1: 2012/12/08(土) 05:52:25.35
律「昨日、澪とさ、フリマ行ったんだよ、フリマ」

紬「フリマって、フリーマーケットだよね? 古ィものをマーケットで売買するって噂の……」

唯「よく知ってるねムギちゃん」

紬「勉強したもの!」エヘン

律「うん、まぁ何でもいいや。とりあえずそこでこのカチューシャ見つけてさ。買ったわけさ」

澪「お金出したのは私だけどな」

4: 2012/12/08(土) 05:57:28.38
梓「プレゼントですか?」

澪「いや、コイツなんと財布持ってなかったんだ」

唯「りっちゃんドジだねぇ」

律「ドジじゃないって。最初から冷やかしのつもりだったんだから」

梓「最低な客ですね」

澪「買う気がない客は客じゃないと思う」

唯「買う気がない客はよく柿食う客だ?」

紬「なにそれ?」

唯「早口言葉だよー」

紬「かっ、かうきがないかきはよくきゃくくうかきだ?」

唯「わーこわーい」

律「おい、話が進まないんだが」

5: 2012/12/08(土) 06:05:25.39
唯「それで、そのカチューシャを図々しくも澪ちゃんに全額出させて勝手に自分のものにしてからどうなったの?」

律「ごめん、ちょっとチクチクするんだけど」

唯「気のせいだよ」

律「……それで、カチューシャを装備したはいいけど呪われていたんだ」

梓「デロデロデーン」

紬「取れない、とか?」

律「うん」

唯「よーしムギちゃんGO!」

紬「ほいさ!」バッ


グイグイ


律「いででででで」グググググ

唯「あっ無理そう」

6: 2012/12/08(土) 06:11:26.91
梓「ムギ先輩、ストップストップ!」

パッ

紬「なんていうかこう、頭皮ごと引っ張ってるような感覚でした!」

澪「そう。なんかまるで頭皮とくっついてる感じで全然取れないんだ」

梓「でも律先輩のアイデンティティってカチューシャだし別にいいんじゃ?」

律「髪の毛洗いにくいだろ」

梓「おお、それもそうですね」

律「全くそんなことにも気づかないのかー中野君は」

梓「へへぇ、すいませんっした先輩」ペコペコ

律「よろしい」フフン

唯「りっちゃんはそれでいいの?」

紬「幸せの形は人それぞれよ、唯ちゃん」

7: 2012/12/08(土) 06:18:11.43
*

律「しかもこれは取れないだけではなく所有者に不幸をもたらすんだ」

唯「へー、怖いねー」

律「ホントだぞ。例えば教のお昼の弁当のおかずが一部腐ってた」

梓「うわっ、結構キツいですね」

律「朝も寝起きに飲んだ牛乳が腐ってた」

唯「適当な反応してごめんねぇ、りっちゃん…!」

律「あと昨夜は聡の部屋からBL本が出てきた」

澪「腐ってたんだな」

紬「腐ってたのね」

梓「腐ってましたか」

唯「?」

8: 2012/12/08(土) 06:26:55.45
*

紬「とりあえず、それでりっちゃんは今日一日どことなく元気がなかったのね」

律「他にも細かい不幸が積み重なっててさ…。和に提出物の件で怒られたり」

澪「それはいつものことだろ」

律「通学路でトラックに轢かれそうになったり」

唯「それは同情するよ」

律「今だって黒猫が視界の隅にチラチラと」

梓「あァん?」

律「そんなわけでなんとかして外したいんだ! 誰かいい案はないか!? この通りだ!」ドゲザ

梓「丸刈りにすればいいんじゃないですか?」

唯「切りそろえた髪が とても似合ってる♪」

澪「でもツルッパゲになった きみの姿も見てみたい♪」

律「おいやめろ」

10: 2012/12/08(土) 06:34:18.97
*

梓「そういえば指輪が抜けなくなったら石鹸水に入れて取るとか聞きません?」

律「なるほど、ヌルッとしてスポン大作戦か」

澪「手洗い場から石鹸持って来ようか?」

紬「あ、私ローションなら持ってるけど……」コト

律「なんでそんなの持ってきてんの?」

紬「そ、それは…///」

澪「なにその反応」

律「まったく。唯が飲み物と間違ったらどうするんだ」

唯「りっちゃんは私を何だと思ってるのかなぁ」

11: 2012/12/08(土) 06:40:28.12
澪「で、どうするんだ律。ローションでやってみるのか」

律「うーん……梓、どう思う?」

梓「え? ええっと、すいません私が持ってるローションは安物でして…ムギ先輩ののほうがいいかと」コトッ

律「誰がローションの質を尋ねたんだ」

澪「というか梓も持ってるのか」

紬「あっ、それ一番有名なやつじゃない?」

梓「ええ、通販で安かったので、つい。ムギ先輩のは高級なやつですね」

紬「ほんのりと甘い香りがするやつとしないやつを使い分けてるの~」

さわ子「これがイマドキJKのガールズトークか」

13: 2012/12/08(土) 06:46:11.12
唯「まぁまぁ。とりあえずやってみようよ」

律「ローションでかよ。マジかよ。なんかいろいろ不安なんだけど」

唯「大丈夫だよー、普通に使う分には案外なんともないものだよ」

律「えっ」

唯「とりあえず使い慣れてるムギちゃんののほうでいこうかな」

澪「えっ」

唯「出来れば温めたいけど、まぁ、いっか。りっちゃんだし」

律「ちょっ待ってそれどういう意味かは聞かないからせめて心の準備とかさsひゃぁんっ冷たいっ!!!」

唯「あれ、ちょっと多かったかな。まぁ多いほうがいいよね、頭だし」

律「ああああなんかこう髪の毛の隙間をヌルッとした感触がたくさんんんんん」

唯「かゆい所はございませんかー?」

律「ああああああああ」



唯「取れないね」

16: 2012/12/08(土) 06:51:32.51
*

澪「どうでもいいけど頭がローションまみれの律を見ていたら歌詞が浮かびそうだ」

律「どうでもいいなら拭いてくれ」

唯「洗ったほうが確実だよ?」

律「この頭で街中を歩けと?」

梓「ここにいても他に案は出なさそうですし律先輩のダメな頭をなんとかするついでに憂にでも相談しに行きましょうか」

律「何かバカにされた気がする」

紬「憂ちゃんまだ学校にいるの?」

唯「メールしてみたけどまだ教室にいるってさ」

澪「キミを見てると いつも頭ヌルヌル♪」

律「何言ってんだお前」

18: 2012/12/08(土) 07:00:09.80
*

唯「じゃあ行こっか」

律「そうだな、変な不幸が起こる前に――」


ヒューン
ガシャアアアアン!


澪「うわっ、な、何だ!?」

梓「ガラスが!?」

紬「……ソフトボールが飛んできたみたい」

唯「あ、ホントだ。グラウンドで姫子ちゃんが何か言ってる」

澪「いやいや、ここまで届くものなのか!?」

律「これも呪い、か…」

梓「本格的に危険な呪いになってきましたね。急ぎましょう」ガタッ

律「ああ…!」ダッ

20: 2012/12/08(土) 07:07:24.70
澪「あっ!?」


グラッ


澪「ティーセット棚が…!?」

紬「りっちゃん、危ない!」ガッ

律「む、ムギ!」

紬「くっ…りっちゃん、ここは私が支えておくから、みんなと先に行って!」

律「なっ…バカなことを言うな、ムギ!」

唯「そんなのダメだよ、ムギちゃん!」

梓「なんか熱血展開になりそうですけど普通に全員で棚を押し戻せばいいのでは」

澪「いや、少なくとも律は近づけちゃいけない。余計に酷くなるかもしれないし。そういう意味ではムギは間違った判断はしてないよ」

紬「強いて言うならぶっちゃけ支えるだけならこのくらい片手でも余裕ってところが面白くないポイントよね」スパー

律「さすがですムギさん」

澪「はぁ……早く押し戻して行くぞ、ムギ」

21: 2012/12/08(土) 07:12:39.08
紬「……唯ちゃんがBボタン連打で「おうえんパワー」を送ってくれたら頑張れるんだけどなー」チラッ

唯「ほへ?」

律(なんのこっちゃ)

澪(何か変なものに影響受けたんだろうか)

紬「わーもうだめだーちからがはいらないーー」

唯「え? えーっと……び、Bボタン!」トントントントン

紬「ひゃうん/// そこはちくBぃ!」ビクンビクン

梓(オヤジギャグになってしまった)


ズシン


律「あ、悶える勢いでティーセット棚を押し戻したぞ」

澪「解決だな。ほら、行くぞムギ、唯」

紬「ふあぁい…///」フラフラ

唯「だ、大丈夫…?」

23: 2012/12/08(土) 07:22:14.43
*


そして道中の様々なトラブルを彼女達は絆の力で乗り越えていく…!


律「あ、あれ? ドアが開かない…!」

紬「そんな時にはローションよ!」


律「しまった、ドアに制服が挟まった!」

梓「そんな時にはローションです!」


律「よし、急ぐぞ!」

唯「そんな時にはローションだよ!」

律「廊下を滑れと!?」

24: 2012/12/08(土) 07:24:38.50
律「うわーローションのせいで足が滑ったー!」ツルッ

澪「危ない、このままでは律が頭をぶつけてしまう!」

  「だがそんな時にはローションだ! 頭も滑らせればいいんだ!」

紬「そして足に戻る…と。これが永久機関なのね…人類の革新だわ」

梓「勉強になります!」

唯「……っていうかもともと頭はローションまみれじゃなかったっけ」

26: 2012/12/08(土) 07:30:11.64
*

ガラッ

律「う、憂ちゃんいるかぁー…?」

憂「わっ!? 律さん、なんか全身がテカテカしてますけどどうしたんですか!?」

梓「同人工口ゲーに出る練習だって」

純「唐突に出てきて何言ってんの梓」

唯「実はかくかくしかじかでりっちゃんのカチューシャを外したいんだよ」

憂「へぇ……それでローションまみれなんだね。あれ梓ちゃんのローション?」

紬「……憂ちゃん、なんで梓ちゃんがローションを持ってきていることを知ってるのかしら?」

憂「あっ!?」

梓「も、もう、憂っ/// やだぁ///」

純「直前のセリフが「同人工口ゲー」だった奴とは思えない赤面っぷりだ」

27: 2012/12/08(土) 07:36:41.79
律「で、憂ちゃん様、何かいい案はないでしょうか」

憂「え、ええっと、ヌルヌルでダメなら温めたり冷ましたりしてくっついてるところの様子を見るとか……」

澪「確かに、そもそもどうやってくっついてるのかを知るのが一番大事だよな」

憂「でも、学校じゃあまり出来る事は多くないと思います」

律「このテカテカの身体で帰るしかないのか」

純「じゃあせっかくですし、学校で出来る限りのことは今のうちにやっておくべきでは?」

澪「例えば?」

純「……澪先輩がカッコよく叩き割る、とか?」

梓「『カッコよく』を付ければ何でもそれっぽくなるかと思ったら大間違いだよ、純」

純「でも実際カッコよく叩き割ったら私は惚れ直すよ!」

唯「ファンクラブの何割かは澪ちゃんに叩かれたい願望を持っているのかもしれないね」

澪「ミエナイキコエナイ」

28: 2012/12/08(土) 07:43:16.67
紬「でも冗談はともかくとして、私も叩かれたいけどともかくとして、澪ちゃんが物理的な衝撃を与えてみるのはアリかも?」

唯「……ふーん、ムギちゃん私じゃ不満なんだ?」

紬「そ、そういう意味じゃなくてっ!」アセアセ

澪「というか何で私?」

梓「いつも律先輩をボコボコにしてるからじゃないですか?」

憂「加減をわかってそうだなぁ、とは思います」

律「あー、いや、澪は逆にダメだよ。カチューシャを傷つけずに私の頭にたんこぶを作る達人だから」

梓「なにそれすごい」

憂「カチューシャがどこにあろうとうまく避けて叩く達人ですか?」

律「いや、カチューシャの上から叩いてもカチューシャをすり抜けて頭にダメージを通す達人」

紬「『通し』の技術、だと…!?」

純「澪先輩あびせげりは使えます?」

澪「急に何言ってるのこの子」

29: 2012/12/08(土) 07:48:22.69
律「そしてそんな澪によって作られたたんこぶもカチューシャをすり抜けて膨らむんだ」

唯「ふしぎだね!」

律「……ま、それが無くても私としてはこのカチューシャに乱暴はしたくないよ」

梓「おや、なんでです?」

律「だって、なんだかんだで澪からのプレゼントだし……///」

紬(おっふ)

梓(おっふ)

唯「照れてるりっちゃんきもーい」

澪「っていうか踏み倒す気かお前」

律「え、あれ? 100円だからいいよ、って言ったじゃん!」

澪「い、言ってないっ!」

律「言った!」

紬(おやおやおや)

憂(どっちが本当でしょうね)

30: 2012/12/08(土) 07:54:57.21
*

梓「じゃあそろそろ飽きてきましたし帰宅していろいろやってみる方向にしましょうか」

律「おい中野さん今飽きたって言いませんでした?」

純「あ、待ってください! まだ打てる手はありますよ!」

律「帰ろうか」

澪「そうだな」

純「聞いてくださいよ!」

唯「たった一度のミスで信用を一気に失った純ちゃんであった……」

紬「可哀想……」グスッ

律「いや冗談だけどさ」

澪「うん」

純「よ、よかった…」グス

梓「よかったね、じゃあまた明日」ポン

純「おかしい、親友が一番冷たい」

31: 2012/12/08(土) 08:02:19.23
憂「それで純ちゃん、打てる手っていうのは?」

純「あ、うん。話を聞いた限りでは要は呪いってワケですよね」

律「まぁな」

純「そんなオカルトならオカ研に持ち込んでみるべきではないかと!」

律「一理あるな」

澪「じゃあ行こうか」ガラッ

憂「お姉ちゃん、ご飯作って待ってるからなるべく早く帰ってきてねー」

唯「わーい」

紬「あっ、わ、私も唯ちゃんとご飯食べたいなぁ、なんて……」


ゾロゾロ


純「……そして誰もいなくなった」

  「……梓なんてガチで帰ってるし!」

33: 2012/12/08(土) 08:08:09.75
*


律「……というわけなんだがどうにかならないか」

オカ「ふむふむ」

ルト「話はわかりました」

研「ズバリ言うと、解決方法はあります」

律「何っ、それは本当かね!?」

澪(なんか一人多くないか)

オカ「そのようなカチューシャは古くは明治時代から語り継がれています」

紬(絶対嘘だ)

ルト「ちなみに叩いたりしないでよかったですね。それ以上の呪いが返ってくるところでしたよ」

律「うおお怖ぇー!」

オカ「ほら、よく言うでしょう? 頭を叩けば文明開化の音がする、って。あれはこのカチューシャのことだったんですよ。我々の研究によると」

唯「勉強になるなあ」

澪(ならないし全然意味わかんないってツッコミ入れたいけど)

紬(解決方法があるというのなら彼女達の機嫌を損ねるわけにはいかない。大人の駆け引きね)

35: 2012/12/08(土) 08:15:12.77
律「それで、どうやったらこれは外せるんだ?」

オカ「先に言っておきますけど、費用として5000円くらいかかりますが」

律「ボッタクリじゃね?」

澪「面と向かって言っちゃったよ!」

ルト「いえ、しかし本当に5000円くらいで売っているんです、解呪道具が」

紬(まさに霊感商法。オカルト研だけに)

研「もっとも、疑う気持ちもわかります。ですので後払いでいいですよ」

唯「わぁ、いい人だよりっちゃん!」

律「そうだな!(こんなやついたっけ)」

澪「ところで律、今日はちゃんとお金、というか財布はあるのか」

律「ちくわしかねぇ」

澪「………」

36: 2012/12/08(土) 08:21:55.79
律「ま、まぁまぁ。とりあえず、その解呪道具ってのは?」

オカ「このローションです」コトッ

律「またローションかよ!!」

澪「買った!」

律「買うのかよ!!!!」

澪「使うぞ律!!」ドプッ

律「えOちょっ待っていやああっひゃあああん!!」ビクンビクン



唯「……こうして、イマドキJKなのにローションを持ち歩いていないことを気にしていた澪ちゃんの手によってローションを塗りたくられたりっちゃんは無事、ゴニョゴニョしちゃったそうです」

紬「おしまい!」

38: 2012/12/08(土) 09:16:24.64
あ、はい

まぁ乙

40: 2012/12/08(土) 09:24:01.86

オチ以外は好きだ

41: 2012/12/08(土) 09:36:40.76
オチ適当すぎやしないか。
おつ。

引用元: 律「のろいのカチューシャ」