1: 2017/04/22(土) 21:54:52.44
こち亀アニメ最終回とシン・ゴジラのネタバレが含まれます。ご注意下さい。





【2017年四月中旬 ニコニコ寮】

両津「くそっ、なんて軟弱な床だ」

両津「ちょっとワシとボルボと左近寺の三人で100kgの重りを背負ってカバティ大会しただけなのに、抜け落ちやがって!」

寮のおばさん「そんな事したら床も抜けて当たり前だよ。ともかく、下の階の人に迷惑だから、両さんの荷物をどこかに移しとくれよ。廊下に置いてたら捨てちまうからね」

両津「ううむ、仕方ない。左近寺、お前の部屋にワシの荷物を置かせろ」

左近寺「断る! お前の部屋のガラクタを、オレの沙織と同居させたりするものか!」

両津「チッ、沙織沙織と、いつまでオワコンのキャラを引きずってやがるんだ、お前は」

左近寺「お、オワコンじゃない、いずれまた沙織のゲームが発売される!」

両津「もう薄い本にすら出番のない、完全に氏んだキャラだろうが!」

左近寺「お、終わってない、ま、まだこれからだ、これからなんだーーー!!」ダダダダ

両津「左近寺め、現実から逃げたか」

ボルボ「オレのところは寮から少し離れているから無理だな」

両津「去年のゴジラ騒動のせいで、寮も空き部屋がないし。ううむ、どうするか……」

両津「そうだ、あそこがあった!」





2: 2017/04/22(土) 21:55:27.23
【ニコニコ寮 日暮の部屋】

両津「いいか、そーっとだぞ、音を立てるな」

ボルボ「うむ、潜入工作の要領だな」

両津「よし、おろすぞ」

ボルボ「この十分の一ダイターン3プラモで終わりか」

両津「組み立てる前で良かったぜ。組み立てた後の全高12mならとても部屋に入らん」ガタッ

ボルボ「おい両津、何か倒れなかったか?」

両津「いや気のせいだろ。さあ、日暮を起こしちまわない内に、外へ出るぞ」

ボルボ「ううむ、何かとてつもなく嫌な予感がする。オレの元傭兵としての勘が……」

両津「この部屋に長居する方が危険だぞ」





3: 2017/04/22(土) 21:56:03.96
【四月下旬 葛飾区亀有公園前派出所】

両津「ううむ、どこにしまったのか思い出せん」

麗子「圭ちゃん、両ちゃんったらさっきから何を探してるの?」

中川「それが、スマホ型警察手帳をなくしたらしいんだ」

麗子「またどこかで酔っ払って落としたんじゃないの」

中川「GPSの反応もないそうだよ」

麗子「両ちゃんの事だから無茶な事して壊しちゃったんじゃないの」

両津「ううむ、決定的に思い出せん。このままではいずれ部長に知られて、また減給されてしまう……」

両津「こうなったら最後の手段だ。ちょっと行ってくる!」

麗子「ちょっと両ちゃん、まだ勤務中よ!」

両津「ワシは勤務中でも自由行動が得意なフレンズだ!」ダダダダ

中川「すっごーい、たっのしー!」

麗子「け、圭ちゃんの脳がフレンズ化してる……」ドンビキ

中川「すみません、つい……」タハハ





4: 2017/04/22(土) 21:58:22.12
【ニコニコ寮 日暮の部屋】

両津「おおい、日暮、起きろ! 2020年になったぞ!」

日暮「……」zzzzz

両津「ダメだ、まだ眠りが深すぎる。チッ、日暮の超能力で警察手帳のありかを探させようと思ったのに」

両津「ん? なんだあれは? 何かいるぞ……」

両津「なんだ気持ちの悪い生き物だな。魚みたいなのに、後ろ足と細長い尾が生えてやがる」ヒョイ

生き物「……」ジタバタ

両津「あ、コイツの下にワシの警察手帳が!」

両津「ううむ、この部屋はGPSさえも遮断するのか……」

両津「しかも、こんな気持ちの悪い生き物も発生しているし、流石だな日暮の部屋」

両津「ワシの荷物を運び入れた時に手帳を落としたんだろうな

両津「だがコイツにはワシの手帳を隠したという、重い罪がある。どうしてくれよう」

生き物「……」ジタバタ

両津「よし、手帳隠匿罪の刑罰が決まったぞ……!」ニヤリ




6: 2017/04/22(土) 21:59:44.83
【ニコニコ寮 トイレ】

両津「それ、流れろ! 落ちろ! 消えうせろォ! スッポンの威力を思い知れぇー!

生き物「……」ジタバタ

両津「どうだ、思い知ったか! ワシに勝てると思ったのが間違いだ!」

両津「ふっふっふっ、これで事情を知る者は誰もいない……。目撃者は消せ、だ」

本田「あれえ、先輩。どうしてトイレで騒いでるんですかあ?」

両津「い、いや、なんでもない! いいか、本田忘れろ、忘れるんだ! さもなければ、月刊サファイアを廃刊に追い込むぞ!」

本田「せ、先輩なら、ロボ刑事番長にオゲレツを描いたり、権利にうるさいというアメリカのヒーローを出したりして、本当に廃刊に追い込みかねない!」

両津「他にも別の漫画をトレースするという手もある。大炎上確実だ」

本田「わ、忘れます、忘れます!」

両津「そうか。では、何もなかった、何も見なかった。な、そうだろう、本田?」

本田「あれえ、先輩、トイレで何してるんですかあ?」

両津「いい子だ、本田くん。とてもいい子だ」





7: 2017/04/22(土) 22:00:54.26
【下水道】

生き物「……」ゲキオコ





【五月初旬 立川防災予備施設 総理執務室】

里見総理大臣臨時代理「なんだって、またゴジラが現れたって言うのかね!!」

矢口「はい、10分前に浦安市に上陸し、その後葛飾区方面に進行中。形状は前個体の第四形態に酷似しています」

里見「国連は何と言ってきたんだい?」

片山外務大臣臨時「前回の個体から採取した肉片等の研究により、熱核攻撃による殲滅は不能と判断されたため、即効性のある対策もなく紛糾しているようです」

里見「ようやく、次の政権にも目途がついて御役御免と思っていたのにねえ……」

矢口「総理。事は重大です。このまま再度東京蹂躙を許し、前回のゴジラと接触させれば本当に何が起こるか分かりません」

片山「仮に前回のゴジラの凍結がとける事になれば、今度こそ熱核攻撃が即時実行されるでしょう」

矢口「それが例え有効ではなかったとしても、万に一つの状況の改善に賭けて」

里見「そうなったら都民の避難は間に合わないだろうねえ……。だが、何か手立てがあるんだろう、矢口くん?」

矢口「はい。実は避難誘導にあたっている警視庁から重大な報告がありました」





8: 2017/04/22(土) 22:02:05.92
【葛飾署 屋上】

署長「見えたぞ大原くん!」

大原「な、なんという、大きさだ……!」

中川「見て下さい部長!」

麗子「あの眉毛!」

大原「つ、つながっている! 眉毛がつながっとる!!」

両津「ふーん、サーバルちゃんみたいだな」

中川「先輩!」

署長「両津!」

麗子「両ちゃん!」

両津「ど、どうした!? なんで、みんなワシを見るんだ!?」

大原「両津、きっさまぁぁぁぁぁ、また何か仕出かしたなぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」

9: 2017/04/22(土) 22:02:38.64
両津「わ、ワシは、あんなデカいの知りませんよ、部長ぉぉぉぉーーー!」

大原「ではあの眉毛はなんだ、貴様の一族くらいだろうが、あんな眉毛をしとるのは!!」

両津「じゃ、じゃあ、金次郎の無線から怪電波が出て、あんな巨大不明生物を呼んだんですよ!」

大原「違う、貴様だ、お前だ、お前の責任だァ!!」

両津「オヤジの佃煮が怪しいバイオ生物を生み出したんですよ、きっと!」

大原「よし、お前も佃煮にしてやるから、アイツを退治して来い!」

両津「そんなァ、ワシは関係ないんですってばぁ~!!」

中川「あの個体は前回の個体と明らかに違います」

麗子「そうね、眉毛はつながってるし、ガニ股だわ」

大原「それに見てみろ、パチンコ屋、コンビニ、おげれつグッズ屋、プラモ屋、ゲーム屋、お前の生息場所ばかり破壊しとるじゃないか!」





10: 2017/04/22(土) 22:03:23.92
【尾崎模型】

尾崎「うわああ、私の店がぁーー!」

バーサン「プラモ屋さん、逃げるんだよ早く!」





【葛飾署 屋上】

中川「どうも、大き過ぎて近づいただけで店を壊してしまっているようですね」

麗子「きっとツケで買おうとしたけど、店が壊れちゃって次々にハシゴしているんだわ」

両津「そんな馬鹿な事があるか! 偶然だ偶然! 大体、通過したところは全部壊れてるだろうが!」

中川「便宜上、勘(カン)・ゴジラと名づけましょう」

両津「そんな名前はやめろ! あらゆる意味で炎上する!」

両津「おい、巨大不明生物! てめぇ迷惑だぞ、帰れ帰れ!」

カン・ゴジラ「……」ギロッ

11: 2017/04/22(土) 22:03:58.26
中川「あ、先輩を見た!」

麗子「もしかして両ちゃんが目的なんじゃないかしら」

両津「麗子てめぇ、いい加減な事を言うとぶっ飛ばすぞ!」

大原「両津、お前ちょっとここから離れてみろ」チャキ

署長「署から出て行くんだ」チャキ

両津「そ、そんな部長も署長も、銃なんか出して。本気じゃないんでしょ? ね、ね?」

大原「うるさい、早く行け!」ドン

両津「いてて、屋上から突き落とされた! ブラック警察め、労基に訴えてやるぞォ!」ドタ

大原「黙れ、消え去れ悪魔め!」バン、バン

両津「うわあ、本気で撃った! くっそォ逃げるしかない!」

麗子「見て、カン・ゴジラが両ちゃんを追っていくわ!」

中川「やはり先輩の敵は先輩だったか」

麗子「いつか両ちゃんが世界を滅ぼす気がするわ」





12: 2017/04/22(土) 22:04:31.54
【立川防災予備施設 総理執務室】

尾頭「原因は不明ですが、カン・ゴジラが両津勘吉巡査長を追っているのは明らかです」

矢口「両津勘吉巡査長でカン・ゴジラを誘導し、万が一のために巨災対で旧東京駅周辺に蓄積していた血液凝固剤を用いてカン・ゴジラを前回個体の近傍で凍結させます」

矢口「以上を基本としたヤジロベー作戦を提案します」

里見「矢口くん、そのヤジロベー作戦という作戦名の意図するところはなんだね?」

矢口「両津勘吉巡査長という小さな存在を、カン・ゴジラという大きな存在が踏み潰すように見えても、その実、不安定でいつ落ちるとも知れない氏地へ踏み入っているという、たとえです」

里見「なるほどね。よし、やろうじゃないか、ヤジロベー作戦」

尾頭「本当はヤシなんとかという名前が思いつかなかっただけですが」

矢口「ヤシガニやヤシノミではダメだ……!」

片山「ヤシロアキ……。いや、ヤシキタカジンがいい!」

尾頭「……ヤシキ・トールイオー作戦というのはどうでしょう」

里見「君たちは発想がオッサンなフレンズなんだねえ」

矢口「なにそれ、なにそれー!」





13: 2017/04/22(土) 22:05:57.29
【墨田区向島 路上】

両津「くっそぉ、明らかにワシを追って来てやがる」

両津「悔しいが、部長たちの言う事が当たっているようだ……」

両津「コラァー、ゴジラー! なんの恨みがあってワシを追いかけて来るんだー!」

カン・ゴジラ「……」

両津「クソォ、黙秘かよ! 見てろ、スカイツリーを引っこ抜いてぶつけてやるからな!」

ブオォーン(フェラーリのエンジン音)

大原「おい両津!」

両津「あ、部長! 中川も! 助けに来てくれたのか!」

中川「先輩、このまま進むとスカイツリーが危険です。一旦台東区に入って、それから旧東京駅を目指して下さい!」

両津「なんだ助けに来たんじゃないのか……」

大原「ワシとしてもお前なんかどうなってもいいが、上からの命令でお前を東京駅へ誘導する事になった」

両津「やーだよ、このままスカイツリーに行っちゃうもんねー」

14: 2017/04/22(土) 22:06:30.96
大原「ワシは別に構わんぞ」

大原「ただし、スカイツリーは破壊料金があるらしいな」

両津「そ、そういえば、アニメの最終回でも爆破こそしたが、ほとんど壊れなかったのはそれが理由だと聞いた覚えが……」

中川「あくまで噂ですよね、噂!」

大原「お前、また借金を増やす気か?」

両津「くっ、そんな事言ったって、そっちがワシを見捨てたからでしょう!」

大原「言う通りにすれば、ボーナスをやろう。署長にも話はつけてある」

両津「ほ、本当ですか!!」

大原「ああ、約束だ。だが、スカイツリーが壊れて破壊料金が発生したらボーナスも水の泡だろうなあ」

両津「や、やります! 東京駅までアイツを誘き寄せます!!」

大原「コースを変えて台東区に入るんだぞ」

両津「了解でぇーーっす!!」ギュワー!!

中川「すごい、時速400kmは出てる! さっきまで時速30kmで走ってたのに!」

大原「命より金の方が十三倍以上重いらしいな」





15: 2017/04/22(土) 22:07:08.91
【台東区 千束周辺】

カン・ゴジラ「……」キョロキョロ

両津「くっくっくっ、ゴジラめ。ワシを見失ったな。地元の路地裏なら知り尽くしてるぞ」

銀次「てめぇ勘吉、ついに地元を滅ぼしに来やがったな!」

両津「あ、オヤジ、静かにしろ! ゴジラに見つかる!」

銀次「てやんでぇ、町内で噂になって、こっちは大迷惑してんだ! さっさとヨソへ行きやがれ!」

両津「だ、ダメだ、見つかった!」

カン・ゴジラ「……!」ブン

よね「父ちゃん、ゴジラの尻尾で店がぶっ飛んじゃったよ!」

銀次「てめぇ、どうしてくれるんだ!」

両津「オヤジのせいだろうが!! いかん、また尻尾だ!」

???「ハハハハハハハ!!」

銀次「誰でぇ!!」

両津「こ、この声は……!!」

16: 2017/04/22(土) 22:08:21.37
???「股間のもっこり伊達じゃない! 陸に事件が起きた時、海パンひとつで全て解決! 特殊刑事三羽ガラスの一人!!」

海パン刑事「海パン刑事、ただ今参上!!」

銀次とよね「……」

カン・ゴジラ「……」

両津「何しに来た、海パン刑事!!」

銀次「お前、地元を滅亡させるだけじゃなく、風紀も乱す気か!!」

よね「見損なったよ勘吉!」

両津「ワシが知るかぁー!」

海パン刑事「落ち着け両津。私はお前の助っ人に来たのだ。ここは私に任せてもらおう。さあ、今の内に行くがいい」

両津「おう、そうか。まあ氏なない程度にがんばってくれ」

海パン刑事「ちなみにドルフィン刑事と月光刑事は艦これのイベント攻略が忙しくて休暇だ」

海パン刑事「特にドルフィン刑事は掘りが沼っているそうだ。彼は潜るのが得意だからな」





17: 2017/04/22(土) 22:09:53.41
【警視庁 特殊刑事課】

月光刑事「ううむ、今回のイベントも月光の追加はなしか……」

美茄子刑事「説明しよう。月光刑事が艦娘に月光を搭載すると、月光の対空値が50に跳ね上がるのだ」

美茄子刑事「なお、月光刑事だけ月光を秋津洲や速吸に搭載可能である」

ドルフィン刑事「今回も甲勲章は手に入ったが、掘りが終わらないし資源が……。リアルオリョクルに行く、でち……!!」






18: 2017/04/22(土) 22:11:21.24
【台東区 千束周辺】

海パン刑事「さあ、カン・ゴジラよ。私がお相手しよう」

海パン刑事「なに、心配する事はない。私は甲攻略も掘りも終わっている」

海パン刑事「もちろん資源ゼロの、まるゆ攻略だ」

カン・ゴジラ「……」ノケゾリ

海パン刑事「見ての通り、私は武器を持っていない」

カン・ゴジラ「……」ブルブル

海パン刑事「そうら、今この海パンも脱いで、害意がないところを見せようじゃないか」

海パン刑事「おっと、これは試製51cm連装砲ではないぞ」

銀次「よ、よう、兄さん。勘吉の知り合いらしいな。その格好じゃまだ寒いだろう」

よね「ほら、このハンテン着なよ」

銀次「ふんどしも持ってきてやる」

海パン刑事「う、うわあぁぁぁー、はずかしいーー! 海パン刑事なのに服を着てるなんて恥ずかしーー!」バタリ

カン・ゴジラ「……」ゲンナリ





19: 2017/04/22(土) 22:12:09.44

【立川防災予備施設 巨災対室】

尾頭「カン・ゴジラの進行速度、極端に低下。両津勘吉巡査長との距離開いていきます」

矢口「一体何が起こったんだ!」

尾頭「現場の映像を見る限り、老夫婦にハッピ姿の男性が気遣われているようです」

矢口「本当に一体何が起こったんだ!」





【旧東京駅付近】

両津「ゴーール!!」

両津「やったぜ、これでボーナスだ!!」

麗子「待ってたわ、両ちゃん。お疲れさま」

両津「お前、なんでそんなごっつい防護服を着てるんだ。フルアーマー麗子か?」

麗子「これは気にしないで」

両津「まあいいか。おう、ボーナスくれ、ボーナスどこだ」

20: 2017/04/22(土) 22:13:15.82
麗子「ほーら、両ちゃん、前祝いよ。一杯どうぞ」

両津「ぎょうこ? 知らん酒だなあ。産地はどこだ? なんだか少し変な味だぞ」グビ

麗子「い、いやねえ、両ちゃん。一緒に剣菱へ行った時飲んだじゃない」

両津「そうだったかな。あの時は流石に酔っぱらってしまったから記憶が少し……」

カン・ゴジラ「……」ハァハァ

麗子「あ、カン・ゴジラが追いついてきたわ」

両津「なに!? ワシは逃げるぞ。おい、麗子さっさとボーナスを出せ。持ってるんだろ?」

麗子「さあ、カンちゃんも駆けつけ三杯よ。そこのタンクローリーに入ってるわよー」

カン・ゴジラ「……」オッ、キガキクナ

両津「おい、麗子、ボーナス出せって言ってるだろうが」

麗子「何言ってるの両ちゃん。江戸っ子がお酒の飲みっぷりで負けていいの? バッカス両津の名が泣くわよ」

カン・ゴジラ「……」ゴクゴクゴク……プハー

両津「くっ、尻尾で器用にタンクローリーのタンクを開けて一気飲みしてやがる」

麗子「あら、いい飲みっぷりねえ。それに比べて両ちゃんったら情けないわねえ」

両津「くそっ、ナメられてたまるか! おい、カン・ゴジラ、ワシにもタンクローリーを開けてよこせ!」

麗子「カンちゃん、両ちゃんと飲み比べしたら?」

カン・ゴジラ「……」バキバキ、ドン

両津「見てろ、こんなもの一息だ!」ゴキュゴキュ、プハー

麗子「それじゃあ後は二人で楽しくやってちょうだい」ソソクサ





21: 2017/04/22(土) 22:14:35.61
【立川防災予備施設 巨災対室】

尾頭「作戦第二段階へ移行しました」

矢口「報告にあった通りだ。両津勘吉巡査長はアルコール混合血液凝固剤に耐えている」

尾頭「胃と腸の容量を大きく超えているはずです。これも人類最強の抗体リョーツGPXの効果と推測されます」

矢口「現実でありながら虚構に踏み入れた存在、両津勘吉巡査長。まさに進化だ……!」

尾頭「残存タンクローリーが予想の三倍の速さで減っていきます。間もなく作戦最終段階に到達します」

矢口「我が国の最大の力は、あの現場にあり――」

矢口「両津勘吉巡査長は、この国を守ったり破壊したりする力を自力で得た最後の最後の砦だ」

矢口「日本の未来を、君に託す。……以上だ」





22: 2017/04/22(土) 22:15:40.99
【旧東京駅付近】

両津「おぉぅ~い、次だ次、早くしろォ」フラフラ

カン・ゴジラ「……」ドン

両津「何ィ、次が最後だとぉ! ふざけるな、まだまだ飲み足りんぞワシは!」

カン・ゴジラ「……」ウンウン

両津「お前もそうか。ガハハハハ、なかなか気が合うじゃないか。お前、結構いい奴だな」

カン・ゴジラ「……」ウンウン

両津「そうか。日暮の部屋にいた、あの生き物はお前だったのか」

カン・ゴジラ「……」シミジミ

両津「ワシの制服にくっついていた前のゴジラの肉片が、ワシの部屋に潜んでいたのか」

両津「それで眉毛や行動がワシに似ていたんだな」

23: 2017/04/22(土) 22:16:40.76
カン・ゴジラ「……」カクカクシカジカ

両津「それが日暮の部屋に落ちて、ワシの部屋と違って住み心地の良かったから急成長したのか」

カン・ゴジラ「……」マルマルウマウマ

両津「いやあすまん。あの時はついトイレに流しちまって」

両津「だが、こうして酒を酌み交わした以上、ワシらはフレンズだ。水に流してくれ。トイレだけに」ガハハ

カン・ゴジラ「……」ウン

両津「よーし、仲直り記念の一気飲み行くぞォー!」ゴキュゴキュ

カン・ゴジラ「……」ヒョイ

両津「おい、待たんか。最後の酒はワシのだぞ!」

カン・ゴジラ「……」ヤーダヨ

両津「なんだとこの野郎、ワシに逆らおうってのか!」

24: 2017/04/22(土) 22:18:20.40
カン・ゴジラ「……」ブン、ドガッ

両津「いて、また尻尾で来やがったな。相手になってやるぞ! ゴジラ対両津だ!」カミツキ

カン・ゴジラ「アァァーーオォーン!!」イテテ

両津「思い知ったか! ワシに逆らった奴はこうなるんだ!」

カン・ゴジラ「……」ピカーッ

両津「お、なんだ、紫に光りやがって……」

カン・ゴジラ「……」内閣総辞職ビーム発射

両津「ぐええええええーー……!?!!!」

カン・ゴジラ「……」フフン

両津「よ、よくもやりやがったな!! 絶対に許さんぞォーーー!!」フリーザ様

両津「喰らえ、下町必殺奥義! シン・エヴァの公開はいつだ拳!!」ドゴォ

カン・ゴジラ「アァァーーオォーン!!」ギャアァァァ

両津「どうだ参ったか。なんだあの龍の歯医者ってのは。面白かったぞ。続き作れ」

両津「さあて、最後の酒はワシが……」

カン・ゴジラ「グワァァオォー……」カチコチ

両津「あれ? なんだコイツ急に凍り始めたぞ……」ブルブル

両津「おかしいな。ワ、ワシもなんだか急に寒気が。風邪かな……」カチコチ

両津「こ、このままでは凍って……」カチーン





25: 2017/04/22(土) 22:19:08.27
【警視庁 大会議室】

大原「さすがの両津も凍結したか……。ついにと言うよりは、やっとと言うべきだろうな。人間ポリバケツの面目躍如だな」

中川「まさに竜虎相打つ、巨大不明生物と等身大不明生物のダブルノックアウトでしたね」

麗子「有名な映画監督も軽くディスってたから、その精神を含めるとトリプルノックアウトよ」

中川「素手でゴジラを倒した二人目の人類が先輩だというのは、すごく納得出来ます」

麗子「ダメよ、圭ちゃん。この世界には怪獣はいないんだから」

大原「だがな、中川、麗子くん……」

大原「ワシには、あの両津がこれで最後だとは思えない……」

大原「もし、ゲームやフィギュアの発売が続けて行われるとしたら……」

大原「あの両津そのものが、世界のどこかへ現れるかもしれない……」

中川「そういえば、明日はレア物の……」

麗子「嫌な予感がするわね……」





26: 2017/04/22(土) 22:20:21.17
【翌日 葛飾区亀有公園前派出所】

ドガァー

(何があったのか、激怒した大原がジャパリバスで派出所に突入)

(バスのボンネットに立つ大原は、かばんちゃんのコスプレでスペシウム光線の構え)

大原「両津とカン・ゴジラのバカはどこだ! あのバカどもはどこにいる!!」

中川「フレンズになるためにジャパリパークへ旅立ちました」

麗子「二人とも部長さんを怒らせるのが得意なフレンズだったのね」

矢口「けものフレンズがオチとは……。想定外だ!」





 終

27: 2017/04/22(土) 22:21:40.44
以上です。ありがとうございました。

引用元: 両津「巨大不明生物だと!?」