1: 2015/05/23(土) 23:37:10.566
東郷「ありがとう友奈ちゃん…私…幸せになるね!」

こうして私は取り残されたのでした

2: 2015/05/23(土) 23:38:17.513
結婚式は盛大でした。多くの友達
そして私達勇者部に見送られ、私の大親友である東郷さんは素敵な挙式をあげ
幸せになることができたのです

4: 2015/05/23(土) 23:39:32.613
風「友奈、東郷綺麗だったね」

友奈「はい」

風「あんたはそういう話ないの?」

友奈「まったくないです風先輩は?」

風「ん?まあさ、今の生活にどことなく満足してるんだよね私」

6: 2015/05/23(土) 23:41:42.287
友奈「今思えば…鏡見て思うんですけど私ってそんなに可愛くないなって思うんですよ」

風「私だってそうよ友奈、結局何歳になっても美人なやつは美人、そうでないやつはそのままさね」

友奈「あはは、今思えば東郷さん、大学生になったあたりからほんとにもててました」

風「あんたは?」

友奈「高校卒業してからフリーターで、彼氏とも長続きしたためしがありません」

風「耳が痛くなるわ」

8: 2015/05/23(土) 23:44:24.971
友奈「東郷さんはお国のためと公務員になって彼氏と結婚して幸せな家庭」

友奈「樹ちゃんは歌手になるっていったけど結局現実の厳しさに打ちのめされ生活保護」

風「いや言わないで」

友奈「夏凜ちゃんは山に渓流釣りに行ったまま行方不明になってしまいました」

風「生々しいわ…」

9: 2015/05/23(土) 23:46:40.326
友奈「お友達同士ずっと一緒って言うけど、そんなのが許されるのって結局学生までなんですね」

風「うんそうね」

友奈「20代も終わりに差し掛かって気づいたんです。異性に対して特別な感情を抱かないことは異常なんだなって」

風「あはは、私は中学の時に気づいてたけどね」

友奈「我慢して調子こいてた結果がこれなんですね」

11: 2015/05/23(土) 23:49:31.272
友奈「私ね、前合コンでかっこいい男の人にお持ち帰りされそうになったんですよ」

風「ってなんだあんたもててるじゃん」

友奈「いえいえ、その後に彼に抱かれそうになった際に一言言われたんですよ」

友奈「ちょっと友奈ちゃん臭いって」

風「うわぁ…」

友奈「家道場ですからねー、やっぱ人一倍そういう所考えないとなのに…だめですねぇ」

風「言葉がみつからん」

12: 2015/05/23(土) 23:52:02.390
風「私なんてさ、高校卒業して工場に勤めてるんだけどさ割と悪くないよ?」

友奈「肉体労働大変そうです」

風「たしかに大変だけど、仕事に慣れたらあまり人間関係きにしないでいいしさ」

友奈「精神的ストレスとかないんですか?」

風「そりゃあるわよ。あるけど一晩寝れば忘れる程度よ」

友奈「うらやましいですね。寝ても寝ても毎日息苦しいですよ私」

風「あんたもうちくる?」

友奈「私コンビニでバイトしてるんで」

14: 2015/05/23(土) 23:55:09.938
街中にて

樹「あれ…友奈さん…?」

友奈「あれ…樹ちゃん…?久しぶり」

樹「久しぶりです。なんか前よりやつれました?」

友奈「あはは、ほっといてよ。そういう樹ちゃんはどう?」

樹「最近インターネットでブログ初めて、収入が人並み異常になりました」

友奈「そ…そうなの…」

樹「友奈さんは?」

友奈「コンビニでバイトしてるよ?なんか人と接することで社交性があがったっていうか…」

樹「ストレスがたまるだけじゃ…?」

友奈「…」

15: 2015/05/23(土) 23:57:23.083
結局あのあと神樹様とバーテックスの親玉である神様が和解して
私達勇者の存在は必要性がまったくなくなり今現在ではなかったことレベルに扱われてる
大赦からの支給(生活金)は今では0でそれぞれ皆が進路に着き
結婚 就職 進学 と言った別々の道に進んでいた筈だった…

19: 2015/05/24(日) 00:05:19.616
風先輩でさえ底辺なのに人生を楽しんでる。
私も底辺だけどこの差はなんだろう…
私は大自然に触れて嫌なことをお払いしようと思いました

友奈「山の中の川って綺麗…こんなに透明なんだね…」

なのに私の心はどれだけ汚れているんだろう

毎日PC 毎日バイト以外家に引きこもり
些細なきっかけで付き合うことになった彼氏からは臭いと言われて振られて
私の人生ってなんなんだろう
勇者って肩書き以外私って平凡以下のゴミなんじゃないのって思うようになった

???「ひょっとして友奈?」

20: 2015/05/24(日) 00:08:20.959
友奈「あれ…!?まさか…夏凜ちゃん!?」

夏凜「やっぱり友奈!久しぶり!元気にしてた?」

正直久々にあった夏凜ちゃんはすごく綺麗になっていた。
素朴だけどおっとりしてて以前のような態度はなりを潜めていて…
なんていうか温度差を感じました

友奈「たしか夏凜ちゃん渓流釣りに行ったまま行方不明になって…心配したんだよ?」

夏凜「ええ、私ね、趣味が釣りなんだけど、旅先で出会った人と恋に落ちて、そのまま付き合って結婚しちゃったの」

ここにリア充がまた…

21: 2015/05/24(日) 00:11:32.298
夏凜「旦那の実家の取り計らいで、今は日帰り温泉を経営しててね、こんな山中でひっそり暮らしてるのよ」

友奈「そ…そうなんだ」

夏凜「友奈…あんたは今どうなの?」

友奈「え?ああ、最近東郷さんが結婚したんだよ?そんな幸せを分けて貰って私も幸せ!」

夏凜「知ってるわよ。祝儀を送って後日東郷とお酒飲んだもの」

友奈「そ・・・そうなんだ」

夏凜「式にはね、参加できなかったのよ。丁度うちの旅館改装工事が終わって大事なときでね」

友奈「う…うん」

22: 2015/05/24(日) 00:13:26.580
夏凜「参加できなくてもお互い涙を流してお祝いしたわ」

友奈「あはは、そうなんだ」

祝儀渡して一緒に写真とったときも
東郷さん一度も泣いてなかったな

友奈「あはは、私って結構やばい立場なのかも」

タッタッタッ

夏凜「友奈!岩魚焼けたし一緒にご飯でも…って友奈!どこにいったの?友奈!」

23: 2015/05/24(日) 00:15:22.189
友奈「勇者部五箇条ひと~つ・・・あいさつは~・・・」

友奈「あはは、あの頃は楽しかったな…」

友奈「えっとね…私だって…本当は幸せになりたかったんだよ?」

友奈「勇者であることが誇りだった…」

友奈「でも時代は変わっていく…世界も…仕方がなかったんだよね…」

友奈「皆は上手に幸せを見つけて…なのに私は…」

プルルル

友奈「あれ…電話…」

24: 2015/05/24(日) 00:17:35.077
友奈「もしもし~結城友奈です~」

店長「ああもしもし結城さん?これからアルバイトでれない?今日入る娘がインフルエンザで休んじゃってさ」

友奈「え?あ!?は…はい…1時間ほど遅れるかもですけど出れます!」

店長「そうか!ありがとう結城さん!いつも頼りにしてるよ!」

友奈「こんな私でも頼りにしてくれるところがあった…それがバイト先…」

26: 2015/05/24(日) 00:21:35.584
友奈「結局断れずにアルバイトに入っちゃった」

店長「結城さんお疲れ様」

友奈「お疲れ様です店長!結城友奈!アルバイト終えました!」

店長「いつも元気だね結城さんは」

友奈「それだけが長所ですから…」

店長「そんなことはないさ。それより結城さん。今日はいきなりシフト入ってもらった変わりに食事でもどうだい?奢るよ」

友奈「え!?本当ですか!私おなか減っちゃって…!」

店長「ふふふ、好きなだけ食べてくれ」

27: 2015/05/24(日) 00:22:03.350
なんとなく予想はついていた

34: 2015/05/24(日) 00:29:58.468
レストランに連れて行ってもらった。
美味しかった。高いお酒も飲ませてもらった。

気づけばホテルのベッドで寝ていた


単純だった。

店長にご飯奢ってもらってお酒飲んで。
なんか体触られて…普通なら嫌がって怒って帰る筈なのに
なんか自分を求められてるみたいで嫌な気がしなくて
私自身存在価値が少しでもあるんだって思えてしまって。


37: 2015/05/24(日) 00:34:34.278
友奈「肌はカサカサでお洒落っけもないような私、抱いて楽しいですか?」

店長「友奈ちゃん実は前から狙ってたんだよね」

友奈「冗談きついなぁ店長」

店長「だって友奈ちゃん可愛いのに自分磨きしない残念美人だから」

友奈「あはは…努力したって楽しい時間が戻ってくるわけじゃないですから…」

店長「そう。でも今こうやってあんなことやこんなことしちゃった感想はどう?」

友奈「必要とされてるって思えたから、別にいやじゃないです29歳になってこんな私の体で喜んでもらえたんだから」

店長「じゃあさ、またいつでも誘うけどいい?」

友奈「どうぞ。こんな私でよければ」

幸せではない。でも嫌じゃない。なんか変な感覚
私ってなんなんだろう
でも私は体を重ねてしまう

40: 2015/05/24(日) 00:41:27.342
出会いなんて自慢できたものじゃない。
正直学生や小説作家が考えるような素敵な出会いなんかとは正反対。
そんな現実を私は受け入れた

店長「はいこれプレゼント」

友奈「えええ!?悪いですよ店長!」

店長「前から欲しがってたんだろ?このネックレス」

友奈「あんまり気を使わないでください。自分が惨めになるだけですから…」

店長「気なんてつかってないよ。なんだい?またバイト中嫌なことでもあったのかい?」

あった。

一緒に組んでる女の子がナンパされていてそれを助けただけだったのに…

DQN「うわ。おばさんに説教されたんだけどwwww」

DQN2「でもぎりぎりこのおばさんやれそうじゃね?www」

DQN「はあ?ありえねーしwまあ金もらえばやってもいいけどw」

DQN2「シラケたわw行こうぜwww」

友奈「…」

41: 2015/05/24(日) 00:45:25.716
肌の色も少し濃い。
中学の頃からコンプレックスだった。
それでも東郷さんには可愛いって褒めてもらえた。
だから気にならなかった。
勉強だって人並み以下だ。
園ちゃんや東郷さんには一切近づけなかった…
そういえば園ちゃん、夏凜ちゃんのお兄さんと結婚したんだ…
私自身が惨めな姿で顔向けできる筈も無く祝儀を送るだけで式には参加しなかった。

成り行きで酔わされ成り行きでバイト先の店長に抱かれ
喘いで。

お猿さんみたいだなぁ私

いつから私の人生こんなに可笑しくなったんだろう

43: 2015/05/24(日) 00:49:29.813
店長「こんな形になっちゃったけどさ。俺、結城さんに気があったからここまでしたんだよ」

友奈「まだ抱かれるような体系を維持できる年齢だからなのかな…?女として見られてるだけまだマシなのかな」

店長「一応本気なんだけどな俺」

友奈「やめてください…これ以上踏み込むと店長が不幸になります」

店長「俺は幸せだけどね」

友奈「もう…そうやって私を丸め込んで」

流されるまま
こんな行為でさえ私は幸せと感じるようになった
ある意味でもう末期なのかもしれない

45: 2015/05/24(日) 00:56:06.056
あっけなかった。妊娠検査キットで結果が明らかになった

友奈「あはは、妊娠しちゃった」

酔わされて妊娠して
世間から見たらまず見下される
人としても終わったようなこの光景
でも私を妊娠させた男性は私を見捨てなかった
それだけは救いだった。
結局そのまま関係を続け妊娠を受け入れ私はバイト先の店長と結婚した。
旦那を補佐するマネージャーになって…一応は人並みの生活をしていた。

友奈「そう言えば今でも私をかわいいって言ってくれるの旦那だけだっけ?」

相思相愛で結婚

幼馴染が両思い出結婚

素敵な出会いで結婚

成り行きで肉体関係で結婚

やましい行為が原因で結婚妊娠

こんな支離滅裂な出会いで結婚しても結果的にそこそこ幸せになる家庭もある

友奈「人と人との出会いってそれぞれなんだなぁ」

旦那のアパートで大きくなったおなかをさすりながら友奈は語った

46: 2015/05/24(日) 01:03:07.992
夏凜ちゃんは喜んでくれた。疎遠だったけど今回のが切欠でまた仲良くなった。

風先輩は相変わらず。ただ酒を持って家に遊びに来てくれることが増えた。

樹ちゃんは出会い系でまた振られたみたい。彼女と比べれば私はまだマシなのかな?ううん人のこといえ立場じゃないよねわたしも

園ちゃんは三人目が生まれたんだって。専業主婦で毎日子育て楽しそう…まあきっと楽しそうに見えるだけですごく大変なんだよね

東郷さんは…実は最近になって旦那さんが浮気したんじゃないかと疑い始めて夫婦関係が悪化してるみたい。
お互い愛情を分かち合い結婚した二人なのにわからないものだね

私達夫婦のほうが余程仲良しラブラブなのが不思議に感じるくらい…

人と人との出会い。それは綺麗ごとじゃなくて人それぞれ
汚い出会いが素敵な花の様に咲き誇ることもあればその逆だってある。

それが人間の人生なんだ。

世の中ってそんな不安定な世界なんだって

私は大人になって思った

酷い出会いでしょ?酷い人生でしょ私?

でもね今隣で旦那に大きくなったおなかなでられてて私って幸せ感じてるんだよ?

友奈「人生って不思議だよね」



47: 2015/05/24(日) 01:05:40.713

49: 2015/05/24(日) 01:08:09.678
どんなに学生時代幸せでも将来がそうとは絶対限らない。
勇者部の人間関係が私の中学の部活仲間とそっくりだったので
つい重ね合わせてSSを書いてしまいました。
友奈ちゃんと旦那の出会いがまさにリアルの私の体験に限りなく近いです。
結局今が人並み以上に幸せなのが時折不思議に感じる
そんな人間の理不尽な世界をSSに書いたのですがうまくいかないものですね

それでは

引用元: 友奈「東郷さん!結婚おめでとう!」