1: 2015/07/05(日) 16:41:18.41
この話は、だいぶ前に書いた
モバP「天体観測を2人と」
モバP「アニバーサリーパーティで2人と」
などの設定を引き継いでおりますが、前作を読まずともたぶん大丈夫です
※一部、ロシア語を間違えているかもしれません。ご了承ください
2: 2015/07/05(日) 16:44:52.59
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とある日・午後
テコテコ スタスタ コツコツ
アーニャ「……プロデューサー。荷物、重くないですか?」
モバP(以下P)「ん、大丈夫だよ。ありがとなー」ガサリ
のあ「……されど、3人分の食材と飲料。私たちで補うべきではないのかしら」
P「いえいえ、平気ですよ。こういう力仕事くらいは、俺に任せてください」
のあ「そう……分かったわ」
アーニャ「仕事……? プロデューサー、他にもたくさんお仕事してますよ?」
P「あー、確かにそうかもだけど……まぁ、荷物を持つのは男の仕事なんだ。女の子に辛いことさせられないって」
アーニャ「パニャートナ、なるほど……頼もしくて、素敵ですね。では、お願いします」ニコ
P「おう、任せてくれ。しかし……」
3: 2015/07/05(日) 16:49:54.09
アーニャ「シト? どうしましたか?」
P「いや、2人とこうやって買い物して帰る……なんてしたこと無かったから、新鮮だなーって思ってさ」
のあ「共に行動する事はあれど、これはプライベート……機会が無かったわね」
アーニャ「ダー、3人で一緒に歩いて帰るの、初めてです。のあ、嬉しいですね?」
のあ「……ええ」
アーニャ「ハラショー。それに――」
アーニャ「――プロデューサーのおうち行くの、ワクワクします♪」
のあ「……そうね」
P「……」
P(……アーニャとのあさんと、一緒の帰り道。しかも目的地は俺の家)
P(どうして、どうしてこうなったんだっけかな……?)
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4: 2015/07/05(日) 16:56:17.01
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3週間前 事務所
のあ「……」
アーニャ「Тягачи……引っ越し?」
P「ああ。社長から頼まれて、つい最近してさ。他のプロデューサーさんも何人かしたらしい」
のあ「P。場所は、何処に?」
P「確か事務所の窓から……あっ、あのマンションです。事務所と提携している建物だそうですよ」
のあ「……社員を事務所の近辺に、ということかしら」
P「大体そんな理由らしいですね。提携しているから家賃が本当に格安で、なのに無駄に広くて……」
5: 2015/07/05(日) 17:00:34.38
アーニャ「オー……すごくバリショーイ……大きいマンションです」ヒョコッ
のあ「……一人暮らしをするには、些か巨大な建物ね」
P「そうなんですよ……まぁ一部屋が無駄に広いおかげで、荷物の置く場所には全く困りませんでしたけども」
アーニャ「そういえば……私も、のあも、前のプロデューサーのおうち、入ったこと無かったです」
P「まぁ、来たところで大した物なんて無かったよ。今も昔も、家具とパソコンと、趣味に使う道具たちくらいしか置いてなかったし」
のあ「貴方の、趣味……」
アーニャ「Нас……アー、私たちと同じ、ですね」
P「そう、天体観測……というか、星を観ることかな。場所を選ぶ物だったから、今回の引っ越しは大助かりだったなぁ」
6: 2015/07/05(日) 17:04:21.43
アーニャ「シト? 場所を選ぶ……どんな道具ですか? 大きい?」
P「ん、そんなに大きくないよ。都会じゃあまり星を観られないから、数年前に小型のプラネタリウム買っちゃってさ」
のあ「……」
アーニャ「!? プラネタリウム……ハラショー、すごいです!」キラキラ
P「へっ? あー、きっと想像してる物よりも遙かに小さいぞ? 流石に、ドームで観られるような物は買えないし置けないから!」
アーニャ「それでも、星を観たい気持ち、形にするのはプリクラースナ……素晴らしい事だと思います。尊敬です……!」キュッ
P「そ、そう? アーニャがそう言ってくれるだけでも、買った甲斐があった……かも?」
7: 2015/07/05(日) 17:07:01.29
のあ「P、道具たちという事は、他にもあると?」
P「ええ、双眼鏡とかの手持ちサイズと……余裕も出来たので、数ヶ月前に思い切って天体望遠鏡も買っちゃいましたね」
アーニャ「望遠鏡……? プロデューサー、もしかして、あの時の望遠鏡は……」
P「ああ、家から持ってきたんだ。折角買ったんだから、使わなきゃと思ってさ」
アーニャ「アー、事務所のものと、思ってました。……使い方、合ってましたか?」
P「全く問題無し。アーニャが使ってくれて、望遠鏡も喜んでると思うぞ?」
アーニャ「スパシーバ、プロデューサー♪ 星、よく観えてクラスィーヴィ……美しかった」
のあ「……なるほど。昨年の話、ね」
[備考]昨年の天体観測
http://i.imgur.com/xZSVRdK.jpg
8: 2015/07/05(日) 17:10:56.07
アーニャ「ダー。のあも、一緒に行ければ……とても、残念です」
のあ「悲観する事は無いわ。あらゆる者が須く、同じ光景を共有することは出来ない。人が歩む道とは、そういう物なのだから」
P「また日にちを調整して、3人で行きましょうね。ここ最近は忙しいですけど、そのうちきっと……」
のあ「……」
P「……のあさん?」
のあ「……いいえ、時間を置く必要は無いの。ましてや其れが、本当の天体観測であることも」
アーニャ「シト?」
P「へ? それは、どういう……?」
9: 2015/07/05(日) 17:12:43.00
のあ「3週間後の土曜……私たちは午後に余暇を持ち、日曜は休日となっているわ」
P「えっ……あ、本当だ!? その週、土曜の午後と日曜、3人ともオフになってる……」ペラリ
アーニャ「あー、3人ともお仕事、綺麗にないです。……珍しい、ですね?」
P「ああ、凄い偶然だよ。最近は個人に合わせてオフとか決めてたから……全く気付かなかった」
のあ「皆が余暇を同日に収め、そして3週間後の未来は不確定のまま……そうでしょう?」
アーニャ「ダー、3週間、とても先の事です。私は予定、ありません」
P「そうですね。俺も予定とか全く考えて無いというか、ほぼ家で過ごす以外選択肢が無さそうな……」
10: 2015/07/05(日) 17:14:13.55
アーニャ「家で……あっ! のあ、それはつまり……」
のあ「……ええ。貴女が望み、願う通り」
アーニャ「バリショイエ スパシーバ! のあ、さすがです♪」
P「アーニャ? え、どういうこと?」
のあ「……そう、この余暇が揃う事は、必然であった事。故に――」
のあ「――その日の午後は、彼女と私で、貴方の家へ赴くわ」
アーニャ「ダー♪ なので、よろしくお願いしますね、プロデューサー?」
P「…………え? ……えっ!?」
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11: 2015/07/05(日) 17:17:56.08
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アーニャ「――」
のあ「――」
P(それでその後、アーニャの提案でプラネタリウム観賞も兼ねてホームパーティをしようという話になって……今の帰路に至る、と)
P(ふむ、こんな感じだったな。まさかのあさん、3人のスケジュールも全て把握していたとは……)
P(どうやらのあさんは元々、その休日には3人で天体観測を、と考えていたらしい。なんというか、のあさん凄いとしか言い様がない……)
P(ちひろさんも『アーニャちゃんとのあさんなら問題はないと思いますから、交通事故とかにだけは気を付けて下さいね』って了承してくれたけど……うーむ)
アーニャ「――というの、どうでしょうか?」
のあ「ええ、何も問題は無い。……期待しているわ」
アーニャ「ダー♪」
P(プラネタリウムを観賞するため、2人が家に、か)
P(変な物置いてる訳じゃ無いけど、引っ越したばかりだし……なんか緊張するな)ソワソワ
アーニャ・のあ「「?」」
12: 2015/07/05(日) 17:21:12.26
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事務所提携のマンション内 ○階・廊下
のあ「――ここが……」
P「はい、俺の部屋です。廊下の端っこにあるので、少し遠いんですよね……」
アーニャ「ホテルみたいな廊下……とても、高級でした」
P「そうだな、もしかしたら億ションなのかも……ウチの事務所って成功してる子多いからなぁ」
のあ「……」
P「のあさん? 扉に何かありましたか?」
のあ「○階の××号室……記憶したわ」
P「……セキュリティもありますし、勝手に来ちゃダメですよ?」
のあ「……そう」
13: 2015/07/05(日) 17:22:17.60
アーニャ「あー、プロデューサーはおうちに、誰かをПригласить……招いたこと、ありましたか?」
P「いや、未だ誰も。この前も言ったけど、引っ越して間もないからそういう機会も無かったな」
のあ「つまり、私たちが初の来訪者ね」
アーニャ「ふふ、私たちが初めて、プロデューサーのおうちを見られる……特別な気分で、嬉しいです」
のあ「……悪くないわ」
P「そ、そんな風に言われると途端に恥ずかしく……と、とにかく、開けるんで入っちゃってください!」ピピッ ガチャッ
14: 2015/07/05(日) 17:27:29.34
…ガチャン
アーニャ「オー……玄関、シローキィ……アー、広いです」
のあ「……靴棚、綺麗に整頓されているのね」
P「まぁ、一人暮らしですから……あ、靴はそのまま置いて大丈夫ですよ」
アーニャ「プロデューサー、いろんな靴、持っていますね? いつも革靴ですから、新鮮です」ジー
P「いつもスーツだから、自ずと革靴一択になっちゃうからなー。休日とかは、その靴とか履いたりするよ」
アーニャ「サイズ、大きい……男の人、です」ウンウン
のあ「……センスに長けているわ」
P「そ、そんなに見ても特に何も無いですって!」
15: 2015/07/05(日) 17:31:33.27
テコテコ スタスタ トテテテッ
アーニャ「わぁ、Жизни……リビングも、とても広いです。言っていた通り、ですね」
P「あはは……そうだろ? 俺には勿体ない広さだよなぁ」ドサッ
アーニャ「Ох, 料理の食材はキッチンへ、ですか?」トテトテ
P「お、ありがと。キッチンに冷蔵庫があるから、その近くにどさーっと袋ごと置いといて貰えるか? 持ってるバッグとかはリビングでいいからさ」
アーニャ「ダー、わかりました」ボフンッ テコテコ…
P(アーニャの荷物、そういえば結構大きい……女の子って大変なんだなー)
16: 2015/07/05(日) 17:36:31.18
のあ「この広さ……P、部屋の間取りは?」
P「えーと、1LDKにサービスルーム付き……だったかと。無駄に大きいベッドと、そこにあるソファが備え付けでした」
のあ「ソファでこの大きさ……ベッドは、どのくらいに?」
P「ベッドは外国サイズで、頑張れば4人くらい寝られるほど大きくて……なので、向こうの部屋に置いて寝室としてますね」
のあ「そう……確かに、1人では手に余す広さね」
P「本当、俺1人には勿体ないですよ……あ、ちょっとキッチンに行くので、のあさんは少し待っていて貰えますか?」
のあ「……ええ、分かったわ」
P「ありがとうございます。さて……アーニャー、荷物は大丈夫ー?」ステテテ…
のあ「……」
17: 2015/07/05(日) 17:38:27.60
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P宅・キッチン
P「お、綺麗にまとまってる……ありがとな」ナデナデ
アーニャ「ん……キッチンも広くて、びっくりしました。それに、玄関と同じ……綺麗です」
P「広すぎるのは大変だって、引っ越して初めて知ったよ。あと、調理場は綺麗にしないと、衛生的にも良くないからさ」
アーニャ「Очистить……清潔、ですね。プロデューサーの綺麗な性格、とても出てると思います」
P「んぐっ、そ、そう急に褒めるのは無しで……!」
アーニャ「ニェート、褒める、ではないです。本当の事ですから、なにも間違ってませんよ?」
P「ぬ、ぬぅ……それを褒めてるって言うんだってば。照れるっての……!」
18: 2015/07/05(日) 17:41:44.15
アーニャ「あ、プロデューサー。もう少しで、日が暮れてしまいます。料理、始めますか?」
P「ん、アーニャが作るのか?」
アーニャ「シト? プロデューサー、帰り道での話、聞いてない?」
P「あっ、ご、ゴメン。その時、ちょっと色々と考え事しちゃってたかも……」
アーニャ「では、ここで伝えますね。今日は料理、私が作ることになりました」
P「ほー……そっか、料理作れるって、デビューCDの時に言ってたもんな」
19: 2015/07/05(日) 17:43:08.25
アーニャ「ダー、ロシア料理、グランマに教えて貰いました。ママとグランマと、3人で料理していたので、ばっちりです。ドヤァ、ですね?」ドヤァ…
P「おおー、頼もしい。15歳の時の俺なんか、料理なんてほとんど作れなかったのに……アーニャは良いお嫁さんになれそうだなー」
アーニャ「……もらって、くれる?」
P「ンゴフッ!?」
アーニャ「……冗談、です。ふふ、プロデューサーの驚く顔、とてもかわいいですね♪」
P「あ、アーニャっ! もー、そういう冗談、一体どこから覚えてくるんだ本当に……!」
アーニャ「みんな、たくさん教えてくれてプラガタールナ……感謝、です♪ ンー……最近はミズキから、たくさん日本語、教えて貰いました」
20: 2015/07/05(日) 17:46:40.30
P「ミズキ……あ、川島さんか。もしかして、前にあったアルバム収録の慰安旅行の時?」
アーニャ「ダー、そうです。日本語の中でもトクベツな言葉、たくさん勉強になりました」
P「あの人、元アナウンサーだもんな……言葉に定評ありそう。どんな日本語を教えて貰ったんだ? 敬語の種類とか?」
アーニャ「ふふ、『ユイショタダシキ日本語』です。コホン、例えば……今の気持ちは、ちょべりぐー、ですね♪」
P「………………へ?」
アーニャ「それと、『ザギンでシースー』『ギロッポン』……ナオがロシア語と聞き間違えてしまうほど、古い言葉でした」
P(……ひ、一昔前の流行語と業界用語だー!?)
[備考]収録したアルバム
http://i.imgur.com/PKb49R8.png
21: 2015/07/05(日) 17:52:43.95
アーニャ「? プロデューサー、複雑な顔してます……ちょべりば、ですか?」
P「あっ、案外使いこなしてる……アーニャ、川島さんから教えて貰った言葉、あまり使わないようにしないか?」
アーニャ「ヤー、間違えてましたか? カレンも、そう言ってました……」
P「うーん、間違いではないけど……今ではあまり使われない言葉だから、アーニャは今まで通りの話し方で良いって事かな」
アーニャ「……そう、ですか。プロデューサーは、今の私の話し方、通じてる?」
P「そりゃもちろん、今の話し方で意味も気持ちも十分伝わってるよ。むしろ、アーニャらしさがあって好きかも……なんて」
アーニャ「! ミズキの言葉、封をしておきますっ」グッ
P「切り替え早くない!? そんなわざわざ封までしなくて…………いや、やっぱりしておこっか。川島さんには悪いけど……うん、きっちりしておいて」
22: 2015/07/05(日) 17:56:37.07
-----
アーニャ「あ、忘れてました。プロデューサー、料理の話ですが……」
P「ああ、アーニャが作ってくれるって話だよな。それなら、俺も手伝うよ」
アーニャ「シト……良い、ですか?」
P「もちろん。ロシア料理は出来なくても、手伝いくらいは出来ると思うからさ」
アーニャ「ヤー、私は嬉しいです。けど……」
P「そんな気にしなくて良いって。ほら、キッチンが無駄に広いんだ。俺もたまには誰かと料理がしたくて……な?」
アーニャ「プロデューサー……」
のあ「――その申し出、断る理由は無いのでしょう?」スッ
アーニャ「のあ?」
P「あ、のあさん。何かありましたか?」
23: 2015/07/05(日) 17:57:58.50
のあ「貴方たちの会話を耳にして……一つ、明確にすべき事があるの。アーニャ、良いかしら」
アーニャ「シト?」
のあ「質問……推測の話よ。……貴女、私が料理をしないと、認識している?」
アーニャ「ダー、のあ、期待していると言ってました。……違いましたか?」
のあ「……御免なさい、齟齬が生じていたわ。その言葉、貴女へ全てを託す意味では無かったの」
P「というと、のあさんはロシア料理を……」
のあ「……心得があるわ。期待は、共に作業する彼女の技量に対して……」
P「あ、相変わらず凄いですね……」
アーニャ「ハラショー。のあ、何でも出来ます……!」パァァァ
のあ「……私の持つ技術が一致した。それだけよ」
24: 2015/07/05(日) 18:04:50.92
P「えーと……つまり、アーニャとのあさんが料理を作る事になっていた訳か」
アーニャ「ダー、そうなりますね。のあの料理も、楽しみです」
のあ「……本場の技術、拝見するわ」
P「ふむ……邪魔になりそうだな。うん、それじゃあ俺は、あっちで先にプラネタリウムの用意を――」トテトテ
ガシッ ギュッ
P「――っぅぉ?」カクンッ
のあ「……貴方の有るべき場所は、不変よ」グッ
アーニャ「ダー、プロデューサーも一緒に、料理しましょう?」ギュッ
P「……いいの? 2人と違って、ロシア料理の知識とか皆無なんだけど……」
アーニャ「問題ないです。むしろ、プロデューサーと料理、したいです」
のあ「貴方の技量と料理にも……関心があるわ」
25: 2015/07/05(日) 18:14:17.24
P「それなら……えっと、お邪魔してていい、かな?」
アーニャ「ダー♪」
のあ「此処は貴方の持つ世界。道具の場所を司るのも貴方だけ……円滑に進めるならば、常に傍にいるべきでしょう?」
P「あっ、確かに……」
アーニャ「Причина……アー、理由も、きちんと出来ました。さぁ、3人で、やりましょう?」
P「おう。あー、足手まといになるかもだけど……2人とも、よろしく」
アーニャ「よろしく、です♪」
のあ「……技量を尽くすわ」
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26: 2015/07/05(日) 18:15:42.63
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数時間後・リビング
P「えーっと、本体はいつもの場所に置いて……と」
のあ「……この黒幕は、窓に?」
P「あっ、ありがとうございます。結構裾が長いので、気を付けて下さいね」
アーニャ「のあ、私も持ちます」テコテコ
のあ「……感謝するわ」スタスタ
P「天井にも幕を取り付けてっと……うーん、角度はどれくらいにしようか……」ムムム
27: 2015/07/05(日) 18:16:35.74
アーニャ「……のあ、のあ。プロデューサー、私たちの作ったボルシチ、美味しそうに食べてくれました」バサバサ
のあ「破顔するとは、言い得て妙ね。……彼の顔はまさしく、言葉通りだった」テキパキ
アーニャ「ダー、私も嬉しかったです。心、ぽかぽかしました……思い出しても、ぽかぽか、です」バサッ
のあ「そう……記憶に残っているのなら、思い出すのは容易ね」テキパキ
アーニャ「のあも、記憶……残ってますか?」
のあ「……目を閉じずとも、鮮明に」
アーニャ「ハラショー♪ それは、とても良いことですね」バサリ
のあ「……幕の留め具を。貴女は先端から順に、残りを此方で調整するわ」テキパキ
アーニャ「ダー、分かりました」ササッ
28: 2015/07/05(日) 18:18:37.43
アーニャ「アー、それと……プロデューサーの料理、とても美味しかったです」パチン
のあ「彼は、確かにロシア料理の術は持ち得なかった。されど……驚嘆に値する腕だったわ」テキパキ
アーニャ「私たち、きっと素晴らしい相性です。だから、もっと一緒にいたい……эгоистичный、ワガママ、でしょうか?」パチ パチッ
のあ「……」テキパキ
アーニャ「……のあ?」
のあ「望むだけでは、願うだけでは、叶えられぬ事もある。故に……アーニャ」
アーニャ「シト?」
のあ「1つ、提案があるわ。この役割の終演まで、耳を傾けていて頂戴」テキパキ
アーニャ「……?」
29: 2015/07/05(日) 18:20:51.02
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P「――これで、準備は出来たかな」
アーニャ「ダー、いよいよですね。楽しみです」
のあ「星の模倣芸術……興味深いわ」
P「では早速……ああ、そうだ。ブランケットとかも用意しておいたので、アーニャものあさんも好きな体勢で観てくれて良いですからね」
アーニャ「ダー。では、私の好きな体勢で楽しみます」テトテト ピトッ
P「んおっ……アーニャ、俺の傍に居てくれるのは、体勢って言わないからね? ソファかクッションに座ろう、な?」
アーニャ「ンー、残念です……」テコテコ ポフッ
のあ「……」ピトリ
P「ほゃっ!? の、のあさんも、ソファへお願いしますっ」
のあ「……そう」スタスタ ポフン
30: 2015/07/05(日) 18:22:02.76
アーニャ「? プロデューサーは、どこに座りますか?」
P「んー、俺はクッションの有る方に行こうかな。部屋の電気もプラネタリウムも、今持ってるリモコンたちで操作できるし」スッ
のあ「……アーニャ、少し右に」
アーニャ「? こう、ですか?」ススッ
のあ「ええ、それで良い。……P」
P「はい?」
のあ「此処が、空いているわ」ポフッ
31: 2015/07/05(日) 18:23:55.00
P「んなっ!? ……そ、そうですね。でも、ちょっとそこは……」
アーニャ「ダー、私が座っていたので、まだあたたかいですよ?」ポフポフ
P「そ、そうじゃなくて……嬉しいけど、単純に俺が照れちゃうというか」
のあ「……」ポフポフ
アーニャ「……」ワクワク
P「あー、その、えっと………………!」
---
P「……前にも、こんなことがあった気がする」ソファ マンナカ
アーニャ「これでプロデューサーと星、一緒に観られます。前と同じ、ですね」ミギガワ
のあ「ええ、過去と同じ事。……さぁP、操作を」ヒダリガワ
P「2人ともブレないなぁ……ま、まずは、部屋の電気を消しますね」ピッ
…フッ
32: 2015/07/05(日) 18:25:50.93
アーニャ「……本当に、真っ暗です」
P「そうだなー。部屋中に掛けた黒幕は遮光幕だから、外灯の光とか全く入らない状態になってるんだ」
のあ「……凝っているわね」
P「そりゃあもう。これでプラネタリウムが見えやすくなるなら、苦労は惜しみませんよ」
のあ「……そう」
アーニャ「プロデューサー、リモートコントロール、お願いします」ワクワク
P「おう、分かった。それじゃあ、スイッチ……オンっ」ピッ
キュイッ ウィィィィィ…――――
33: 2015/07/05(日) 18:26:47.36
アーニャ「……!」
のあ「これは……」
P「……よし、きちんと動いてくれたな。角度も良い感じ、かな?」
アーニャ「……」
のあ「……」
P「……あれ? 2人とも、あんまり良くなかった……?」
34: 2015/07/05(日) 18:27:45.21
アーニャ「ニ、ニェト、そうじゃないです。とても、びっくりしてます……」
のあ「……納めきれないほどの瞬く星、私には届いているわ」
P「ああ、良かった。これが我が家のプラネタリウムです。結構、しっかり映してくれるんですよ」
のあ「……確かに、数多の星を認識出来るわ」
アーニャ「クラスィーヴィ……! 家で観るプラネタリウム、こんなにキレイと、思いませんでした。ハラショー……すごい、すごいです……!」ポフンポフン
P「おお、お気に召してくれた?」
アーニャ「ダー♪ バリショイエ スパシーバ、プロデューサー♪」ムギュッ
P「わっ!? ちょ、アーニャ? ほ、星観よう、星!」
アーニャ「アー、このまま観れるので、平気です。それに……んー、あー、暗いですから、何かに掴まった方が安心しますね?」ギュー
P「たった今考えたよねその理由!?」
35: 2015/07/05(日) 18:28:54.42
のあ「……」モゾ キュッ
P「みゃっ!? の、のあさん?」
のあ「前回星を観たとき、私たちは手を繋いでいた。ならば、今も繋ぐ事は間違いではないでしょう?」
アーニャ「ふふ、私も繋ぎます」キュッ
P「Oh……なんかもう、手を繋ぐことが当たり前になってる……いや、嬉しいけども……!」
アーニャ「手を繋ぐの、外ではほとんど出来ません。だから、出来るときに好きなだけ、しておきたいです」
のあ「外界から隔離された世界。――己に素直で有る事に、支障は無いわ」
36: 2015/07/05(日) 18:30:58.06
----------
アーニャ「プロデューサー、このプラネタリウム……どのくらい、星を映せますか?」
P「ん、これは日本製だから、日本から観られる星は全部入ってるぞ。今も、リモコンのボタン一つで……ほいっ」ポチッ
カチッ ウィィィィィィ…――――
アーニャ「ワァ……!」
のあ「……冬から、夏の夜空、ね」
P「とまぁこんな感じで、いつでも観たい季節の星を観られるんだ。言ってくれれば、直ぐに切り替えるよ」
アーニャ「プリクラースナ、素晴らしい機能、ですね。心が、踊ります」
P「ああそれと、時間差で星の切り替えも出来るから、そこらも好きに言ってくれていいぞー」
アーニャ「ダー、分かりました。のあは星、どう観たいですか?」
のあ「……」ジッ
アーニャ「のあ?」キョトン
37: 2015/07/05(日) 18:34:01.75
のあ「……そうね。貴女と、同じよ」
アーニャ「ヤー……私、と?」
のあ「『どう観るかは、彼に任せたい』……そう感じられた。そして、私も同調しているわ」
アーニャ「! ……のあ、本当に凄いです。Телепатия、アー、以心伝心……とても、嬉しい……♪」
のあ「……光栄ね。P、私たちの意思は、言葉の通りよ」
P「……ええ、分かりました。2人とも、本当に通じ合ってるんだなぁ……」
アーニャ「ダー♪ 私とのあ、プロデューサーのことならきっと、思うことは一緒、ですね♪」
のあ「……ふふ」
38: 2015/07/05(日) 18:35:23.50
-----
アーニャ「……」ジッ
P「……ん? アーニャ、どうかした?」
アーニャ「ニェト……ただ、プロデューサーの目に映る星を、観ていました」ジー
P「お、おう!? なんかオシャレで格好いいけど、その、観られる方はちょっと照れるんだが……」
アーニャ「ふふっ、大丈夫です。一緒に、プロデューサーもたくさん見てます♪」
P「大丈夫の定義が分からなくなったんだけど!?」
39: 2015/07/05(日) 18:36:35.34
のあ「……P」
P「あっ、すみませんのあさん。急に大声出しちゃって……」
のあ「いえ、そうではないの。貴方が動くと、貴方の瞳の星を納め難くなるわ」
P「なんでのあさんも同じ事してるんですか!?」
アーニャ「プロデューサーは星を観るとき、とても嬉しそうです。だから目に映る星も、とても綺麗になります」ジー
のあ「星を観る者の心は、目の輝きで伝わるわ。星の様に輝く瞳は、観衆の心をも輝かせる……」ジー
P「いやいや、今は星を観ましょうよ!? と、というか、2人の視線が恥ずかしいんで上の星を観てください……!」
40: 2015/07/05(日) 18:38:30.06
----------
アーニャ「……」
のあ「……感情が、溢れているようね」
アーニャ「ダー。今……いつものプラネタリウムの時と、違う気持ちです」
P「いつもの……ああ、アーニャは休日にも、プラネタリウムを観に行ってるんだったよな」
アーニャ「ダー。メガネをかけて、маскировать……変装して、行きますね。今度みんなで、一緒に行きましょう」
のあ「……ええ」
P「ドームなら行きやすいし、それも良いなぁ。……ああ、それでアーニャ、いつもと違う気持ちってどういう……?」
41: 2015/07/05(日) 18:39:50.03
アーニャ「アー、1人で観る星と、3人で観る星……どちらも楽しいけど、同じ楽しい気持ちとは、違いました」
アーニャ「プロデューサーが居て、のあが居て……3人で星を観る楽しさ、1人では、知れなかったです」
アーニャ「だから……スパシーバ、プロデューサー、のあ」
P「……そっか。なら、こっちも同じ気持ちだから、アーニャにもありがとうって伝えないとな」
のあ「……そうね」
アーニャ「アー、気持ちが通じ合うと、嬉しいですね♪ 今も――」
P「それじゃあ、今度はもっと大人数で星を観に行こうか? 他のプロデューサーさんに連絡すれば、きっとアイドルみんなも……」
アーニャ「…………」
P「……アーニャ?」
アーニャ「…………プロデューサー、優しいけど、分かってないです」プクー
P「えっ」
のあ「……惜しかった、とだけ伝えておくわ」
P「えっ、えっ!? そ、そういうことじゃなかったのか……あっれぇ……?」
42: 2015/07/05(日) 18:40:42.47
----------
P「えーと、あの星が……」
アーニャ「ダー、うさぎ座、ですね」
P「お、早いなアーニャ。俺、未だに有名どころ以外の星って直ぐに出て来ないなー……」
アーニャ「ふふ、ではプロデューサーくん、問題です。うさぎ座の下にあるあの星は、何でしょうか?」
P「あれか? えーと、ちょっと待って見覚えが………………あっ! あれだ、はと座……だよな?」
アーニャ「ハラショー、正解です! よく、知っていましたね?」
P「ああ、ノアの方舟にちなんだ星座だって、前にどこかで聞いて記憶に残っててさ」
のあ「……」
43: 2015/07/05(日) 18:41:26.38
アーニャ「ダー、その通りです。ということは、周りの星も、分かりますか?」
P「おう、周りの星もお話に出てくる物になってるんだったよな。確か……とも座、らしんばん座、ほ座、りゅうこつ座……舟のパーツなんだっけ」
のあ「……それらを総称し、アルゴ座とも呼ばれていたわ」
P「ほほー、そうなんですか? のあさんも星座、詳しそうですね」
のあ「各々の想像に……委ねるわ」
44: 2015/07/05(日) 18:42:31.86
アーニャ「アー、それならプロデューサー、のあ。今日はたくさん星、覚えましょう?」
P「お、それ良さそうだな。日本の星は全部プラネタリウムに入ってるし……」
のあ「屋内は常温……身体に気を削ぐ必要も無い。……合理的ね」
アーニャ「ふふっ。では、ウチーニッツァ……アーニャ先生のウローク、授業を始めます。ふたりとも、良いですか?」
P「はーい」 のあ「……ええ」
アーニャ「良いお返事です♪ では、今の空から始めましょう。まず、あの星は――」
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45: 2015/07/05(日) 18:43:57.54
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P(アーニャのレッスンも一通り終わって、ゆっくり星を観ていようという事になってから……どのくらい経っただろうか)
P(ふむ、そろそろお開きかな。ええと、今の時間は……)モゾ
…ポフンッ
P(っ、腿に何か……?)
のあ「……?」
アーニャ「スー……スー……」
P「……アーニャ?」
アーニャ「クゥ……」
のあ「……寝てしまったのね」
P「みたい、ですね。夜目で見る限り、俺の腿を枕にしてるようで……」
アーニャ「ン……プロデュ……ニャフ……」モゾモゾ
46: 2015/07/05(日) 18:44:49.30
P「アーニャも寝ちゃいましたし……そろそろお開きですかね。のあさんは、どうされますか?」
のあ「……もう暫し、この星々を観ていたい」
P「お……のあさんも、気に入ってくれたんですか?」
のあ「……貴方が、思う通りよ」
P「それなら、ありがとうございます、ですね。じゃあ、アーニャにブランケットかけて、と……」
のあ「ブランケットは……貴方にも、必要?」
P「いえ、大丈夫ですよ。では、プラネタリウムのタイマーをセットしますねー」ポチポチ
のあ「ええ」
アーニャ「スゥ……スゥ……」
47: 2015/07/05(日) 18:45:54.40
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のあ「……」
P「……」
のあ「……」
P「……」
のあ「……」
P「……こうして見ると、模倣の星も悪くないって思いませんか?」
のあ「……ええ。真の星と異なる輝きであれど……英知の輝きは、趣を見せるわ」
P「実際こんなに光ってないだろーって星もくっきり光らせているので、普段とは違う楽しみがありますよね」
48: 2015/07/05(日) 18:47:01.26
のあ「……」
P「……」
のあ「……」
P「……」
のあ「……」
P「……のあさんは、星を観るときって何か考えたりしてます?」
のあ「……時と場合に因るわ。星に想いを馳せる事、無の心で眼に星の輝きを納める事もある」
P「へぇ、星に想いを……。俺、ただただ綺麗だなぁとしか思ったこと無かったかも……うーむ」
のあ「どの様に星を観るかは、個々の自由よ。そこに隔たりなど、存在しないわ」
49: 2015/07/05(日) 18:47:57.58
P「……」
のあ「……」
P「……」
のあ「……」
P「……」
のあ「……星を観るときは、常に1人だった」
P「……え?」
50: 2015/07/05(日) 18:53:25.57
のあ「孤独であり、孤高であり……その己の立場が、星に届く術と認識していた」
P「っ、それは――」
のあ「ええ、それは誤りだったわ。貴方たちとの過程を通じて、私は変化を起こしたの」
のあ「独りでは届かぬ輝きがある。その事実は、代えがたい大きなエッセンスであり……私の糧となった」
のあ「――貴方の、貴方たちの、功績よ」
P「…………いえ。のあさんも合わせて、3人の功績ですよ」
のあ「……そう、願うわ」
P「それ、アーニャにも伝えてあげてくださいね。きっと、凄く喜んでくれますから」
のあ「……ええ。…………」ナデリ
アーニャ「クゥ……ンン……」
のあ「……」
51: 2015/07/05(日) 18:57:43.82
のあ「……以前から、疑問を抱いていたのだけれど、いいかしら」
P「? なんですか?」
のあ「貴方、彼女を初めはアナスタシア、後にアーニャと呼称を変化させていたわね」
P「そう、ですね。ニックネームで呼んで欲しいと言われたので、そうしてますけども」
のあ「……呼称の切っ掛けに、年齢という隔たりは関係している?」
P「んー、俺はあまりそういうのは気にしてないですよ。相手が望むのなら、といった感じで」
のあ「そう。…………それならば、私の人称も呼び捨てで構わないわ」
P「えっ」
のあ「加えて、態度も改めて頂戴。つまりは、私に対しての敬語は不要よ」
P「ええっ!?」
52: 2015/07/05(日) 20:21:17.78
のあ「……相手が望むのなら、応えてくれるのでしょう?」
P「は、はい。のあさんが望まれるんでしたら、できる限り……応えたいんですけど」
のあ「貴方と彼女のように、相応の立場に私は……成り得ない?」
P「っ、それは違いますって! ただ、ずっとのあさん呼びだった事もあって、自分がとんでもなく照れるだけで……」
のあ「……P」
P「?」
53: 2015/07/05(日) 20:26:07.01
のあ「……私が貴方を嘲笑することは、偶然にも起こりえないわ」
のあ「この場を共有し得るのは、今は私と貴方だけ。貴方の言葉は……誰とも言わず私にのみ届く」
のあ「それでも貴方は……己が言葉に羞恥を抱くのかしら」
P「あ……」
のあ「……話が長くなってしまったわ。簡潔に言うなれば……私は、貴方の言葉を欲しているの」
のあ「貴方の言葉を引き出す義務を持つ、アイドルとしてではなく……1人の、人間として」
P「……」
54: 2015/07/05(日) 20:32:56.16
P「……そう、ですね。今はアーニャも寝ちゃってますし、俺の声が届くのはのあさんだけ」
のあ「……ええ」
P「うん、そりゃそうだよな…………分かりました。きちんと応えようと、思います」グッ
のあ「……」ジッ
P「のあさん、じゃなくて………よし………コホンッ!」
P「――のあ」
のあ「……」
55: 2015/07/05(日) 20:34:14.09
P「……」
のあ「……」
P「……」
のあ「……」
P「……」
のあ「……」
P「……あ、あの、反応無いと、やっぱり恥ずかしさが出て来ちゃうんですけどっ……!」
56: 2015/07/05(日) 20:36:57.86
のあ「……もう一度」
P「へ?」
のあ「もう一度、口にして貰えるかしら」
P「は、はい。ええと…………のあ?」
のあ「……」コクン
のあ「……そう、それで良い。……それを、求めていたの」ニコ
P「あ……!」
のあ「……無理強いはしないわ。今後は、貴方の時宜に見合う時、言葉にして頂戴」
P「……え、良いんですか?」
のあ「敬語が抜けていない辺り……やはり、慣れが必要なのでしょう?」
P「あ"っ!? そ、そうだったすみませ――」
カチッ シュゥゥゥゥゥン――
57: 2015/07/05(日) 20:38:02.82
P「っと? あ、プラネタリウムが消えて……もう、そんな時間か」
のあ「……今度こそ、お開きのようね」
P「んー、最後はあまり観られてなかったですし、もう少し動かしますか?」
のあ「模倣の星以上に、得られる物があった……今宵は、それで十分よ」
P「……す、少しずつ、敬語を無くしていけるよう……頑張るよ」
のあ「……心から、待ち望むわ」
58: 2015/07/05(日) 20:40:04.94
P「さて、と。それじゃあ、寮の管理人さんに連絡を……」
のあ「……何の連絡?」
P「ああ、アーニャの送迎です。寮の車庫を開けて貰おうかと……」
アーニャ「クゥ……クゥ……」
のあ「……彼女、今宵は共に宿泊すると言っていたのだけれど」
P「は!? えっ、それ本当…………のこと言ってる顔、ですね」
のあ「……」
P「もしかして、アーニャの荷物がやけに大きかったのって……」
のあ「……真実は、眠れる彼女のみぞ知るわ」
P「あー、聞くまでも無さそ…………ん?」
のあ「?」
59: 2015/07/05(日) 20:44:48.23
P「……あの、もしかしてですけど、『今宵は共に』ってことは……のあ、も?」
のあ「……」コクン
P「Oh……あー……寝室のベッドの横に布団を1式用意するので、2人は寝室の方で……」
のあ「ベッドが大きいと、夕餉の前に聞いたわ。……3人で使えば良いでしょう?」
P「ブフッ!? さ、さすがにそれはしませんよ!?」
のあ「? 以前の天体観測の際、星を観るために3人で大地へ寝そべた事……記憶に無い?」
P「し、しましたけど、それとこれは話が違います、違いますからっ!」
のあ「……」
P「んぐっ……そ、そんな顔しても駄目ですからね? だ、駄目です、だから駄目ですって――!」
アーニャ「ニャム……プロデュ……サ……」スピー
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60: 2015/07/05(日) 20:47:12.60
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次の日 早朝・朝食後
アーニャ「わぁ……プロデューサーの私服、とても珍しいです」
のあ「革靴と同様、スーツ姿も長く眼に納めていた故に……目新しい」
P「まぁ、2人も既に着替えてるし、いつまでも寝間着で居るのもはしたないし……ね」
アーニャ「格好いいです、プロデューサー♪」
のあ「……やはり、美的センスを持ち合わせているわ」
P「ほ、褒めても何も出ないからっ! …………ふむ」
61: 2015/07/05(日) 20:49:12.14
アーニャ「? どうしましたか、プロデューサー?」
P「ああいや、俺の家に朝から2人がいるって、信じられないなぁと」
のあ「……現実よ。この休日を経て、ようやく実現した……紛れもない事実」
アーニャ「ダー。のあとプロデューサーと、念願のお泊まり、やっと出来ました」
のあ「機会に恵まれぬ日が続いた……それも、この時の為だったと言えるわ」
P「ああ……アーニャものあも、場所に限らず前々から泊まる気満々だったのか……」
62: 2015/07/05(日) 20:54:27.09
アーニャ「! プロデューサー、今、のあの名前を……?」
のあ「……」
P「あっ、そういや昨日、アーニャは寝ちゃってたもんな……今日、口にするのは初めてだったかも」
アーニャ「昨日……ヤー、気になります。私が寝てしまった後、何がありましたか?」
P「えーと……あの後、少しだけプラネタリウムを観てから、アーニャの呼び方の話になったんですよね?」チラ
のあ「……ええ。その際に、私への敬称と敬語は不要であると伝えた……という事よ」
アーニャ「オー、そんなことが……ンー? でもプロデューサー、敬語、無くなってないですよ?」
P「ウグッ……そうなんだよな。だから、徐々に無くしていこうと思っててさ」
アーニャ「パニャートナ、それは、良いことですね…………あっ♪」ティン
P「アーニャ?」
63: 2015/07/05(日) 20:58:34.69
アーニャ「のあ、のあ。昨日の事、もう話しても良いですか?」クイクイ
のあ「……ええ。貴女に、一任するわ」
P「……昨日の?」
アーニャ「ダー。プロデューサー、聞いてください。敬語を無くすの、とっておきのプランがあります」
P「とっておき、か。確かに、なにかしら練習はしようと思ってたけど……そのプランって?」
のあ「……」
アーニャ「ふふっ、それは――」
アーニャ「――今から、アーニャのおうち、みんなで泊まりに行きましょう♪」ポンッ
P「……へ?」
65: 2015/07/05(日) 21:02:15.63
P「あ、あの、アーニャさん? 何がどうなってそういう結論に……?」
アーニャ「お泊まりすれば、もっと一緒に居られますね? 敬語を無くす練習、一緒に出来ます」ドヤァ
P「割と直接的な理由だった!」
のあ「私たちは、常日頃アイドルとして奔走している……時間は待ってはくれないわ」
アーニャ「きっと練習する時間、多くは取れません。でも、練習しないと、敬語無くすの遅れてしまいます。それは、のあも私も悲しいです」シュン
P「ぬ、ぬぅ……確かに数日後には、仕事でまた忙しくなっちゃうんだよな……」
アーニャ「では、決まりですね? やりました、のあっ♪」グッ
のあ「……」グッ
P「……えっ、決まり!?」
66: 2015/07/05(日) 21:04:00.82
アーニャ「ンー? プロデューサー、おうち行くの、何か問題ですか?」
P「ああいや、我が家に来ちゃってるし、今更行くことに問題は無いけど……今から北海道って、時間とか色々大丈夫なのか……?」
のあ「……航空機のチケットは、既にとっているわ」
P「なんで!? ま、まさか2人とも、今日の予定もばっちり決めてたの!?」
アーニャ「ダー、のあが、一晩でやってくれました」フンス
のあ「時間は止まらない。然れど、作ることは出来るわ。互いの願いが重なるのなら、答えは行動で示すものよ」
P「ふ、2人とも行動力凄いな……俺、何もしてなくて申し訳ない……」
67: 2015/07/05(日) 21:15:01.90
アーニャ「ふふ、大丈夫です。プロデューサーにしか出来ないこと、きちんとあります」トテテッ
P「え?」
のあ「……」キュッ
アーニャ「……♪」ギュッ
P「っ!? ふ、2人とも……!?」
のあ「これが、私たちの望む事。……貴方にしか、出来ない事よ」
アーニャ「『一緒に、居てくれる』……それだけで、私ものあもシャースティエ……幸せ、ですね」
68: 2015/07/05(日) 21:15:56.56
P「あ、あの、これ……出来ることって言うか……」
のあ「……嫌?」キュ
P「いや、むしろ、その……嬉しくて、ドキドキしっぱなしで……」
のあ「……」キュッ
アーニャ「ふふっ……同じ気持ちだと、嬉しくて、ぽかぽかです」
のあ「……ええ」
アーニャ「とっくのとうに、幸せでしたね、プロデューサー♪」
P「し、幸せだけど、心臓が持つ気がしないなこれ……!」
69: 2015/07/05(日) 21:17:41.25
アーニャ「あ……そういえば、プロデューサーという呼び方、おかしいですか?」
P「……え? そうかな?」
のあ「プロデューサーとは役職であり、名前では無い。……この現状で違和感を抱くのも、致し方ないわ」
P「あー、言われてみれば確かに……でも、アーニャが呼びやすいなら何も問題ないぞ?」
アーニャ「ンー、『プロデューサー』は、とても呼びやすいです。でも…………アー、のあ?」
のあ「……なに?」
アーニャ「好きな人のことは、名前で呼ぶのが、一番良いですか?」
のあ「……それは、貴女が決める事よ。貴女の決めた呼称に、間違いは起こり得ないわ」
アーニャ「あ……スパシーバ。では、『プロデューサー』のままにします。ね、プロデューサー♪」ギュッ
P「~~~っ!」
アーニャ「……プロデューサー?」
P「い、今ちょっと顔真っ赤だから、ちょっと待って、待ってぇ……!」カァァァ
70: 2015/07/05(日) 21:27:12.94
のあ「……P。今の段階で照れていては……今日の練習が儘ならなくなってしまうわ」
P「どういうこと!? け、敬語を無くす練習なんですよね? 儘ならなくなるって何、何するの……?」
アーニャ「アー、いつもよりたくさん、一緒に居ますよ?」
のあ「……ええ、共に居るわ」
P「お、おう……そう聞くと、いつもとそんなに変わらない気がするんだけど……?」
71: 2015/07/05(日) 21:29:42.15
のあ「……考察する必要は無いわ。練習と言えど、ただの旅行と差し支えないのだから」
アーニャ「ダー。好きな人と、もっと仲良くなりたい。それだけです」
P「だ、だからドストレート過ぎるんだってば……! でも……まぁ、その……」
アーニャ「シトシト?」
のあ「……何かしら」
P「お、俺も……2人ともっと仲良くなりたいとは、思ってるからさ…………うん」
アーニャ「プロデューサー……!」パァァァ
のあ「……ふふ」
72: 2015/07/05(日) 21:32:53.46
P「うぁ……こ、この話は終わりっ! じゃあ俺は、ぱぱっと1泊分の着替えとか準備してくるっ!」ダッ
アーニャ「プロデューサー、照れてますね? とても、かわいいです♪」
のあ「……ええ」
P「い、言わなくて良いから! そっとしておいて――!」タタタ…
アーニャ「……プロデューサー、私たちのこと、いつも大事に思ってくれてます」
のあ「……故に、貴女は此処に居るのでしょう?」
アーニャ「ダー、いつも一緒に居たいから……アー、私も、照れちゃいますね」
のあ「……無理もないわ」
73: 2015/07/05(日) 21:34:10.81
アーニャ「ふぅ……プロデューサーが、私のおうちに……考えるだけで、ドキドキします」
のあ「……それは、緊張? それとも……」
アーニャ「ニェト、とても楽しみです。いつか、のあのおうちにも、遊びに行きたいですね?」
のあ「差し支えなければ……貴女だけでも、歓迎するのだけれど」
アーニャ「ホント、ですか? スパシーバ、では、よろしくお願いします♪」
74: 2015/07/05(日) 21:35:45.29
のあ「私の家に何があるのか……事前に理解が及んでいれば、貴女も彼を持て成せるわ」
アーニャ「オー、確かにそうです。のあ、やっぱりさすがですね」
のあ「ふっ……貴女も、そして私も。為べき道は違えど……内包する想いは同じ」
アーニャ「あっ……私の言う、『プロデューサー』と同じ、ですか?」
のあ「……ええ」
アーニャ「ふふっ。それなら、これからは敬語が無くなって、もっと仲良くなれますね? 私も、嬉しいです」
のあ「親睦を深めるのは……勿論、貴女ともよ」
アーニャ「ダー♪」
75: 2015/07/05(日) 21:40:39.92
トテテテ…
P「――2人とも、おまたせー……って、なんか嬉しそうだけど、何かあったのか?」
アーニャ「ダー。のあと、これからとても楽しみ、という話をしてました」
のあ「ええ。他愛の無いものだけれど……言葉にする意味があった」
P「ほー、なるほどなるほど……うん、俺もこれから楽しみだし、これからも楽しみだと思ってるよ」
アーニャ「……これから、も?」
のあ「……明くる日も、という事ね」
P「そう、明日も明後日も変わらず、2人と居られるから。そりゃあ、いつも楽しみに思えるわけで……そ、そういうことっ」
アーニャ「ハラショー♪ ヤー、私も、同じです。ザーフトラ……明日も、明後日も、とても楽しみです」ギュッ
のあ「快い感情は、共鳴する数ほど輝きを増す。そうね……私も、同じよ」キュッ
P「……ありがとな。それじゃあ、飛行機の時間もあるだろうし……そろそろ出かけようか!」
76: 2015/07/05(日) 22:02:20.16
アーニャ「ダー♪ プロデューサーと旅行するの、お仕事以外だと初めてですね?」
P「ああ、今までは星を観に行くだけだったからなぁ。今度からは、旅行して天体観測も良さそう……?」
のあ「……妙案ね。プライベートの共有は、私たちの距離をより密接にする……大事なことよ」
アーニャ「ヤー、私も賛成です。3人で旅行すれば、もっともっと仲良くなれます」
P「ふむ、それなら今日の飛行機の中で、次の旅行先も考えておこうか。休みとかは……未定だけど」
のあ「計画は、早期に地盤を固めるが最たる手順……不確定の未来は、確定しうる時に見定めれば良いわ」
アーニャ「ふふっ。まずは3人で、行きたい場所、たくさん話し合いましょう?」
P「ああ、そうだな。いつ頃行けるかはまだ分からないが……それまで、3人で頑張っていこう」
77: 2015/07/05(日) 22:12:21.12
アーニャ「ダー♪ アイドルも、プライベートも、両方ともスタラーッツァ……頑張ります」フンス
のあ「……どちらにも、最善を尽くすわ。それが、私の出来る事……成すべき役割なのだから」
P「うん、楽しみにしてる。俺も、仕事とか……その、敬語の方も、頑張っていくから」
のあ「待遇表現の壁は、既に綻びつつある。……楽しみにしているわ」
アーニャ「ヤー、私も、2人がもっと仲良くなれるよう、たくさんプラン、考えますね」
P「アイドルも、プライベートも。この先の未来がどうなっていくか分からないけど……2人とも、よろしくな」
のあ「……共に行きましょう。たとえ物語の結末が遠かれど……私たちは、立ち止まらずに進めるわ」
アーニャ「大丈夫です、プロデューサー。のあも、私も、ずっと前を見ていられます。……ね、のあ?」
のあ「……ええ、勿論。何故なら……そう、P――」
アーニャ「ダー♪ それは、プロデューサー――」
のあ・アーニャ「「――貴方と、一緒だから」」
お わ り
78: 2015/07/05(日) 22:22:32.35
やっぱりこの2人が好きなので、つい
アーニャとのあさんの台詞は、本家のゲーム内とG4Uの台詞などを参考にさせて頂いております
総選挙でのあさんの人気が衰えていなかったため、ボイス付きも夢じゃないと思い始めました
アニメでアーニャの人気も上がっているようなので、今後アーニャのSSが増えてくれればと思っております
ここまで読んで頂き、ありがとうございました
また機会がありましたら、その際はよろしくお願いします
79: 2015/07/05(日) 23:27:31.63
乙!
81: 2015/07/06(月) 07:51:30.44
乙
引用元: モバP「プラネタリウムを2人と」
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