1: 2013/11/21(木) 22:40:37.62
――765プロ事務所
――21:30

小鳥「…」カタカタ、カチカチ、

夜、誰もいない事務所。今日は金曜日、世間は明日が休みなこともあって、賑わってる。

…私、こんなところで何してるんだろう…。

小鳥「はぁ…」ズズ...

コーヒーも、ぬるくなっちゃった。さっきまで、温かかったのに。

小鳥「…」

…。

普段は、アイドルの皆がいて、社長がいて、あの人がいて。

小鳥「あーあ…」ハァ...

一人って、寂しいなぁ。

あの人は、今ごろなにをしているんだろう。きっと、彼女と一緒にいるんだろうな。

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385041237/

2: 2013/11/21(木) 22:41:39.94
…。

……。

あれ?

そういえば、あの人に彼女はいるのかな?

小鳥「…」ズズ...

嫌だな。気付いちゃった。なんで今、気付いちゃうんだろう。

あの人の事、知っていそうで知らなかった。

好きな食べ物…知ってる。
嫌いな食べ物…知ってる。

好きな音楽、好きな場所、好きなものetc.etc.

3: 2013/11/21(木) 22:42:50.73
だけど、大切な事は、知らなかった。

知らなかった?うぅん、違うよね。

知りたくなかったんだよね。

だって、好きだから。

告白する勇気もない私に、好きな人がいるかどうかなんて聞けないし聞きたくないし、知りたくない。

…うぅ、だめだめじゃない…。

小鳥「…」チラッ

外は真っ暗。…灯かりはあるけど。

お母さんも、お父さんも、酷いよね。小鳥、なんて名前。

人は、空を飛べないのに。…ホントは、私だって飛びたい。

…あの人のところまで。

4: 2013/11/21(木) 22:44:30.16
小鳥「…」ピッ、ピッ、

―カチッ、ブゥゥゥン...

暖房、強くしなきゃ。寒くなってきちゃった。

小鳥「…」ブルルッ

でも、やっぱり寒い。人工の暖かさじゃ、物足りない。

ぎゅって。ぎゅって…してほしい。

あの時みたいに。あの人に。

小鳥「…」ギュッ

なんで、あの人はあの時、私をぎゅってしたんだろう。して、くれたんだろう。

もしかして、あの人も私を好きとか?

…勘違いだったら、どうしよう。でも、聞いてみたい。

小鳥「…」ゴソゴソ

携帯…あった。

小鳥「…」

電話帳。あの人の名前を探す。

5: 2013/11/21(木) 22:45:34.82
小鳥「…」クスッ

…ふふっ。今の私、どんな顔してるんだろ。あの人の名前を見るだけで、こんなににやにやしちゃって。

アイドルの皆には、見せられない顔しちゃってる。きっと。たぶん。ぜったい。

アイドルの皆には、見せられない顔。

でもね。

あの人には、見てほしい。

小鳥「…好き」

言葉に出すと、実感する。

あぁ…私、こんなにあの人の事が

小鳥「好き、」ボソッ

6: 2013/11/21(木) 22:46:04.07
――ガチャッ

8: 2013/11/21(木) 22:47:26.21
「良かった!小鳥さんがまだ残ってくれていて」

9: 2013/11/21(木) 22:48:06.79

…えっ?


11: 2013/11/21(木) 22:49:36.62
「会議先から直帰しようと思ったんですけどね?会議の終わり際、TV局のプロデューサーにこんなものをいただきまして…」

小鳥「あ、それ…」

お酒。しかも、ちょっぴりお高い。

「一人で飲むのも寂しいなぁと思いまして、」

あの人が…ううん、この人が、少し照れくさそうに笑う。

小鳥「ふふっ。いいですよ?私で良ければ、お供します」クスクス

「ははっ。小鳥さんなら、そう言ってくれると思ってました」

12: 2013/11/21(木) 22:50:45.76
当たり前じゃないですか。だって、わたし

13: 2013/11/21(木) 22:51:53.43
小鳥「好きなんですから」クスッ

14: 2013/11/21(木) 22:52:52.55
「おっ?小鳥さんもこの銘柄好きなんですか?実は俺もなんですよ」

なんて言いながら、準備を始める。

小鳥「ばーか」

「えっ?なんですかー?」カチャカチャ

小鳥「ふふっ。なんでもありませんよ?」クスクス

「?」

そう。なんでもないの。

なんでもない今が、きっと積もっていって。

私に勇気をくれるから。

小鳥「ねぇ、プロデューサーさん?」

「なんです?あ、準備出来ましたよ?お猪口が無いんで、予備のマグカップでいいですよね?お互い、明日は休みなんですし」

16: 2013/11/21(木) 22:53:52.39
小鳥「…ぷっ!」クスクス

あー、可笑しい。さっきまでくだぐだ悩んでた私が馬鹿みたい。

「いきなり笑うなんて、ヒドいじゃないですかー。小鳥さんだって、一人のクセし…て…」

小鳥「むぅ…」ムスッ

「ごめんなさい…」

小鳥「まったく…」

ホントこの人は一言多いんだから。

「さ、さっきの失言は乾杯の一杯と一緒に飲んじゃってください」

なんて、ちょっぴり苦笑いしながら言ってこられたら、許してあげるしかないじゃない。まったく…。

「じゃ、じゃあ乾杯」

小鳥「はい、乾杯」

17: 2013/11/21(木) 22:54:37.91

―カチン


18: 2013/11/21(木) 22:55:03.38
マグカップとマグカップでの乾杯。風情も無ければ、甘い雰囲気も無い。

19: 2013/11/21(木) 22:55:35.45
小鳥「でもね?」

20: 2013/11/21(木) 22:56:09.53
「ん?小鳥さん?」

小鳥「好きだったり、するんですよ?」

21: 2013/11/21(木) 22:56:58.58
終わりです。

それでは、ここまでありがとうございました

22: 2013/11/21(木) 23:00:17.20

小鳥さん可愛い

23: 2013/11/21(木) 23:00:49.23

引用元: 小鳥「でもね?」