1: 2013/08/18(日) 10:14:30.24
Previously on Yuigahama Yui



「ひ、ヒッキー以下のクズ!?」

「それ全部ヒッキーのことじゃん!!」

「そうなの?あたしヒッキーの声聞いたら一発でわかるけど…」

「それ、例の詐欺じゃん!」

「ありがとヒッキー大す……と!えと、あの、違う!」

「今日のパンツとか超純白だし!!!超清純派だし!!!!」

「何って?なにもしてないよ?」

「オタワ?(´・ω・`)」

「うん!!……ってそれは無理無理!それ、ちょっとエOチな写真じゃん!」

「サブレェ~!?どこ~!?」

「なにそれ!イヤホン一つに2万円も使ったっていうの!?ヒッキー信じらんない!!」

「ねぇまんじゅうこわいってなんなの!?」

「ニコラス刑事」

「あたしをあんまり馬鹿にするのはイカンのイだよ!!」

「わんわん!!」

「あ、ひ、ヒッキー?お、お代わりは?」

「げっきょくって大きい会社なの?」

「お互いに裏切らないこと!!」

「ふ、二人…乗り…」




「「馬鹿にしすぎだからぁ!」」




前スレ:由比ケ浜結衣「馬鹿にしすぎだからぁ!」
の続き。
といっても短編集なので、つながりは会話の端々に前回ネタが入ったりするかもしれない、といった程度です。

基本的にヒッキーとゆきのんが結衣を弄ったり、八幡が結衣に捻デレたりする話。川…なんとかさんは多分あんまでない。大志はでる。
当SSにはいじめは存在せず、基本的にいじり、ネタです。いじめなど当校には絶対に存在しない。

12: 2013/08/18(日) 12:55:04.15
「きくらげ」












結衣「ねぇねぇ、クラゲって美味しいよね!ぐにぐにってするっていうか、むにむにっていうか」

雪乃「それは味ではなくて食感の話でしょう?けれど確かに独特よね。中華風のサラダなどに使われていることがよくあるけれど、私も嫌いではないわ」

結衣「でしょでしょ!!でもサラダとかにも入れるんだー。ラーメンだけかと思ったー」

雪乃「クラゲをラーメンに、かしら。私はあまりラーメンを食べないからか、聞いたことないのだけれど」

八幡「クラゲはラーメンには入れないだろ。俺も聞いた事ねえぞ」

結衣「そうなの?この前家族で行ったラーメン屋さんでは入ってたけど?」

八幡「はぁん。なにその変わったラーメン屋。やっぱ由比ヶ浜一家なだけあって変わった店にいくのな」

結衣「どういう意味だぁ!!」

八幡「しかし、ラーメンねぇ。ああ、ラーメンって言えばさ。一蘭ってボッチに優しいと思わないか?」

結衣「いちらん?」

雪乃「私はラーメンを食べること自体がほとんどないから、そう聞かれてもよくわからないのだけれど」

八幡「えーと…ほらこれだ」

結衣「えー…?」

雪乃「これは…養鶏場か、何かなのかしら」

八幡「おい、誰もが思ってるが口に出さないことを平気で言うんじゃねえよ。というかこの店で出してるのは豚骨ラーメンだからな。養鶏場というよりはむしろ養豚場だ」

雪乃「まったくうまい事は言えていないし、フォローにもなってもいないと思うのだけれど」

結衣「でも、これじゃ友達とか一緒に行ってもつまんなそうー」

八幡「そらつまんないだろ。2人で行ってもはじめから全然違う席に案内されたりするしな」

結衣「えー!?なにそれ超つまんない!」

八幡「いいんだよ。だからボッチに優しいんじゃねえか。それに味はいいんだぞ。むしろ味に自信があるからこういう勝負の仕方ができる、とも言える」

結衣「えー…?あ!でも!あたしが行ったラーメン屋さんもこういうのだったよ」

八幡「は!?一蘭システムぱくってんの?それは由々しき事態だろ。店の住所教えろよ。中州の本店に報告するから」

13: 2013/08/18(日) 12:57:20.01
結衣「ちがくて!こーいう、白いスープのとんこつらーめん?ってやつ」

八幡「あん?豚骨ラーメンでクラゲ?」

結衣「うん!!」

八幡「確認するけど、それはぐにぐにでむにむにした食感なんだよな?」

結衣「そうだよ!でも食べてたらプチンて切れるの!」

八幡「もしかしてそれ黒いのか?」

結衣「うん!そうそう!」

雪乃「あぁ…」

八幡「なるほど、な」

結衣「あ、あれ?」

雪乃「由比ヶ浜さん。それはもしかしてキクラゲではないかしら」

結衣「あ!そうそう!パパが自分のをお箸でつまんで『いいか結衣。これはキクラゲって言うんだぞ』とか言ってた!超キモかった!」

八幡「お前、そんな元気よくキモいとか言うなよ…。なぜか俺までダメージ受けちゃうだろ」

雪乃「由比ヶ浜さん。そもそもキクラゲというのは、キノコであって、クラゲではないの」

結衣「え!?そうなの!?」

雪乃「ええ、キクラゲ…これは元々は広葉樹の倒木などに生えるゼラチン質の多いキノコなのだけれど、乾燥させると縮んでクラゲのような、あの食感が生まれるの」

結衣「そ、そうなんだ…」

八幡「ちなみにキクラゲって言うのはラテン語のKicrageが語源だな。発音的にはキックッラーゲが正しい」

結衣「キックッラーゲ…」

雪乃「比企谷くん…だからそういうことを言うと彼女は本気にしてしまいかねないからやめなさい、と言っているでしょう?」

結衣「え!?嘘だったの!?ヒッキー信じらんない!」

八幡「いや、今の流れで信じんなよ…」

雪乃「ラテン語ということならば、学名は耳介を意味するAuriculaが学名の由来になっているわね。そもそもキクラゲは漢字でも木に耳と書くのだけれど、これもやはり木についている姿が耳のように見えるから、ということらしいわ」

八幡「さっすがユキペディアさん」

結衣「そ、そうなんだ、キノコなんだ…クラゲじゃないんだ…」

雪乃「ええ、けれど、今回はすごいわ由比ヶ浜さん。刺胞動物と菌糸類というところで根本的に間違ってはいるけれど、食べるものという点は当たっているから、普段と違って共通点があるわ」

結衣「う!」

八幡「まぁ、名前も似てるしな」

結衣「うう!」

雪乃「そう。そうよ由比ヶ浜さん。そもそもキクラゲという名前は、クラゲの食感を意識してつけられたのだから。食べたあなたが勘違いしても無理からぬ事だわ。木という言葉に考えが至らないのはどうかと思うけれど」

結衣「うわーん!!ゆきのんそれ!絶対フォローしてないでしょ!!遠回しにえぐりに来てるでしょ!!」

雪乃「あら。どうしてわかったの?あまり遠回しではないと思うけれど。よく気づいたわね、由比ヶ浜さん。勘がまた少し鋭くなってみたいで嬉しいわ」

結衣「うわーん!ゆきのんひどい!ていうか二人ともひどい!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

17: 2013/08/18(日) 14:50:11.32
「だーれだ」












結衣「あ、ヒッキーだ」

八幡「………」

結衣「なんか…キョロキョロしてる…」

八幡「………」

結衣「……あ、そーだ」ソー

八幡「………」

結衣「………」ソー

八幡「ああ、ここか」ヒョイ

結衣「だーれだ!」ガバッ

八幡「………」

結衣「………」

八幡「おまえさ…何してんの?」

結衣「ひ、ヒッキーこそ…」

八幡「いや、俺は小銭落としたから拾ってたんだよ…」

結衣「そ、そっかー。大変だね」

八幡「まぁな…」

結衣「………」

八幡「いや、お前さ…。後ろから俺の首に手ぇ巻き付けて何がしたいわけ?」

結衣「え?あー…。えー、そ、その、ば、バックアップ?と、とりゃー…なんちゃって…」

八幡「お前さ…バックドロップって言いたいの?持ち上がるわけねえだろ…ていうか、い、いいから早く離れろよ…」

結衣「あ、あ!ああ!ご、ご、ご、ごめん!!」

八幡「お、おう…」

18: 2013/08/18(日) 14:50:58.06

結衣「………」

八幡「………」ポリポリ

結衣「あのs-」

平塚「比企谷」

八幡「げ。平塚先生…!」

結衣「あ…」

平塚「いやぁ~、いいご身分だなぁ。比企谷?私の呼び出しを無視してこんなところで逢い引きかね?」

八幡「い、いや、先生あのですね」

結衣「あ、あ、せ、せ、先生!そ、そ、そんなんじゃないです!!」

平塚「君は黙っていたまえ、由比ケ浜。私はこの男に説教をしているんだ」

結衣「は、はい…」

八幡「い、いや、あのですね…。俺はただ、こ、小銭を拾おうとしただけで!!」

平塚「ほう?ただの小銭拾いが、どうしたらあすなろ抱きになるのか発展するのか、非常に興味深いところだな。いいだろう、その話は職員室でじっくり聞いてやろう。じゃあ、すまんが由比ケ浜、この男は少し借りて行くぞ」

結衣「あ、あ、あたしのじゃないですしっ!!ど、どうぞご自由にっ!!」

八幡「おい!!っていうか先生!!痛い!耳を引っ張らないで!!痛い!!お願い!ちぎれちゃう!ちぎれちゃう!!」

結衣「………」

結衣「………」

結衣「あすなろ抱きってなんだろ…」カチカチ

結衣「………」カァ

結衣「そ、そっか…こ、こういうの…。で、でも出来れば逆が良かった…かも…」

19: 2013/08/18(日) 14:55:18.84
>>3
いじめはあろうがなかろうが、当校として一切認識していない。よって当校にはいじめは存在しない
>>14
うるせぇ、義父さんなんて呼んでんじゃねえぞ。肩なんてもまなくていいから、すぐに外にでて全力疾走して煩悩を吹き飛ばしてこい!!熱中症?知るか!

みんなネタ提供ありがとう!

28: 2013/08/18(日) 19:12:20.62
「りーでぃんぐ」








結衣「ヒッキーってさ、ジャンプしろ!!って言われたことある?」

八幡「あ?何言ってんのお前」

結衣「いやさー、よく漫画とかで『どうせ金もってんだろ!ちょっとジャンプしてみろよ!』とかあるじゃん?」

八幡「そんなの、最近あるか?いつの時代の人間なの?お前」

結衣「え~?ないかなぁ。でもヒッキーだったらそういう経験ありそうじゃない?」

八幡「お前何言ってんの?そもそも俺はカツアゲされたこととかねえんだよ」

結衣「ええ?そうなの?よくされてそうじゃない?」

八幡「お前さぁ…今の言葉、お前から聞いた言葉の中でも史上最低レベルだぞ…」

結衣「あぁ、ごめん!ついつい。あ!でもあれだ!じゃあヒッキー意外と周りからは強そうに見られてるんじゃん?」

八幡「いや、俺の場合、そもそもカツアゲをするような連中に、存在が認識されないからな。カツアゲの対象にならないんだよ」

結衣「うあーん!!理由が悲しい!!」

八幡「泣きたいのは俺のほうなんだけどー?」

結衣「あ、ていうかさ。あれはどうしてジャンプさせるの?」

八幡「お前知らずに色々言ってたの?あれはほら、小銭持ってたら音がするだろ?それを確かめるためにジャンプさせんだよ」

結衣「小銭?なんで小銭?お札とればよくない?」

八幡「お前、さらっと怖い事いうなよ…。あれだろ、札とった上で小銭まで巻き上げてんじゃねぇの?不良の、しかもフィクションの世界の住人の考えなんて、俺にわかるわけねぇだろ」

結衣「んー、でもさ、ヒッキーって人の考えとか読めそうじゃない?」

八幡「は?何言ってんの?」

結衣「いやー、だってさ。ヒッキーって時々あたしが言う前に言おうとしてること当てたりするじゃん?時々びっくりすることがあるんだけど」

八幡「あぁ…まぁ、あれだ。あれは一種のコールドリーディングみたいなもんなんだよ」

結衣「コールド…なに?」

八幡「コールドリーディング。人の動作を観察したり、何気ない会話をしながら相手から情報を引き出すテクニックのことだ」

結衣「どういうこと?」

八幡「あー、例えばだな。お前が休みの日に千葉に出かけたとすんだろ?」

結衣「うん」

八幡「そしたら駅前には手相占い師が居て、アホなお前は見てもらおうとか考えるんだ」

結衣「ちょっと!!まぁでもしちゃうかもだけど…」

八幡「そしたら占い師はお前の手相を見て、開口一番こう言う『う~ん、君…は総武高の生徒じゃないよねぇ?』」

結衣「総武高の生徒だし!失礼だし!」

八幡「いや、それは俺が言ったと思うからだろ?初対面の人に言われたと考えたら、お前なんて答える?」

結衣「え、う~ん。なんでわかるんですか?とかかなぁ」

八幡「そしたら占い師はこういう『やっぱりね!君の手相は、そう言った進学校で実力を発揮できる人間のものだ!』とかな」

結衣「ええ~?そうかなぁ…えへへ。ヒッキーがそんなこと言うなんて珍しいね」

八幡「だから俺の言葉じゃないってつってんだろ。で、占い師はこう続ける。『うーん、しかしこれはなんだろうな。君の記憶が流れこんできているんだが…なにか動物を怖がっているような…心当たりはないかな?』」

結衣「あ…猫がちょっと苦手です。あ!!でもちょっとだけだから!そんなでもないよ!?」

八幡「いや、俺はわかってるから安心しろよ。でまぁ、そういうのがこれからも続くわけだけど、もしこんな風に初対面の占い師に話されたらお前どう思う?」

29: 2013/08/18(日) 19:13:28.89
結衣「えー?それはちょっとすごくない?だってあたしは総武なことも、猫嫌いなことも当ててしまってるわけじゃん?でもそれはヒッキーがあたしのこと知ってるから、できるんでしょ?」

八幡「いや、そうでもない。まず最初の『総武高じゃないよねぇ?』これはただの当てずっぽうだ」

結衣「ええ!?」

八幡「まずな。お前の年齢くらいは顔とか服装を見れば予想が付く、あとは千葉駅あたりに遊びに来そうな高校でお前が通ってそうな高校を当てずっぽうで言うんだよ。あぁ、だから実際には総武じゃなくて、もっと別の馬鹿高の名前が上がる可能性が高いけどな」

結衣「ちょっと、ヒッキー!?」

八幡「まぁこれは勘だから当たれば万々歳、もしお前が別の学校の生徒だったとしてもそん時は『やっぱりね。総武高の生徒は何人も見た事があるんだが、君のようなクリエイティブな手相を持った人がいないんだ。もしかしたら何か作ったりしてるんじゃないかい?』そしたらお前は『ポエムです』って答えるだろ?」

結衣「ヒッキー!?その話は!」

八幡「いや、俺たちしかいないんだからいいだろ」

結衣「ああ、まぁ、そっか」

八幡「そもそも『総武高じゃないよねぇ?』って否定の疑問系で質問してるだろ?だから、この答えには相手…この場合はお前だな、が肯定しても否定してもどっちでもいいんだ。もちろん当たるにこした事はないけど、外れてもうまくごまかして70点くらいは稼げる問題ってことだ」

結衣「はー、なるほどね。あれ、じゃあ猫の事はどうなるの?」

八幡「ありゃ、ただお前が自分で喋っただけだ」

結衣「え?」

八幡「いや、占い師は『何か動物を怖がっているような…、何か心あたりはないかい?』っつっただけで猫なんて一言も言ってないだろ?」

結衣「ああ!!ほんとだ!!」

八幡「人間だれしも、すべての動物が得意なわけじゃないしな。犬に追われた記憶があるとか、ハムスターに齧られたとかな。反応が悪けりゃ、怖がっているを嫌な記憶がある、とかに言い換えたり、動物を生き物にして虫とかまで範囲にいれちまうとかな。そうすりゃどこかしら引っかかったりするもんだよ」

結衣「はぁ~」

八幡「ようするにこの時点で占い師は手相なんてなんざ見てねぇの。お前の行動を観察して答えを導きだしたり、誘導して自分から答えを言わせたり、してるだけでな。試しに一度占い師の前で無言でいてみろ。ほとんどの占い師は適当なことを行ってまったくあたらないか、情報を引き出すために躍起になるはずだぞ」

結衣「じゃあある種のコールドリーディングって言ったのは」

八幡「あぁ、俺はお前のことそれなりに知ってるから純然たるコールドリーディングじゃない。いわゆるあらかじめ相手の情報を調べておくホットリーディングってのを組み合わせてるようなもんだな。例えばお前の場合、変な冗談とか言おうとするときって耳たぶをさわったり、目が泳いだりするんだよ。そういうの観察してりゃ、大体想像がつくの。別に特殊能力とかじゃねえんだよ」

結衣「ふーん、観察してるんだ」

八幡「いや、まて。してない。今の無し。忘れろ」

結衣「いや、いいよ?だってあたしもよくヒッキーのこと見てるもん」

八幡「そ、そうか…」

結衣「うん、へへ…」

八幡「………」ポリポリ

30: 2013/08/18(日) 19:14:17.95
結衣「あ、でもさ。なんでヒッキーそんなの詳しいの?」

八幡「あー…」

結衣「どしたの?」

八幡「いや、ほら、あれだ。中学ん時、一時期そういうこと出来ればモテるかなっつって思って、本読んだり、小町相手に練習したりしてたんだよ」

結衣「えぇ?なにそれ!?…それ…うまくいったの?」

八幡「リーディング自体はな…」

結衣「どういうこと?」

八幡「いや、クラスの女子とたまたま話す機会があって、そん時にためしたんだけどな。もう誘導したり、観察したりでバシバシ言い当てたんだけど、気づいたらもう相手はどん引きだよ。あれはもう完全にストーカーを見る目だったな」

結衣「あぁー…悲しいー…」

八幡「まぁでも、一度つけた癖ってのはなかなか抜けなくてな。今現在の俺の趣味、人間観察に生かされてるというわけだ。はっはっはっは」

結衣「笑い声がせつない!!」

八幡「はっはっはっは」

結衣「あ、でもさヒッキー?」

八幡「あん?」

結衣「ヒッキーがあたしのこと言い当ててくれる時ってさ、びっくりはするけど、あたしは結構嬉しいよ?ヒッキーがあたしのこと理解してくれてるんだなーって思うの」

八幡「そ、そうか?」ポリポリ

結衣「あ、それそれ」

八幡「なんだよ」

結衣「ヒッキーってさ、なんか照れた時。時々、そうやってほっぺたのとこぽりぽりってする癖があるよね!」

八幡「なんだよ、人のこと観察すんなよ。やめろよ」

結衣「だって、ヒッキーだってあたしのこと観察してるんでしょ?おあいこじゃん!」

八幡「いや、まぁお前…そうなんだけどさ…」

結衣「へへ…。あ、そうだ!」

八幡「なんだよ」

結衣「ヒッキー、あたしが今考えてることわかる?」

八幡「だからお前超能力じゃないだから、無理だって」

結衣「いいじゃん、いいじゃん!ちょっと試してみるだけじゃん!あたしもやってみるから!」

八幡「えー?」

結衣「はい、スタート!」ジー

八幡「………」ジー

結衣「………」ジー

八幡「………」ジー

結衣「………」ジー

八幡「いや…お前さ!表情も変わらないのにわかるわけないだろ?常識で考えろよ」ポリポリ

結衣「んー…そうだね。あたしもわかんなかったよ。…ちょっとしか。へへ……」

42: 2013/08/18(日) 22:12:19.70
「ひてんみつるぎ」













八幡「おー。晴れたな」

八幡「うむ、雨が上がるとテンションもあがるな!」

八幡「愛刀アンブレード!!」ジャキーン

八幡「ふはは、ふははははは!」ブンブン

八幡「よし!あれいくか!飛天御剣流いくか!!」

八幡「九頭龍閃!!九頭龍閃!!弐までしかいかないけど、九頭龍閃!!」ブン!ブン!

八幡「よし!あれいくか!奥義いくか!!」

結衣「………」

八幡「天翔龍閃!!あ、あれは左足の踏み込み!?超神速のばっとうじゅ……」ブンブ…

結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「あの…」

結衣「ヒッキー?」

八幡「はい…」

結衣「そこ、ベンチ」

八幡「はい…」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「あの…いつから…」

結衣「アンブレードのあたりから」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「ヒッキー?」

八幡「…はい」

結衣「何してたの?」

八幡「その…傘を…剣に…」

結衣「何してたの?」

八幡「飛天御剣流です」

結衣「飛天御剣流?」

八幡「はい…」

44: 2013/08/18(日) 22:13:49.68
結衣「飛天御剣流ってなにかな?」

八幡「………」

結衣「ヒッキー?」

八幡「漫画の技です」

結衣「そう…」

八幡「はい…」

結衣「ヒッキー、こういうの卒業したって言ってなかったっけ?」

八幡「………」

結衣「ヒッキー?」

八幡「はい…」

結衣「はい、じゃないよ」

八幡「今も…時々やります」

結衣「時々?」

八幡「はい…雨上がりとか…テンション上がるので…」

結衣「そう…」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「いや、いいじゃねえか!傘で遊ぶくらい!誰に迷惑をかけたわけー」

結衣「ヒッキー?」

八幡「はい…」

結衣「座って」

八幡「はい…」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「ヒッキーいくつになったんだっけ?」

八幡「17歳です…」

結衣「そうだよね、17歳だよね」

八幡「はい…」

結衣「17歳で飛天御剣流って普通なのかな?」

八幡「いえ、るろうに剣心はもう少し上の世代の漫画なー」

結衣「ヒッキー?」

八幡「はい…」

結衣「どうなの?」

八幡「いいえ…」

結衣「普通じゃないんだ?」

八幡「はい…」

結衣「そう…」

45: 2013/08/18(日) 22:14:33.89

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「どうして…」

八幡「………」

結衣「どうして、こんなところでしていたのかな?」

八幡「誰も見ていないと思ったので…」

結衣「ここ住宅街だよ?土曜日だよ?誰も見ていないわけないでしょ?」

八幡「はい…」

結衣「ヒッキー普段はそういうこと気をつけろって、よく言うよね?」

八幡「はい…」

結衣「でも、自分はやっちゃったんだ」

八幡「はい…」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「じゃあ、とりあえず小町ちゃんに」

八幡「それだけは勘弁してください」

結衣「いやなの?」

八幡「はい、お願いします」

結衣「そう…」

八幡「………」

46: 2013/08/18(日) 22:15:37.48
結衣「じゃあどうするの?」

八幡「レポートを書きます」

結衣「レポート?」

八幡「はい…」

結衣「でも、反省文なんて馬鹿なあたしが見てもしょうがないんじゃないの?」

八幡「………」

結衣「平塚先生に見てもらう?」

八幡「いいえ…」

結衣「じゃあ、ゆきのんに見てもらう?」

八幡「それだけは…」

結衣「じゃあ、あたしでいいの?」

八幡「はい…」

結衣「いいんだ」

八幡「はい、お願いします…」

結衣「じゃあ、明日までね」

八幡「でも明日は日曜日じゃ…」

結衣「反省文、学校に持って行くの?」

八幡「いえ…」

結衣「じゃあ、明日でいいの?」

八幡「はい…」

結衣「じゃあ、明日ね。詳しいことはメールするから」

八幡「はい…」

結衣「じゃあ、今日はもう帰っていいよ?」

八幡「はい…失礼します」

結衣「車に気をつけてね?ばいばい」

八幡「はい…さようなら…」

八幡「…………」

八幡「えー……?」

50: 2013/08/19(月) 00:29:46.71
「ゆとり」










結衣「ねぇねぇ!あたしたちってさ『ゆとり世代』なの?」

雪乃「そうね。ゆとり世代という概念に、どれが正解という考えがなくて諸説あるという状態だから、はっきりとしたことは言えないのだけれど。小中学校時代に旧学習指導要領による教育を受けてきた世代をゆとり世代と呼ぶのならば、私たちの年代はゆとり世代と呼ばれる世代に該当することになるわ」

結衣「ふんふん、そうなんだ!」

雪乃「けれど、ゆとり世代を、高校まで一貫してそうしたカリキュラムで学んできた学生たちだとすると、私たちはそれに該当しないということになるわね」

結衣「え!?そうなの?」

八幡「たしか新学習指導要領になったのって、去年からだったよな?」

雪乃「ええ。正確に言うと全国的には昨年度から理数系科目が変更、今年度から全科目の適用ということのなるのだけれど」

八幡「あー、そうだそうだ。俺たちは、例外措置だったんじゃなかったか?」

雪乃「ええ、まぁ、例外措置と言うか。総武のような進学校ではよくあることのようなのだけれど、私達の年代は途中で学習指導要領が切り替わることが確定していたから、既に去年の入学時点で新学習指導要領に基づいたカリキュラムになっているのよ」

結衣「つまりどういうこと?」

雪乃「世間的には私たちの年代はちょうど移行期間の学生ということになるのだけれど、学習内容だけで考えれば、私たちは完全に脱ゆとり世代ということになるわね」

結衣「あ、じゃあ!あたしは『ゆとり世代』って呼ばれることはないんだ?」

八幡「なにを言ってんだ。世代がどうとか関係なく、お前はいつでもどこでもゆとってるようなもんじゃねえか」

結衣「どういう意味だぁ!!」

雪乃「………」

結衣「あれ!?ゆきのんどうしたの?」

雪乃「いえ、『ゆとり世代』という言葉は実際には、受けた教育方針云々ではなく、常識を知らない言動や一般的な常識も知らないような人間に対して侮蔑的な意味合いを込めて使われることが多いものだから…そのちょうど移行期間にあたる私たちの世代は一概にそうは言い切れない、と思ったものだから」

結衣「どういうこと?」

雪乃「端的に言えば、私が『ゆとり世代』と呼ばれることはないけれど、一般常識レベルの知識のない由比ヶ浜さんや、常識はずれの言動をとる比企谷くんは『ゆとり世代』と呼ばれる可能性はある、ということね」

結衣「端的すぎるっ!!」

八幡「自慢と罵倒をさらりと同時に行うなんて、相変わらず器用だなお前は」

結衣「変なところに感心してる!」

八幡「もう、あれだわ。由比ヶ浜、こうなったら、雪ノ下とフュージョンさせてもらえよ。そうすりゃ、頭とかあそことかお互いカバーしあえてお得だろ」

結衣「ふゅーじょん?なにそれ?」

八幡「ああ、ドラゴンボールくらいは知ってんだろ?あれに出てくる同じくらいのパワーの奴が合体して一人になるっていう必殺技だ」

雪乃「比企谷くん、あなたは何を言っているの。そんなことあり得ないでしょう。非現実的にもほどがあるわ」

結衣「そうだよ!合体なんてありえないし!ヒッキー何言っちゃってるの!?」

雪乃「いえ、そういうことではなくて由比ヶ浜さんと私の能力が同程度になるなどありえない、という意味よ」

結衣「ゆきのんひどい!!つっこむところそこじゃないでしょ!?馬鹿にしすぎだからぁ!!」


61: 2013/08/19(月) 11:56:44.14
ごめんな小町、じゃなくてみんな
なんかお兄ちゃん入院になっちゃった。えへへ。

え?ていうかただの検査じゃなかったんですか?嘘やだ、なにこの展開。
やめてくんない?そういう深刻そうな顔とかすんのやめてくんない?笑えよベジータ
俺元気だけが取り柄だったんですけど。ただでさえ八幡以上に目が腐ってんのに取り柄なくなっちゃうじゃん。やめてくんない?

本当、読んでくれた人。ごめんなさい。昨日立てたばかりなのに。急に書けなくなってしましました。
一応、昨日あげた4本は、前スレの970の前あたりにでも入れておいてくれたら、嬉しい。
ネットが使えなくなっちゃうので、このスレは落とします。
まぁ、向こうでも頭は使えるから、存分に妄想(特技)して話考える。PCもch込めるならなおいい
まだ書き足りないし、提供してもらったネタも30以上残ってるから、いつか同じタイトルでスレ立てるかも。やだなにそれフアグ?やめてくんない?
ただ時期は先になるかも。釈放されても、9月移行ぢどうなるかわかんないし。
ただ私は帰ってくる、SS速報よ!私は帰ってきた!
ていうか私、昨日このスレの950くらいに投稿する用締め用のSS書いてたんですけど。勘弁してくんない?やだ何それ、超気がはやい。サラマンダーよりはやーい
いや本当、こんな風に突然投げちゃわねばならないのだけが、心残りです。ほんとごめん

いやでもほんと大丈夫。上のほうの話とか全部嘘だから、ただ馬鹿が調子に乗って勢いでスレ立てちゃっただけだから。立て逃げみたいなものだから。だって超嘘くさいし。ほんとほんと…

いやほんと身の程も知らずにパート化とかしようとか考えてんじゃねえよな。引き延ばしかよ、ブウ編かよ。自分の能力考えてスレ立てろよ。己を知り敵を知れば100戦諦めろ、諦めちゃうのかよ、スレ立てねえのかよ
でもみんなが感想とか色々言ってくれたから、前スレ1000とか行けちゃった。ほんと嬉しい。
あたし、みんなヒッキーみたいにもっと性格悪いと思ってた!馬鹿とかクズとか、こんなの読めねえよゴミとか言われて、50くらいで書くのやめると思ってた!いや、言われたところで書くのやめなかったとは思うけど!みんな優しいね。えへへ…


支離滅裂でアレなテンション。ごめんなさい。でも本当、もどっては来るとは思うから、その時はおつきあいいただけたら幸い。
読んでくれてた人いたら、ほんとごめんなさい。期待してくれた人ほんとごめん。ほんとありがとう

110: 2013/08/21(水) 12:10:54.49
「とーすと」








結衣「おはよー!!ヒッキー!!」

八幡「おう。ん?お前何持ってんの?」

結衣「ん?何って?食パンだよ?」

八幡「いや…そりゃ見ればわかるんだけどさ。なんでそんなもんをビニール袋に入れて、手で持ってるのか聞いてるんだけど」

結衣「??」

八幡「いやそんな、心底不思議そうな顔されてもな…」

結衣「だって、美術の先生が今度授業の時に使うから持ってきなさいって言ってたじゃん!ヒッキー持って来てないの?」

八幡「いやまぁ、俺も持って来たけどさ」

結衣「じゃあ、いいじゃん!!」

八幡「いや、お前それさ。まるまる一枚だよな?」

結衣「うん」

八幡「んで、結構薄いよな?」

結衣「うん、7枚切りだからね。何に使うのかわからないけど、食べるんじゃないならあんまり厚いともったいないでしょ?」

八幡「………」

結衣「どしたの?」

八幡「いやさ。今日の美術、木炭使ったデッサンなんだよ」

結衣「でっさん?でっさんって誰?」

八幡「いや、お前、『さん』を強調すんなよ、ぐっさんみたいになってんじゃねえか。そもそも人じゃなくて、デッサン、美術の練習方法の一つだよ」

結衣「ふぅ~ん?デッサンって何?」

八幡「まぁ、対象物を見てそのまま描写するみたいなもんだったかな…いやつうか引っかかって欲しいとこ、そこじゃねえんだよ」

結衣「どういうこと?」

八幡「木炭デッサンてのはだな、木炭使ってそのデッサンってのをするんだが、パンを消しゴム代わりに使う」

結衣「え…?消しゴム…?」

八幡「まぁ消しゴムっつっても、パンの粘着力で木炭の粉をくっつけてとるんだけどな。今は練り消しとか使う人もいるらしいが、うちの学生はそんなもの持ってないからな。伝統的なパン使ってやるわけだ」

結衣「ねんちゃくりょく…」

111: 2013/08/21(水) 12:11:23.45
八幡「………」

結衣「………」

八幡「んで、お前さ。それ、焼いてあるよな?」

結衣「え?」

八幡「トーストだよな?」

結衣「トーストだけど…」

八幡「焼いてきたよな?」

結衣「焼いてきちゃった…」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「んで、そんなカリカリのパンでどうやって木炭の粉をくっつけようって言うの?逆に粉増えちゃうだろ」

結衣「うう…」

八幡「どういう風に考えたらカリカリのトーストを授業で使うとか考えるの?」

結衣「ううう…」

八幡「だいたいー」

結衣「もうわかったからぁ!!あたしが馬鹿だったからぁ!!トーストのこととか最初から気づいてたでしょ!?なんでそんな遠回しに言うの!?あたしをからかって楽しいの!?馬鹿にしすぎだからぁ!!」

127: 2013/08/28(水) 13:09:07.68
「にゅういん」


結衣「ねぇ、ヒッキーって入院したことある?」

八幡「は?お前それはマジで聞いてんの?」

結衣「ああ!ご、ごめん!そうじゃなくて!違くて!あの時以外に病気とかで入院したこととかあるのかなって思って!!」

八幡「ああ…いや、そういうことなら経験はないな。俺は超健康優良児だし」

結衣「そっかー」

八幡「なに?具合悪りぃの?」

結衣「あ、ううん。あたしじゃなくて、パパ」

八幡「……。親父さん、どっか悪いのか?」

結衣「あ、うん、ちょっと。盲腸なんだって」

八幡「盲腸かよ…。ああ、でも親父と言えば、そういやうちの親父も入院したことあったっけな」

結衣「そうなの?何かご病気?」

八幡「ああ…あれは中1の頃の話だ。ある日の事、母親が真っ青な顔をした親父を連れて帰ってきた」

結衣「なんか語り始めた…。まぁ、あたしが聞いたんだけど…」

八幡「んで言うんだよ、『俺はもう長くない』ってな。聞けば、検査に行った病院で、医者にすごい深刻な顔で『とにかく入院しましょう』とか言われたらしくてな。あ、もう完全に悪い病気だ、とか思ったらしい」

結衣「ええ~…でもそれは確かにちょっと怖いかも」

八幡「もうあん時の親父の取り乱しようったらなかったな。なんつったって遺書なんか書いたりしてたくらいだ。しかも自分どころか母親が氏んだ後の財産分与の事にまで触れてな、ちなみに小町が9割だった」

結衣「ほとんど小町ちゃんじゃん…ヒッキーやっぱり愛されてないんじゃないの…?」

八幡「いや、俺からしてみたら正直1割すらあると思ってなかったから、びっくりと言うか少し感動したけどな」

結衣「ヒッキーちょっと卑屈すぎ!ていうか理想が低すぎ!!……それで…大丈夫だったの?」

八幡「結論から言っちまえばな。入院してからはっきりと検査の結果がでてみれば、良性の腫瘍で、ほんとだったら即日とっちまえるようなものだったらしい。ただうちの親父の場合…詳しい話は知らんが、その時別の病気ででてた薬の効果で、血が止まりにくくなってたらしくてな、入院はその薬を抜くための措置だったらしい」

結衣「ええ~?じゃあなんでお医者さんは深刻な顔してたの?」

八幡「単純に地顔が怖かったんだと」

結衣「へ?」

八幡「だからさ。入院してから気づいたらしいんだが、その医者、顔がすげぇ怖い上に言葉が足りない。おまけに笑顔一つ見せなかったらしい。だから親父に説明した時も、その医者はただの通常運転だったらしいんだが、それを見た親父が勝手に深刻な病気だと勘違いしてパニくってただけなんだよ」

結衣「なにそれ!!ヒッキーのお父さん超人騒がせじゃん!!てかそれじゃ笑い話じゃん!!」

八幡「なにごともなかったから笑って済ませられるってことでもあるけどな。まぁ、親父はあの医者のベッドサイドマナーが下手くそなせいだって憤ってたけどな」

結衣「ちょ、ちょっとヒッキー!いきなり下ネタはやめてよ!セクハラだし!!」

八幡「いや…お前こそ何言っちゃってんの…?別にそういう言葉じゃねえよ。ベッドサイドマナーってのは医者なんかが、患者との会話を通じてその不安と取り除いたり、気力を出させたりするような行為のことを言うんだよ『LOST』で覚えた」

結衣「あ、そ、そうなんだ、ご、ごめん。あ、でも『LOST』って知ってる。海外ドラマでしょ?目つき悪い上に坊主だけど、ちょっとカッコいい人が出てる」

八幡「ああ、それそれ。ていうかそいつがまさしく医者のジャックだよ」

結衣「あ!そうなんだ!あの人お医者さんなんだ。あたし、あの人結構この…あ!そうだ!ヒッキー坊主にしたら?」

八幡「は?お前何言ってんの?なんで俺が坊主にしなきゃいけないんだよ」

結衣「いや、ほらあれ!反省の意味的な?」

八幡「俺が反省しなきゃいけない部分、今の会話の中でどこにもなかっただろ…。仮に頭を丸めなきゃいけない人間がいるとして俺ではないだろ」

結衣「いいじゃん!いいじゃん!男らしくて結構似合うかもよ?」

八幡「………。何、お前好きなの?坊主?」

結衣「いや、別に?」

八幡「お前なんなのほんと。首かしげんじゃねえよ。変なこと言ってるって自覚しろ。つうかあれだ、高校生が坊主になんかにしたら確実に野球部扱いされんじゃねえか」

結衣「ああ、それは全然大丈夫!坊主にしたところでヒッキーは全然スポーツマンには見えないから安心して?」

128: 2013/08/28(水) 13:10:10.00
八幡「なんなのほんと?どう安心しろっていうんだよ。少しは人を傷つけてるって自覚しろ」

結衣「でもさでもさ、ヒッキーのお父さん、何ごともなくてよかったね!」

八幡「お前本当コロコロ話変わんな…。まぁ、おかげで俺は今も養い続けてもらえてるわけだし…その点は良かったかもな。いやでもほんと、あん時は親父はパニクるし、小町は泣くし、母親は爆笑するしでマジで地獄絵図だったわ」

結衣「なんでお義母さんは爆笑してるの!?」

八幡「さぁな、パニくった親父が聞いてなかった話を母親は聞いてて余裕があったのかもしれんが、俺の両親…特に母親は、我が親ながら俺にも想像つかん行動をとる事があるからな。よく分からん」

結衣「うう…やっぱりヒッキーのお母さんだ…ちょっと変だ…」

八幡「いや、というより小町の母親なんだよ」

結衣「あ、ああー…な、なるほど…なんかそれちょっとわかる…。あ、でもさ。ヒッキーが病気あんましないってなんか意外」

八幡「いや、俺が虚弱児みたいな言い方すんなよ」

結衣「いや、そうじゃなくて!ヒッキーって結構学校遅れてくるじゃん?あんま誰も気にしてないけど」

八幡「それはいちいち言わなくていいだろ…。まぁあれだ。俺はインフルエンザとかもかかったことないからな」

結衣「そうなん?」

八幡「ああ、何せ学級閉鎖された時だって俺は一人元気だったからな。ウイルスからも避けられてたと言ってもいい」

結衣「理由が悲しい!!」

八幡「いや、つうより実際他人と触れ合うことがねえからな。接触感染とかしようがねぇんだよ…」

結衣「えー…ガチで悲しい…。あ!じゃあさ!今度学校でインフル流行ったらあたしがうつしたげるよ!!」

八幡「いや、お前いらねえよ。余計なお世話すぎだろ、何言ってんの?」

結衣「そう?でも学校休めるじゃん?」

八幡「バッカおまえ。病気で学校休んでも、遊んだりできねぇから面白くねぇだろ。ああいうのは、朝、親が出て行くまでは体調悪いふりしといて、出てったら普通に起きてゲームとかするもんなの。そうしてはじめて平日に休むありがたみが出てくるんじゃねえか」

結衣「それ仮病じゃん!ご両親騙してるじゃん!」

八幡「いやまぁ、つってもうちの親は俺に対しては完全に放任っていうか、放置プレイだからな。最近は仮病すらする必要もないというか。たまに本当に風邪引いて寝てても、ガン無視して会社行くし。粥とかすら作ってもらえないから、風邪ひいてんのに自分で作って食うんだぞ?そら風邪ひかないようにもするわ」

結衣「それ、ヒッキーが嘘ばっかりついてたから信じてもらえなくなっちゃったんじゃないの?ほら…前にゆきのんが言ってた…狼少年ってやつ?じごー…なんとかじゃん」

八幡「まぁな。あと自業自得な」

結衣「あ…!じゃ、じゃあさ…今度ヒッキーが風邪ひいたら…さ。あたしお粥作ったげる!」

八幡「いや、いい、やめろ」

結衣「即、断られた!!」

八幡「当たり前だろ。由比ヶ浜結衣+お粥なんて嫌な結果しか思いつかない計算式じゃねえか。それに+風邪なんてついたら解は『氏』ということになるだろ」

結衣「そんなことないし!!あたしだって最近料理上達してきてるんだからね!?お粥とか、お鍋にご飯いれて茹でればいいだけじゃん!!超簡単じゃん!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

八幡「いや、『ご飯を茹でる』とか言っちゃってる時点で期待できる要素皆無だから。大体粥なんて作りに来たら風邪移るだろうが、やめとけよ」

結衣「移らないし!!」

八幡「まぁ、馬鹿は風邪ひかないって言うしな」

結衣「馬鹿じゃないし!!失礼だし!!あたしだって風邪ひくことくらいあるし!」

八幡「どっちだよ。まぁ、馬鹿は自分で体調管理ができないから風邪ひくんだしな」

結衣「どっちにしろ馬鹿って言いたいの!?もう頭きた!!もう頼まれたってヒッキーにお粥なんて作ってあげないからね!?後悔しないでよ!!」

八幡「いや、しねえだろ。多分。むしろ病気で弱ってるところを追い打ちされないで、助かったまである」

結衣「せっかく喜んでもらおうと思っただけなのに!もう知らない!!あたしもう今日帰る!!ばーかばーか!!ヒッキーのヘタレ!!意気地なし!!」

ガラガラ ピシャ!!

八幡「………」

八幡「…意気地は今関係ないだろ…」

八幡「てか…弱ってるとこなんて、あんま見せたくねえし、風邪ん時、何作ってもらったって、味なんかわかんねぇだろ…。常識で考えろよ…」

130: 2013/08/28(水) 13:50:43.33
「ばいがえし」



結衣「ヒッキー!あれは敵?」

八幡「おう、撃っていいぞ」

結衣「おっけー」バンバン

八幡「お前、ぜんっぜん当たってねえじゃねえか」

結衣「だって、なんか人の形したのに攻撃するのってやーな気分なんだもん。しょうがないじゃん!」

八幡「いや、前にやった時はあんなにためらいもなく材木座にぶっ放してただろ。なんなの?ナチュラルボーンTkerなの?Born to Team Killなの?」

結衣「そんなんじゃないし!っていうかTKerって何?」

材木座「ぬう!そんなこと言ってる場合ではないぞ八幡!やつら撃ちかえしてきおった!」

八幡「るせぇ、ならグダグダ言ってねぇでこっちも撃ちゃいいだろ」

材木座「うむん!ぬおおおおおおおお!!倍返しだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

八幡「うるせぇ、材木座!!ボイチャで叫ぶんじゃねえよ!!…でもあれだな。結構似てんな」

材木座「るふん!そうであろう。声帯模写は戦の女神より我に与えられし天賦の才の一つよ」

結衣「えー!全然似てないし!」

八幡「いや、認めんのは癪だけど結構似てんぞ」

結衣「でも、そんな叫ぶの見た事ないよ?」

材木座「ぬぅ?」

結衣「ほら、それってあれでしょ?ドラマでやってるやつ」

八幡「あ?…あぁ、お前半沢直樹のこと言ってんのか」

結衣「え?倍返しってそれのことじゃないの?」

八幡「いやまぁ、俺とかこいつはテレビ見ないからな。俺らにしてみりゃ『倍返し』ってのは08小隊の台詞なんだよ」

結衣「08小隊?」

八幡「まぁ、簡単に言やガンダムだ」

結衣「あ!ガンダムは知ってる!」

材木座「うむん、08小隊といえばやはりノリス大佐のグフカスタムとの氏闘は最高であろう?」

八幡「あ?何言ってんだ?戦闘で言えば一話のボール対ザクが至高だろうが」

材木座「おん?」

八幡「あん?」

材木座「おっおっおっ?」

八幡「あーん?」

結衣「ちょっと!わけのわからない話であたしを置いてけぼりにしないでよ!というか耳元で直接言葉が響くから超うっとおしいし!」

八幡「ちっ」

材木座「ふむん、決着は後でつけるぞ八幡。せいぜい八幡ズレポートを書く準備をしておくことだな」

結衣「え?いまので収まったの?実は仲いいの?」

131: 2013/08/28(水) 13:51:16.35

八幡「馬鹿言え。あー…つうか、由比ヶ浜。俺らもそっちの部屋に移動するから、撃つなよ?」

結衣「え?わっ!」パンッ

材木座「ぐふっ!」ビスッ

八幡「だから撃つなっつったろうが」

結衣「あ!ご、ごめんね?中2」

材木座「ぬ、ぬぅ。い、一発だけなら誤射であろう。今回は特別に許しー」

八幡「だめだな。前回のこともあるし、ここで許したら由比ヶ浜のためにならん。材木座、由比ヶ浜を撃て」

結衣「えー!?」

材木座「うむん?八幡がそう言うのであれば…仕方あるまい。覚悟されよ!由比ヶ浜某!」パパパパパ

八幡「お前、ボイチャだと女子と話せんのな」

結衣「あっ!ちょ、ちょっと!痛い痛い!あー、やられちゃった」

材木座「これでよいのか?八幡?」

八幡「おー。なぁ、由比ヶ浜、画面になんか文字でてるか?」

結衣「え?うーんと…なんかキック?がどうとかこうとか英語が書いてあるよ」

材木座「え?」

八幡「んじゃ。丸ボタン押して」

結衣「丸ボタン?おっけー」

材木座「ちょ、まちー」

Kengo Shogun がkick されました

八幡「よし。んじゃ、静かになったし続きやるか」

結衣「え!?ヒッキー中2をわざと追い出したの?」

八幡「おう、まぁやったのお前だけどな」

結衣「ヒッキーまじ性格悪いし!」

八幡「何言ってんだ。やられたらやり返す。ウザい奴は追い出す。これが俺の、倍返しだ!!」

140: 2013/08/28(水) 15:52:44.29
「ねちがえ」




結衣「ねぇ、あのさ。ヒッキー今日はなんでずっとむこう向いてんの?」

八幡「いや、ちょっと寝違えちまって、左側向けねえんだよ。夕方になってもまだ痛い。まぁ、授業中は体全体捻ってうまくごまかしてたんだけどな。部活動の時ぐらいは楽させてくれ」

結衣「いや、全然ごまかせてなかったよ。ずっと変な方向に体ねじってるから、クラスの子たち気持ち悪がってたし」

八幡「そういう情報、いちいち報告すんのやめてくんない?まじで」

雪乃「まぁ、私としては比企谷くんがずっとむこうを向いてくれているといやらしい視線を感じなくていいから助かるのだけれど」

結衣「ちょっとヒッキー!?」

八幡「見てねぇから、お前ちょっと自意識過剰すぎなんじゃねえの?」

雪乃「けれど正直、考え方だけでなく、視線まで常に変な方向を向いている人間が視界に入るのはあまり気持ちのいいものではないわね」

八幡「うるせぇ、ほっとけ。じゃあこっち見なきゃいいだろ。どうせ明日にはなおんだから」

雪乃「そんな簡単なものではないわ、下手をすれば寝違えは数日続くこともあるのよ。だかー」

結衣「あ!じゃあヒッキー!!あたし、マッサージしてあげるよ!!」

雪乃「………」

八幡「いや、いいってそんなの。だいたいお前とマッサージとか嫌な予感がすんだけど」

結衣「だいじょぶ!!前にパパが寝違えた時にあたしなおしてあげたことあるから!!安心して!」

八幡「お前の自信はどこから…っておい、本当に後ろに回り込むのやめてくんない?ていうか頭掴むな!おい!」

結衣「えいっ!」グキッ

八幡「ギェッ!!」

結衣「え…なんかヒッキー変な声あげたし…」

八幡「っーーー!!!!」

結衣「あ、あのヒッキー大丈夫?」

八幡「大丈夫なわけあるかっ!!無理矢理頭捻って寝返りが治るわけねぇだろ!だいたい『えいっ!』ってマッサージの時に出していい声じゃねえだろ!!」

結衣「ええぇー、でも…パパはこれしてあげたらなおったって言ってたのに…」

八幡「それ絶対治ってねえから!!ただお前に気ぃ使っただけだから!!親父さんの優しさだから!!ていうか今度お前の親父に会わせろ!!お前を甘やかしてもろくなことにならないって説教してやるっ!!!」

結衣「えええ!?パ、パパに会うって!そ、それはヒッキーちょっと気がはやすぎない!?」

141: 2013/08/28(水) 15:54:07.69
雪乃「はぁ…。由比ヶ浜さん、あなた根本的に何か勘違いしているようだから、言っておくけれど寝違いの原因は首そのものではないのよ」

結衣「へ?」

八幡「え?そうなのか?」

雪乃「呆れた…あなたも知らなかったのね…。寝違えはそもそも脇の内側を通ってる腋窩(えきか)神経という神経が…例えば腕を体の下敷きにするなどして、圧迫されることによって引き起こされるのよ。この神経は首を支える神経に繋がっているから、首に痛みなどが出てくることになるの」

結衣「ってことはどういうこと?」

雪乃「寝違えを治したかったら、首をマッサージしても仕方がないということね。由比ヶ浜さん、その男の左腕を少しずつ後ろに引き上げてみなさい」

結衣「う、うん!」

八幡「おい、やめ。ちょちょ、痛いって」

雪乃「痛くなるほど、無理やりしなくてもいいわ。少し戻しなさい」

結衣「うん!」

八幡「お前、そういうのは先に言えよ!!」

結衣「ヒッキーこのくらいなら痛くない?」

八幡「あぁ…?ああ…まぁな」

雪乃「ではその状態で20秒、時間がたったら一旦もどして、もう一度よ」

結衣「よいしょ」

八幡「そのかけ声は不穏だな…」

結衣「ゆきのん、終わったよ」

雪乃「では次は上向きに万歳をさせるような姿勢をとらせなさい、そして角度は維持したまま後ろにひき20秒維持。これを2回よ」

結衣「左腕?」

雪乃「ええ」

八幡「つつ…」

雪乃「では最後に左手をベルトの中心あたりに…」

結衣「こう…?」グイッ

雪乃「前ではなく後ろよ、由比ヶ浜さん」

八幡「つーか、これは自分でやれるから、手ぇ離せよ由比ヶ浜」

結衣「あ!ご、ご、ごめん」

八幡「いや…いいけどよ…」

雪乃「…続けていいかしら?」

八幡「あ、ああ、すまん」

雪乃「では、ベルトは押さえたまま、肘を後ろに引いてみなさい。これも20秒ずつ、2回ね」

八幡「こうか…」


142: 2013/08/28(水) 15:54:41.51
雪乃「ええ、あと他には単純に脇の下をもむという方法だけれど」

結衣「こう?こう?」

八幡「やめろっ!由比ヶ浜!俺脇よわ…!わはっ、わはは!」

雪乃「比企谷くん、ここぞとばかりに性癖を暴露しようとするのはやめなさい。それでどうかしら、もう左側を向けるんじゃなくって?」

八幡「んなわけアルミ…ってあれ確かにむけてんな。お前すげーな。なんでこんなこと知ってんの?」

雪乃「別にこの程度常識の範囲内でしょう?」

八幡「いやぁ…普通は知らねえと思うが。お前の常識、どんだけ幅広いんだよ。つかさ、こんないいこと知ってるならさっさと言ってくんない?危うく氏ぬとこだったぞ」

雪乃「私は言おうとしたけれど、その前に勝手に暴れ出したのは二人のほうでしょう」

八幡「俺はただの被害者なんだけど~?」

結衣「ご、ごめんね。ゆきのん」

八幡「いや、由比ヶ浜はまず俺に謝るべき事象だろ。首掴んで『えいっ!』はねえよ、『えいっ!』は。殺意に満ちてただろ」

結衣「そ、そんなこと!」

雪乃「由比ヶ浜さん、気持ちはわかるけれど、あなたがこの男の為に自らの手を汚す事はないでしょう?」

八幡「おい!お前、気持ちはわかるとかそういうこというのやめろ。あぁ、つうかもうあれだ。もう由比ヶ浜は暗殺者でも目指せよ、首捻りと料理で二つも暗殺術を持ってんだからいけんだろ。エッツィオに並べんぞ」

結衣「そんなことないし!!料理が暗殺とか失礼だしっ!!てかえっつぃおって何だし!」

雪乃「けれど命乞いに耳を貸さないところといい、首が痛いと言っている人間にためらいなくあの仕打ちを行えるところといい、やはり並大抵のことではないわ。生まれ持った勘の鋭さもあるし、確かに非常に高い適正を持っていると言ってもいいんじゃないかしら。やはり長所は生かすべきよ」

結衣「ゆきのんまで!?あたしそんなひどい子じゃないし!!そんなの全然長所じゃないし!!二人そろって馬鹿にしすぎだからぁ!!」

165: 2013/08/29(木) 12:57:18.43
「えれべーたー」



八幡「さて…買うもん買ったし帰りますかね」

八幡「………」

八幡「エレベーター呼ぶか」

ちーん

八幡「お、きたきー」

結衣「あれ、ヒッキー!やっはろー!」トテトテ

八幡「………。おう、由比ヶ浜か」

結衣「ヒッキーこんなとこでどしたの?」

八幡「いや、本買いにきたんだよ」

結衣「ヒッキーまたそれー?いっつも本買ってない?」

八幡「ほっとけ、休みの日は本を買いにいくか、借りにいくかくらいしか出かける用事なんてねえんだよ。むしろ家から出てきたことに対して褒めてもらいたいくらいだぞ」

結衣「えらいえらい」

八幡「んで?お前こそ、ここで何してんの?お前が一人でいるなんて珍しいな」

結衣「あたしだってたまには一人で買い物に来るくらいあるしー。あれ?」

八幡「どした?」

166: 2013/08/29(木) 12:58:06.47
結衣「あれ?ヒッキー、ここ何階?」

八幡「6階だけど」

結衣「あれー?あたし3階に行くつもりだったんだけど」

八幡「……。お前さ、さっきエレベーターで乗ってたよな?」

結衣「え?うん。それがどしたの?」

八幡「俺、エレベーター呼んだんだよ」

結衣「うん?」

八幡「………」

結衣「え?どういうこと?なに言ってんの、ヒッキー?」

八幡「いやさ、お前。だからエレベーターに乗った後、目的の階押したの?」

結衣「え…?」

八幡「………」

結衣「えっと…お店入って…エレベーター呼んで…んで中に入って…携帯出して…扉が開いたらヒッキーが…」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「それさ、確実に押してないよね」

結衣「う…」

八幡「エレベーターってさ、乗ったら目的の階押さないとその階には行かないんだよ。知ってた?」

結衣「う、う、う、うっさい!そのくらい知ってたし!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

八幡「いや、馬鹿にしすぎとかじゃなくて実際押してねぇじゃねえか。でも良かったなぁ!明日雪ノ下に話すネタができたぞ!!」

結衣「ちょっと爽やかな顔してそういうこと言わないでよぉ!!絶対ゆきのんに喋っちゃだめだよ!?絶対馬鹿にされるからぁ!!」

167: 2013/08/29(木) 13:25:49.97
「あんなふうに」





八幡「(さて、部活行くか…。今日も今日とて雪ノ下さんの暴言に耐えるだけの時間がはじまるお…)」

結衣「えー!?何言ってんのとべっち!そこはーー」

戸部「だべー?」

八幡「(由比ヶ浜は、戸部と話てんのか。2Fアホコンビか、あいつらが二人きりでいる状況もありそうで、ないよな)」

戸部「いやいや!それはないでしょー!?やっぱユイぱないわー!!」

結衣「えぇ!?どの辺が!?」

八幡「(そういや、戸部の奴も結衣って呼ぶんだよな。………別に気にしちゃいねぇけど)」

戸部「ユイ、それはないわー!!どう考えてもありえねぇわー!やっぱユイ、アホなんじゃね?」

結衣「ちょっととべっち!?その言い方はひどいんだけど!!」

?「ーーまん?」

八幡「(いや確かにアホだけど、お前がアホって言っていいほどアホじゃねえだろ。だいたいなんなんだよとべっちって、みかんの国のゆるキャラなの?マニアックすぎだろ、せめてバリィさんにしろよ。そもそもユイユイユー)」

戸塚「八幡!」

八幡「お、おおぅ…戸塚か。どした?」

戸塚「ううん、八幡が怖い顔して固まってたからどうしたのかなって思って。大丈夫?教科書がぐしゃぐしゃだよ?」

八幡「あ、ああ…。心配させてすまんな戸塚。ちょっと考え事してただけだ。お前も部活か、大変だな」

戸塚「ううん、僕、テニス好きだから」

八幡「テ、テニスの後の部分だけ、も、もう10回くらい言って」

戸塚「え?ええっと、好き…ってちょっと八幡!からからないでよ!」

八幡「はっはっは、いやー、すまんな戸塚あまりの可愛さに、ついな」

戸塚「もう!あ、じゃあ八幡。途中まで一緒に行かない?」

八幡「あ…あぁ、そうだな。あそこの階段までは一緒の方面だからな」

戸塚「うん!」

八幡「………」

戸部「マージーでー!?やっぱ、ベーわー!さっすがだわー!でも、あの人ちょっと怖くね?」

結衣「とべっちそれ失礼だし!」

八幡「(あいつら、まだ話してんのか)」

戸塚「八幡?」

八幡「あぁ、わりぃわりぃ!今行くわ」

169: 2013/08/29(木) 13:27:05.66
× × ×

戸塚「そうなんだよ。今度の5日に出場するんだ」

八幡「あれ?でも新人大会って1年だけじゃないのか?」

戸塚「ううん、2年生も対象だよ。ただ2年は出場できる回数に制限があるから、今回は選手を選抜しないといけないんだけど」

八幡「はぁん、そういうもんなのね」

パタパタパタパタ

八幡「………」

戸塚「八幡どうしたの?」

八幡「いや」

結衣「ヒッキー!さいちゃーん!」

戸塚「由比ヶ浜さん!」

八幡「おう、つかなんでお前走ってきたの」

結衣「だって、二人の後ろ姿が見えたんだもん!」

八幡「それ、理由になってないだろ」

戸塚「あはは。やっぱり由比ヶ浜さんは元気だよね!」

結衣「でしょでしょ!」

戸塚「あ、じゃあ。二人とも僕はここで」

結衣「あれ?そうなの?さいちゃん今日あたし美味しいお菓子持ってきたんだよ。よかったら部室で一緒に食べない?」

八幡「いや、そうもいかんでしょ。戸塚の立場上」

戸塚「あはは。ごめんね、せっかく誘ってもらったのに」

結衣「そっか…ううん!さいちゃん練習頑張ってね!」

八幡「頑張れよ、部長さん」

戸塚「うん!ありがとう!じゃあまた明日ね、二人とも!」

タタッ

八幡「………」

結衣「じゃあ、あたしたちも部活いこっか!」

八幡「………」

結衣「あれ、どしたのヒッキー?なんか機嫌悪くない?」

八幡「いや、別にそんなことねぇけど…。ああ、まぁあれだ。せっかくの戸塚との邪魔されたからな。そら不機嫌にもなる」

結衣「なにそれ!ヒッキーほんとどんだけさいちゃん好きなの!?」

八幡「べ、べ、べ、別に好きじゃねえし!ちょっと気になってるだけだし!」

結衣「ううっ!それもうほとんど好きじゃん!!」

八幡「まぁな!」

170: 2013/08/29(木) 13:28:19.95
結衣「………。てかあのさ…もしかして、さ。とべっちと二人で話してたの怒ってる?」

八幡「あ?何言ってんの、お前がお前の友達と話してるだけでなんで嫉妬なんかしなきゃいけないんだよ」

結衣「嫉妬?そっか…」

八幡「………」

結衣「でもあたしはさ、時々嫉妬…というか羨ましくなったりすることはあるよ?さいちゃんとか」

八幡「は?いや、戸塚男でしょ。嫉妬する要素ないでしょ。ていうか何言ってんの?突然」

結衣「さいちゃんは『男じゃなくって戸塚って生き物』なんじゃないの?」

八幡「いやまぁ、そうなんだけどさ」

結衣「だってヒッキー、さいちゃんとか…あと小町ちゃん相手だとすっごい素直じゃない?あれ見てると、なんか羨ましいって思うの。それに…時々…ゆきのんのことも」

八幡「何言ってんの?単純な頭の出来とかそういうんはさておき、お前が雪ノ下に嫉妬しなきゃいけない要素ないだろ」

結衣「んーん、だってあたし、ゆきのんみたいにヒッキーと話せないもん」

八幡「………」

結衣「ヒッキー、ゆきのんと話してる時楽しそうだもん。あんな風に…ゆきのんみたいになれたら…ヒッキーともっといろんなお話できるのかな、とか考えちゃう」

八幡「………」

結衣「………」

171: 2013/08/29(木) 13:30:12.69

八幡「…いや、別にならんくていいでしょ、そのままで。むしろそのままがいいんじゃねえの」

結衣「ヒッキー?」

八幡「あ、いや、これは、その…あれだ。前に大志とあった時、お前言ってたろ。俺みたいのが二人いても大変なだけだって。あれと同じだ、雪ノ下みたいなのが二人に増えたら俺の胃がマッハでやばいからな。だからお前はお前でいてくれたほうがいいって話だから」

結衣「ふぅん」

八幡「それにあれだ。前に言ったろ、お前と雪ノ下じゃ…いいとこが違うんだよ。それにあれだ。一応言っとくけど、俺は、お前と話すのが…その…なんだ?退屈とか思ったことはねぇぞ。ベクトルは多少違うけどな」

結衣「ベクトルって?」

八幡「まぁ、方向性というか内容っつーか…そういうあれだ」

結衣「ふぅん…そっか…へへ…」

八幡「………」ポリポリ

結衣「あ、ヒッキーあのさー」

八幡「いや、つうかお前さ。こんな話廊下でするようなもんじゃねえだろ、なんなの?」

結衣「えー?だって他に誰もいないんだからいいじゃん!それとも部室で話す?」

八幡「いや、それは無理でしょ…いろいろと…」

結衣「でしょ?だからこういう話は歩きながらするくらいがちょうどいいの、ヒッキーの場合」

八幡「…そうか」

結衣「そうだ」

八幡「そうか…」

結衣「………」

八幡「……あー…じゃあ、あれだ。菓子持ってきてんなら、途中で飲みもん買ってくか。茶葉、きれてたろ」

結衣「うん!…あ!そうだ!じゃあさヒッキーのマッ缶があたしが買ったげる!代わりにヒッキーはあたしにジュース買って?」

八幡「いや、それさ、なんか意味あんの?値段一緒でしょ」

結衣「あるよ?なんか嬉しいもん」

八幡「…そうか?」

結衣「そうだ」

八幡「………」ボリボリ

結衣「………」

八幡「…じゃあ、ついでに雪ノ下のぶんも、買うか…割り勘で」

結衣「うん!じゃあ行こ!ヒッキー!」


196: 2013/08/29(木) 19:46:23.06
「おこ」



結衣「はぁ!?ヒッキーまた嘘ついたの!?信じらんない!」

雪乃「はぁ…」

八幡「いやいや、なんで嘘って決めつけんの?」

結衣「決めつけたわけじゃないでしょ!?今ゆきのんに嘘だって証明されたばっかじゃん!ヒッキーしらばっくれるつもり!?

八幡「なんなのお前?おこなの?」

結衣「おこだし!!激おこプンプン丸だし!!」

八幡「まぁ、そんなカリカリすんなよ。カルシウム足りてねぇんじゃねえの?」

結衣「ヒッキーのせいでしょ!?ふざけんなっしー!!」

八幡「なにお前『なっしー』って、ふなっしーなの?そんなモノマネするほど千葉を愛してんの?」

結衣「噛んだだけでしょ!?噛んだだけだし!」

八幡「あぁ、つかふなっしーと言えばさ。ふなっしーが非公認キャラクターなのは知ってるだろ?」

結衣「え?うん」

八幡「でも実は船橋市には6体も公認キャラクターがいるの知ってたか?」

結衣「え!?マジ?多くない?どんなのなの?」

八幡「えーっとな、アサリくんだろ、博士くんだろ、それにー」

雪乃「ちょ、ちょっと待ってもらっていいかしら」

八幡「あん?」

結衣「ん?どったのゆきのん?」

雪乃「あなたたち二人は一体何語を話していたのかしら。まったく理解できなかった部分があったのだけれど」

八幡「あん?お前ふなっしー知らねえの?」

雪乃「いえ、それは船橋市の不気味で下品なゆるキャラのことでしょう?そうではなくて」

八幡「不気味って…お前、千葉日報読んでんの?」

197: 2013/08/29(木) 19:47:35.10
結衣「じゃあ、何がわからないの?」

雪乃「あの、しらばっくれるの次あたりから、かしら。特に由比ヶ浜さんの発言はわたしには『だし』しか意味がわからなかったのだけれど」

結衣「ん?えーと…なんの話してたっけ?」

八幡「ああ、お前『おこ』のこと言ってんのか。怒ってるってことを指す言葉だ」

結衣「そうそう!ゆきのんあたしはね激おこプンプン丸って言ったんだよ!」

雪乃「おこ…ぷんぷんまる…」

八幡「まぁ流行語ってやつだな」

結衣「えー?流行って言うにはちょっと古くない?」

八幡「え…?そうなのか?ネットではまだ結構見るんだけど…」

結衣「まぁツイッターとかで使ってる人はいるみたいだけどー、あたしの周りではもう使ってる人いないよ?」

八幡「そうなんだ…現役だと思ってたわ…。あ、つかさ、俺としては激おこぷんぷん丸までは響きもよくっていいと思うんだけど、その先はねぇだろ。カム着火インフェルノォォォオオオウとかなんなの?マジで意味わかんなすぎだろ」

結衣「まぁあの辺はあたしにも意味わかんなかったけど…。そのへんはノリじゃん?」

雪乃「……推測するに、『怒る』から『る』を省略した言葉ということでいいのかしら。けれど、『る』だけとっても労力的には変わらないし、合理的整合性にかけると思うのだけれど」

八幡「まぁ、流行言葉に合理性とか求めても仕方ねぇだろ。5、6年くらい前に流行語大賞とった『そんなの関係ねぇ』なんて合理性のかけらもねぇしな。ま、けどそういうのお前は苦手そうだもんな」

雪乃「………。何を言っているのかしら比企谷くん。私はこれでも情報の収集に関しては…いえ『も』と言うべきだけれど、長けていると言っていいのよ。まったく比企谷くんときたら本当にチョベリバだわ」

結衣「チョベリバ!?」

八幡「それ、俺らが生まれたころの言葉だろ…お前いったいいくつなんだよ…」

雪乃「それを知っているあなただって十二分におじんなのではなくって?」

結衣「おじん!?」

八幡「それは80年代じゃねえのか…?よくわかんねぇけど。YAWARAとかで読んだことあんぞ…」

雪乃「そう?この言葉が伝わらないだなんて、あなたときたらモーレツにまいっちんぐね」

結衣「モーレツ!?まいっちんぐ!?」

八幡「お前はマチコ先生なの?さすがの俺でもタイトルしか知らねえぞ…。まぁ…茉莉香ちゃんは可愛かったけどな。特に声が!!」

結衣「もう、もうやめよう!ゆきのん!ゆきのんは…その…ほら!もう少し頭のいい?というか、その文学的…?というかそう言う言葉使ったほうが似合ってるよ!!」

雪乃「そう…かしら、由比ヶ浜さん。そうね…合点承知之助だわ」

結衣「がってんしょうちのすけ!?」

八幡「それは江戸時代だろ…どこまで遡んだよ…。どのへんが情報収集に長けてんだよ…」

220: 2013/08/30(金) 12:25:12.17
「たいふういっか」



結衣「なんか晴れてきたね!」

雪乃「そうね」

結衣「ヒッキー残念だったね。せっかく、台風来たのに休みにならなくて!」

八幡「だな。今年上陸したの、3度目だっけか?それで一度も休みにならないってなんなの?神様から俺への嫌がらせ?」

結衣「え、でも別に神様がいてもヒッキー指定して嫌がらせするほど暇じゃないでしょ?」

八幡「いや、わかってる。わかってるから、本当に不思議そうな顔すんのやめてくんない?冗談だから、傷つくから」

結衣「あ、でも不思議と言えばさー。なんで台風一家って言うの?どのへんが家族?」

八幡「あー?……ああ…あれだ。ほら熱帯低気圧っての聞いた事あるだろ?」

結衣「あるある!ニュースとかで台風が熱帯低気圧に変わりましたー!ってやってるよね」

八幡「そう、それだ。あれは確か、ある数値より風速の早いもんが台風、低いのは熱帯低気圧って呼ばれんだよ。具体的には…あー、どのくらいだっけ雪ノ下?」

雪乃「最大風速が34ノット以上が台風、それ未満が熱帯低気圧ね。1ノットは毎時1.852キロにあたるから、時速になおせば…毎時63キロ、秒速で毎秒約17.5メートル程度ということになるかしら」

結衣「へえぇ!さすがゆきのん!」

八幡「まぁ、というわけで熱帯低気圧ってのは台風の子供ってことにされてんだな。んで母親はハリケーンで良いんだよな?」チラッ

雪乃「え、ええ。そうね、ハリケーンというのは北部大西洋、中部北太平洋・南東太平洋…まれに大西洋南部にも発生するのだけれど、これらの地域に発生する台風のことをそう呼ぶのよ。これらハリケーンには日本の台風何々号のように、名前がつけられることがあるのだけれど…その…ええと、これが女性名なのよ」

結衣「はりけーん?」

八幡「ほら、8年くらい前にカトリーヌってのが、アメリカ南部に大きな被害を与えたニュース覚えてないか?あれだ」

結衣「………。あー…なんかうっすらと記憶があるかも」

八幡「女性名だからな、母親に例えられるんだよ。ほかにもサイクロンだとかウィリー・ウィリーだとか各地で色々と呼び名があるからな。それを同じ現象を指すたくさんの名前を総称して台風一家って呼ぶわけだ」

雪乃「………」

結衣「ふぅ~ん…そっかー」

雪乃「………」

結衣「ねぇ、ゆきのん?」

雪乃「なにかしら?」

221: 2013/08/30(金) 12:25:59.32
結衣「今の話、どのへんから嘘なの?」

八幡「………」

雪乃「え?」

結衣「ゆきのん?」

雪乃「え…ええ…そうね。そもそも台風一家というのは、台風一過…つまり台風が過ぎ去ったあとに晴れ間が指す、天候のことを指す言葉なの」

結衣「そもそも最初から違ってたんだ!」

雪乃「ええ、簡単に言えばこれは空気中の湿気が台風により持っていかれることで湿度が下がり、爽やかな空気に。台風に引っ張られる形で付いて来た高気圧が来ることで天気は晴れると言う気象状態を表したものね」

結衣「ふんふん」

雪乃「それとハリケーンは、確かに昔は女性名だけだったけれど、今では男女名が交互にくる形になっているわね」

結衣「そうなんだ!じゃあ、ウィリー・ウィリーっていうのは?聞いた事なかったんだけど」

雪乃「ええ、それはオーストラリアあたりでの台風…もしくは熱帯低気圧の名前、と辞書などにも書かれているけれど、現地でそうは呼ばれることはないそうよ。実際には塵旋風…小学校の時グラウンドなどで砂が渦を巻いているのを見た事ないかしら、あれのことを指す言葉のようね」

結衣「ああ!あるある!あの竜巻みたいなもののことでしょ?」

雪乃「えぇ、実際には竜巻とはまったく別物の現象なのだけれど。けれど由比ヶ浜さん、その…よくわかったわね。私が…その…嘘をついたこと」

結衣「だってゆきのんはあたしにことからかうことはあっても、ヒッキーみたいなクズと違って嘘ついたりしないもん!すぐわかるよ!」

八幡「おい!言うにことかいてクズはないだろ」

結衣「だってそうじゃん!ヒッキーが最初に嘘ついて、ゆきのんにもこんなことさせようと誘導したんでしょ!?」

雪乃「そうね…ごめんなさい…私らしくもなかったわ。比企谷くん…いえ、ひきくずくんに乗せられてあなたに嘘を付いてしまうだなんて…本当にごめんなさい。許してもらえるかしら」

八幡「おい!俺をおがくずみたいに言うんじゃねえよ。ていうかひきくずはさすがにちょっと無理があるだろ。語呂悪すぎだろ。なんなの動揺してんの?」

結衣「ううん、頭なんて下げないでゆきのん。悪いのは全部ヒッキーだもん」ナデナデ

八幡「おい!」

雪乃「由比ヶ浜さん…」

222: 2013/08/30(金) 12:26:25.92
結衣「そうだ!ゆきのん!せっかく晴れたんだしこれから二人で、どっか寄って帰ろうよ!あ!クレープとかどう?」

雪乃「そうね、私がごちそうするわ。せめてものお詫びとして」

結衣「ううん!いいのゆきのん!あたしもっとゆきのんと仲良くなりたいだけだもん!一緒に行ってくれるだけでいいの!!」

雪乃「由比ヶ浜さん…。そう…そうね…ええ、じゃあ付き合うわ。行きましょうか」

結衣「やったぁ!!じゃあ行こ行こ!」

八幡「あれ?あ、あの部活は?」

雪乃「そろそろ完全下校時刻なのだし、戸締まりのほうが、比企谷くん、よろしくお願いするわね」

結衣「………」

八幡「えっと…」

雪乃「それでは、お先に」

結衣「………。ばいばい、嘘つきヒッキー」ジロッ

八幡「あ、おい」

スタスタスタ

結衣「………」

クルッ

結衣「イーーーーだ!!」

ガラガラ ピシャ

八幡「………」

八幡「………」

八幡「えー…?今の俺だけが悪いのー…?雪ノ下だけあれって差別じゃないの?」

八幡「………」

八幡「まぁ…でも、たまにはならああいう顔も悪くない、かな。たまになら」フヒッ

223: 2013/08/30(金) 13:31:21.91
「でれのん」


結衣「ねぇゆきのん!今日帰りにカラオケでも行かない?」

雪乃「カラオケ?…嫌よ、疲れるもの」

八幡「………」ゴクゴク

結衣「え~!?行こうよ~!!あたし久しぶりにゆきのんの歌が聞きたい~!!お願いっ!!」ヒシッ

雪乃「…わかった、わかったわ。行く、行くから少し離れてもらえるかしら」

結衣「やったぁ!!ゆきのん大好き!!」ギュー

雪乃「暑苦しい…」ナデナデ

八幡「ちょろのしたちょろのだな…」

雪乃「けれど、由比ヶ浜さん。あなたお金は大丈夫なの?この前お金がないって言っていたでしょう?」

結衣「安心して!この前の土日にアルバイトしたから今はちょっと余裕があるの!」

雪乃「そう?ならいいけれど…。ところで由比ヶ浜さんはアルバイトって一体どんなものをしていたのかしら?」

結衣「バイト?今はコンサートの仕事とかー、ウェディングのお手伝いとかー、日雇いのお仕事がメインかな」

八幡「ウェディング?そんなもんもあんのか」

結衣「うん!コンサートのバイトで知り合った千葉大の女の人が紹介してくれたの!料理運んだり、進行のお手伝いするだけで楽なんだけど、結構お給料いいんだよ?」

八幡「ふーん…つかお前、結局人間関係構築しちゃってるじゃねえか」

結衣「あー…まぁねぇ。でもやっぱりどうしても空き時間とか話しちゃうし。けどおかげでこういう割のいい仕事みつかったわけじゃん?」

八幡「お前、その辺は結構要領いいよな」

結衣「へへ~、まぁね~」

雪乃「なるほど…けれど私が聞きたかったのはそういうことではなくて社交性0の比企谷くんでもやれそうな日雇いのことではなくて、由比ヶ浜さんが一年生の時にやっていたアルバイトと言うのはどういうものか、ということだったのだけれど」

八幡「おい!…まぁ事実だからいいけど…」グビグビ

結衣「あれ?もしかしてゆきのんもアルバイト、興味あるの?」

雪乃「え?ええ、まぁ、そうね。私もいつまでも…その、家族に頼ってばかりではいけないと思っているし。自分でできる限りのことはしていきたいとも思っているわ。もちろん学生の本分は勉強なわけだから…特に、受験が終わるまではそれをおろそかにするつもりは毛頭ないのだけれど」

結衣「そっかー、さすがゆきのん!えっとね、あたしがやってたのはねー。いわゆるー…えーと…あ!水商売ってやつ?」

雪乃「え…?」

カラーン!

結衣「あれ、ヒッキー?マッ缶落としたよ?ってちょっと!こぼれてるこぼれてる!」

八幡「………」

結衣「もー、ヒッキー?よいしょっと…はい!ってあれ…どしたの?なんか顔怖いけど…」

八幡「…ああ、いや、別に。ただちょっと手が滑っただけだ…」

結衣「で、でも…」

雪乃「由比ヶ浜さん。具体的にはどういうことをしていたか聞いてもいいかしら」

結衣「え?うん」

八幡「……俺は缶捨ててくるわ」

雪乃「いいから。あなたも黙って、座って、聞きなさい」

八幡「………」

雪乃「それで?」

結衣「あ、うん。お客さんが来た時、お水出したりー、裏でお皿洗ったりしてたかな。あとはーお店の前掃いたりとか。あ!でも厨房には入らせてもらえなかった。えへへ…」

八幡「あ?」

雪乃「と、言うわけだからあなたが心配するようなことは何もないわよ。だいたい由比ヶ浜さんは浅はかだけれど、しっかりとした価値基準と慎みを持っているのはあなただって知っているはずでしょう?いちいちみっともなく狼狽えないで頂戴、見苦しい」

224: 2013/08/30(金) 13:32:01.01
八幡「………」ポリポリ

結衣「え?え?どういうこと?」

雪乃「由比ヶ浜さん。あなたが働いていたのは、ファミレス…いえ、もう少し規模は小さいわね…個人経営の喫茶店と言ったところ、かしら」

結衣「あ!そうそう!よくわかったね、ゆきのん!」

雪乃「いえ…由比ヶ浜さん。あなたさっき水商売と言う言葉を使ったでしょう?あれはどういう意味で使ったのかしら」

結衣「え?えっと…あのね。お店でお皿洗ったり、お客さんに水出したりするでしょ?そういうのを水商売っていうと思ってたんだけど…」

八幡「なんだよ、それ。お前馬鹿だろ、マジで」

結衣「ちょっと、ヒッキー失れ……。ね、ねぇ、ゆきのん?あたし間違ってた?」

雪乃「そうね…本質的な言葉の意味というところで言えば、水商売という言葉は世間の人気に左右されるプロスポーツや演劇などの流動性のあるいつも決まった需要があるわけではなく、ある程度流動性のある商売を指す言葉だから、飲食店の一形態である喫茶店を含めるのも間違いではないわ、ないのだけれど」

結衣「けど?」

雪乃「ただ現代では、この言葉は夜間にお酒を出すバーなどの飲食店…それも特に女性定員が男性客をもてなす…なんと言ったかしら?」

八幡「……俺を見んなよ…。キャバクラとかだろ」

雪乃「ああ…なるほど、そうね。そのキャバレークラブやその逆であるホストクラブのようなところ…いわゆる店員がお金と引き換えに客を接待するお店ね。そういった…いわゆるいかがわしいお店を指すことが極めて多いのよ」

結衣「あ、そ、そ、そうなんだ。じゃあヒッキーが怒ったのって…」

雪乃「大方、水商売と聞いてすぐ、その手のいやらしいお店を思い浮かべてしまったんじゃないかしら、本当に脊髄反射だけで生きているような男よね」

八幡「うるせー、ほっとけよ」

結衣「あ、そ、そっか。ご、ごめんね。ヒッキー」

八幡「いや…というより、あれだ。俺のほうこそなんか…すまん」

結衣「う、ううん…」

雪乃「まぁ、けれど確かに水商売という言葉における、それ以外の意味は廃れてしまったと言い変えてしまっても過言ではないと思うから、一般的には同じような誤解を受ける可能性は高いわ。それで困ることになるのはあなたなのだし、言葉はもう少し気をつけて使いなさいね」

八幡「………」

結衣「うん!!わかった!ごめんね、ゆきのん、ヒッキー」

八幡「いや…」

雪乃「けれど、あなたときたら本当に説などに出てくる心配性で束縛家の父親みたいな性格をしているわよね、そうやって相手を縛ろうとするだなんて、本当に気持ちが悪いわ」

八幡「うるせー、そんなこと言ったらお前の発言だってまるで由比ヶ浜の母親みてぇな対応と口ぶりじゃねえか」

結衣「ちょっとヒッキー!?」

雪乃「何を馬鹿な事を言っているの。比企谷くん…」

結衣「そうだよ!」

雪乃「そもそも私の娘なら、いちいちこんなところでつまづく出来の悪い子供に育つはずがないでしょう?」

結衣「ちょっと!ひどい!ゆきのんひどい!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」ポカポカ

八幡「………」

八幡「………悪りぃな、雪ノ下」ボソッ

269: 2013/08/31(土) 12:47:14.73
「りらくたんとひーろー」



結衣「ヒッキー、これありがとー」

八幡「おー。つかお前グロ苦手なのに、大丈夫だったか?」

結衣「んー…ちょっと途中きつかったけど、頑張って読んだよ」

八幡「いや、そらまぁそこそこは面白いけどさ。んな無理して読むもんでもないだろ」

結衣「んーでもさ、これ今流行ってるじゃん?姫菜はもちろんだけど、隼人くんとかとべっちも読んでるって言ってたよ。それに優美子も、隼人くんに話あわせるためにちょっとは見てるって言ってたし」

八幡「それだよそれ、そこだよ」

結衣「へ?なにが?」

八幡「いやさ、俺みたいなぼっちはリア充の領域を侵犯しないように気ぃ使ってるってのに、なんでリア充は平気でこの境界線を破ってくんの?不審船なの?」

結衣「えー?でもさー」

八幡「大体あれだ、葉山なんて国語の成績でさえ俺より上で、スポーツまで万能だろ?その上アニメにまで手ぇ出されたら、もう顔くらいしか勝てる要素残ってねぇじゃねえか」

結衣「え…?顔?」

八幡「わかってる。言いたいことはわかってるぞ。俺が葉山を上回ってる部分は性格だって言いたいんだろ?まぁ、無理もないけどな」

結衣「いや~…性格はもっとないよ…」

八幡「いやさ、お前。もっと、とか言うなよ…。それ、ダブルで否定しちゃってるから…」

結衣「あ!いや、ご、ごめん!ついつい!」

八幡「………」

結衣「で、でもさ。そのおかげでこうしてヒッキーともこういう話ができるわけじゃん?あたしは結構うれしいよ?」

八幡「いや、それは…まぁ…あれだ…。…ええと、あぁ!そういや海老名さんってリヴァイとか好きそうだよな!」

結衣「へ?姫菜?姫菜は…えーと誰だっけ…あ!そうそうエレンとべ…ベ…べ…なんだっけ…身長高い人」

八幡「ベトベトンさんだろ?」

結衣「そう!それ!あの二人の身長差がどうとかって言ってた」

八幡「はぁん、意外…でもないか。目立つ奴と…名前すら…」

270: 2013/08/31(土) 12:48:45.24
結衣「んー…あ!あのさ。ヒッキーは、あの世界にいたらどうなってたと思う?」

八幡「あん?いやあの世界に東洋系はミカサ以外いないだろ」

結衣「そうじゃなくってー、例えばの話じゃん!」

八幡「んー、なら…そうだな。商会入って、そこそこの地位を得て、んで内地で暮らすだろ。もしくは貴族のお嬢さん捕まえて内地で暮らすだろ」

結衣「それじゃお話にならないでしょ!?」

八幡「いいじゃねえか。人類全体がひきこもってるみたいな世界なんだから、俺一人くらいひきこもってって問題ないだろ?」

結衣「よくないし!だからー!ヒッキーが兵隊さんになったらどうするのかって話!」

八幡「なら最初にそう言えよ。…まぁ、あれだ。忘れてもらっちゃ困るが、俺は顔や頭だけじゃなくて運動系もそこそこ以上に優秀なんだよ」

結衣「また、顔とか自分で言っちゃうしー」

八幡「んでまぁ、立体軌道は個人技だしな。まずいい点を取れると言っていい。そうなりゃ、104期と同期じゃない限り、確実に10位以内には入れんだろ」

結衣「それで、どうするの?」

八幡「そら当然、憲兵団に入って内地で暮らすだろ!」

結衣「結局それだし!ほらーあれ、主人公が入ってる…なんだっけ調査兵団?あれには入らないの?」

八幡「はぁ?ばっかお前、調査兵団なんか嫌に決まってんだろ。巨人に食われるなんて最低じゃねえか。ありえねぇよ」

結衣「えー?でもさ、あたし読んでてヒッキーに向いてそうって思ったんだけど」

八幡「何言ってんの?俺を買いかぶんなよ、俺があんなのに入る氏に急ぎ野郎に見えんの?」

結衣「そう?でも、なんか似たようなこと言ってた人がいたと思ったけど?」

八幡「……馬鹿言えよ。俺はあんなに強くねぇよ」

結衣「でもさ。ほら、ヒッキーって弱い人のこともよくわかるし、あたしのこともよく見てくれてるでしょ?」

八幡「い、いや…見てねえよ」

結衣「ううん、変な意味じゃなくって」

八幡「………」

271: 2013/08/31(土) 12:49:50.55
結衣「あたしは…その、ヒッキーの決断がいつも正しい…なんて思わないけど、それでもヒッキーは今どんな状況にあるかってことはすごくよく考えてるんだな、理解してるんだなーって思うよ?よくわかりすぎるから、ああいう変な決断を下しちゃうのかなーって思ったり、さ。へへ…」

八幡「……随分…似合わないこと言うんだな」

結衣「似合わない?そうかな。あたしはよく考えてるよ?こういうこと」

八幡「そうなのか?」

結衣「うん!」

八幡「………」ポリ

結衣「あ!そうだ!じゃあさ、あたしマルコになるよ!」

八幡「あん?おお、じゃあ永沢くんによろしくな」

結衣「そっちのまる子じゃないし!」

八幡「いやお前、マルコ、男だろ」

結衣「そういうことじゃなくってさ。精神的?っていうのかな、そういう感じのこと!」

八幡「精神的…ね」

結衣「うん!」

八幡「………」

結衣「…へへ」

八幡「……ならさ、お前、その…一応一つ言っとくけど…」

結衣「うん?」

八幡「あれだ、お前。その…勝手に一人で氏んだりされんのは…困るぞ。俺はあいつみたいに強くねぇし、さ」ポリポリ

結衣「うん!約束する!じゃあヒッキー指切りね!指切り!」

280: 2013/08/31(土) 16:47:47.21
「でっかいどー」



雪乃「あら、由比ヶ浜さん、旅行雑誌を読んでいるのね。それは…北海道かしら」

結衣「うん!こんど連休あるでしょ?家族で北海道行くんだよ!」

雪乃「そう。今の季節の北海道も素敵ね。けれどもう少し寒くはなってきていると思うから、暖かい服を持っていきなさいね。この季節でも突然冷えこむことがあるようだから」

結衣「うん、そうする!ありがとゆきのん!」

雪乃「それで、どういう日程を考えているの?」

結衣「えっとねー、まずは函館でー、夜は夜景を見るでしょ?次はレンタカー借りて札幌行ってー時計台とか見て、小樽行ってー、後は旭川動物園とか行って、んで函館戻って飛行機で帰るの」

雪乃「それは…一体何日の日程なのかしら」

結衣「2泊3日だよ?」

雪乃「………」

八幡「いやいやいやいや、お前それマジで言ってんの?」

結衣「な、なにヒッキーいきなり…」

八幡「いや、あのな由比ヶ浜。北海道ってめちゃくちゃでっかいんだぞ?」

結衣「そのくらい知ってるし!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

八幡「いや、その知ってるってレベルが問題なんだよ。あそこ確かに日本語は話してるけど、日本じゃねえぞ」

結衣「どういう意味?」

雪乃「まぁ比企谷くんの言い方はともかく、言っていることは間違いじゃないわね。由比ヶ浜さん、函館から札幌ってどのくらいの距離があるか知っているかしら。300キロは軽く超えるのよ?」

結衣「300キロ…?それって」

八幡「千葉市から静岡行くと大体200キロくらい。300キロだと距離的には名古屋市のあたりまでっつーことになるな」

結衣「な、名古屋!?」

雪乃「ええ、まぁ比企谷くんの言っているのはあくまで直線距離ということでしょうけれど。実際には高速道路などを使っていこうとする場合大回りをしなければ行けないから、300キロと言うとちょうど静岡と愛知の県境を超えたくらいになるんじゃないかしら」

八幡「だな。ちなみに函館から旭川までだと、多分伊賀あたりまで行けるんじゃねえか?」

結衣「伊賀ってなに?どのへん?」

八幡「忍者で有名なとこだ。そうだな…まぁ、かなり大雑把な説明をすりゃ奈良とか京都のちょっと手前くらいか」

結衣「京都!?」

雪乃「それも直線距離で、だけれどね。実際の移動距離で比較すればおそらく豊田市のあたりね」

281: 2013/08/31(土) 16:49:55.43
八幡「つまりだな。山口から千葉に行き、まずは千葉で過ごし、レンタカーを借りて移動、名古屋で味噌カツを食べた後、奈良に寄り、京都で寺巡りをして、その後千葉に戻って飛行機で山口まで帰る」

結衣「むちゃくちゃだ!!」

八幡「だろ?だけどまぁ極端だけど言ってみりゃそんな感じなんだよ。お前の予定は」

結衣「そっかぁ…ううん」

雪乃「片道だけということならば、函館で借りたレンタカーを札幌で返せれば可能性はなくはないかも知れないけれど、それでもほとんどの時間は移動して過ごすことになってしまうし、運転することになるご両親のことを考えると、あまり現実的ではないでしょうね。函館周辺…せいぜい洞爺湖周辺くらいの道南か、札幌周辺と旭川動物園…いずれかに限定することをおすすめするわ」

結衣「うーん…そっかぁ。ママともう一度相談してみる!でも、二人とも詳しいね!」

雪乃「そんなことないわ。このくらい普通よ」

八幡「ま、俺はエア旅行をよくするからな」

結衣「エア旅行って?」

八幡「あれだ。旅行サイトとか雑誌とかで名所とかうまいもんとか調べて、旅行プランを考えんの」

結衣「え?でもそれって普通じゃん?行く前に下調べくらいするでしょ?」

八幡「いや、考えるだけで実際には行かねえんだよ」

結衣「暗すぎるっ!!」

雪乃「比企谷くんクラスになると旅行まで妄想で済ませてしまうのね…さすが、の一言だわ」

八幡「別にいいだろ…。実際に行くのはめんどいんだからさ…。それにほら、役にはたったろ?」

結衣「うーん、まぁ、それはそうだけどー…でもやっぱり北海道っておおき…」

八幡「あん?」

結衣「………」

雪乃「どうしたの?由比ヶ浜さん?」

結衣「…うん、ええっと、あのね…さ、さすが北海道!でっかいどう!!なんちゃって!!」

八幡「………」

雪乃「………」

結衣「あ、あれ?」

八幡「お前さ」

結衣「う、うん?」

八幡「一回言うのちゃんと踏みとどまったよな?」

結衣「う…」

八幡「なんで結局言っちゃうの?どうして最終的にその発言がいけると踏んじゃったの?」

結衣「ううう…。お、面白いかなーって…」

雪乃「由比ヶ浜さん…最近はあなたの言動も改善してきたように感じていたのだけれど…残念だわ…」

結衣「ゆきのん!?ご、ごめんなさい!!もう変なこと言わないからぁ!!いかないで!見捨てないでよぉ!!ゆきのん!ゆきのおおん!ゆきのぉーん!!」

292: 2013/08/31(土) 23:16:18.72
「にらめっこ」



結衣「ねぇ!ヒッキーにらめっこしようよ!」

八幡「は?なんでだよ、いきなり」

結衣「ほら!この前トランプした時、あたしが表情隠せないお陰で負けたって言ってたでしょ?だからえーと、ポーカーフェイス?あれを勉強したいと思って!」

八幡「あー?いいじゃねえか。ほら、女子は少しくらい表情豊かなくらいほうが可愛げがあっていいんじゃねえの?」

結衣「か、かわいい!?ほんと!?」

八幡「おー、まぁ一般的には、な」ペラッ

結衣「ちょっと!!ていうか、そうやってすぐ話そらそうとするのやめてよ!」

八幡「なんなの?もー、今いいとこなんだけどー?上条さんが説教始めたとこなんだよ」

結衣「えー?お説教?それ、そんなに面白いの?」

八幡「いや、正直あんまり」

結衣「ちょっと!!ならいいじゃん!!」

八幡「はいはい、わかったよ。で?どっちが先攻?」

結衣「どっちが先に変な顔するとかじゃないし!!」

八幡「なんだターン制バトルじゃねえの?」

結衣「ターン制ってなんだし!」

八幡「ほら、ドラクエとかポケモンみたいなやつ」

結衣「あー、順番に攻撃するみたいなやつ?…ってだから、そんなんじゃないし!!」

八幡「いや、悪い。俺友達いなかったからにらめっこのルールとか知らねえんだよ」

結衣「あ…ご、ごめん。そうなの?あのね、『にらめっこしましょ、笑うと負けよ、あっぷっぷ』のぷの時に同時に変な顔をするの」

八幡「まぁ、そのくらいは知ってたけどな。小町とした事あるし」

結衣「ちょっと!知ってるんじゃん!うそ禁止!!」

八幡「で?にらめっコールはお前がやんの?」

結衣「え?『にらめっこしましょ』ってやつにらめっコールって言うの?」

八幡「いや?今適当に作った」

結衣「ヒッキー!?」

八幡「つか、やるならさっさとやろうぜ」

293: 2013/08/31(土) 23:17:28.66
結衣「え?案外のり気なの?よし!じゃあ行くよー!にーらめっこしましょ!笑うとだめよ!あっぷっ」

八幡「( ◉◞౪◟◉)」結衣「○(ゝω・*)o」ぷっ!!

結衣「ぶふぅ!!く!くふふふふふふふ!!」

八幡「………」

結衣「あっはっはっはっはっはっははっは!!ひ、ヒッキー!な、なにその顔!!あっはっっはっはっは!!」

八幡「………」

結衣「ひぃっひーひっふうふ。ぷふっふふふ…はぁ…はぁ…」

八幡「( ◉◞౪◟◉)」

結衣「うひっふ!!っちょ!!ぷふぅ!!ぷふふふふふふ!ちょ、ちょっと!!ルール!ルール、守ってよ!!ぷふふっ!」

八幡「………」

結衣「はぁはぁ…く!つ、次!も、もっかい!もっかい!」

八幡「おう」

結衣「にーらめっこしましょ!笑うと負けよ、あっぷっ」

八幡「(ლ ^ิ౪^ิ)」結衣「(´ω`●)」ぷっ!!

結衣「ぶふぅっ!!ちょ、ちょっとヒッキー!?」

八幡「んだよ、今度はちゃんとルールに乗っ取ってんだろ?」

結衣「そ、そりゃああって…ぷふぅ!!あっはっはっはっは!!ダメ!ツボに!ツボに入った!!ぷっふっふっふっふ!」

八幡「………」

結衣「あっはっっはっはっは!!あっはっはっはっはっははは!はははははっははあは!い、息、息が!!」

八幡「( ⌒⃘ ◞⊖◟ ⌒⃘ )」

結衣「やめてってばぁ!!お、お腹いたい!お腹!!ひっひっひひっひっ!ひーひーひー」

八幡「おい、大丈夫か?過呼吸みたいになってんぞ?」

結衣「だ、だれの!ひーひー!あっはっはっははは!せい、せいだと、お、思ってんの!?ひー!ひー!あっはっはは!」

八幡「んだよ、ちゃんとにらめっこしてるだろ?」

結衣「そ、そういうことじゃ!ないし!!ひひっ!くっくく!はぁ、はぁ、はぁ…もっ、もっかい!もっかい!」

八幡「へいへい」

結衣「い、行くよ!にらめっこしましょ!笑っちゃだめよ!あっぷっ」

八幡「(・_・)」結衣「d(≧ω≦*)。」ぷっ!!

結衣「ぷふっ!!!ちょ、ちょっと!!今度はなんでま、真顔なの!?ぷふっ!!あっはっはっはっはは!!」

八幡「んだよ、お前が変な顔すんなって言ったんじゃねえか」

結衣「あはっはっはっはっはっはっは!!そ、そんなことっ!!言って…言って、ないし!!あっはっはっはっは!!」

八幡「( `ิิ,_ゝ´ิ)」

結衣「ちょっと!!やめ、やめてよ!!あはっはっはっっはっはっっはっは!!」

295: 2013/08/31(土) 23:23:07.72
ガラガラ

雪乃「あら、随分賑やかね。由比ヶ浜さん、笑い声が廊下まで響いていたわよ?」

結衣「あ!ゆ、ゆきのん!あの!あのね!ひ、ヒッキーの!顔が!顔が!ぷふっ!!」

雪乃「比企谷くんの顔?いつも通り気持ち悪い顔のままじゃない、これを見ても気分が悪くなることはあっても、笑いのようなプラスの感情に働くことはないと思うわ」

八幡「おい、いきなり出てきて失礼なこと言うのやめろ。だからいつも言ってるだろ?俺は顔立ちは整ってるんだって」

結衣「あ、あれ?」

雪乃「だからいつも言っているでしょう?あなたがパーツが云々ではなくて、とにかく表情が醜いのよ。必然、顔全体も気持ち悪いということになるわ」ハッ

八幡「鼻で笑うんじゃねえよ…」

雪乃「………」ガタン

結衣「…ふふ…はぁ…はぁ…」

雪乃「………」ペラッ

結衣「はぁ…はぁ…」チラッ

八幡「(΄◞ิ౪◟ิ‵ )」

結衣「ちょっと!!!あっはっはっはははは!」

雪乃「…どうしたと言うの…?」

結衣「だって、ひ、ヒッキーが…ヒッキーが!」

雪乃「別に、いつもと同じ顔で読書しているだけじゃない…」

八幡「………」ペラッ

結衣「で、でも!でも、ひひっ!ふふふふふふ!」

雪乃「…はぁ」ペラッ

八幡「(;´༎ຶ ۝ ༎ຶ)」

八幡「(´゚◞౪◟゚`)」

八幡「(☝΄◞ิ۝◟ิ‵)☝」

結衣「ちょっと!!!な、なんで!ひひっ!そ、そんな!変顔のバリエーション豊富なの!!?へ、変な!!ひひっ!!変な顔っ!!しすっ!!しすぎ!!!だからぁあ!!!」

315: 2013/09/01(日) 10:36:59.81
「らのべ」



八幡「千葉県横断お悩みメールー……」

結衣「いえーい」パチパチ

雪乃「………」ペラッ

八幡「雪ノ下はこっちを見もしないしよ…」

結衣「えーと最初のお便りは千葉市にお住まいのーPN:剣豪しょ…」

八幡「………」

雪乃「ちょっと私は平塚先生のところに、しつこいスパムメールについて相談に行ってくるわね」スクッ

結衣「あ!ゆきのん!?」

雪乃「では比企谷くん。『それ』の対応はあなたの担当だから、よろしくお願いするわね」

八幡「おい、勝手に担当にすんな!」

ガラガラ ピシャ

結衣「………」スッ

八幡「おい、お前も無言でパソコンをこっちに押し出すのやめろ」

結衣「だってー…。ほらゆきのんもああ言ってたしー、分業?ってので行こうよ…」

八幡「お前らは分業って言わねえから、ただ人に押し付けてるだけだから」

結衣「もう!いいじゃんヒッキー!さっさと片付けちゃってよ」

八幡「片付けるってお前…なんか悪の組織の幹部みたいになってんぞ…。まぁいいか…『望みを捨てなければいつか叶う可能性は0ではないのかも知れません。希望を捨てずいつまでもいつまでも頑張ってください』とかそんな感じでいくか」

結衣「あれ、なんかヒッキー優しくない?」

八幡「いや、優しさってのは時に残酷なもんなんだよ」

結衣「ふーん?」

八幡「………」カチャカチャ

結衣「ねー、ヒッキー?」

八幡「あー?」

結衣「中2ってさ、本当に作家になるつもりなのかな」

八幡「まぁ、なりたいっつーのは本当なんだろうけどな」

結衣「でもさでもさ。最近二人のおかげで時々本を読むようになったから思うのかもしれないけど、前に読んだ中2の文章ってひどかったじゃん?難しい言葉は使ってるけど、レベル的にはあたしの書く文章と大差ない、っていうか」

八幡「まぁなぁ、結局あいつの場合、努力もしないし。そもそもラノベしか読まないラノベ作家志望者でしかないんだよ」

結衣「どういうこと?」

八幡「ほら、やたら回りくどい表現をしたり、漢字に本来の言葉と違うルビをふったりするのって、いわゆるラノベでは定番なんだよ」

結衣「例えばどういうの?」

八幡「あー、わかりやすい例をあげればだな。ある有名ラノベに一方通行って名前の人気キャラクターがいるんだけど、漢字では一方通行って書くのに、ルビはアクセラレータ…ようするに加速者とか加速装置とかそういう意味の英語が使われてンだよ」

結衣「一方通行って、英語でなんていうの?」

八幡「道交法的な意味での一方通行ってことなら、One-wayとかOne-way trafficってとこかね。ただキャラクターの名前として考えた場合、ワンウェイじゃ多分受けが悪いだろ?」

結衣「んー、よくわかんないけど、なんか中国の人の名前みたいだね」

八幡「あァ、王韦(wang wei)ってか。ま、それはそれで妄想が捗りそうだけどなァ。ただ俺が思うに、そういう少しずらした名付け方とか、変わったルビなんてのは本来の意味を知ってて…ンでなおかつあえてずらしたりするから意味があンだよ」

結衣「ふんふん」

316: 2013/09/01(日) 10:41:28.61

八幡「回りくどい文章にしてみたってそうだ、元々ある程度簡潔でそれでいて意味の通じる文章が書けて、それをあえて読者受けを狙って複雑な文にできるから意味がある。ストーリーにしたってだな、お約束を書くにせよ、お約束を外して書くにせよ、いろんな世界のお約束の流れってのを知らなきゃ書けないもんだと思うんだよ」

結衣「お約束の流れってのはどういうのなの?」

八幡「例えばだな…映画で言えば、最初の10分で主人公や周りの性格なんかが一気に描かれる。メインストーリーに関わる人間はこの辺りで必ず顔を出すと言っていい」

結衣「んー?よくわかんない」

八幡「ほら、『暴走半島』で言えばマフィアがブツを取引するシーンと、その後に続く由比ヶ浜がマフィアの車に間違って乗っちまうシーンだな。そのシーンで観客は由比ヶ浜がうっかり者だと知るわけだ!」

結衣「それ、ヒッキーの作った嘘っこ映画でしょ!?」

八幡「いや、まぁでも、実際そういうもんなんだよ。会話の中で性格を説明するとかじゃなくて、エピソードで観客に実感させるんだな。それでまぁ話はメインストーリーに流れてくんだわ。刑事物だったらここで最初の事件が起こっ主人公が事件に否応なく関わってく、んでだいたいここらへんからメインストーリーと並行していろんな出来事が描かれるのが定番だ」

結衣「んー?あ!ヒロインとの恋愛とか?」

八幡「まぁ、そうだな。アクション映画なんかだと、そういう恋愛要素が絡められてくんのは鉄板だな。ハリウッドで言やこれはラストのほうで事件が解決、んでキスシーンっていうお決まりの流れにするためのもんでもある」

結衣「き、キスシーン…ぼ、暴走半島にも…ある?」

八幡「いや俺の嘘映画つったのお前だろ…。んでまぁ、他にもいろんなパターンってのはあるんだけど、ようするにこういう流れをたくさん知っているってのがお約束を知るってことなんだろうな」

結衣「ふんふん」

八幡「売れてる作家ってのは、ラノベ作家だってこういう、他のジャンルのお約束ってのも勉強してるんじゃねえかな。それをメインターゲットである俺たちの世代に向けて噛み砕いて自分なりの表現に変えていくんだろ、多分だけどな」

結衣「うーん?」

八幡「ただ、材木座の場合は違う。あいつはラノベやアニメしか見ないからな。ただ売れてる作品の表層だけ真似してなぞってるだけだ。俺は模倣して自分独自のもんに昇華させんのも立派な技術だとは思うけど、あいつのはただパクって、それっぽい言葉で繋げてるだけだからな、まったくもって独自性ってもんがない。ようは真似の真似のそのまた真似…それもちゃんと理解せずに体裁だけ整えたもんだ。だからすんげぇ底が浅く感じんだよ」

八幡「あら?独自性がないのも底が浅いのもあなたのお家芸じゃなかったかしら」

八幡「おい、いい笑顔でそういうこと言うのやめろ。言っとくけどあれだぞお前、俺の生活をラノベにして売れば、ファッションボッチじゃないガチボッチの生活っていう新しいジャンルで、多分150万部くらいは売り上げるぞ!独自性って意味は俺がぼっちの時点で既に果たされていると言ってもいい!」

結衣「ちょっとヒッキー!ゆきのんいないからって、自分で自分にそういう突っ込み入れるのは変だよ!?」

八幡「いや、自分で言いながら雪ノ下が聞いてたらこういうだろうなって思ったんだよ。つかお前がさっさと突っ込んでくれれば良かったじゃねえか」

結衣「あたしが何かいうより先に、ヒッキーがゆきのんのモノマネをはじめたんでしょ!?」

八幡「まぁな。ただまぁあれだ。かならずしも面白いラノベが売れるってわけでもないし、文章がうまけりゃ売れるラノベになるってわけでもない。その点からいや、勉強なんかせずに書くってのもありっちゃありなのかも知れん。俺は分の悪い賭けだと思うけどな。そういう意味で希望って言葉を使ったんだよ。ま、あいつにとっちゃそれこそが本当の災厄になるかもしれんけど」

結衣「そっかー。あ、けどさ、さっきの話いいかも!」

八幡「あ?なにが?俺にこれからもぼっちでい続けろって意味?言われなくてもそうなるだろ、ぼっちなめてんのか」

結衣「いや、違くて!ほら!ヒッキーが小説を書くってこと!」

八幡「あー?俺が?なんでそんな話になんだよ」

結衣「だってさっき自分で、自分の生活をラノベにしたらとか言ったじゃん!」

八幡「いや、言ったけどさ。今の完全に冗談でしょ。だいたい本ってのは一冊あたりの印税が10%とかだから、ラノベとかの場合一冊売れて50円とかだぞ。だから仮に150万部とかの…一般文芸で言えば超絶ヒット飛ばしても、7500万とかそんなとこだろ?」

結衣「え、十分すごいじゃん?」

八幡「それが年収ならな。ただそれ一本売れたとしても、その後ヒット作が出せるなんて保証はないだろ?25歳でその本が売れたとして定年までの35年で年割りすりゃ年収200万とかくらいになるじゃねえか。結構、つうか相当厳しいだろ」

結衣「まぁ…それはそうかも…」

八幡「だろ?やっぱ最強なのは専業主夫つうことだ。俺の第一志望だしな。働かない、絶対働かない!」

結衣「まーた、目を腐られてそういうこと言うしー…。うーん、でもヒッキーこういう話語らせたらよく話すし、中2なんかよりずっと文章うまいでしょ?むいてると思うんだけどなー」

八幡「いやいや、材木座が比較対象じゃなんの励みにもならんでしょ。結局、安定した生活がしたいなら、作家なんて考えないほうがいいってわけよ!」

結衣「うーん…あ!じゃあさ、あたしがパートに出るとかは?」

八幡「あ?いや、パートで稼ぐくらいじゃ暮らしていけんでしょ。だいたいそんなことさせるくらいなら普通にリーマンやるっつうの、俺の第2希望は普通に安定したサラリ…いや…まて、つかさ、お前なんの話してんの?」

結衣「あ、ああ!?い、いや!!ご、ご、ごめん!!そ、そ、そんなんじゃなくて!その!そのお金でどうやって暮らしてくのか考えてたらついというか!口が滑ったというか!」

八幡「お、おう…いや、まぁ、なんだ。お前、馬鹿なくせにそういうのは得意、だもんな…」

結衣「う、ううう…ば、馬鹿…いうなし…!!ば、馬鹿にしすぎだからぁ…」

332: 2013/09/01(日) 16:18:27.18
「はりぽた」



結衣「ねぇねぇヒッキー!そういえば来年、UFJにハリポタのアトラクションが出来るの知ってる!?」

雪乃「………」ピクッ

八幡「あ?いや、お前それUSJだろ?ユニバーサルスタジオだよ、UFJじゃ銀行になっちゃうだろ」

結衣「あ、そっかそっか!で、それ!USJ!あれ行ってみたいと思わない?」

雪乃「………」

八幡「あー?いや俺はUSJならどっちかっつうとBIOHAZARD THE REALのほうが行きてぇな」

結衣「それってどんなやつ?」

八幡「日本のゲームが原作のやつだな、ラクーンシティってのが再現されててゾンビ倒しながら脱出ってのを体験できるらしいんだよ」

雪乃「………」ペラッ

結衣「えー?ゾンビってそれホラでしょー?あたし怖いの苦手なんだけど!」

八幡「いや、俺もホラーはあんま得意じゃねえっつか、あえて見ようとは思わないけど。ゾンビものは割と好きなんだよ」

雪乃「比企谷くんの場合、ゾンビを撃ったりなんてしたら同士撃ちになってしまうのではなくって?その辺は大丈夫なのかしら」

八幡「おい、俺ならノーメイクでもゾンビの中に紛れ込めそうとか言うのやめろ。『ウォーキングデッド』なの?『ショーンオブザデッド』なの?」

結衣「ゆきのんそこまで言ってないしー」

雪乃「例としてあげられている作品がなんなのかまったくわからないのだけれど…」

八幡「いや、どっちも生身の人間がゾンビに化けるシーンがあんだよ。一つは完全にシリアス路線なんだけど、そのシーンのせいでギャグに見えちまうんだよな。つか俺は別にさんかれあの千紘みたいなゾンビフェチとかと違ってゾンビそのものが好きなんじゃねえの。俺はゾンビ映画につきものの、終末系の雰囲気が好きなんだよ」

結衣「終末系って?」

八幡「あー…なんつうかな。あれだ。リア充どもが氏滅した世界で、主人公が生き延びるために必氏にもがく、みたいな奴だな。『アイアムレジェンド』の前半なんてボッチの極みだぞ、まぁ映画としてどうかと聞かれりゃ微妙だけどな」

結衣「それ、個人的な恨みが入ってるし!作品が好きとかそういうんじゃないじゃん!!」

雪乃「はぁ…」ペラッ

八幡「いいじゃねえか。どんなものが、どんな理由で好きになるかなんて個人の自由だろ?」

結衣「まぁ…それはそうだけどー」

八幡「…んじゃ、そういうことでいいな」ペラッ

雪乃「………」ペラッ

結衣「ちょっと!」

八幡「なに?なんなの?」

結衣「なんなの?じゃないし!まだハリポタの話終わってないじゃん!」

雪乃「………」ピクッ

八幡「まぁ、そう言われてもだな。俺はハリポタのことなんて知らんフォイ」

結衣「絶対知ってるでしょ!すごく不自然にフォイとか言ってるじゃん!だいたいマルフォイそんな話し方じゃないでしょ!?」

雪乃「………」

八幡「つうかあれだな。マルフォイってもうちょっと活躍すると思ったんだけど、結局ほとんど噛ませ以上の活躍しなかったよな。ベジータ並のかませだわ」

結衣「えー?ベジータって誰?」

雪乃「………」ペラッ

八幡「なに?お前ベジータ知らねぇの?ドラゴンボールのー」

結衣「まーた!そうやって話が脱線するし!だからハリポタの話でしょ!?」

雪乃「………」ピクッ

八幡「お前が聞いたんじゃねえか…、つかお前ハリポタ読んだことあんの?結構長いだろ」

333: 2013/09/01(日) 16:19:44.44
結衣「し、失礼な!あたしだって中学の時に1巻は読んだもん!!と、途中までだけど…」

雪乃「………」

八幡「読めてねぇじゃねえか…つか、なんで中学の時に読もうと思ったんだよ」

結衣「ほら!中学の時に最後のやつ映画でやったでしょ?あれを友達と見に行ったの」

八幡「おと…女友達とか?」

結衣「そうそう!クラスで仲良かった子とね!高校は別になっちゃったんだけど」

八幡「そ、そうか」

結衣「それで、その子が結構ハリポタ好きでさー。映画を見る前に予習をしておけー!って映画全部と本を貸してくれたの」

雪乃「………」

八幡「はぁん。んで、結局読まなかったわけか」

結衣「う…でも一応映画は一応全部見たもん。…ていうかさー、あの本ちょっと重いぃじゃん?」

八幡「あぁ、それはわかるな。俺がハリーポッター読み始めたのは小1の時なんだけど、小1の時なんだけど」

結衣「なんで二回言ったし!」

雪乃「………」

八幡「大事なことだからな。まぁ、んで読む時に手で持つと腕がダルーくなっちまってたから、もっぱら本を下においてうつ伏せになって足をパタパタさせながら読んでたな。こういうのもなんだが、結構可愛かったと思うぞ?」

結衣「またそういうこと自分で言っちゃうし!で、でも昔のヒッキーの写真とかちょっと見てみたいかも」

八幡「ま、機会があれば適当にな。んで、そん時に確かーえーと…。なぁ雪ノ下、俺らが小1の時って何冊目まで出てたっけか?」

雪乃「………。なぜ私に話をふるのかしら」

八幡「だってお前ハリポタ好きだろ?」

結衣「そうなの!?」

雪乃「何を根拠にそんなことを…」

八幡「だってお前、さっきからハリポタの話になるたびにいちいち反応してるし、話に入りたくてしょうがないって顔してんじゃねえか。その証拠にさっきから1ページも本進んでねぇだろ」

雪乃「………」

結衣「ヒッキー…なんでそんなにゆきのんのこと見てるの…?」

八幡「おい!その変な人を見る目で俺を見るのはやめろ。俺はお前らのほう向いて座ってるから、普通に視界に入るんだよ。別に観察してたわけじゃねえから」

334: 2013/09/01(日) 16:20:36.43

結衣「ふぅん…でもなんかヒッキーのそういうとこってさ、ホント、マルフォイみたいな感じだよね。絶対ヒッキー、寮はスリザリンだよ!」

八幡「まぁ、そうだろうな」

結衣「認めちゃうんだ!?」

八幡「いや、だって確実にそうだろ。少なくともグリフィンドールではないわ」

結衣「まぁ、確かにそうかもしれないけどー」

八幡「グリフィンドールなら雪ノ下だよな?」

雪乃「何を言っているの比企谷くん…私はレイブンクローに決まっているでしょう?叡智こそ最大の宝なり、よ」

結衣「おお!」

八幡「即答かよ…やっぱり好きなんじゃねえか」

雪乃「………。そうね。ええ。認めるわ。パンさんほどではないにせよ、好きな作品の部類に入る事は確かだわ。そもそもハリーポッターシリーズは全世界で5億部は売り上げたと言う有名作よ?私が読んでないわけないじゃない」

八幡「すっげー、開きなおったな…。てかそんなに売れてたのかよ。まぁ、一作目は生活保護うけながら書いたのに、最後のほうは自分の城で書いてたってくらいだもんな…」

結衣「でもちょっと意外かも!ゆきのん魔法とかそういうの苦手かと思ってた!」

雪乃「そう?夢を与えてくれるものだもの。実際にあったら素敵だと思うわ」

結衣「さっすが!ゆきのん!!」

雪乃「それで、さきほどの比企谷くんの質問の件だけれど、私たちが1年の頃ということならば、原作、翻訳版ともに『炎のゴブレット』までだったはずよ」

八幡「あー、じゃあ4作目か。つかさ、お前もしかしてハリポタも原書で読んだの?」

雪乃「ええ」

八幡「マジかよ…」

結衣「ゆきのんすご!!」

雪乃「そんなことはないわ…辞書を引きながら、だもの。翻訳本も一応は目を通したのだけれどね、やはり自分の中で出来上がってしまったイメージと離れているから素直に楽しめなかったのよ。それに一日も早く読みたかったし…」

結衣「へぇ~!」

八幡「まぁ、翻訳されんのに1年くらいかかってたからな。なぜかうちにも不氏鳥の騎士団だけ原作があったわ。けど、コックニーをべらんめぇ口調で翻訳してたり、翻訳ものとしては割とありな部類だったんじゃねえか?」

雪乃「そうね…ハグリッドの口調なども印象的だし工夫はされていると思うのだけれどね。ただ少し露骨なキャラクター付けをしすぎているように感じられたのよ」

八幡「ああ、まぁそれはあるかもな。俺もスネイプ先生の吾輩って一人称はないなって思ってたわ」

結衣「ねぇ、ヒッキー?コックニーって何?」

八幡「あ?ああ、英語の訛の一つだな。ロンドンの下町訛っつう感じかな。その流れでアメリカのほうにもそういう言葉を使ってる人もいるらしいけど。ほら、バスの運転手でそういう喋り方のキャラがいたろ?」

結衣「んー、よく覚えてない…。ていうか英語も訛ってあるんだ!」

八幡「当たり前だろ。世界でどんだけの人間が英語喋ってると思ってんの?日本人はやったら英語の発音気にして、恥ずかしがるけど、あんな教科書みたいな発音をしてる奴なんてほんの数%もいねぇんだよ」

雪乃「そうね…アメリカでも北部と南部では、まるで別の言語のように発音が違うわ。私もアラバマに行った時には現地の人の言葉が聞き取れなくて戸惑ったもの」

結衣「へぇ~!!」

八幡「はぁん…お前でもそんなことあんのか」

雪乃「当たり前でしょう…、私をなんだと思っているの?普通の人間なのよ」

八幡「いや、それはちょっと疑わしいけどな…。まぁ、とにかく読み始めた頃には途中までしか出てなかったからな、小6で最終巻がでるまで、ずっともやもやしてたもんだ。発刊ペースが2年ごとだったし」

雪乃「そうね…」

335: 2013/09/01(日) 16:21:41.60
結衣「でもあれだよねー、ハリーって最後、あの子とくっついたでしょ?あたしちょっと意外だったんだけど!」

八幡「そうか?それっぽい伏線は結構張ってあっただろ。むしろ読んでて、『好きなんだったらさっさと告白して付き合えよ!』とか思ったくらいだ。案の定、途中で他の男にとられてるし」

雪乃「………はぁ」

結衣「まぁ、そう…だね…」

八幡「え、なんでお前らそんな微妙な顔してんの…?」

雪乃「別に…」

結衣「…まぁ」

八幡「あー…でも、あれだな。寮ってことなら由比ヶ浜は確実にハッフルパフだよな!!」

結衣「ちょっと!失礼だし!!」

雪乃「そんなことはないわ。三大魔法学校対抗試合でホグワーツ代表に選ばれたのはハッフルパフのセドリックだったもの。それにハッフルパフは心優しい人の寮なわけだから、由比ヶ浜さんにはピッタリだと思うわ」

結衣「ゆきのん!!」

雪乃「けれど比企谷くん。由比ヶ浜さんなら、グリフィンドールという可能性もなくはないんじゃないかしら」

結衣「ほんと!?ゆきのん!!」

雪乃「ええ」

八幡「まぁ、ネビルもグリフィンドールだしな」

結衣「ちょっと!ヒッキー!?それ絶対馬鹿にしてるでしょ!?馬鹿にしてるよね!?馬鹿にしすぎだからぁ!!」

350: 2013/09/02(月) 00:22:11.00
「しゃしん」



結衣「んで、パパキモい!って言ったらパパすっごい落ち込んじゃってさー」

八幡「そら落ち込むだろ…少しは優しくしてやれよ…お父さんまたどっかで相談しだすぞ…」

結衣「えー?でもさー、しつこいんだもん。しょうがないじゃん!」

八幡「いや、まぁ、わからんでもないけどさ…あ、ちょい待ち」

結衣「うん?」

パシャ パシャ

結衣「なにとってるの?」

八幡「いや、この景色割といい感じだと思わん?」

結衣「あ、確かに空綺麗だし。川に夕日反射してるし、いい感じかも!あたしも撮ろ!」

八幡「な?」

結衣「んー。てかさ、ヒッキーって写真撮るの好きなの?」

八幡「あー、いや?ただまぁ、気にいったもんとか、残しておきたいものを撮るくらいはするな」

結衣「ふーん?あ!じゃあさ、写真趣味にすればよくない?」

八幡「いや、つってもカメラ持ってねぇし」

結衣「買えば?」

八幡「高いだろ。一眼とか買おうと思ったら安いのでも5、6万するじゃねえか、高校生には過ぎたおもちゃだっつの」

結衣「あー、まぁそっかぁ。道具いる系はやっぱきついよね」

八幡「だろ?だいたい写真っつたら、プロがもっといいカメラで撮ったすげぇのがいくらでも転がってるしな。後で自分で見返してニヤニヤするくらいのもんなら、Iphoneのカメラで十分なの。HDRとかも使えるし」

結衣「HDRってなに?DVDプレイヤーとかに付いてるやつのこと?」

八幡「それはHDDだろ…。HDRってのはハイダイナミックレンジ合成っつって露出を変えて撮った写真を合成して一枚の写真にするやつだよ」

結衣「露出って言うのがなんなのかよくわからないんだけど…」

八幡「露出ってのは…まぁ、写真の明るさみたいなもんだな。写真ってのはレンズを通してきた光で像を描くもんだから、その光の量でうまく写ったり写らなかったりする。ほら、後ろの空入れて建物の写真撮ろうとした時に建物が真っ暗になっちまったり、逆に空が真っ白になっちまったことってないか?」

結衣「あ!あるある!」

八幡「あれは空を綺麗に写すための光量と、建物を綺麗に写すための光量が違うから起こるんだよ。そういう場合にそれぞれを綺麗に撮影しておいて、いいとこどりをするのがHDR撮影っつうわけ。ほら、さっきの写真で言えばこんな感じになる」

結衣「ほんとだ、あたしの撮ったのよりきれー」

八幡「な?純粋なカメラの性能でいや、お前のケータイのがいいんだろうけど、アプリでその辺をカバーできんだよ。ほかにもトイカメラ風に撮れるやつとか、漫画風に撮れるやつとかもある。結構あそべるぞ。そうIphoneならね」

351: 2013/09/02(月) 00:23:31.46
結衣「へー。ねぇ、ヒッキー?ほかの写真も見ていい?」

八幡「おう、まぁつってもたいした写真は入ってな…ってちょっと待て!」

結衣「んー?だいじょぶだいじょぶ、今さら小町ちゃんの写真が入ってるくらいじゃ驚かないよ?」

八幡「いや、そうじゃないんだって!」

結衣「へー、さすがヒッキーいい写真がいっぱ……え?」

八幡「あー…」

結衣「ひ、ひっきー?こ、こ、これ、あ、あ、あたしの写真が入ってるんだけど!し、しかも!寝顔って!い、い、いつ撮ったの!?」

八幡「…あ、あのな、そ、それはだな。あ、そうだ、ほら、あの、前にお前が部室で寝てた時あったろ?あん時とったんだよ、ほらあれだ!よだれ出して寝てたからな?後で見せてやろうと思ってな?」

結衣「よ、よだれなんかたらしてないし!そ、そんなの写真に写ってないじゃん!!それに…その、ニヤニヤとか…その…」

八幡「いや…それはだな」

結衣「ううう!ひ、ヒッキーの変態!ば、馬鹿!!そ、その、と、盗撮魔!!」

八幡「おい!ちげぇから!それに、言うに事欠いてそれはねえだろ。だ、だいたいだな、それ言ったらお前だってアウトだろ!お前が前にツイッターにあげた写真、そもそもなんでお前が持ってたのって話…に…が…」

結衣「あ、あれは…その…こ、小町ちゃんが…小町ちゃんに…というか…そ、その…」

八幡「あー…」

結衣「ええと…その…」

八幡「………」

結衣「そ、その!あたしはね!ひ、ひっー」

八幡「あ、それは!あれだ!あれだろ?お前?」

結衣「え?」

八幡「ほ、ほら、あれだ。ぶ、部活のことを?他のやつに言う時に?あれだ、説明のためにいるよな?写真ってな?」

結衣「え?あ!そ、そう、だ、だよねー?あ、あたしもほら!ゆきのんの写真も持ってるし!!ほら!パパとかママに説明する時とかに!こ、これがヒッキーで!こっちがゆきのんなんだよ!って言えばちょーわかりやすいし!!ね!?」

八幡「だなー!そういうことだよなー!!便利だもんな?」

結衣「だ、だよねー?ぜ、全然おかしくないよねー?」

八幡「ははは…」

結衣「へへへ…」

八幡「はは…」

結衣「へへ…」

八幡「………」ポリポリ

結衣「………」カァ

352: 2013/09/02(月) 00:25:29.80
八幡「か、帰るか…」

結衣「あ、う、うん……。あ!ちょ、ちょっと待って!」

八幡「なんだよ…」

結衣「ほ、ほら!じゃあさ!ひ、ヒッキーの写真撮らせてよ!写真!!」

八幡「い、いや、なんでだよ。持ってるだろ。写真…」

結衣「そ、それは…その、ほら…ええっと、あ!あの時消しちゃって!今持ってなくって!ほ、ほら!説明するのに、写真が必要ーって言ったの、ヒッキーでしょ!?だ、だから…」

八幡「いや…そうなんだけどさ…」

結衣「ひ、一人で写るのが嫌なら…その、ふたー」

八幡「じゃあ!どんな顔すりゃいいの?ドヤ顔か?キメ顔か?左斜めからが一番いいぞ!!」

結衣「ふ、普通でいいし!ていうか、自分の決め角度とか知ってるとか、ちょ、ちょっと、きもいし!!」

八幡「そうか…す、すまん…」

結衣「い、いいけど…じゃあ、じゃあ撮るよ?」

八幡「お、おう…」

パシャッ

結衣「んー…。てかヒッキーちゃんとカメラのほう見てよ!」

八幡「いや、でもさ…」

結衣「いいから!」

八幡「お、おう…」

パシャッ

八幡「もういいか?」

結衣「んー…いまいち…」

八幡「いまいちとかいうなよ…」

結衣「なんでだろ…眼で見るともっとこう…」ブツブツ

八幡「…もういいか?」

結衣「よ、よくないし!!そ、そうだ!ヒッキーさっき言ってたキメ顔!キメ顔やって!!」

八幡「えぇ?いやさ、お前さっきキモいって…」

結衣「いいからぁ!!」

八幡「こ、こうか?」ニヤ

結衣「変な笑いすんなし!!」

八幡「すまん…」

結衣「ん…じゃ、じゃあ…撮るよ?」

八幡「お、おう…」

353: 2013/09/02(月) 00:27:12.73
パシャ

八幡「もういいか?」

結衣「……ん。お、おっけー」

八幡「そうか…んじゃ、お…いや…帰ろうぜ」スタスタ

結衣「ん…」

結衣「………」カチカチ

結衣「………」ジー

結衣「…か、かっこいい…えへへ…」カァ

結衣「………」カチカチ

結衣「待ち受け…?ううん…でも優美子とかに見られたら…で、でも…ううん…」

八幡「由比ヶ浜ー?」

結衣「あ!ご、ごめん!い、今行く!!」

結衣「………。帰ってからじっくりみよっと!へへ…」

418: 2013/09/10(火) 15:31:49.16
「あなたといると」



結衣「暗くなるの早くなったねー」

八幡「だな。ちょっと前まではこの時間なら普通に太陽出てたのに、今じゃもう月が見えるもんな」

結衣「だねー」

八幡「ダネーって何お前、フシギダネなの?」

結衣「返事しただけじゃん~。でも、それポケモンでしょ?」

八幡「あれ、お前知ってんの?」

結衣「うん、あたしも3DS持ってるし。ソフトもパパがくれたの持ってるもん!」

八幡「はぁん、それはパパさんGJだな。じゃあ今度ポケモン交換しようぜ、俺友達いねぇから、交換で進化させるやつ進化させれねえんだよ」

結衣「やるやる!!けど理由は悲しい!!あ、でもそいやさーフシギダネの背中に付いてる植物ってなに?」

八幡「さぁなぁ、気になる木じゃねえの?」

結衣「気になる木ってなんだし!聞いた事ないし!」

八幡「いや、なんかそういうCM見た事あるんだよ。ニコニコかyoutubeかどこで見たかは忘れたけど」

結衣「ほんと、ヒッキー適当だよねー。あ、そだ!ヒッキーってさ地理は得意?」

八幡「は?なんで急にそんな話になんの?」

結衣「え?なんでだろ、気になるつながり?」

八幡「お前もまたえらい適当だな、話があさってのほうに飛びすぎだろ」

結衣「え、えへへ。ひ、ヒッキーのが移っちゃった、のかな?」

八幡「いや、お前もとからかなり適当だろ」

結衣「ちょっと!!むー…でさ、どうなの?」

八幡「あー…どうかな。まぁ不得意じゃねえけど、すごく得意ってわけでもねえな。多分普通だ。ただ、まぁお前よりは詳しいのは確かだから質問を聞いてやるのはやぶさかじゃねえぞ?」

結衣「ちょっと!なんか失礼だし!!」

八幡「じゃあ質問じゃねえの?」

結衣「……。質問だけど…」

八幡「じゃあいいじゃねえか!」ニカッ

結衣「爽やかな笑顔見せんなし!ちょっとかっこいいのが余計むかつくし!」

419: 2013/09/10(火) 15:32:26.62
八幡「んで?」

結衣「え?んでって…ああ!えっとね、あたし島根と鳥取ってどっちがどっちだかわからなくなるんだけど」

八幡「いや、その2件は平成の大合併でくっついて鳥根県になっちゃじゃねえか。だからどっちとか覚える必要もうねえよ、安心しろ」

結衣「あ…そうなん…って絶対違う!!大合併って村とか町がなくなった奴でしょ!?あたしだってそのくらい知ってるし!!」

八幡「まぁ、なくなったっていうか、ほかのとことくっついたんだけどな。つか、お前よく知ってたな」

結衣「うん。あのね。パパの生まれた町、なくなっちゃったんだって。前に言ってた!」

八幡「普段からぼろくそに言われてんのに…泣きっ面に蜂じゃねえか……」

結衣「泣きっ面の八幡!」

八幡「おい、うまい事言ったみたいな顔してんじゃねぇよ。だいたいそんな話、もう小学生ん時ことわざのならった時点で言われてんだよ。お前は7年遅い」

結衣「あ、そ、そうなんだ。な、なんか嫌な事思い出させるようなこと言っちゃって…ごめんね?ヒッキー」

八幡「おい、本気で謝るのはやめろ、逆に傷ついちゃうだろ。まぁ、だいたいだな、その時はむしろクラスメイトが俺の下の名前を覚えていたことに、逆に驚きと言うか、むしろ感激したんだよ」

結衣「卑屈すぎるっ!!だから、ヒッキーそれ暗いし!!」

八幡「ち、違うから…こ、これも俺の個性だから…」

結衣「声そんなに震わせながら言っても説得力ないし…」

八幡「まぁ、あれだ山口の隣が島根だよ。左山口右島根、そのまた右が鳥取だ。吉田君が言ってたから間違いない」

結衣「へ?なんの話?」

八幡「なにって…お前の質問の話だろ?」

結衣「あぁ、元の話に戻ってたんだ。ヒッキーのほうこそ唐突すぎるし…。だいたい吉田君て誰だし…でもさ…あたしそもそも山口がどこかよくわからないんだけど…」

八幡「長州だよ、幕末だなんだで歴史でもやったろ?」

結衣「よく覚えてない…」

八幡「下関は?フグの名産地だ」

結衣「ふぐ?あ!あたしふぐ刺し食べてみたい!」

八幡「いやでも、高いんじゃねえのあれって。俺も食った事ないからよくは知らんけど」

結衣「じゃあ頑張っていっぱいお給料もらってよぉ」

八幡「いやさ、そういうごちそうすること決定、みたいな言い方すんのやめてくんない?」

結衣「ただの冗談じゃん!別に…本気で奢らせようなんて思って言ったわけじゃ…ないし」

八幡「いや、割り勘だろうが奢りだろうが、いずれにしても高校生のうちは無理だろ。下関は遠いしな」

結衣「え!?つ、連れてってくれるの?」

八幡「あ…いや…その、それは、まぁ、あれだ、そのうちと言うか、例えばの話だぞ?例えばの。…いやさ、お前はそうやって会話の方向音痴っぷりを発揮するのやめろ。お前、ほんとにリア充なの?」

結衣「ヒッキーも似たようなもんじゃん!」

八幡「比較対象にぼっちの俺を持ってくる時点で間違ってるだろ。だいたい俺の場合はわざとやってるからいいんだよ」

結衣「よくないし!そのほうが悪質じゃん!!でも、まぁ…あ、あたしもさ、その…時々わざと言う事あるけどさ」

八幡「いや、そういうわかっててあえて言うみたいな計算はお前には向いてねえだろ。やめとけよ」

結衣「結果がわかってるとかじゃないし!結果がわからないから…その…どういう反応するかなーって気になって言ってみるんじゃん…」

八幡「そ、そうか……。って違うだろ。だから、また変な方向にいってるから」

結衣「え?あ、そ、そっか。ご、ごめん」

八幡「いや…あー、まぁいいや。んで結局下関はどこかわかってんの?」

結衣「え?わかんない…」

八幡「そうですか…」

420: 2013/09/10(火) 15:34:14.05
結衣「………」

八幡「………」

結衣「…ほら…素直に言ったら言ったで、こうやって話止まちゃうじゃんー…」

八幡「いや、だからそういう反応を期待してわざと止めたんだよ」

結衣「ちょっと!」

八幡「まずだな。山口は本州の一番西…いや左端だ。さすがに本州はわかんだろ?」

結衣「そりゃねー、千葉があるのだって本州でしょ?」

八幡「だな、当然ながら日本で一番県が多い島だ。山口は九州に近いから、橋もここからかかってる。つまり車でも新幹線でも陸路で九州に渡る時には必ず通る県だな」

結衣「そっかー九州ねー。あ、でもさ、ヒッキー?九州ってなんで九州って言うの?九つも県、思い浮かばないんだけど…」

八幡「いや、お前どうせ3つくらいしか思い出してねぇだろ。小さな嘘交えんなよ」

結衣「し、失礼な!5つくらいは思い浮かんでるもん!」

八幡「ほう?んじゃ言ってみ?」

結衣「え…?ええと…まず長崎でしょ?」

八幡「それは合ってるな。まずは一つ」

結衣「あとは…大分に…熊本…。それに…ええと、博多と高知?」

八幡「博多は県じゃなくて都市の名前だから。まぁ名古屋のが有名な愛知と一緒で、福岡よりも博多って名前のが有名だもんな。そういう、私に合わせて教科書も改訂しろ!!みたいなバイタリティは買うわ」

結衣「あ、あたし別にそんな主張したわけじゃないし!!あたしそんな風に自分の都合を他の人に押し付けたりしないし!!」

八幡「まぁ、広いこの世の中にゃ、そんなことを言ってくる奴もやつもわんさといるんだよ。だいたいさ、お前、坂本竜馬の高知が四国ってくらいは日本人として覚えておこうぜ。あと九州は大分、鹿児島、熊本、佐賀、長崎、福岡、宮崎の7つだな」

結衣「えー?じゃあなんで7個なのに、九州は九州って言うの?」

八幡「まぁ昔の行政区分がどうだかって聞いたことあるけどな。ま、知ってても教えねぇよ。そんなに知りたきゃ、明日、雪ノ下にでも聞けよ」

結衣「いきなり放り投げたし!!ヒッキーもわからないなら、わからないって認めたら!?前にゆきのんも言ってたでしょ!?知らないと言うことを知っていると言う…なんとかって言う奴だっけ?」

八幡「いや、俺は知ってるぜ?でもな…そこはあえて答えないんだよ。お前にはそれが、なぜだかわかるか?」

結衣「えー?なんで?」

八幡「はぁ…なんだ?わからないのか?まぁお前程度じゃわからないだろうな、なぜお前にはわからないと思う?それはお前が俺の域に達していないからだ」

結衣「なにその言い方!?超わかりにくい…って言うかほんと全然わかんないし!!」

八幡「いやな、展開知ってるのにこの前、本気で泣きかけたんだよ。あの表情はないわ」

結衣「ヒッキーもー、何言ってるかマジでわかんないし…あたしじゃツッコミ切れないし!」

八幡「え…?お前は自分の事をツッコミ役って認識してたの…?それはとんでもない勘違いだろ」

結衣「でも、あたしだって結構頑張ってるでしょ!?」

八幡「いやいやいやいや、お前のツッコミって『ちょっと』と『馬鹿にしすぎだから』を組み合わせば八割型成り立つじゃねえか」

結衣「ちょっと!!そんなことないし!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

八幡「………」

結衣「あ…ああと…ええっと…今のは、そのたまたまであって…あ!てかさ!四国は四つでしょ?」

八幡「相当無理矢理に話もどしたな…。まぁ、けどそうだな。四国は愛媛、高知、香川、徳島の四つだ。あ、ちなみにこの並べ方には知名度だとか、人口とかそういう他意は一切ないぞ?ただのあいうえお順な」

結衣「そんなこと思ってないし!だいたい人口とか知名度とか言われても、そのあたりのこと全然知らないから、よくわかんないんだけど…」

八幡「みかんの国は?」

結衣「あ!それは知ってる!愛媛でしょ?愛媛みかんって、ダンボールみたことあるし!」

八幡「まぁ、いわゆる一般的なみかんの生産量に関しては、今は和歌山に追い抜かれちゃいるけどな。ただそれは他の柑橘類にばらけたからだって聞いた事がある。昔親父が出張の時、ぽんかんだの…なんだのって奴を色々買ってきたんだけどうまかったわ」

結衣「へぇ~!」

八幡「ほかにも『坊ちゃん』とか『道後温泉』もあるからな。愛媛は坂本竜馬の高知と並んで、一般的な知名度は高いかもな。ネットだとうどん県こと香川が有名だけど」

421: 2013/09/10(火) 15:36:04.16
結衣「ふうん。てかさ、道後温泉ってなに?」

八幡「ほら、千と千尋の神隠しで出てきた湯屋があるだろ。あそこの外見のモデルになったってつう温泉があんだけど、それが道後温泉ってやつなんだよ」

結衣「へぇ~、あれってモデルがあったんだ!」

八幡「まぁ、そこだけじゃなくて、いろんな場所の雰囲気のいいとこを寄せ集めたってのが正解らしいけどな。夏目漱石はその温泉がある松山って町で英語の教師をしてて、その時の経験を後に小説にしてるんだな。まぁその中で、その町にことは結構ぼろくそに書いてんだけど、唯一褒めてると言っていいのが道後温泉だ」

結衣「あ!それ知ってる!教科書に出てた!なんだっけ…」

八幡「いや、だからそれが『坊ちゃん』なんだって、話聞いてた?」

422: 2013/09/10(火) 15:42:28.33
結衣「あ、そっかそっか…。ていうかさ夏目漱石って英語の先生だったんだ?」

八幡「ああ。つか言っとくが漱石は大学だって英文学専攻なんだぞ?ロンドンに留学した経験もあるしな。ああ、あとちなみに言っとくとロンドンでは鬱だが統失だかの精神疾患病にもかかってる。これ豆な」

結衣「だからそんな豆チいらないし!使いづらいし!」

八幡「ちなみに漱石にはこんな逸話もあるぞ?ある時、漱石は一人の生徒が訳してきた文章を見てこう言った『この文章は直訳するのではなく「月が綺麗ですね」のように訳したほうがいいでしょう、それで伝わります』ってな」

結衣「えー?むーんいずびゅーてぃふるとかじゃないの?」

八幡「ばっかお前、それじゃ直訳だろ。意外な言葉をそう訳してるから、漱石の英語に堪能で、文的なセンスにも長けてたってことを示す逸話になるんじゃねえか。あれだI L…」

結衣「あいら?」

八幡「………」

結衣「ヒッキー?」

八幡「ああ、いや、まぁ、この話はいいや、別の話しようぜ?」

結衣「ええ!?ちょっと待ってよヒッキー、そんなところで止められたら気になるし!」

八幡「いや、俺としてもこの話は確かな話じゃないんだよ。いい加減なこと教えるのも俺のポリシーに反するし、忘れろ」

結衣「ヒッキーいっつも嘘ばっかり教えるくせになに言ってるの!?じゃあいいよ!ゆきのんに聞くし!」

八幡「いや、この話は後世による創作って話もあるからな、そんな変なこと聞いたら雪ノ下がまた機嫌を損ねるぞ?だからやめとけって」

結衣「えー!?だってー気になるしー…」

八幡「いやさ…それはわかるんだけどさ…」

結衣「むー……」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「…はぁ…それは、その、あれだ…」

結衣「……あれって何?」

八幡「いや、だからさ…なんだ?俺も…ちゃんと事実かどうか調べとくからさ。だから、なに?その、あー…確証が持てたら…その時は、ちゃんと教えるわ。だから、その…もうちょい時間くれ」

結衣「もうちょいって?」

八幡「いや…もうちょいはもうちょいだって…。だから、いや、あれだ。ネットとかの情報だけで、適当言うわけにもいかんからな…。だから、まぁ2、3日とかじゃ無理だけどさ」

結衣「そんなに長くはかからない?」

八幡「いや、そんなこと言い切ることはできんけどさ…」

結衣「ヒッキー?」

八幡「いや、あー、ただ、まぁ、その、なんだ?善処は、するわ」ボリボリ

結衣「そっか…うん、わかった。じゃあ、あたし、ヒッキーが教えてくれるまで待ってるね?」

八幡「ああ…助かる」

結衣「うん!でもお月様かぁ、そう言われたら今日のお月様も綺麗だね!」

八幡「………。そうか?半分近く雲に隠れかけてるじゃねえか」

結衣「えー?でもなんか今日のはいつもより綺麗に見えない?」

八幡「………。まぁ…そう言われりゃ綺麗に見えなくもないかも、な」

結衣「でしょでしょ?」

八幡「………。まぁ…ハニトーもうまかったし、な」ボソッ

結衣「へ?なんか言った?」

八幡「いや…。つか、お前さ。ほんとはあんま馬鹿じゃねえんじゃねえの…?」

結衣「??。どういうこと?」

八幡「なんでもねえよ。さ、帰るならさっさと帰ろうぜ?ほらあれだ、ポケモンの話したらポケモンしたくなってきたしな」

結衣「うん!!んじゃ、行こヒッキー」

441: 2013/09/11(水) 11:56:10.22
「もっとしりたい」



結衣「ねぇ、ゆきのん!これって効果あるかなぁ?」

雪乃「これは…よく宣伝をしている英語教材ね」

結衣「あ、ゆきのんも知ってるんだ!」

雪乃「えぇ、まぁ」

結衣「そうなんだ!でさ、どう思う?」

雪乃「個人的にはまったくおすすめはできないわね」

結衣「え、そ、そうなの?聞き流せばいいとか楽そうでよくない?」

雪乃「由比ヶ浜さん…。勉強と言うものは、いえ…英語というのは言語だから、勉強とくくってしまうのは個人的には好きではないのだけれど…まぁいいわ。勉強というものは楽しくできることはあっても楽をしてできるようになるなんてあり得ないのよ」

結衣「そ、そうなの?勉強を…楽しく?」

雪乃「ええ、これは私の話なのだけれど、私は小さい頃にパンさんの原書をもらって、それが読みたいがために、辞書を片手に必氏に読んだわ。それから、ハリーポッターをはじめとする他の原書などにも手を出していったのだけれど、気がついたらある程度の文章は読めるし、書けるようになっていたわ」

結衣「さすがゆきのん!」

雪乃「けれど、私はそれを英語を勉強しようと思ってやっていたわけではないの。あくまで本の続きが気になって、その手段として英語の文章を読んでいただけだもの。好きな事をやっていたら、知らないうちに英語もある程度身に付いていただけなのよ」

結衣「なるほどー…好きな事かぁ」

雪乃「…これはおそらく比企谷くんにも言えることだと思うわ。彼はいつも国語が学年3位だと自慢にもならない自慢をしているけれど」

結衣「あはは…ゆきのんいっつも一位だもんね」

雪乃「ええ。ただ私は彼がそんなに必氏になって勉強をしているとは思っていないのよ。おそらく彼は単純に本が好きで、とにかく小さい頃からよく読んでいたのではないかしら。それが結果として読解力などを身につける結果を生んだのよ」

結衣「あー、確かにそんな感じがする!」

雪乃「でしょう?。正直、小さい頃からよく本を読んでいた人間の立場から言わせてもらえば、学校のテストやセンター試験レベルの問題なんて、文字通り問題にすらならないもの」

結衣「すごいなぁ…さすがゆきのんにヒッキー…」

雪乃「それにあなたも以前言っていたじゃない。勉強はやる気になった時にやったほうがいいって。好きなこと…好きなものに関するものは自然と、そのやる気が出ている状態になっているようなものだわ。ほら、あなただってお洒落やファッションなどの事に関してはあんなに詳しいじゃない」

結衣「あ!それはそうかも!気になった内容のこととか一発で覚えちゃう!」

雪乃「でしょう?部活をしていても、それは時々感じるもの」

結衣「え?どういう意味?」

雪乃「あなたを納得させるには、さっきみたいな実例をあげるのが効果的、という意味よ」

結衣「んん?あ、でも確かにファッションの話はわかりやすかったかも!」

442: 2013/09/11(水) 11:57:39.68
ガラガラ


八幡「おう」

結衣「あ!ヒッキー!」

雪乃「遅いわよ、比企谷くん」

八幡「あー悪い。ちょっと平塚先生に呼び出し受けててな」

結衣「また変な作文出したの?」

八幡「まぁ、そういうわけじゃないんだけどさ。つかいいだろ別に、痛い思いしたし、あんま思い出したくないんだよ」

結衣「また殴られたんだ…」

雪乃「思い出したくないのではなくて、思い出せないだけでしょう?相変わらず鳥のような記憶力ね」

八幡「おい、言っとくけど俺は記憶力だっていいんだよ。中学の時はクラスメイトどころか選択科目で一回一緒になっただけの女子のフルネームさえ記憶してたくらいだぞ」

結衣「ええー…?それは逆に引くかも…」

八幡「いやまぁ、実際に引かれたんだよ。あの時のさやかちゃんの引きつった顔はいまだに忘れられんわ」

結衣「気持ち悪い…」

雪乃「気持ち悪い…」

八幡「おい、素直な感想をかぶせてくるのはやめろ。傷ついちゃうだろうが…ていうか何、今日も今日とて頭の悪そうな雑誌を…ああ、これあれか例の聞き流す奴か」

結衣「そうそう!今、ゆきのんとその話してたの!ヒッキーも知ってるの?」

八幡「まぁなぁ、けどこれはやめとけ。俺はサンプルも聞いた事あるけど、そもそも根本的な問題があんだろ」

結衣「根本的な問題?どういうこと?」

八幡「由比ヶ浜。そもそもお前の母国語は何語だよ」

結衣「え?日本語だけど…」

八幡「だろ?じゃあ、ここで問題だ。由比ヶ浜は流行の洋楽と邦楽、二つを同じだけ聞きました。さてどっちの歌詞のほうをより覚えているでしょうか」

結衣「それは邦楽かも。あ、そっか」

八幡「まぁ、そういうことだ。俺らが日本人であり、日本語を日常的に使っている以上、日本語のほうがより簡単に、そして強く記憶に残りやすいもんなんだよ。ほら英単語覚えようと書き取りとかした時に、和訳だけ覚えちまって英単語のほうは思い出せないなんてことあったろ?」

結衣「あ、うん、あった…」

八幡「な?あの教材が日本語と英語を交互に流してる以上、耳に残りやすいのは圧倒的に日本語のほうなんだよ。むしろあのペースで交互に流されてみろ。頭が切り替わらんから、日本語ばっか覚えちまって英語は本当の意味で聞き流すちまうなんて状況十分にありえるぞ」

雪乃「言えているわね」

結衣「そっかぁ…」

443: 2013/09/11(水) 11:59:07.54
八幡「ま、どうせ聞くならpodcastでジェフのESLpodcastでも聞けよ。わりと捗るぞ」

結衣「なにそれ?」

八幡「まぁPodcastってのはiTuneで聞ける、まぁ…無料のラジオ番組みたいなもんだと思ってもらやいい。その中でジェフって人がESLPodcastってのをやってんだよ。全編英語なんだけどな」

結衣「あたしにそんなの無理だし!」

八幡「いや、そうでもねぇぞ?基本的に話すスピードはネイティブスピードの半分くらいでゆっくりだし、単語の意味ももっとわかりやすい単語使っていちいち解説してくれるしな。そのうちにジェフのくだらないアメリカンジョークで引いたり、顔をしかめたり『お、おう…』っていいたくなってくんぞ」

結衣「それ、全部微妙な反応じゃん!!」

八幡「まぁ、ギャグのセンスはないんだよ。アメリカにも親父ギャグってあるんだなーって感じだ。ほら、最近俺のギャグの切れがなくなってきたろ?それは奴の影響だ」

結衣「ヒッキーのギャグが面白かった事とかないし!傷つくだけだしっ!」

雪乃「まぁ実際に聞き、話す、実学に勝るものはないものね。可能ならば英語は英語として概念で理解してしまえれば、それに越したことはないもの」

結衣「どういうこと?」

雪乃「簡単に言えば…例えば、そうね。林檎を見てそれを日本語の林檎、そしてそれを英訳してappleとしていたのでは余計な一手間が増えてしまうもの。林檎を見た時点で林檎とappleとが同時に出てくるようにしてしまえば、その手間はいらなくなるわ」

結衣「ううん…」

八幡「随分、簡単にそうに言ってくれるな」

雪乃「そう?けれど、最終的にはそれが一番の近道だと私は思っているもの。英語を英語として理解してしまえれば、英語の問題だなんて国語の問題よりはるかに簡単だもの。訳すのなんて、必要な時だけすればいいわ。まぁそれでも国語と英語の成績は変わらないのだけれど」

八幡「はいはい、どっちも満点って言うんですよね。すごいすごい」

結衣「あはは…」

八幡「つかまぁ、そもそもだな。楽して勉強しようなんて考えるんがそもそも間違いなんだよ。楽しく勉強っつうのはあっても楽して勉強つうのはねえんだよ」

結衣「あ!それゆきのんも同じこと言ってた!」

八幡「あ?そうなのか?ああ…あれかどうせパンさんとかの話だろ」

雪乃「そう…なのだけれど、あなたに言い当てられるてもまったく嬉しくないわね…」プイッ

結衣「そうそう!ヒッキーよくわかったね」

八幡「まぁ、前に聞いたからな。言ったろ?記憶力はいいんだよ。それに俺も同じような経験してるしな。そもそも俺は好きで本を読んでー」

結衣「あ!その話もゆきのんから聞いた!意識して勉強とかしたことないのに、国語の成績はいいって話でしょ?」

八幡「は?あれ?なんでそれ知ってんの?俺、お前らにその話した覚えないんだけど…いやほんとなんで知ってんの?怖えぇよ」

雪乃「別に、事実関係から推測したにすぎないわ。うぬぼれないで頂戴。大体あなただって似たような事をよくしているでしょう」

結衣「そうそう、ヒッキーって言ってもないこと言い当てたりするもんね」

八幡「いや、まぁ、それはそうなんだけどさ…」

雪乃「それより、他にも楽しく勉強する方法があると言うのならば、もっと由比ヶ浜さんに伝授してあげればいいのではないかしら。その比企谷くんが教えてあげた内容は、由比ヶ浜さんにとっては、よりスムーズに理解できるようだもの」

結衣「あ!うん、あたしももっと知りたい!」

八幡「そうか?あー…じゃあこれも英語の話になるんだけど、親父さんのDVDで映画を見るってのもいいかもな」

雪乃「へぇ…映画…そんな方法もあるのね…」

結衣「映画なら時々見てるけど、全然覚えらんないよ?」

八幡「いや吹き替えで見てんのに、英語上達するわけねえだろ。ようはだな、最初は吹き替え、次に英語音声日本語字幕、次に英語音声英語字幕、んで字幕なしって具合にだな。だんだんレベルをあげていくわけだ。そうすっと、大体最初に日本語で見た時に内容を理解してるからな、英語で何言っているかわからないけど、意味はわかるような状況が出来上がってくるわけだ。まぁ、これはさっき雪ノ下が言っていた内容にー」

446: 2013/09/11(水) 14:18:03.25
「ぼんぼん」



雪乃「お茶が入ったわよ」

結衣「やったぁ!ありがとゆきのん!!あ、でも、ごめんゆきのん。今日あたしお菓子を持ってきてないんだ」

雪乃「いえ、いいのよ、由比ヶ浜さん。今日は私が持ってきたわ」

結衣「え?ほんと!ゆきのんがお菓子なんて珍しいね!わわ、なにこれゆきのん!」

雪乃「ウイスキーボンボンよ由比ヶ浜さん。性格にはそれをチョコレートでコーティングしたものだけれど」

八幡「なんかまたえらい高そうなものを持って来たな」

雪乃「いえ、別に。ただの貰い物だもの」

八幡「普通はあんまこんな高級そうな菓子、高校生がもらわないけどな…」

結衣「これ、食べていいの?ゆきのん?」

雪乃「ええ、どんどん食べてくれていいわ。わたしはあまり得意ではないものだから」

結衣「やったぁ!わ!何これ!ちょっとホロ苦いけど、結構美味しい!!」モグモグ

八幡「おい、大丈夫なのか?」

結衣「へーきへーき!だって美味しいよ?ヒッキーも食べれば?」モグモグ

八幡「お前は結構いける口なのか?まぁ、俺はいいわ」

結衣「ふーん?美味しいのに」モグモグ

八幡「なぁ、雪ノ下?そういやさ、ウイスキーボンボンのボンボンってなんなんだ?」

雪乃「大元を辿れば、よいを意味するbonと言葉を二回繰り返したものよ。あなただってBon Voyageくらいは聞いた事あるでしょう?」

八幡「あぁ、良い航海を!ってやつだっけ」

雪乃「別に船旅に限定するわけではないのだけれど」

結衣「………」モグモグ

八幡「そうなのか」

雪乃「ええ。まぁもちろん昔は、長旅と言えば船旅がメインだから、そういった意味で使われることが多かったのは事実だけれど。それでボンボン菓子というのは、砂糖でできた殻で果物やナッツなどをくるんだもの…を指すわね。中でもウイスキーボンボンはその殻の中にウイスキーを入れたものを指すわ。ボンボン・ア・ラ・リキュールとも言うわね」

結衣「………」モグモグ

八幡「なんだ。ボンボンって言うから講談社の雑誌のことかと思ったわ」

雪乃「どういうことかしら?」

結衣「…ふふ」モグモグ

八幡「いや、ガキの頃俺はコロコロじゃなくて、ボンボン派だったんだよ」

雪乃「まったく意味がわからないのだけれど…日本語を話しているので間違いないのかしら…」

八幡「まぁ、漫画雑誌だからお前には馴染みはないかもな。まぁ、俺らの世代で読んでるやつも少なかったし」

447: 2013/09/11(水) 14:21:38.61
結衣「うふふ…おいしー…」モグモグ

八幡「なぁ、お前大丈夫か、さっき…か…ら…」

こんもり

雪乃「あぁ……」

結衣「え~?らりがぁ?」

雪乃「由比ヶ浜さん?その大丈夫かしら?少し…その、目の焦点が合っていないように感じるのだけれど」

結衣「うふふー…へいきへいきー、やっぱりゆきのんは優しいれぇ。えへへぇ」

八幡「あーあ…だめだこいつ…完全に出来上がっちまってんな…ウイスキーボンボンで…」

雪乃「はぁ…うかつだったわ。まさか…こんなにこんなに考えなしに食べてしまうだなんて…」

結衣「らっておいしんらもん」

雪乃「いい?由比ヶ浜さん?これには微量だけれどお酒が入っているのよ?ちゃんと名前にも入っているでしょう?ウイスキーって」

結衣「ういすきー?」

雪乃「ええ、穀物で作る蒸留酒の事よ。一般的に蒸留酒はアルコールの度数が高いから…」

結衣「うぃすきぃ…」

雪乃「ちゃんと人の話を聞いているのかしら、由比ヶ浜さん?」

結衣「ねぇ、ヒッキぃ?」

八幡「あん?」

結衣「……すきぃ…えへへぇ」

八幡「は!?お前なに言ってんの!?」

雪乃「………っ!!」

結衣「ちがうしぃー、ちがわないけどちがうしぃ。うぃすきーのすきだしぃ…」

雪乃「………」

八幡「………。いや…お前さ…」

結衣「違うし~、we sukiでうぃすきーだしぃ、あたしぃ、ゆきのんもひっきーもだあいすき」

八幡「いやさ…お前さ…つかお前がweはおかしいだろ…」

雪乃「由比ヶ浜さん…大好きだなんて」カァ

八幡「…お前はゆるゆり…いやがちゆりはやめろ…」

448: 2013/09/11(水) 14:22:42.89
結衣「はい!!あたしは由比ヶ浜結衣!!17歳!!将来の夢はおよめさんです!!」

八幡「あ!だめだ、こいつ」

結衣「およめさん…およめさん!?やだ!ヒッキー!!もう!!スケベ!!」

八幡「なんなんだよ!!」

雪乃「これではもう収集がつかないわね…」

結衣「ふふー、ゆきのん?…ゆきのん!?ゆきのーん!!ゆきのーーーん!!!」

雪乃「ここにいる、ここにいるわ由比ヶ浜さん。だからあまり大声出さないでもらえるかしら」

結衣「ほんとだぁ、えへへぇ、よかったぁ」

八幡「しかし…これはあれだな。教師にでも見られたら問題になるな」

雪乃「まぁ、ウイスキーボンボンは法的には問題ないのだけれど」

八幡「そういうことじゃねぇだろ…」

雪乃「……はぁ。そうね…今回は私のミスなわけだし、私が責任を持って家まで送るわ」

結衣「むふふ~」ユラユラ

八幡「や、この状態の由比ヶ浜を外を歩きまわらせるわけにもいかんでしょ。騒ぎだしたら、どうにもならんぞ」

雪乃「それは…そうね。ここなら、来るのは平塚先生くらいだし…しばらく休ませたほうがいいじゃしら」

八幡「だな。まぁもし来ても先生ならちゃんと話せばなんとかなるだろ。部活のほうは、受付やめればいいだけだし」

雪乃「そうね…、仕方ないわ。私はなにか冷たい飲み物でも買ってくるわ。そのほうが早く目が覚めるでしょうし」

八幡「ああ、だな。頼むわ。果汁高めのオレンジジュースとかがいいらしいぞ」

雪乃「わかったわ。それより比企谷くん、由比ヶ浜さんが前後不覚な状態だからって変な真似はしないように。社会的に抹[ピーーー]るわよ」

八幡「するか!!…ま、せいぜいこいつが変なことしないように見張っとくよ」

雪乃「そうね…悪いけれどよろしくお願いするわね」

八幡「おう」


ガラガラ ピシャ


449: 2013/09/11(水) 14:25:01.61
結衣「ねぇ、ヒッキぃ?ゆきのんとぉなんのおはなししてたの~?」

八幡「だから、お前の話をしてたんだよ」

結衣「あたしの話!?はずかしい!!」

八幡「いや、恥ずかしいのはお前の話がなされていることじゃなくて、お前の今の状況のほうだから。その辺自覚しろ。な?」

結衣「ええ~?ひどぉい馬鹿にしすぎだからぁ」

八幡「いや、そうでもないだろ…」

結衣「え~?」

八幡「………」

結衣「ねぇヒッキー?」

八幡「んだよ」

結衣「あたしのことぉ、ゆいって呼んで~?」

八幡「いや、なんなのいきなり。そんなの無理だろ」

結衣「ええ~!?ずるい!!ゆきのんのことはー、雪ノ下って言うのに!!ほら、ゆーい、ゆーい!」

八幡「いやいや、お前のことも由比ヶ浜って呼ぶだろ。何言ってんの?」

結衣「え~?」

八幡「………」

結衣「あー、じゃあさぁ」

八幡「なに?」

結衣「あたしがぁ、ヒッキーって呼ぶからぁ。そしたらヒッキーは自分のみょーじを言って?」

八幡「いや、おまえ、ほんとそれなんの意味があんの?ほんと大丈夫か?」

結衣「いーからぁ!!あたしが呼びたいの!ほら行くよ!?ヒッキー!!」

八幡「えー…」

結衣「ヒッキー!!ヒッキー!!」

八幡「わかったから、でけぇ声出すなよ…比企谷?」

結衣「ヒッキー!」

八幡「比企谷…」

結衣「ヒッキー!」

八幡「比企谷」

結衣「ゆい!!」

八幡「………」

結衣「ふふふ…ひきがや…ひきがや…もう!!」

八幡「いやお前さ…ほんとなに言ってんの?」

結衣「えへへー」

八幡「えへへじゃねぇだろ…だからお前さ…」

結衣「およめさん…およめさん…やだもう…」ゴニョゴニョ

八幡「いやさ…お前さ…いや、もう寝てろよ…まじで…。いろいろ限界ってのがあんだぞ…」

450: 2013/09/11(水) 14:27:20.00
結衣「……ふふ」

八幡「………」

結衣「…うふふ」

八幡「………」

結衣「ねぇ、ヒッキー…?」

八幡「なんだよ」

結衣「んーん…なんでもなぁい」

八幡「…そうかよ…」

結衣「うん!ふふ…」

八幡「………」

結衣「…ふふ」

八幡「………」

結衣「ねぇ、ヒッキー…?」

八幡「なんだよ」

結衣「んーん…なんでもなぁい。呼んでみただけぇ、えへへぇ」

八幡「そうですか…」

結衣「えへへぇ…ねぇ…ヒッキーはーさあぁ?」

八幡「なんだよ…?」

結衣「ヒッキー、あたしはぁ…あたしがぁ…あたしのことぉ…」

八幡「な、なんだよ…」

結衣「………。ダメっ!恥ずかしくて言えなぁい!!もー!」

八幡「……さっきから、なんなのもう…」

結衣「えへへぇ」

八幡「………」ポリポリ

結衣「………」ジー

八幡「………」

結衣「………」ジー

八幡「なんだよ、もー」

結衣「もーじゃないし!ヒッキーかわいい~!」

八幡「いや、ねえよ」

結衣「え~、だって可愛いもん!!顔真っ赤っかだし!!リンゴみたい!!」

八幡「いやいや、なってねぇから、なに言ってんの?それに男に対してかわいいとかリンゴみたいとか褒め言葉じゃねえだろ。紅顔の美少年って言いたいの?おかしいだろ?」

結衣「おかしくないしっ!ヒッキぃ照れてるぅ!ヒッキー超かわいい!もっかい照れた顔してぇ」

八幡「いや、やらねぇから」

結衣「なんでー?もっかい見たぁいい!!見たい見たぁい」

八幡「いやいやいや…」

451: 2013/09/11(水) 14:30:32.09
結衣「むー…。あー、じゃあさーヒッキー?あたしは?」

八幡「は?何が?」

結衣「あたしは、かわいい?ヒッキーからみてぇ」

八幡「いやいや…なに言わせようとしてんの?なに?嫌がらせ?」

結衣「あたしはまじめに聞いてるのぉ!まじめに答えてよぉ」

八幡「いや…だから…まじめな話でそんなこと言わないし、そもそもお前はチョコレートでだな…」

結衣「うんうん、それで?」

八幡「…あのな?…だから」

結衣「………」ジー

八幡「いやっ…その、だからだな?その…いや見るのやめろ」

結衣「………」ジー

八幡「だからお前その!あれだ、ようするに…お前は…その…」

結衣「………」

八幡「いやさ…だから…」

結衣「………」

八幡「だから、まぁ…その…なんだ?」

結衣「………」

八幡「いや…だからだな?その、あー…まぁ、悪いほうでは、ないんじゃないか…?まぁ、その…一般的にも…主観的にも…そのまぁ部類的にはつうか…?……つうかお前は何を言わせるんだよ!」

結衣「………」

八幡「あれ」

結衣「………」

八幡「ゆ、由比ヶ浜?」

結衣「………」グー

八幡「…はぁ。もう…なんなんだよ、こいつは…」

結衣「………」グー

八幡「…いきなり寝るのは、ズルいだろ…。だいたいイビキかくなっつうの…可愛くねぇだろ…」

結衣「………」グー

八幡「………」チラッ

結衣「………」グー

八幡「……ちょっと、しか?」ポリポリ

493: 2013/09/13(金) 16:34:48.04
「めーる」



八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ペラッ

八幡「……今日、由比ヶ浜は?」ペラッ

雪乃「……休むそうよ。お見舞いなんですって。連絡、来ていないの?」

八幡「……来てねぇな」

雪乃「…そう…」ペラッ

八幡「………」

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」カチカチ

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」

雪乃「…このくらいのことでいちいち拗ねないで頂戴。煩わしい」

八幡「……別にそんなんじゃねぇけど…」

雪乃「…そう?」ペラッ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ペラッ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ブーブー

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」パタン

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ブーブー

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

494: 2013/09/13(金) 16:36:17.74
雪乃「………」パタン

雪乃「……はぁ」ブーブー

八幡「……由比ヶ浜?」

雪乃「…そうよ。よくわかったわね」カチカチ

八幡「…返信がむちゃくちゃ早いしな。そもそもお前にメール送ってくるのって由比ヶ浜くらいしかいないだろ」

雪乃「…そんなことは…いえ、それは…まぁ…そうね…」カチカチ

八幡「…だろ?」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」ブーブー

八幡「………」ペラッ

雪乃「…ふふ」

八幡「お前何にやけてんの?」

雪乃「そんなことしていないわ」

八幡「いや、そこ否定すんなよ。携帯見てニヤニヤしてたじゃねえか」

雪乃「そんなことしていないわ」

八幡「一語一句イントネーションも同じに否定すんなよ。お前はICレコーダーかよ…」

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」カチカチ

八幡「………」ペラッ

雪乃「………」パタンッ

八幡「………」ペラッ

雪乃「…比企谷くん。顔文字…と言うのはどうやって使えばいいのかしら?」

八幡「どうって…、感情を表現すりゃいいんじゃねえの?俺もほとんど使わんからよくわからんけど」

雪乃「それは由比ヶ浜さんにも同じことを言われたのだけれど。どうやっていいのかわからないのだもの」

八幡「そんなら、『かお』って打って変換するか、元から入ってるやつを…いや待て、こんな感じでどうだ?」カチカチ

雪乃「それは…私から見ても随分変わった顔文字に見えるのだけれど…」

八幡「でも、これ送ったらどうなるか考えてみろって」

雪乃「………。悪くないわね」

八幡「だろ?」

雪乃「ではさっそく…。比企谷くん、かっこの後は何と入力すればいいのか、わからないのだけれど」カチカチ

八幡「『きごう』で出ないか?」

雪乃「き・ご・う…これでいいのかしら」カチカチ

八幡「いや、そっちじゃねえけど。でもそれのが面白いな。じゃあこんな感じで打ったら?」カチカチ

雪乃「……こう、かしら」カチカチ

八幡「…ひどいな」

雪乃「…ひどいわね」

495: 2013/09/13(金) 16:37:55.90
八幡「まぁ、とりあえず送って…ああ、いやそうだ。ちょっと貸してみ、いくつか面白いの登録しといてやるわ」

雪乃「…比企谷くんに携帯を?」

八幡「別に、困るもんは入ってねぇだろ?」

雪乃「……まぁ、それは、そうね。けれどあまり変な匂いをうつさないでちょうだい」

八幡「おい、お前、俺が普段から変な匂いを発してるみたいな言い方やめろ」

雪乃「あら、ごめんなさい。自覚がない人にこういうことを教えてしまうのは、時に残酷なものよね…」

八幡「おい、悲しそうに目を伏せるのはやめろ。フローラルとまでは言わないが別に臭くないだろ」

雪乃「あなたがそう思うのなら、あなたの中ではそうなのでしょうね」

八幡「おいやめろ。…つうかお前、この携帯らくらくホンじゃねえの?おばあちゃんかよ」カチカチ

雪乃「……別にいいでしょう。それが一番使いやすかったのよ」

八幡「別に悪くはないけどさ…。つか文字でけぇ…。…っと、こうか」カチカチ

雪乃「………」

八幡「ほいよ」

雪乃「…これはまた…。比企谷くんが打ち込んだだけあって本当に気持ち悪いわね」

八幡「別に、誰が打ち込んだかは顔文字のきもさに関係はしねぇだろ」

雪乃「これは、どうやって打てばいいのかしら」

八幡「『かお』で登録してある」

雪乃「…なるほど」カチカチ

496: 2013/09/13(金) 16:40:32.73
八幡「まぁ、とりあえず最初のやつ送ってみれば?」

雪乃「そうね…」カチカチ

八幡「………」

雪乃「………」ブーブー

八幡「…返信はえぇな」

雪乃「そうね」

八幡「どんな感じ?」

雪乃「こうよ」スッ

八幡「…結構テンパってんな」

雪乃「でも妙ね。感情を表現すると言った本人が顔文字を使っていないのだけれど」カチカチ

八幡「こういうもんは本当に感情を持った時には逆に顔文字なくなったりするもんなんだよ」

雪乃「なるほど…ますます、顔文字の必要性がわからなくなってきたわ」カチカチ

八幡「まぁ、プラスならともかく、特に怒りとか驚きとか、負の感情の時には特にそうなるな。普段は絵文字とか顔文字とか使ってくるのに、急に絵文字とかなしで『気持ち悪いから、本当にやめて欲しい』とか送ってきたときのダメージは異常だぞ?ソースは俺」

雪乃「なるほど…。よっぽど、気持ちが悪かったのね…。同情するわ」カチカチ

八幡「お前、それ確実に相手のほうに同情してるよね?」

雪乃「当然でしょう?被害者なのだから」ブーブー

八幡「被害者とかいうなよ…。つか由比ヶ浜、相変わらずいい反応してんなー。んで、どうすんの?」

497: 2013/09/13(金) 16:42:58.72
雪乃「そうね…。たたみかけましょうか」

八幡「だな。んじゃ、俺もこれ送るわ」カチカチ

雪乃「なるほど…、では私はこれを送ればいいのね」カチカチ

八幡「ああ、対になってる感じだし、いいんじゃないか?」

雪乃「文字は?」

八幡「ないほうがいいだろ」

雪乃「そうね」カチ

雪乃「………」カチ

雪乃「………」ブーブー

八幡「………」

雪乃「……ふ」スッ

八幡「……ふっ。んじゃせーので送るか」

雪乃「3カウントのほうがいいわ。0で送信」

八幡「おう。んじゃ行くわ3、2、1」

雪乃「………」カチッ

八幡「………」カチッ

雪乃「………」ブーブー

八幡「…どう?」

雪乃「来たわ」スッ

八幡「ああ、来たな」

雪乃「ええ…」

八幡「………」

雪乃「………」

八幡「別に馬鹿にはしてないよな」

雪乃「そうね。反応が可愛らしいから、ついからかってしまうだけだもの」

八幡「………」ニヤ

雪乃「……ふふ」

518: 2013/09/14(土) 15:21:31.65
「このみ」



八幡「おーい、小町ー?入るぞー?」

八幡「あれ?いねえのか、リビングか?」

エー!ナイナイ!イヤイヤ、ソンナコトアリマスッテ!

八幡「あ?」

ガチャ

八幡「小町?って…」

結衣「あ、ヒッキーやっはろー!」

小町「およ?お兄ちゃんどうしたの?」

ピッ

八幡「あ、すいません。警察ですか?ちょっと今うちに不審人物が…」

結衣「ちょっと!ヒッキー!?」

八幡「んだよーもー」

結衣「もー!じゃないでしょ!もーじゃ!!」

八幡「だって、なんでお前ここにいんの?回答によっちゃ通報も辞さんぞ」

結衣「だからそれやめてってばぁ!傷つくからぁ!!」

八幡「いやさ、お前実際なんでここにいんの?リアルブートしてきたの?」

結衣「意味わかんないし!普通に玄関から来たし!て、てかべ、別にヒッキーに会いにきたわけじゃないんだから!勘違いしないでよね!」

八幡「……ツンデレのテンプレかよ…」

結衣「ツン?なにそれ?」

八幡「いや…」

小町「結衣さんは~、小町に勉強教えに来てくれたんだよぅ」

八幡「あ?由比ヶ浜と勉強?それは最悪の組み合わせでしょ。致命的人選ミスでしょ」

結衣「なぁ!失礼な!あたしだって、ちゃんと受験して総武受かったんだからね!?暗記問題とか一気にやるの超得意だしっ!!」

八幡「いや…暗記問題教えようがないだろ…。つか百歩…いや、万歩譲ってお前が勉強教えにきたとしてもだな。今お前らが二人が馬鹿っぽい雑誌を読んでることのいいわけにはならんだろ」

結衣「午前中はちゃんと勉強してたもん!」

小町「そーそー、どこかのねぼすけさんがいつまでも起きてこない間に小町はちゃんと勉強しましたー」

八幡「はぁん…つか何、由比ヶ浜お前午前中に来てたの?」

結衣「うん、小町ちゃんに呼ばれて!あ…それで…」

八幡「あ?」

小町「そうそう!午前中に勉強しようと思ったからぁ、結衣さんには早く来てもらったのです!まぁあ?小町~数学苦手だから~ちょおっとばかり時間ミスっちゃって、お母さんと結衣さんがかちあっちゃったけど~?」

八幡「時間の計算とか数学じゃなくて算数だろ…ていうかニヤニヤすんな。うぜぇ…」

結衣「あはは…」

八幡「……なに、お袋がなんか変なこと言ったか?」

結衣「え?あー…い、いやーべ、べつにー?」

小町「まぁあ?その辺は~、お母さんが帰ってきたらじっくり聞けばいいよ」

八幡「おい…」

519: 2013/09/14(土) 15:22:43.95
結衣「あ!こ、小町ちゃん!?この服なんだけど!」

小町「あぁ!いいですねぇ~!絶対結衣さん似合いますよっ!」

結衣「えぇ~!?絶対小町ちゃんのほうが似合うって!」

小町「いやいや!小町の見立て的には~、ほらこっちのスカートと合わせるとすごいいいと思いますよぅ!」

結衣「あ!ほんとだ…。それすごいいいかも!さすが小町ちゃん!」

小町「でしょ~?コーディネートなら小町に任せてください!なにせ兄の壊滅的なセンスの服を組み合わせてなお、おしゃれさんに変えられるくらいですからっ!!」

結衣「確かにっ!」

八幡「おい、俺の服のセンスをディスるのはやめろ。つうかセンスの悪い服が母ちゃんが買ってきたやつだろ?」

結衣「お、お母さんが服買ってくるんだ…。ヒッキーすごいね…」

八幡「おい、そんな視線を俺にむけるのはやめろ。ガチで涙が出てきちゃうだろ」

小町「小町的にはー、I LOVE 千葉 Tシャツとか着てドヤ顔で出かけちゃうお兄ちゃんは、お母さんのセンスどうこう言えないと思うんだけど」

八幡「うっせ、清潔ならそれでいいだろ。ネットの調査とかでもそういうのが一番って書いてあったぞ」

結衣「うわぁ…」

八幡「つか、お前ら仲よすぎじゃねえの?なんなの?普通、兄貴のクラスメイトとそんな仲良くする?」

小町「お兄ちゃんのクラスメイトというか、そもそも結衣さんは小町の友達だし」

結衣「そうそう」

八幡「は?いつから?」

結衣「最初からだしっ!」

八幡「え?」

小町「ていうか、お兄ちゃんが知らないだけで、小町、時々結衣さんと遊びに言ったりしてるよ?この前も二人でカフェ巡りしたし」

結衣「ねー?あ!あのときのパスタ美味しかったよね!」

小町「ですねっ!また行きましょう!あ、今度は雪乃さんも誘いましょうよ!」

結衣「あ!いいね!ほら、あそこのオムライスとかゆきのん好きそう!」

八幡「仲いいですね…君たち…。スイーツ臭いことしてんじゃねえよ…つか、お前ら食ったのどうせスパゲティだろ。パスタとか言ってんじゃねえよ。スパゲティでいいだろスパゲティで。だいたいお前は遊んでないで勉強しろ」

小町「だから今日は二人で勉強してたんでしょ?」

八幡「まぁ、そうなんだけどさ…」

結衣「大丈夫、ヒッキー!ほら、あたしがついてるから!」

八幡「いや、だから心配なんだけど?」

結衣「どういう意味だぁ!」

520: 2013/09/14(土) 15:24:07.35
八幡「まぁ、それはいいんだけどさ」

結衣「ちょっと!」

八幡「小町?昼飯は?」

小町「小町は結衣さんと一緒に食べたよ?」

八幡「いや、お兄ちゃんのご飯のこと聞いてるんだけど~?」

小町「食べれば?」

八幡「いやさ、お兄ちゃんにそういう言い方はないんじゃない?」

結衣「?。なんであたしを見るの?」

八幡「いや、別に…」

小町「あ~、そっか…。小町痛恨のミス!ホットケーキの粉買っとくの忘れてたよ」

八幡「いや、誰もそんなこと言ってないだろ?」

結衣「あ!そ、そっか!ご、ごめんね?ヒッキー。そういうことなら来るときに買って来といたんだけど…」

八幡「いや、だから、誰もそんなこと言ってないだろ?勝手に拡大解釈するんじゃねえよ」

結衣「あ、じゃ、じゃあた、卵焼きとかならつ、作ろうか?」

八幡「いや、いい、やめろ」

結衣「そんな単語並べて断る事ないでしょ!?あたしだって卵焼きくらいつくれるしっ!!」

八幡「い、いや…そうじゃなくてだな。その、なに、あれだ。昼飯チキンラーメン作るからさ。卵二つ入れるつもりだからな?あんま卵かぶるのいやなんだよ」

結衣「あ、そ、そっか。そうなんだ…」

八幡「ああ、まぁ。そういうことだから。お前は、小町と雑誌でも読んでろよ。…で小町はその顔をやめろ」

結衣「あ、う、うん。じゃあ、先もどるね小町ちゃん」

小町「……。20点だなぁ、お兄ちゃん」

八幡「うっせ、この優秀な俺に勝手に赤点つけてんじゃねえよ。…つかチキンラーメンあったっけ?」

小町「上の3番目の棚。乾麺が入ってる棚に、確か後2個のこってたよ」

八幡「そうか。すまん」

小町「ん、よきにはからえ。おっまたせしましたー結衣さーん!」

521: 2013/09/14(土) 15:24:59.68
結衣「あ、小町ちゃんさー。これなんだけどー」

八幡「………」ガサゴソ

小町「それ、あれですよう!最近うちの学校でもー」

八幡「………」ジャボボ

結衣「え!?そうなんだ!?でもそれってあれじゃない?」

八幡「………」シュボ

小町「そう!そうなんですけど!そこがミソなんですよぅ!」

八幡「会話が抽象的すぎる…」

結衣「あっはっは!ないない!」

八幡「………」シュシュシュシュ

小町「でも、雪乃さんとかすごそうじゃないですか?」

八幡「………」ジョボボボボ

結衣「まぁね!でもさ、それってあれでしょ?」

八幡「………」スタスタスタ

小町「そうです!そうです!それでー」チラッ

八幡「…あと2分36秒…30秒短めで行くか…。固めにしよう…。固めがいい」ガタン

小町「あ!結衣さんこのページとかどう思いますか?」

八幡「………」カチカチ

522: 2013/09/14(土) 15:25:58.97
結衣「んー…?え!?こ、好みの異姓特集!?」

八幡「………」ピクッ

小町「どうなんです~?結衣さぁん?」

八幡「………」

結衣「ちょ、ちょっと小町ちゃん!そんなの恥ずかしくて言えないよ!」

八幡「………」

小町「いいじゃないですか~。小町と結衣さん仲ですし?この際?」チラッ

八幡「………」

結衣「えええ…で、でもでも心の準備が…」チラッ

八幡「………」

小町「大丈夫ですよぅ!ただの『好み』を言うだけですから!」

八幡「………」

結衣「で、でも~」

八幡「………」

小町「……っち。なら、こうしましょう!小町が先に好みのタイプを言いますね!」

八幡「おい、小町!お兄ちゃん好みの男だなんて許さないぞ!!」

小町「あ、お兄ちゃん、そういうのいいから」

八幡「はい…」

結衣「あはは…」

小町「で、小町のタイプはー浮気しそうもなくて、変に律儀なところがあって、真面目で素直じゃなくて、捻ねくれていて、人のことを思いやれて、けど不器用で、それでいてすごく本当はすごく優しい。そんな人ですね~」

八幡「………」

結衣「そ、そうなんだ」

小町「結衣さんはそんな人どうです?」

結衣「え!?あ、あたし!?」

八幡「………」

結衣「え、ええっと…そ、そうだね…あ、あ、あたしも、そういう人、き、きらいじゃないって言うか…、その…むしろすごく好き…かも…」

小町「ですよね、ですよね!いいですよね。そういう人!」

八幡「……んな奴いるわけないだろ…」

小町「いやー、小町的にはいそうな気がするんだけどなー」

八幡「………」

結衣「あ、あたしも、そんな気が…する、かも。そのい、意外と近くにいそうかなー…とか。あはは…」

八幡「………」ボリボリ

523: 2013/09/14(土) 15:27:13.63
結衣「こ、小町ちゃん!ちょ、ちょっとこの部屋暑いね!か、顔が熱いから、顔洗ってくるね!?洗面所借りていい?」

小町「あ、はい。どぞどぞ~。出て左です。あ、タオルは上から2番目、お兄ちゃんのパンツの上の段に入ってますから」

結衣「う、上から2番目ね。わかった。ってその情報いる!?」

小町「まぁまぁ」

結衣「う…うう…」

パタン

小町「いや~、可愛いなぁ」ニヤニヤ

八幡「…うぜぇ」

小町「いや、でもあんなゆでダコ状態、なかなか見れないでしょ?」

八幡「………」

小町「てか、お兄ちゃん?ラーメンのびまくってるよ?」

八幡「これは…お前…その、あれだ。俺はチキンラーメンはのびてるくらいが好き、なんだよ」

545: 2013/09/15(日) 18:44:22.10
「ねこがはま」



結衣「あ!ゆきのん!見てみて!これ!」

雪乃「いったいなんなのかしら、これは」

結衣「ネコミミだよ!多分パーティーとかでつけるんじゃないかなぁ!」

雪乃「ねこ…みみ…。けれど、こんなところに置いてある理由はわからないわ」

結衣「千葉だもん!」

雪乃「理由になっていないと思うのだけれど…」

結衣「いいじゃん!あ!ほらほら、ご自由に試着してみてくださいだって!ゆきのん、つけてみようよ!ほらほら!」

雪乃「いえ、いいわ。わたしは」

結衣「え~?可愛いのに!ほら、こんな感じだよ?こうつけて~、にゃあん!」

雪乃「にゃあん…」

結衣「にゃ~ん!」

雪乃「………」

546: 2013/09/15(日) 18:45:01.08
結衣「どうどう?ゆきのん!」

雪乃「………。全くなっていないわ」

結衣「…え?」

雪乃「まず、その腕のあげ方。いったいなんなのかしら?それでは猫でなくてキョンシーでしょう?」

結衣「きょ、きょんしー…?」

雪乃「まず、右手はこう。顔の横あたりよ」

結衣「え?こ、こう?」

雪乃「違う、違うわ、由比ヶ浜さん。目よりは下、鼻よりは上よ」

結衣「こうかな?」

雪乃「はぁ…あなたなぜこんな簡単なこともできないのかしら。手を添えてあげるわ。こう、こうよ由比ヶ浜さん」

結衣「あ、ありがとうゆきのん」

雪乃「お礼はいいから、きちんと位置をおぼえなさい」

結衣「う、うん」

雪乃「そして左手はこう、こうよ」

結衣「こ、こう?」

雪乃「ええ。じゃあ、やってみましょうか」

結衣「え?何を…」

雪乃「………」

結衣「あ、そ、そっか。にゃ、にゃぁん」

雪乃「右手は円を描く感じに」

結衣「え、う、うん。にゃ、にゃあん」

雪乃「………」

結衣「ど、どうかな?」

雪乃「………」サワサワ

結衣「…ゆきのん?」

雪乃「………」クンクン

結衣「………」

雪乃「………」コクコク

結衣「も、もういいかな?な、なんかすっごい見られてて恥ずかしいんだけど…」

雪乃「ちょっと、待ちなさい」

結衣「う、うん」

雪乃「………」

結衣「ゆ、ゆきのん?」

結衣「しゃ…いえ、いいわ。かえー」

八幡「なにやっとんだ…お前ら…」

547: 2013/09/15(日) 18:45:59.96
結衣「うひゃあ!ひ、ヒッキー!な、なにしてんのこんなところで!」

雪乃「………!!」

八幡「いや、何ってこっちの本屋は品揃えがいいから出て来たんだけどさ…。お前それ…」

雪乃「………」

結衣「あ、こ、これはちょっと、ゆきのんと、その!」

雪乃「あら、比企谷くん、こんなところで奇遇ね」

八幡「え、お前はなんでそんなすましてるの?」

雪乃「別に普通よ。けれど、そうだわ。せっかく出くわしたのだから、由比ヶ浜さんの姿を記録におさめておくのはどうかしら?」

八幡「は?お前はいきなり何言ってんの?」

結衣「え!?ゆ、ゆきのん!?」

雪乃「記念だもの、そうよね?」

結衣「ゆ、ゆきのん?」

雪乃「…そうよね?」

結衣「う、うん。そ、そうだね!」

八幡「い、いや。お前も乗ってんじゃねえよ。つか雪ノ下、お前さ」

雪乃「………」クイッ

八幡「いや、お前。無言で顎で命令するのやめてくんない?……わかったよ…」

結衣「え、ええと。じゃ、じゃあ、よろしくヒッキー…」

八幡「お、おう…」

雪乃「待ちなさい」

結衣「え、な、なに?ゆきのん?」

雪乃「なに、じゃないでしょう?さっきあれほど練習したのを忘れたの?手は目の下、鼻の上、でしょう?」

結衣「え!?あれ、やるの!?」

雪乃「当然でしょう?」

結衣「え、ええと…じゃあ、その…にゃ、にゃあん」

八幡「あー…、ええと…その、まぁ、じゃあ、と、とるわ」

パシャッ

548: 2013/09/15(日) 18:47:42.23
八幡「…これでいいか?雪ノ下?」

雪乃「せっかくの記念だもの。動画でとっていたほうが良いんじゃないかしら」

結衣「ゆきのん!?」

八幡「いや、お前はさ。ほんと何言ってんの?」

雪乃「記念だもの。そうよね?」ジロッ

八幡「………。わかったよ…」

結衣「え、ええ~?」

八幡「と、とるぞ?」

結衣「え、う、うん」

ピピッ

結衣「………」

八幡「………」

雪乃「何をやっているの。これは動画なのよ?動かなければなんの意味もないでしょう?」

結衣「え?え、ええと…」

八幡「………」

結衣「にゃ…にゃあん…」

雪乃「声が小さい」

結衣「にゃあん!」

雪乃「大きすぎるわ」

結衣「にゃあん」

雪乃「手は円を描くように」

結衣「にゃあん」

雪乃「その調子」

結衣「にゃあん」

雪乃「もう一度」

結衣「にゃあん」

雪乃「………」コク

八幡「………」

ピッ

549: 2013/09/15(日) 18:48:17.40
結衣「お、おわった…」

八幡「お疲れ…」

結衣「あ、ひ、ヒッキー…そ、その、あのその…。ゆ、ゆきのん、あたし先お店行ってるね!?ヒッキー、それじゃ!!」

八幡「お、おう…」

雪乃「………」

八幡「じゃあ、あー…俺も行くわ」

雪乃「比企谷くん」

八幡「……何」

雪乃「JPG、MP4、SDカード」

八幡「………おう」

雪乃「圧縮不要。メモリーカード代は引き換えに渡すわ。それじゃ」

スタスタスタ

八幡「…なんなのあいつ」

八幡「………」カチカチ

八幡「………」ニャーン

八幡「……まぁ…いいけど」

ピローン

八幡「いや…だからニャウリンガルも反応してんじゃねぇよ…。怒濤のラッシュかよ…」

608: 2013/09/18(水) 02:09:10.41
「おなまえ」



結衣「うん、うん。自分で連絡したほうがいいんじゃない?え?うん、うん。ああ、なるほど。オッケー、んじゃ、優美子にもそう伝えておく」

八幡「………」ペラッ

結衣「え?うん、うん。わかった、はーい、それじゃ…え?」

八幡「………」ペラッ

結衣「ああ…うん?それで?ああ。オッケー。うんうん。じゃあね?はーい」ピッ

八幡「…戸部か?」ペラッ

結衣「そうだけど。え!?なんでわかったの!?あ、声漏れてた?」

八幡「いや?お前の返答から、なんとなくな。女子相手じゃないのは普通にわかるし、後は普段の反応から似たのを類推だ」パタン

結衣「へぇ~。ヒッキーすごい。ちょっと引くけど」

八幡「うっせ。……つか戸部って下の名前なんつったっけ?」

結衣「え?とべっち?とべっち…ええっと…たしか…飛ぶっていう漢字を難しく書いた感じの名前…ええっと…ええと…翔太だったかなぁ…」

八幡「はぁん…よく知らねぇのか。まぁ、いいけどな。どうでも」

結衣「じゃあなんで聞いたし!」

八幡「大和とか大岡は?」

結衣「え?ええと…。知らない…」

八幡「お前ら、本当に仲いいの?そうなったら、お前が下の名前ちゃんと知ってる葉山だけってことになるじゃねえか」

結衣「隼人くん?まぁ、隼人くんは普段からそう呼んでるからね」

八幡「………。お前、葉山のことも名字で呼んだほうがいいんじゃないの?」

結衣「へ?なんで?」

八幡「いや…ほらあれだ。他の連中は名字で呼んでんだからバランス取れていいだろ?」

結衣「そう?優美子とかも隼人くんのこと名前で呼んでるし、急に呼び方変えるのは逆に違和感あるんだけど」

609: 2013/09/18(水) 02:10:22.79
八幡「…いや、ちょっと言ってみただけだから気にすんな。…つか名前で言えば小学校の時にジョンって名前の奴がいたんだけどさ」

結衣「ジョン?!それってあだ名?」

八幡「いや、本名。漢字でなんて書くんだったっけな…忘れたけど」

結衣「それじゃアメリカ人じゃん!!」

八幡「ああ、親は国際社会に出た時にスムーズに呼んでもらえるためにつけたとか言ってたらしいけどな」

結衣「日本人の名前って呼びづらいの?」

八幡「まぁ、名前によってはな。これは友達の友達の話なんだけど、ユウスケって名前の奴は、アメリカでずっとユウスキ、ユウスキって呼ばれ続けてたらしい」

結衣「へぇ~!てかヒッキー友達いないでしょ?素直にネットで見たって言えばいいじゃん」

八幡「淡々と事実を突きつけるなよ。本当のことでも時に人を傷つけるんだぞ?まぁ、あれだ。実際のとこ国外に出なければ何の意味もないし、日本人っぽい名前のほうが逆に受けがいいってこともあるみたいだからな。結局はDQNネームでしかねぇよな」

結衣「DQNネームって?」

八幡「ほら、最近変な当て字の名前とか結構あるだろ?ああいうのだよ」

結衣「ああ~…キラキラネームのこと?」

八幡「まーた、その言葉がアホっぽいけどな」

結衣「アホとはなんだし!でもああいうのちょっと嫌だよね…」

八幡「あれ?そうなのか?お前あだ名のセンスとかないし、ああいうの好きかと思ってたわ」

結衣「ちょっと失礼だし!てかヒッキーってあだ名かわいいじゃん!」

八幡「でもちょっと罵倒してるっぽくねぇか?」

結衣「そんなことないし!ヒッキーはヒッキーであって、ヒッキーっていうヒッキーじゃないもん!」

八幡「お前、なにそれ哲学?」

610: 2013/09/18(水) 02:12:28.62
結衣「ち、違くて!ほら、悪口みたいな感じで使ってないって意味じゃん!それともゆきのんみたいに比企谷くんって呼んだほうがいい?」

八幡「おお、そうだな。そのほうが距離感でていいんじゃないか?」

結衣「距離感って…。…じゃあ比企谷くんは昔はどんなあだ名で呼ばれてたの?」

八幡「………。俺はあれだ。ある意味あだ名のデパートと言ってもいいぞ?ヒキガエル、オタガヤに始まり、これだのそれだの大概は言われたからな」

結衣「へぇ~?あだ名って仲いいほどつけるってイメージあるけど。比企谷くんもそんなのつけられるんだ」

八幡「………。お前、材木座にあだ名をつけたのも仲いいからか?」

結衣「材木座って誰?」

八幡「いや、中2だよ、中2。いい加減覚えてやれよ」

結衣「あ、あぁ~…。それはなんと言うか」

八幡「な?別にあだ名ってのは仲がいいからつけるわけじゃねえんだよ。馬鹿にしたり、名前覚えてないからつけるってのもある。俺の場合は後者な場合が多いな」

結衣「え~?あたしは比企谷くんの名前一発で覚えたけど?」

八幡「………。いや、お前は別だろ。ってか、俺が悪かったからやっぱ呼び方戻してくんない?なんか…ちょっと心にくるわ」

結衣「ふふーんだ。もっと早く認めればいいのに!」

八幡「いや…それは…。つ、つかあれだ。話戻すけど、ほら俺が現在進行形で呼ばれてるヒキタニくんとか後者の典型だろ?あいつら名字呼びにしてるつもりがあだ名になっちゃってるからな。なんであいつら、漢字は覚えてるのに、音を覚えてないんだよ。クラスで名前間違えないの戸塚と葉山だけだぞ?しかも名前間違えられないだけで結構嬉しいんだぞ?」

結衣「だからあたしも間違えてないじゃん!てか、だからどんだけさいちゃんのこと好きなの!?」

八幡「だからお前は別だろ。つか、葉山でも嬉しいんだな。これが」

結衣「なんか悲しい!!」

八幡「つか、お前はなんかあだ名ないのかよ。ゆいゆい?」

結衣「それやめてってばぁ!!うーん…でもなんだろあたし結衣って名前で呼ばれることのが多いから…。あ、でも小学校の時はゆいっぺとかゆいぼうとか言ってる子もいた!」

八幡「なにそれ。お前のまわりセンスなさすぎだろ」

結衣「友達の事は馬鹿にしないでよ!てかだったらヒッキーがなんかよさそうなの考えてくれたらいいじゃん!」

八幡「あー…じゃあ、Y.Yとか?」

結衣「それじゃただのイニシャルでしょ!?」

八幡「んじゃK.Y」

結衣「ちょっと!てかあたし空気読むのは得意だしっ!」

八幡「いや~、お前時々空気読めてねえぞ?まじで」

結衣「そんなことないしっ!……ていうかそういう系なら、あ、あたし、わ、H.Yがいい…」

八幡「お前なに言ってんの?そもそもイニシャルつうのは、普通名前から書くもんなんだよ。だからその場合Y.Hが正しい」

結衣「え?あ…え?あ…そ、そうなんだ」カァ

611: 2013/09/18(水) 02:13:27.54
八幡「つか、あれだな。名前っていやお前なんでDQNネームだめなの?」

結衣「あ、ほ、ほら、あれ。親戚のお姉ちゃんが子供にそういう名前つけたんだよね。それ聞いてなんか、うわってなっちゃって」

八幡「どんな名前だったんだ?」

結衣「ぷりん」

八幡「ペットかよ…。近所の犬が確かそんな名前だったぞ。漢字は?」

結衣「姫に鈴でぷりん…だったと思う。確か」

八幡「ひでぇな。それ読めないだろ。普通…」

結衣「でしょ?ほら、なんか先生とかにも名前読んでもらえなかったりしそうじゃん?浮いちゃってイジメられちゃったりとかしたら…とか思うとさ」

八幡「まぁ、実際、就職に不利に働いたり、私立の学校によっちゃ書類選考ではじかれるなんてこともあるらしいしな」

結衣「そうなの!?」

八幡「ああ、なんでも東京のほうにある良家のお嬢様がたくさん通う学校なんかは、いまだに何何子って名前の子供が多いらしいぞ、実際。まぁ、これは因果関係が逆かも知れんけど。ようはお里がしれると見なされるんだろ」

結衣「どういうこと?」

八幡「あれだ。例えば比企谷姫鈴です。って子供が名乗るとするだろ?そしたらもう、名乗っただけなのに『親の名前が見てみたい!』ってなるだろ?で、親の顔見てあ~なるほどって納得するわけだ」

結衣「だからあたしそんな名前つけたりしないしっ!」

八幡「いや…。だから比企谷って言ってんだろ…。なに言ってんの?」

結衣「え?あ、そそそ、そっか。ご、ごめん」

八幡「……。まぁ、ようするにDQNネームなんてつけんのは、鼻っから子供にいらんハンデ負わせるようなもんだろ。本当に子供が可愛いなら、まともな名前つけてやるべきだ。ペットじゃないんだからさ」

結衣「確かにね~。あ、ねぇ桃太郎とか金太郎の太郎っていうのはどうしてつけられたの?なにか意味があるの?」

八幡「意味っつうかあれは確か、長男につけられることが多い名前なんだよ。一郎とかと同じだな」

結衣「そうなんだ!」

八幡「そのあとは大体二郎、もしくは次郎、三郎とかって感じに続いていくな。親とか祖父とかの漢字をもらってくるのとかに並んで、日本の伝統的な命名方法の一つだろ。今はあんま聞かないけどな」

結衣「なるほどねぇ~。でも、八郎はちょっとあれじゃない?」

八幡「いや、数字入れんのは生まれた順ってやつなんだよ。お前、八人も子供生むつもりなの?大家族スペシャルかよ」

結衣「あれ?え?だって漢字をもってくるし、数字を名前に入れるって…」

八幡「……まぁ。俺の説明が悪かったか?漢字を親からもら…いや、お前、それなら『八』をどっから引っ張ってきたんだよ。おかしいだろ?」

結衣「あ!そ、そっか!ええと、ほ、ほら!『八』はひろすえがりで縁起がいいっていうでしょ!?だから!」

八幡「それを言うなら末広がりだろ。なんなの?広末、不祥事でも起こしたの?Youtubeに謝罪ビデオ流すの?人権問題になんぞ」

結衣「あ、そ、そっか…」

八幡「お前、今日ほんと大丈夫か?やったらめったら変だぞ?いつにも増して」

結衣「あ、あたし変じゃないし!こ、こういう話してると、なんか変にテンションあがっちゃうだけだしっ!」

八幡「変って自覚してんじゃねえか…」

612: 2013/09/18(水) 02:15:30.91
結衣「へ、変じゃないしっ!ていうか、そんなこと言うんなら、ヒッキーはどんな名前がいいの?」

八幡「あー?俺?あれだ、俺は子供とか作らないから」

結衣「え?な、なんで?欲しくない?」

八幡「いやあれだ。自分が稼ぐ気ないのに、子供作るのは無責任ってもんだろ」

結衣「気の使い方が斜め上すぎる!」

八幡「いや、実際重大な問題だろ?カミさんの稼ぎで暮らしてる以上、カミさんが出産だのなんだので仕事しないってことは、収入が途絶える事を意味するからな」

結衣「さ、産休とかあるんじゃないの?」

八幡「つったってどうしても収入は落ちるだろ。出産で物入りな時期に、唯一の収入源を減らすのは得策じゃないな」

結衣「じゃあ、共働きすればいいでしょ!?」

八幡「両親とも働きにでたら誰が子供の面倒みんだよ?家政婦でも雇うの?俺は共働き家庭で育ったから、子供にはあんな寂しい思いはさせまいって決めてんだよ」

結衣「じゃ、じゃあ、普段からヒッキーが働いてればいいでしょ?そしたら、わ、じゃなくて奥さんは子供の面倒みれるでしょ!?」

八幡「それはお前、前提条件が崩れちまうじゃねえか。働かない。絶対に働かないぞ。俺は」

結衣「もー…ほんとああ言えばこう言うし…」

八幡「はっ!そもそも言い合いで俺に勝とうなんて思うのが間違いなんだよ。口で争えば雪ノ下>俺>由比ヶ浜は絶対に揺るがないぞ。まぁ、物理的に殴りあっても、この順番だろうけど」

結衣「ヒッキーはゆきのんに殴り合いでも負けちゃうんだ…。てか女の子に手をあげるとかサイテー」

八幡「いや、ボコボコにされるの俺だから」

結衣「むー…。あ!だったら」

八幡「あん?」

結衣「じゃあ、もしも、の話でいいから聞かせて?おねがい」

八幡「いや…お前…」

結衣「おねがぁい」

八幡「いや…だから、上目遣いやめろ」

結衣「ねぇ?」

八幡「………」ボリボリ

結衣「ヒッキー?」

613: 2013/09/18(水) 02:17:13.76
八幡「わかった、わかったから。言うからやめろ」

結衣「やった!」

八幡「なんなの…。あー…名前か…あれだ。ゆ、ゆかり…とか?」

結衣「えー……?」

八幡「なんだよ!聞かせろっつったのお前だろ?いい名前じゃねえか」

結衣「いや、変な名前とは言わないけど。でも、なんでそんなガチで考えた感じの名前なの?あと娘で決定してるのがちょっと引くんだけど」

八幡「い、いいだろ別に…たまに考えてんのが出ちまったんだよ」

結衣「普段から考えてんじゃん!なら、素直に言えば良かったでしょ?」

八幡「いや…。つうかいいだろ別に!あれだ、こういうのは感性の合うパートナー同士で決めるもんだからいいんだよ!」

結衣「え…?あー、あー…で、でも名前自体はす、すごくいい名前だよねー?」

八幡「なぐさめの言葉はいらないから。どうせ気持ち悪いから」

結衣「そ、そんなこと思ってないしっ!!だ、だから気持ちら悪いのはヒッキーで、あたし、名前自体は最初からいいって言ってんじゃん!」

八幡「まぁな」

結衣「ふぅ…。あ、か、漢字!漢字はどうやって書くの?」

八幡「あ?あーあれだ。結に香…いや、由に…いや、あれだ。あー…縁って漢字があるだろ。あれ一文字でゆかりだ」

結衣「なるほど!それなら、お父さんに似ないでお友達いっぱいな子供になりそう!」

八幡「だからお前はなに言ってんの?なんで子供が俺に似んだよ?」

結衣「ヒッキーこそ何言ってんの?今はヒッキーの子供の話をしてたんでしょ?当然じゃん?」

八幡「あ?あー…あ、そうか…。なんかこんがらがってきたな…」

結衣「そう?えへへ…」

八幡「………」ボリボリ

結衣「あ!じゃあさ、ヒッキーんちの男の子の名前も考えようよ!」

八幡「あー?いや、もういいだろ」

結衣「いいじゃんいいじゃん!」

八幡「え~?」

結衣「まずあたしからね!うちのパパのー」

632: 2013/09/20(金) 09:18:51.11
「おけが」



八幡「汗くせぇ…6限目に体育とか一体なに考えてんだよ」

戸塚「八幡!」

八幡「おう、戸塚!あれ、お前着替えは…。あぁ、部活だもんな。当然か」

戸塚「うん。でもさっきも体育だったせいで汗かいちゃったけどね。汗臭くないかな」

八幡「大丈夫!むしろフローラルだぜ?」

戸塚「もう!やめてよ八幡!八幡も部活?」

八幡「ああ、まぁな。あれ?」

戸塚「どうしたの八幡、キョロキョロして」

八幡「あ、ああ…いや別に」

戸部「マジで?ユイ大丈夫なん?」

三浦「そ、急に倒れたから、あーしもびっくり」

葉山「じゃあ、保健室に連れていったのか。優美子?」

三浦「そ。帰りにね」

八幡「………!」ガタッ

戸塚「え、由比ヶ浜さん倒れたんだって。大丈夫かな、はち…まん?あれ?」

戸塚「八幡?」キョロキョロ

633: 2013/09/20(金) 09:20:47.03
× × ×

タッタッタッタ!

平塚「比企谷!廊下を走るんじゃない。君は小学生かね?」

八幡「ウスッ」ペコッ

タッタッタッタ!

平塚「比企谷!…まったく速度を緩めていないじゃないか…。しかし、あんなに慌てた様子も珍しいな」

× × ×

タッタッタッタ

八幡「ふぅ…。失礼します」

ガラガラ

鶴見「おや?君はこないだの子じゃないか」

八幡「ども」

鶴見「なんだい、また風邪かい?でも、もう放課後だからさっさと家に帰ったほうがいいと思うけど」

八幡「いえ、そうじゃないんですけど」

結衣「あれ?ヒッキー?」

八幡「……あん?」

鶴見「おや、知り合いかい?ああ、そうか、確か彼も静ちゃんとこの子だったね。じゃあクラスメイトか」

結衣「はい!」

八幡「お前何やってるの?」

結衣「いやー、体育の帰りにこけて足くじいちゃって。あはは」

八幡「…何もないところで倒れたんじゃねえの…?」

結衣「いやー、そうなんだよねー。なにもないとこでずっこけちゃって…。やー優美子に笑われちゃった。あはは」

八幡「………」

結衣「ヒッキーはどしたの?」

八幡「いや…俺は、別に…。んじゃそういうことだから」

結衣「え!?ヒッキー!?」

鶴見「ああ、なるほど。君は気になって見に来たのか」

八幡「っ!い、いや。別に」

結衣「え!?ヒッキーもしかして心配して来てくれたの!?」

八幡「ばっかお前、そんなわけねぇだろ。あれだ。あ、先生ちょっと俺、頭痛がするんですけど、薬か何かもらえないですか?」

鶴見「捻くれを治す薬はないねぇ」

八幡「………」

鶴見「いやー、由比ヶ浜ちゃんだったっけ?いいクラスメイト…いやこの場合は…いや、まだそんな感じじゃないね、うん。いいクラスメイトを持っているじゃないか。私も保健室ながいけどね。なかなかいないよ?」

結衣「えへへ…」

八幡「………」

鶴見「ああ、そうだ。私はちょっと静ちゃんに用事があるんだったな!えー、悪いけど君?」

八幡「…比企谷っす」

鶴見「そうそう、比企谷くん。悪いけど、ちょっと留守番しておいてくれるかな?悪いね?ありがとうね?」

八幡「ちょ、ちょっと!」

634: 2013/09/20(金) 09:22:35.69
ガラガラ、ピシャ

八幡「………」

結衣「ヒッキー、ありがとね?」

八幡「いや、だからさ。頭痛薬もらいに来ただけだっつの」

結衣「でも、汗だくだよ?」

八幡「……いや、六時間目体育だっただろ」

結衣「そっか。もう終わって30分くらいたってるけど、まだ暑いんだ?」

八幡「……まぁな。ほら、サッカーだったんだよ。葉山だの戸部だの、サッカー部の連中がやたら出張ってきてたからな」

結衣「そっかー。ヒッキー今日は積極的に体育に参加してたんだね?」

八幡「……まぁ、俺はわりかし球技好きだし、得意なんだよ」

結衣「ふぅん?団体競技苦手なのに?」

八幡「いや、それはお前、あれだ」

結衣「うん。ありがと」

八幡「………」ボリボリ

結衣「へへ…」

八幡「あー、あれだ。お前、話変わるけどさ。お前もそうだけど、お前の周り、話し方とか一度ちゃんと勉強したほうがいいんじゃねえの?」

結衣「それって話変わってるの?」

八幡「…いや、変わってるだろ。スポーツの話と、話し方の内容でまったく違う内容じゃねえか」

結衣「うん。まぁ、そだね」

八幡「…あれだ。戸部とか絶対なに食べてもヤバイヤバイって言うだろ?フグ刺し食ってヤバイヤバイ言ってたら、テトロドドキシンでヤバイのか、うまくてヤバいのかわからねえじゃねえか」

結衣「ふぐ…下関?」

八幡「そんなのいちいち覚えてんじゃねえよ…」

結衣「へへー」

八幡「だいたいお前なんだよ。何もないところで転ぶってありえねえだろ。何かの病気なんじゃないの?病院で見てもらったら?」

結衣「ヒッキーひどいし!こんなことちょくちょくあるわけじゃないし!2度目だし!」

八幡「前に一度あるんじゃねえか、だいたいお前はだなー」

635: 2013/09/20(金) 09:23:24.88
ガラガラ

三浦「ユイー?」

結衣「あれ?優美子?」

八幡「三浦…」

三浦「なに、ヒキオじゃん。あんたなにしてんの」

八幡「いや、俺は別に…」

三浦「あ、ユイ。鞄持って来たから。携帯も鞄の中」

八幡「シカトかよ…。ていうか、だったら聞くなよ…」

結衣「本当!?優美子ありがとう!」

三浦「着替えはきついでしょ。帰ってから着替えな、ほら」

八幡「え?なんで鞄俺に渡すの?」

三浦「は?ユイ捻挫してんだけど?だったら送ってくくらいするでしょ。普通」

結衣「優美子…」

八幡「いや、だからってなんで俺が…」

三浦「あんた、同じ部活でしょうが。つかそういうのいいから」

八幡「………」

三浦「じゃ、あーしこれから行くとこあるから」

結衣「あ、うん!ありがとね、優美子!」フリフリ

三浦「………」フリフリ

636: 2013/09/20(金) 09:23:59.48
ガラガラ、ピシャ

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「…じゃあ、先生が帰ってきたら…帰るか」

結衣「え?ほんとに送ってってくれるの?」

八幡「……まぁ…あれだ。三浦にああ言われたらしょうがないだろ。その、後が怖いし」

結衣「そっか…。えへへ…ヒッキーありがとう!」

646: 2013/09/20(金) 17:32:33.95
八幡「つか、あれだな。帰るなら雪ノ下に連絡しといたほうがいいんじゃねえか」

結衣「あ、そうだね。送ってみる!」カチカチ

八幡「おう」

結衣「ええっと…ケガをしたので…っと…」カチカチ

八幡「………」

結衣「あっ」ゴトッ

八幡「携帯落とすなよ、壊れんぞ。つかデコってんのが剥がれんぞ」

結衣「いやはや、失敗失敗」ガタッ

八幡「おい!馬鹿!立ち上がったら!」

結衣「痛っ…」ヨロッ

八幡「おいっ」ガシッ

結衣「あ……」

八幡「………」

結衣「ご、ごめん…」

八幡「お、おう…」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「あ、あの、ヒッキー?そ、その肩痛いんだけど」

八幡「あ、いや、す、すまん。つい力がな。その、まぁ、ゆ、ゆっくり椅子座れ。気をつけろよ」

結衣「う、うん…」

八幡「………」

結衣「ご、ごめんね。ヒッキー」

八幡「い、いや…」

結衣「あ、あの。ご、ごめんね?そ、その体育の後、着替えてないから、そ、その、汗臭くなかった?」

八幡「い、いや、それは全然、むしろ…いや、つ、つかお前、さっさと雪ノ下にメール送ったほうがいいだろ」

結衣「あ、そ、そだね」カチカチ

八幡「………」

647: 2013/09/20(金) 17:33:54.19
結衣「あ、あのさ。それで、ヒッキー、か、帰りなんだけどさ、歩けないかもだし、そのじて…」ブーブー

八幡「雪ノ下からか?返信早いな」

結衣「あ、う、うん。どこにいるの?だって」カチカチ

八幡「……返信には気をつけたほうがいいと思うぞ。なんとなく」

結衣「え?あ、もう送っちゃった」

八幡「そうか…」

結衣「こんな感じで送ったんだけど、何かまずかったかな」

八幡「あー…」

タッタッタッタッタッタタッタ

アレ、キミハユキノシタチャンジャナイカ。ソンナニイソイデドウシタンダイ

ツルミセンセイ、センセイハホケンノタントウデスヨネ。ナゼソトニイルノデショウカ

アー、ジカンツブシダヨ

ソノ、ハイッテモ?

アー、ウン。タブンソロソロダイジョウブダロウネ。ワタシハアトデハイルヨ

結衣「これって?」

八幡「…やっぱりな」

ガラガラ

雪乃「由比ヶ浜さん!?」

結衣「ゆきのん!」

雪乃「由比ヶ浜…さん?」

八幡「おう」

雪乃「比企谷…くん…」

八幡「………」

648: 2013/09/20(金) 17:35:56.66
雪乃「……由比ヶ浜さん。どういうことか、説明してもらえるかしら?」

結衣「あ、ええっと。ご、ごめんね、ゆきのん。あ、あたし軽く捻挫しちゃっただけなんだ」

雪乃「捻挫…?」

結衣「ご、ごめん?ゆきのん、そのあたしメールで説明足りてなかったよね?」

雪乃「いえ、それはいいのだけれど…。いえ、良くはないわ。あなたはいつもそうでしょう?大事なとこで説明が足りていないのよ。今回は不問にするけれど、これからはー」

八幡「………っふ」

雪乃「………。比企谷くん、何がおかしいのかしら」

八幡「いや。捻挫でこうも心配するやつも珍しいって思って、な」

雪乃「ひ、比企谷くん。別に私は…連絡を受けた時点でこの程度のことは想定していたのだし。別段驚きはー」

八幡「今日はよく喋るよなぁ。お前」

結衣「ゆきのん…えへへ…」

雪乃「それは…別にあなたに言われる筋合いはないわ。どうして、既に保健室にいるのか、大体想像がつくもの」

八幡「まぁ、な」

結衣「ヒッキー…」

八幡「…ま、これも、ある意味お前の人徳ってやつだな。由比ヶ浜」

雪乃「……そうね」

結衣「どういうこと?」

八幡「いや、あれだ。捻挫でこうも…こんなにいろんなやつに心配されるやつも珍しい、ってことだよ」

669: 2013/09/22(日) 03:07:41.95
「じんせいげーむ」



結衣「ねぇねぇ、ゆきのん!人生ゲームってしたことある?」

雪乃「人生ゲーム…。人生を一種のゲームに例えると言う考え方かしら」

結衣「人生がゲーム!?」

雪乃「けれど、それは誰かさんにとってにあまりに不利よね。いきなりものすごい難易度で始めたようなものだもの」

八幡「おい。人の人生をナイトメアモードかなんかのような言い方をするな。俺は高スペックだし、せいぜい言ってもハードモードくらいなものだろ」

雪乃「その違いがよくわからないわ。あまり変わらないようなものだと思うのだけれど」

八幡「ま、イージーモードの雪ノ下さんにしてみりゃ、同じようなもんなんdなろうけどな。なんでいきなりその発想になんだよ」

結衣「ゆきのん!ボードゲームだよ、ボードゲーム。あたし結構得意なんだー」

雪乃「ボードゲーム…。そう言われても私はボードゲームと言えばレイルウェイくらいしかした事ないのだけれど」

八幡「なんで、そんなアメリカンなゲームをしたことがあるんだよ。つか、あれ1ゲーム3時間以上かかるガチなやつだろ…。なにもんなんだよ、お前は」

結衣「ええ~?お正月とかに友達とかでで集まってしたことない?」

雪乃「お正月に誰かと集まってすごすなんてなかったもの」

結衣「ああ!ご、ごめんゆきのん!」

八幡「お前友達いないもんな」

結衣「ヒッキーは黙ってて!」

雪乃「いったいどんなゲームなのかしら」

結衣「ふっふっふ、実は実物があります!じんせぇげぇむ~!」

八幡「だから、お前青狸の真似似てないから」

結衣「だから、これあたし自信あるの!だいたいドラちゃんは猫だしっ!」

八幡「自信あっても似てなきゃなんの意味ねぇから。つか持って来ちゃったのかよ…」

雪乃「なるほど、こういうものなのね」

結衣「うん、持ち運びのだけどね。おうちでやる奴はもっと大きいよ?」

雪乃「なるほど。察するに、ルーレットでやるすごろくのようなものかしら」

結衣「そうそう!これ説明書!」

八幡「その中で止まるマスとかによって、就職だの、結婚だのがあるわけだ。あと、最終持ってた金額で順位が決まるから、必ずしも先にゴールについたからと行って優勝できるわけでもない」

雪乃「なるほど…」パラパラ

670: 2013/09/22(日) 03:08:52.15
結衣「けどヒッキー、結構詳しいね?」

八幡「そうでもないだろ」

結衣「よくやってたの?」

八幡「いや、やってたと言うか、やってるな」

結衣「え!?進行形!?」

八幡「進行形だ」

結衣「え?あ、ご家族とやってるの?あ、小町ちゃんとか?」

八幡「さらっと友達という選択肢を消すのはやめろ。まぁ、あれだ。基本は一人だな」

結衣「一人!?」

八幡「いやさ、前は小町とやってたんだけど、小町が結婚マスに止まるたびに毎回ウダウダ言ってたら、遊んでくれなくなったんだよ。なんでか知らないけど」

雪乃「気の毒に…、よっぽど気持ちが悪かったのね」ペラペラ

結衣「当たり前だしっ!ていうか理由わかってるんじゃん!そもそも人生ゲーム一人でやるとか暗すぎるし!」

八幡「ばっかお前。俺はこれまでの人生で、誰とも馴れ合わず、大概の事は一人で乗り越えてきたんだよ」

結衣「かっこよく言ってるけど、それただのボッチってことでしょ!?」

八幡「いやお前、このご時勢ぼっちっていうのは年々増え続けてんだぞ?言ってみればぼっちというのは、新しい時代に適応した究極のライフスタイルだと言える。ある作家の言葉を借りれば、ボチノミクスと言うやつだ。人よ、ぼっちたれ!」

結衣「ヒッキーみたいなのがいっぱいになったら、日本終わりだしっ!!」

八幡「まぁな」

結衣「認めちゃった!!」

雪乃「そろそろいいかしら?」

結衣「え?なにが?」

八幡「何ってお前、勝負に決まってんだろ」

結衣「え!?ホントにやるの!?」

雪乃「当然でしょう?」

八幡「やる気ないなら、そもそもなんで持って来たんだよ。だいたい雪ノ下がお前に教えられたままで終わるわけがないだろ」

ガラガラ

平塚「話は聞かせてもらった」

結衣「平塚先生!?こ、これは!」

平塚「いや、いい。そのままにしておきたまえ、私も参加しよう」

八幡「おい。先生は俺のゲーム機取り上げたでしょ。なにさらっと参加しようとしてるんですか」

平塚「なにを言っているのかね、比企谷。校則をもう一度読み返してみたまえ。我が校の校則にはゲーム機等の持ち込みを禁止する校則はあっても、ボードゲームの持ち込みを禁止する校則はないのだよ」ドヤ

八幡「いやそれ、洗濯機に子供を入れて洗わないでくださいレベルの話ですよね?なに法律の穴を見つけたみたいな顔をしてんすか」

平塚「誰もそんなことは思っていないのだが?一言も言っていないのだが?」

八幡「いや、先生はそんな口調で喋らなくっても十分異端ですよ。ある意味で」

平塚「まぁ、いいじゃないか比企谷。最近職員室に居場所がないのだよ」

八幡「理由が教員の言葉とは思えない…」

雪乃「先生はピンクでよろしいでしょうか?」

結衣「先生は黄色が似合いそう!」

八幡「お前らもすんなり受け入れ態勢に入ってるんじゃねえよ」

平塚「そうだな。黄色にしておこう。比企谷、君はこの茶色を使いたまえ」

八幡「もうちょっといい色あるだろ…」

結衣「よーし、じゃあはじめよー!」

671: 2013/09/22(日) 03:10:23.81
× × ×

雪乃「………」

結衣「ゆきのんがんばって!」

雪乃「………」カラカラカラ

結衣「おお!また10だ!」

雪乃「………」グッ

平塚「さすがだな」

八幡「お前、さっきから8以上しか出してないじゃねえか。どうなってんだよ」

雪乃「たまには2や3も出しているでしょう?」

八幡「そのあたりにすごくいいマスがある時だけ、な」

雪乃「別に、だんだんとルーレットの回し方がわかってきただけよ」

八幡「それじゃイカサマだろ!」

雪乃「失礼ね…」

結衣「イカ様?」

平塚「いや、雪ノ下はあくまで自分の力で勝負しているんだ。イカサマと言うのは適切ではないな」

八幡「じゃあ、レインマンのダスティンホフマンはどうなるんすか。あれだってあくまで自分の力なのに、イカサマ扱いされたじゃないすか」

平塚「随分渋いところをつくな君は。何、それは単純な話だ。イカサマかどうかの判断については、単純に『親』…胴元の利益になるかどうか、できまるのだよ。サクラを勝たせるのは、イカサマにならない。逆に不正をしていなくても、極端に親に損害を与えるのならば、イカサマなのだよ」

八幡「身もふたもなさすぎる…。教師が生徒に聞かせる話じゃないだろ…」

結衣「イカ様…」

雪乃「家を購入」

八幡「ガン無視かよ。つかはえぇな…」

雪乃「はい、次はあなたでしょう」

八幡「…おう」

結衣「ヒッキーがんばって!ドベなんだから!」

八幡「うっせ。お前だってほとんど変わらないで3位だろうが。得意じゃなかったのかよ」

結衣「だって、ゆきのんも先生も強すぎるんだもん…。てかヒッキーだって今もやってるってわりには弱すぎるしっ!」

八幡「まぁ、あれだ。俺の場合、他人と遊ぶのがはじめてだからな?初心者みたいなもんなんだよ。一人でやると基本競争ないし」

結衣「だから暗すぎるしっ!!」

平塚「…っち」

雪乃「……比企谷くん。ゲームが進まないのだから、早くしてもらえるかしら」

結衣「わ、ご、ごめんなさい」

672: 2013/09/22(日) 03:11:42.90
八幡「なんなの怖いよ…ゲームで殺気立ちすぎだろ…。じゃあ回すわ」カラカラカラ

結衣「お!8だ。八幡の8!」

八幡「……下の名前よぶんじゃねえよ。えっと8か。えーと…」

平塚「お、人生の岐路だな。職業選択じゃないか。さて、ビジネスコースか、専門コース、どちらを選ぶか見物だな?」

八幡「先生。専業主夫がないんですけど」

平塚「ゲームでもあくまで専業主夫になるつもりなのかか、君は…。そもそも人生ゲームには専業主婦も主婦も存在しないのだろう。少なくともプレイヤーはな。ま、まぁ、どうしてもというのであれば私はそれなりのきゅうりょー」

八幡「そっすか。じゃあビジネスコースにします」

平塚「………」

結衣「へぇ~意外!サラリーマン選ぶんだ。フリーターあるし、専門職コースを選ぶかと思ってた」

八幡「ばっかお前、フリーターは今は良くても後で困るだろ。その点、与えられた仕事を黙々と文句なくこなせばいいサラリーマンは専業主夫に次ぐ俺の天職だ。具体的には定時で帰れる千葉県職員がいい。県民の皆様のサーバントとなってサービスするわ」

雪乃「相変わらずちゃんと考えているのかいないのか、よくわからない男よね。あなた」

結衣「定時って5時でしょ?5時くらいに帰ってきてくれるのはいいかも!あ…いや、旦那さんがって意味だけど!」

平塚「ふむ…。しかし適職かもしれんな。君の千葉愛を考えると、観光振興課のようなところならその才能を生かせるかも知れないな」

八幡「いや、まぁ、ゲームなんで、あんまマジにとられても困るんですけどね?」

平塚「さて次は私か」カラカラカラ

結衣「おお!6だ!…言う事思いつかないけど!」

平塚「ふむ、…お?また子供マスじゃないか。いや、参ったな。はっはっは」

八幡「なんか、先生の車だけ大家族がワンボックスカーぎゅうぎゅうに詰まっているみたいになってんな…」

平塚「いやー!大家族とかいうんじゃない、比企谷!照れるじゃないか!」

結衣「ほんとだ!現実と真逆ですね!」

平塚「うっ!」

八幡「いや、お前それは…」

雪乃「由比ヶ浜さん…、私でもさすがにそれは言えないのだけれど」

結衣「わあああ!先生そういう意味じゃなくって!ほら、先生の車、あまり助手席とか使った形跡とかがなくって綺麗っていうか、そういう意味で!ほら、子供のったらもっと汚れるじゃないですか!」

平塚「ううっ!」

673: 2013/09/22(日) 03:12:55.24
八幡「お前…、もういいからルーレット回せよ。お前のフォロー、フォローになんねぇから。ほらよ」

結衣「う、うう…と、とりあえず回すね」カラカラ

八幡「7だな」

結衣「えーと、1、2、3、4、5、6、7っと。えっと、ここだ!」

八幡「いや、お前結婚しろよ」

平塚「ぐふっ!?」

結衣「ちょ、ちょっとヒッキー!?なに言ってんの!?」

八幡「いや、そうじゃなくてだな。結婚マスはルーレットが余っても必ず止まるもんなんだよ。だからさっさと結婚しろよ」

平塚「ぐあぁ!」

結衣「け、結婚しろとか…その、だ、だって…」

八幡「だいたい、さっきの流れで結婚マスに止まる状況とかなんなの?ナチュラルボーンS娘なの?お前?そんなの雪ノ下一人で十分だろ」

平塚「………」

雪乃「失礼ね…」

結衣「今のは全部ヒッキーが悪いんでしょ!?先生机につっぷしちゃったじゃん!」

八幡「まぁ、自分の番になったら復活すんだろ。いいから結婚しようぜ」

結衣「ちょ、ちょっと。だ、だから…け、結婚とか連呼すんなし…」

雪乃「………」

674: 2013/09/22(日) 03:14:09.22
結衣「あ、で、でもさ。プレイヤー同士で結婚できるルールってなかった?」

八幡「あ?いや…ねぇだろ。そんなもん」

平塚「ほう?プレイヤー同士か、興味深いな」

雪乃「復活しましたね…」

結衣「ほら、小学校の時とか、みんなでやってる時とか」

平塚「ローカルルールというやつだな?」

結衣「プレイヤー同士とか、後で混ぜてって言って来た子とか、混ぜてみんなでできるようにするの」

八幡「ローカルというか、むしろリア充ルールじゃねえか、それ。俺たちがそんなのした事あると思うの?」

雪乃「あなたと一括りにしないでもらえるかしら…」

平塚「ふむ、だが。プレイヤー同士の結婚というのはなかなかに興味深いじゃないか」

八幡「先生、ゲームにそういうこと求め出したら氏亡フラグですよ。彼プラスですか、大丈夫ですか」

平塚「う、い、いや、まぁ、いいじゃないか比企谷。せっかくの機会だ。仮にこの中からパートナーと選ぶとしたらどうするか、言ってみたまえ」

結衣「!!」

雪乃「………」ピクッ

八幡「先生、なにニヤニヤしてんすか。性格悪すぎでしょ…」

平塚「なにを戸惑うことがある比企谷、これはあくまで『仮』に『ゲーム上の』パートナーを決めるならどうすればいいかと言う話だ。なぁ、雪ノ下、君なら誰を選ぶ?」

雪乃「………。…日本では遺憾ながら同性婚は認められていません。加えて、現在このゲームに参加している男性プレイヤーは比企谷くんだけです。となれば遺憾ながら、本当に遺憾ながら、選択肢は比企谷くんしかないのではないでしょうか」

八幡「お前さ…」

平塚「ふむ、そうだな。となれば私も比企谷だ。君はどうかね?由比ヶ浜」

結衣「あ…あ、あたしは…」

八幡「………」

結衣「あ、あたしも、ひ、ヒッキーがいいかなぁ…、なーんて…。か、か、仮にだよ?か、仮に…」

八幡「………」

675: 2013/09/22(日) 03:15:46.20
平塚「ふむ。ということだ。比企谷。なに、あくまで仮の話だ。さぁ、男らしく誰と結婚するか、決めたまえ」

八幡「いや、先生あのですね」

結衣「ヒッキー?」

八幡「いや、だから…」

雪乃「比企谷くん」

八幡「いや、お前もさ…」

平塚「比企谷…」

八幡「………」

結衣「………」ゴクリ

八幡「あの…」

雪乃「………」

八幡「………」

平塚「………」

八幡「………。ゆ…」

676: 2013/09/22(日) 03:17:27.24
ガラガラ

材木座「はちえもーん!!助けてぇよぉ!」

八幡「材木座ぁ!!」パァァ

材木座「え?あれ?八幡!?」

八幡「材木座!!いや、剣豪将軍よ!我、汝の呼び声に答え、今馳せ参じよう!参るぞ!剣豪将軍!!」

材木座「お?お?おおお?うむ!では我らの前世よりの悲願である全国統一をなさんがため、共に戦おうではないかっ!!」

八幡「ふぅーはっはっはっはっはっは!!」

材木座「うわっはっははっはっははっは!!」

ガラガラガラ ピシャ

平塚「………」

結衣「………」

雪乃「………」

平塚「…ふむ…片付けるか…」

結衣「はい…」

雪乃「そうですね…」

682: 2013/09/22(日) 16:45:38.19
「びょうき」



三浦「さ、ユイ。昼食べるよ」

結衣「うん!あれ?」

海老名「どうしたの結衣。キョロキョロして」

結衣「え?ううん。…あそこかな。でも今日雨降ってるし…」

ガラガラ

戸塚「………」

結衣「さいちゃん…。あの顔…もしかして…。さいちゃん!」

戸塚「わ、由比ヶ浜さん。びっくりした」

結衣「ご、ごめんね?あのさ、ヒッキーどこ行ったか知らない?今朝からなんか、顔色悪かったから気になってて」

戸塚「う、うん。やっぱり由比ヶ浜さんも気づいてたんだ。その、八幡が今日はお昼忘れたって言うから、二人でパンを買いに行ったんだけど、八幡、途中で倒れちゃって…」

結衣「た、倒れた!?大丈夫なの!?」

戸塚「た、多分…。その、とりあえず保健室には連れて行ったんだけど…」

結衣「保健室…ご、ごめん、優美子!あの、あたし、お昼ちょっと行かなきゃいけないところあるから!」

三浦「あ、そーなん?じゃさ、帰りにあれ買って来てよ、レモンティー。あーし、今日飲みもん持ってくるの忘れててさー。パンだし、お茶ないときついじゃん?」

結衣「ごめん、優美子!それは無理。あたし、今日は多分、お昼の間帰ってこれないから」

三浦「……あ、そ。なら、早く行って来たほうがいいんじゃん?」

結衣「うん!ありがと、優美子!今度41のアイス奢るから!」

三浦「そういうのいいから。さっさと行ってきな」

結衣「うん!ありがと!行ってくる」フリフリ

タッタッタッタ

三浦「………」フリフリ

海老名「ぐ、ぐ腐、ぐ腐腐腐腐腐腐腐」

三浦「……こっち見て変な笑い方すんなし。擬態しろし」

683: 2013/09/22(日) 16:48:18.61
× × ×

結衣「はぁ、はぁ。し、失礼しまーす」

ガラガラ

養護「おや、君は。君たちは随分保健室が好きみたいだね」

結衣「い、いえ、そんなわけじゃないんですけど。そ、そのヒッキー…比企谷くんは…」

養護「こないだの彼なら、奥のベッドに寝かせてるよ。カーテンの向こうね」

結衣「あ、あの。よ、様子を見てもいいですか?」

養護「もちろん。けど移るかも知れないよ」

結衣「大丈夫です。ありがとうございます。ひ、ヒッキー?」

シャッ

八幡「…………」

結衣「……大丈夫…かな。わ…すごい熱」

養護「ああ、39度近いからね」

結衣「そ、その病院とかは…」

養護「そのことで静ちゃんに聞こうと思っていたところだったんだ。君、親御さんの連絡先とか知らない?」

結衣「あ、は、はい。ええと、妹さんのなら」

養護「ふむ。直通の連絡先は知らないかな?」

結衣「あ、た、多分。本人の携帯を借りれば…。それか妹さんに聞けばわかります」

養護「まぁ、事情が事情だからね。本人のを借りようか」

結衣「あ、あたしが電話します!」

養護「ん。じゃあ、後で代わってもらえるかい?」

結衣「は、はい」

684: 2013/09/22(日) 16:50:33.63
シャッ

八幡「…………」

結衣「ごめんね。ヒッキー、携帯借りるね?」

八幡「………ん…」

結衣「い、いいよ。あたしが出すから。ヒッキーは寝てて?」

八幡「ん……」

結衣「ええと…お母さん…お母さんと…これだ」プルルルル

結衣「………」

結衣「あ、こ、こ、こんにちわ。あ、あたしは…え?いえ、はい、違います。あたしは…は、はい!そうです。この間は突然お邪魔して失礼しました。は、はい、そうです。じ、実はひっき…がやくん、比企谷くんの事なんですけど、はい、そうです。熱を…。え?朝から?はい、はい」

結衣「そうです。今は39度くらい…。え?はい、そうです。39度です。そうなんですか!?はい…はい。そ、それで病院に…え?はい、学校の保健室です。い、いえ、今は昼休みの時間なので…え、はい、はい。いえ、あたしのほうは、はい。大丈です」

結衣「いえ、そんなことは全然!保健室に連れていってくれたのも他のクラスの子で…は、はい。伝えておきます。あ、それじゃ、保健の先生に代わります。いえ、全然!はい、はい、失礼します。せ、先生!」

養護「はいはい。あ、お電話代わりました。私、総武高校の保健室担当の…え?いえいえ、そんな、これが仕事ですから。はい、はい。ええ、見たところは風邪に近いとは思うのですが、熱が熱だけに油断は出来ませんので。はい、はい。はい、あ、迎えに。わかりました。でしたら時間まではこちらに寝かしておきますのでー」

685: 2013/09/22(日) 16:53:08.52
シャッ

結衣「………」スタスタ

八幡「………」

結衣「………」

八幡「……こまち…?」

結衣「ううん。あたし、ヒッキー学校来たんだよ?覚えてないの?」

八幡「学校……?そうか……」

結衣「うん。お母さん迎えに来てくれるって言ってたから。だから、もうちょっと我慢してね」

八幡「そうか…」

結衣「うん」

八幡「………すりりんごが食べたい」

結衣「ごめんね?今はないんだ。今度作ってあげるね?」

八幡「……風邪にはすりりんごだろ…」

結衣「ごめんね?だって、ここ学校だから。リンゴとか置いてなくって…」

八幡「………そうか。なんで俺学校来てんの…」

結衣「聞きたいのはこっちのほうだよ、ヒッキー。ヒッキーは自分の体調や安全を第一に考えるんじゃないの?朝から体調悪かったんでしょ?」

八幡「明日…土曜日だからな…」

結衣「どういうこと?」

八幡「2日、顔みれなくなるじゃねえか…」

結衣「顔…?誰のこと言ってるの?」

八幡「小町は知ってるだろ…」

結衣「…だから、小町ちゃんじゃないって言ってるでしょ?」

八幡「……お前あいつと仲いいんだろ。また呼んだら?」

結衣「…自分で誘ってくれたらいいじゃん」

八幡「……いや…風邪なんだよな。風邪移るか…やめとけよ」

結衣「ひ、一人で勝手に言って、勝手に納得しないでよ。馬鹿っ!!ヒッキー、熱でもあるんっじゃないの!?」ピタッ

八幡「………」

686: 2013/09/22(日) 16:55:06.09
結衣「あ、そ、そっか。熱あるのか…」

八幡「…手、気持ちいな…」

結衣「え?ほ、ほんと?」

八幡「ああ…。ひんやりしていい感じだぞ、小町…」

結衣「だから、小町ちゃんじゃないし……ううん、今はそれでもいっか」

八幡「………」

結衣「……お兄ちゃん?なんかして欲しいことある?」

八幡「あー…自分の部屋戻れよ…。移るぞ…」

結衣「やっぱりヒッキーは優しいね。あたしは、もうちょっとここにいる」

八幡「……そうか。……じゃ、手……」

結衣「手?オデコにくっつければいいの?」

八幡「握ってくれ…」

結衣「手!?て、手を握るの?」

八幡「うん…」

結衣「う、うん。わかった。こ、こう?」

八幡「ああ…。……お前、手、ちっちゃくなったか?」

結衣「わかんない。あたしのが手、ちっちゃいのかな?」

八幡「さぁ……握りやすいけどな…このくらいの手の大きさにしとけよ…」

結衣「手の大きさとか、変えられないし」

八幡「………そうだな…」

687: 2013/09/22(日) 16:55:54.18
結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「…由比ヶ浜…」

結衣「え?何?ヒッキー?」

八幡「………」

結衣「ヒッキー?」

八幡「………」スゥスゥ

結衣「バーカ……」

八幡「………」スゥスゥ

結衣「……おやすみ、ヒッキー。早く元気になってね」ナデナデ

688: 2013/09/22(日) 16:56:31.77
× × ×

平塚「あ、あの…私はこの中に入っていい…と言うか入らなきゃいけないんでしょうか…」

養護「野暮だねぇ、静ちゃんは…」

718: 2013/09/24(火) 14:11:16.22
「まだ」



八幡「………」スゥスゥ

小町「………」シャクシャク

八幡「………」スゥスゥ

小町「………」モグモグ

八幡「……う」

小町「………」シャクシャク

八幡「……ん…ん」モゾモゾ

小町「………」モグモグ

八幡「……こまち?」

小町「あ、お兄ちゃん。起きた。はい、これ」

八幡「…あ?なにこれ」

小町「体温計に決まってるじゃん」

八幡「あー…」モゾモゾ

小町「………」シャクシャク

八幡「………」

小町「………」モグモグ

八幡「……ん」ピピピピ

小町「………」シャクシャク

八幡「平熱だな。もう大丈夫だ」

小町「……ん」モグモグ

八幡「んだよ」

小町「体温計渡して」

八幡「いや、だから平熱だって言ったろ?」

小町「いいから、渡してって言ってるでしょ?」

八幡「………」スッ

小町「んー、37度6分か。結構下がったけど、まだちょっとあるね」

八幡「平熱みたいなもんだろ」

小町「いいから寝るの。お兄ちゃん、朝だってそんなこと言って学校行ったんだから」

八幡「朝は37度ちょいだったんだよ。俺、体温高いし、平熱みたいなもんなんだろ」

小町「いつも36度8分くらいあれば休もうとする人がなに言ってるの?ていうかなんで学校行ったの?」

八幡「……いやお前あれだ。明日休みだろ?ほら、行ける時には行っとかないとな。サボるのはいいけど、出席日数足りなくて留年になるのはシャレにならんだろ」

小町「へぇ、まぁそういうことにしといてあげてもいいけど」

八幡「……なんか含みのある言い方だな」

719: 2013/09/24(火) 14:13:21.69
小町「別にー?普段ほとんど体調崩さない人が体調崩したから、みんな心配したんだよ?」

八幡「みんなっつっても知れてんだろ。親父やお袋なんて俺に関心ないし」

小町「それはお兄ちゃんが知らないだけだよ」シャク

八幡「…どういう意味だよ」

小町「べふにー。…ごく。うちの家族は究極の捻デレさんの家族ってだけ」モグ

八幡「んだよ、それ…。つかお前さっきから何食ってんの?」

小町「リンゴだよ?結衣さんがお見舞いにって持って来てくれたの」

八幡「……じゃあ、なんでお前が食ってんの?」

小町「お兄ちゃんにもちゃんとあるよ?ほら、すりリンゴ。結衣さんがお兄ちゃんにって」

八幡「はぁん。風邪の時はすりリンゴだもんな。あいつわかってんな。……つかあいつ来てたの?」モグモグ

小町「うん。ついさっきまでね」

八幡「………もう帰ったのか」モグモグ

小町「うん。雨降りはじめたから、お母さんが送ってってるところ」

八幡「………お前ら、仲良すぎ…っつか、あいつに甘過ぎなんじゃないの?」

小町「だって、結衣さんがお母さんに連絡とかしてくれたからね」

八幡「あ?そうなのか?」モグ

小町「あ、ちなみに、そのすりリンゴ作ってくれたのも結衣さんだから」

八幡「………。お前、そういうことは先に言えよ。あいつに包丁使わせたの?血とか入ってねぇだろうな」

小町「残念。皮は小町が剥いたからね~」

八幡「あほか。俺は吸血鬼じゃねぇっつうの。あほか。いや、だってお前、このすりリンゴ変色しはじめてんじゃねえか」

小町「誰かさんが、全然起きないからだよ。せっかく結衣さんが持って来てくれたのに、全然起きないんだもん」

八幡「……いやお前、あいつを部屋にあげたの?」

小町「まぁね。あ、でも大丈夫!例の水着写真集は小町が見えないところに隠しといたから。ほら、あのおっきな胸の女の人がいっぱい載ってるやつ」

八幡「いやお前何言ってんの?何言ってんの?このご時勢、そんなもの本で持ってるやつがいるわけないだろ?何言ってんの?」

小町「この前の日曜日の定例オペレーションで見つけてるから、お兄ちゃんに逃れる手はないよ?」

八幡「……いや、なんなの定例オペレーションって。サーチ&デストロイかよ」

小町「デストロイってなんだっけ?」

八幡「破壊だろ、そのくらいわかれよ受験生」

小町「ああ…。サーチはするけど、デストロイはしてないよ。元に戻すだけだよ?ちなみにお母さんからの委託だよ?」

八幡「……最悪だ…。いや、つかそういうこと言ってんじゃないんだよ。移るだろって言ってんの。お前も早く部屋に戻れよ」

小町「いいの。お兄ちゃんは小町に心配させたんだから」

八幡「理由になってないだろ…。しかしなんだよ、このすりリンゴ。固まりみたいなのがゴロゴロしてんだけど?」

小町「じゃあ、食べるのやめる?残りは小町が食べたげる」

八幡「……いや、お前、食うよ。せっかくだし。それにほら、俺すりリンゴ好きだしな」

小町「そうだっけ?」

八幡「そうなんだよ。それにあれだ、これ俺の食いかけだしな。移ったらどうするんだよ。責任もって俺が食べるよ」

小町「ほんと素直じゃないなぁ、お兄ちゃんは」

八幡「何言ってんの。俺ほど素直な人間もいないだろ」

小町「はいはい」

720: 2013/09/24(火) 14:16:35.68
八幡「………」

小町「………」モグモグ

八幡「……まぁ、でも、ありがとな。ずっとついててくれたんだろ?……なんか、ぼんやりとだけど手とか握ってもらえて安心したわ」

小町「?。小町はそんなことしてないよ?」

八幡「あ?あー……じゃあ、夢か…」

小町「あー、でも学校で一緒にいてくれた人がいたみたいだけど?」

八幡「………。いや…それはないだろ。夢だろ、夢」

小町「そういうこと考えてると、お兄ちゃん、また寝れなくなるよ?」

八幡「またってなんだよ。そんなこと一度もねぇっつの」

ガチャ

八幡母「あれ、あんた起きてたの?」

小町「あ、おかえり」

八幡「…何?」

八幡母「何じゃないよ。飲みもん持って来てあげたんでしょ」

八幡「……いや…それはいいけど。なんでコーラなの?」

八幡母「バカだね、あんた知らないの?アメリカじゃ、糖分と水分を同時にとれるからってコーラ飲むの」

小町「あ、小町もそれドラマで見た!」

八幡「別にうちはそんなアメリカかぶれじゃないだろ…。だいたいこれ、ずっと冷蔵庫に入ってたやつでしょ」

八幡母「気が抜けたくらいのほうがゴクゴク飲めるからいいの」

八幡「いや、出かけたならポカリかアクエリアス買ってきてくれればいいだろ…」

八幡母「ああ、そうだ。出かけたといや、あんたもうちょっと頑張んな」

小町「だよねー。小町もそう思う」

八幡「…頑張るって何をだよ…」

八幡母「それは自分で考えることでしょ。どうせあんたこの週末はでかけらんないんだから、時間はあるだろ」

小町「ま、お兄ちゃんの場合、時間があってもなくても同じだと思うけどね」

八幡「うっせ…。つか、明日には熱下がるからいいだろ。いや別に出かける用事はないけど」

八幡母「あんた、色々な人に迷惑かけたんだから、きちんと治しな。こっちはあんたのせいで、明日休日出勤なんだから」

八幡「す、すみません」

八幡母「うむ。んじゃ、さっさと寝な。病人があんま夜更かししてるんじゃないよ」

ガチャ パタン

小町「んじゃ、お兄ちゃん。携帯、枕元に置いておくから」

八幡「いや、なんでだよ」

小町「だって、取りにいくのしんどいでしょ?」

八幡「いやお前、誰もそんなこと言ってないだろ」

小町「はいはい。そんじゃ、お休み~」

バタン

721: 2013/09/24(火) 14:25:51.03

ネェ、オカアサン。ユイサントナニハナシタノ

アア、アノコ『ーー』トカイッーネ。ジブンデーイッテカオマッカニーンノ。カワイイネ、アノコ

ネ?コマチノイッートオリデショ?




八幡「はー……」

八幡「………」

八幡「お前おふくろに変な…いやこれは…。あー…俺は変なこと言わなかったか?…か?いや…ないな。…削除削除…」カチカチ

八幡「………今日はリンゴありがとう…か?いや…色々助かったわ、ありがとな、くらいのがいいか?いや、長過ぎる?……そうでもないか」カチカチ

八幡「最後は疑問系は露骨すぎるか?…いやでもな…」

八幡「……つか、なんなんだよ。俺は病人なんだぞ。寝れなくなんだろ。なんなんだよ」ボリボリ

733: 2013/09/25(水) 02:42:28.43
「せっかく」



八幡「あー……」

八幡「………」

八幡「……よし」プップップップ…トゥ

八幡「…いやいやいやいや…」ピッ

八幡「あー……」ボリボリ

八幡「……よし」

八幡「………」

八幡「………」

八幡「いやいや、後一回押すだけだろ」

八幡「あー……」

八幡「………」

八幡「…あれだ。色々、世話になったしお礼言うのは当然のことだろ。ほら、俺って礼儀正しいし、よくしつけられてるし」

八幡「………」

八幡「……よし」プップップ

八幡「……五回ならして出なかったら切ろう…」ップップ

八幡「………」トゥル…

結衣「ひ、ヒッキー!?」ガチャ

八幡「うおっ、ゆひっ、んんっ……おう、由比ヶ浜か?」

734: 2013/09/25(水) 02:43:57.33
結衣「ヒッキー…よかったぁ。声、まだ枯れてるけど、ちょっと元気そうだね?」

八幡「おう。おかげさまでな。もうほとんど平熱だ。てか、よくわかったな」

結衣「うん、ヒッキーの声はよく聞いてるし」

八幡「人の声聞いてんじゃねえよ…」

結衣「ち、違くて!ぶ、部活とかで一緒だから…」

八幡「そ、そうか。つかお前ワンコールで電話出るなよ。ビビっただろ」

結衣「だって、そ、その、ヒッキーにメール送ろうと思って携帯握ってたから」

八幡「……別に、送ってくれりゃ良かっただろ…」

結衣「だ、だって、着信音で起こしちゃったらいけないって思って…」

八幡「……別にバイブにしてるから、気にすんなよ」

結衣「そ、そっか。じゃあ、送れば良かったかな…。あ、ごめん。ちょっと待って?……ちょっと!パパうっさい!あたし電話中でしょ!?え?ちょ、ち、違うし!なに言ってんの!?ご、ごめんヒッキー。ちょっと部屋もどるね?」

八幡「お、おう」

結衣「じゃあ、ごめんね。ママ。あとよろしく。え?う、うん?つ、伝えとく、う、うん、ありがと」

八幡「………」

結衣「……ふー。ごめんね、ヒッキー。お待たせ?」

八幡「おう」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「な、なんの話してたんだっけ…」

八幡「あー、いや、あれだ。今日はその色々……助かったわ」

結衣「そ、そんな全然!あたしが勝手にしただけだし!」

八幡「いや、それでも、助かったよ。色々迷惑かけてすまん」

結衣「迷惑だなんて、そ、そんなこと…全然…」

八幡「あー……」

結衣「………」

八幡「そうだよな……。あー……こういう時は……。その、まぁ、なんだ?あー…、あー、まぁ、その、あれだ…あ、ありがとう」

結衣「ヒッキー…!う、ううん!どういたしまして!」

八幡「………」ボリボリ

735: 2013/09/25(水) 02:45:50.69
結衣「…でもヒッキーから電話かけてくれるなんて思わなかった。ちょっとびっくり、へへ…」

八幡「ほら、だって、お前。あれだ。リンゴ美味かったしさ、礼は言わなきゃだろ。俺は育ちがいいからな」

結衣「あ?リンゴ食べた?美味しかったでしょ!あれね、長野にあるパパの知り合いが毎年送ってくれるやつなの」

八幡「青森じゃなくて?」

結衣「うん、青森じゃなくて。あのね…げ、げん…減…減なんとか…」

八幡「減農か?農薬あんま使わないやつだろ?」

結衣「あ、それそれ!だからか知らないけど、すっごく美味しいでしょ?」

八幡「だな。すりリンゴも美味かったわ。ちょっと固まりがゴロゴロしてたけどな?」

結衣「う、が、頑張ったんだけど…」

八幡「……いや、別に、それが悪いなんて一言も言ってねぇだろ。ほら、たまに食感があるからなんとなくお得な感じだしな」

結衣「そ、そう?よ、良かった…」

八幡「しかしあのリンゴはヤバいわ。すげー甘いし。お前ああいうの好きそうだよな?」

結衣「うん!大好き!!」

八幡「………」

結衣「?。ヒッキーどしたの?」

八幡「……え?なんだって?」

結衣「へ?何が?」

八幡「いや、悪い。今、電波悪くてよく聞こえなかったわ。なんだって?」

結衣「え?そう?大好き!!って言ったんだけど」

八幡「ああ、なるほどな。そうか…。俺も好きだわ、リンゴが」

736: 2013/09/25(水) 02:46:28.35
結衣「そっか!あ、じゃあ、また送ってもらえるって言ってたから、その時はおすそわけするね?形はいまいちだけど、凄く美味しいから!」

八幡「そ、そうか?じゃあ…楽しみにしとくわ」

結衣「うん!…あ、そ、その時なんだけど…」

八幡「あん?」

結衣「ヒッキー、紅玉って知ってる?」

八幡「ああ、あの酸っぱいやつだろ?アップルパイとかに使う奴だ」

結衣「ヒッキー良く知ってるね!?」

八幡「ああ、美味しんぼにでてたからな。それがなに?」

結衣「う、うん。その紅玉なんだけど、甘いやつと一緒に送ってもらえて、さ」

八幡「だから?」

結衣「だ、だから、そ、そのアップルパイのことなんだけど。ママが作るの得意で、毎年作ってるんだ。それで去年も二人で作ったんだけど」

八幡「本当は?」

結衣「ほ、ほとんどママが作って、あたしはちょっと手伝っただけ…。じゃなくて、そこはいいでしょ!?」

八幡「………」

737: 2013/09/25(水) 02:47:26.13
結衣「だ、だから、こ、今年も作るから…その、食べてくれる?」

八幡「あー……」

結衣「………」

八幡「じゃあ、もらうわ。……まぁ、せっかくだし」

結衣「ほんと!?」

八幡「おー。あれだ、俺そういう本格的なのあんま食ったことないんだよ。それにほら、せっかくだしな」

結衣「へへ…。そっか。なんかせっかくだしって言葉がいい言葉みたいに聞こえてきた」

八幡「まぁ、実際便利だぞ?お前も使えば?せっかくだし」

結衣「そうだね、せっかくだし。へへ…」

八幡「おう。…つか、じゃあそろそろ、切るわ。あんま起きてると、お袋にどやされるからな」

結衣「あ、うん。ゆっくり休んで早く元気になってね?」

八幡「別にもう良くなってるよ。ただの用心のためだよ。心配すんな」

結衣「そっか。でも、声聞けてよかった。ヒッキー電話してくれてありがとね?」

八幡「……礼を言うのはこっちだろ。んじゃ…またな」

結衣「うん、おやすみ」

プツッ ツーツー

八幡「………」

八幡「ま、声くらい聞かないとなんのためにせっかく学校に行ったのかわからなくなるし…な」

八幡「………」ボリボリ

八幡「さっき打ったメールも一応送っとくか…。そのせっかくだし…」

779: 2013/09/26(木) 13:57:47.06
「ぐうかわ」



結衣「ねぇ、ヒッキー!ゆきのん?オフサイドってなに?」

八幡「あー?」

雪乃「なぜいきなりそんな話…」

結衣「ほら、昨日パパがサッカー見ててさ、あたしも一緒に見てたの!」

八幡「あん?昨日サッカーの試合なんかやってたっけ?」

結衣「ほら!日本の選手が出てるのあるじゃん!」

八幡「Jリーグは日本選手ばかりだろ。なに言ってんの?」

結衣「違くて!ほら、県の名前の人がいるじゃん!一人だけ日本人なの!」

雪乃「…ああ、それはイングランド・プレミアリーグのことを言っているんじゃないかしら。マンチェスター・ユナイテッドのことよね」

結衣「それそれ!」

八幡「ああ、香川な。それくらいなら俺も知ってるわ。てかお前なんでそんなに詳しいの?サッカー好きなの?」

雪乃「別に。ただ、昔、短期でホームステイをしていたご家族が熱心なサッカーファンだっただけよ」

八幡「にしてもちょっと…いや、まぁいいけど。つか、オフサイドなんてあったのか?昨日の試合?」

結衣「ううん。なかった…と思うよ?ただ、見てる途中でパパが、もしサッカーにオフサイドがなかったら…あれ、なんだっけ?えーと…つまらないゲームになる?とかなんとか語ってたの」

雪乃「あなた、それさっきの説明必要だったかしら?まったく不要な前振りだったように思うのだけれど」

結衣「ええ?だって、ほら、実例をあげる?ほうがわかりやすいかな?って思って」

八幡「いや、お前それ実例としてあげきれてないから。まぁ、由比ヶ浜の説明下手は今に始まったことじゃないからいいけど」

結衣「ちょっと!」

780: 2013/09/26(木) 13:58:46.33
雪乃「けれど、お父様が言い出したのなら、直接聞いてあげればよかったじゃない」

結衣「だって、パパに説明してもらってもなに言ってるかよくわかんないんだもん」

八幡「そんなこと言ってやるなよ…。それ絶対、お前と話したくて話を振ったんだぞ…。まぁ、確かにあのおっさん説明は下手そうだけどな…」

結衣「へ?どういうこと?うちのパパ知ってるの?」

八幡「ああ、いや、すまん。こっちの話、で何の話だっけ?」

結衣「オフサイドって何かって話だしっ!」

八幡「ああ、そうか…あれだ。英語でもちろんって意味だろ」

結衣「それはオフコース!!あたしだってそれくらい知ってるし!!」

八幡「んじゃあれだ。道路じゃないところ、走るやつ」

結衣「オフロード!!」

八幡「あれだ。古本を売りにいく」

結衣「それはブック・オフでしょ!?どんどん遠くなってるし!!」

八幡「いや、でもあれだ。お前よくオフロードわかったな。絶対通じないと思ってたわ」

結衣「ふっふーん。うちのパパがオフロードのバイク持ってたからね!」

八幡「バイクかよ。いちいち期待を裏切らねえな。お前の親父さん」

雪乃「……漫才なら別のところでやってもらえるかしら」

結衣「ああ!ご、ごめんゆきのん!」

雪乃「別に、あなたに怒っているわけではないから、安心してくれていいわよ。由比ヶ浜さんは」ニコリ

八幡「その由比ヶ浜を慰めながら俺をなじる特殊能力を発動させるのやめてくんない?」

雪乃「別に普段通りだけれど」

八幡「それはわかってるけどよ…」

781: 2013/09/26(木) 13:59:46.45
結衣「あ、それでオフサイドってのはなんなの?ヒッキー?」

八幡「あー、あれだ。サッカーの反則の一つだよ」

結衣「それで?」

八幡「いや、俺もよくは知らん」

結衣「ちょっとヒッキー!?」

雪乃「オフサイドというのはサッカーに置ける攻撃側のポジションに関する反則のことよ。簡単に言えば相手の防御側の選手がいない状況で、攻撃側の選手が味方からパスを受けると反則をとられてしまうのよ」

結衣「おお、なるほど~」

雪乃「確かに熱心なサッカーファンの間では、オフサイドがなくなるとゴール前での待ち伏せが横行して、スピード感がなくなるだろう、という指摘もあるのよ。だから、あなたのお父様のいうことも間違っているとはいないと思うわ」

結衣「そうなんだ。あたし、いつもみたいにパパが知ったかぶりしてるだけかと思ってた!」

八幡「知ったかぶりとか言ってやるなよ。可哀想だろ…」

結衣「ていうか、知ったかぶりと言えばヒッキーも!なんで知ったかぶりすんの!?」

八幡「いや、俺は知ったかぶってねぇだろ。答えをよく知らないから、適当にはぐらかしてただけじゃねえか」

結衣「もっと悪いし!!」

782: 2013/09/26(木) 14:02:42.80
八幡「いや、そもそもだな。俺はどっちかって言うと野球のほうが好きなんだよ」

結衣「そうなん?」

八幡「ああ。野球の場合はするのも結構得意だぞ?千葉マリンスタジアムで戦えば、多分結構いい成績を残すと思うぞ?大岡あたりが俺を助っ人として呼ばないのが不思議なくらいだ」

結衣「どうせ呼ばれてもヒッキー行かないでしょ!?」

八幡「まぁな」

雪乃「そもそもあなたの場合、団体行動ができないのだから。チームプレイが必要な野球なんて論外じゃない」

八幡「まぁな。否定する気も起きないくらい正論だわ。でも、俺の場合プーさんの野球ゲーム見て、プニキとか言っちゃうくらいには野球好きだぞ?」

結衣「なにそれ意味わかんないし…。あ、でもうちのパパもノーパソいじりながら野球見てる時とか、なんとかニキってよく言ってるかも」

八幡「親父さんなんJ民でもあんのかよ。あちこち出没しすぎだろ…。ていうかリアルで口にするとか痛いな…」

雪乃「比企谷くん」

八幡「あん?」

雪乃「さきほどの話は、後で詳しく聞くわ」

八幡「あん?……ああ、プーさー」

雪乃「『あとで』詳しくきくわ」

783: 2013/09/26(木) 14:03:20.55
八幡「お、おう…。あぁ…ま、まぁ、でもあれだな。それだと、ぐうかわとか言ってそうだな」

結衣「あ!よくわかったね!この前も、入学式の時の写真みながらそれ言ってた。雑誌とか見て覚えたんだろうなー」

八幡「あ?なに言ってんの?ぐうかわっつうかぐうなんとかって言葉はネット発祥だぞ?」

結衣「そうなの!?」

八幡「ああ、元々は野球の実況中継。まぁ、野球みながら今のプレイはどうだったとか言い合う掲示板だな、が元に使われ出したんだよ。雑誌とかが真似して使い始めただけだ」

結衣「そうなんだ…。雑誌とかが作った言葉かと思ってた…」

雪乃「ぐ…ぐう?……いったいなんなのかしら。それは」

結衣「ぐうかわだよ。ゆきのん!すごく可愛いって意味で使うの!」

雪乃「すごく可愛い…。それがなぜ、ぐうになるのかしら」

結衣「え……。なんでだろ。よくわかんない」

八幡「ぐうの音もでない、のぐうだよ。後半部分の言葉にかけて使う感じだな。この場合はぐうの音もでないほど可愛いっていう意味だ」

雪乃「……なるほど。それはどんな言葉でもいいのかしら」

八幡「相手の事を表す言葉ならな」

雪乃「ふむ。けれど、それならお父様があなたの写真を見てぐうかわと言ったのはも、まったくもって間違いではないのではないかしら。あなた本当にぐうかわだもの」

結衣「ゆきのん!!」

八幡「だな。ぐうかわだな」

結衣「ヒッキー!?」

雪乃「あなたと来たら、ぐうの音もでないほどかわっているもの。性格的な意味で」

結衣「ゆきのん!?」

八幡「ほんと、ぐうの音もでないほどかわいそうだよな。主に頭が」

結衣「ちょっと!!ヒッキー!?もう!二人とも馬鹿にしすぎだからぁ!!」

雪乃「いえ、馬鹿になんてしていないわ。その、あなたはいい意味でかわっていると思うもの。自分の意見もはっきり言うようになっているし、そ、その、私とも仲良くしてくれるのだし…」

結衣「ゆ、ゆきのん…ゆきのん!」

雪乃「だ、抱きつかないでもらえるかしら。暑苦しい」

八幡「まぁ、俺もそんな感じだな。ほら、遠回しに褒めたんだよ」

結衣「ヒッキーのそれは絶対嘘だしっ!!ホントに、馬鹿にすしぎだからぁ!!」

818: 2013/09/28(土) 10:39:07.04
「やらしい」



結衣「あ、お待たせー!」

??「おう」

結衣「ごめんね、また待たせちゃった?」

??「いや、待ってないぞ?今来たところだ」

結衣「そ、そう?それなら良かった」

??「んで?どうすんの?」

結衣「うん、えっとね…てか、聞いていい?」

??「あん?」

819: 2013/09/28(土) 10:40:22.05
結衣「なんで、小町ちゃんそんな喋り方なの?」

小町「………。いやー、最近買い物とか、お出かけとかー小町ばっかりいい思いをしてるもので、結衣さんにもいい思いをしてもらいたいと思いまして!」

結衣「そ、それがなんでヒッキーのモノマネになるし!」

小町「またまたー、結衣さんったらわかってるくせにぃ」

結衣「もう、こ、小町ちゃん!」

小町「あ、それでどうします?直接雪乃さんの家に行きますか?」

結衣「え?ううん、駅前のケーキ屋さんよってこ?ゆきのん、あそこのケーキ好きなんだよ?」

小町「へぇ!そうなんですか?雪乃さんってあんまりそういう食べ物の好みとか言わないと思ってました!」

結衣「うん、あんまり口にはださないんだけどね。ゆきのん、好きなものがあると、いつもにまして静かになって黙々と食べるんだよ!」

小町「ゆ、雪乃さん可愛い…ああ!小町的にはどうしたらいいのかすごく悩みます!」

結衣「こ、小町ちゃん!?」

小町「まぁ~?誰かが早く決めてくれないと?小町にできることは出来る限り可能性を広めるしかないんですけどぉ」チラッ

結衣「こ、小町ちゃん…。あ、そ、そういえばヒッキーは今日何してるの?」

小町「あ、お兄ちゃんなら今朝から必氏で部屋の片付けをしてましたよ」

結衣「片付け?へぇ~、ヒッキー意外と真面目!この前、あんなに散らかってたのに」

小町「そうなんですよ。ちょっと目を離すと足の踏み場もなくなっちゃうんですよねー。でも小町のカマ掛けが聞いたみたいです!」

結衣「カマ掛け?小町ちゃんなに言ったの?」

小町「あれです。ほら、お兄ちゃん、写真集を隠し持ってたんですよ。ほら、この辺が豊かな」

結衣「この辺?どういうこと?」

小町「…っち。これじゃ伝わらなかったか…。ほら、あれです。水着の女の人の写真集ですよぅ。絶対持ってると思ってたら、ばっちりでした」

結衣「み、み、み、水着!?ひ、ヒッキーやらしい…」

820: 2013/09/28(土) 10:42:58.62
小町「おんや~?結衣さんはやらしい、お兄ちゃんは嫌ですか?」

結衣「そ、それは…そ、そのひ、ヒッキーだって高校生の…その、男の子だし。しょ、しょうがないとは思うけど…」

小町「おお、さすが結衣さん。理解がある!これはポイント高いですよ?」

結衣「ほ、ほんと?だ、だってさ、しょうがないよ。あ、あたしだって、そ、そのちょっとやらしいこと考えちゃうもん」

小町「ほほう?それは興味深いですねぇ!ぜひ小町に、どういうことか聞かせてくださいよぅ!」

結衣「そ、それは、だ、だってぇ」

小町「うへへへへ、何を隠しているんだい。恥ずかしがらずに見せてごらん」

結衣「なんか変なおじさんがいるしっ!!」

小町「まぁまぁ、ちゃんと秘密にしておきますから!」

結衣「ほんとに?」

小町「ええ、ほんとです!」

結衣「ううん……。うん、わかった」

小町「やった!」

結衣「そ、そのさ…」

小町「………」ドキドキ

821: 2013/09/28(土) 10:44:46.56
結衣「ほ、ほら、て、手とかつなぎたくなっちゃうし…」

小町「………。はい?」

結衣「だ、だから手!」

小町「………え?やらしいことの話でしたよね?」

結衣「そ、そうだけど」

小町「え?これ、小町がおかしいんですか?だってただ手握るだけですよね?そのくらいなら小町もよくお兄ちゃんとしてますよ?」

結衣「こ、小町ちゃん!兄妹でとか!やらしすぎ!!」

小町「ええ~…?」

結衣「だ、だってさ。そ、それに普通のじゃないんだよ!?ほ、ほら!こういうの!」

小町「あー…恋人つなぎ…」

結衣「そ、それにそれだけじゃないし」

小町「はぁ」

結衣「腕とかも組んでみたいなーとかって、そ、そのチラチラ見ちゃったり、するし…」

小町「はぁ。それはそれは…。でも、どの辺がやらしいって思うんですか?」

結衣「だ、だって!くっつくんだよ!?ありえなくない!?」

小町「………。結衣さんってそういうの大丈夫そうなイメージがあったんですけど」

結衣「だってぇ。自然とくっつくのと、意識してくっついたり、手をつなごうとしたりするのってぜ、全然ちがくない?」

小町「はぁ。というか結衣さん、そんなことでいざって時大丈夫ですか?」

結衣「いざって時って?」

小町「そういう雰囲気の時です」

結衣「そ、そういう雰囲気って!こ、小町ちゃん!!」

小町「まぁまぁ」

結衣「う、うう…で、でもそれは、そ、その、ひ、ヒッキーなら大丈夫そうかなー、な、なーんて…」

小町「なるほどぉ。まぁ、小町はぁ、一言もお兄ちゃんとは言ってないんですけどぉ」

結衣「ちょ、ちょっと小町ちゃん!?か、からかわないでよぉ!」

小町「いやいやいやいや」

結衣「ちょ、ちょっと小町ちゃん!ニヤニヤしないでってばぁ、馬鹿にしすぎだからぁ!!」

844: 2013/09/29(日) 17:30:16.81
「おひげ」



結衣「あれ?ヒッキーあごになんかくっついてない?」

八幡「あん?……ああ、ちょっと髭のびてんな。あー、こんとこ剃るの忘れてたわ」

結衣「………え?」

八幡「あん?」

結衣「………」

八幡「いや、なんだよ。急に黙り込んで……。なんだよ、その顔…」

結衣「……ヒッキーなんで髭が生えてるの?」

八幡「は?いや、髭くらい生えるだろ。そりゃ、俺はまぁ薄いほうだけど、それでも何日かにいっぺんくらいは剃ってんぞ?」

結衣「………」

八幡「…だから、なんなんだよ……」

結衣「ヒッキーってさ…本当は何歳なの?」

八幡「あ?いや、だからこの前の8月で17になったつうの。お前も知ってんだろ」

結衣「だからそれが嘘だって言ってるんでしょ!?嘘つかないで教えてよ!」

八幡「いや、だからなんでそうなるんだよ。芸能人じゃないんだからさ、年齢ごまかしたって意味ねぇだろ」

結衣「だって!ちっちゃい頃パパになんでお髭が生えてるかのか聞いた時、お酒も煙草もお髭も大人になってからだって言ってたもん!!」

八幡「……いや、だから?」

結衣「だから!お酒も煙草も二十歳からじゃん!!」

八幡「いや、それはわかってるけど。それが髭と何の関係があんだよ?」

結衣「だから!!お髭も二十歳からでしょ!?」

八幡「あ?あー……。あ?」

結衣「………」

八幡「え?なに?お前まさか、二十歳にならないと髭が生えないとか言ってんの?」

結衣「だから、そう言ってるじゃん!!」

845: 2013/09/29(日) 17:31:34.67
八幡「………。はぁ~あ……」

結衣「……あ、あれ?あたしなんか変なこと言った?」

八幡「まぁ、今日は特にひどいな」

結衣「ちょ、ちょっと!」

八幡「そもそもだな。髭は二十歳じゃなくても生えんだよ」

結衣「え!?そうなの!?」

八幡「当たり前だろ、なに言ってんの?だいたい、千葉とか行きゃたまにアホな高校の奴とかで髭伸ばしてるやつ見かけるだろ」

結衣「あ、あたし、ああいう人たちってみんなダブってるのかと思ってた…」

八幡「アホか。葉隠くんじゃないんだからさ、そうそう高校生で3留とかするやついないだろ」

結衣「あ、そ、そっか…。てか葉隠くんて誰だし…」

八幡「まぁ、仮にその手のアホが3浪してるのはありえたとして、優秀な俺が三浪するのはありえないだろ」

結衣「ううん……そ、そっか…」

八幡「だいたい、俺が年齢ごまかしたりとか、その手の嘘付くわけねえだろ?どんだけ付き合ってんだよ」

結衣「え!?つ、つき!?」

八幡「あ?あ、い、いや。あれだぞ、どれだけ知ってるかって話だぞ?」

結衣「あ、う、うん。そ、そだよね。び、びっくりした」

八幡「………」

結衣「………」モジモジ

八幡「……まぁ、あれだ。俺が高校2年って言ってたのに、実はおっさんでした!なんてやったら禁じ手みたいなもんだしな?」

結衣「あ、それ懐かしい!なんだっけ…えーとじょじょじゅなんとか」

八幡「叙述トリックな。惜しいように聞こえて最初の一文字しかあってねぇからな。それ」

結衣「……ご、ごめんね、ヒッキー。………なんかあたし、今日は馬鹿だ」

八幡「いや、馬鹿。今日に限ったことじゃねえから。安心しろ馬鹿」

結衣「ちょっと!!何度も言わないでよ!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

846: 2013/09/29(日) 17:32:35.86
八幡「いや、今日ばかりは仕方ねぇだろ。お髭は二十歳から、とかゴールデンタイムに酒のCM流すテレビ局でもやらねぇぞ」

結衣「う、うう…」

八幡「だいたい、あれだ。お前と雪ノ下だって身体的な特徴には差があんだろ。人間つか、生き物には個体差ってもんがあんの。そもそも身体的な大人と、法的な大人は同じじゃないしな」

結衣「そうなの?」

八幡「だってお前、女は16で結婚できるじゃねえか。まぁ、これも法律ではあるけど、ようするにその時点で子孫を残せる…生物として成熟してるって判断されてるってことになんじゃねえか」

結衣「え!?そうなの!?16で!?じゃあ、あたしもう結婚できるの!?」

八幡「まぁ…法律的には、な。つか、これくらい中学で習ったろ、なんで覚えてねぇの?」

結衣「あ、あれ?そうだっけ?」

八幡「ま、この辺はただ単にこの法律を作った時の政治家が、16歳の女の子と結婚したかっただけかも知れんけど」

結衣「口リコンだ!?」

八幡「いや、意外にそういう線もありそうな気もするんだよな」

結衣「……けど、そっか。あたし結婚できるんだ……。そ、その、ヒッキーは?」

八幡「……いや、だから中学でやったろ。男が結婚できんのは18からだよ」

結衣「え!?なんで結婚できる年齢に差があるの!?」

八幡「俺が知るかよ。あれだ、男子高校生と結婚したい政治家はいなかったんじゃねえの?」

847: 2013/09/29(日) 17:37:43.83
結衣「ちょっと!ほんと適当だしっ!!………で、でもそっか。来年になったら、け、結婚できるんだ」

八幡「………いや、まぁ、法的にはな。つかお前、来年は受験だし、もっと他に気にすることあんだろ。今日の話聞いてたら、マジで不安になってきたわ」

結衣「う……。そ、それはそうかも……。あたし、ヒッキーと同じ大学行きたいし、頑張んないと…」

八幡「………」

結衣「……あ、あのさ、ヒッキー?そ、その、あたし、べ、勉強できないし…教えてくれる?」

八幡「つってもな……。得意科目の国語は教えようがないし、数学とかは、むしろお前のがいいくらいだしな」

結衣「そっか……」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」ボリボリ

結衣「………」

八幡「あー……でも、あれだ。まぁ、その私立文系対策ってことなら多少は教えられるかも、な」

結衣「ほんと!?」

八幡「ま、つっても英語の文法と、歴史の語呂あわせの作り方くらいだけどな。あれだ、ほら、人に教えるのも意外と復習にはいいって聞くしな。俺友達いないから、そのへん試せたことないんだよ。その実験っつーことでいいならだけど」

結衣「うん!!それでもだいじょぶ!!あたしがんばる!」

八幡「ん、なら今日からできるレッスン1。お前、親父さん言う事すぐ信じんのやめろ」

結衣「わかった!!今日からパパのことシカトするね!!」

八幡「ちょっと!それはやめたげてよぉ!!やりすぎだからぁ!!」

885: 2013/10/02(水) 14:12:08.20
「おけしょう」



結衣「ねぇ、ヒッキー昨日のあれ、見た?」

八幡「あー?いや、俺は最近テレビとかまったく見ないからな。アニメ以外は」

結衣「そっかー」

八幡「何かあったのか?」

結衣「ううん、昨日さ。あの女装してる人が出ててさ。……えと、ほらこの人」

八幡「あ?あー、こいつは女装じゃなくてオカマなんじゃねえの?」

結衣「そうなの?声とか普通におっさんじゃん」

八幡「いや、オカマってそういうもんなんじゃねえの?手術してたりする人のほうが少ないんじゃないか?知らんけど」

結衣「そうなんだ。でもさ、でもさ、最近こういう人たちをテレビで見る機会増えたよね?」

八幡「あー、まぁ、そうかもな。つっても比較できるほどに知ってるわけじゃねえけど」

結衣「ううん、どうしてそういう人が出てくるの増えたんだろうね?」

八幡「まぁ、良くも悪くもネタにして笑えるだけの土壌が整ってきたつうことじゃないか?」

結衣「どういうこと?」

八幡「いやこれは個人的な意見だけど、過度に気を使って言葉狩りみたいになんのもまた、方向性は違うけど差別だと思うんだよな。特別枠設けたり、車両をわけてみたりだな。本当に同質だっつうんなら、条件も同一にしなきゃおかしいだろ」

結衣「でもそれは仕方ないことなんじゃないの?」

八幡「いや、腕力がない人間が肉体労働できないのと同じでさ。能力に応じてやれることが決まるなんてのは、普通にあることじゃねえか。そういうのは適材適所っていう奴だろ」

結衣「ううん…そうなのかなぁ…あたしはなんか違うような気がするんだけど…」

八幡「まぁ、というわけで俺は適所である専業主夫にぜひ就職させて欲しい!ってやつだな」

結衣「結局そこに持ってきたかっただけでしょ!?」

886: 2013/10/02(水) 14:13:00.25
八幡「まぁ、つうかだな。あの手の人をテレビの人間が使うのは、単に単価が安い割に笑いがとれる。要するにコスパがいいってことなんだろうな。いい方は悪いが女の格好したおっさんが普通のことしてても、それで笑える人間ってのもいるんだろうし」

結衣「そっかぁ…。まぁ、女装ってテレビとか学祭とかで定番だもんね?」

八幡「そういうのと一緒にしたら怒られそうだけどな。まぁ、誰しも変身願望ってのがあるもんなんじゃねえの?自分から率先してはやらないけど、そういう場なら誘われたからノリでみたいな言い訳もつくしな」

結衣「確かに!ヒッキーも興味あるの?」

八幡「いや、この流れで興味あるって言ったらただの変態だろ」

結衣「あはは、それはそうだよね」

八幡「まぁ、でもあれだな。女装はともかく俺が女になったらやばいぞ、実際」

結衣「え~?そう?」

八幡「ばっかお前、黒髪、アホ毛の文学少女とかモテる要素しかないだろ。これでモテないのなら、お前らが悪い」

結衣「お前らって誰だしっ!てか、お化粧どころかトリートメントもしないし、服はレまむらかうにくろでしょ!?その上、眼まで腐ってるんじゃ女子力0じゃん!」

八幡「いや、トリートメントはしてるぞ?小町と同じ匂いに包まれてると、暖かな気持ちになれるしな…」

結衣「それマジできもいし!!」

八幡「つかお前だってあれだろ。女子力たったの5だろ。……ゴミめ」

結衣「ちょっと!!」

八幡「それにさ、化粧はいいだろ。化粧は。別にしなくても」

結衣「ええ~?そう?でも、みんなしてるよ」

八幡「みんなって誰だよ。どうせ三浦とか、あー……相楽?とかその辺だろ」

結衣「姫菜だってしてるよ?」

八幡「え!?嘘!?マジか?」

結衣「驚きすぎだしー、っても軽く乗せただけの超ナチュラル系の薄い奴だけどね。男の子は気づかないかも」

八幡「そうなのか…女怖えぇな…知ってたけど。まぁ、そもそも海老名さんの顔とかまじまじ見た事なんてないからな。わかるわけねぇんだけど」

結衣「そ、それはなくていいんだけどさ…」

八幡「なら、あれだ。それでも雪ノ下とか小町とかは化粧してないだろ?……してないよな?」

結衣「あー、その二人はしてないかも」

八幡「よかった…。これで小町まで化粧してるとか言われたら誰も信じられなくなるところだったわ」

結衣「出た。シスコン」

八幡「いや、シスコンとかじゃなくてだな。一番身近な異姓に裏切られるってのはきついだろ?」

結衣「その言い方もっとひどいし!!きもいし!!……てかその分け方でも小町ちゃんが一番なんだ…」

八幡「…いや、まぁ、ほら。一緒の家で暮らしてるしな?飯もよく作ってもらってるし、お袋以上に近いのは事実だろ。そういう意味だよ」

887: 2013/10/02(水) 14:14:26.71
結衣「ふーん……。…まぁ、いいけどー。てかヒッキーはお化粧してないほうが好きなの?」

八幡「まぁ、あれだ。すっぴんのがいい時期なんて短いんだからさ、それ生かしたほうがいいんじゃないか?」

結衣「そ、そっか……ううん……。でも確かにゆきのんはお化粧してないもんね。なのに超綺麗だし」

八幡「まぁな。あいつはある意味チートみたいなもんだろ。むしろ、化粧したら邪魔なくらいじゃないか?」

結衣「あー、そうかも。お肌とかツルツルだし睫毛とか何もしてないのにクリっとしてるし。しかもすっごくモテるよ?」

八幡「そらそうだろうな」

結衣「この前もさ。一緒に帰ってたら呼び出されてたし。一分もかからず戻ってきてたけど」

八幡「瞬殺もいいところだな…。ま、そもそもあれでモテないわけがねぇだろ」

結衣「………ヒッキーもそう思うの?」

八幡「そらそうだ。最近は黒髪自体が希少種な上に、好きな男は少なくないからな。黒髪ロングにすっぴんで、それでいてあれほど整った顔ときたら、ある意味男の……、まぁ、さらに言やちょっとオタクが入った男の理想型みたいなもんだからな。あの暴言でさえ、人によっちゃご褒美になりうるし」

結衣「ちょっとオタク……ヒッキーもゆきのんみたいなタイプ好きなの?」

八幡「あー、まぁ見た目でいやなぁ」

結衣「そうなの!?」

八幡「あれだ。正直まったく関わりもないのに、雪ノ下がJ組の生徒だって知ってたくらいには、な。あれほどほど目立つ存在もいないし、アニメとかでもああいう黒髪ロング系は好きだしな」

結衣「そう…なんだ……」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「…いや、まぁ、その、あれだ。直接話したら、あまりに性格が悪すぎて、最初の一回でそんなもの一瞬で吹き飛ぶくらいだったんだけどな!!」

結衣「……。…ちょっと!ゆきのん、性格悪くなんかないし!超かわいいじゃん!」

888: 2013/10/02(水) 14:16:16.72
八幡「まぁ、お前に対しては、な。ただ俺への対応はひどいもんだぞ?目つきとか完全に汚物をみる目だし、あの暴言とか俺でなきゃ転校を考えるレベルだろ」

結衣「ヒッキーじゃなきゃ、あそこまで言われないと思うけど?」

八幡「まぁな。つか、お前も最近口悪くなってないか?雪ノ下のが移ったんじゃないの?」

結衣「だから!ゆきのん性格悪くなんかないし!!……むしろ…むしろ…性格悪いの…あたし、だし」

八幡「は?何言ってんの?」

結衣「だって…だって…さ。さっきちょっと嬉しかったんだもん…」

八幡「さっきってなんだよ?女子力5って言われたこと?マゾかよ」

結衣「違うし!!そうじゃなくて。ほ、ほら、そ、その、ヒッキーが、その、ゆきのんに憧れてたみたいなこと言ったでしょ?それで…その、それが話したらそれがちょっと変わったみたいなこと言ったから…それで…その…ゆきのんは大事な友達なのに…ほんとあたしいやな奴だ…」グスッ

八幡「いや、お前さ…」

結衣「………」グスッ

八幡「……はぁ。馬鹿かお前、本当馬鹿だな」

結衣「うん…あたし馬鹿だね、ほんとに…」スン

八幡「馬鹿。そういうこと言ってんじゃねえんだよ。お前さ、もしお前がいやな奴だとしたら、世界の90%以上はなんになんの?悪人か?お前さ、そういうのは自分じゃなくて、他者への攻撃だぞ?マジで」

結衣「よく…わかんない…」

八幡「そうなったら俺なんかどうなるんだよ。もはや、懸賞金付きでCIAとかFBIに追われるレベルだろ」

結衣「そんなことないし!ヒッキーはいい奴じゃん!」

八幡「お前は俺よりもいい奴だろ。ならお前はいい奴だろ。QED証明終了」

結衣「ヒッキー……」

889: 2013/10/02(水) 14:17:24.15
八幡「………」

結衣「で、でも、あ、あたし、長いことヒッキーに隠し事してたよ?」

八幡「知ってる」

結衣「ヒッキーに嘘付いたこともあるよ?」

八幡「知ってる」

結衣「こ、告白とかされたことあるけど、そ、その、嫌われたくないから、隠したりしてたよ?」

八幡「それは知らなかったな…」

結衣「………」

八幡「まぁ、あれだ」

結衣「あ、も、もちろん断ったよ!?」

八幡「知ってる。つか、人の言葉遮んなよ」

結衣「あ、ご、ごめん…」

八幡「……つっても一言だけ、だけどな。…だからなに?」

結衣「ひ、ヒッキー…ありがと…」

八幡「………」

結衣「………」

八幡「しかし、あれだな。お前、チワワみたいになってんな」

結衣「ちょっと!!チワワとか!!」

八幡「おー、あれだ。お前さ、笑うか怒るかにしとけよ。泣くと涙で化粧が流れてひどいことになるからな」

結衣「今はお化粧が流れちゃうほどお化粧なんてしてないでしょ!?ほんとヒッキーの馬鹿!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

963: 2013/10/09(水) 13:28:45.73
「くちぐせ」


結衣「ゆきのん、遅いね?」

八幡「だな。まぁ、どうせ平塚先生にでも呼び出されてるんだろ。あいつは問題児だからな」

結衣「いや、ヒッキーじゃないんだから」

八幡「おい、真顔で突っ込むんじゃねえよ。分かってるから」

結衣「いやー、ついつい。あ、てかゆきのんと言えば、よく、だけれどって言ってるよね?」

八幡「あー、言ってるな。昨日の部活では27回言ったな」

結衣「なんでそんなこと数えてるの!?そんなに気になってたの!?」

八幡「いや、ただのノリで言っただけだから、そんくらい言ってそうだってだけだから」

結衣「あ、そ、そっか。びっくりした…」

八幡「まぁ、あれだ。ほら、誰が喋ってるか分かりやすくしてんじゃねえの?」

結衣「そんなの声聞けばわかるでしょ!?何言ってんの?」

八幡「いや、わからんぞ。意外とチャットとか、2chとかそのままの口調で書き込んでたりしてな」

結衣「ゆきのんのメールそんなんじゃないし!!……多分…全部は覚えてないけど…」

八幡「自信ねえんじゃねえか。それじゃ根拠にならないだろ」

結衣「だ、だって!メールいっぱいしてるんだもん!ゆきのんとのメールもすごいいっぱいあるし、しょうがないじゃん!」

八幡「俺は大概のメールは覚えてるぞ?なにせ「俺は」記憶力がいいからな!」

結衣「ちょっと!!それあたしが記憶力悪いって言いたいの!?」

八幡「いや、そう言ってんだよ。確認するまでもないだろ」

結衣「ちょっと!!あたし一夜漬けとかかなり得意だし!!記憶力悪くないから!!馬鹿にしすぎだからぁ!!」

八幡「いや、一応言っとくけど一般的に一夜漬けが得意とか自慢話じゃないからな?学生の本分ガン無視だから」

結衣「うっさい!てかヒッキーの場合はメール来ないだけでしょ!?」

八幡「失礼な、アマゾンとかからはメール来てるぞ?さすがにその辺は覚えたりしないけどな」

結衣「もう…じゃあなにを覚えてるの…わけわかんないし…」

八幡「てか、あれだ。口癖なんて誰でも一つくらいはあるもんなんじゃねえの?」

結衣「えー?そう?」

八幡「そうだろ。ほら、小町の『お兄ちゃん!』とか戸塚の『八幡!!』とか平塚先生の『比企谷…』みたいな感じでな」

結衣「それヒッキーの名前言ってるだけでしょ!?」

八幡「いや、でも俺といる時はだいたいこんな感じだぞ?」

結衣「ヒッキーに向けて話してるからあたり前だし!!ていうか平塚先生の言い方なんて完全に呆れられた感じじゃん!!」

八幡「なー?平塚先生も懲りないよな」

結衣「懲りないのはヒッキーのほうでしょ!?」

964: 2013/10/09(水) 13:30:20.36
八幡「そうか?じゃああれやるか」

結衣「急になんだし!どれだし!!」

八幡「雪ノ下が言いそうにないことベスト3のコーナー…」

結衣「なんかすごい怒られそうな企画が始まった!?ていうか自分で言い出したなら少しはテンションあげたら!?」

八幡「第三位」

結衣「続けるんだ…」

八幡「………」

結衣「……ん?」

八幡「第三位!」

結衣「え?………。あー、そっか。じゃじゃん!」

八幡「『比企谷くん。塩を取ってもらえるかしら』」

結衣「すっごい普通だし!それはゆきのん言うでしょ!?」

八幡「いや、ここで重要なのは最初に『比企谷くん』と俺の名前をつけていることにある」

結衣「えー?それが何?」

八幡「つまりだな。この流れでものを言うことによって、この発言は雪ノ下が俺に塩を取るように頼む、流れになるわけだ。ありえないだろ?」

結衣「えー…。うーん…。あー……どうだろ…」

八幡「実際あいつ塩が必要だとしても、多分、名前だけ呼ぶか顎でしゃくるだけだからね。あれ」

結衣「ううん…それは…。ヒッキーに対してはそうかも…」

八幡「まぁ、実際、相手に察して取ってもらうのがマナーだなんて書いている本なんかもあるけどな。そんな食事の席でまで、空気読むだなんだ言うのがマナーってんなら俺はマナー知らずでいいわ」

結衣「まーた、ヒッキーはそういうことー」

八幡「第二位!」

結衣「切り替えはや!じゃじゃん!」

八幡「『替え玉固麺で』」

結衣「あっはっはっはっは!!なにそれ!!それは絶対言わない!」

八幡「『ラーメンの半チャーセット…いえ、チャーシューメンでお願いします』」

結衣「ないない!!あっははっはっは!」

八幡「笑いすぎだろ…」

結衣「もう!ヒッキーが笑わせに来てるんでしょ!?てか超声似てるし、しかもなんで食卓しばりなの!?」

八幡「………」スッ

結衣「あ!どんぶり伏せた!!ダメだよゆきのん!テーブルが汚れちゃう!!マナー違反、マナー違反!」

965: 2013/10/09(水) 13:31:08.14
雪乃「そう?ごめんなさいね?」

結衣「あ……」

八幡「………」

雪乃「ずいぶん楽しそうね?廊下まで声が響いていたわよ?私も混ぜてもらえないかしら?」ニコッ

八幡「……いや、これはだな」

結衣「ゆ、ゆきのん、あ、あのね?」

雪乃「いえ、私は別に何も聞いていないけれど。ああ、そうだ。比企谷くん。そこにあるティーカップを取ってもらえるかしら?」

八幡「聞こえてんじゃねえか……」

結衣「ご、ごめんね?ゆきのん、あ、あたしヒッキーの顔が面白くて、ついつい…」

八幡「顔は面白いとか言うなよ…」

雪乃「比企谷くんの顔がおかしい…、もとい面白いのはいつものことじゃない」

八幡「おい、今の言い間違いには悪意を感じるぞ。わざとだろ。絶対わざとだろ」

雪乃「ちゃっかりいい間違えてしまっただけよ」

八幡「わざとじゃねえか…」

雪乃「それより比企谷くん。1位を当ててあげましょうか?」

八幡「ん…」

結衣「え!?ゆきのんわかるの?」

雪乃「ええ、それは私が言いそうにない馬鹿っぽい発言…。簡単に想像が出来るわ」

結衣「さすがゆきのん!!」

八幡「そうか。じゃあせーので言うか」

雪乃「そうね」

結衣「おお…、二人が声を合わせるなんてはじめて見る!」

八幡「んじゃ、行くか」

雪乃「ええ」

八幡「せーの…」

八幡・雪乃「馬鹿にしすぎだからぁ!!」

結衣「ちょっと!!」

八幡「つーか、雪ノ下、言っちまってるじゃねえか。それじゃランキング作りなおしだろ」

雪乃「あら…そうね。私としたことがこんな馬鹿っぽい発言を口にしてしまうだなんて、迂闊だったわ」

結衣「ゆきのん!?馬鹿っぽいって!ちょっと!!ごめんなさい!!やっぱり怒ってるんでしょ!?ていうか、もしかして打ち合わせしてたの!?もう、馬鹿にしすぎだからぁ!!」

966: 2013/10/09(水) 13:38:14.90
ごめん、締め用に書いていたSSがどんどん長くなってて、時間がかかりそうなのと、長さ的にこのスレで収まるかどうかが微妙になって来たんで、今回は短編系オチで締めます!
一応このスレの締めにも当たるそのSSは書き上がったら、別スレ立ててで投稿しやす。


971: 2013/10/09(水) 16:07:58.47
乙っす!
楽しみに待ってます!

972: 2013/10/09(水) 20:37:41.39
乙、オチが良かった。そのSSができたらここで教えてもらえると嬉しい

引用元: 由比ヶ浜結衣「馬鹿にしすぎだからぁ!!」