1: 2009/01/02(金) 02:30:41.58
キョン「……なんだよ。こんなお前、元旦から」
ハルヒ「来ちゃったわ!」
キョン「いやあの、まだ二時とか」
ハルヒ「ほら」
キョン「?」

ハルヒ「ほらほら、挨拶」
キョン「……おめでとう」
ハルヒ「今年もよろしく! やー寒い寒い」
キョン「おいこら、なに勝手に入って」
ハルヒ「あれ、妹ちゃん起きてたの?」
キョン妹「あー! はるにゃんだ! あけまして!」
ハルヒ「はい、おめでとー!」  
キョン「おーい、人の話聞いてるかー?」

2: 2009/01/02(金) 02:37:34.36
ハルヒ「あれ? 家族の人は?」
キョン「親父達は初詣に行ったよ」
ハルヒ「なにあんた、置いてけぼりにされたの……?」
キョン「いやほら、人が多いところに妹を連れて行くわけにも」
ハルヒ「可哀想ね……」
キョン「話を聞けと」
キョン妹「キョン君、かあいそうなの?」
キョン「あのなぁ……か「わ」いそうな」

ハルヒ「おもりねー」
キョン「一人にしとくわけにもいかないしな。中々寝やがらないし」
キョン妹「眠くないもーん。初詣行くのー」
キョン「この通りで。まあ、俺も寒いのは嫌だし」
ハルヒ「行く? 三人で行っちゃう?」
キョン「全く聞いてないよな、俺の話」

4: 2009/01/02(金) 02:40:46.11
ハルヒ「いいじゃん。初詣ぐらいさ、妹ちゃんも行きたいよねー?」
キョン妹「行きたい! 行きたい行きたいーっ!」
キョン「だめだって言ってるだろ。人も多いし寒いし時間遅いし」
キョン妹「平気だもん」
キョン「ダメです」

ハルヒ「むー、キョンのいじわるー」
キョン妹「るー」
キョン「絶妙なコンビネーションを披露するな。あとハルヒの膝から降りなさい」
キョン妹「やだー。ハルにゃん大好きー♪」モゾモゾ
ハルヒ「えー? あたしも好きー♪」ギュウー
キョン「…」
ハルヒ「あらやだ、嫉妬?」
キョン「ああもう、元旦から疲れる……」

5: 2009/01/02(金) 02:43:27.43
ハルヒ「いやでも、神社通り掛かったけど人沢山居たわよ」
キョン「そうか。……いやいや、その前に何故俺の家に」
ハルヒ「あ、おとしだまちょうだい」
キョン妹「わたしもー!」
キョン「頼むから話を聞いてください」

ハルヒ「ねーねー、初詣行こうよー」
キョン「だめだと言ってるだろ」
キョン妹「はちゅも……行くのー」
キョン「ダメだ。もう眠いだろ、寝なさい」
キョン妹「ねむくない! ……もん……」
キョン「止まりかけてるじゃないか」
ハルヒ「頑張れ! 頑張れ妹ちゃん!」
キョン「正月早々から人の妹を変に励ますな」

7: 2009/01/02(金) 02:46:21.96
キョン妹「zzz」
キョン「ほら眠ってる。言わんこっちゃない」
ハルヒ「わー可愛いー♪ キョンの妹じゃないみたいね!?」
キョン「どういう意味だ」

キョン「よいしょ……と。ハルヒ、ドア開けてくれ」
ハルヒ「お姫様抱っこ」
キョン「ん? あぁ、まあそうだな」
ハルヒ「いいなー」
キョン「バカかお前は」
ハルヒ「あたしも!」
キョン「はいはい、わかったからドア開けてくれ」

ハルヒ「ふふっ、おやすみ妹ちゃん」
キョン妹「ふみっ……すぅ」
キョン「ほら、下戻るぞ」
ハルヒ「はいはいー」

8: 2009/01/02(金) 02:49:40.93
ハルヒ「キョンの家の階段、急ね」
キョン「そうか?」
ハルヒ「うん」

キョン「うぅ、寒い寒い……コタツはいいもんだ」モゾモゾ
ハルヒ「こらっ!」
キョン「!? なんだよ、夜中に大声出すな」
ハルヒ「さっきの」
キョン「?」
ハルヒ「いやだから、お姫様抱っこ」
キョン「……は? なんだお前、あれ本気で」
ハルヒ「まあまあ。正月なんだし」モゾモゾ
キョン「こら、重いってば……あぁもう、コタツに二人で座るのは狭いって」
ハルヒ「うっさいわねー」
キョン「それにこれ、お姫様抱っことか関係ないだろ」
ハルヒ「あれ? 久しぶりに見たわねこの芸人」
キョン「……はぁ」

10: 2009/01/02(金) 02:52:31.38
ハルヒ「ちょっと! どこ触ってるのよ!」
キョン「それを言うのは俺だろ。どこ座ってんだよ」
ハルヒ「キョンの前?」
キョン「その通り。テレビが見えない」
ハルヒ「ったく、仕方ないわねー」モゾモゾ

キョン「で、何しに来たんだよ」
ハルヒ「ん? なにって」
キョン「…」
ハルヒ「あんたどうせ暇だろうと思って」
キョン「だからって元旦から押し掛けんな」
ハルヒ「事実暇だったでしょ」
キョン「暇を楽しんでたと言ってくれ」
ハルヒ「この番組終わったら初詣行くわよ」
キョン「寒いから嫌だと」
ハルヒ「あんたに拒否権なんかないわよ?」
キョン「……今年は厄年かなにかなのか……」

12: 2009/01/02(金) 02:59:35.89
ハルヒ「美味しいわね、キョン家のお蕎麦」モグモグ
キョン「そうか?」
ハルヒ「うん」チュルル

ハルヒ「はー、お腹いっぱい」ゴロン
キョン「食った傍からゴロゴロしやがって……しかも人の家で」
ハルヒ「むっ、なによそれ」
キョン「自由人だな、ハルヒは」
ハルヒ「それがあたしの売りだもーん」モゾモゾ
キョン「なっ、足を絡めてくるな鬱陶しい」
ハルヒ「うりうりー♪」モソモソ

キョン「……三時か」
ハルヒ「そろそろ行くわよ」
キョン「えぇ? もういいだろ」
ハルヒ「初日の出とか、みたいじゃん?」
キョン「今日曇ってるんじゃ」
ハルヒ「いい夜空だったわ」
キョン「…」
ハルヒ「あ、おとしだま」
キョン「あげないってば」

14: 2009/01/02(金) 03:03:48.72
キョン「ったく……めんどくさい」
ハルヒ「新年早々めんどくさがらないの」
キョン「だってお前」
ハルヒ「あ、ちょっと! あたしがあげたマフラー使いなさいよ!」
キョン「……部屋からとってくるよ」

ハルヒ「暖かい? それ」
キョン「ん? あぁ、まあまあ」
ハルヒ「もっとあったがりなさいよ」
キョン「なんか日本語おかしいぞそれ」
ハルヒ「え? あった……あたたが……どうでもいいの!」
キョン「はっは。バカだなぁハルヒは」
ハルヒ「もー! うっさいわね!」
キョン「それでお前、俺のあげた手袋は?」
ハルヒ「……忘れてきた」
キョン「酷いなおい」

16: 2009/01/02(金) 03:06:50.65
ハルヒ「クリスマスが遠い日のようね」
キョン「そうか?」
ハルヒ「そうでもないかも」
キョン「適当だな」

ハルヒ「別に、そのマフラーに他意はないからね」
キョン「?」
ハルヒ「たまたまあんたに、あたしのプレゼントが廻っただけだからね」
キョン「……あぁ、そして偶然にも俺のプレゼントがお前に」
ハルヒ「えぇ、偶然。ほんとに偶然よね」
キョン「…」
ハルヒ「有希のプレゼントは、みくるちゃんに廻ったわよね」
キョン「そうだな。見事に古泉は自分で自分のプレゼントを持って帰ってたな」
ハルヒ「なんだか可哀想にみえたわよねあれ」
キョン「お前爆笑してたじゃないか」
ハルヒ「なっ、キョンこそ!」

18: 2009/01/02(金) 03:10:32.82
ハルヒ「準備できた?」
キョン「できたよ。面倒だけど、できてしまった」
ハルヒ「…」
キョン「? ほら行くぞ。コタツから出ろ」
ハルヒ「寒いわね」
キョン「いい加減にしろ」

ハルヒ「やっぱあと三十分待って」
キョン「嫌だ。もう俺は行く準備できたんだ」
ハルヒ「やだー」モゾモゾ
キョン「こら、潜るな」モゾモゾ
ハルヒ「あ、こんにちはキョン」
キョン「うるさい。……まぶしいなコタツの中」
ハルヒ「あっつい! 顔焼けるっ!」
キョン「出ろよ」
ハルヒ「寒いー」
キョン「じゃあ出てくんな」ギュウウ
ハルヒ「! あつ、あっつ! 放しなさ、あっついってば!」モゾモゾ

20: 2009/01/02(金) 03:13:37.65
ハルヒ「みてキョン、ブーツ買ったの」
キョン「あ? あぁ、いいんじゃない」
ハルヒ「なにそれ、それだけ?」
キョン「ムレそう。そして臭そう」
ハルヒ「ばっ、臭くないわよ!」

キョン「すげぇ、ふわふわだな」
ハルヒ「でしょー」
キョン「履いてみていいか?」
ハルヒ「はっ? サイズが違うでしょ、履けるわけ――」
キョン「物は試しだ。それそれ」モギュウ
ハルヒ「!! こ、こらっ! やめなさいっ!」バッ
キョン「……覆いかぶさるな。重い」
ハルヒ「えへへー、ぬくぬくー」
キョン「なんでもいいけど、自重でブーツ潰れていくぞ? ほらほら」モギュー
ハルヒ「! 脱ぎなさいってば!」

21: 2009/01/02(金) 03:17:51.33
キョン「あああ……っ.……やっぱり寒いじゃないか」
ハルヒ「そう? こんなもんでしょ」
キョン「風の子かハルヒは」

ハルヒ「むっ、なによ? 自分だけ手袋?」
キョン「そりゃ俺の家からの出発だしな」
ハルヒ「不公平よ」
キョン「俺だってカチューシャしてないんだからいいだろ」
ハルヒ「こんなの防寒着なわけないでしょ! 貸しなさい」スポッ
キョン「あっ、こら!」
ハルヒ「なにこれー。ちょーあったかーい」
キョン「返せよ。片手寒いだろ」
ハルヒ「それはあたしもよ」
キョン「あのな」
ハルヒ「ふふっ、仕方ないから……手繋いであげる!」
キョン「……嬉しそうに言いやがって」
ハルヒ「別にそんなことないわよっ」ギュ

25: 2009/01/02(金) 03:22:24.02
ハルヒ「はっつもうでー♪ はっつもうでー♪」
キョン「なんだその歌」

ハルヒ「よかったわね、雪積もってて」
キョン「なにが?」
ハルヒ「冬っぽいじゃん」
キョン「そうか? 視覚的にも寒いから、勘弁してもらいたいけどな」
ハルヒ「えー? いいじゃん、冬」
キョン「俺はまだ夏の方が、っと、そこ。雪固まって凍ってるから気をつけ――」
ツルッ
ハルヒ「きゃっ!?」グイッ
キョン「うおっ!」

ハルヒ「びびったー……コケるかと思ったわ」
キョン「…」
ハルヒ「? どうしたの?」
キョン「腕……引っ張られて、ピンッって……」
ハルヒ「あら、じゃあ逆も引っ張っとく? 丁度いいかも」グググ…
キョン「痛い痛いっ!」

26: 2009/01/02(金) 03:26:49.03
ハルヒ「キョンキョン、はーっ」
キョン「くせっ」
ハルヒ「!? そ、そうじゃないわよっ! それに臭くないわよ!」
キョン「じゃあなんだよ」
ハルヒ「息、白いー。はーっ」
キョン「くせぇ」
ハルヒ「氏ねっ!」ドゴォ
キョン「がふっ!」

キョン「ううっ、レバーが……」
ハルヒ「あんたが失礼なこと言うからよ」
キョン「初レバーブローだ」
ハルヒ「あ、いいわねそういうの」
キョン「ちなみに初臭い息だった」
ハルヒ「もっかい氏ね!」メゴォ
キョン「あだっ! 初右ストレートッ!」

27: 2009/01/02(金) 03:30:28.94
キョン「やっぱ元旦だけあって、電気点いてる家も多いな」
ハルヒ「夜更かしね、みんな」
キョン「今日ぐらいはなぁ」

キョン「誰か、初詣来てるかもな?」
ハルヒ「そうね」
キョン「あ、電話して聞いてみるか」
ハルヒ「えー? いいわよ、めんどうだもん」
キョン「さっきお前が言ったじゃないか。新年早々めんどくさがるなって」
ハルヒ「……電話したら、あたし帰るわよ」
キョン「? なんでだよ」
ハルヒ「なんでも。本当に帰っちゃうから!」プイッ
キョン「……わかったよ。しないってば」
ハルヒ「あ、五百円落ちてる」
キョン「はい聞いてないー」
ハルヒ「一円だった」
キョン「しかもいちえ……五百円と見間違えたのか!?」

30: 2009/01/02(金) 03:36:25.29
ハルヒ「わー、車に雪がてんこもりだわ」
キョン「かき集めるなよ」
ハルヒ「なんで?」
キョン「車にキズが付くからだ。子供の頃、それで怒られたことがある」
ハルヒ「へー」

ハルヒ「じゃあどこで雪集めればいいのかしらね」
キョン「そんなもんその辺で」
ハルヒ「もー解けてたり汚いもん」
キョン「むしろ集めなくてもいいんじゃないか?」
ハルヒ「あ、あそこ綺麗に積もってる」タタタタ…
キョン「……子供」

ハルヒ「キョン?」ポイッ
キョン「? ぶへっ!」
ハルヒ「あはは! 直撃したわね!」
キョン「ぺっ、ぺっぺっ……冷たいだろバカ」
ハルヒ「それーっ」ポイポイッ
キョン「こら、やめっ! このやろう!」シュッ
ハルヒ「きゃっ! やったわねっ!」

33: 2009/01/02(金) 03:39:59.02
ハルヒ「あー、遊んだ遊んだ」
キョン「何やってんだ俺達」

ハルヒ「はーっ、はー……手冷たい」
キョン「あぁ、ちぎれそうだ」
ハルヒ「あくしゅ」ギュッ
キョン「……冷たすぎてなにも感じない」
ハルヒ「ぎゅーってしてれば、そのうちあったかくなるんじゃない?」
キョン「どうだろうな」
ハルヒ「あら、あんた深爪してるわね」
キョン「あー、そうだな」
ハルヒ「あたし爪綺麗でしょ?」
キョン「どうだろ……人の爪なんて凝視したことないからな」
ハルヒ「綺麗なのー」ギュウウ
キョン「痛い」

34: 2009/01/02(金) 03:43:22.96
ハルヒ「あ、そうだ」
キョン「?」
ハルヒ「ほら、ほらほら」ブンブン
キョン「??」
ハルヒ「初はぐ!」
キョン「……わけがわからん」
ハルヒ「うるさいー」ギュウ

ハルヒ「あー、あったかー」
キョン「ん、そうだな」
ハルヒ「…」
キョン「黙るなよ」
ハルヒ「え?」
キョン「……なんでもない」
ハルヒ「ん」
キョン「頭、雪残ってる」
ハルヒ「のけて」
キョン「あいよ」ポフポフ
ハルヒ「ふぃ」

35: 2009/01/02(金) 03:49:58.49
鶴屋「はー、お腹いっぱいだよー!」
みくる「沢山夜店の食べ物、食べてましたねぇ」
鶴屋「もちろんっさ! 並んでた屋台全制覇も……ん?」
みくる「ふぇ? なんですか?」
鶴屋「ほらあれ、公園の……あ!」

鶴屋「……キョン君とハルにゃんっさ!」
みくる「あらあら……抱き合ってますねぇ」
鶴屋「おーおー、新年早々アツアツだねぇ!」
みくる「そうですねぇ」
鶴屋「って、あの二人そういう仲だったのかい!?」
みくる「えっと……その、そういうわけでもないかと」
鶴屋「?」
みくる「邪魔しちゃダメですね。行きましょう?」
鶴屋「あいあいっさ!」



キョン「……なんか今、緑色とぽよんぽよんな気配が……」
ハルヒ「え? なに?」
キョン「なんでもない。ほら行こう」
ハルヒ「うん!」

36: 2009/01/02(金) 03:57:58.80
ハルヒ「そういえばあそこの神社、去年も行ったわね」
キョン「あぁ、俺も行った」
ハルヒ「いつ?」
キョン「確か……一月二日かな」
ハルヒ「あたしもそうよ!」

キョン「そうか。じゃあもしかすると出会ってたかもな」
ハルヒ「全然記憶にないわね。あんた地味だものね」
キョン「俺だってハルヒみたいなおかしい奴、見た記憶ないな」
ハルヒ「なっ、失礼ねっ!」
キョン「……そういやさ」
ハルヒ「?」
キョン「それ以来、お参りしたのっていつ?」
ハルヒ「いつって……今日?」
キョン「俺もそうだ。アレだよな、初詣って言っても年一回しか行かないなら」
ハルヒ「いつ行っても同じね」
キョン「今年はたまーにでも、お参りしに行くかなぁ……」
ハルヒ「じゃああたしも着いてってあげるわよ!」
キョン「はいよ。そりゃどーも」

37: 2009/01/02(金) 04:08:27.61
ハルヒ「着いたー!」
キョン「あー……人多いな。もう減ってると思ったんだけど」
ハルヒ「がやがやしてるわね。近所迷惑よ」
キョン「じゃあ帰るか」
ハルヒ「あっ、うそうそっ」

キョン「おみくじ引いて」
ハルヒ「たこ焼き食べてー」
キョン「お参りして」
ハルヒ「リンゴあめ食べてー」
キョン「あ、絵馬も書くか」
ハルヒ「ハンバーグくじ? 興味深いわねアレ」
キョン「って、食い物ばっかりじゃないか」
ハルヒ「じゃあなんか飲み物も」
キョン「そうじゃなくて」
ハルヒ「まあそんなもんかな。よろしくね!」
キョン「俺のオゴリ!?」

38: 2009/01/02(金) 04:10:36.95
ハルヒ「フランクフルトー」
キョン「無駄に高いと思うんだよ、こういうの……」
ハルヒ「ほらほら、ケチケチしてんじゃないわよっ」

ハルヒ「んー」モクモク
キョン「美味いか?」
ハルヒ「普通ね。いたって普通」
キョン「おごってやったんだから美味いって言っとけよ」
ハルヒ「はい、あーん」
キョン「……あむっ」
ハルヒ「今のが感謝の証ってことで」
キョン「ほまへ、ひほくないはほへ」
ハルヒ「何言ってるのかぜんっぜんわかんないわよ!」

39: 2009/01/02(金) 04:21:29.81
ハルヒ「ちょっ、キョン待ちなさいよっ」
キョン「あぁもう。迷子になるなよー?」
ハルヒ「待ってってばー!」

ハルヒ「ふっ、ほんっとに人多いわね」
キョン「今日ばっかりはな」
ハルヒ「……お参りの列、もっと凄いわよ」
キョン「先におみくじ引くか?」
ハルヒ「そうね」
キョン「えっと、あっちか」
ハルヒ「あっ! リンゴあめ発見!」
キョン「勝手にウロウロすんな!」

キョン「これってさ」シャクッ
ハルヒ「んー?」モグモグ
キョン「食えば食うほど……残念な気持ちになるよな」
ハルヒ「あー……ずーっと舐めてるのが正解かもね?」ペロッ

41: 2009/01/02(金) 04:26:26.44
ハルヒ「おみくじいっぱいあるわね……どれにしようかしら」
キョン「あっちのあれでいいんじゃないか?」
ハルヒ「どっちのどれよ?」
キョン「見えないか?」
ハルヒ「見えないーっ」
キョン「まあいいや。俺が適当に二つ買っとくぞ」
ハルヒ「同じやつね? 勝負するんだから!」
キョン「はいはい」

キョン「ほら」
ハルヒ「まだ開けてない?」
キョン「もちろん」
ハルヒ「あれね、運勢がいいほうが、なにかオゴるってことで」
キョン「え? 悪いほうじゃないのか?」
ハルヒ「あんたもし大凶とか出て、更にお金まで持っていかれたいの?」
キョン「うっ……って、今のところ全部おごってるような」
ハルヒ「それじゃ開けるわよ!」ゴソゴソ
キョン「…」

ハルヒ「あ、中吉だ」
キョン「…」
ハルヒ「?」
キョン「……初めてみた……大凶って、あるんだな」
ハルヒ「うわっ」
キョン「…」
ハルヒ「お、落ち込まないのっ! 綿菓子おごったげるから!」

42: 2009/01/02(金) 04:31:42.38
ハルヒ「でもあたしも初めて見たわ。それ」
キョン「どうしろっていうんだろうな」
ハルヒ「なにって書いてる?」

キョン「学問……無理は禁物」
ハルヒ「どうあがいてもダメってことかしら」
キョン「商売……勘違いが難を呼ぶ」
ハルヒ「勘違いしちゃだめよ?」
キョン「恋愛は……ええっ?」
ハルヒ「? うわっ」
キョン「…」
ハルヒ「た、たかがおみくじ! たかが印刷物よ!」
キョン「…」
ハルヒ「大丈夫よ……多分」
キョン「まあ、気にしちゃだめだな」
ハルヒ「そうそう。ほら、わたがしあった」
キョン「一番大きいのがいいな。妹にやる」
ハルヒ「しかたないわねー。じゃああの、可愛いのにしましょ」

45: 2009/01/02(金) 04:36:28.16
キョン「こんなもん、結んでしまって忘れるのが一番だよな」クルクル…
ハルヒ「そうね」
キョン「? ハルヒ、結ばないのか?」
ハルヒ「うん。あのね、あたしこれ持っておくの」

キョン「なんでさ」
ハルヒ「たまーに開いてね、書かれてること見るの。で、忘れないように」
キョン「でもこれって、こうやってくくりつけるもんじゃ」
ハルヒ「それするとどうなるの?」
キョン「……さあ?」
ハルヒ「もしかして、その通りになるのかしら」
キョン「かもな」
ハルヒ「じゃああんたの一年終了じゃない?」
キョン「! しまった! あっ……どこに結んだっけ……」
ハルヒ「あははっ、ばーか!」
キョン「うっせぇ」

46: 2009/01/02(金) 04:40:00.17
キョン「ちょっと疲れたな……座って休もう」
ハルヒ「座るとこある?」
キョン「んー、なんかあっちに」
ハルヒ「あ、お神酒もあるわね」
キョン「もらうか?」

ハルヒ「んっ……うー」
キョン「見るからに苦手な顔してるな」
ハルヒ「うぇ」
キョン「甘酒は?」
ハルヒ「そっちは好き!」
キョン「ほら、こぼすなよ?」ククッ
ハルヒ「んっ、んっ……はー、暖まるわね」
キョン「ん」
ハルヒ「ふふっ」ススッ
キョン「なんだよ、狭い」
ハルヒ「混んでるから仕方ないわよ。もっとそっちー♪」
キョン「……もう酔ってるんじゃないだろうな」

47: 2009/01/02(金) 04:44:36.14
ハルヒ「! キョン、牛がいる!」
キョン「牛? おおっ」
ハルヒ「でっかいわねー」
キョン「丑年だからか……にしてもでかいな」

ハルヒ「これ、何牛かしら」
キョン「さぁ、普通に牛じゃないか」
ハルヒ「普通に牛ってなによ」
キョン「なんかその辺の」
ハルヒ「この辺で牛なんて見たことないわよ」
キョン「言われてみれば……どこから連れてきたんだろ」
ハルヒ「触ってもいいかな?」
キョン「いいだろうけど、止めといたほうが」
ハルヒ「もーもー」
ネベロリンッ
ハルヒ「!!!!!」
キョン「あー……ほら、いわんこっちゃない」
ハルヒ「あううっ……手ぇ舐められたぁ」
キョン「暖かいからいいんじゃないか?」
ハルヒ「いいわけないわよっ! 手、洗うーっ」
キョン「あーもー、手洗い場はあっちか?」

50: 2009/01/02(金) 04:58:02.37
キョン「遅いな……手洗うだけにどんだけ時間――」
国木田「あれ? キョンだ」
キョン「? 国木田」
谷口「おぉ、キョン! あけおめ!」
キョン「誰だお前」
谷口「!?」

国木田「初詣、来てたんだね」
谷口「電話したらめんどうだから行かないって言ってたじゃないか」
キョン「ん? あ、あぁ。気が変わったんだよ」
国木田「涼宮さん?」
キョン「!」
国木田「あはは、一緒なんでしょ?」
谷口「なんだって? どういうことだキョン!?」
キョン「いやあの、何言ってるんだよ」
国木田「あれ、違うの?」
キョン「…」
谷口「なんだと……嘘だと言え! このキョン!」
キョン「うるせぇ」

52: 2009/01/02(金) 05:03:46.72
国木田「だと思った。じゃないと、キョンが初詣に来るとは思えないもん」
キョン「なんでだよ」
国木田「去年だって、僕らと年越しまで遊んでたからついでにって感じだったじゃん」
キョン「あー、そうだったな」

谷口「くっそ、お前いつからそんな関係だったんだよ!」
キョン「そんな関係って」
国木田「ふふっ、僕の目は騙せないよ」
キョン「騙してるわけじゃ……別になんでもないって」
谷口「お前、女の子と二人でこんな時間にウロウロしてて……なんでもないってあるかっ!」
キョン「あーもー。俺は別にハルヒとは……」
国木田「あはは、なんだか二人らしいや」
キョン「…」
国木田「あ、そういえば佐々木さんも来てるんだって」
キョン「え? あぁ、おう……そうか」
谷口「なに? 佐々木さん?」
国木田「さぁてと、そろそろ帰ろうか谷口」
谷口「えぇっ、折角だし四人で」
国木田「邪魔しちゃだめだよ。ほらほら、あっちに凄い美人が」
谷口「おっしゃ! 今行くぜ! 今年は俺も年男だーっ!」

キョン「あいかわらずうるさいなぁ……」
キョン「佐々木……来てるのか……なんか、今遭遇するのはアレだな」
ハルヒ「誰が来てるって?」
キョン「!? っと、なんでもない。もういいか? ほら行こう」

55: 2009/01/02(金) 05:07:15.37
ハルヒ「国木田君? 谷口も?」
キョン「あぁ。でももう帰るってさ」
ハルヒ「そう……」
キョン「逢いたくなかったんだろ?」
ハルヒ「! そっ、そんなことないわよ? 別にどうってことも」

キョン「そうか? 俺は逢いたくなかったよ」
ハルヒ「えっ? なんで?」
キョン「そりゃお前……折角二人で来たんだし?」
ハルヒ「あ……う、うん」
キョン「あいつらの邪魔しちゃ悪いだろ?」
ハルヒ「って! なによそれっ!」
キョン「なんだよ、なにちょっとテレてるんだ? えぇ?」
ハルヒ「うっさいうっさい! あんたも牛に舐められちゃえばいいのよっ!」
キョン「うわ、そりゃ勘弁だな」

ハルヒ「そろそろお参り行くわよ!」
キョン「まだ並んでるな……まあでも、いいかね」

57: 2009/01/02(金) 05:15:21.71
ハルヒ「どれぐらい並べばいいのしら?」
キョン「うーん、どーだろ」
ハルヒ「前、見えない」
キョン「手放すなよ。探すの面倒だからな」
ハルヒ「わかってるわよー」ギュ

キョン「牛の舌、どんな感じだった?」
ハルヒ「ぬめっと……ざらざらっと」
キョン「うわぁ」
ハルヒ「人間の舌とはちょっと違うのかも」
キョン「? そうか?」
ハルヒ「あーでも、舌の感触って知らないわね」
キョン「手の甲、舐めてみればいいじゃないか」
ハルヒ「こう?」ペロッ
キョン「うおっ、自分のを舐めろよ」
ハルヒ「あはは、キョンびくってした!」
キョン「そりゃビビるだろ。いきなり舐められたら」
ハルヒ「あ、そうだ耳貸しなさいよ」
キョン「?」
ペロリン
キョン「!」
ハルヒ「うわ、キョンのほっぺしょっぱい」
キョン「……なにやってんだよバカ」
ハルヒ「? 顔赤いわよ? 熱?」
キョン「うるさいな。ほら進むぞ」

61: 2009/01/02(金) 05:30:06.83
ハルヒ「中々たどり着かないわねー」
キョン「もう少しだ。我慢してろ」
ハルヒ「あ、また雪降ってきた」

キョン「寒くないか?」
ハルヒ「うん。全然大丈夫!」
キョン「そうか」
ハルヒ「……くしゅっ!」
キョン「? やっぱり寒いんじゃないか?」
ハルヒ「う、ううん。そんなことないわよ? ただちょっと、さっき手洗った水が冷たかったかなって」
キョン「ほら、手袋両方使ってていいぞ」
ハルヒ「いいわよ別に」
キョン「いいから。正月から風邪ひいてちゃバカだろ?」
ハルヒ「……さんきゅ」
キョン「おう」
ハルヒ「じゃああたしも恩返しー」ムギュー
キョン「歩きづらいって」
ハルヒ「あ、じゃあキョン? 後ろからあたしを覆っててよ。それなら暖かいかも」
キョン「……そうしてみるかな」

64: 2009/01/02(金) 05:45:23.49
ハルヒ「あっ、見えた見えた!」
キョン「おー……賽銭箱大きいなぁ」
ハルヒ「でもあれ、箱というよりかはただの囲いじゃない?」
キョン「まあそうかもな」

ハルヒ「なにお願いしようかしら」
キョン「なんでもいいじゃないか」
ハルヒ「だめよ! 初詣なんだから、ちゃんとしないと!」
キョン「じゃあ.……SOS団メンバーの健康を、とか」
ハルヒ「SOS団が世界的に大きな集まりになるようにとか?」
キョン「それだけはやめてください」

ハルヒ「あ、お賽銭」
キョン「あぁ、俺のコートのポケット漁ってみ」
ハルヒ「ん?」ゴソゴソッ
キョン「一応五円玉分けといた」
ハルヒ「あー、ご縁があるようにって? でも神主さん達からしたらもっとよこせって感じじゃない?」
キョン「……もう適当にばらばらーっと」
ハルヒ「こっちサイフ入ってる。こっからでもいい?」
キョン「ばっ、それはお札しか入ってないぞ!」

65: 2009/01/02(金) 05:49:33.15
ハルヒ「キョンキョン、上見て」
キョン「上?」
ハルヒ「でっかいしめ縄!」
キョン「おおっ」
ハルヒ「……火点けたら凄いことになりそうね」
キョン「お前なぁ」

ハルヒ「えいっ」ポイッ      チャリン
キョン「…」
ハルヒ「二回、手を叩くんだっけ?」
キョン「あっ、そうか。忘れてた」パンパンッ
ハルヒ「あれ? 叩かないでいいんだっけ?」
キョン「……もう遅いって」
ハルヒ「まあいいわ!」

キョン「結局、何にしたんだ?」
ハルヒ「んー……まあ平和に暮らせますようにって」
キョン「おぉ、それはありがたい」
ハルヒ「え?」
キョン「いやいや、こっちの話」
ハルヒ「あとキョンになにか面白いこと起こしてくださいって。突然頭髪が抜け落ちるとか」
キョン「!? とっ、取り消して来いっ!!」
ハルヒ「嘘よ嘘ー♪ なーに慌ててるの? あはは!」
キョン「お前、本当にそんなこと頼んでないだろうな……」ブルブル
ハルヒ「??」

66: 2009/01/02(金) 05:56:15.87
ハルヒ「えま!」
キョン「……なんで絵馬って言うんだろうな」
ハルヒ「絵を描く馬……馬? ならアレよね、今年丑年だから」
キョン「絵丑? 言いにくいな」
ハルヒ「どーでもいいわね!」

キョン「結局こっちでも願いこと書くのならさ」カキカキ
ハルヒ「うん」キューッ
キョン「参拝っていらなかったんじゃないか?」
ハルヒ「どうだろ? それはそれで……できた!」
キョン「? なんだそれ」
ハルヒ「牛よ!」
キョン「……牛? 俺の知ってる牛はそんな……」
ハルヒ「う、牛なの! 牛ったら牛よ!」
キョン「すいません神様。今からそっちに変な生物が行きます」
ハルヒ「失礼ね!」
キョン「ほら、括りに行こう」

ハルヒ「平凡な一年でありますようにって……つまんないわねぇ」
キョン「それが一番だろ。うし、帰るか」
ハルヒ「やだ。もうちょっとウロウロするわよ」グィー
キョン「……わかったわかった」

69: 2009/01/02(金) 06:08:42.65
ハルヒ「タコ焼き……」
キョン「まだ食うのか?」
ハルヒ「うーん。食べたいけど全部は無理かも」
キョン「じゃあ半分こするか?」
ハルヒ「そうね!」

キョン「あっつ……熱いから気をつけろよ?」フーフー
ハルヒ「あーん」
キョン「自分で食え」
ハルヒ「けち!」
キョン「うるさいなぁ……ほら」
ハルヒ「はふ」
キョン「俺も」
ハルヒ「それ」ポイッ
キョン「あっつい! 口に放り込むなっ!」

ハルヒ「…」パサパサパサ…
キョン「この……線香の煙だか知らないけど」
ハルヒ「…」パサパサパサ…
キョン「何故そんなに必氏になって俺の頭に」
ハルヒ「そりゃあもう、大凶の男だから……」パサパサパサ…
キョン「いたたっ、目がしみるっ」

71: 2009/01/02(金) 06:13:04.39
ハルヒ「着物の人も沢山いるわね」
キョン「そうだな」
ハルヒ「あたしも着てくればよかったかなぁ」
キョン「いや、やめとけ。ハルヒは動き回るから……ぐしゃぐしゃにしそう」
ハルヒ「むっ、なによそれ!」

ハルヒ「でも成人式は着物よね」
キョン「んー」
ハルヒ「……まだまだ先の話かしら」
キョン「どうだろうな。気がつけば、そういう時期になってるかもな?」
ハルヒ「あら、あの人綺麗ね」
キョン「?」
ハルヒ「ほらほら、なんか髪短い子」
キョン「……おいおい」
ハルヒ「あ、こっち来る……ん?」
キョン「嘘だろ、なんでお前……あぁっ」

佐々木「やぁキョン。あけましておめでとう」
キョン「…」
ハルヒ「あれ、キョン? 知ってる子?」
キョン「……おめでとう、佐々木」

72: 2009/01/02(金) 06:23:05.95
佐々木「えっと、涼宮……さんかな?」
ハルヒ「!」
佐々木「キョンから話は聞いてます。あ、佐々木です」
ハルヒ「あぁ、えっと、涼宮ハルヒよ!」

キョン「なんでお前、そんな格好」
佐々木「こういう行事には着物もいいかなって。どう?」
キョン「どうって……」
ハルヒ「…」
キョン「……まあ……」
ハルヒ「いいなぁ。あたしも着てみたい」
キョン「!」
佐々木「ふふっ、涼宮さんなら確かに似合いそうだね」
ハルヒ「決めた! 来年の初詣は着物で行くわ!」
キョン「お、おう。そうか」

佐々木「それじゃ、僕……っと! うん、それじゃまたね」
キョン「? もう行くのか?」
佐々木「うん。友達待たせてるし、折角の所を……悪いでしょ?」
キョン「いや、あの」
佐々木「それじゃ、キョンのことをよろしくね。涼宮さん」
ハルヒ「さよなら!」
キョン「…」

73: 2009/01/02(金) 06:26:00.60
キョン「……なんだ、別に大丈夫か」
ハルヒ「ねぇキョン?」
キョン「ん?」

ハルヒ「あんた、あの子とどういう関係?」
キョン「ど、どうって別に。ただの同級生」
ハルヒ「ふーん.……ただの同級生の女の子?」
キョン「そうだよ。それがどうした?」
ハルヒ「なんであたしのこと、知ってるのよ」
キョン「! い、いやあの、まあなんだ」
ハルヒ「……仲いいんでしょ」
キョン「べっ、別に普通だって」
ハルヒ「あんたがふつーに女の子と仲良くできるとは思えないわね」
キョン「おい、ハルヒ」
ハルヒ「ったく……帰るわよ!」
キョン「あっ、おい!」

キョン「……あぁもう……やっぱり変な勘違いしやがって」

75: 2009/01/02(金) 06:32:21.82
ハルヒ「…」スタスタ
キョン「おい、ハルヒ」
ハルヒ「…」スタスタ…

キョン「おいってば」
ハルヒ「…」
キョン「あの、違うんだ。佐々木は本当にただの友達で」
ハルヒ「わかってるわよ。だからなに?」
キョン「……なんにもないって」
ハルヒ「意味わかんない」
キョン「だから……その、なんていうか……」
ハルヒ「…」
キョン「国木田とかにも勘違いされるけど、あいつとは本当に」
ハルヒ「……ふふっ」
キョン「本当にただの……え?」
ハルヒ「あははっ、なに、なに慌ててるのよキョン!」
キョン「いや、あの」
ハルヒ「あーもー。そんなに焦っちゃって……あたし、怒ってると思った?」
キョン「そ、そりゃお前」
ハルヒ「バカねー。あんた、あたしを誰だと思ってるのよ? 涼宮ハルヒちゃんよ?」


76: 2009/01/02(金) 06:41:53.43
ハルヒ「なんであんたの同級生? の女の子を見て不機嫌にならないといけないのよ?」
キョン「……だってお前」
ハルヒ「言ったでしょ。あたしは恋愛なんてただの病気だって」
キョン「…」
ハルヒ「あんたが別にどこの子とどんな関係でも、あたしには関係ないわ」

ハルヒ「もしかして、嫉妬してるとか思った?」
キョン「……思っちゃ悪いかよ」
ハルヒ「そっか。そっかぁー」
キョン「わけわかんないことすんなよ。……まったく」
ハルヒ「もしさ」
キョン「え?」
ハルヒ「もしあたしがね、恋愛ってのを理解した普通の女の子だとしたらさ」
キョン「……?」

ハルヒ「新年早々、約束もなしに家を訪ねてさ」
ハルヒ「無理矢理連れ出して、一緒に初詣して」
ハルヒ「あんまり美味しくないフランクフルトや、表面だけが甘いリンゴあめ食べたり」
ハルヒ「寒いかって心配してくれて、ちゃんと手を繋いでてくれる」

ハルヒ「そんな男の子がいれば……それってとっても幸せなことだと思うの」
キョン「……ハルヒ」
ハルヒ「嫉妬なんてできないわ。嫉妬なんてする前に……信用しきっちゃってるもん」
キョン「…」
ハルヒ「ほら、もう日が昇るわよ? 初日の出、見るんでしょ?」
キョン「……うん、そうだな」

77: 2009/01/02(金) 06:49:49.31
ハルヒ「ここ座って? あたしも座る」
キョン「おう」
ハルヒ「んー……なんだか歩きつかれたわね」

ハルヒ「……佐々木って子、多分あんたのコト好きだったんじゃないかな」
キョン「? そうかな」
ハルヒ「うん。だってね、さっき何度もキョンの手見てたもん」
キョン「手?」
ハルヒ「あんた気がついてなかった? ずっとあたしの手、繋いでてくれてたの」
キョン「あ……あぁ、そうだった。でも佐々木は、お前と同じこと言ってたぞ?」
ハルヒ「あたしと?」
キョン「だから、恋愛感情は病気の一種だとか」
ハルヒ「あぁ、じゃあ本当にキョンのこと好きだったんだ」
キョン「?」
ハルヒ「あたしがそうだから……あたしもそう思ってるから、わかるの」
キョン「…」

ハルヒ「あたしがお参りで、本当は何をお願いしたか教えてあげよっか?」
キョン「?」
ハルヒ「今年もキョンと……今まで通り、仲よくできますようにって」
キョン「……そっか。うん、ならそうしなきゃな」
ハルヒ「もちろん!」

84: 2009/01/02(金) 06:57:19.91
ハルヒ「あっ、日が出てきた」
キョン「おー……なんだよ、綺麗だな」
ハルヒ「…」

ハルヒ「楽しかったわね」
キョン「うん」
ハルヒ「でも疲れた。今日は熟睡できそう」
キョン「あのさ」
ハルヒ「?」
キョン「なんていうか、今年もよろしくな」
ハルヒ「なっ、なによ急に」
キョン「色々と面倒なことが起こるかもしれないけど……それでも俺はさ」
ハルヒ「…」

キョン「ハルヒの隣にいるのが、一番楽しい時だと思ってるから」
ハルヒ「……うん」

キョン「さ、そろそろ帰ろう。送るよ」
ハルヒ「ちょいまち!」
キョン「えっ? なんだよ、まだどこか行くのか?」
ハルヒ「初詣、初日の出、初ハグ、初……レバー?」
キョン「??」
ハルヒ「もう一個初○○ってのが、あると思わない?」

88: 2009/01/02(金) 07:00:56.57
ハルヒ「さっき舐めたとこの、ちょっと下」
キョン「……あー……うん」

ハルヒ「これはキョンから、させてあげる」
キョン「いいよ別に。ハルヒからでも」
ハルヒ「……キョンからのが、いいの」
キョン「……わかった」
ハルヒ「ぎゅってしながら、ね?」
キョン「もちろん。今年初めて、だけど今年一番幸せに」
ハルヒ「それは嫌よ」
キョン「なんでだよ」
ハルヒ「また次も……一番幸せって思うように。今、一番幸せって思わせて?」
キョン「…」
ハルヒ「今年も、よろしくね? キョン」

89: 2009/01/02(金) 07:05:52.37
古泉「へぇ……これはいい年の始まりですね」
長門「…」コク
みくる「うふふっ、涼宮さん嬉しそうです」
古泉「しかしなんでしょうね。この孤独感は……」
みくる「そっ、それは」

みくる「ところで」
長門「?」
みくる「キョン君のおみくじの、恋愛ってどういうことが書いてあったんでしょうね?」
長門「…」
古泉「なんだか、とてもマズイことが書いてあるような素振りでしたね」
長門「……これ」カサカサ
古泉「なんで持ってるんですか?」


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古泉「……これは」
みくる「待ってる人は来ない……それはつまり」
長門「彼は誰も待っていない」


キョン「俺の傍には、もう待ち人は間に合ってるからな」
ハルヒ「ん?」
キョン「いいや、なんでもないよ」


                                           終。

92: 2009/01/02(金) 07:08:35.65
うまくまとめたな
乙でした

引用元: ハルヒ「キョンー! あけおめーっ!」