1: 2012/10/07(日) 18:54:07.78
>放課後

梓(今日の部活はお休み)

梓(だけれど私は部室に向かっています)

梓(ムギ先輩に呼び出されてしまったから)

梓(なんの話でしょうか?)

梓(そんなことを考えながら階段を登り、扉を開くと、ムギ先輩と目が合いました)

梓(ムギ先輩は少し顔を赤らめ、緊張した面持ちです)


紬「来てくれたんだ」

梓「はい」

紬「あのね! あずしゃちゃん」

梓「……プッ」

紬「///」

2: 2012/10/07(日) 18:55:32.10
梓「落ち着いてください、よしよし」ナデナデ

紬「ご、ごめん」シュン

梓「くすっ。でもムギ先輩が噛むなんて珍しいですね」

紬「……うん」

梓「それで、なんの用事だったんですか?」

紬「あのねっ、好きなの」

梓「えっ」

紬「私、梓ちゃんのことが好きなの!」

梓「私のことが……好き?」

紬「うんっ!」

3: 2012/10/07(日) 18:56:44.47
梓「えっと……」

紬「……」

梓「す、すいません。あまりに突然だったので面食らってしまって」

紬「ご、ごめんね」

梓「あ、謝らないでください……。ムギ先輩が私のこと好きだなんて……」

紬「ずっといいなって思ってたの」

梓「ずっと前から……」

紬「うん」

梓「あの、3日だけ考えさせてもらえますか?」

紬「うん。何日でも待つから」

梓「……すぐに返事できなくてすいません」

紬「ううん。いいの。考えてもらえるだけでも、幸せだから」ニコ

梓「ムギ先輩……」

紬「それじゃあ私、もう帰るね。バイバイ」

5: 2012/10/07(日) 18:57:44.73
>中野宅

梓(ムギ先輩に告白されてしまった)

梓(ムギ先輩……)

梓(ティータイムを否定した私を笑顔で迎え入れてくれた優しい人)

梓(世話焼きで気遣いができて、いつもにこにこ私達にお茶をいれてくれる人)

梓(でも実はちょっとおっちょこちょいで食いしん坊で……かわいい人なんだ)

梓(……いいにおいもするし、おっOいも大きいし)

梓(今まで恋愛対象として見たことはなかったけど……)

梓(……)

梓(……)

梓(……)

ターン♪タタタタタターン♪

梓(あれ、メール。澪先輩からだ)

梓(今から公園に来て欲しいって書いてある)

梓(何の用だろう?)

7: 2012/10/07(日) 18:58:36.92
>公園

澪「……梓、ちゃんと来てくれたんだ」ホッ

梓「澪先輩?」

梓(今日のムギ先輩に負けないぐらい真っ赤だ)

澪「梓。これを受け取って欲しい」

梓「封筒ですか?」

澪「あぁ」

梓(封の部分にハートのシールが貼られたピンクの封筒。これって……)

梓(なかには便箋が一枚)

梓(【好きです】)

澪「読んでくれた?」

梓「はい」

澪「わかると思うけど、梓のことが好きなんだ。私と付き合って欲しい」

9: 2012/10/07(日) 18:59:20.07
梓「…」ポカーン

澪「梓?」

梓「…ハッ! あまりのことに一瞬意識が飛んでしまいました」

澪「そんなに意外だったかな?」

梓「はい……まぁ」

梓(まさか一日に二回も告白されるなんて……それも澪先輩とムギ先輩に)

澪「それで……どうだろう?」

梓「えーっと……」

澪「返事だよ、返事」

梓「……それは」

澪「いいんだ。振るならスッパリ振ってくれ! 嫌だけど我慢するから……」

梓「……3日だけ」

11: 2012/10/07(日) 19:00:01.79
澪「えっ」

梓「3日だけ、考える時間を頂いてもいいですか?」

澪「あっ……うん」

梓「ごめんなさい澪先輩。いきなり告白されて頭の中がまとまらないんです」

澪「いや、いいんだ。私が突然過ぎたのもあると思うから」

梓「だけど……」

澪「もう暗くなっちゃうから帰るよ。返事待ってるから」

梓「……はい。おやすみなさい」

12: 2012/10/07(日) 19:01:12.36
>梓宅

梓(澪先輩に告白されてしまった……)

梓(うん)

梓(モテ期到来?)

梓(……どうしよう)

梓(澪先輩は憧れの先輩で)

梓(とっても綺麗でおっOいも大きくて)

梓(軽音部の中でで一番私に優しくしてくれて)

梓(お姉ちゃんみたい、って思ってたけど)

梓(その澪先輩が私のこと好きだったなんて……)

梓(……)

梓(……)

梓(ムギ先輩と澪先輩)

梓(どちらか選ばなきゃ駄目だよね)

梓(……純に相談してみよ)

14: 2012/10/07(日) 19:02:09.02
>一時間後

梓(駄目だ。純と話をしても埒が明かない)

梓(……あたりまえだよね。私の気持ちの問題だもん)

梓(私、どっちが好きなんだろ……)

梓(……)

梓(……)

梓(……)

梓(ああぁ、わかんない)

梓(……もう寝よ)

16: 2012/10/07(日) 19:03:41.01
>翌日
梓(授業中なんて全く頭に入ってこなかった)

梓(ずっと先輩たちのことを考えていたから)

梓(お昼休みが始まると同時に一通のメールがきた)

梓(差出人は澪先輩)

梓(用件はわからないけど、部室に来て欲しいって書いてある)

梓(……行こう)


17: 2012/10/07(日) 19:04:55.10
>部室

澪「あっ、梓」

梓「こんにちは澪先輩……昨日は」

澪「あぁ、昨日のことなんだけど」

梓「すいません、もうちょっとだけ待ってもらえますか」

澪「そうじゃないんだ。そうじゃなくて……」

梓「はぁ」

澪「昨日のこと、忘れて欲しい」

梓「えっ」

澪「ごめん。本当にごめん。こんなの良くないってわかってるけど、忘れて欲しいんだ」

梓「もしかして、好きじゃなくなってしまいましたか?」

19: 2012/10/07(日) 19:06:13.73
澪「梓には……」

梓「私には?」

澪「梓にはもっとふさわしい人がいるから」

梓「もしかして、ムギ先輩のことですか?」

澪「……うん」

梓「どうして?」

澪「ムギはさ、とってもいい奴なんだ」

梓「いい奴?」

澪「うん。梓だって知ってるだろ。ムギが友達のためならどんなことでもする奴だって」

梓「だけど、それと澪先輩の告白がどう関係するんですか?」

澪「まずは、私の話を聞いてくれ」

梓「……はい」

21: 2012/10/07(日) 19:07:13.43
澪「さっきも言ったけど、ムギはとってもいい奴なんだ」

澪「私さ、すぐ落ち込んじゃうんだけど、そんな私のことをムギはいつも慰めてくれる」

澪「困ったことの相談にも沢山乗ってもらった」

澪「ムギと話してると、なんだか安心して、なんでも話せちゃうんだ」

澪「実は今回の告白だって話そうか迷ったんだ。思いとどまったけど……」

澪「私さ、ムギにだけは頭が上がらないんだ。弱い部分沢山見せちゃってるから」

澪「あっ、別にそれが理由で引き下がるわけじゃないぞ」

澪「私よりムギのほうが梓のことを幸せにできる。そう信じてるから、身を引こうと思うんだ」

澪「……わかってもらえたかな」

梓「言ってることはわかります。だけど!」

23: 2012/10/07(日) 19:08:47.84
澪「そうか。わかってくれたか。じゃあ私はもう行くから」ダッ

梓「澪先輩! 待ってください、澪先輩!!!」


梓(私は澪先輩を追って駈け出しました)

梓(でも、澪先輩は思ったより早くて……)

梓(やがて見失ってしまいました)

梓(途方にくれた私が立ち止まり、呼吸を整えていると、後ろから私を呼ぶ声がしました)


紬「梓ちゃん!」

梓「あっ、ムギ先輩」

紬「良かった。教室にいなかったから、随分探したのよ」

梓「あの、澪先輩見ませんでしたか?」

25: 2012/10/07(日) 19:10:39.10
紬「なにかあったのね?」

梓「はい」

紬「わかった! 私に任せておいて」

梓「えっ。なにがわかったんですか?」

紬「私が告白をしたと知って、澪ちゃんが身を引こうとしたんじゃない?」

梓「あ、あってます……」

紬「それで梓ちゃんは澪ちゃんを追いかけてた……」ブツブツ

梓「……ムギ先輩?」

紬「ううん。言わなくてもわかってる。だって二人はとってもお似合いだもの」

梓「え?」

29: 2012/10/07(日) 19:15:57.26
紬「大丈夫。ちゃんと二人が結ばれるようにしてあげるから」

梓「なんで……そうなるんですか?」

紬「私のこと気にしてくれるんだ。やっぱり優しいね、梓ちゃん」

紬「でも私のことはいいの」

紬「昨日のことは忘れて」

梓「どうして……」

紬「どうしてだと思う?」

梓「えっ」

31: 2012/10/07(日) 19:21:24.19
紬「私ね、澪ちゃんと梓ちゃんが仲良くしてるのを見るだけで幸せなんだ」

紬「まるで本当の姉妹みたいに仲睦まじくしてるのを見ると、こっちまで幸せになれちゃうの」

紬「二人の間に恋愛感情はないと思ってたから告白しちゃったの。本当にごめんなさい」

紬「本当は澪ちゃんの気持ちに気づいてあげればよかったんだけど……」

紬「はぁ……。友達失格かなぁ……」

紬「うん。でも落ち込んじゃいられない」

紬「頑張って汚名返上しなくちゃ。梓ちゃんは何も心配しなくていいから」

紬「ばいばい」ダッ

梓「ムギ先輩! 待ってくださいムギ先輩!!」


梓(私はなんとか追いかけようとしましたが、ムギ先輩の背中はあっという間に小さくなりました)

梓(お二人とも、どうして……どうしてそんなにせっかちなんですか!!)

34: 2012/10/07(日) 19:26:37.39
>放課後

梓(お二人に告白された次の日に、お二人からフラれるなんて……)

梓(あの後どうなったんだろ……)

梓(はぁ……)

梓(そういえば、今日の部活は休みだと律先輩からメールが来てたな)

梓(澪先輩かムギ先輩が頼んだのかな)

梓(……一応部室に行ってみようかな。誰かいるかもしれないし)

35: 2012/10/07(日) 19:27:58.28
>部室前

紬「澪ちゃんのわからずや!」

澪「わかってないのはムギのほうだ!!」

紬「そんなことないもん!」

澪「じゃあ聞くけど、ムギは梓のこと好きなんだろ?」

紬「うん。好き」

澪「じゃあ取り消さなくていいんじゃないか」

紬「でも澪ちゃんのほうが絶対お似合いだから!」

澪「お似合いだから引き下がるっておかしいよ!」

紬「それを言うなら澪ちゃんはどうなるの。澪ちゃんだって梓ちゃんのこと好きなんでしょ」

澪「……ぅ」

紬「好きなんでしょ!」

澪「そうだよ。好きだよ!」

38: 2012/10/07(日) 19:29:57.33
紬「じゃあ引き下がらなくてもいいじゃない」

澪「けど、ムギのほうが優しいだろ」

紬「そんなことない。澪ちゃんのほうが梓ちゃんへの気配りは上手よ」

澪「それはムギのおかげだよ」

紬「えっ」

澪「私が失敗してもムギが慰めてくれるから、私は心に余裕を持って行動できるんだ」

紬「そ、そんなの……。それを言うなら、澪ちゃんがいてくれるから、私は毎日が楽しいんだから」

澪「へっ」

紬「澪ちゃんがストッパーになってくれるから、どんな無茶でもできるんだよ」

澪「そんなの……」

紬「きっと毎日のティータイムが楽しいのだって、澪ちゃんが練習する方向へ引っ張ってくれるから」

41: 2012/10/07(日) 19:31:15.77
澪「うぅ……。でも、そのティータイムができるのはムギのおかげだろ」

紬「私は貰い物のお菓子持ってきてるだけだもん!」

澪「お茶だって入れてくれるじゃないか」

紬「お茶だって持ってきてるだけよ」

澪「でも、入れてくれるのはムギだ」

紬「そんな屁理屈!」

澪「屁理屈なんかじゃない!」

紬・澪「ぐむむむむむむ」


梓「……あのっ」

42: 2012/10/07(日) 19:33:14.59
紬「梓ちゃん」
澪「梓」

梓「お二人とも……」

紬「ごめんなさい。梓ちゃん。澪ちゃんが意外と聞き分けなくて……。もうすぐ終わるから今日は帰って」
澪「ごめんな梓。ムギの奴全然私の話を聞いてくれないんだ。でも必ず今日のうちに」

梓「あっ……」

紬「ぐむむむむむ」
澪「ぐむむむむむ」

梓「あのっ! 私のために争うのはもうやめてください!!」


紬「えっ」
澪「えっ」

43: 2012/10/07(日) 19:34:37.51
紬「……」ジー
澪「……」ジー

梓「……?」

紬「…プッ」
澪「…プッ」

梓「へっ、へっ」

紬「ねぇ、澪ちゃん」

澪「あぁ、ムギ」

45: 2012/10/07(日) 19:37:38.42
紬「人生でまず聞かないだろう台詞No1を聞いちゃった」

澪「あぁ、絶対に縁がない台詞だと思ってたのにな」

梓「///」

紬「あっ、赤くなった」

澪「かわいい……」

紬「やっぱり澪ちゃん、梓ちゃんのこと大好きじゃない」

澪「ムギだって、そうだろ」

紬「私は違うわ。梓ちゃんなんて……」

澪「なんて?」

紬「……………言えない」

澪「言えないじゃないか。私は言えるぞ。梓なんて…………」

紬「言えないじゃない」

澪「……あぁ、悔しいけど私は梓のことが大好きだ」

紬「……私も」

梓「///」

46: 2012/10/07(日) 19:38:27.08
澪「しょうがないな」

紬「ええ、この方法だけはとりたくなかったんだけど」

梓「……どういうことですか?」

澪「あぁ、梓に決めてもらおうと思う」

紬「もちろん二人とも振ってもいいのよ」

澪「うん。そのときはスッパリ諦めるから」

梓「……おふたりとも」

澪「時間が必要か?」

梓「……いいえ。大丈夫です」

紬「それじゃあ梓ちゃんの答えを聞かせてくれる?」

梓「私の答えは……」

____
____
____

48: 2012/10/07(日) 19:41:07.72
>週末

梓「こっちです!!」

澪「ご、ごめん梓。ちょっと服を選ぶのに手間取っちゃって」

梓「くすっ。きっとムギ先輩だったらこう言いますよ」

澪「『私、今来たところなのって言うのが夢だったの~』か?」

梓「あんまり似てませんね」

澪「……ぐすっ」

梓「わ、わ。泣くようなことじゃないですよ」

澪「そうだな。落ち込んでもここにはムギがいないもんな」

梓「はい」

澪「じゃあ行こうか」

梓「ええ、行きましょう」

50: 2012/10/07(日) 19:42:44.86
澪「でも、本当に意外だったよ。梓があんなことを言うなんて」

梓「単純にお二人のことを好きだったというのもあります」

澪「梓は浮気者だな」

梓「……否定できません。でも、それだけじゃないです」

澪「そうなのか?」

梓「はい。澪先輩とムギ先輩の信頼関係を見てたら思ったんです」

梓「私もその仲間になりたいな。お二人と一緒のものを見てみたいなって」

澪「そうなんだ……」

梓「それともうひとつ」

澪「なんだ?」

梓「ちょっとだけ見てみたくなったんです。澪先輩とムギ先輩がいちゃついてるところ」

澪「へっ……。ムギみたいなこと言うんだな」

梓「はい。毎日お茶を飲んでたから伝染っちゃったのかもしれません」

51: 2012/10/07(日) 19:43:46.19
澪「……うーん」

梓「澪先輩?」

澪「私はまだその境地に達してないかな」

梓「へっ」

澪「梓とムギがキスしてたら、私も混ぜて欲しいと思うから」

梓「でも、私もそうかもしれません」

澪「…そろそろ到着かな」

梓「はい。楽しみです」

___
___
___

ピンポーン♪

紬「いらっしゃい。今日はたっぷり楽しみましょ」

澪・梓「///」


おしまいっ!

52: 2012/10/07(日) 19:44:57.92

やはりこのオチしかないな

引用元: 紬・澪「OurSweetGirl!」