1: 2013/12/19(木) 19:18:50.35
意外と寒い。
もう一枚重ねてくれたよかったかしら。

ぎゅっと抱きしめられる。

「唯の真似」

「寒いね」

澪ちゃんはうんうんと深く頷く。

「でも歩きにくいから、こうしよ」

腕を組んで歩く。
ここは駅前で、周りの人から注目される。
私は気にしないし、澪ちゃんも気にするようすはない。

3: 2013/12/19(木) 19:23:38.68
2人の息は白い。

「必要なものを買ったら、いつもの店に寄りましょうか」

もっと一緒にいたいからした提案。
でも、あっさり却下される。

「私はムギのお茶がいい」

上目遣いでお願いされてしまう。

「じゃあ、澪ちゃんに家に寄らせてもらうね」

「うん」

遅くなり、斎藤に迎えを頼むのは少しためらわれるけど、澪ちゃんの誘いは断れない。

4: 2013/12/19(木) 19:26:27.75
「夜ご飯もたべてく」

「ええ、ご一緒させてもらうね」

「ママも喜ぶよ」

目的の場所につく。
今日はクリスマスパーティーの買い出し。
重いものも買うので、私が担当することになった。
りっちゃんが気を利かせて、澪ちゃんをつけてくれた。

ジュース、肉、野菜、魚、調味料、お菓子。
憂ちゃんが書いてくれたメモを頼りに、店をまわる。

スーパーマーケットの中はあたたかかったけど、腕は組んだままだった。
私は放したくなかったし、澪ちゃんも同じだといいなと思った。

6: 2013/12/19(木) 19:31:33.99
憂ちゃんのメモはとても親切で、料理に明るくない私達でも問題なく買い物を進められた。
牛肉なら肩ロースで薄切りのもの、豚肉ならスペアリブで小ぶりのもの、と細かく指定してくれたから。

ジュースを買って、最後にお菓子を見る。
実はお菓子は私達に任せるとみんな言ってくれたけど、私が断った。
自由に選んだらきっと、澪ちゃんの好きなものばかりになってしまうから。

レジを済ませて、荷物を保冷バックに詰め込む。
りっちゃんが貸してくれたものだ。

8: 2013/12/19(木) 19:38:38.15
外に出ると一層寒くなっていた。

今度は両手が塞がっている。
流石に手を繋ぐことも腕を組むこともできない。

だからかわりに、かばんの片方の持ち手を私が、もう片方を澪ちゃんが持った。

澪ちゃんの家に着くと、私はお茶の用意をはじめる。
お茶を蒸らし、水と牛乳を鍋に入れて火にかける。
十分あたたまったら、蒸らしておいた茶葉を鍋に入れ、しばらく蒸らす。
蒸らし終わったらカップに注ぎ、最後に角砂糖。

11: 2013/12/19(木) 19:45:33.23
澪ちゃんは毛布を用意して、壁に寄りかかりながら座っていた。
私が近づくと、毛布をめくりあげて招待してくれた。

ティーセットを床に置いて、そこにおさまる。
澪ちゃんがあたためてくれたおかげで、ほんのり毛布はあたたかい。

カップをとって、澪ちゃんに渡す。

「気をつけないと駄目だよ」

「あちっ」

「言ったのに」

「寒かったから、つい」

それを合図に、肩を寄せ合う。
セーター越しでも、しっかりと澪ちゃんの体温が感じられる。
2人は見つめ合い、口元をゆるめ、唯ちゃんみたいに笑った。

14: 2013/12/19(木) 19:52:08.88
今度は火傷しないようにふーふーしてから澪ちゃんは飲んだ。
少し甘すぎるぐらいのロイヤルミルクティーが2人の流行りだ。

私も一口すすると、心地良いあたたかさが広がっていく。

「私、冬が好きだ」

澪ちゃんは呟いた。

角砂糖6個分。冬の日のこと。



おしまいっ!

15: 2013/12/19(木) 19:54:09.78
あっさり終わったな乙

16: 2013/12/19(木) 19:54:42.56

俺も好きだ

引用元: 紬「角砂糖6個分」