ~い! ゆ~い! ゆ~い!」

澪「……」

74: 2010/08/07(土) 22:47:22.10
律「でも、よくそこまでになれたもんだよな」

紬「よっぽど屋久島で得たものがあったのね」

唯「うん。でも憧れの縄文杉さんの近くまで行って会うことは出来なかったんだけどね」

梓「そうだったんですか」

唯「でも、屋久島についた瞬間に私の『木の魂』の部分が反応したんだよ」

唯「そして気づいた……。今まで私は木を演じようってばっかり考えていた」

唯「屋久島にある木さん達はそんな私に
  『木は演じるものじゃない。そのにあるものだ』
  って話しかけてくれたんだ!」

唯「木はこの地球のすべての生き物を支えている」

唯「ときには、呼吸するための酸素を供給し
  ときには、草食動物の食糧としてその身を犠牲にし
  そして、人間の住む家の原料として」

唯「だから木になるために木を演じる必要なんてなかったんだよ」

唯「軽音部のみんなを助けたい……憂や和ちゃんの力になりたい……」

唯「そんな誰かを支えたいっていう気持ちが、私を木にさせてくれるんだよ!」

77: 2010/08/07(土) 22:56:31.21
 「・・・・・・」

唯「あれ? みんな?」

律「あ、ああ、ごめん……。
  ちょっと私たちの理解の追いつかないとこに行っちゃってるっていうかさ……」

紬「で、でも、なんだかすごいことだっていうのは、わかった気がするわ」

澪「私なんかのダイエットの努力より、よっぽど苦労したんだろうな
  その達観ぶりは、まるで仙人のようだぞ」

梓「お願いですから変な宗教だけは始めないで下さいね」

唯「やだな~あずにゃん。木は誰に対しても平等なんだからそんなことはしないよ~」

梓「そ、そうですよね。あははは……(もうその発言がどことなくヤバい)」

唯「それにね、私重要なことに気づいたんだ」

紬「重要なこと?」

唯「うん。『光合成』と『高校生』って似てない?」

律「えっ?」

79: 2010/08/07(土) 23:03:49.75
 学園祭当日 講堂

和「そろそろ木の出番よ。みんな準備出来てる?」

風子「あの……真鍋さん。まだ平沢さんが……」

和「ち、ちょっと唯! 早く段ボールで作ったその木の衣装着なさいよ!」

唯「和ちゃん。私にそんなものは必要ないんだよ」

和「何言ってるの、もう時間が無いんだから早いとこ着ちゃいなさ……」

紬「和ちゃん、大丈夫よ。唯ちゃんを信じてあげて」

和「ムギ?」

紬「きっと観客は唯ちゃんの木に釘付けになるわ」

和「……わかったわ。頼んだわよ唯!」

唯「うん!」

80: 2010/08/07(土) 23:10:11.70
律「ああロミオ、あたなはどうしてロミオなの」


梓「ぷっ」

純「梓~笑っちゃ失礼だよ~。……ぷっ」

憂「……もう、二人とも」
 
 \クスクス/ \プークスクス/ \プププッ/

律(ちくしょー……)


「ねぇ、木も生えすぎじゃない?」

「舞台上、殆ど木で埋まってるよね」

「可笑しい」

「これってお笑いロミジュリなのかな?」

「それにあの子なんか、制服のまま舞台に上がってきてるよ」

「ホントだ、いったい何役なのかしら? 変なの」


唯「……ふぅ~~~~っ」スッ

観客一同「!?」

82: 2010/08/07(土) 23:17:16.69
「お、おい。さっきまであそこにいた子は……?」

「木に……なった……?」

「それも、ただの木じゃないわ!」

「ああ、なんて雄大で、なんて美しく、そしてなんて優しさに充ち溢れた木だろう……」

「ご神木じゃ~。ありがたやありがたや~」

「ユグドラシル……。世界はあの少女によって支えられていたんだ……」

    ざわ…  ざわ…

「皆で、あの木を崇めよう!!」



純「ち、ちょっとちょっと。この人達どこから出てきたのよ」

梓「まぁ、学祭は一般の人も入ることができるから……」

憂「お姉ちゃんすごい!!」


澪「もう、劇どころじゃない……」

83: 2010/08/07(土) 23:26:39.41
 ・ ・ ・ ・ ・

和「みんな、お疲れ様。とても良かったわよ」

澪「一時はどうなることかと……」

律「ずっとアドリブとムギの即興脚本のカンペで進行してったけど……」

紬「ユイドラシルのもとに集まったロミオとジュリエットが
  アダムとイブになり世界を創造し直す」

紬「舞台上の雰囲気が変わったから急遽方針を変更したけど
  逆にオリジナリティが出ていいものになったわね!」

律「いったいどんな話なんだよ……」

唯「ごめんね。まさかあそこまで私の木オーラが出るとは思ってもみなくて……」

和「謝ることなんてないわよ。木GのGはまさしく『GOD』の『G』になったわね!」

唯「えへへへ~」

「ちょっといいかな?」

和「どなたですか?」

「私はこういう者で……」

和「映像制作会社?」

85: 2010/08/07(土) 23:33:02.11
「ところで、さっき木の役をやっていたのは……?」

唯「はい、私ですけど……」

「おお! 君か!」

「君には、ぜひ我々の作る作品に出演してもらいたいんだ。木役として!」

律「ええっ!? それって映画とかドラマとかってこと!?」

「君以外に我々が考えるあの木役をこなす人間はいない!」

澪「わざわざ木を人間でやる映画なんて聞いたことないぞ!?」

「もちろん主役だ!」

紬「すごいわ! 唯ちゃん! 木が主役のドラマなんて前代未聞よ!」

和「ちょっと待って! 唯、あなたはどうなの?」

唯「私?」

和「これはあなたが決めることよ、出たいの? 出たくないの?」

唯「私、私は────」

87: 2010/08/07(土) 23:38:11.12
 数週間後

憂「あ、みなさん、いらっしゃいませ。お姉ちゃん待ちわびてましたよ」

律「いや~、お招きに預かり光栄です」

澪「なんでそんなにかしこまってるんだよ」

律「だって、もう唯はドラマにも出る女優だぜ」

澪「木役だけどな……」

梓「それでもすごいです! テレビですよ、テレビ!」

紬「そうね。それに木役でも主役って言ってたし」

律「でも、どんな作品か唯ったら全然教えてくれないもんな」

澪「だからOAされる今日、こうやって唯の家に集まってみんなで見るんだけど」

梓「木が主役のドラマっていったいどんなドラマなんですかね?」

紬「楽しみだわ~♪」

89: 2010/08/07(土) 23:43:42.14
唯「あ~みんな~、あがってあがって~」

律「これはこれは大女優の唯様。ご機嫌麗しゅう」

唯「りっちゃんおかしいよ~」

澪「まさか友人がテレビに、しかもドラマに主役で出るなんて本当に誇りに思うよ」

唯「ありがとう、澪ちゃん」

紬「次は銀幕デビューね、果てはハリウッド」

唯「ムギちゃん、それは言い過ぎだよ~」

紬「うふふ、でも期待してるわ」

梓「なんだかとても遠くの存在になっちゃった気分です」

唯「そんなことないよ~、私はいつもあずにゃんの側にいるよ~」

梓「どさくさに紛れて抱きつかないで下さい!」

澪「やっぱりいつもと変わらないかもな」

91: 2010/08/07(土) 23:47:20.37
憂「あ、お姉ちゃんそろそろじゃない?」

唯「うん、そうだね。それじゃあスイッチオン!」

律「うわ~、なんかドキドキしてきた~」

澪「なぁ唯。そろそろどんな内容のドラマか教えてくれないか?」

唯「見ればわかるよ~」

澪「そ、それもそうか」

紬「なんだか私、緊張してきちゃった」

梓「私もです、自分が出るわけでもないのに」

唯「も~、みんなそんなに緊張することないのに~。は~い、リラ~ックス」

律「すでに大物だな」

92: 2010/08/07(土) 23:52:02.34
 ・ ・ ・ ・ ・

律「……なぁ、唯」

唯「なぁに?」

律「いつになったらお前のドラマが始まるんだ?」

唯「そんなにあわてなくても、もうすぐだよ~」

澪「主役って言ってたよな」

唯「そうだよ、めっちゃ主役!」

紬「でも……、さっきからテレビに映ってるのは……」

梓「世界ふしぎ発見ですよね……」

唯「ほら~もうすぐ私の出番だよ~」

律「出番ったってCMじゃん……」

澪「まさか……!!」

唯「私の夢が叶ったよ~♪」

93: 2010/08/07(土) 23:56:56.04
        ._
         \ヽ, ,、
          `''|/ノ         この木 なんの木 気になる木
           .|
       _   |          名前も知らない 木ですから
       \`ヽ、|
        \, V           名前も知らない木になるでしょう
           `L,,_
           |ヽ、)  ,、
          /    ヽYノ     この木 なんの木 気になる木
         /    r''ヽ、.|
        |     `ー-ヽ|ヮ    なんともふしぎな木ですから
        |       `|
        |.        |      なんともふしぎな木になるでしょう
        ヽ、      |
          ヽ____ノ   
        ,  ' ´/      ` ヽ    この木 なんの木 気になる木
      /,∠ / | .ト、  ',    ヽ
     / / フ'´⌒| .|`マ .',  ',  ヽ  見たこともない 木ですから
      /  {__/   | .| ∨ ', ', }.   ',
    j  .∧{γぅ  \|γぅ  } }/ l   } 見たこともない花が咲くでしょう
    { /  l弋_ノ    弋_ノ∨ / .| .| j
    ∨  j xxx    xxx/W  j) レ'     花が咲くでしょう
     {  (    ヘ    { ./  /|  !
     {   ヽ       |/  / ,'  |
     ∨  ∨> r―┐´{  / /\ |       HITACHI
      ∨\ ∨ /ゝ/lヽ{_/l/l/         inspire the Next
         /|/}{\/ |\
       /{ //x仆、 〉 |   ヽ      ┼ヽ  -|r‐、. レ |
      /   ヽi//ハ」/iー┘   }      d⌒) ./| _ノ  __ノ

94: 2010/08/07(土) 23:58:09.94
ここでスレタイwwwwwwwwwwwwwwww

95: 2010/08/07(土) 23:58:28.89
すばらしいオチだ

96: 2010/08/08(日) 00:00:18.52
それ木なのかwwwww
でも可愛いからいいやwwww

面白かった!おつ!

引用元: 唯「この木 なんの木 気になる木」