1: 2013/01/03(木) 04:41:16.67
自らを脅かす存在などいるはずも無し、圧倒的な自負心を持ち備えた者。
何をしようとも、しまいとも、誰よりも速く、強大なる力が増大する者。
全てに勝利し、敗北を知らない者。何も恐れる必要などなし……否っっ!!
圧倒的退屈! 虚無感! 絶対王者だからこその感情が付きまとう。
大いなる力というのは、必ずしも全てを満たすものでは無い。
彼は願った。このつまらない日常を変えてくれる存在!! 何かを!!
勇次郎「……あぁ?」
可笑しいのは当たり前。昨晩、都内の最上級ホテルのスイートルームで眠っていたはず。
しかし、目が覚めればどうか。人の気配は無いが、どこかの商店街らしき場所で自分は存在している。
勇次郎何が起きてやがる……」
緻密な頭脳を持つ勇次郎であろうと、この状況を判断する事は難しく、思考に耽ろうとする。
と、そこで
男「はぁはぁ……」
男が走って来る。常人では考えられない程の危機感を持ちながら。
男(!? 鬼かっ!!……い、いや、違う)
男「お、おいあんた!! 逃げなくていいのか!! 血液型は!?」
勇次郎「……何故、貴様に言う必要がある」
男「はぁ!? こんな時に強情張ってる場合じゃ!! っくそ!! もう来やがった!!」
何をしようとも、しまいとも、誰よりも速く、強大なる力が増大する者。
全てに勝利し、敗北を知らない者。何も恐れる必要などなし……否っっ!!
圧倒的退屈! 虚無感! 絶対王者だからこその感情が付きまとう。
大いなる力というのは、必ずしも全てを満たすものでは無い。
彼は願った。このつまらない日常を変えてくれる存在!! 何かを!!
勇次郎「……あぁ?」
可笑しいのは当たり前。昨晩、都内の最上級ホテルのスイートルームで眠っていたはず。
しかし、目が覚めればどうか。人の気配は無いが、どこかの商店街らしき場所で自分は存在している。
勇次郎何が起きてやがる……」
緻密な頭脳を持つ勇次郎であろうと、この状況を判断する事は難しく、思考に耽ろうとする。
と、そこで
男「はぁはぁ……」
男が走って来る。常人では考えられない程の危機感を持ちながら。
男(!? 鬼かっ!!……い、いや、違う)
男「お、おいあんた!! 逃げなくていいのか!! 血液型は!?」
勇次郎「……何故、貴様に言う必要がある」
男「はぁ!? こんな時に強情張ってる場合じゃ!! っくそ!! もう来やがった!!」
7: 2013/01/03(木) 05:02:51.54
数名の『男』がこちらへと向かってくる。顔に面を付け、身体は黒いコートで覆われ、
手には何かが装着されている。
男「や、やべぇ!! おいあんた!! 逃げ」
男の口が噤まれる。何故か。
このような危機的状況において、目の前の男は口角を上げていたからだ。
勇次郎(感じるぜ……紛うこと無き殺気ッッ!!)
そして、向こうに居る数人の一人が抜け出し、勇次郎へと迫る。
勇次郎(仕掛けられるのはいつぶりか……弱者ではあるが……その勇気、感謝ッッッ!!!!)
10メートル、5メートル、3メートル……1メートルと身体が触れ合う距離。
勇次郎「邪ッッッ!!!!」
男(っっ!?)
何が起こったのかは分からない。
気がついたら。首が落ちていた。
そして、面を付けた男の手にはワイヤーが握られていた。
手には何かが装着されている。
男「や、やべぇ!! おいあんた!! 逃げ」
男の口が噤まれる。何故か。
このような危機的状況において、目の前の男は口角を上げていたからだ。
勇次郎(感じるぜ……紛うこと無き殺気ッッ!!)
そして、向こうに居る数人の一人が抜け出し、勇次郎へと迫る。
勇次郎(仕掛けられるのはいつぶりか……弱者ではあるが……その勇気、感謝ッッッ!!!!)
10メートル、5メートル、3メートル……1メートルと身体が触れ合う距離。
勇次郎「邪ッッッ!!!!」
男(っっ!?)
何が起こったのかは分からない。
気がついたら。首が落ちていた。
そして、面を付けた男の手にはワイヤーが握られていた。
10: 2013/01/03(木) 05:17:32.60
首なしの仮面の男は、首から血を噴き出しながら、ゆっくりと膝を付いて、その場に倒れた。
男「な、何が……」
向こうにいる男達も同様に身体の動きが止まっている。
勇次郎「どうした? かかって来ねぇのか?」
勇次郎がそう発すると、我に返ったのか。
向こうの男全員がズリズリと、1メートル程、後ずさりをし、踵を返した。
勇次郎「ッチ。まぁいい。テメェに聞きたい事がある」
男「あ、あんた一体……」
男「な、何が……」
向こうにいる男達も同様に身体の動きが止まっている。
勇次郎「どうした? かかって来ねぇのか?」
勇次郎がそう発すると、我に返ったのか。
向こうの男全員がズリズリと、1メートル程、後ずさりをし、踵を返した。
勇次郎「ッチ。まぁいい。テメェに聞きたい事がある」
男「あ、あんた一体……」
19: 2013/01/03(木) 05:38:21.74
――
勇次郎「クスクス。王様の命令でAB型の命が狙われていると……面白ぇ」
男「笑い事じゃねぇよ……こっちは殺されそうになってんだから……」
勇次郎「だが、腑に落ちねぇ点がある」
男「何だよ」
勇次郎「何故、AB型だけが狙われる。仮にも国の王だろう。何の理由も無しにやるとは到底思えぬ」
男「……王様は、AB型の稀少性をもっと高めたいらしい。王様自信がAB型だから、自分をもっと特別な存在にしたいんだと」
勇次郎「……ククク。成る程、形は違えど『力」を持ち合わせてはいるようだ」
勇次郎「食ってみてぇな……おい、その王とやらにはどこに行ったら会えるんだ?」
男「王様は、あの塔に居る」
男「最後まで生き残ってた人達には褒美が与えられ、王様にはその時に会えるらしい」
勇次郎「クスクス。まぁ、今から向かってもいいが、食い足りねぇ。存分に楽しませもらうとしよう」
勇次郎「クスクス。王様の命令でAB型の命が狙われていると……面白ぇ」
男「笑い事じゃねぇよ……こっちは殺されそうになってんだから……」
勇次郎「だが、腑に落ちねぇ点がある」
男「何だよ」
勇次郎「何故、AB型だけが狙われる。仮にも国の王だろう。何の理由も無しにやるとは到底思えぬ」
男「……王様は、AB型の稀少性をもっと高めたいらしい。王様自信がAB型だから、自分をもっと特別な存在にしたいんだと」
勇次郎「……ククク。成る程、形は違えど『力」を持ち合わせてはいるようだ」
勇次郎「食ってみてぇな……おい、その王とやらにはどこに行ったら会えるんだ?」
男「王様は、あの塔に居る」
男「最後まで生き残ってた人達には褒美が与えられ、王様にはその時に会えるらしい」
勇次郎「クスクス。まぁ、今から向かってもいいが、食い足りねぇ。存分に楽しませもらうとしよう」
22: 2013/01/03(木) 05:51:31.09
――
王「どうだ? 初日の状況は」
側近「はい。AB型、1000万人に対し、鬼は100万人」
側近「初日の成果は100万人といった所でしょうか」
王「はっはっは。結構結構。上出来じゃ」
側近「しかし、被害も出ています」
王「ん?」
側近「およそ1000人の鬼が氏亡しています」
王「そうでなくては面白くないわい。奴らの中にも手練はおるじゃろう。一方的なゲームはつまらんからの」
側近「……1つ、気になる情報が」
王「何だ」
側近「A区の鬼からの報告なのですが、こちらをご覧下さい」」
王「どうだ? 初日の状況は」
側近「はい。AB型、1000万人に対し、鬼は100万人」
側近「初日の成果は100万人といった所でしょうか」
王「はっはっは。結構結構。上出来じゃ」
側近「しかし、被害も出ています」
王「ん?」
側近「およそ1000人の鬼が氏亡しています」
王「そうでなくては面白くないわい。奴らの中にも手練はおるじゃろう。一方的なゲームはつまらんからの」
側近「……1つ、気になる情報が」
王「何だ」
側近「A区の鬼からの報告なのですが、こちらをご覧下さい」」
25: 2013/01/03(木) 06:02:47.94
王「ん……おっ。これはまたえらく強そうな男じゃの」
側近「えぇ。この男に注目して下さい」
王「…………んん? 何だこれは」
王「何が起こったのかさっぱり分からん。急に鬼の首が落ちたじゃないか」
側近「えぇ。私も色々な方法で調べてみたのですが、この男がどうやって鬼を殺害したのか分かりませんでした」
王「……まぁ、よい。恐らくはワイヤーか何か使ったんじゃろう。トラップか何かを予め仕掛けておいてな」
側近「……」
王「国王を喜ばすのは民の役目。明日が楽しみじゃのう」
側近「えぇ。この男に注目して下さい」
王「…………んん? 何だこれは」
王「何が起こったのかさっぱり分からん。急に鬼の首が落ちたじゃないか」
側近「えぇ。私も色々な方法で調べてみたのですが、この男がどうやって鬼を殺害したのか分かりませんでした」
王「……まぁ、よい。恐らくはワイヤーか何か使ったんじゃろう。トラップか何かを予め仕掛けておいてな」
側近「……」
王「国王を喜ばすのは民の役目。明日が楽しみじゃのう」
30: 2013/01/03(木) 06:26:24.44
――
2日目。ウー、と人々を混乱に陥れるサイレンが町中に鳴り響く。
結果はまさにその通り、悲鳴、混乱、阿鼻叫喚、そこら中に響き渡っている。
もっとも、唯一の例外も存在したが。
男(……正直、ツイてる)
勇次郎「……」
横行闊歩する勇次郎の隣を常人が並ぶ。
勝手に付いて来た? いや、違う。強引に行おうとしても、身体が拒絶する。
許可を出した? それも違う。そんな事をする理由が無い。
何故。襲われるからこそ価値がある。そう! 相手が弱者だからこそ、この美意識は守らなければならない!!
つまり、弱者よりも弱いこの男を隣に置く事でその理屈は成立すると、そう考える。
男(こいつが何者なのかは知らないが、身体で分かる事がある。こいつは強者だと!)
勇次郎「……クク。さっそくおでましかい?」
男「えっ?」
まだ、サイレンから10分も経っていない。
まるで図ったかのように、同時に、4人。
東西南北、それぞれの方向から鬼が現れた。
2日目。ウー、と人々を混乱に陥れるサイレンが町中に鳴り響く。
結果はまさにその通り、悲鳴、混乱、阿鼻叫喚、そこら中に響き渡っている。
もっとも、唯一の例外も存在したが。
男(……正直、ツイてる)
勇次郎「……」
横行闊歩する勇次郎の隣を常人が並ぶ。
勝手に付いて来た? いや、違う。強引に行おうとしても、身体が拒絶する。
許可を出した? それも違う。そんな事をする理由が無い。
何故。襲われるからこそ価値がある。そう! 相手が弱者だからこそ、この美意識は守らなければならない!!
つまり、弱者よりも弱いこの男を隣に置く事でその理屈は成立すると、そう考える。
男(こいつが何者なのかは知らないが、身体で分かる事がある。こいつは強者だと!)
勇次郎「……クク。さっそくおでましかい?」
男「えっ?」
まだ、サイレンから10分も経っていない。
まるで図ったかのように、同時に、4人。
東西南北、それぞれの方向から鬼が現れた。
34: 2013/01/03(木) 06:44:32.63
勇次郎「そこに伏せていろ」
疑問を持つ事無く、一切の発言する事無く、ただ従った。
何故なら、強者であると分かっているから。
勇次郎「ほう? 同時に来るか」
4人同時に図り合わせたように直進してきた。
偶然。いや、彼らは連絡を取り合っていた。
距離、速さ、タイミング、あらゆる要素が同じだったのだ。
また、それに加えて
男(えっ? な、ナイフ!?)
前日よりも明らかに殺傷能力が高い武器を手にしていた。
だが、勇次郎は臆するどころか、にやりと笑う。
勇次郎「昨日の奴よりは威圧感があるな……まぁ、3流以下もいいとこだが」
手と足の優位性は比べるまでも無い。それは射程においても同じだ。
右足を半歩下げ、機会を待つ。
鬼達は攻撃を加えるための予備動作を行う。
刹那、『軽く』地面を踏む。勇次郎の身体は2メートル程まで上昇し、静止した。
そのタイミングで、身体を回転させながら……
勇次郎「邪ッッッ!!!!」
鬼達の頭の位置で回し蹴りを放つ。
直立不動の氏体の足元には4つの首が転がっていた。
疑問を持つ事無く、一切の発言する事無く、ただ従った。
何故なら、強者であると分かっているから。
勇次郎「ほう? 同時に来るか」
4人同時に図り合わせたように直進してきた。
偶然。いや、彼らは連絡を取り合っていた。
距離、速さ、タイミング、あらゆる要素が同じだったのだ。
また、それに加えて
男(えっ? な、ナイフ!?)
前日よりも明らかに殺傷能力が高い武器を手にしていた。
だが、勇次郎は臆するどころか、にやりと笑う。
勇次郎「昨日の奴よりは威圧感があるな……まぁ、3流以下もいいとこだが」
手と足の優位性は比べるまでも無い。それは射程においても同じだ。
右足を半歩下げ、機会を待つ。
鬼達は攻撃を加えるための予備動作を行う。
刹那、『軽く』地面を踏む。勇次郎の身体は2メートル程まで上昇し、静止した。
そのタイミングで、身体を回転させながら……
勇次郎「邪ッッッ!!!!」
鬼達の頭の位置で回し蹴りを放つ。
直立不動の氏体の足元には4つの首が転がっていた。
37: 2013/01/03(木) 06:55:41.87
男「ッッッッ!!!」
身体に衝撃が走る。
見た光景、にでは無い。
力の一端を目の当たりにしたからだ。
男「……凄い」
自然と漏れたその言葉は、まさに今の心情を表していた。
勇次郎「……おい。行くぞ」
男「あ、は、はい!」
自分の価値観を根底から覆す力。
圧倒的なカリスマ性。
男は思う。
王になるべきなのはこのような人物だと
身体に衝撃が走る。
見た光景、にでは無い。
力の一端を目の当たりにしたからだ。
男「……凄い」
自然と漏れたその言葉は、まさに今の心情を表していた。
勇次郎「……おい。行くぞ」
男「あ、は、はい!」
自分の価値観を根底から覆す力。
圧倒的なカリスマ性。
男は思う。
王になるべきなのはこのような人物だと
39: 2013/01/03(木) 07:02:17.47
――
側近「……成る程。もういい。今日はもう終了だ」
側近「……」
側近「……人間じゃ無い、か……」
側近「……ふふふ」
側近「……成る程。もういい。今日はもう終了だ」
側近「……」
側近「……人間じゃ無い、か……」
側近「……ふふふ」
45: 2013/01/03(木) 07:14:10.29
――
王「どうじゃ? 成果は」
側近「はい。2日目終了時で、AB型の人数は700万人以下へと減少しました」
王「ほほー。随分、順調じゃないか。昨日よりも100万人も多い」
王「何かしたのか?」
側近「はい。大した事はしていませんが、武器と人数の追加を」
王「これこれ、目標は全滅ではあるが、あんまり無茶はいかんぞ」
王「出来るか、出来ないかくらいが楽しいんじゃから」
側近「はっ。以後気を付けます」
王「どうじゃ? 成果は」
側近「はい。2日目終了時で、AB型の人数は700万人以下へと減少しました」
王「ほほー。随分、順調じゃないか。昨日よりも100万人も多い」
王「何かしたのか?」
側近「はい。大した事はしていませんが、武器と人数の追加を」
王「これこれ、目標は全滅ではあるが、あんまり無茶はいかんぞ」
王「出来るか、出来ないかくらいが楽しいんじゃから」
側近「はっ。以後気を付けます」
48: 2013/01/03(木) 07:45:41.55
――
3日目
男(この人の傍に居れば安全。それは間違いない……でも、そろそろ国も異常性に気付くかもしれない……杞憂で済めばいいんだけど……)
不測の事態、というものは何に対しても存在する。この『リアル鬼ごっこ』においても例外ではない。
勿論、国がその事を想定してないはずが無い。
精鋭部隊はその内の1つだ。表、裏、あらゆる所から有能な人材を見つけ、厳選し、結成されている。
本来、使用される事のない物だが、機会ができてしまったのだ。使わない手はない。
勇次郎「……ほぉ」
上空から1人、右から更に1人。
男「っっっ!!」
男の身体は硬直して動けない。
そんな事はおかまいなしに、上空の男はナイフを、地上の男はワイヤーを用意している。
どうやら、2段構えで来るようだ。上空の男がナイフを切りつけようとする。地上の男はワイヤーで囲もうとする。
勇次郎は相手が反応するよりも速い動きで、バキバキと、骨が折れる音を鳴らしながら、男ごとナイフの制御件を握る。
そして、掴んだまま、地上の男の喉元へとナイフを突き立てた。
声にならない絶叫を鬼達はあげた。
3日目
男(この人の傍に居れば安全。それは間違いない……でも、そろそろ国も異常性に気付くかもしれない……杞憂で済めばいいんだけど……)
不測の事態、というものは何に対しても存在する。この『リアル鬼ごっこ』においても例外ではない。
勿論、国がその事を想定してないはずが無い。
精鋭部隊はその内の1つだ。表、裏、あらゆる所から有能な人材を見つけ、厳選し、結成されている。
本来、使用される事のない物だが、機会ができてしまったのだ。使わない手はない。
勇次郎「……ほぉ」
上空から1人、右から更に1人。
男「っっっ!!」
男の身体は硬直して動けない。
そんな事はおかまいなしに、上空の男はナイフを、地上の男はワイヤーを用意している。
どうやら、2段構えで来るようだ。上空の男がナイフを切りつけようとする。地上の男はワイヤーで囲もうとする。
勇次郎は相手が反応するよりも速い動きで、バキバキと、骨が折れる音を鳴らしながら、男ごとナイフの制御件を握る。
そして、掴んだまま、地上の男の喉元へとナイフを突き立てた。
声にならない絶叫を鬼達はあげた。
55: 2013/01/03(木) 08:16:11.23
その光景を覗いていたのにも関わらず、臆せずこちらへ向かってくる者達がいる。
3人組だ。そして、通常の鬼とは違い、マスクも服装もバラバラだ。軍服を着ている者も居れば、ジャージ姿の者も居る。
しかし、血を浴びている。という点では皆同じだった。
キツネ面の男「どうする? 流石に1人ではきついぜ?」
軍服の男「確かに。殺されるのが目に見えるな」
キツネ面の男「だろぉ? おい、オッサン。どうする?」
老人「ふむ……まぁ、全員で掛かればええんじゃないか?」
軍服の男「了解した」
キツネ面の男「うい。じゃあ、それで」
およそ30メートル先に見える男達を勇次郎は睨んでいる。
警戒しているのではない。確かめているのだ。
勇次郎「……3人合わせて1流ってとこか……弱者にしては中々の戦力だ」
くすくすと、含み笑いをした後、何かが変わった。
目に見えている分には何も変わっていない。しかし、何か、勇次郎の周りの雰囲気が何か変わった。
緊張の糸はまだ切れていないと男は感じる。これが切れた時が合図であるとも感じた。
時間がゆっくりと流れている気がする。後、1秒後には最後の砂時計の粒が落ちるだろう。
0.8、0.9……1
ドンっ!! 激しい音と共に勇次郎の身体が消えた。
3人組だ。そして、通常の鬼とは違い、マスクも服装もバラバラだ。軍服を着ている者も居れば、ジャージ姿の者も居る。
しかし、血を浴びている。という点では皆同じだった。
キツネ面の男「どうする? 流石に1人ではきついぜ?」
軍服の男「確かに。殺されるのが目に見えるな」
キツネ面の男「だろぉ? おい、オッサン。どうする?」
老人「ふむ……まぁ、全員で掛かればええんじゃないか?」
軍服の男「了解した」
キツネ面の男「うい。じゃあ、それで」
およそ30メートル先に見える男達を勇次郎は睨んでいる。
警戒しているのではない。確かめているのだ。
勇次郎「……3人合わせて1流ってとこか……弱者にしては中々の戦力だ」
くすくすと、含み笑いをした後、何かが変わった。
目に見えている分には何も変わっていない。しかし、何か、勇次郎の周りの雰囲気が何か変わった。
緊張の糸はまだ切れていないと男は感じる。これが切れた時が合図であるとも感じた。
時間がゆっくりと流れている気がする。後、1秒後には最後の砂時計の粒が落ちるだろう。
0.8、0.9……1
ドンっ!! 激しい音と共に勇次郎の身体が消えた。
59: 2013/01/03(木) 08:42:28.36
3人の足が止まる。
勇次郎は射程範囲のギリギリで足を止めた。
あまりにもつまらないからだ。
キツネ面の男「……3人でもきつくねぇか?」
老人「だが、やるしかないだろう?」
軍服「うむ。そういう事だ」
勇次郎「クスクス。明らかな実力差が分かっていながらも戦う度胸。気に入ったぞ!!」
軍服「ふんっ!!」
その声と同時に右手でナイフを投げる。位置は心臓を外れる事無く狙っている。
と、次に素早い動きで、ポケットから銃を抜き、構える。
引き金に指を掛け、打った。
しかし、寸前、勇次郎はナイフの柄を掴み、銃口へと向かって投げた。
結果、衝突した両方は誰にも当たる事無く、消えて行った。
息つく暇も無く、キツネ面の男は拳を打つ。目的は別にある。
今まさに打とうとしている勇次郎の拳の軌道を変えるためだ。
先だしが功を奏してか、軍服の男に当たる直前で、腕に当てる事が出来た
が、その拳ははじき返され、勇次郎の拳は身体の中心へと深く刺さり、軍服の男は後ろへと吹き飛んだ。
勇次郎は射程範囲のギリギリで足を止めた。
あまりにもつまらないからだ。
キツネ面の男「……3人でもきつくねぇか?」
老人「だが、やるしかないだろう?」
軍服「うむ。そういう事だ」
勇次郎「クスクス。明らかな実力差が分かっていながらも戦う度胸。気に入ったぞ!!」
軍服「ふんっ!!」
その声と同時に右手でナイフを投げる。位置は心臓を外れる事無く狙っている。
と、次に素早い動きで、ポケットから銃を抜き、構える。
引き金に指を掛け、打った。
しかし、寸前、勇次郎はナイフの柄を掴み、銃口へと向かって投げた。
結果、衝突した両方は誰にも当たる事無く、消えて行った。
息つく暇も無く、キツネ面の男は拳を打つ。目的は別にある。
今まさに打とうとしている勇次郎の拳の軌道を変えるためだ。
先だしが功を奏してか、軍服の男に当たる直前で、腕に当てる事が出来た
が、その拳ははじき返され、勇次郎の拳は身体の中心へと深く刺さり、軍服の男は後ろへと吹き飛んだ。
61: 2013/01/03(木) 09:05:30.73
キツネ面の男「ちぃ!!!」
地面を強く蹴り、後方へと、距離を取ろうとする。
しかし、勇次郎の上段蹴りは既に男の頭蓋骨を捉えていた。
一瞬、時が止まり、ゴキッっと、鈍い音を立てて、またしても後方へと吹き飛んで行った。
老人「おっと、そこまでじゃよ」
片手には少し大きい位の拳銃を構えている。
老人「勘弁してほしいのぉ。一応、武術家名乗っておるのに」
勇次郎「ほう。そんなちっぽけなもんで俺を殺せるとでも?」
老人「この銃は特別製でな。まぁ、弾が爆薬だと思ってくれればいい」
勇次郎「……ククク。いいぞジジイ。乗ってやろうじゃねぇか」
そう言って、一歩、二歩と、下がる。
勇次郎「よーい、ドンだ」
老人「はて?」
勇次郎「合図はてめぇが決めていい。てめぇの決めた合図で打ってこい」
老人「……これはこれは……随分とまぁ……」
地面を強く蹴り、後方へと、距離を取ろうとする。
しかし、勇次郎の上段蹴りは既に男の頭蓋骨を捉えていた。
一瞬、時が止まり、ゴキッっと、鈍い音を立てて、またしても後方へと吹き飛んで行った。
老人「おっと、そこまでじゃよ」
片手には少し大きい位の拳銃を構えている。
老人「勘弁してほしいのぉ。一応、武術家名乗っておるのに」
勇次郎「ほう。そんなちっぽけなもんで俺を殺せるとでも?」
老人「この銃は特別製でな。まぁ、弾が爆薬だと思ってくれればいい」
勇次郎「……ククク。いいぞジジイ。乗ってやろうじゃねぇか」
そう言って、一歩、二歩と、下がる。
勇次郎「よーい、ドンだ」
老人「はて?」
勇次郎「合図はてめぇが決めていい。てめぇの決めた合図で打ってこい」
老人「……これはこれは……随分とまぁ……」
112: 2013/01/03(木) 15:53:53.04
勇次郎「……」
老人(どうやら本気のようだ……が、しかしっ!! その驕りっっ!! 弱点となりうるぞっっ!!!!)
思考よりも速く懐からもう一丁の拳銃を取り出し、引き金を……引いたっっっ!!!
ドンっ!!!
つもりだった。
走馬灯が駆け巡る。目の前、ほんの数センチの所にある拳はゆっくりと動き出し
メキャ
っと、低く、潰れる音を立て、老人の頭ごと、コンクリートへ突き刺した。
勇次郎「意識の引き金を捉えるのは命の取り合いにおいて、基本中の基本だ。覚えておけ」
勇次郎「グズグズするな。さっさと行くぞ」
男「あっ、はい!!」
男(やっぱりこの人凄ぇ!!! 誰が来ようと負ける気がしねぇ!)
屍を踏み越え進んでいく。
結局、この日はもう何も起こらず、終了のサイレンが鳴った。
老人(どうやら本気のようだ……が、しかしっ!! その驕りっっ!! 弱点となりうるぞっっ!!!!)
思考よりも速く懐からもう一丁の拳銃を取り出し、引き金を……引いたっっっ!!!
ドンっ!!!
つもりだった。
走馬灯が駆け巡る。目の前、ほんの数センチの所にある拳はゆっくりと動き出し
メキャ
っと、低く、潰れる音を立て、老人の頭ごと、コンクリートへ突き刺した。
勇次郎「意識の引き金を捉えるのは命の取り合いにおいて、基本中の基本だ。覚えておけ」
勇次郎「グズグズするな。さっさと行くぞ」
男「あっ、はい!!」
男(やっぱりこの人凄ぇ!!! 誰が来ようと負ける気がしねぇ!)
屍を踏み越え進んでいく。
結局、この日はもう何も起こらず、終了のサイレンが鳴った。
116: 2013/01/03(木) 16:05:43.84
――
王「今日の成果は?」
側近「……」
王「おい、どうした?」
側近「……400万人以下と、一般人は後二日もあれば全滅できるでしょう」
王「その言いぶりだと、一般人じゃ無い者が居るみたいだな……だが、どんなに偉かろうが関係ないぞ? 王はただ1人なのじゃから」
側近「はっ。心得ています……が、です」
側近「仮に、王が二人居たとすればどうすればいいのでしょう?」
王「王が二人だと?……気にいらん。王というのは、頭であり、頂点である。そんな者が二つも居る集団は必ず破滅する。必ずな」
側近「……では」
王「かまわん。どんな手を使ってでも消し去れ」
側近「承知致しました」
王「今日の成果は?」
側近「……」
王「おい、どうした?」
側近「……400万人以下と、一般人は後二日もあれば全滅できるでしょう」
王「その言いぶりだと、一般人じゃ無い者が居るみたいだな……だが、どんなに偉かろうが関係ないぞ? 王はただ1人なのじゃから」
側近「はっ。心得ています……が、です」
側近「仮に、王が二人居たとすればどうすればいいのでしょう?」
王「王が二人だと?……気にいらん。王というのは、頭であり、頂点である。そんな者が二つも居る集団は必ず破滅する。必ずな」
側近「……では」
王「かまわん。どんな手を使ってでも消し去れ」
側近「承知致しました」
119: 2013/01/03(木) 16:20:45.39
――
側近(確かにペースは良い……それもかなり)
側近(そもそも絶対数が減ってきているからな。当然の結果だ)
側近(例外を除けば、数の暴力は実証されている)
側近(……まてよ?)
側近(くくく……そうか。その手があったか)
側近「……あぁ、私だ」
その日、鬼達に命令が下された。
重い、重い、決断が下された時だった。
側近(確かにペースは良い……それもかなり)
側近(そもそも絶対数が減ってきているからな。当然の結果だ)
側近(例外を除けば、数の暴力は実証されている)
側近(……まてよ?)
側近(くくく……そうか。その手があったか)
側近「……あぁ、私だ」
その日、鬼達に命令が下された。
重い、重い、決断が下された時だった。
122: 2013/01/03(木) 16:27:58.37
4日目。
開始のサイレンが鳴る。
しかし、いつもと様子が違っていた。
男「…・・・何か違和感が……」
勇次郎(殺気を感じねぇ……どうなってやがる)
男「……静かだ」
その地区、いや、その都市は今日、誰しもが一滴の血も流さなかった。
しかし、それが幸か、と問われれば、それはまた別の話である。
開始のサイレンが鳴る。
しかし、いつもと様子が違っていた。
男「…・・・何か違和感が……」
勇次郎(殺気を感じねぇ……どうなってやがる)
男「……静かだ」
その地区、いや、その都市は今日、誰しもが一滴の血も流さなかった。
しかし、それが幸か、と問われれば、それはまた別の話である。
123: 2013/01/03(木) 16:34:48.11
――
王「今、数はどのくらいじゃ?」
側近「4日目終了時にて、100万人以下、といった所でしょうか」
王「そうか……もうすぐじゃな……だが、あくまでも、ゲームだという事を忘れんでくれよ?」
側近「勿論です」
王「……ふふ。はたして、この王の前に現れる輩は居るのかのぉ?」
王「今、数はどのくらいじゃ?」
側近「4日目終了時にて、100万人以下、といった所でしょうか」
王「そうか……もうすぐじゃな……だが、あくまでも、ゲームだという事を忘れんでくれよ?」
側近「勿論です」
王「……ふふ。はたして、この王の前に現れる輩は居るのかのぉ?」
126: 2013/01/03(木) 16:50:59.29
――
5日目。
王の居るその都市で、サイレンは鳴らされなかった。
対象者はその事を終了だと、嬉き、泣きながら喜ぶ者もいたが、否
終わるわけも無く、必要が無かったからだ。
そうして、時間が過ぎ……
塔
王「おい、一体どうなっとるんだ! 今日、サイレンが聞こえんかったぞ!」
側近「大丈夫です。全て作戦通りですから」
王「何ぃ? 作戦じゃと?」
側近「先程、この都市以外のAB型は全て排除されたとの報告を受けました」
王「ほう。そうなのか」
側近「はい。それで作戦というのは――」
5日目。
王の居るその都市で、サイレンは鳴らされなかった。
対象者はその事を終了だと、嬉き、泣きながら喜ぶ者もいたが、否
終わるわけも無く、必要が無かったからだ。
そうして、時間が過ぎ……
塔
王「おい、一体どうなっとるんだ! 今日、サイレンが聞こえんかったぞ!」
側近「大丈夫です。全て作戦通りですから」
王「何ぃ? 作戦じゃと?」
側近「先程、この都市以外のAB型は全て排除されたとの報告を受けました」
王「ほう。そうなのか」
側近「はい。それで作戦というのは――」
130: 2013/01/03(木) 17:18:03.94
――
6日目。
喜びを感じずにはいられなかった。
口からは笑みをこぼさずにはいられなかった。
感じる。明確な殺意。隠す気すらない殺意をッッ!
勇次郎「おい、お前」
男「えっ? あ、はい」
勇次郎「どこかに隠れていろ。邪魔になる」
男「あ。わ、分かりました」
1つ1つが自分に向けられている殺気である。
弱者が強者である俺に対して、殺意を持っている。
勇次郎(いつぶりか。こんな刺激は……)
1つ1つは弱々しい……だがッッッ!!!
恐るべきはその数ッ! その戦力ッッ!!! 小国に匹敵するッッ!!!
6日目。
喜びを感じずにはいられなかった。
口からは笑みをこぼさずにはいられなかった。
感じる。明確な殺意。隠す気すらない殺意をッッ!
勇次郎「おい、お前」
男「えっ? あ、はい」
勇次郎「どこかに隠れていろ。邪魔になる」
男「あ。わ、分かりました」
1つ1つが自分に向けられている殺気である。
弱者が強者である俺に対して、殺意を持っている。
勇次郎(いつぶりか。こんな刺激は……)
1つ1つは弱々しい……だがッッッ!!!
恐るべきはその数ッ! その戦力ッッ!!! 小国に匹敵するッッ!!!
133: 2013/01/03(木) 17:26:00.29
ピンポンパンポーン
いつもと違い、軽快な音が町中に響き渡る。
そして、ノイズ混じりの音声が聞こえてきた。
王「えー、諸君。今までよくぞ頑張ってくれた。よくやったと言いたい。どうやら、諸君ら以外の者達は全滅してしまったそうでな。
そこで! 諸君らには褒美をやりたい。1つ。この『リアル鬼ごっこ』は今日をもって最終日とする。1つ。今日の『リアル鬼ごっこ』は制限時間を30分とする。
どうじゃ? やる気が出てくるじゃろう? 生き残った者には褒美を与える。何でも好きな願いを1つ叶えてやろう……それでは。諸君らの幸運を祈っているぞ……」
ブツッ、と音声が切れた。と、すぐにウー、とサイレンが鳴り響く。
AB型の者、残り6千人。
対して
鬼の者、残り100万人。
6千人対100万人? 否
狩られる者と狩る者? 否
狩る者と、狩る者!!!
1対100万人という、空前絶後の戦いが、今まさに始まろうとしていた。
いつもと違い、軽快な音が町中に響き渡る。
そして、ノイズ混じりの音声が聞こえてきた。
王「えー、諸君。今までよくぞ頑張ってくれた。よくやったと言いたい。どうやら、諸君ら以外の者達は全滅してしまったそうでな。
そこで! 諸君らには褒美をやりたい。1つ。この『リアル鬼ごっこ』は今日をもって最終日とする。1つ。今日の『リアル鬼ごっこ』は制限時間を30分とする。
どうじゃ? やる気が出てくるじゃろう? 生き残った者には褒美を与える。何でも好きな願いを1つ叶えてやろう……それでは。諸君らの幸運を祈っているぞ……」
ブツッ、と音声が切れた。と、すぐにウー、とサイレンが鳴り響く。
AB型の者、残り6千人。
対して
鬼の者、残り100万人。
6千人対100万人? 否
狩られる者と狩る者? 否
狩る者と、狩る者!!!
1対100万人という、空前絶後の戦いが、今まさに始まろうとしていた。
152: 2013/01/03(木) 18:46:59.48
足音が鳴り止まない。
叫喚もその音によって掻き消される程に。
そうして、30秒も経たないうちに、勇次郎の周りは鬼達で埋め尽くされてしまう。
勇次郎「クスクス……」
そう笑いながら、辺りを見渡す。
勇次郎「ざっと2千人って所か……何秒持つか……皆頃しにしてくれるッッッッ!!!!」
敵の距離はおよそ10メートル。どうやら、勇次郎の情報を事前に知らされているらしい。
しかし、それは知らされていなくても変わらなかっただろう。この光景を見たのならば
ゆらぁ
っと、周りの空間が歪んで見える。
両手を上空に掲げ、臨戦態勢に入る。
機会を窺おうとはせず、鬼達は一斉に飛びかかる。
勇次郎「ぬんッッッ!!!!!」
ただ、鬼の顔を殴りつけた。
首を不自然な方向に曲げながら、鬼は、後方の鬼達を巻き込みながら飛ぶ。
鬼は氏亡しながらも、なおかつ、弾丸の役目を果たし、10人の鬼達を殺傷させた。
叫喚もその音によって掻き消される程に。
そうして、30秒も経たないうちに、勇次郎の周りは鬼達で埋め尽くされてしまう。
勇次郎「クスクス……」
そう笑いながら、辺りを見渡す。
勇次郎「ざっと2千人って所か……何秒持つか……皆頃しにしてくれるッッッッ!!!!」
敵の距離はおよそ10メートル。どうやら、勇次郎の情報を事前に知らされているらしい。
しかし、それは知らされていなくても変わらなかっただろう。この光景を見たのならば
ゆらぁ
っと、周りの空間が歪んで見える。
両手を上空に掲げ、臨戦態勢に入る。
機会を窺おうとはせず、鬼達は一斉に飛びかかる。
勇次郎「ぬんッッッ!!!!!」
ただ、鬼の顔を殴りつけた。
首を不自然な方向に曲げながら、鬼は、後方の鬼達を巻き込みながら飛ぶ。
鬼は氏亡しながらも、なおかつ、弾丸の役目を果たし、10人の鬼達を殺傷させた。
162: 2013/01/03(木) 19:18:33.65
反応が速い事と、その中で動ける事は同義ではない。
人間は氏ぬ瞬間に今までの全ての記憶を巡るらしい。
勇次郎はコンスタントに自分の意志でそれを行える事が出来る。
かつ
その中で自由に動く事が出来る。
つまり、戦いおいて、勇次郎は時を止める事が出来るのだ。
勇次郎「へっ、止まって見えるぜ」
勇次郎「邪ッッッッ!!!!!」
その蹴りに鋭さは持たせなかった。
3人を薙ぎ倒しながら、そのまま後方の鬼達も同様に衝撃を受け、倒されていく。
20人以上が殺害されていた。
人間は氏ぬ瞬間に今までの全ての記憶を巡るらしい。
勇次郎はコンスタントに自分の意志でそれを行える事が出来る。
かつ
その中で自由に動く事が出来る。
つまり、戦いおいて、勇次郎は時を止める事が出来るのだ。
勇次郎「へっ、止まって見えるぜ」
勇次郎「邪ッッッッ!!!!!」
その蹴りに鋭さは持たせなかった。
3人を薙ぎ倒しながら、そのまま後方の鬼達も同様に衝撃を受け、倒されていく。
20人以上が殺害されていた。
169: 2013/01/03(木) 20:14:55.84
2撃に掛かった時間、およそ0コンマ秒以下。
鬼達には何が起こったのか分からない。
ただ、勇次郎に畏怖心を抱いていた。
勇次郎「何だ? 来ねぇのか? ならっ、こっちから行かせてもらうぜッッッッ!!!」
勇次郎「ぬうぅぅぅぅん!!!!!!」
鬼の行列へと突っ込む。
両手を横に広げ、押す。
勇次郎「へっ、力比べだッッ!!」
1000人との、押し合い。
均衡を保つ間も無く、鬼達は後退していく。
間に挟まれている鬼達の何人かは圧迫されて氏亡した。
鬼達には何が起こったのか分からない。
ただ、勇次郎に畏怖心を抱いていた。
勇次郎「何だ? 来ねぇのか? ならっ、こっちから行かせてもらうぜッッッッ!!!」
勇次郎「ぬうぅぅぅぅん!!!!!!」
鬼の行列へと突っ込む。
両手を横に広げ、押す。
勇次郎「へっ、力比べだッッ!!」
1000人との、押し合い。
均衡を保つ間も無く、鬼達は後退していく。
間に挟まれている鬼達の何人かは圧迫されて氏亡した。
178: 2013/01/03(木) 20:53:51.14
血が潤う。
圧倒的戦力の差に、もやは鬼達には狩りという概念は存在していない。
今まで狩ってきた者達同様、自分も弱者になり下がってしまったのだ。
うわああああぁぁぁあ!!!!
何とか平常を装おうとしていた鬼達が叫び出す。
本物の鬼を見て、本当の恐怖を味わった。
しかし、次々と逃げ出す鬼達を勇次郎が見逃すわけも無く。
勇次郎「ッカ!!! たわけがッッッ!!!!」
繰り出される暴力の数々。
終わった頃には、20分が経ち、辺りは血の海。
人数にして、1万人強の鬼が氏亡していた。
圧倒的戦力の差に、もやは鬼達には狩りという概念は存在していない。
今まで狩ってきた者達同様、自分も弱者になり下がってしまったのだ。
うわああああぁぁぁあ!!!!
何とか平常を装おうとしていた鬼達が叫び出す。
本物の鬼を見て、本当の恐怖を味わった。
しかし、次々と逃げ出す鬼達を勇次郎が見逃すわけも無く。
勇次郎「ッカ!!! たわけがッッッ!!!!」
繰り出される暴力の数々。
終わった頃には、20分が経ち、辺りは血の海。
人数にして、1万人強の鬼が氏亡していた。
184: 2013/01/03(木) 21:16:52.69
ウー、と終了の合図が鳴り響く。
しかし、喚起の声も安堵の声もあがる事は無かった。
「『リアル鬼ごっこ』終了です。鬼の皆さんは速やかに帰還してください」
機会的な音声がそう言い放つ。
「続いて、王様のお言葉です」
ブチっ。と音声が切れると。
またしても、軽快な音が鳴った後に、プツッ、とノイズ混じりの音声が入る。
王「いやー、おめでとうっ!! 生還者が『二人』とは!! 良く頑張ってくれたよ!!」
王「本当はもうちょっと時間が残ってたのだが、王様からの慈悲だ。遠慮無く受け取ってくれたまえ」
強い口調で労いの言葉を掛ける。
王「さて、諸君ら2人には褒美をやりたい。そこら中に待機してある車で塔まで来てほしい」
王「何でも1つ願いをかなえてやろう。では。待っておるぞ」
そうして、全てを言い終えた後、ブチっ、と音声が切れた。
しかし、喚起の声も安堵の声もあがる事は無かった。
「『リアル鬼ごっこ』終了です。鬼の皆さんは速やかに帰還してください」
機会的な音声がそう言い放つ。
「続いて、王様のお言葉です」
ブチっ。と音声が切れると。
またしても、軽快な音が鳴った後に、プツッ、とノイズ混じりの音声が入る。
王「いやー、おめでとうっ!! 生還者が『二人』とは!! 良く頑張ってくれたよ!!」
王「本当はもうちょっと時間が残ってたのだが、王様からの慈悲だ。遠慮無く受け取ってくれたまえ」
強い口調で労いの言葉を掛ける。
王「さて、諸君ら2人には褒美をやりたい。そこら中に待機してある車で塔まで来てほしい」
王「何でも1つ願いをかなえてやろう。では。待っておるぞ」
そうして、全てを言い終えた後、ブチっ、と音声が切れた。
186: 2013/01/03(木) 21:25:00.54
――
王「ふぅ……」
側近「お疲れ様です」
王「あぁ……しかし、あんな化け物が紛れておったとはな」
側近「申し訳ありません。私共も想定外でした」
王「よい。今まで見つからなかったのが不思議なくらいじゃ」
王「何せ、1人で1万人もの鬼を殺害しているのじゃから。たとえ、100万人全員で突っ込もうが、勝ち目はなかったじゃろう」
側近「……」
王「それに、おそらく、そいつではないじゃろう」
側近「……はい」
王「もうすぐだ……もうすぐ全てが終わる」
王「ふぅ……」
側近「お疲れ様です」
王「あぁ……しかし、あんな化け物が紛れておったとはな」
側近「申し訳ありません。私共も想定外でした」
王「よい。今まで見つからなかったのが不思議なくらいじゃ」
王「何せ、1人で1万人もの鬼を殺害しているのじゃから。たとえ、100万人全員で突っ込もうが、勝ち目はなかったじゃろう」
側近「……」
王「それに、おそらく、そいつではないじゃろう」
側近「……はい」
王「もうすぐだ……もうすぐ全てが終わる」
192: 2013/01/03(木) 21:46:08.12
――
塔
王「よくぞ来てくれたな! 感謝するぞ!」
男「は、はい!」
勇次郎「……」
王「さて、願いを適える前に、君達の名前を聞いておきたい。名は? 何と申す」
男「お、男です!」
勇次郎「……名乗る必要はねぇ」
王「はっはっは!! 流石!! 強者だけの事はある!」
側近「……王様」
王「分かっておる。男君。まずは君の願いを適えよう。悪いが、そこの男について行ってくれ」
側近「こっちだ」
男は側近と一緒に、近くの部屋へと入る。
そして、すぐに
パァン!!
という銃声だけが静かな塔内へと響き渡った。
塔
王「よくぞ来てくれたな! 感謝するぞ!」
男「は、はい!」
勇次郎「……」
王「さて、願いを適える前に、君達の名前を聞いておきたい。名は? 何と申す」
男「お、男です!」
勇次郎「……名乗る必要はねぇ」
王「はっはっは!! 流石!! 強者だけの事はある!」
側近「……王様」
王「分かっておる。男君。まずは君の願いを適えよう。悪いが、そこの男について行ってくれ」
側近「こっちだ」
男は側近と一緒に、近くの部屋へと入る。
そして、すぐに
パァン!!
という銃声だけが静かな塔内へと響き渡った。
198: 2013/01/03(木) 22:03:06.64
勇次郎「……キサマ」
王「さて、名もなき男よ。君には本当の事を話そう」
勇次郎「何だと?」
王「まず、私について。何の才能も持ち合わせない私が、どうして一国の王になりえたと思う?」
勇次郎「……」
王「予知能力があったのさ」
勇次郎「予知能力だとぉ?」
王「うむ。頻度はばらばら、時間もばらばら。しかし、精度は完全。時たま頭に未来の映像が流れてくるのじゃよ」
王「この力に目覚めた私は着々と地位を上げ、ついには王になったのだ」
王「だが、王になったからこそ民の事を思わねばならん。人材は宝、とも言うしのぉ」
王「さて、名もなき男よ。君には本当の事を話そう」
勇次郎「何だと?」
王「まず、私について。何の才能も持ち合わせない私が、どうして一国の王になりえたと思う?」
勇次郎「……」
王「予知能力があったのさ」
勇次郎「予知能力だとぉ?」
王「うむ。頻度はばらばら、時間もばらばら。しかし、精度は完全。時たま頭に未来の映像が流れてくるのじゃよ」
王「この力に目覚めた私は着々と地位を上げ、ついには王になったのだ」
王「だが、王になったからこそ民の事を思わねばならん。人材は宝、とも言うしのぉ」
205: 2013/01/03(木) 22:28:19.22
勇次郎「で? それとこれと何の関係がある」
王「……1ヶ月程前からのぉ。不吉な物が見えるようになったのじゃ」
王「日に日に具体化し、とうとう正体を現した。何が見えたと思う?」
勇次郎「……」
王「40日後、この国だけでは無い、世界中のあらゆる場所から人々が氏滅したのじゃ」
王「更に日が経つと、その原因は日本」
王「そして、AB型の人間が犯人だと。そこまでは分かった」
王「しかし、そこから先がどうしても見えなかった。時間も迫ってきておる。なら、どうするか?」
王「そこで考えたのがこの『リアル鬼ごっこ』なんじゃよ」
勇次郎「ならば、てめぇはどうなる? 自分は絶対にやらぬとでも?」
王「勿論。私も最後には氏ぬさ」
勇次郎「ほぉ。俺はどうする? まだ残ってるぜ?」
王「はっはっは。いろいろ見ておったが、お主はやらんよ。いや、何者にも左右されないと言った方が正しいか」
王「……1ヶ月程前からのぉ。不吉な物が見えるようになったのじゃ」
王「日に日に具体化し、とうとう正体を現した。何が見えたと思う?」
勇次郎「……」
王「40日後、この国だけでは無い、世界中のあらゆる場所から人々が氏滅したのじゃ」
王「更に日が経つと、その原因は日本」
王「そして、AB型の人間が犯人だと。そこまでは分かった」
王「しかし、そこから先がどうしても見えなかった。時間も迫ってきておる。なら、どうするか?」
王「そこで考えたのがこの『リアル鬼ごっこ』なんじゃよ」
勇次郎「ならば、てめぇはどうなる? 自分は絶対にやらぬとでも?」
王「勿論。私も最後には氏ぬさ」
勇次郎「ほぉ。俺はどうする? まだ残ってるぜ?」
王「はっはっは。いろいろ見ておったが、お主はやらんよ。いや、何者にも左右されないと言った方が正しいか」
208: 2013/01/03(木) 22:34:45.86
勇次郎「っけ。安心しな。俺ももうじき消える」
王「? どういう事じゃ?」
勇次郎「俺は元々この世界の人間じゃねぇからな」
王「……成る程。合点がいった、その化け物じみた強さはそういう事だったのか」
王「何故、こちらの世界に来れたのかも、その強さなら納得がいく」
勇次郎「ッケ」
王「おっと。そうだ、褒美をやらねばな。何か欲しい者は無いか?」
勇次郎「いらねぇ。欲しい者は自分で手に入れる」
王「つくづく、強者じゃの」
勇次郎「それに。そこそこ堪能する事が出来た。礼を言うぜジジィ」
そう言うと勇次郎は王を背に歩き出す。
自分が欲しているのは強者であり、それ以外は不純物なのだ。
この世界に対し、興味が失せたその時
王「? どういう事じゃ?」
勇次郎「俺は元々この世界の人間じゃねぇからな」
王「……成る程。合点がいった、その化け物じみた強さはそういう事だったのか」
王「何故、こちらの世界に来れたのかも、その強さなら納得がいく」
勇次郎「ッケ」
王「おっと。そうだ、褒美をやらねばな。何か欲しい者は無いか?」
勇次郎「いらねぇ。欲しい者は自分で手に入れる」
王「つくづく、強者じゃの」
勇次郎「それに。そこそこ堪能する事が出来た。礼を言うぜジジィ」
そう言うと勇次郎は王を背に歩き出す。
自分が欲しているのは強者であり、それ以外は不純物なのだ。
この世界に対し、興味が失せたその時
213: 2013/01/03(木) 22:42:28.77
目に見えるのは真っ暗な空間。
外には薄暗い星空が見える。
勇次郎「戻って……きたか……」
現実と非現実を確認しながら、瞑想する。
勇次郎「……ククク。偶にはいいもんだな」
そう言って、あの世界で起こった事に耽り、もう一度目を閉じた
これにて完結ッッッッッ!!!!
外には薄暗い星空が見える。
勇次郎「戻って……きたか……」
現実と非現実を確認しながら、瞑想する。
勇次郎「……ククク。偶にはいいもんだな」
そう言って、あの世界で起こった事に耽り、もう一度目を閉じた
これにて完結ッッッッッ!!!!
215: 2013/01/03(木) 22:44:27.22
乙
引用元: 範馬勇次郎「リアル鬼ごっこだぁ?」
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