1: 2014/07/17(木) 21:00:47.43

真姫「永遠に、変わらないモノって在ると思う?」

にこ「在るわけないでしょ、そんなの」

真姫「即答ありがとう。そういえば、にこちゃんって意外と現実主義者だったわ」

にこ「……まぁね」

真姫「きっと、今まで色んな事を経験してきたからでしょうね」

にこ「優しい言葉をかけてもらいたいなら、花陽やことりの方が適任よ」

真姫「……別に」

にこ「……めんどくさい子」


真姫「……足がすくんで動けなかった、普段なら絶対にミスなんてしないのに」

にこ「……」

真姫「頭の中が真っ白になって、声も発せなくて、喉の奥が何かで塞き止められた様な」

真姫「その時思い知らされたわ、私は皆みたいに強くない……とても脆い……何もないのよ、私には」

にこ「……ていっ!」

真姫「痛っ!」

にこ「頭も良くてスタイルも良くて、歌も上手くてお金持ちの御嬢様が何言ってるのよ」


https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405598447/

2: 2014/07/17(木) 21:17:10.81

真姫「同情? それとも純粋な優しさかしら?」

にこ「どっちでもいいでしょ、そんなの。皆も真姫ちゃんのことは認めてるわよ」

真姫「……そうね、うわべだけ見れば私は何でもこなせる完璧人間だもの」

にこ「ねぇ、歌ってみて」

真姫「今ここで?」

にこ「早く」

真姫「はいはい……、すぅー……」




真姫「……で? これが一体何なの」

にこ「それが真姫ちゃんの音」

真姫「……は?」

にこ「歌声だけじゃなくて、今こうしてにこと話してるのも、いつもみたいにむすっとして本を読んでるのも、お弁当食べてるのも、西木野真姫としてこの世界に存在しているのも」

にこ「全部引っ括めて、真姫ちゃんの音」

真姫「……そうなるわね」


──全てを肯定させる綺麗事


にこ「にこの音はどう聴こえてる?」

真姫「心地好いわよ、すごく」

3: 2014/07/17(木) 21:35:53.24

真姫「心地好すぎて、涙が溢れてくるわ」

にこ「拭う涙なんて見当たらないけど?」

真姫「本当よ、耳に優しく響いてくる……耳だけじゃなくて、目も鼻も口も肌も、すごく幸せを感じてる」

にこ「へぇ……」

真姫「……」

にこ「……不安? なら与えてあげようか? 真姫ちゃんが今一番求めてる言葉」

真姫「……いらない」

にこ「にこ達は……、μ'sはずっと一緒だよ」

真姫「いらないって言ってるでしょ!!」

にこ「真姫ちゃんは、どうしたいの?」

真姫「私は……」

4: 2014/07/17(木) 21:59:23.64


にこ「まったく……あの捻くれ者……」


絵里「誰の話かは簡単に想像がつくけど、貴女も相当だと思うわよ?」

にこ「……否定はしないわ」

絵里「可愛いわね、二人とも」

にこ「自分だけ素直で良い子です、って?」

絵里「私と比べて、という意味よ。私の捻くれ加減知ってるでしょう?」

にこ「うっ……」

絵里「お互い、大人にならなきゃね」

にこ「それって関係あるの? 誰でも子供の頃は素直なわけじゃない?」

絵里「あれは純粋、少しワケが違うと思うけど……どうなのかしら?」

にこ「……知らないわよ」


絵里「変わることを恐れない勇気……あの子にも教えてあげたら? にこ先輩」

にこ「……あんたが、やればいいじゃない」

絵里「それでもいいけど、後悔しない?」

にこ「……っ」


絵里「ふふっ、わかってる……本当は私じゃ役不足だってことくらい」

6: 2014/07/17(木) 22:21:52.30


にこ「ちょ、ちょっと……これって、どういう状況……?」

真姫「にこちゃんが言ったのよ」

にこ「あれ……、何言ったっけ?」

真姫「そういえば、まだ聞いてなかったわね……」


真姫「にこちゃんには、私の音……どんな風に聴こえてる?」

にこ「……キスするの? にこが何て答えても」

真姫「……」

にこ「可哀想な子……そんな手段でしか私を……、皆を繋ぎ止められないんだ」

真姫「うるさいっ」

にこ「いいよ、出来るものなら」

真姫「……本気よ」

にこ「何でもできるけど、何にもできない……自分でそう言ってなかったっけ?」

真姫「いつもいつも馬鹿にして……っ」

にこ「なら証明してみたら?」

真姫「……」

にこ「この体勢で体格の差……にこはもう逃げられない、真姫ちゃんの為すが儘」

真姫「……っ」

にこ「どうしたの? 俯いてたら唇、届かないわよ」

7: 2014/07/17(木) 22:48:00.34


真姫「はぁっ……、はぁっ……」


にこ「意気地無し、拍子抜けよ」

真姫「うるさいわね……何よ、震えてたくせに」

にこ「……真姫ちゃん」

真姫「何……?」

にこ「にこはアイドルになるわ、なにがなんでも」

にこ「欲しいモノはどんな手を使ってでも絶対に手に入れてみせる……、真姫ちゃんにそれが出来る?」

真姫「……」

にこ「真姫ちゃんは弱いんじゃないよ、ただただ甘いだけ」

真姫「何よ……、偉そうに……」

にこ「覚悟決めなよ、何事も綺麗にこなしていくんじゃなくて、もっと泥塗れに……地面を這いつくばって求めなさいよ!!」

にこ「真姫ちゃんが欲しいモノはそこまでする価値があるモノ? だったら願ってるだけじゃどうにもならないわよ」

真姫「……うるさい」

にこ「また穂乃果やにこが何とかしてくれるとでも思ってた? 甘えるな!!」

真姫「うるさいうるさいうるさいっ」

にこ「あんたのその手は、声は、何の為にあるのよ!! 聞かせてよ!! もっとがむしゃらに求めなさいよ!!」


真姫「…ッ」

にこ「ン……、ぁ……っ」


──もう戻れない……交じり合って奏でられる私の音と、彼女の音

8: 2014/07/17(木) 23:12:02.05


にこ「馬鹿、じゃないの……あんたが欲しいモノはこんな、こんなのじゃないでしょ!?」

真姫「……魔法をかけたのよ」

真姫「唇と唇のキスは誓いの証……貴女を一生繋ぎ止める為の」

にこ「それって魔法じゃなくて呪い……」

真姫「別に呪いでも何でも構わないわよ」


──胸が灼ける様に熱い、空っぽだった私の心に何かが注がれている


にこ「……にこは変わるわ、あんたの思い通りにはなってやらないから」

真姫「別に、構わないわ」

にこ「……めんどくさくて素直じゃなくて、頑固で」

真姫「私の音、教えてよ」

にこ「……真姫ちゃんはオルゴールみたい」

にこ「綺麗な音を鳴らしているけど、誰かがネジを巻いてあげなきゃ……一人じゃ何も出来ない」

真姫「……巻いてくれるの?」

にこ「だから甘えすぎなのよ、あんたは! 思い通りになってやらないって言ったでしょ?」

真姫「そうね、でも……」


──貴女を想う私の気持ち、それこそが変わらないモノ……永遠と呼ぶに相応しいのだろう




━━fin━━

10: 2014/07/17(木) 23:18:00.60
短すぎぃぃぃぃ
この雰囲気の練習的な感じで書いたのです
さらば

11: 2014/07/17(木) 23:19:58.00
雰囲気は良かった
これを丁寧につないでくれたら最高だね

引用元: 真姫「音戯噺」