1: 2012/03/16(金) 10:00:46
魔法使い「帽子が落ちちゃった!」

魔法使い「ぐぐぐ、ストップストーーップ!」

2: 2012/03/16(金) 10:05:35
ガサガサ

魔法使い「うーん……このへんに落ちたと思ったんだけど……」

魔法使い「箒で飛んでてブレーキかけられなくて見失うなんて……」

魔法使い「だめだなぁアタシ……箒が使いこなせないなんて……」

魔法使い「うー……住んでる森だから迷いはしないけど……」

魔法使い「帽子がどこいったかわかんないよう……」

3: 2012/03/16(金) 10:07:35
3時間後

魔法使い「はあ、はあ」ガサガサ

魔法使い「全然見つからない……」

魔法使い「おばあちゃんからもらった大切な帽子なのに……」

魔法使い「あっ!」

7: 2012/03/16(金) 10:11:12
男「よし、これで今日は終わりだ」

魔法使い(知らない男の人だ……あ!)

魔法使い(アタシの帽子!あの人が持ってる!)ガサ!

男「ん?」

魔法使い「あっ!」

魔法使い(見つかっちゃった!)

8: 2012/03/16(金) 10:13:40
男(女の子……黒いマントに箒……)

男「ねえ、この帽子……」

魔法使い「ひゃ!あわわわ!」バタバタ

男「え!?ちょ!なんで逃げるの!?」

9: 2012/03/16(金) 10:16:31
魔法使い「おばあちゃんが街の人とはあんまり関わるなって言ってたんです!」バタバタ

男「いやいや、なんもひどい事とかしないからさ……ほら」スッ

魔法使い「あ……」

男「この帽子、君のでしょ?キノコとってる時に見つけたんだ」

10: 2012/03/16(金) 10:19:19
魔法使い「あ……はい……アタシのです……」

男「じゃあはい、今度はなくさないようにね」スッ

魔法使い「あ……」

魔法使い(かぶせてくれた……)

男「ふふ、かわいい魔法使いさんだね」

魔法使い「!!」

11: 2012/03/16(金) 10:21:23
ビュン!

男「うわ!?」

男「びっくりした……箒使わなくてもあんなはやいんだ……」

男「まあとりあえずキノコたくさんとれたし、今日の仕事は終わりかな。帰るか」スタスタ

12: 2012/03/16(金) 10:24:14
魔法使い家

ガチャ!バタン!

魔法使い「な、なんなのあの人!なんなのあの人!」

魔法使い「初対面なのにあんなに親切に……し、しかも……」

魔法使い「アタシの事……かっ、かわいいとか……」

魔法使い「ううー……!」カアアー!

13: 2012/03/16(金) 10:27:45
翌日 森の中

魔法使い「あっ!」

魔法使い(昨日の人だ!)ササッ

男「んー……なんか今日は当たりが悪いな……」

魔法使い「…………」ジー

16: 2012/03/16(金) 10:40:45
男「あ、あったあった、このキノコだ」

魔法使い「…………」ジー

魔法使い(なんでアタシ、あの人の事見てるんだろ……)

魔法使い(話しかけたいな……でも恥ずかしいから見つかりたくないような……)

魔法使い(どうしよう……)ドキドキ

17: 2012/03/16(金) 12:20:25
男「よし、今日はここらへんにしとくか」

魔法使い「あ……」

男「母ちゃん待ってるだろうし、早く帰らないとな」スタスタ

魔法使い「行っちゃった……」

魔法使い「…………」

魔法使い「結局話しかけられなかったな……」

魔法使い「はあ……」

18: 2012/03/16(金) 12:37:04
翌日

魔法使い スタスタ

魔法使い「はっ!」

魔法使い「なんでアタシは用もないのにキノコがたくさんある場所に!?」

魔法使い「テキトーに散歩してたつもりだったのに……」

魔法使い「…………」

魔法使い「あの人、来るかな……」

19: 2012/03/16(金) 12:38:35
魔法使い「……来なかった……」

魔法使い「ここならいっぱいとれるのに……知らないのかな……」

魔法使い「……帰ろ」

21: 2012/03/16(金) 16:24:48
魔法使い家

魔法使い「はー……」

魔法使い(アタシってばどうしたんだろ……)

魔法使い(ちょっと親切にされて、かわいいって言われたくらいで……)

魔法使い(か、かわいい……のかな)

魔法使い「…………」ドキドキ

魔法使い「ダメだ、ドキドキする……」ドキドキ

魔法使い「はー……」

22: 2012/03/16(金) 16:28:05
魔法使い(あの人、いくつくらいなのかな……)

魔法使い(見た目は20歳とか……そのくらいだったよね)

魔法使い(もしそうならアタシと6つ差……)

魔法使い(はあ……妹だったにしてもにしても年離れてるよ……)

魔法使い(……どうすればいいのかな……)

23: 2012/03/16(金) 16:31:57
魔法使い(というか……もし、もしも、アタシがあの人をす、すす、好き……だったとして……)

魔法使い(この歳の差じゃ、子ども扱いされてあしらわれるとか……)

魔法使い(それにアタシ、魔法使いだし……しかも薬作るくらいしか取り柄ないし…)

魔法使い(せめておばあちゃんみたいなすごい魔法使えたらな……)

26: 2012/03/16(金) 18:36:12
翌日

男「あ」バッタリ

魔法使い「あ!」

男「この間の……」

魔法使い「あっ、あっ!あ!あの!」

男「ん?」

魔法使い「こっちのほうが……たくさんキノコとれます……」カアアー

27: 2012/03/16(金) 18:39:36
男「うわーほんとだ、こんな穴場あったんだな」

魔法使い「は、はい……」

男「ありがとね、この森について詳しいんだね」

魔法使い「自分が住んでる場所ですから……」

男「そっか。さて、今日も働きますか」

魔法使い「あ、あの!」

男「ん?」

魔法使い「よければ……その……お手伝いします……」カアアー

28: 2012/03/16(金) 18:44:09
男「ふー、たくさんとれた」

魔法使い「は、はい、そうですね」

男「ありがとう、手伝ってくれて」

魔法使い「い、いえ……」

男「ん、それじゃ、今日は魔法使いちゃんのおかげでたくさんとれたし、もう帰るよ」

魔法使い「あ……」

男「ろくにお返しもできなくてごめんね、母ちゃんが持ってるんだ」

魔法使い「はい……」

男「うちは父親がいないからさ、できるだけ早く帰ってやりたいんだ」

魔法使い「はい……」

30: 2012/03/16(金) 18:46:33
魔法使い「あ、あの……」

男「ん?」

魔法使い「明日も、来てくれますか……?」

男「うん、いい場所も教えてもらったし、またここで仕事しようかな」

魔法使い「!は、はい!」

31: 2012/03/16(金) 20:00:25
魔法使い家

魔法使い「えへへ……」

魔法使い(うまく話せたかはともかく……今日は長く一緒にいれたな……)

魔法使い(そういえば、今日までお互い名前も知らなかったんだよね)

魔法使い(えへへ……それに、明日も来てくれるって……)

魔法使い(またお手伝いさせてもらおっと)

魔法使い(明日は、今日よりたくさんお話しよ……えへへ)

32: 2012/03/16(金) 20:06:08
数日後

男「魔法使いちゃん、よければ家に遊びにこない?」

魔法使い「はっ、はい!?」

男「いや、この間からずっと手伝ってもらってるしさ、お礼にと思って」

魔法使い「えっ、えっ!え!?」

男「うちも裕福ではないけど……ご飯くらいは食べさせてあげれるからさ」

男「それに、かわいらしい魔法使いさんがいる、って話したら、母ちゃんもぜひ会ってみたいって言っててさ」

魔法使い「あ、あう、あう……」

魔法使い(男さんの家……まさか招待されるなんて……)

男「あ、街にはあんまり関わっちゃいけないんだっけ?無理なら……」

魔法使い「い、いえ!ぜひおじゃまさせてください!」

33: 2012/03/16(金) 20:08:36
男「ん、よかった。それじゃ明日の昼くらいに、街の入口で待っててくれるかな?」

魔法使い「は、はい」

男「俺が迎えに行くからさ、待っててね」

魔法使い「はい……」

34: 2012/03/16(金) 20:14:33
魔法使い家

魔法使い(た、大変な事になった!大変な事になった!)バタバタ

魔法使い(まさか男さんの家に……行く事になるなんて……)

魔法使い(なに着て行こう……ていうかアタシいつもの服以外ほとんど持ってないよう……)

魔法使い(目立っちゃいけないから箒は持っていけない……歩きかぁ……)

魔法使い(うう……ほんとにほとんど服がない……)

魔法使い(あんまりいつもと違う服だと落ち着かないから……黒じゃなくて白のワンピースと……)ガサガサ

魔法使い(この帽子は『魔法使いです』って言ってるようなものだから……麦わら帽子で……)ガタガタ

35: 2012/03/16(金) 20:20:50
翌日

男「んー」キョロキョロ

男(魔法使いちゃん、遅れてるのかな。まだ来てないけど)

クイクイ

男「ん?」

魔法使い「あの……男さん……アタシです……」カアアー

36: 2012/03/16(金) 20:23:27
男「あ、ごめんごめん、いつもの服で来るかと思ってたからさ」

魔法使い「へ、変でしょうか……?」

男「ううん、その服も似合ってるよ、かわいい」

魔法使い「!は、はい……」カアアー!

男「それじゃ、行こうか」

魔法使い「は、はい」

37: 2012/03/16(金) 20:27:32
男「ただいまー」

魔法使い「お、おじゃまします」

男母「いらっしゃい。あなたが魔法使いちゃんね」

魔法使い「は、はい」

男母「毎日男のお手伝いしてくれてるみたいで、ありがとうねぇ」

魔法使い「い、いえ……その……」

男母「ん?どうしたの?」

魔法使い「アタシも男さんとお喋りするの……すごく楽しいですから……」カアアー

男母「あらあら」クスクス

38: 2012/03/16(金) 20:29:23
男母「さ、遠慮なく、お腹いっぱい食べてね」

魔法使い「あ、ありがとうございます」

男「いただきます」

魔法使い「いただきます」

39: 2012/03/16(金) 20:39:38
男母「どう?お口にあうかしら」

魔法使い「はい!とってもおいしいです!」モグモグ

男「そういえば、魔法使いちゃんは普段どんなものを食べてるの?森でとれるもの?」

魔法使い「あ、はい……果物とか、キノコとかをとって、軽く調理して食べてます」モグモグ

男母「あら、じゃあケーキなんかは食べたことはないの?」

魔法使い「ケーキ……」

魔法使い(おばあちゃんがほんのたまに買ってきてくれたけど……もう何年も食べてないなあ……)

40: 2012/03/16(金) 20:40:45
ばらくは食べてない、って顔ね」

魔法使い「はい……」

男母「男、手伝ってくれてるんだから、これからはたまにはケーキくらい持って行ってあげなさい」

男「ん、そうだね、ほんとによく手伝ってくれるし」

魔法使い「え!ええ!?い、いいですよ!アタシが好きで手伝ってるのでそんな!」

男母「遠慮しないの、好きで手伝ってくれてるならなおさらよ」

男「俺もほんとに助かってるんだ、それくらいさせてよ」

魔法使い「男さん……男母さん……」

魔法使い「はい……ありがとうございます」

41: 2012/03/16(金) 20:45:45
夕方

魔法使い「今日は本当にありがとうございます。すごく楽しかったです」ペコ

男母「いえいえ、わたしも娘ができたみたいで楽しかったわ」

魔法使い「男さん、お仕事大変なんですね……」

男母「ごめんね、急に仕事で呼び出されたらしくて……」

魔法使い「いえ……」

魔法使い(いっぱい遊べたし……男さんが呼び出されたのがアタシが帰る直前で本当によかった)

42: 2012/03/16(金) 20:52:07
男母「これからも、気軽に遊びにきてね」

魔法使い「はい、ありがとうございます」

男母「それとね、大事なことを2つ教えてあげるわ」

魔法使い「?なんですか?」

男母「男はね、鈍感だからハッキリ言わないと気づかないわよ」

魔法使い「はっ!はい!?」

男母「それとこれはいい情報だけど、仕事場に女の子がほとんどいないから、男が誰かにとられちゃう可能性は低いわ」

魔法使い「な、なんのことですか!?わ、わわわ、わからないです!」

男母「ふふ、男は気づかなくてもわたしにはバレバレよ、暇さえあれば男のこと横から見つめて」

魔法使い「う、うう、し、失礼します!」ビュン!

男母「ふふ、かわいい」

43: 2012/03/16(金) 21:06:18
魔法使い(うー……!)

魔法使い(そんなにバレバレだったのかな……)

魔法使い(でも男さんは気づいてないって……よかったような残念なような)

男「あ、魔法使いちゃん」

魔法使い「あっ」

44: 2012/03/16(金) 21:10:08
魔法使い「男さん……もうお仕事終わったんですか?」

男「んー、呼び出されたけど、話を聞いただけだったからね。魔法使いちゃんは帰るところ?」

魔法使い「はい、今日は本当にありがとうございました」ペコ

男「ん、いいよ、俺も楽しかったし」

魔法使い「は、はい……」

魔法使い(楽しかったって……よかったぁ)

男「ケーキも楽しみにしててね、まあゆってもたまにしか買えないけど……」

魔法使い「いえ、とっても楽しみです。ありがとうございます」

45: 2012/03/16(金) 21:13:09
男「おっと、そろそろ暗くなるね、魔法使いちゃんは今日歩いてきたんでしょ?」

魔法使い「はい」

男「じゃあちょっと急がないと暗くなるかも。引き止めてごめんね」

魔法使い「いえ、大丈夫です。さすがにあの森では迷いませんから」

46: 2012/03/16(金) 21:15:16
男「ん、それじゃまた明日」

魔法使い「はい、さようなr」ガッ

魔法使い「きゃっ!」ドテッ

ピラ

男「魔法使いちゃ……あ……」

魔法使い「!!!!」

47: 2012/03/16(金) 21:17:18
魔法使い「あ、あう!あうあうあうあ!」バタバタ

男「その……」

魔法使い「お、男さん!」

男「は、はい!」

魔法使い「み、見ました……?」

男「……ごめん」

魔法使い「ーーーー!!」ボッ!

48: 2012/03/16(金) 21:19:20
魔法使い「う、ううー……」カアアー!

男「ごめん……すぐ忘れるようにするから」

魔法使い「はい……」

男「じゃあ……また明日ね」

魔法使い「はい……」

49: 2012/03/16(金) 21:23:20
魔法使い家

魔法使い「う、ううー……」カアアー

魔法使い(楽しかったけど……男さんと男母さんと話せて嬉しかったけど……)

魔法使い(男母さんに、バレちゃった……)カアアー

魔法使い(そのうえ男さんにパンツまで見られちゃったし……)カアアー!

魔法使い(恥ずかしい!恥ずかしいよう!)バタバタ

魔法使い(男さん、忘れてくれたかな?)

魔法使い(でも、なんとも反応してくれないのも……)

魔法使い「ううー……」カアアー

50: 2012/03/16(金) 21:26:09
数日後

魔法使い「…………」

魔法使い(今日は男さん、遅いな……)

魔法使い(あんなことがあってもいつもと変わらず一緒に過ごしてたのに、どうしたんだろ……)

51: 2012/03/16(金) 21:27:56
翌日

魔法使い「…………」

魔法使い(今日も男さん、来ないや……)

魔法使い(風邪ひいたのかな……?)

魔法使い(明日も来なかったら、思いきって街に行ってみようかな……)

52: 2012/03/16(金) 21:30:03
翌日

魔法使い「あ!」

男「おはよ、魔法使いちゃん」

魔法使い「おはようございます。どうしたんですか?昨日と一昨日は……」

男「んー、母ちゃんが風邪ひいちゃってさ」

魔法使い「え……?」

53: 2012/03/16(金) 21:34:17
男「しかもかなりしつこい風邪らしくて、なかなか治らないんだ」

魔法使い「大丈夫なんですか……?」

男「ん、風邪は風邪だから命に別状はないよ」

魔法使い「ほっ……」

男「それで仕事休んで看病してたけど、いつまでも休ませてはもらえなくてさ、今は隣街の兄貴に来てもらって、看病してもらってるんだ」

魔法使い「…………」

男「さ、早めに仕事終えて、俺も母ちゃんのとこ行かないとな」

魔法使い「はい……お手伝いします」

54: 2012/03/16(金) 21:36:47
魔法使い家

魔法使い「うんしょ、と」ドサ

魔法使い「これで材料は全部だよね……」

魔法使い「……薬作るのが得意でよかったって初めて思ったかも」ゴリゴリ

55: 2012/03/16(金) 21:38:34
ゴリゴリ

魔法使い「ふう」

魔法使い「でもどうしても時間はかかっちゃうなぁ……」

魔法使い「ふわああ……」

魔法使い「今夜は徹夜だ……」ゴリゴリ

56: 2012/03/16(金) 21:41:40
翌日

男「おはよ、魔法使いちゃん……ん?」

魔法使い「あ……男さん、おはようございます……」

男「なんか眠そうだね、大丈夫?」

魔法使い「大丈夫です……それより男さん」

男「ん?なに?」

魔法使い「キノコはアタシが集めておきますから……今すぐ男母さんにこれを飲ませてあげてください」スッ

57: 2012/03/16(金) 21:48:05
男「これ……」

魔法使い「アタシ、薬作るのだけは得意ですから……それを飲めばすぐ治るはずです」

男「でも、キノコまで任せるのは……」

魔法使い「大丈夫です、ずっと男さんのお手伝いさせてもらって、手順とかはわかりますから」

男「そうじゃなくて……」

魔法使い「男さん、アタシも、男母さんには早くよくなってほしいんです」

男「魔法使いちゃん……」

58: 2012/03/16(金) 21:52:38
男「……わかった、お願いするよ」

魔法使い「はい」

男「ただ、とったキノコは俺がとりにくるから。ただでさえ寝不足なのに街まで届けるのまで任せられない」

魔法使い「はい、わかりました」

男「……寝不足なのも、この薬を作ってたからなんだね」

魔法使い「……はい」

男「ありがとう」ナデナデ

魔法使い「あ……」

男「ありがとう、魔法使いちゃん」ナデナデ

魔法使い「えへへ……」

59: 2012/03/16(金) 21:54:16
魔法使い「撫でてもらっちゃった……」

魔法使い「えへへ……」ニヨニヨ

魔法使い「あ、キノコとらなくちゃ……」

魔法使い「眠いけど、がんばらなくちゃ……」

60: 2012/03/16(金) 21:56:11
魔法使い「ふう……」

魔法使い「うん、これくらいあれば充分なはず……」

魔法使い「あ……」クラ

魔法使い「だめだ……眠い……」ウトウト

魔法使い「ん……」

魔法使い「すー……すー……」

61: 2012/03/16(金) 21:57:49
魔法使い「ん、んん……」

魔法使い「ん……?」パチ

男「あ、目さめた?」

魔法使い「男さん……?えっ!?」

62: 2012/03/16(金) 21:59:57
男「いや、戻ってきたら魔法使いちゃん寝ててさ」

男「魔法使いちゃんの家に運ぼうと思ったんだけど、場所知らなくて、テキトーに探してたんだ」

魔法使い(お、お姫さまだっこ……!)カアアー!

64: 2012/03/16(金) 22:03:18
男「疲れてるでしょ?そのままでいいよ」

魔法使い「は、は、はい……」

男「家の方向教えてくれるかな?」

魔法使い「あ、えーと……」

魔法使い「…………」

魔法使い「あっちです……」

男「あっちね」スタスタ

65: 2012/03/16(金) 22:05:35
魔法使い「あ……ちょっと間違ったかもです……引き返してください……」

男「ん、わかった」スタスタ

魔法使い(ごめんなさい男さん……もうちょっとだけお姫さまだっこしててほしいんです……)

66: 2012/03/16(金) 22:07:02
男「よし、着いたね」

魔法使い(着いちゃった……)

男「じゃ、また明日」

魔法使い「あ!待ってください!」

67: 2012/03/16(金) 22:09:15
男「ん?どうしたの?」

魔法使い「その……夜の森は危険です……迷ったりとか……」

魔法使い「だ、だから……その……」



魔法使い「今日は……アタシの家に泊まっていってください……」

68: 2012/03/16(金) 22:11:24
男「よいしょ」ゴソゴソ

魔法使い「すみません、お客さまなのにベッドアタシが使っちゃって……」

男「いや、大丈夫だよ」

魔法使い「はい……」

69: 2012/03/16(金) 22:13:42
男「それに、むしろ俺は魔法使いちゃんにお礼を言わなきゃね」

魔法使い「え?」

男「あの薬、すごいよく効いたよ。さすがに全快ではないけど、母ちゃん熱下がったしだいぶ楽そうにしてた」

魔法使い「そうですか……よかった」

70: 2012/03/16(金) 22:17:18
男「ほんとは明日ケーキ持ってきて、言おうと思ったんだけどね。ほんとにありがとう」

魔法使い「いえ……たいしたことじゃないです」

男「ううん、お礼になんでもしてあげたいくらいだよ」

魔法使い「……なんでも……ですか……?」

男「ん?うん。俺にできることなら」

魔法使い「それなら……男さん……」

魔法使い「アタシの話を……聞いてもらえませんか?」

71: 2012/03/16(金) 22:18:41
男「話?」

魔法使い「とっても、大事なお話です」

男「ん、聞くよ、真剣に」

魔法使い「はい……」

72: 2012/03/16(金) 22:21:14
魔法使い「すー……はー……」

男「…………」

魔法使い「ふう……」

男「…………」

魔法使い「……男さん」

男「うん」

魔法使い「アタシは……男さんのことが好きです」

73: 2012/03/16(金) 22:24:18
男「え……」

魔法使い「男さんにとっては、アタシは妹みたいなのかもしれませんけど……恋愛対象じゃないのかもしれないですけど……」

魔法使い「アタシは……男さんのことが大好きなんです……」

男「…………」

魔法使い「だから……アタシとお付き合いしてください」

74: 2012/03/16(金) 22:26:56
男「…………」

魔法使い「…………」

男「……魔法使いちゃんは、とってもいい子だと思うよ」

魔法使い「…………」

男「それに、すごくかわいくて、魅力的だと思う」

魔法使い「…………」

75: 2012/03/16(金) 22:28:36
男「でも、俺にとってはやっぱり妹みたいな存在で……」

男「女の子として好きだとは……思わないんだ」

魔法使い「…………!!」

76: 2012/03/16(金) 22:32:15
魔法使い「う……」

魔法使い「う、うう……」ポロポロ

男「違うんだ、最後まで聞いて」

魔法使い「ひっく……は、はい……」ポロポロ

男「だから、魔法使いちゃんがこのまま、素敵な女の子のまま成長して、そして、その時もまだ、俺のことを好きでいてくれたなら……」

魔法使い「…………」ポロポロ

男「もう一度、俺にさっきの言葉を、聞かせてほしいんだ」

魔法使い「…………!!」

77: 2012/03/16(金) 22:37:19
男「ごめん、こんな中途半端な答えで……」

魔法使い「うっ、ひっく……」ポロポロ

魔法使い「いえ……ひっく……だ、大丈夫です……」

男「……そっか……」

魔法使い「あ、アタシ……がんばりますから……」

男「え?」

魔法使い「むしろ……男さんが我慢できなくて告白してくるくらい……素敵な女の子になりますから……」

男「……そうだね」

男(こんな素敵な女の子なら……将来惚れそうだ……)

78: 2012/03/16(金) 22:39:42
魔法使い「あの……男さん」

男「なに?」

魔法使い「もう1つ、お願いしていいですか?」

男「ん、いいよ」

魔法使い「目、つぶってください……」

男「ん?いいけど……」スッ

チュッ

79: 2012/03/16(金) 22:42:37
男「あ……」

魔法使い「えへへ……」

魔法使い「まだ恋人同士ではないですから……ほっぺです」

男「…………」

魔法使い「ひょっとして……ドキドキしちゃいました?」

男「……からかうんじゃありません」ワシャワシャ

魔法使い「きゃーっ、ふふふっ」

男「ふふ……」

80: 2012/03/16(金) 22:45:53
10年後

赤ん坊「ぎゃああん!」

母「あっ!大丈夫!?ほら、よしよし……」

父「どうした?」

母「やけどしたみたい……冷やすけど、跡残っちゃうかな……」

父「それなら、森の薬屋に行ってみるか」

母「森の薬屋?」

81: 2012/03/16(金) 22:48:30
父「隣から聞いたんだが、森の中に夫婦でやってる薬屋があってな、とてもいい薬をくれるらしい」

母「じゃあお願い。この子女の子だから跡残っちゃかわいそうよ」

父「ああ、隣に場所聞いて行ってくる」ガチャ

82: 2012/03/16(金) 22:51:09
父「ここだな」ガチャ

父「すみませーん」

魔法使い「はい、どうしました?」

父「子どもがやけどしてしまって。やけどの薬をもらえますか?」

魔法使い「やけどのお薬ですね、たしか奥の棚に……あなた、お願いできる?」

男「ああ、わかった」

84: 2012/03/16(金) 22:55:32
男「これだろ?」

魔法使い「はい、ありがとうございます」

父「すまないね、いくらになる?」

魔法使い「いえ、お代はいただきませんよ」

父「え!?しかし」

魔法使い「わたし達はこの森にあるもので暮らしていけますし……夫も働いていますから」

父「んん……そうか、ありがとう」

魔法使い「いいえ、お子さん、早く治るといいですね」

父「ああ、ありがとう」

85: 2012/03/16(金) 22:58:12
父「本当にありがとう。今度なにかお礼をしよう、それでは」ガチャ

バタン

魔法使い「ふふ」

男「どうした?」

魔法使い「わたし達も、もう少しであんなふうに、お父さんとお母さんになるんですね」

男「だな。あと半年か」

魔法使い「はい」

86: 2012/03/16(金) 23:02:25
男「母ちゃんにも、孫の顔を見せにいかなきゃな」

魔法使い「お義兄さんも、今はお義母さんの家にいますから、甥か姪かわかりませんけど、見せられますね」

男「だな、喜ぶ顔が目に浮かぶよ」

魔法使い「そうですね……ふふ」

男「ん?」

魔法使い「大好きですよ、あなた♪」



おわり

87: 2012/03/16(金) 23:03:00
読んでくれた人ありがとう

88: 2012/03/16(金) 23:06:19
乙カレー

引用元: 魔法使い「あっ!」