2: 2015/05/16(土) 23:05:58.05
「みんなのハートにどっきゅ~ん!
 初めまして! 赤座あかりだぴょ~ん!」

(っ・・・!?)


シーン


「あ・・・赤座、あかりです・・・
 1年間、宜しくお願いします・・・」ストッ


(な・・・な・・・)

(何あの子ー!?)ガーン

4: 2015/05/16(土) 23:08:25.87
お姉ちゃんのような女性に憧れて入った七森中学校。
この中学校に入れば、きっとお姉ちゃんのようになるヒントが見つかるはず。

そう思った矢先の、最初の自己紹介の時だった。
私の隣に座ったその子は、一瞬にして空気を凍りつかせたのだ。

しかもその子が名乗ったのは、お姉ちゃんがよく話している
「素敵なお友達」と同じ苗字だった。

(と、いう事は・・・
 この子が、お姉ちゃんが憧れている人が溺愛している妹・・・)

(・・・いやいやいや。
 流石にそれはないわよね。
 きっとたまたま苗字が同じなだけよ)

5: 2015/05/16(土) 23:09:40.23
「・・・って感じだったかなぁ」

「第一印象最悪!?
 うぅっ・・・あの時は色々あったんだよぉ・・・」

「聞いたよー。
 まったく、京子先輩が変な事言うから」

「う、ううん!
 あかりが勘違いしただけだから。
 京子ちゃんは悪くないよぉ」ニコッ

「いい子すぎて後光が!?」


そう、あかりちゃんはこういう子。
例え99%相手が悪くても、1%でも自分が悪いと思ったら、
「自分が悪い」と思う子なのだ。

6: 2015/05/16(土) 23:11:32.53
「はぁ・・・
 あかりちゃん、もっと自分を大切にした方がいいよ?」

「? どういう事?」

「極端な話、周りで起こる悲しい事を、
 全部自分が悪いんだって思っちゃいそうだもん。
 あかりちゃんが悪いんじゃない事だって、
 沢山あるんじゃないの?」

「あはは。流石に全部がそうとは思ってないよ?
 でもね、一人でも悲しいとか、辛いとか、苦しいとか。
 そういう気持ちの人がいたら、出来るだけ味方になってあげたいな、って」

「・・・疲れない?」

「疲れる時もあるよ。
 でも、その人が『ありがとう』って言ってくれた時は、
 すっごく、すっごく嬉しい気持ちになれるんだよぉ」ニコニコ

「私の悩みも、何も言わずに聞いてくれたもんね」

「ちなつちゃんは、あかりの大事なお友達だもん。
 お友達が悩んでたら力になるのは、当たり前の事だよぉ」

「・・・」

7: 2015/05/16(土) 23:12:50.68
「それにね」

「?」

「ちなつちゃん、いつもあかりに相談してくれるでしょ?
 それがちょっぴり自慢なんだぁ♪」

「・・・もう、あかりちゃんったら」クス



「ところで、ちなつちゃん・・・?」

「なぁに?」

「こ、この手は・・・ナンデショウカ・・・」

「ん? いつもあかりちゃんにはいーっぱい悩みを聞いてもらってるから、
 そのお礼。気持ちいいでしょ?」ゴンッ ゴンッ

「え、あ・・・ぐぁっ・・・!
 うん、き、キモチ・・・イイデス・・・ッ」

「でしょー?
 お姉ちゃんにもいつも褒められるんだよ?
 『ちなつの肩叩きは、まるでスチールボールみたいね』って!」

「ひっ、ひぃぃぃ・・・っ!
 あっ・・・」ガクッ

8: 2015/05/16(土) 23:14:30.57
「はっ!?」

「あ、あかりちゃん起きた?
 もぉ~、マッサージ終わって声かけても起きないんだもん。
 心配しちゃったじゃない」

「え、ぁ、ご、ゴメンネ・・・」


(あ、あかり、気を失ってたーー!?)ブルブル


「ねぇ、あかりちゃん」

「っ!!
 な、なぁに・・・?(い、嫌な予感がするよぉ・・・)」

「私のお姉ちゃんがね、あかりちゃんのお姉さんのマッサージを
 凄く気持ちいいんだよって、とっても褒めてたの」

「へ、へぇ・・・?」

「たまに、あかりちゃんにもしてあげてるって聞いたの」

「そ、そうだねぇ、たまーにしてくれるよ。
 あかり、凝ってる所なんてないんだけど・・・」

9: 2015/05/16(土) 23:16:42.77
「意識しないだけで、実際は凝ってるってよくあるみたいだよ。
 それでね、そのマッサージを、私も習得したいの!」

「・・・?」

「お姉さんにして貰ったマッサージを思い出して、
 私に実演して、教えて欲しいの!」

「え、え~と・・・
 でもお姉ちゃん、いつも夜9時になってからしてくれるから、
 いつもウトウトしちゃって、あんまり覚えてなくて・・・」

「じゃ、じゃあじゃあ、覚えてるところだけでもいいから!
 結衣先輩のために、もっともっと上手くなりたいの!」シンケン

「ちなつちゃん・・・」

(やっぱりちなつちゃん、友達想いで素敵だなぁ・・・♪)


「わかったよぉ。
 思い出しながら、やってみるね!」

「!!
 やった! あかりちゃん、ありがとぉ~!」ギュッ

「え、わわっ///」

10: 2015/05/16(土) 23:18:05.93
「んじゃ早速始めよっか。
 うつ伏せでいいのかな?」

「あ、うん。
 楽にしてていいよぉ」

「は~い♪」


(赤座家秘伝のマッサージを習得して、
 結衣先輩の高評価をモノにするのよ!チーナ!)


「じゃあ、はじめるねっ」

「うん!」

「えっと、最初は確か・・・こんな感じ・・・」グッ

「・・・あ、凄い、気持ちいい・・・」

「ほ、ほんと? 嬉しいな、えへへ///」


(あかりちゃんの手、こうして触れられてみると、
 やっぱり小さくて可愛いなぁ・・・)ウトウト

11: 2015/05/16(土) 23:19:53.09
「えっと、それで次はこの辺、だったかな・・・」フニ

「ひゃぁぁっ!?」

「だ、大丈夫!? ごめんね、痛かった!?」アワワ

「あ、だ、大丈夫! ちょっとびっくりしただけだから!
 私の事は気にしないで続けて!(い、今のはまさか・・・)」


「そ、そう?
 じゃあ続けるね・・・よっと」フニ

「っっ・・・!!///」


「確か、この辺を、こう・・・」フニフニ

「ぅあっ・・・!///」


「そんで、この辺から、こう・・・」スリリッ

「んっ・・・ぁ・・・!///
 (あっ・・・あかねさん、これは・・・)」


「次は、えっと・・・こうだったかな・・・」サワッ

「ひゃんっ///」ビクン


「あ、思い出した。
 そんで最後にこうやってから・・・」ピトッ

「ふあぁっ!?///」


「こう、だよねっ」ギュッ

「んくっ・・・///
 (あ、あかねさーーん!?///)」

12: 2015/05/16(土) 23:21:39.81
「はい、おしまいだよぉ。
 ど、どうだったかな・・・?」

「う、うん。
 凄く、気持よかった! うん!」

「ほんと? よかったぁ」ニコニコ

「あかりちゃんのお姉さんが、あかりちゃんの事が大好きなのが、
 すっごく伝わってくるマッサージだったよ・・・」

「そ、そうかなぁ。えへへ///
 あかりもお姉ちゃん大好きだから、嬉しいよぉ」パァァ


「・・・あ。もうこんな時間!
 ごめんねあかりちゃん、もう帰らなきゃ」

「ほんとだ、もうこんなに時間が経ってたんだねぇ。気付かなかったよぉ」

「それじゃあかりちゃん、今日は色々と教えてくれてありがとう!
 また、学校でね!」フリフリ

「うん、またねー!」フリフリ

13: 2015/05/16(土) 23:23:05.71
「あのマッサージは・・・
 あかねさんは、間違いなく・・・」


『・・・気付いてしまったのね・・・?』


「あっ・・・!
 あかっ・・・! ひっ・・・!」


「ちなつちゃーん!」タッタッタ

「! あかりちゃん!」

『・・・あらあら』フッ…

「よかったぁ、忘れ物してたよ? はい」

「あ、ほんとだ。全然気付かなかった。ありがとね」

「ううん、まだ近くに居てよかったよぉ。
 気をつけて帰ってね! ばいばーい!」フリフリ

「うん! ありがとう、またね!」フリフリ


タタタ…

14: 2015/05/16(土) 23:24:38.29
「助かった・・・間一髪ってとこね・・・」

『うふふ・・・
 吉川さん、だったわね』

「っ!?」ビクーン

『くれぐれも、内密にね・・・?
 うふふふふ・・・』スーッ

「はっ・・・!?
 あ、あれ!? 居ない・・・!?」キョロキョロ


「・・・と、とにかく帰らなきゃ!!」

15: 2015/05/16(土) 23:25:43.06
「ただいまー!」

「あら、おかえりちなつ。
 楽しかったみたいね」

「うん! あれ、お客様?」


「こんばんは」スッ

「ヒッッ!!!」チーン


「ちなつ!? どうしたの!?
 ・・・気を失ってるわ・・・」

「あらあら・・・
 どうしたのかしら・・・ね?」ニッコリ



\オッワリーン/

16: 2015/05/16(土) 23:31:27.44
え?

17: 2015/05/16(土) 23:59:50.26
確かに話はキレイに落ちているが、まだまだエスカレートできるはずだぞ?

ちなみにあかりちゃんはわりとニブイのか、
妙な気分になるのが普通のマッサージだと思っているのかどっちなんだろう…

引用元: 【ゆるゆり】ちなつ「クラスに可哀想な子がいる」