1: 2013/03/02(土) 00:51:13.74
千早「ブラックミュージックが聴きたいです」

P「……いきなりどうしたんだ」

千早「昨夜スティーヴィーワンダーの『I love every little thing about you』を聴いたんです」


Stevie Wonder - I Love Every Little Thing About You
http://www.youtube.com/watch?v=mCDWMqWZbqQ


◎Music of my mind 収録


P「ははぁ、それで黒人音楽があれこれ聴きたくなったと」

千早「はい」


※黒人音楽、ソウルミュージック入門ssです 

2: 2013/03/02(土) 00:51:56.94
P「まぁ、黒人音楽はいずれ歌の幅を広げるためにじっくり聴かせたいと思ってたから……丁度いいか」

千早「お願いします」

P「黒人音楽、ソウルミュージックの中でも、今回は70年代以降くらいのに焦点を当てて説明しようかな」

千早「今から…40年くらい前ですね」

P「……そう考えると、結構前にも感じるな。アイドルの親世代が生まれた頃かな」

3: 2013/03/02(土) 00:52:47.93
P「ソウルミュージックについて講釈垂れる上で、重要な歴史があるんだ」

千早「歴史で、ですか?」

P「ヒントは、60~75年くらいの間で起こっていたことだ」

千早「……? もう一つヒントを……」

P「ヒントはアメリカかな」

4: 2013/03/02(土) 00:53:22.96
千早「……あっ、ベトナム戦争ですか?」

P「正解」

P「日本では朝鮮戦争の印象が強くって、忘れられがちなんだけども」

千早「でも、それが音楽とどう関係があるんですか?」

P「70年代近くなってくると、泥沼化してきた戦争に、国民が不満を持ち始めるんだよ」

P「さらに当時のアメリカは差別もあったし……そういうドロドロした社会の不満を歌に込めたんだ」

P「それがマーヴィン・ゲイの『What's Going On』に反映されてるんだ」

Marvin Gaye / What's Going On


◎What's Going On 収録

5: 2013/03/02(土) 00:53:48.72
千早「イントロがパブの会話のようで、メロディーもそんなに暗い印象はありませんが……」

P「と、思うだろ? 実際の歌詞はこうなってる」


Mother, mother
There's too many of you crying
Brother, brother, brother
There's far too many of you dying
You know we've got to find a way
To bring some lovin' here today

Father, father
We don't need to escalate
You see, war is not the answer
For only love can conquer hate
You know we've got to find a way
To bring some lovin' here today

(中略)

6: 2013/03/02(土) 00:54:14.18
千早「……」

P「それほど難しい単語はないけど、どうだ?」

千早「なんとなくですが、訳せました」

千早「背景に戦争の哀しみがあると考えると、すごく重たいテーマなんですね」

P「そればっかり考えると暗くなるけど、この曲を感じるのに重要なポイントだと思うよ」

千早「『戦争は答えではなく、愛だけが憎しみを克服できる』と言う詞は、背景を知るとすごいパワーがあるというか」

P「現代の平和な日本人が書いたら、ちょっと日和ってると思われそうだけども」


7: 2013/03/02(土) 00:55:35.99
千早「……ところで、後半の詞なんですけども」


Mother, Mother
Everybody thinks we're wrong
Oh, but who are they to judge us
Simply 'cause our hair is long?
Oh, you know we've got to find a way
Bring some understandin' here today

(略)


千早「『僕らが間違ってることを、僕らの髪が長いというだけで、誰がそう決めつけるんだ』」

千早「という部分が、ちょっとわからなくって……」

P「そこが、黒人の叫びみたいなところじゃないかな」

P「肌が黒いだけで軽蔑され差別される黒人を、理不尽なこととして例えてるんだろうと思う」

8: 2013/03/02(土) 00:56:01.36

千早「……日本人にとっては遠い世界のように感じてしまいます」

P「ああ。でも、差別や戦争は、音楽を感じる上でかなり大事な要素だと思うよ」

P「さて、今のマーヴィン・ゲイの曲だけど、このアルバムは色んなミュージシャンに大きな影響を与えたんだ」

千早「何故ですか?」

P「一つは、さっき言った『社会に投げかける』を詞書いたというのは、かなりセンセーショナルなことだったんだ」

P「政治的な内容の詞は、当時のレコード会社は好かなかっただろうからな」

千早「今の音楽も、そういったところがありますね」

千早「社会批判と取れるような詞は自重するような……」


9: 2013/03/02(土) 00:56:57.51


P「まずわかりやすい影響は、さっき千早が言っていたスティーヴィー・ワンダーだろうな」

P「最初に千早が挙げた曲も、実はマーヴィンゲイの影響を受けて作られたアルバムに入ってるんだ」

P「当時、彼らは同じレコード会社に所属してたんだが、スティーヴィーがレコード会社の言いなりで音楽を作るのに反発したんだ」

千早「……やっぱり自分らしい歌が歌いたいですよね」

P「そう。だから楽曲も歌詞も、スティーヴィー主導で作られたのが『Music of my mind』というアルバムだ」

P「シリータという女性シンガーも、『I love~』をカバーしてるから、そっちも聴いてみよう」


SYREETA /I love every little thing about you
http://www.youtube.com/watch?v=1Ev6VPGlmJ8


◎SYREETA 収録

P(なんか映像で流れてる謎の映画のワンシーンは気にしないように)

P(俺もよくわからん)

10: 2013/03/02(土) 00:58:06.46
千早「原曲よりも、クラヴィネット? の濃い音が効いてますね」

千早「それと、どこかのらりくらりとしてるような、そんな気がします」

P「独特のグルーヴがあるんだよな」

千早「あの……時折、音楽の話で耳にする『グルーヴ』とは一体なんですか?」

P「グルーヴとは……ううむ、黒人音楽の世界で相当大事なコトなんだけど、言葉で表すのは相当説明するの難しいな」

11: 2013/03/02(土) 00:58:45.45

P「この部分は正直読み飛ばしてくれても構わないんだが……」


P「グルーヴを訳すとしたら『ノリ』だったりするのかな……」

千早「ノリ、ですか?」                        \オーニーギーリーハーッ!!/

P「直訳すると別なんだけどな……」

P「すっごく乱暴な例え方するとさ、曲に合わせて手拍子をするときに、他の人と合わなくなったりするときないか?」

千早「そんなに、手拍子することがないのですが……」

P「そ、そうか……じゃあ一緒にこの曲で叩いてみようか。1.2.3.4のリズムで叩いてみよう」


THE IDOLM@STER / CHANGE!!!!

12: 2013/03/02(土) 00:59:11.47
千早「えっと…こうですか?」ペチペチペチペチ

P「イチニーサンシー……そうだそうだ。上手くリズムに乗れるだろ」

千早「……」ニコニコ

P「今度は前に伊織がカバーした『恋愛サーキュレーション』にしよう」


恋愛サーキュレーション/花澤香菜


P(この曲もちょっとソウルっぽい雰囲気)

13: 2013/03/02(土) 01:00:03.59

千早「え、えっと……」ペチペチペ

P「言葉で説明するのは難しいが、1234のリズムで叩くと、2と4の拍が強くなるんじゃないか?」

千早「は、はい……ちょっとそうなってしまいます」

P「むしろ人によっては『ウン タッタン タン』というリズムの方が楽な人もいるかもな……」

P「とにかく、譜面上に表せないものが『グルーヴ』とやらに関わってると思ってくれ」

千早「……」シュン

P「説明下手ですまん。難しいのも仕方ないと思うよ」

P「むしろ、聴いていて心地いいと感じるのがグルーヴだから、あれやこれや考えない方がいい」

P「あとわかりやすいのはベースの音だと思うんだけど……その辺は自分で感じ取ってくれ」

14: 2013/03/02(土) 01:00:36.94
千早「……次の曲はなんですか?」

P「次の曲は……相当暗いんだが」

P「これもマーヴィン・ゲイに影響されてできた……とされる」

P「スライ&ザ ファミリーストーンの『There's a riot going on』というアルバムだ」

千早「とされる、ということは、本人がそういってるわけではないのですね?」

P「その通り」

P「マーヴィン・ゲイのさっきの曲名を覚えてるか? 直訳すると?」

千早「『What's going on』ですよね」

千早「ええと……『何が起こっているのですか?』という感じでしょうか」

千早「……あっ」

15: 2013/03/02(土) 01:01:11.68

P「気づいたか?」

P「riotの意味は『暴動』」

千早「『暴動が起こってるのさ』……という“答え”のような感じでしょうか」

P「そう噂されてる。当時、70年以降は公民権運動……黒人の人権回復が停滞して、黒人であるスライは絶望したんだ」

P「元々、違う人種を混ぜたバンドだったが、それも『人種が違っても分かり合える』というテーマもあったからで……」

P「まぁ、本人はコメントしてないし、本当かはわからん」

千早「物凄く、重いテーマなんですね」

P「ああ。それを象徴する曲が『ファミリー・アフェア』という曲かな」


Sly & The Family Stone - Family Affair


◎There's a riot going on 収録


16: 2013/03/02(土) 01:01:39.60
千早「……Affair?」

P「辞書で調べてみるとな、問題とか事件って感じの意味が出てるな」

千早「直訳すると……家庭の問題、ですか……」

P「でも歌詞を読むと、『家庭』は“社会”の比喩であると気づくんだ」

P「……2人の子供の内、一人は勉強好きで、でももう一人はとても憎たらしい。でも母親が愛してくれるのは、血のせいなのさ」

P「って感じ……曲調も相当暗いけど、グルーヴの響く曲だな」

千早「……ちょっと曲調、つかむまで時間がかかるかも知れません」

P「いいんだよ。なんだかよくわからん、という感想でも」

千早「曲調も相当濃くって、難しいです……」

P「まぁ、無理して聴かなくてもいい。いずれ好きになるかも知れないし、ならないかも知れないし」

P「前にも言ったかも知れないが、音楽は無理に聴くもんじゃない。好きならどっぷりつかればいいけど」

17: 2013/03/02(土) 01:02:07.98

P「ちょっとキツイ曲だったから、今度はシンプルな曲にしよう」

千早「なんというアーティストですか?」

P「アル・グリーンだ。この人の曲なら、難しく考えなくっても楽しめると思う」


Al Green-Lets Stay Together
http://www.youtube.com/watch?v=COiIC3A0ROM

18: 2013/03/02(土) 01:03:27.26

千早「さっきまでの曲と違って、わかりやすいです! 楽器の数が少ないからでしょうか……」

P「スライは特にベースがうねりまくってたし、ギターも聴きなれない雰囲気だったからな」

P「シンプルな音作りで、マーヴィンやスティーヴィーとも対照的だよな。ボーカルで勝負してるというか……」

千早「ゴテゴテしてるのがソウルミュージックだと思ってしまったのですが、そんなこともないのですね」

P「この曲は特に、千早に歌ってほしい曲だな」

千早「え……えと、そのそれはどういう意味で……?」

P「……? そのままの意味だぞ」

千早「……」

19: 2013/03/02(土) 01:13:16.13

P「……?」

千早「そうですか、わかりました」プイ

P「え、いやどうしたんだ……?」

千早「なんでもありません」

P「あの……この曲さ、ボーカルが映えるしいろんなミュージシャン歌ってるからさ」

P「千早にぴったりだとおもったんだけど……」オロオロ

千早「……」

P「……」

千早「ふふっ……なんでもないですよ」


20: 2013/03/02(土) 01:25:00.74
P「そ、そうか……」

P「お、オバマ大統領も演説中に歌ったりしてたんだぞ!」

P「それくらい有名d

千早「本当におこってませんから!」

P「」シュン

千早「……ふふっ」

21: 2013/03/02(土) 01:25:31.53

P「……きょうはこのくらいにしよう」

千早「そ、そんなに落ち込まないでください!」

P「ははは、冗談だよ」

P「まぁでも、今日はこのくらいにしとこうかと思うよ」

P「とりあえず4人くらい紹介したから、こいつらのアルバムを漁って聴いてみてくれ」

千早「わかりました」

千早「あの、ところで……」

P「どうした?」

千早「今度、Let's Stay Togetherを歌ってみようと思うので、聴いてください」


千早「……もちろん2人だけの時に」


おわり


22: 2013/03/02(土) 01:35:21.42
短いけど終わり。
千早「ジャズ…ですか?」を書いたらソウル版も書きたくなったから書いた

レンタルですぐに探せるラインナップで有名なのを揃えた(シリータはないだろうけど)ので、一つでも気に入ったら借りて聴いてみて

23: 2013/03/02(土) 03:13:36.80

前のも見てたよ

引用元: 千早「ブラックミュージック…ですか?」