1: 2013/02/22(金) 14:04:42.16
もう一人の私、もう一つの私。
例えば私が桜高に行ってないとする。
そしたら、みんなどうなってたのかな
そんな世界が存在するのかなあ
律「なあにブツブツ言ってるんだよ、唯」
どうなってるんだろ、その世界
律「唯?」
行こうかな
律「唯………?」
例えば私が桜高に行ってないとする。
そしたら、みんなどうなってたのかな
そんな世界が存在するのかなあ
律「なあにブツブツ言ってるんだよ、唯」
どうなってるんだろ、その世界
律「唯?」
行こうかな
律「唯………?」
3: 2013/02/22(金) 14:06:27.21
………
……
…
朝
憂「お姉ちゃん~遅刻するよ…?」
唯「ん……ん…」
瞼をこじ開ける
朝日と鳥の囀りが、私を夢から覚めさせる。
私は急いだ。パンを齧りながら走って家を出た。
いつもの道。
並木道に沿って踏切を渡り、いつも書店前の自販機で一服。
荒れるに荒れた髪型を整えながら私は学校に行く。
普遍的な共学高校だ。とくに目立ったところもない。
私は今年で高校二年になる。妹は違う学校に進学した。
私もその学校が希望だったが、学力が足りなかったみたいだ。
2-Bと書かれた教室に入っていく。
疎らな人数が輪っかを成して彼方此方で会話をしている。
男「唯~遅いじゃないか?」
……
…
朝
憂「お姉ちゃん~遅刻するよ…?」
唯「ん……ん…」
瞼をこじ開ける
朝日と鳥の囀りが、私を夢から覚めさせる。
私は急いだ。パンを齧りながら走って家を出た。
いつもの道。
並木道に沿って踏切を渡り、いつも書店前の自販機で一服。
荒れるに荒れた髪型を整えながら私は学校に行く。
普遍的な共学高校だ。とくに目立ったところもない。
私は今年で高校二年になる。妹は違う学校に進学した。
私もその学校が希望だったが、学力が足りなかったみたいだ。
2-Bと書かれた教室に入っていく。
疎らな人数が輪っかを成して彼方此方で会話をしている。
男「唯~遅いじゃないか?」
4: 2013/02/22(金) 14:07:41.25
唯「男君~おはよう!」
幼馴染の男君。私が幼稚園の頃からの付き合いだ。
昔から遊んでたっけ。親友と呼べる存在なんだと思う。
男「二年生そうそうの二日目で寝癖だらけかよ」
唯「直してる時間無かったんだ~」
にっこり此方がはにかむと、彼もわらってくれる。
男「そういや、妹の憂ちゃんも高校生だよな」
唯「うん、憂は桜高行ったけどね~」
橘「あの進学校!?生まれる順番間違えたんじゃ」
唯「酷いよ~」ガーン
橘「そんな出来た妹だったとはな…」
こんなたわいもない話をしてれば時間は過ぎた。
私はこれが"私"と思っていたんだろう
このころから、私は憂に劣等感を抱いていた
幼馴染の男君。私が幼稚園の頃からの付き合いだ。
昔から遊んでたっけ。親友と呼べる存在なんだと思う。
男「二年生そうそうの二日目で寝癖だらけかよ」
唯「直してる時間無かったんだ~」
にっこり此方がはにかむと、彼もわらってくれる。
男「そういや、妹の憂ちゃんも高校生だよな」
唯「うん、憂は桜高行ったけどね~」
橘「あの進学校!?生まれる順番間違えたんじゃ」
唯「酷いよ~」ガーン
橘「そんな出来た妹だったとはな…」
こんなたわいもない話をしてれば時間は過ぎた。
私はこれが"私"と思っていたんだろう
このころから、私は憂に劣等感を抱いていた
5: 2013/02/22(金) 14:08:35.63
私は部活にも入っていない。
憂は入ったみたいだけど。
帰宅部の部長みたいなものだ。
わたしの日課といえば、下校時にスタバによることだと思う。
彼処のコーヒーは中々美味しい。
お洒落だし、私も大人な気分になれる。
私の生命線というべき存在か。
学校がようやく終わり、私は日課に勤しむ。
今日もコーヒー片手に勉強をしようか
そんな時、隣の席から声が聞こえてきた
憂は入ったみたいだけど。
帰宅部の部長みたいなものだ。
わたしの日課といえば、下校時にスタバによることだと思う。
彼処のコーヒーは中々美味しい。
お洒落だし、私も大人な気分になれる。
私の生命線というべき存在か。
学校がようやく終わり、私は日課に勤しむ。
今日もコーヒー片手に勉強をしようか
そんな時、隣の席から声が聞こえてきた
6: 2013/02/22(金) 14:10:34.21
澪「似合ってるじゃないか!」
律「中々だな~ムギ!」
梓「ムギ先輩はなんでも似合いますね!」
ムギ「みんなありがと~」
典型的な女子グループか。
私も中学生の頃の切実な夢
こうやって輪っかになってふざけあうこと。
でも今は…
そんな事には目もくれず、私はひたすら勉強に明け暮れる
あの高校に落ちてからかもしれない。
私は夢とかは無く、ふわふわ生きてきた人間だからだろう。
私は良い大学に入り、立派なOLになるんだ。
律「中々だな~ムギ!」
梓「ムギ先輩はなんでも似合いますね!」
ムギ「みんなありがと~」
典型的な女子グループか。
私も中学生の頃の切実な夢
こうやって輪っかになってふざけあうこと。
でも今は…
そんな事には目もくれず、私はひたすら勉強に明け暮れる
あの高校に落ちてからかもしれない。
私は夢とかは無く、ふわふわ生きてきた人間だからだろう。
私は良い大学に入り、立派なOLになるんだ。
8: 2013/02/22(金) 14:12:44.25
唯「ふぅ……」
私はやれば出来る子なんだろう。
確実に成績は右肩上がりだ。
其れを楽しめてはいないのかもしれないが、
勉強が私の頼みの綱であり、生き甲斐になっていっている
この生活がベストだと私は思っていた。
唯(あの女子グループはまだ居るのか…)
彼女らはイヤホンを耳にかけながら、ノートにいろいろかいているようだ。
とはいっても覗き込むのは無理なようだ。
私は彼女たちの笑顔を観ていた。
彼女達は、幸せなんだろう。幸せなんだろうな
私はそろそろ、と夕飯の準備にあたらなければいけないから、
スタバを出る事にした。
???「ごめーん!遅れた……」
澪「遅いぞ!」
律「全くなにしてたんだよ~」
私はやれば出来る子なんだろう。
確実に成績は右肩上がりだ。
其れを楽しめてはいないのかもしれないが、
勉強が私の頼みの綱であり、生き甲斐になっていっている
この生活がベストだと私は思っていた。
唯(あの女子グループはまだ居るのか…)
彼女らはイヤホンを耳にかけながら、ノートにいろいろかいているようだ。
とはいっても覗き込むのは無理なようだ。
私は彼女たちの笑顔を観ていた。
彼女達は、幸せなんだろう。幸せなんだろうな
私はそろそろ、と夕飯の準備にあたらなければいけないから、
スタバを出る事にした。
???「ごめーん!遅れた……」
澪「遅いぞ!」
律「全くなにしてたんだよ~」
11: 2013/02/22(金) 14:13:59.72
私が料理するのも日課だった。
憂は最近帰りが遅い。
私とは違くて、人生に満足しているんだろう。
いつも彼女の話題は部活だ。
唯「お肉…高いよ…」
両親は共働きだ。
中々裕福だった。父がリストラされるまでは。
それから、両親の教育方針は私を除外する形になった。
そのせいとは言わないが。
憂は最近帰りが遅い。
私とは違くて、人生に満足しているんだろう。
いつも彼女の話題は部活だ。
唯「お肉…高いよ…」
両親は共働きだ。
中々裕福だった。父がリストラされるまでは。
それから、両親の教育方針は私を除外する形になった。
そのせいとは言わないが。
13: 2013/02/22(金) 14:15:13.58
唯「ついた……」
唯「重かったなあ」
冷蔵庫に食べ物を入れていく。
静寂がつつむ家は息苦しかった。
憂「ただいまー!」
そう、私はこの声に癒される。
唯「おかえりー、憂!」
寒いねーと話しながらリビングに向かう。
憂「今日も美味しそう!ありがとうお姉ちゃん!」
唯「良いんだよ~うい~」
私は彼女に癒しを貰ってるんだろう
そんな大切な彼女を、私は僻んだ目で見つめるようになり始めた
唯「重かったなあ」
冷蔵庫に食べ物を入れていく。
静寂がつつむ家は息苦しかった。
憂「ただいまー!」
そう、私はこの声に癒される。
唯「おかえりー、憂!」
寒いねーと話しながらリビングに向かう。
憂「今日も美味しそう!ありがとうお姉ちゃん!」
唯「良いんだよ~うい~」
私は彼女に癒しを貰ってるんだろう
そんな大切な彼女を、私は僻んだ目で見つめるようになり始めた
14: 2013/02/22(金) 14:15:42.14
憂「お姉ちゃん!今日はね~…」
憂は桜高に入ってから本当にイキイキしてる。
彼女は本当に楽しそうで、私はそこに嫉妬してしまう
私は彼女が大好きなのになあ…。
彼女は食べ終わると、急いで部屋に帰る。
部活の練習の予習をしているらしい。
最近はどんどん彼女との時間も減った。
昔は一緒に料理したり。
買い物したりしてたのに
憂「お姉ちゃん~」
部屋に入った彼女がドアを開ける
唯「ん~?」
憂「明日のクリスマス、部活の先輩方が来るんだけど、良いかな?」
憂は桜高に入ってから本当にイキイキしてる。
彼女は本当に楽しそうで、私はそこに嫉妬してしまう
私は彼女が大好きなのになあ…。
彼女は食べ終わると、急いで部屋に帰る。
部活の練習の予習をしているらしい。
最近はどんどん彼女との時間も減った。
昔は一緒に料理したり。
買い物したりしてたのに
憂「お姉ちゃん~」
部屋に入った彼女がドアを開ける
唯「ん~?」
憂「明日のクリスマス、部活の先輩方が来るんだけど、良いかな?」
15: 2013/02/22(金) 14:18:39.38
私は心底嫌だった。
一瞬眉間に皺が寄り、凍りついた表情を憂に晒してしまう。
だが、私はすぐに表情を戻す。
ニコッと「良いよ」と一言
一瞬眉間に皺が寄り、凍りついた表情を憂に晒してしまう。
だが、私はすぐに表情を戻す。
ニコッと「良いよ」と一言
16: 2013/02/22(金) 14:19:11.42
それは突如の話だった
唯「言うの遅いよ~」
憂「ごめん~ついさっき先輩が勝手にきめちゃってさ」
唯「もう~」
唯「良いよ、私が料理とかしとくから。」
憂「本当!?ありがとう!お姉ちゃん」
本当は嫌だったかもしれない。
しかし彼女のお願いだ。私は考えもせず、決めてしまったのだろう
唯「言うの遅いよ~」
憂「ごめん~ついさっき先輩が勝手にきめちゃってさ」
唯「もう~」
唯「良いよ、私が料理とかしとくから。」
憂「本当!?ありがとう!お姉ちゃん」
本当は嫌だったかもしれない。
しかし彼女のお願いだ。私は考えもせず、決めてしまったのだろう
17: 2013/02/22(金) 14:22:33.15
ピーッピーッピーッ
人工物の動作音と呼吸の音がする。
各種の人工物は其れの至る所に刺さっておおり
ケーブルがそれを仲介する。
二人の人間が騒々しく怒鳴り合っている。
雫を垂らして、這いつくばって、人間が悶絶したような表情で私を覗く
機械音に掻き消されたその言葉。
ある人は叱責し、ある人は冷静で
ある人は人格が崩壊したように阿鼻叫喚している。
人工物の動作音と呼吸の音がする。
各種の人工物は其れの至る所に刺さっておおり
ケーブルがそれを仲介する。
二人の人間が騒々しく怒鳴り合っている。
雫を垂らして、這いつくばって、人間が悶絶したような表情で私を覗く
機械音に掻き消されたその言葉。
ある人は叱責し、ある人は冷静で
ある人は人格が崩壊したように阿鼻叫喚している。
18: 2013/02/22(金) 14:23:36.85
私は見えてはいない。
見えない眼で"見ている"のだ。
人々はやがて去っていく---------
見えない眼で"見ている"のだ。
人々はやがて去っていく---------
19: 2013/02/22(金) 14:24:36.04
律「おじゃましまーす!」
澪ムギ梓「失礼します、」
唯「どうぞどうぞ!」
笑顔で彼女らと対応する。
みたところ、私とおない年くらいみたいだ。
律「似てるなー、憂とお姉さん」
澪「瓜二つだな」
憂「ありがと~律先輩、澪先輩!」
梓「しかし、出来たお姉さんですね。」
出来てるもんか、と私は小ちゃな女の子が言った言葉を腹で否定した
彼女らは和気藹々と、家族のような距離で接している
澪ムギ梓「失礼します、」
唯「どうぞどうぞ!」
笑顔で彼女らと対応する。
みたところ、私とおない年くらいみたいだ。
律「似てるなー、憂とお姉さん」
澪「瓜二つだな」
憂「ありがと~律先輩、澪先輩!」
梓「しかし、出来たお姉さんですね。」
出来てるもんか、と私は小ちゃな女の子が言った言葉を腹で否定した
彼女らは和気藹々と、家族のような距離で接している
20: 2013/02/22(金) 14:25:48.13
律「凄いね~唯さん!料理の才能あるよ!」
澪「律はないからな」
律「なにを~!」
楽しい人達だ。皆がお互いを信頼してるような、そんな関係を感じた。
だからこそ、その中心に憂が居る事に、私は憤りを覚えた。
八つ当たりの類だろう。それでも私はなにかをゆるせなかった。
律「澪はおっOい無いくせに」
澪「それは……//」
律「梓に負けているもんね~」
澪「律はないからな」
律「なにを~!」
楽しい人達だ。皆がお互いを信頼してるような、そんな関係を感じた。
だからこそ、その中心に憂が居る事に、私は憤りを覚えた。
八つ当たりの類だろう。それでも私はなにかをゆるせなかった。
律「澪はおっOい無いくせに」
澪「それは……//」
律「梓に負けているもんね~」
21: 2013/02/22(金) 14:27:31.22
元々彼女は人に好かれていたんだろう。
私はお姉ちゃんながら、憂に憧れていた。
それは何より両親からも愛されていたんだ。憂はね。
私は寂しかったよ。でも憂がそばにいたから、
でも遠くなっちゃったね。
私は寂しくないよ。
憂「…お姉ちゃん?」
唯「ん?どうしたの~憂~」
憂「お姉ちゃんにもきてほしいなって」
憂「文化祭」
私はお姉ちゃんながら、憂に憧れていた。
それは何より両親からも愛されていたんだ。憂はね。
私は寂しかったよ。でも憂がそばにいたから、
でも遠くなっちゃったね。
私は寂しくないよ。
憂「…お姉ちゃん?」
唯「ん?どうしたの~憂~」
憂「お姉ちゃんにもきてほしいなって」
憂「文化祭」
22: 2013/02/22(金) 14:30:13.64
律「ぜひ来てくださいよ!お姉さん!」
梓「お願いしますです!」
私は彼女らの熱気にも怖気つかされた。
部活ごとき…とは冗談でも言えないような、
梓「お願いしますです!」
私は彼女らの熱気にも怖気つかされた。
部活ごとき…とは冗談でも言えないような、
23: 2013/02/22(金) 14:32:29.11
唯「もちろんだよ憂~」
憂「本当?やったあ!」
唯「でもなにするの?」
憂「ライブだよ、ライブ」
唯「ライブ?」
律「私たち、HTTってバンドを--------…
またそれか。団結アピールだよね。
私、そういうの嫌いなんだよ。
憂「本当?やったあ!」
唯「でもなにするの?」
憂「ライブだよ、ライブ」
唯「ライブ?」
律「私たち、HTTってバンドを--------…
またそれか。団結アピールだよね。
私、そういうの嫌いなんだよ。
26: 2013/02/22(金) 14:37:49.03
お姉さん相手に挑発しているのかな?
私は憂のお姉さんなんだよ?
血が繋がってるんだよ?
私は彼女らを蔑んだ目で傍観した。
格が違うのを理解していないのかな
何を勘違いしたのだろうか
私は私でなくなってた。
生き甲斐を寝取られた気分だった。
同病相憐れむといったところか
私は憂のお姉さんなんだよ?
血が繋がってるんだよ?
私は彼女らを蔑んだ目で傍観した。
格が違うのを理解していないのかな
何を勘違いしたのだろうか
私は私でなくなってた。
生き甲斐を寝取られた気分だった。
同病相憐れむといったところか
27: 2013/02/22(金) 14:41:36.30
私と憂は傷を舐め合う関係で、痛み分けしてると思った。
でも彼女は違った。彼女は人に好かれる性質だった。
両親も私と彼女とは態度が違った。
それだけ彼女が特質で、才能を有する人間だったのだろう。
最早活きている世界が違ったのかな。
でも彼女は違った。彼女は人に好かれる性質だった。
両親も私と彼女とは態度が違った。
それだけ彼女が特質で、才能を有する人間だったのだろう。
最早活きている世界が違ったのかな。
28: 2013/02/22(金) 14:45:08.49
彼女は明るくて人気者だった。
中学の頃は一緒の学校だったから、私は彼女の姉という。
所謂大義名分をいただいていた。
しかし高校では違った。
彼女は両親に桜高を半ば強引に推し勧められ、
彼女は受け入れた。
もう私は要らない、用済みの存在だったのかもしれない
両親は落ちた私をこっぴどく叱責した。
当然だったのかもしれない
なぜなら
中学の頃は一緒の学校だったから、私は彼女の姉という。
所謂大義名分をいただいていた。
しかし高校では違った。
彼女は両親に桜高を半ば強引に推し勧められ、
彼女は受け入れた。
もう私は要らない、用済みの存在だったのかもしれない
両親は落ちた私をこっぴどく叱責した。
当然だったのかもしれない
なぜなら
29: 2013/02/22(金) 14:49:53.37
---ある日の事
父「話があるんだ」
何時もと同じ、低く冷たい声で私は父の書斎に呼ばれた。
父は半ば私を気遣いせずに言い放った。
私は腹違いの子であり、今のお母さんは義母だと。
父は自分の失態を正当化するような言い回しで
私に来れまでの経歴を述べている。
父は反省も謝罪も失態も落ち目の欠片も、彼の言動、挙動には感じなかった
父「話があるんだ」
何時もと同じ、低く冷たい声で私は父の書斎に呼ばれた。
父は半ば私を気遣いせずに言い放った。
私は腹違いの子であり、今のお母さんは義母だと。
父は自分の失態を正当化するような言い回しで
私に来れまでの経歴を述べている。
父は反省も謝罪も失態も落ち目の欠片も、彼の言動、挙動には感じなかった
30: 2013/02/22(金) 14:53:47.34
父は私を育てた恩人だと言い切った。
最早最下層の人間に成り下がった父のくせに。
ギャンブルに没頭し家計も知らず、酔狂している父
男をはべらかせ、一日中パートではなくホテルの一室で乱れてる母
平沢家の大黒柱は常時揺らぎ、軋む音が響いている
最早最下層の人間に成り下がった父のくせに。
ギャンブルに没頭し家計も知らず、酔狂している父
男をはべらかせ、一日中パートではなくホテルの一室で乱れてる母
平沢家の大黒柱は常時揺らぎ、軋む音が響いている
31: 2013/02/22(金) 14:57:29.50
私は冷静だった。
資産、財産を全て妹につかって貰った。
そのお蔭で彼女は進学校に合格し、悠々自適な日々を送っている。
かたや私は、限られたお金で家計を成立させ、スタバかバイトの日々
昨今の高校生の時給など高が知れている。
それでも、私は労働するしかなかった
三大義務も果たせない両親だから。
資産、財産を全て妹につかって貰った。
そのお蔭で彼女は進学校に合格し、悠々自適な日々を送っている。
かたや私は、限られたお金で家計を成立させ、スタバかバイトの日々
昨今の高校生の時給など高が知れている。
それでも、私は労働するしかなかった
三大義務も果たせない両親だから。
33: 2013/02/22(金) 15:12:47.20
文化祭の日
私は夢にまでみた校舎を見上げた。
本当なら、私はこの校舎に居たと思うと、
胸が痛い話だった。
私は夢にまでみた校舎を見上げた。
本当なら、私はこの校舎に居たと思うと、
胸が痛い話だった。
36: 2013/02/22(金) 15:18:11.31
憂達は14時からライブみたいだ。
それまで時間でも費やすか。
さわこ「猫耳が似合いそうな子発見!!」
なんだあの先生は。
生徒を追いかけ回してる
生徒も満更でもない笑顔で逃走している。
何か感慨深い、あの子が私かもしれなかったから
おしとやか且つ明るい学校。空想上の学校が実在したようだった
それまで時間でも費やすか。
さわこ「猫耳が似合いそうな子発見!!」
なんだあの先生は。
生徒を追いかけ回してる
生徒も満更でもない笑顔で逃走している。
何か感慨深い、あの子が私かもしれなかったから
おしとやか且つ明るい学校。空想上の学校が実在したようだった
37: 2013/02/22(金) 15:24:16.97
女「そろそろライブだよ~」
女「いこいこ!」
校内放送が流れ、人々は講堂に流れていく
私もその流れに乗り、講堂に行く。
大にぎわいのようだった。
HTTと書かれた服を手渡され、それを着る
HTT一色の講堂は彼女たちを待ちわびているようだった。
そして、そのライブが始まるほんの前。
一件の電話がかかってきた。
女「いこいこ!」
校内放送が流れ、人々は講堂に流れていく
私もその流れに乗り、講堂に行く。
大にぎわいのようだった。
HTTと書かれた服を手渡され、それを着る
HTT一色の講堂は彼女たちを待ちわびているようだった。
そして、そのライブが始まるほんの前。
一件の電話がかかってきた。
38: 2013/02/22(金) 15:27:53.77
憂「ごはんはおかず!」
~むしろごはんがおかずだよ~
ナンデヤネン!
憂「え~…次で最後の曲です」
ザワザワ
憂「聞いてください」
憂「Y&I!」
…………
……
…
~むしろごはんがおかずだよ~
ナンデヤネン!
憂「え~…次で最後の曲です」
ザワザワ
憂「聞いてください」
憂「Y&I!」
…………
……
…
39: 2013/02/22(金) 15:31:22.86
唯「はい、わかりましたお義母さん」
義母「じゃあ、お願いね。」
唯「はい、荷物は纏めときます。」
唯「…はい、…はい…」
義母「じゃあ、お願いね。」
唯「はい、荷物は纏めときます。」
唯「…はい、…はい…」
44: 2013/02/22(金) 15:40:31.91
憂「ただいまー!」
返答はない。
憂「お姉ちゃん?」
静寂
憂「これは……」
置き手紙と食事。
豪華な食事は一人分しかなかった。
憂(私は違和感を覚えた)
嫌な嫌な想像に発展した直後、私は階段を駆け上がる。
最悪を想像した。
わからない、最近のお姉ちゃんが
返答はない。
憂「お姉ちゃん?」
静寂
憂「これは……」
置き手紙と食事。
豪華な食事は一人分しかなかった。
憂(私は違和感を覚えた)
嫌な嫌な想像に発展した直後、私は階段を駆け上がる。
最悪を想像した。
わからない、最近のお姉ちゃんが
49: 2013/02/22(金) 15:50:18.89
唯「憂……?」
彼女は段ボールに包まれた部屋で横になりながらそう問いかける。
憂「お姉ちゃん……」
安堵感と共に、段ボールに目が映る
唯「憂の足音はわかりやすいね…」
唯「憂しかこの部屋に来ないからかもしれないけどね」
彼女は虚ろな笑みを溢す
憂「お姉ちゃん…どうしたの?」
ピンクの壁紙は無くなり、段ボールとベッドしかない
いきなりの変貌した部屋に、私は状況がのみこめていない
彼女は段ボールに包まれた部屋で横になりながらそう問いかける。
憂「お姉ちゃん……」
安堵感と共に、段ボールに目が映る
唯「憂の足音はわかりやすいね…」
唯「憂しかこの部屋に来ないからかもしれないけどね」
彼女は虚ろな笑みを溢す
憂「お姉ちゃん…どうしたの?」
ピンクの壁紙は無くなり、段ボールとベッドしかない
いきなりの変貌した部屋に、私は状況がのみこめていない
51: 2013/02/22(金) 15:55:12.84
………
……
…
女「ーーー低下!ーー投与を」
女2「先生を呼んで!早くー!」
言葉の断片が耳から脳に伝わる。
男「親御さんとご親族の方ははやく!」
「ーーーっ!」
「ーーーー!!」
叫び声が私の耳に届く。
異常を示す音が、霞んで行く
……
…
女「ーーー低下!ーー投与を」
女2「先生を呼んで!早くー!」
言葉の断片が耳から脳に伝わる。
男「親御さんとご親族の方ははやく!」
「ーーーっ!」
「ーーーー!!」
叫び声が私の耳に届く。
異常を示す音が、霞んで行く
52: 2013/02/22(金) 15:55:47.12
>>50
すみません。
すみません。
55: 2013/02/22(金) 16:00:14.82
憂「なんで…私がお母さんに言って」
唯「憂……?無駄だよ、私のお母さんじゃないもん」
憂「………?」
唯「私と憂とは」
唯「血、繋がってないんだ。」
唯「腹違いの子なんだ。」
唯「憂……?無駄だよ、私のお母さんじゃないもん」
憂「………?」
唯「私と憂とは」
唯「血、繋がってないんだ。」
唯「腹違いの子なんだ。」
56: 2013/02/22(金) 16:05:39.41
憂「……?」
私は、よくわからなかった。
いや、理解したくなかったのかもしれない。
唯「ごめんね、それで、本当のお母さんにの所にーー」
なにを言ってるんだろう、お姉ちゃん
唯「私、今の生活じゃなくなるの嫌なんだ。」
お姉ちゃんは窓縁に腰をかける。
唯「私は、楽しかったんだよ」
私は、よくわからなかった。
いや、理解したくなかったのかもしれない。
唯「ごめんね、それで、本当のお母さんにの所にーー」
なにを言ってるんだろう、お姉ちゃん
唯「私、今の生活じゃなくなるの嫌なんだ。」
お姉ちゃんは窓縁に腰をかける。
唯「私は、楽しかったんだよ」
58: 2013/02/22(金) 16:09:45.44
唯「リストラになってなかったお父さん」
唯「夫婦の仲が睦まじかった頃の母さん」
唯「あの頃は楽しかったな……」
[心拍数低下ー!AEDを!]
私はお姉ちゃんの変化に気付いていなかったのかもしれない。
唯「二人で昔は料理してたよね…」
お姉ちゃんは私の身代わりをしていたのか。
唯「お父さん、蒸発しちゃったんだよ…」
唯「憂だけは引き取るってさ」
唯「夫婦の仲が睦まじかった頃の母さん」
唯「あの頃は楽しかったな……」
[心拍数低下ー!AEDを!]
私はお姉ちゃんの変化に気付いていなかったのかもしれない。
唯「二人で昔は料理してたよね…」
お姉ちゃんは私の身代わりをしていたのか。
唯「お父さん、蒸発しちゃったんだよ…」
唯「憂だけは引き取るってさ」
62: 2013/02/22(金) 16:17:33.61
[危険です!早くご親族を!]
ICUの中に何人かの人が入っていく。
声が遠い。よく聞こえないよ
……
………
唯「私ね、嫌なんだ。憂と離れるの」
憂「お姉ちゃん!ダメ!」
唯「ごめんね、さよなら」
彼女は窓縁から腰を上げ手を離そうとした。
咄嗟に私が掴む。
衿に触れた指はするっと滑り、彼女の行動も虚しく
「お姉ちゃん!!起きて!お姉ちゃん!」
さっきの憂とは違う、もう一人の憂
でも遅かったのかもしれない、
私は宙に……
ICUの中に何人かの人が入っていく。
声が遠い。よく聞こえないよ
……
………
唯「私ね、嫌なんだ。憂と離れるの」
憂「お姉ちゃん!ダメ!」
唯「ごめんね、さよなら」
彼女は窓縁から腰を上げ手を離そうとした。
咄嗟に私が掴む。
衿に触れた指はするっと滑り、彼女の行動も虚しく
「お姉ちゃん!!起きて!お姉ちゃん!」
さっきの憂とは違う、もう一人の憂
でも遅かったのかもしれない、
私は宙に……
64: 2013/02/22(金) 16:20:11.60
ふわりと風に流された身体は、道路際に流されていく
晴れのち曇り、
太陽は光を遮り出す
風に浮遊する身体はコンクリート……
ではなく、人に思いっきり衝突した…
晴れのち曇り、
太陽は光を遮り出す
風に浮遊する身体はコンクリート……
ではなく、人に思いっきり衝突した…
66: 2013/02/22(金) 16:24:46.02
???「痛っ!ハッ…空から人が!?」
???「やばい!やばい!どうしよ律ちゃん!」
律「こりゃあビックリって…憂ちゃんのお姉さん!?」
???「え、そなの?知り合い?」
澪「ああ、料理が上手い子で…」
???「そうなんだ~私とは正反対だね!」
???「じゃなくてどうしよ~」
律「落ち着けよ…唯」
???「やばい!やばい!どうしよ律ちゃん!」
律「こりゃあビックリって…憂ちゃんのお姉さん!?」
???「え、そなの?知り合い?」
澪「ああ、料理が上手い子で…」
???「そうなんだ~私とは正反対だね!」
???「じゃなくてどうしよ~」
律「落ち着けよ…唯」
68: 2013/02/22(金) 16:28:39.33
[戻って!お姉ちゃん!、戻って来て!お姉ちゃん!]
誰かに抱きしめられながら、私は空をぼんやり見つめてる。
私は気が付いたみたいだ。ここはまた別の世界なんじゃ…と。
私を抱きしめてたのは、"私"だったから。
気が遠くなりながらも、"私"は私に話しかけている。
かなり彼女は心配しているようだ。
ごめんね"私"
私が奪ってたね、役目
誰かに抱きしめられながら、私は空をぼんやり見つめてる。
私は気が付いたみたいだ。ここはまた別の世界なんじゃ…と。
私を抱きしめてたのは、"私"だったから。
気が遠くなりながらも、"私"は私に話しかけている。
かなり彼女は心配しているようだ。
ごめんね"私"
私が奪ってたね、役目
70: 2013/02/22(金) 16:32:52.25
……
…
…
憂「戻って来て!!」
梓「先輩……!氏なないで!」
律「許さないぞ…唯!氏ぬな!氏ぬな!」
ムギ「さいとう!どうにかして!」
澪「氏ぬな………!氏ぬな……!」
両親「唯!氏んだらダメだ!唯!」
医者「心拍数が……まずい…」
必氏の呼びかけ
最善を尽くすと言い残した医者
…
…
憂「戻って来て!!」
梓「先輩……!氏なないで!」
律「許さないぞ…唯!氏ぬな!氏ぬな!」
ムギ「さいとう!どうにかして!」
澪「氏ぬな………!氏ぬな……!」
両親「唯!氏んだらダメだ!唯!」
医者「心拍数が……まずい…」
必氏の呼びかけ
最善を尽くすと言い残した医者
73: 2013/02/22(金) 16:40:13.56
私は理解した。この世界を。
私の脳がつくった別の世界。
そこに私が来てしまったのだろう。
平行世界に同じ人間が二人居る事により
バランスが取れなくなっていた。
[戻って!お姉ちゃん!!]
微かに動く唇で"私"にいう
こっちの憂に謝らないと
唯「妹、平沢…憂に謝っておいて……」
"私"「……わかってるよ。だから、貴女は帰らないと」
唯「………うん、ありがとう、唯」
私の脳がつくった別の世界。
そこに私が来てしまったのだろう。
平行世界に同じ人間が二人居る事により
バランスが取れなくなっていた。
[戻って!お姉ちゃん!!]
微かに動く唇で"私"にいう
こっちの憂に謝らないと
唯「妹、平沢…憂に謝っておいて……」
"私"「……わかってるよ。だから、貴女は帰らないと」
唯「………うん、ありがとう、唯」
74: 2013/02/22(金) 16:50:05.57
……
…
医者「凄い……心拍数安定、全てが安定だ!」
異常音は収まり、いくらか鎮静した頃、私は目を開けた。
帰ってきたんだ。
憂「お姉ちゃん!」
私に抱きつく妹。私はそっと彼女を抱きしめ「ありがとう、ごめん」
と呟く。
あっちの平沢唯は大丈夫かなあ?
私は妹の大切さを身に沁みて感じながら
そっと眠りについた
…
医者「凄い……心拍数安定、全てが安定だ!」
異常音は収まり、いくらか鎮静した頃、私は目を開けた。
帰ってきたんだ。
憂「お姉ちゃん!」
私に抱きつく妹。私はそっと彼女を抱きしめ「ありがとう、ごめん」
と呟く。
あっちの平沢唯は大丈夫かなあ?
私は妹の大切さを身に沁みて感じながら
そっと眠りについた
77: 2013/02/22(金) 17:03:17.94
……
…
憂「なんで!あんな事したの!!」
唯「いやあ……」
もう一つの世界
憂「もぅ……っ!」
唯(私は何をしたのか知らないけど)
唯「ごめんね……」
あの後、いきなり私は自室に居た。
救急車に乗っていたはずなのに
みんなに聞いても知らないらしい
でも私と憂は知っている
憂「あれ……?」
自室の段ボール箱が消え去っていく
おそらく来た記憶、事実が消えていくのだろう
私は一人しかいない。
おそらくもう一人の私は間違って来てしまったのかもしれない、
ともあれ、
憂「ごはん作るよ~」
唯「お!アイス~アイス~」
…
憂「なんで!あんな事したの!!」
唯「いやあ……」
もう一つの世界
憂「もぅ……っ!」
唯(私は何をしたのか知らないけど)
唯「ごめんね……」
あの後、いきなり私は自室に居た。
救急車に乗っていたはずなのに
みんなに聞いても知らないらしい
でも私と憂は知っている
憂「あれ……?」
自室の段ボール箱が消え去っていく
おそらく来た記憶、事実が消えていくのだろう
私は一人しかいない。
おそらくもう一人の私は間違って来てしまったのかもしれない、
ともあれ、
憂「ごはん作るよ~」
唯「お!アイス~アイス~」
78: 2013/02/22(金) 17:09:17.20
パラレルワールド
私たちは私たちだ。
世界は平行に存在している。
人はそのうちの一世界しか行けないのだ。
唯「私のU&I聞いた?」
憂「良かったよ~私も部活入ろうかな~」
唯「是非是非!」
完
憂ちゃん、お誕生日おめでとう
私たちは私たちだ。
世界は平行に存在している。
人はそのうちの一世界しか行けないのだ。
唯「私のU&I聞いた?」
憂「良かったよ~私も部活入ろうかな~」
唯「是非是非!」
完
憂ちゃん、お誕生日おめでとう
80: 2013/02/22(金) 17:10:16.50
乙
引用元: 唯「別の世界」
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