1: 2012/12/27(木) 22:14:32.77
マッチ売りの少女「マッチ買ってください
マッチ買ってください」

マッチ売りの少女「今日もダメかな……」

男「私に売ってくれるかな?そのマッチ」

マッチ売りの少女「え?あ、はい!」

男「ところで君……自分の能力に目覚めているかい?」

マッチ売りの少女「は……?能力、ですか?」

男「まだ気づいていないのか……
ならば教えてあげよう
君が能力者で、これから能力者達の戦いに巻き込まれなければならないということを」

マッチ売りの少女「私が……能力者……?」

8: 2012/12/27(木) 22:19:50.43
男「実はこの世界にはある特別な能力を持つ人間が存在する
そしてその内の一人が君」

マッチ売りの少女「わ、私ですか!?」

男「まだ君は自分の能力に気づいていないようだがね
そして、とあるお金持ちがその能力者達を集め頃し合いをさせているんだ」

マッチ売りの少女「こ、頃し合い……」

男「ああ
そして私もそのスタッフだ
君を連れて行くために来た」

マッチ売りの少女「い、嫌です!私、頃し合いなんてできません!
それに、まだ能力も使えないもん!」

11: 2012/12/27(木) 22:22:23.65
男「それは困る
私も仕事なんだ
上から、君を連れて来ることが出来なければ首にされると言われている
ただし、氏体でも構わないとね」

マッチ売りの少女「ひっ……」

男「わかるだろ?
着いて来なければ頃し合いをする前に氏ぬことになると」

マッチ売りの少女「そ……そんな……」

男「私もいたいけな少女を無理矢理連れて行くことはしたくないのだがね」

15: 2012/12/27(木) 22:25:48.61
マッチ売りの少女「こんな所で……氏にたくないです……」

男「いい子だ
目隠しをしたまえ、会場の場所を知られたくないからな」

マッチ売りの少女「はい……」






マッチ売りの少女「(あれからどれくらい時間が経っただろう……
馬車に乗って、船に乗り継いで、また馬車に乗って……数十時間は経っているような気がする)」

男「着いたよ
ここが戦いの会場だ」

16: 2012/12/27(木) 22:29:03.70
マッチ売りの少女「ここは……森?」

男「更地より相手の姿が見えにくい森はスリルがいっぱいで楽しそうだろ?」

マッチ売りの少女「……」

男「間もなく戦いは始まる
我々スタッフの付き添いもここまでだ
ではがんばってくれたまえ」

マッチ売りの少女「あの……連れて来てくれてありがとうございました!」

男「お礼を言われたのは初めてだ……
君のこと、応援するよ!
では、さようなら」

19: 2012/12/27(木) 22:34:09.58
マッチ売りの少女「間もなく戦いは始まるって言ってたけど、いつ始まるんだろう……」

ブォーン

マッチ売りの少女「ひっ!
これが開始の合図かな……」

マッチ売りの少女「でも私、超能力がまだないからどうすればいいんだろう……
ひたすら隠れて終わるのを待つしかないのかな……」

ガサゴソ

マッチ売りの少女「(葉っぱの音!?誰?とにかく隠れないと!)」

浦島太郎「あれ?こっちから物音がしたんだけどな……」

21: 2012/12/27(木) 22:36:57.61
マッチ売りの少女「(男の子……?私だけじゃなく、他にも子どもが参加させられてたんだ……)」

浦島太郎「隠れてないで出てこーい
僕は敵じゃないぞー!」

マッチ売りの少女「(敵じゃ……ない?)」

浦島太郎「僕も争いは好きじゃないんだ!誰かと一緒にいた方が安心できるし、平和的な解決方法も見つかると思うんだ!
だから出てきてくれ!」

マッチ売りの少女「(もしかして誘き出すための罠?でも悪そうな人じゃないし……)」

26: 2012/12/27(木) 22:41:32.79
浦島太郎「どうしても出てこないんじゃしょうがない
別の仲間を探そう
攻撃してこないってことは僕と同じで戦いを好まないと思ったんだけど……」

マッチ売りの少女「あの!」

浦島太郎「あっ!」

マッチ売りの少女「か、隠れてごめんなさい!あなたのことが信用できなくて……」

浦島太郎「いや、出てきてくれただけでも嬉しいよ!
それにしてもこんな可愛い女の子まで戦いに巻き込むなんて……!」

マッチ売りの少女「か、可愛くなんてないですよ!」

30: 2012/12/27(木) 22:47:55.00
浦島太郎「十分可愛いって!」

マッチ売りの少女「(とにかく……初めに出会った人が優しい人で良かった……ほっ)」

浦島太郎「ところで君はどんな能力を持っているの?」

マッチ売りの少女「能力……
ごめんなさい!
私、この戦いのスタッフに言われるまで能力のことさえ知らなかったんです!
えっと……」

浦島太郎「自己紹介が遅れたね
僕は浦島太郎!君は?」

マッチ売りの少女「た、ただのしがないマッチ売りの少女です……」

33: 2012/12/27(木) 22:51:10.42
浦島太郎「名前とかはないの?」

マッチ売りの少女「すみません……」

浦島太郎「いや、いいんだよ
ところでさっき何か言いかけてたけど」

マッチ売りの少女「あっあの、浦島太郎さんの能力って何ですか?」

浦島太郎「僕の能力?それは……」

狼「こんなところに美味そうな奴らがいるじゃねえか……」

マッチ売りの少女「し、しゃべれる狼……!?」

38: 2012/12/27(木) 22:56:29.99
浦島太郎「その腹は……」

狼「俺が獲物を食べたとき、そいつの知り合いが腹から獲物を取り出そうとして切ったんだよ!
あの時は屈辱だったぜ……」

狼「とにかく、腹が減ってるからお前らを喰わせろよ」

マッチ売りの少女「そ、そんな……!」

浦島太郎「大丈夫、僕に任せて!」

マッチ売りの少女「大丈夫なんですか?」

浦島太郎「さっき能力を知りたがってたでしょ?
ちょうど良いから見せてあげるよ!」

41: 2012/12/27(木) 23:00:31.55
狼「面白え……ただ、俺の能力の前でその能力を使えるかな?」

マッチ売りの少女「狼さんが……消えた……?」

狼「俺の能力は擬態、何にでも変身できるのさ
例えば……」

マッチ売りの少女「お前にもな」

マッチ売りの少女「そんな……!」

マッチ売りの少女「(こんな狼さん相手に浦島太郎さんはどうやって……)」

浦島太郎「見せてあげよう
僕の能力……それは」

43: 2012/12/27(木) 23:06:29.49
浦島太郎「この箱さ!」

マッチ売りの少女「箱?それでどうやって狼を……」

マッチ売りの少女「ちょっと、あなたが狼さんでしょ!」

マッチ売りの少女「あなたこそ!」

浦島太郎「上手く化けたところで無意味だよ!
何故なら、君たち二人に同時に能力を使うからね!」

マッチ売りの少女「え?どういうこと?」

浦島太郎「この箱は時を閉じ込められるのさ!
例えば君たちに使うと……」

45: 2012/12/27(木) 23:11:01.30
狼「す、姿が戻っちまいやがった!」

マッチ売りの少女「どうして……?」

浦島太郎「狼が変身するちょっと前から今までの時を封印したんだ
だから狼が変身するちょっと前に状況が戻ったんだよ」

狼「なに、また変身すればいいことだ!」

浦島太郎「いや、そうはさせない」

狼「な、なんだ……体が縮んで……バブー」

浦島太郎「赤ちゃんに戻って、また人生をやり直しな!」

マッチ売りの少女「す、すごいです!」

浦島太郎「ただ、欠点があるんだ……」

マッチ売りの少女「欠点?」

浦島太郎「この箱を開けると、閉じ込めた時の分、また時が進んじゃうんだ
つまり、開けたらまた狼はさっきの変身した状態になっちゃうってことさ」

46: 2012/12/27(木) 23:13:04.20
マッチ売りの少女「じゃあもうその能力は使えないんじゃ……」

浦島太郎「そういうこと」

マッチ売りの少女「また敵が来たらどうするんですか!」

浦島太郎「その時はその時だよ」

マッチ売りの少女「むぅー……」

49: 2012/12/27(木) 23:16:39.14
……

マッチ売りの少女「もうしばらく歩きましたね」

浦島太郎「新たな仲間に会えたらいいと思ったんだけどね……」

マッチ売りの少女「ところで、仲間を集めてどうするんですか?」

浦島太郎「とりあえず、最強の能力者を倒す」

マッチ売りの少女「最強の能力者?」

浦島太郎「反逆者が出たときに抑える役割を担っているんだよ
そいつを突破できなきゃ始まらない!」

マッチ売りの少女「へぇ~
何でそんなに詳しいんですか?」

浦島太郎「それは……」

50: 2012/12/27(木) 23:21:10.53
シンデレラ「あ!」

マッチ売りの少女「え?」

シンデレラ「あんた達、私に歯向かう気じゃないでしょうね!」

浦島太郎「とんでもない!むしろ僕達はこの戦いを止めたいんだよ」

シンデレラ「そ、そう!なら安心ね
まあ、あんた達が束になっても私には適わないでしょうけど!」

マッチ売りの少女「それじゃあ、仲間を探しているので
また会えたら嬉しいですね」

シンデレラ「ま、待ちなさい!着いていってあげてもいいわ
あんた達すぐやられそうだし」

マッチ売りの少女「(確かに私も浦島太郎さんも能力が使えないし……)」

55: 2012/12/27(木) 23:27:42.05
マッチ売りの少女「じゃあ一緒に行きましょう!良いですよね?浦島太郎さん」

浦島太郎「勿論だ!」

シンデレラ「ま、まあ私が断られるわけないわよね!」

……

マッチ売りの少女「そういえば、その反逆者ってどれくらい強いんですか?(訳ありみたいだし、何で知ってるの?とか聞くのやめておこう)」

シンデレラ「反逆者?」

マッチ売りの少女「かくかくしかじかです」

シンデレラ「そんな奴が……まあ私には適わないでしょうけどね」

浦島太郎「いや、あいつは相当強い
僕達なんか一瞬で消されるくらいにね」

56: 2012/12/27(木) 23:35:54.16
浦島太郎「そうこうしてる内に……敵みたいだね」

ジャック「よう……」

マッチ売りの少女「ひっ……(怖い!)」

ジャック「知ってるか?この戦いを勝ち抜けば願い事が何でも叶うんだとよ」

マッチ売りの少女「でも、人を頃してまで願いを叶えるなんて!」

ジャック「人のことなんか知ったこっちゃねえ
この豆の木を喰らいな!」

浦島太郎「豆を蒔いた瞬間巨大な木が生えた……!」

ジャック「それだけじゃねえ、こいつは動くんだよ
行け!豆の木!」

57: 2012/12/27(木) 23:39:41.28
マッチ売りの少女「い、いやあああ!」

浦島太郎「あ、危ない!」

ドゴォン

シンデレラ「全く、私がいなきゃ何もできないのね!」

浦島太郎「素手で木を……それにその格好!」

シンデレラ「私の能力は、一定時間魔法で変身して能力を上げるのよ!」

ジャック「くっ……豆の木!連続攻撃だ!」

シンデレラ「そんな生っちょろい連続攻撃簡単に受け止められるに決まってるじゃない!」

61: 2012/12/27(木) 23:43:27.57
ジャック「くそっ!」

マッチ売りの少女「こ、殺さないで!」

シンデレラ「もちろんよ!たぁっ!」

ジャック「うっ」

シンデレラ「気絶させただけ
全くあんた達、しっかりしなさいよね」

マッチ売りの少女「ごめんなさい……」

シンデレラ「本当私がいなきゃ心配だわ!」

浦島太郎「助かるよ!」

シンデレラ「べ、べべべ別にあんたの為にやってるわけじゃないんだからね!」

浦島太郎「素直じゃないなあ」

63: 2012/12/27(木) 23:49:22.75
……

シンデレラ「あれからしばらく経ったわね」

浦島太郎「もう人はほとんど残っていないのかな」

?「その答えを教えてあげよう
もう私と君達以外は残っていない」

マッチ売りの少女「え……?」

?「何故なら私が全て倒したからだ」

浦島太郎「バカな!そんな早く……」

?「その前に私の正体を教えてあげよう
私は……」

桃太郎「桃太郎だ!」

67: 2012/12/27(木) 23:56:08.03
マッチ売りの少女「桃太郎……?」

桃太郎「願いを叶えるために私は犠牲もいとわない」

マッチ売りの少女「酷い……!」

桃太郎「いくら吠えたって力のない者にはどうしようもすることはできない」

マッチ売りの少女「うぅっ……」

シンデレラ「言いすぎよ!」

桃太郎「変身か……でも私の敵じゃない」

ブォン

シンデレラ「うっ……」

マッチ売りの少女「シンデレラさん!」

浦島太郎「剣圧……!」

70: 2012/12/28(金) 00:00:09.12
桃太郎「更に僕の能力!仲間を召喚する!」

犬「グルルル」

キジ「キェー」

猿「ウキー」

マッチ売りの少女「そんな……私達は能力が使えないし、シンデレラさんは気絶しちゃったし……どうすれば……?」

浦島太郎「君の能力を使うんだ!」

マッチ売りの少女「え……?」

浦島太郎「そのマッチだよ」

マッチ売りの少女「マッチ……?」

マッチ売りの少女「マッチ……買ってください」

桃太郎「……はい」

73: 2012/12/28(金) 00:03:36.10
マッチ売りの少女「買ってくれた……?」

浦島太郎「君の能力……それはマッチを買わせて暖かい心にさせること」

マッチ売りの少女「私にそんな能力が……!」

シンデレラ「み、見直したわ」

マッチ売りの少女「シンデレラさん!」

?「狼が出たぞー!」

浦島太郎「お前は……最強の能力者!」

?「あまりに遅いからこっちから来たよ
狼が出たぞー!」

74: 2012/12/28(金) 00:08:39.74
シンデレラ「何よその狼が出たぞーって」

浦島太郎「それこそが奴……狼少年の能力」

狼少年「そう
どんな嘘でも三回付けば本当になる能力さ
狼が出たぞー!」

狼「ガルル」

マッチ売りの少女「本当に狼が……!」

浦島太郎「でも、伝説の能力を持つ君なら大丈夫だよ」

マッチ売りの少女「え……?」

マッチ売りの少女「そ、そっか!(伝説の能力?)
マッチ……買ってください」

狼少年「……はい……」

ボウッ

狼少年「暖かい……」

シンデレラ「それはズルすぎるでしょ……
伝説の能力とはいえ……」

75: 2012/12/28(金) 00:11:54.38
マッチ売りの少女「この戦いで氏んだ人、みんなが生き返って、戦いはなかったことになる
って三回言ってください!」

狼少年「もちろん
この戦いで氏んだ人、みんなが生き返って、戦いはなかったことになる
この戦いで氏んだ人、みんなが生き返って、戦いはなかったことになる
この戦いで氏んだ人、みんなが生き返って、戦いはなかったことになる」

ゴゴゴ

マッチ売りの少女「これは……?」

浦島太郎「恐らく世界が崩壊し始めたんだ
この戦いも、能力もなかったことになるからね」

浦島太郎「最後に、なぜ僕が全て知っていたかを教えてあげよう」

77: 2012/12/28(金) 00:16:11.77
浦島太郎「僕の能力は箱に時を閉じ込めること
つまり、僕や世界など全ての時を閉じ込めることで過去に戻れるのさ
何回繰り返してもこの戦いを止めることはできなかった
そこで本を調べていたら、伝説の能力についての記述があったんだ
狼少年が敵に回っている以上、伝説の能力に頼るしかないってね
そしてついに君を見つけた
ただ、一回目は君の能力を目覚めさせることに失敗してしまった
だから今回君の能力を使わざるをえなくしたんだ」

マッチ売りの少女「でも、その箱開けたら意味がなくなるんじゃ……」

浦島太郎「この箱が時を閉じ込めたという時間を閉じ込めただけさ」

浦島太郎「おっと、お別れの時間だ」

79: 2012/12/28(金) 00:19:03.48
浦島太郎「じゃあ、また会えたらいいね」

シンデレラ「な、何だかんだあんたのそのチート能力に助かったわ
か、感謝してるわ……」

マッチ売りの少女「また会いましょう!それまでばいばい!」

ピカーン

……

マッチ売りの少女「ここは見慣れた町……そっか、なかったことになったんだよね
また頑張り直そう!
マッチ買ってください!」

終わり

81: 2012/12/28(金) 00:22:04.42
眠くて適当に打ち切った
すみません
出来たら似たような設定で誰か書いてほしい

82: 2012/12/28(金) 00:23:47.20
発想は好き

引用元: マッチ売りの少女「私が……能力者……?」