女１「おーい、天井見てないでトイレ掃除ちゃんとやってよー」ﾃﾞｯｷﾌﾞﾗｼｺﾞｼｺﾞｼ

女生徒「ごめんなさい……」

女１「じゃあ珠子は個室お願い」

女生徒「はーい」

女生徒「部室棟のトイレは春休みに改装したばっかりだし、クレンザーはまだあまり使わない方がいいかな」ｻｯｻｯﾄﾞｻﾞｧ

女生徒「」

女生徒「…………流せばなんとかなる、よね」ｸｲｯ

ジャー、モコモコモコモコ！

女生徒「」

女１「ちょっと何この泡！？ 珠子、あんた何やったの！？」

女２「わ、私先生呼んでくる！」

女生徒（こうして私の部活動見学期間１日目はクレンザーのふき取りで終わったのでした）

（4.17(木)）

女生徒（この学校にはちょっとした有名人がいます）

女生徒（なんでも、どんな事件もたちどころに解決してしまうとか）

女生徒「そして私はその人が部長を務めている推理部の部室の前にいます」

女生徒「こんにちは！」ｶﾞﾗｯ

部長「こんにちは。……あぁ、君は昨日クレンザーをぶちまけた女子か」

女生徒「な、なんでわかったんですか！？」

部長「なんで、と聞かれれば上履きのつま先、だな。学年カラーで作られてるゴムに白いあとが残ってる」

女生徒「うわさに違わぬ推理力ですね……」

部長「まぁ決め手はトイレの前で君が教師に怒られているところを部室に入るときに見かけたことだけど」

女生徒「え、推理じゃないんですかなんでネタばらししちゃうんですか探偵失格じゃないですか！！」

部長「俺は探偵だと名乗ったつもりはないし現実はそう甘くない。そんなあとがついてる女子が君一人であることを証明しなきゃクレンザー女子が君だと断言はできないしな」

女生徒「夢が壊れそうです……」

部長「ところで、君は何をしに来たんだ？」

女生徒「そうでした！ 推理部の見学に来ました！」

部長「……根本的な認識からずれてるな。ここは推理部じゃなくて文芸部だ」

女生徒「えぇ！？ 学校で有名な探偵がいたら推理部にいるって相場が決まってるじゃないですか！」

部長「だから俺は探偵じゃない。後、君は推理小説や漫画の読みすぎだ」

女生徒「そうは言っても今先輩も推理小説読んでるじゃないですか。この部室にもたくさん推理モノが置いてあるし」

部長「そりゃ文芸部だからな、参考資料はたくさんあるだろう」

女生徒「これって文芸部の備品なんですか！？」

部長「そう。先輩方が代々残していってくれた本だ」

女生徒「入部したら読んでもいいんですか！？」

部長「そりゃもちろん」

女生徒「私、入部します！！」

部長「そうかい、じゃあこの紙に記入してくれ」つ紙

女生徒「はい！ あ、申し遅れました。私、城之内珠子と申します！」

部長「俺は人貞探。よろしく」

女生徒「よろしくお願いします！ あ、私のことは助手って呼んでくださって結構です」

部長「は？」

女生徒「やだなぁ部長。城之内の『ジョ』と珠子の『珠』の字の音読みの『シュ』でジョシュですよ～」

部長「いやそうじゃなくて助手って呼ぶ必然性がないだろう」

女生徒「探偵には助手がつきものじゃないですか！ 私一度探偵の助手やってみたかったんですよね～」

部長「……もう勝手にしてくれ」

--------------------------
城之内 珠子（ｼﾞｮｳﾉｳﾁ ﾀﾏｺ）
女　高校１年　文芸部所属
推理小説好き
趣味は人物データをメモすること
小柄で、少しずり落ちた眼鏡がチャームポイント
助手と呼ばれている
--------------------------
--------------------------
人貞 探（ﾋﾄｻﾀﾞ ｻｸﾞﾙ）
男　高校２年　文芸部部長
推理力に定評あり
中肉中背のぼさぼさ頭のおかげでやる気がなさそうにしか見えない
--------------------------

Case１：女子トイレ盗撮事件

（4.22(火)）

助手「部長！ 私が入部してから生徒からの依頼が全く来ません！」

探「依頼ってなんだ依頼って」ｶﾀｶﾀ

助手「殺人事件の捜査とか！」

探「起こってたまるか。そもそも探偵は事件の捜査をする職業じゃない」ｶﾀｶﾀ

助手「でも『金田一ｓｈ○ｎｅｎの事件簿』では七不思議の解明をしてたら殺人事件が……」

探「もう少し名前を伏せる努力をしろ。第一、あの作品のレベルで事件が起きたらこの学校は閉鎖だ」ｶﾀｶﾀ

助手「じゃあフィールドワークに行きましょう、部長！そうすれば『名探偵Ｃ○ｎａｎ』よろしく事件に遭遇します！」

探「あんなトリックで犯行しても成功しないから事件は未然に防がれる、安心しろ。あと伏字の位置にもう少し気を遣ってくれ」ｶﾀｶﾀ

助手「じゃあ脳を改造して『Ｃｈ○推脳ｋｅｉ』を目指しましょう」

探「そこまでしないと推理できないようなトリックなんて成立しない。もうやめてやれ。>>1が怒られる」ｶﾀｶﾀ

助手「一応作品は知ってるんですね」

探「まぁな」ｶﾀｶﾀ

助手「部長はさっきの漫画の主人公の中では誰が一番推理力あると思いますか？」

探「サイボーグは論外として、例のお孫さんじゃないか？ 体は子供の方と違って警察からの情報提供やＤＮＡ診断とかなしで犯人までたどり着いてるし」ｶﾀｶﾀ

助手「まぁそれはそれとして、部長はさっきから何をしてるんですか？」

探「おい。……俺は年に４回の部誌に載せるための原稿を作ってる」ｶﾀｶﾀ

助手「へぇ、そんなことしてるんですか。ところで部長」

探「なんだ？」ｶﾀｶﾀ

助手「文芸部って何をするんですか？」

探「え」

助手「え」

モブ部員「探ー。部誌の原稿書きに来たぜー。おっと、君が新入部員の助手ちゃんか。初めまして、俺は茂武」

イケメン「お邪魔するよ、人貞君」

助手「部長から聞いてます。初めましてモブ先輩。私が助手こと城之内珠子です！ えーっと、あなたは？」

イケメン「僕は有栖充也。人貞君とモブのクラスメイトさ」

助手「そうなんですか。ところで有栖先輩はマスクをつけていますけど、風邪ですか？」

有栖「昨日まで休んでいたから、もうほとんど治ってるんだけどね。念のためさ。万が一誰かにうつしたら悪いしね」

モブ「お前は本当にイケメンだな。リア充なのも納得だぜ」

探「それより、有栖は何をしに来たんだ？」ｶﾀｶﾀ

有栖「おっと、忘れてた。また本を借りてもいいかい？」

探「あぁ、好きなのを持って行っていいぞ」ｶﾀｶﾀ

モブ「さてと、俺は原稿の続き、っと」

助手「モブ先輩はどんなの書いてるんですか？」ﾊﾟｿｺﾝﾉｿﾞｷｺﾐ

モブ「あ、ちょ、やめっ！」

助手「っ！？？？ キ、キャァァァァァッ！！」ﾘｮｳﾒｦｵｻｴﾙ

探「うるさいぞ」ｶﾀｶﾀ

助手「モブ先輩のえOち！！変態！！」ﾎﾟｺﾎﾟｺ

モブ「い、痛い！ 殴るのやめて！」

助手「ぶ、部長！ モブ先輩が原稿と称して女子トイレの盗撮動画見てます！ 変態です！」

有栖「……っ！？ モブ……、君ってやつは……！」

モブ「馬鹿な、俺は変態じゃない！ 変態だとしても変態という名の紳士だ！」

助手「……ってあれ？ この子の制服、この高校のじゃありません？」

有栖「え？ あれ、よく見たら確かに……」

モブ「助手ちゃん両目を覆ってたのにそんな細部まで見 助手「見てませんっ！！！」ｶｵﾏｯｶ

助手「っていうかこれ撮ったのモブ先輩じゃないですよね……？」ｼﾞﾄｰ

モブ「盗撮した動画を盗撮した場所で見るほどキモは座ってねぇよ！ これは昨日アップされたばかりの動画だ」

助手「で、ですよねー。あっ！ 部長、これは事件ですよ！」

探「そうか、頑張れ」ｶﾀｶﾀ

助手「犯人が誰なのか、私、気になります！」

探「俺、気になりません」ｶﾀｶﾀ

助手「隠しカメラがトイレにあるなんて知ったら学校でトイレ行けませんよ！」

探「そんなもの警察の仕事だろ」ｶﾀｶﾀ

有栖「……っ！！ これは！？」

モブ「どうした？」

有栖「ぼ、僕の彼女が映ってる！」

モブ「わかるのか！？」

有栖「この内腿のほくろ、間違いないよ！ 人貞君、僕からも頼む！ 警察に通報して大事にしたら彼女が傷ついてしまう！」

探「………………。仕方ない、これ以上うるさくされると原稿に支障が出る」

探「ただ一つ言っておく。俺はプロじゃないし、ましてやただの学生だ。推理が破綻することもあるだろう。そこは考慮しておいてくれ」

--------------------------
茂 武（ｼｹﾞ ﾀｹｼ）
男　高校２年　文芸部所属
どこにでもいそうな(溶け込めそうな)容姿だが、性癖はアブノーマル
変態紳士
愛称はモブ
--------------------------
--------------------------
有栖 充也（ｱﾘｽ ﾐﾂﾔ）
男　高校２年　体操部所属
名前からしてリア充なイケメン
美人で清楚でないすばでーな彼女がいるらしい
彼女が盗撮被害にあい、協力してくれることに
--------------------------

（4.22(火)）捜査開始１日目放課後

探「とりあえず動画を見せてもらおうか」

助手「……部長のえOち」

探「手がかりがそれしかないんだ、仕方ないだろう」

助手「仕方ないですね。……あっ、私が映ってる可能性もあるじゃないですか！ その前に私が一人で見ます！！」

探「なんでもいい。早くしてくれ」

………………………………

助手「どうやら私は映ってなさそうですね、安心しました」

モブ「よくわかったな」

助手「おしりのほく………、なんでもありません」

探「さて」ﾎﾟﾁｯ､ｼﾞｰ

探「……なんだ、だいぶ情報は絞れたな」ﾎﾟﾁｯ

助手「もうですか！？」

探「まずタイルの色。これはこの部室棟の改装されたばかりのトイレのタイルだ。ほかの場所のトイレとは色が違う。あくまでそれは男子トイレの話だが、おそらく女子トイレもそうだろう？」

助手「た、確かにそうです！ でも部室棟のどの階のどのトイレかはわからないですよ？」

探「それだけならな。次にタイルの光沢。新しいタイルは普通光を綺麗に反射する。でもこの個室のタイルは反射光がいびつだ」

助手・モブ・有栖「？」

探「身に覚えはないか、助手？」

助手「……あっ！」

助手「私がこぼしたクレンザーに含まれている研磨剤！ ってことは、ここは『私が掃除したトイレの個室』ですね！？」ﾒﾓﾒﾓ

探「そう。さらにそのことからわかるのはカメラが置かれた日時」

探「動画の１人目ではタイルは新品だが２人目ではすでにタイルが傷ついている」

有栖「確かトイレは入学式の日に工事を終えたらしいね」

探「流石にクレンザーをこぼした日にちは覚えていないが、入部届を書いた前日ってことは覚えている」

モブ「えーと、入部は4/17って書いてあるな」

助手「つまり、カメラが設置されたのは、『4/7～4/16の間』ってことですね！」ﾒﾓﾒﾓ

探「で、動画がアップされている以上、すでにカメラは回収済みだろうな。ようするに『4/17～4/21の間』にカメラは回収されたという訳だ」

助手「なるほど～」ﾒﾓﾒﾓ

探「ここからは可能性が高いってだけだが、体育や外部活中なら普通グラウンドの端にあるトイレを使うだろうから、部室棟のトイレを使う人間は限られる」

モブ「部室棟で活動する文科系部活の人と部室棟に用がある人くらいか。まさか改装業者がやるとは思えないしな。ばれたら真っ先に疑われるし」

探「用事があっても部室棟まで来るのは昼休みか放課後だろうな。俺ならそうする」

有栖「って言っても結構な人数いるだろうね」

助手「ふっふ～ん！ 私の出番ですね！」

助手「あのトイレに行くにはこの部室の前を通らなくてはなりません。入部してから今日まで私はやることがなくて引き戸のガラスから外を見てましたけど、部活動中は誰も通りませんでした！」

探「ということは、カメラを回収したのは『授業時間内に校内を動けた人間である可能性が高い』な」

モブ「授業時間内に校内をうろつくとなると、授業を抜け出さないと無理だな」

有栖「あと遅刻や早退も校内をうろつく時間を確保できるね」

助手「私、先生に『4/17～4/21の間』の遅刻・早退者を聞いてきます！」ﾒﾓﾒﾓ

探「そうしてくれ。……今日はもう遅い。続きは明日からだな」

>>31
ありがとうございます！

--------------------------
てがかり
・『私が掃除したトイレの個室』
・カメラの設置は『4/7～4/16の間』
・カメラの回収は『4/17～4/21の間』
・犯人は4/17～4/21の間に『授業時間内に校内を動けた人間』？
--------------------------

（4.23(水)）捜査開始２日目昼休み

助手「聞いてきましたよ、部長！」

探「どうだった？」

助手「4/17～4/21の間、『遅刻・早退者は０』だったそうです！」

モブ「流石に新年度が始まったばかりだから、まだ気合が入ってるんだろうな」

有栖「なら『犯人は授業を抜け出した人』ってことだね」

助手「そういうことになりますね」ﾒﾓﾒﾓ

探「…………。遅刻も早退も０、か……」

モブ「どうかしたか、探？」

探「いや、なんでもない。なら4/17～4/21の間に授業を抜け出したやつが何人いたかわかるか？」

助手「先生や各クラスの人に聞いてみたところ、３人いました。これがリストです」

--------------------------
安西 楓（ｱﾝｻﾞｲ ｶｴﾃﾞ）
女　高校２年　バスケ部所属
バスケ部のエース
さばさばした性格で同性にも人気
きりっとした顔にポニーテール
--------------------------
--------------------------
片陸 安美（ｶﾀｵｶ ﾔｽﾐ）
女　高校２年　吹奏楽部所属
野球もソフトボールも未経験
おとなしい性格の小動物系
胸の脂肪が無駄に大きい
--------------------------
--------------------------
安多 美佐子（ﾔｽﾀﾞ ﾐｻｺ）
女　高校３年　帰宅部
成績優秀
ミステリアス美人
某タレントのようにスタイルが無駄にいい
--------------------------

投稿完了が出てもレスできてないことが多いんですけど、なんでだかわかりますか？

モブ「全員女、か。女子トイレにカメラを設置しやすくはあるな。にしても、助手ちゃんすごい嫉妬だな……」ﾁﾗ

助手「な　ん　で　す　か　？」ﾍﾟﾀｰﾝ

モブ「なんでもないです」

助手「最初に名前があがったのが安田さんだったので、はやくも事件解決だと思ったんですけど」

探「見事に全員ヤスだな」

有栖「助手ちゃん、安易すぎるよ……」

助手「そうなんです！ これじゃ誰が犯人かわからないじゃないですかぁっ！」

探「仕方ないな、放課後になったら直接話を聞きに行くか」

モブ「そうだな」

--------------------------
てがかり
・『私が掃除したトイレの個室』
・カメラの設置は『4/7～4/16の間』
・カメラの回収は『4/17～4/21の間』
・犯人は4/17～4/21の間に『授業時間内に校内を動けた人間』？
　→『遅刻・早退者は０』
　→授業を抜け出したのは『安西 楓』『片陸 安美』『安多 美智子』の３人
--------------------------

（4.23(水)）捜査開始２日目放課後

モブ「安西ー、部活行く前にちょっといいかー？」

安西「へ？ 私になんか用でもあるのか？」

探「いくつか聞きたいことがな」

安西「部活が始まるまでならいいよ」

助手「安西先生…！！ …………バスケがしたいです……」

有栖「ちょっと、助手ちゃん。本人の前だよ、自重しなよ……」ﾊｧ

安西「な、なぁ、探。あの変な子は？」ﾋｷ

探「ただの推理モノ好きの新入部員だ。気にしたら負けだ」

安西「そうか……。で、聞きたいことってなんだ？」

探「4/18の体育の授業で途中で抜け出したらしいが、なんでだ？」

安西「あー、あれか。あっはは、間違えて体育着のパンツじゃなくてバスパン穿いちゃっててさ。別にいいかと思ってたら授業始まってすぐに教師に注意されてさ、着替えに教室に戻ったんだ」

助手「担当教員もそう言ってました。『行ってから帰ってくるまで５分なかった』みたいです」

安西「はやく体育に戻りたかったから走って教室に向かったんだ」

探「５分か……。新校舎からグラウンドは部室棟を挟んでいるから走ってぎりぎり間に合うかどうかってところだな」

モブ「本当に教室に戻ったのか？ どこかに着替えを置いておけば余裕だろ。例えば、部室棟とか……」

安西「バスケ部は体育館に部室があるから着替えを置いておけるところなんてないよ。それに『教室に戻ったのを見た』人もいるし」

助手「つまり証人ですね！？」ｷﾗｰﾝ

安西「あぁ。廊下を走ってたら隣の教室から教師が出てきて軽く注意されたんだ」

探「そうか、わかった。時間使わせて悪かったな」

安西「べ、別に気にすんなよ。んじゃ」

助手「私、ウラとってきますね」ﾀﾀﾀｯ

--------------------------
安西 楓（ｱﾝｻﾞｲ ｶｴﾃﾞ）
女　高校２年　バスケ部所属
バスケ部のエース
さばさばした性格で同性にも人気
きりっとした顔にポニーテール
着替えで授業を抜けた(証人あり)
--------------------------

有栖「片陸さーん、ちょっといいかなー？」

片陸「あ、有栖君」」

モブ「聞きたいことがあるんだけどいいか？」

片陸「今日は部活もないしいいよ」

助手「片陸さんは野球やる気はありませんか？」

片陸「え？ ちょ、え？」ｷｮﾄﾝ

助手「主に茨城で。特にセカンドなんかオススメですけど」ｽﾞｲ

片陸「う、うん。ないかな……？」

探「助手、ちょっと黙ってろ」

有栖「4/17の音楽の授業で一度音楽室から出たらしいけど、なんでか教えてもらえないかな？」

片陸「4/17……、うーん……。あ、思い出した！ 隣の音楽準備室から教材を運んだの」

助手「教材、ですか？」

片陸「うん。と言っても古いレコードだけどね。重いから先生と一緒にね」

探「……なるほど」

モブ「『音楽室から出たときはずっと先生と一緒』にいたのか？」

片陸「うん、そうだよ」

助手「また証人がいるようですね。ウラとってきます！」

有栖「ありがとう、じゃあまた明日！」

片陸「うん。じゃあねー」

--------------------------
片陸 安美（ｶﾀｵｶ ﾔｽﾐ）
女　高校２年　吹奏楽部所属
野球もソフトボールも未経験
おとなしい性格の小動物系
胸の脂肪が無駄に大きい
教材の移動で授業を抜けた(証人あり)
--------------------------

探「4/21の数学の授業を抜けたって聞いたんですけど、どうしてか教えてもらえますか？」

安多「んー？ また何か頼まれてるみたいね。その日の前日は日曜だったでしょ？ つい夜更かししてしまってね、それで貧血で保健室に行ったのよ」

モブ「それを証明できる人はいますか？」

安多「ふふっ、私が容疑者って訳ね。でも残念。教室を出た時間を先生がメモをとってたから、保健室の記録と比べてもらえばわかると思うわ」

安多「『寄り道する時間はなかった』ってね」

助手「私、確認してきます！」

安多「人貞君、あの子は新入部員？」

探「はい。推理モノ好きの変人です」

安多「ふーん。じゃ、次の部誌楽しみにしてるわね」

探「ありがとうございます。では」

モブ「疑いたくはねぇけど、一応先輩の教室から例のトイレを経由して保健室まで走ると何分かかるか試してみるか」

有栖「そうだね」

探（実験結果と記録を比較すると、やはり先輩にトイレに寄る時間はなかった）

--------------------------
安多 美佐子（ﾔｽﾀﾞ ﾐｻｺ）
女　高校３年　帰宅部(元文芸部所属)
成績優秀
ミステリアス美人
某タレント並にスタイルが無駄にいい
トイレに寄る時間はなかった(確認済み)
--------------------------
--------------------------
てがかり
・『私が掃除したトイレの個室』
・カメラの設置は『4/7～4/16の間』
・カメラの回収は『4/17～4/21の間』
・犯人は4/17～4/21の間に『授業時間内に校内を動けた人間』？
　→『遅刻・早退者は０』
　→授業を抜け出したのは『安西 楓』『片陸 安美』『安多 美智子』の３人
　　→全員アリバイあり
--------------------------

（4.23(水)）捜査開始２日目放課後

助手「全員犯行は無理そうですね……。別に犯人がいるんでしょうか……」

有栖「どうだろう。でもここまでの推理は間違っていないと思う」

探「……」

モブ「だがそうなると、誰かが嘘をついてるってことになるぞ？」

有栖「そうなるね」

助手「はっ！ つまり、誰かの『アリバイを崩す』んですね！！ 燃えてきました！」

モブ「でも一筋縄じゃいかなそうだな。３人とも証人がいたり、時間的に不可能だったり……」

有栖「たぶん、『なんらかの手段で時間を短縮できる』のかもしれないね」

助手「ではその線で捜査を続けましょう！」ﾒﾓﾒﾓ

探「……そうするか。みんなどんな方法でもいいから明日までに時間短縮の手段を考えておいてくれ。今日はここまでだな」

モブ「そうだな」

有栖「じゃあ僕は先に帰るよ」ｶﾞﾗｯ

助手「では私も」

探「……モブ。帰る前にちょっと頼みごとがあるんだ」

モブ「頼みごと？」

探「あぁ。かくかくしかじか」ﾎﾞｿ

モブ「そんなことでいいのか？ よくわからんがわかった。じゃあな」

--------------------------
てがかり
・『私が掃除したトイレの個室』
・カメラの設置は『4/7～4/16の間』
・カメラの回収は『4/17～4/21の間』
・犯人は4/17～4/21の間に『授業時間内に校内を動けた人間』？
　→『遅刻・早退者は０』
　→授業を抜け出したのは『安西 楓』『片陸 安美』『安多 美智子』の３人
　　→全員アリバイあり
　　　→『時間を短縮できる』手段がある？
--------------------------

（4.24(木)）捜査開始３日目放課後

探「さて、みんな集まったな」

助手「モブ先輩がまだ来てません！」

探「モブには頼みごとをしてあってな、しばらく来ない」

有栖「そうだ、人貞君。昨日から考えていたんだけど、『カメラを遠隔操作』で動かせるならアリバイがあっても犯行は可能なんじゃないかな？ そう、例えば……ラジコンみたいな」

助手「なるほどぉ。でも、それができるなら『全校生徒が犯行可能』ですよ？」

有栖「……となると、犯人を捜すのは至難の業だね……」

助手「そんな……！ ここまで来て迷宮入りなんてさせません！ こうなったらローラー作戦しかないですね！ 部長、早速……」

探「………………だが、その前に。モブが来るまで待ってくれ」

有栖「……」

助手「？」

モブ「遅くなって悪かった！ 探、連れてきたぜ！」ｶﾞﾗﾗｯ

有栖「き、清美！？」

--------------------------
楚原 清美（ｿﾊﾗ ｷﾖﾐ）
女　高校２年　帰宅部・図書委員所属
色白の清楚系美人
出るとこは出て、締まるとこは締まってやがる
有栖先輩の彼女
--------------------------

楚原「あ、充也君。な、なんで私はここに連れてこられたのかな？」

探「わざわざすまない、楚原さん。少しの間そこの椅子に座って話を聞いていてくれ」

楚原「う、うん」

探「……有栖、お前にひとつ聞きたいことがある」

有栖「え？」

探「なんで動画に映っていたのが楚原さんだとわかったんだ？」

有栖「なんでって、人貞君もその場にいただろう！」

探「『秘密のほくろ』があったから、だったな」

有栖「そうだよ！」

探「……助手。お前が自分が映っていないことを確信したとき、なんで秘密のほくろの位置を途中で言うのをやめた？」

助手「き、聞いてたんですか！？ …………は、『恥ずかしいから』ですよ！」

探「だろうな」

モブ「何が言いたいんだ？」

探「楚原さん。これは大事なことだ、恥ずかしがらずに答えてくれ。楚原さんは、『有栖に裸を見せた』ことがある？」

楚原「ななな、何を言ってるんですか！？」

有栖「人貞君！ 僕の彼女に何を言ってるんだ！」

探「大事なことなんだ」

楚原「～～～～～っ！ ……あ、ありません」ｶｧｧ

探「ありがとう」

探「有栖。なんでお前は見たこともないのに、楚原さんのほくろが内股にあることを知っていたんだ？」

楚原「え？」

有栖「そ、それは！ 清美に聞いたから……」

探「言う訳がないんだよ。普通『恥ずかしくて言えない』んだから。だよね、楚原さん？

楚原「は、はい。なんで充也君が私のほくろを……？」

探「簡単だ。有栖は動画を見て知ったからだ」

有栖「っ！！！」

助手「でも動画の顔にはモザイクがかかってましたよね？」

探「あぁ。でも一人だけいるだろう？ モザイクなしの動画を見れるやつが」

モブ「まさか！」

探「そう、『　犯　人　は　有　栖　』だ！」

有栖「馬鹿なこと言うな！ 僕は容疑者候補に名前すらあがらなかったじゃないか！！」

探「それはお前が『欠席者』を候補に入れなかったからだ」

助手「そういえば……」

　　　『あと遅刻や早退も校内をうろつく時間を確保できるね』

モブ「欠席者も学校に行けば校内を歩き回れるってことか……」

有栖「そ、そもそも僕は君たちの捜査に協力していたじゃないか！ もし犯人なら自分で自分の首を絞めるようなことをする訳がないだろう！」

探「本当にそうか？ 一見協力しているように見せて、実際は自分を守ろうとしているように感じたが」

探「最初は確実に捕まる警察を遠ざけ、

　　　『警察に通報して大事にしたら彼女が傷ついてしまう！』

探「欠席者を除外し、

　　　『4/17～4/21の間、遅刻・早退者は０だったそうです！』

　　　『なら犯人は授業を抜け出した人ってことだね』

探「そして犯行可能な人間を増やした、

　　　『カメラを遠隔操作で動かせるなら、犯行は可能なんじゃないかな？』

　　　『なるほどぉ。でも、それができるなら全校生徒が犯行可能ですよ？』

　　　『……となると、犯人を捜すのは至難の業だね……』

探「俺たちの目から自分を遠ざけるために！」

助手「確かに、てがかりのほとんどは有栖先輩が……」

モブ「嘘だろ、有栖！」

探「意見を出してるようで、いつもミスリードを誘っていた。そうだろ？」

有栖「ふ、ふざけるな！！ そ、そうだ！ 証拠は！？ 証拠がないだろ！？」

探「…………そうだな、証拠はない。でももし、もしも「ほくろは水着や体育着のときに見えた」「欠席した日はずっと家にいた」って」

探「……どんなに苦しい言い訳でも、理由が言えてたならこれ以上は追求するつもりはなかったよ」

有栖「何が言いたい！？」

探「「証拠を見せろ」って、最後の屁理屈を言った時点で認めてるようなものじゃないか？ 『自分が犯人だ』ってさ……」

有栖「っっ！！？？」ｷﾞｸｯ

楚原「ね、ねぇ、さっきから動画、動画って……、一体なんの……？」

モブ「そ、それは……」

助手「聞かない方が、いいですよ……。一度外へ行きましょう……」

有栖「……くくく、あははははっ！！！」

楚原「充也君……？」ﾋﾞｸｯ

有栖「そうだよ！ 俺がやった！！ その女が悪いんだ！！ 付き合って半年経っても一向にヤらせるそぶりもみせねぇ！」

助手「そんな風に楚原さんのことを……っ！ 許せませんっ！！」

有栖「だから俺の方から手を出したんだよ！！ 盗撮動画をとるためになぁっ！！！」

楚原「と、盗撮動画……？」

有栖「あぁ、そうだ！ しっかり映ってたぜ？ お前が個室に入るところから、出すところ、拭くところも何もかもなぁっ！！！」

楚原「そんな……」ｶﾞｸｶﾞｸ

有栖「ばれちまったなら仕方ない！！ お前ら全員黙らせてやる！！」ｽｯ

助手「スタンガン！？ 楚原さん、逃げて！！」

有栖「お前ら全員知り合いの裏稼業の人間に売りつけてやる！！！」ﾀﾞｯ

モブ「有栖……、お前のこと、いいやつだと思ってたのによ…………」

有栖「邪魔をするならまずはお前からだ、モブゥゥゥゥゥゥゥゥゥ！」

モブ「失望した」ｽｯ…

有栖「え？」ﾌﾜｯ

モブ「ハッ！！」ﾄﾞｼﾝ!

有栖「ぐはっ！！？ うっ……」ｶﾞｸｯ

助手「み、見事な背負い投げ……」

探「けがで辞めちまう前は柔道の達人だったからな」

モブ「中学時代で県大会どまりだから達人って程じゃないけどな」

助手「あっ！」

モブ「どうした！？」

助手「やっぱり犯人はヤスでした！ ほら、『充也』のヤと『有栖』のスで『ヤス』です！」ｷｬｯｷｬｯ

探「助手……、お前ってやつは……」

--------------------------
有栖 充也（ｱﾘｽ ﾐﾂﾔ）
男　高校２年　体操部所属
名前からしてリア充なイケメン
美人で清楚でないすばでーな彼女がいるらしい
彼女が盗撮被害にあい、協力してくれることに
盗撮事件の犯人
甘いマスクの下は下種な嗜好の持ち主だった
--------------------------
--------------------------
人貞 探（ﾋﾄｻﾀﾞ ｻｸﾞﾙ）
男　高校２年　文芸部部長
推理力に定評あり
中肉中背のぼさぼさ頭のおかげでやる気がなさそうにしか見えない
うわさに違わぬ推理力の持ち主
--------------------------
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茂 武（ｼｹﾞ ﾀｹｼ）
男　高校２年　文芸部所属
どこにでもいそうな(溶け込めそうな)容姿だが、性癖はアブノーマル
変態紳士
愛称はモブ
意外にも柔道がうまかった……
--------------------------

（4.28(月)）放課後

助手「結局、有栖先輩は退学、楚原先輩もあれ以来男性恐怖症になってしまい女子高に転校するそうです」

モブ「まぁ、あんだけひどい事されたらそうなるよなぁ」

探「楚原さんには悪いことしたな」ｶﾀｶﾀ

助手「そうですね……。ところで、よく部長は有栖先輩のミスリードに気付きましたね」

モブ「俺も気になってた。なんでだ？」

探「有栖の発言に対する違和感はずっとあったんだが、ミスリードを疑い始めたのは最初に遅刻と早退が０って聞いたときだ」

モブ「でもこの時期ならまだあり得るじゃんか」

探「１年生だけならな。上級生は年度が変わったってぐだぐだな奴はいるだろ？ でもそれを含めて０人だったなら、欠席してたんじゃないかって思ったんだ」

助手「な、なるほど」

探「でも一番の要因は、あの三人のアリバイが完璧だったからだ」

モブ「アリバイ？」

探「あぁ。フィクションじゃあるまいし、アリバイが完璧だったなら、それは違う人がやったってことだ」

助手「なーんか、夢がないですね～」ｼｮﾝﾎﾞﾘ

探「助手、何度も言うが君は推理小説の読みすぎだ」

探「それよりお前ら、原稿はできてるのか？」

モブ「俺はできてるぜ、今メールに添付して送るわ」ｶﾁｬｶﾁｬｶﾁｬ､ｯﾀｰﾝ

探「助手は？」ﾁﾗ

助手「私もできてます！」ﾌﾝｽ

探「どれどれ……」

Case１：女子トイレ盗撮事件～終～

以上で終了です！
>>2でも作中でも言ってますが、推理の穴とかは高校生らしさを出す演出ですｗｗｗｗ

途中からレスがうまくできなくなって途中から無視してしまったのでここでまとめて
レスをくださったすべての方に感謝いたします

質問も受け付けます

おつー
楽しかったです。続きがあったらそれも読みたい