1: 2009/11/13(金) 16:54:08.11

憂「お姉ちゃん、支度できたー?」

唯「ま、待って憂!…ああん、携帯2階に忘れてきた!」ドタドタ

憂「お姉ちゃん、お財布も忘れないでねー!」

唯「あーい!」バタバタ

5: 2009/11/13(金) 17:06:19.94
~駅~

憂「はいお姉ちゃん。この切符を改札機に通したら、2番線に来る電車に乗ってね。」

唯「うん。わかった。」

憂「…お姉ちゃん、本当に一人で大丈夫?
ごめんね。一緒についていけたらよかったんだけど、あたし逆の方向に行かなきゃならないから…。」

唯「だいじょぶだよ、電車くらい一人で乗れるってぇ。」

憂「お姉ちゃん…。
あとね、創立記念日でのお休みだから、他の人は今日も学校とか仕事があるの。
この時間は混むと思うから、ほんとに気をつけてね…。」

唯「うん。いってくるねっ!」タッタッ

憂「楽しんできてね。行ってらっしゃい。」

14: 2009/11/13(金) 17:15:52.54
~ホーム~

タッタッ

唯「あっ、もう電車きてる!」

唯「2番線…だよね。…うん、これに乗ればいいんだね!」

唯「よいしょっと。」

唯「なんだ、そんなに人いないじゃん。座ろっと。」

プシューッ…バタン

ガタンゴトン…ガタンゴトン…



~次の駅~

ドダダダダ…

唯「わわわわっ、急にいっぱい人が入ってきた!」

唯「憂の言ってた通りだ…。」

19: 2009/11/13(金) 17:26:05.45
ガタンゴトン…ガタンゴトン…

唯「…ん?」

老婆「………。」

唯「(あ、おばあさんだ…。どうしよ、代わってあげた方がいいよね?)」

唯「…すわりますか?」

老婆「…いいのかい?ありがとう。」

老婆「よいしょっと…。」

老婆「お嬢ちゃんは立派だねぇ。」

唯「えへへ…。」



~さらに次の駅~

ドダダダダダダ…

唯「うわうわ、また人がいっぱい乗り込んできた…。」

唯「ぎゅうぎゅうだよ…。身動きがとれない…。」

唯「…さっき代わっておいてよかった…。これじゃ、席の交換もできないもんね…。」

21: 2009/11/13(金) 17:35:35.59
ガタンゴトン…ガタンゴトン…

唯「ん…?向こうのあの人…。」

男「…スンスン…」

唯「(鼻、かゆいのかな?)」

男「…スンスン…」クイックイッ

唯「(ふふ、変な顔ー。)」

男「……!」トントン

唯「(あ、右手で鼻を叩き始めた。)」ジーッ

男「……!」グリグリ

唯「(…そんなに鼻の中痒いのかな?)」ジーッ

男「……。」

唯「……。」ジーッ

男「……。」ホジホジ

唯「(きたない…遂に直接鼻ほじっちゃった…。)」

24: 2009/11/13(金) 17:42:13.39

~少し前~

澪「んー…いい朝だ。」

澪「せっかくの休みだし、この前の海にでも行くか。新曲の歌詞考えたいし。」

澪「…今度こそ浮かぶといいな。この前は結局、何も思い浮かばなかったから…。」



~駅~

澪「うわ、並んでる人多いな…。」

澪「(そっか、今日は平日だもんな。)」

澪「嫌だなぁ…。」

27: 2009/11/13(金) 17:46:02.56
ガタンゴトン…ガタンゴトン…

澪「(平日はこの電車、こんなに混むのか…。)」

澪「(まさか、次の駅でまた人がいっぱい来るんじゃないだろうな…。)」



~次の駅~

ドダダダダダダ…

澪「来た…!」

澪「うっ…ぎゅうぎゅうだ…。」

澪「(苦しい…帰りたい…。)」



ガタンゴトン…ガタンゴトン…

28: 2009/11/13(金) 17:56:22.18

男「…スンスン…」

澪「………ん…?」

男「…スンスン…」

澪「(…なんだ?後ろの男、鼻息荒いなぁ…。)」

澪「(…気持ち悪いぞ…。)」
ガタンッ!

澪「っ!!」

澪「(誰の手だよ!お尻に当たってる!どけろ!)」

澪「(…今の振動で、バランス崩したのか…?)」

澪「(いやそれとも、痴漢…。)」

澪「(いやいやいやいや、まさかな…。)」

30: 2009/11/13(金) 18:03:53.87
ガタンゴトン…ガタンゴトン…

澪「(くそ、身動き取れない…。)」

澪「(ああ最悪だ…!こんな目にあうなら家にいれば…)」

澪「!!!!」

澪「(パ、パンツの中に指突っ込んで…これやっぱり、ち、ち、痴漢だ…!!)」

澪「(どっ、どっ…どうしよう…!)」

澪「(律、ムギ、梓、それに唯…)」

澪「(みんな、助けて…!)」

ガタンゴトン…ガタンゴトン…

31: 2009/11/13(金) 18:18:11.17
唯「………。」ジーッ

男「ふーっ…。」スッキリ

唯「(あ、鼻ほじった手をそのまま下ろしちゃった…。ティッシュで拭いたりしないのかな…。)」

男「………。」

唯「………。」ジーッ

男「…スンスン…。」

唯「(また!?)」



ガシッ

澪「こっ!この人っ!痴漢ですっ!」

男「………えっ?」

唯「(ん?今の声って…澪ちゃん?)」

唯「(あの掴まれてるの…はなくその人だよね…。)」

唯「んん…よく見えない…。」ズズイッ

32: 2009/11/13(金) 18:29:38.14
ガタンゴトン…ガタンゴトン…



男「…ま、待って!俺はやってない!人違いだ!」

乗客「往生際が悪いな。このゲス野郎。」

乗客「お前、次の駅で降りるぞ。警察に突き出してやる。」

乗客「うわ、痴漢とか初めて見た。キモーイ。」

男「やってないんだって!話を聞いてくれ!」



澪「うう…ぐすっ…。」ヘタヘタ

乗客「お嬢ちゃん、もう大丈夫だからな。」

乗客「よく勇気を出したね。」

澪「はい………ぐすっ…。」


キキーッ…プシューッ…

~次の駅~

34: 2009/11/13(金) 18:38:30.32
乗客「オラ降りろ!」ドンッ

男「っ!」バタッ

乗客「君も、ついてきてくれる?」

澪「分かりました…。」

男「………。」

男「…っ!」ダッ

乗客「…逃げたぞっ!追えっ!」

男「うわああああああああ!!ああああああああ!!」ダダダダダ



唯「澪ちゃん!」タッタッ

澪「ゆ、唯…!」

澪「唯!!」だきっ

澪「うっ…ぐすっ…今ね、凄く怖い目にあったんだ…!」

澪「唯が来てくれてよかった…!」ポロポロ

唯「澪ちゃん…。」

35: 2009/11/13(金) 18:46:16.38
唯「澪ちゃん、落ち着いて聞いて…ね…?」

唯「あのね、澪ちゃんが掴んだのは…右と左、どっちの手だった?」

澪「…え………?」

澪「み、右手だよ…。そっちの手で、お尻を触られたんだ…。」

唯「やっぱり…。」

澪「…っていうか、唯。お前、見てたのか…?」

澪「知ってて、助けに来てくれなかったのか!?」

唯「みっ、澪ちゃん!落ち着いて!」

澪「それで、今のは何だよ!あいつはやってないなんて言い出すつもりか!?」

唯「………。」

澪「………。」

唯「………。」

唯「………うん。」

38: 2009/11/13(金) 18:53:29.56
澪「…そっか。」

澪「唯は味方だと思ってたのに…。」

唯「み、澪ちゃん…!」



乗客「掴まえたぞー!」

乗客「オラ、来い!」

男「うう…。」



唯「(どうしよう…。澪ちゃんに嫌われちゃった…。)」

唯「(これ以上言ったら…ほんとに口もきいてもらえないかも…。)」

唯「(でも…。)」



男「やってないんだあああ!離せえええ!」



唯「(でも、言わなきゃ!)」

39: 2009/11/13(金) 19:03:24.47
~駅員室~

乗客「こいつです!」

駅員「まーた痴漢か…。」

男「ち、違っ!俺はやってねえええええ!」

駅員「はいはい、話は警察でしてね。」

唯「ま、待って下さい!」タッタッ

駅員「ん?」

唯「わたし、見てました!この人、ずっと鼻をいじってました!
この人じゃありません!」

男「ほ、ほらっ!俺じゃないんですよっ!」

駅員「そうかい。そういうのは、警察が調べてくれるよ。」

澪「唯、お前…!」タッタッ

唯「澪ちゃん…。」

乗客「あ、それで、この子が被害者です。」

駅員「そう。」

42: 2009/11/13(金) 19:12:50.11
唯「話を聞いて下さい!」

駅員「…はいはい、こっちの処理は終わったから、みんなこの部屋から出て行ってね。
そういう話は、もうじき警察が来るから、その人に話して。」

男「そんな!証言してくれてる人がいるのに、どうして警察なんか呼ぶんですか!」

駅員「だから、君がやったかやってないかを調べるのは警察の仕事なんだよ。
…これ以上、業務を妨害しないでくれないか。こっちも忙しいんだ。」

駅員「ほらほら、閉めるから出て出て。」

バタン



乗客「………。」

唯「………。」

澪「………。」

男「………。」

44: 2009/11/13(金) 19:24:57.05
乗客「…あのさ。さっきから思ってたんだけど。」

唯「はい?」

乗客「君はさ、こいつが鼻をいじってたから痴漢じゃないって言ったね。」

唯「はい。」

澪「…ほんとに見たのか?勘違いじゃないのか?」

唯「ほんとに見たんだよ、澪ちゃん…。」

乗客「いや、それはあり得ないんだよ。」

男「いやいやいや、何でそこまで俺を犯人にしたいんだよ!」

乗客「…君達さ、どういう関係なの?」

唯「え…?」

澪「同じ部活の、友達…ですけど…。」

45: 2009/11/13(金) 19:33:26.24
乗客「ふーん…。君、澪ちゃん?っていうの?
友達は選んだ方がいいよ。」

澪「え?どういうことですか…?」

乗客「この子さ、嘘を言ってるよ。」

乗客「君を陥れようとしているのか、それとも単に面白がってるのか…どちらにしても、あまりいい趣味とは思えないなぁ。」

唯「そんな!嘘なんか言ってません!」

乗客「俺、見たんだよ。君さ、澪ちゃんとは反対側の座席に座ってただろう?
座席に座ってたら、満員電車の逆側の様子なんか見えないよなぁ。」

澪「!」

唯「!」

46: 2009/11/13(金) 19:39:43.42
男「…そう、なのか?」

唯「それは最初だけで、途中でおばあさんに席を譲って…!」

乗客「へぇ、身動きも取れないような満員電車で?」

唯「その時にはまだ満員じゃなかったんです!」

澪「いい加減にしろ!唯!」
唯「澪ちゃん…。」

澪「もういいよ、唯…。唯がそんな奴だったなんて…。」

唯「違うの!聞いて、澪ちゃん!」

50: 2009/11/13(金) 19:47:56.50
澪「…じゃあ唯に聞くけど、やってないならどうしてこいつは逃げた!?お前も見ただろ、こいつが逃げていくのを!
やってないなら堂々としていられるはずじゃないか!」

男「無実を証言してくれてる人がいるって分かってたら、逃げなかったよ!
なんだよ被害者ヅラして!君の勘違いのせいで、俺は、俺は…!」

ドカッ

男「いたっ…!何するんだよ!」

乗客「いい加減にしろよ?自分のしたこと分かってんのか?
何が被害者ヅラだ?あ?これ以上この子を傷つけんなよ!」

乗客「(俺かっこいー!)」

唯「………。」

53: 2009/11/13(金) 19:56:11.94
~数分後~

警察「こいつかい?」

乗客「はい。」

警察「ほら、来い!」

男「………。」

唯「あの、おまわりさん聞いて下さい!その人は…」

乗客「…もうやめなよ。警察にまで嘘ついたら、それは立派な犯罪だよ。」

唯「…っ!嘘じゃ…!」

警察「何か話があるのかな?じゃあ、また今度署に来てね。
…ほら、歩けっ!」

男「っ!」



唯「………。」

澪「………。」

乗客「………。」

56: 2009/11/13(金) 20:02:14.02
乗客「それじゃ、俺は帰るけど…。」

乗客「澪ちゃん、大丈夫?一人で帰れる?やっぱり俺が送っていこうか?」

澪「結構です…。」

乗客「そう…。あ、またなんかあった時のために、連絡先を…。」

澪「大丈夫です…。あまり、今日のことを思い出したくないので…。」

乗客「そ、そうかい。」

乗客「(なんだよ、助けて損したな…。)」

乗客「…じゃあね。」ムッスー



唯「………。」

澪「………。」

57: 2009/11/13(金) 20:09:03.20
唯「…あの、澪ちゃん。」

澪「………。」スタスタ



唯「澪ちゃん…。」

唯「………。」

唯「………。」

唯「う…ぐすっ…。」ポロポロ

58: 2009/11/13(金) 20:10:13.05
~夕方、平沢宅~

憂「ただいまー。お姉ちゃん、先に帰ってきてたんだー?」

唯「………。」

憂「部屋にいるのー?開けるよー?」トントン

唯「………。」

唯「…来ないで…。」

憂「お姉ちゃん?」

唯「………。」

唯「…今日はもう、寝るから…。ご飯もいらない…。」

憂「そう…。」

憂「(お姉ちゃん…?)」

61: 2009/11/13(金) 20:18:27.93
~翌日~

唯「………。」ポツーン

唯「教室…入りたくないなぁ…。」

唯「学校、休めばよかった…。」



律「よ、唯!おはよ!」

唯「り、り、りっちゃん!」

律「どうしたんだ?こんなとこに突っ立ってて。」

唯「い、いやっ、なな何でもないんだよっ?うん。あはは…。」

唯「(澪ちゃんから…聞いてないのかな…?)」

ムギ「あら、二人ともおはよう。」

律「おームギ、おはよ。」

唯「おっ、おはよ、ムギちゃん。」

唯「(あれ?ムギちゃんも普通だ…。)」

63: 2009/11/13(金) 20:29:03.15
~放課後~

唯「(あれ?なんだか普通に一日が終わったけど…。)」

唯「(ああそっか、澪ちゃん学校休んだのかな…。)」

律「唯ー、そろそろ部室行こうぜー?」

唯「うん…。」



~部室~

ガチャ

律「おー、いつも早いな。澪も梓も。」

澪「よっ。3人とも。」

唯「みっ、みみ澪ちゃん!?」

梓「遅いですよぉ、先輩たち。」

紬「ふふっ、ごめんね。その代わり、今日はとってもおいしいケーキを持ってきたから。」

唯「………。」

律「唯?」

64: 2009/11/13(金) 20:37:24.62
唯「え?なな何、りっちゃん?」

律「美味いケーキだってよ?いつもみたいに喜ばないのか?」

唯「え?け、ケーキ?うん!美味しかったよ!あはは…。」

紬「唯ちゃん…?」

唯「あ、ああああのっ…!」アタフタ

澪「…唯、ちょっとトイレ行かないか?」

唯「えっ?う、う、うんっ!」ビクウッ

律「なんだ?唯、トイレならさっきあたしらと一緒に…。」

唯「おっ、おっ、お茶飲み過ぎちゃって!」ビクビク

紬「そう…。」

バタン

律「今日の唯はいつにも増しておかしい…。なんなんだ?」

梓「さぁ…。」

67: 2009/11/13(金) 20:45:25.28
~トイレ~

澪「…唯。」

唯「はっ、はいっ!」

澪「…ふふっ。」ニコッ

澪「やっぱり唯は、あたしの大事な友達だよ。」

唯「…え?」

澪「…みんなには悪いけど、今日は唯を試してたんだ。」

澪「もし律やムギにまでおかしなことを吹き込むようなら、絶対に許さないつもりだったんだけど…。」

澪「あの様子じゃ、何も言わなかったんだろ?」

唯「う、うん…。」

澪「昨日ね、あの後家に帰ってよく考えたんだ。」

69: 2009/11/13(金) 20:50:58.05
唯「考えた?」

澪「うん…。やっぱりあたしには、あの人の言うように、唯が嘘をついてるなんてどうしても思えなくてさ。」

唯「澪ちゃん…!分かってくれたんだ…!」

澪「ああ。だから、あれはきっと、唯の見間違いだったんだよ。」

唯「…え?」

澪「唯もそう気付いたから、律達に言わないでおいてくれたんだろ?」

澪「あたしもね、自分が痴漢されたなんて周りの人に知られたくないしさ。」

澪「だから、このことは二人だけの秘密にしよう。」

唯「み、澪ちゃん…。」

74: 2009/11/13(金) 20:56:54.77
澪「…唯。今朝さ、学校に来る前に連絡があったんだ。」

澪「あいつ、自供したって。」

唯「!!!!」

澪「…昨日の態度は謝るよ。でもさ、唯が味方してくれなくて、あたし本当に悲しかったんだからな?」

澪「だから、おあいこってことで…。」

澪「仲直り。」スッ

唯「………。」

澪「唯?」

唯「………うん。」

ギュッ

澪「………。」

唯「………。」

澪「よし、それじゃあ、ケーキ食べに戻ろう!」

唯「う、うん…。」

76: 2009/11/13(金) 21:04:06.07
律「う!戻ってきちゃったか…!」

澪「なんだよ、戻ってきちゃダメなのか?」

律「もう少し遅かったら、ケーキ半分いただこうかと…。」

澪「まったく…!」

紬「はい、唯ちゃん澪ちゃん。お茶。」

唯「うん…。ありがとムギちゃん…。」

梓「先輩、ほんとに美味しかったですよ、今日のケーキ!どうぞ食べてみて下さい!」

唯「うん…。」パク

澪「…。」パク

77: 2009/11/13(金) 21:07:23.14
澪「ほんとだ、美味いな!」

唯「………。」

律「唯?」

紬「どうしたの、唯ちゃん?お口に合わなかった…?」

唯「………。」

澪「(唯………。)」

唯「…ううん………。」

唯「………。」

唯「…すごく、美味しいよ。」ニコッ

澪「(唯…!)」パァァ

79: 2009/11/13(金) 21:14:36.16
憂「あ、お姉ちゃん、おかえりー。」

唯「ただいまー…。」

憂「…お姉ちゃん?」

唯「今日も…もう寝る…。」タッタッ

バタン

唯「………。」

唯「どうしよう…。」

唯「あの人、認めたってことは、本当はやったのかな…?」

唯「でも、鼻をいじってたのは、見間違いなんかじゃ絶対になかったし…。」

唯「やっぱり、警察に行ってちゃんと言わないと…。」

唯「でも澪ちゃん…せっかく仲直りしてくれたのに、そんなことしたらまた怒らせちゃう…。」

唯「もう、澪ちゃんに嫌われたくないよぉ…。」

80: 2009/11/13(金) 21:21:11.91
憂「お姉ちゃん?」トントン

唯「…なに?」

憂「入っても…いい?」

唯「…こないで…。」

憂「お姉ちゃん…。」

唯「…ごめん………。」

憂「うん…。あのね、お姉ちゃん?」

憂「あたしは、どんなことがあっても、お姉ちゃんの味方だからね?」

憂「だから、辛いことがあったら…何でも話してね。」

唯「憂…ありがと…。」

81: 2009/11/13(金) 21:31:11.37
~秋山宅~

澪「もし…もしもだ。」

澪「唯の言ってることが正しくて、犯人があいつじゃないとしたら…?」

澪「………。」

澪「いやいや、大体あいつは罪を認めたじゃないか…!」

澪「でも…今思うと…間違いなくあいつだっていう証拠は…。」

澪「違う!絶対あいつなんだ!」

澪「だって!そうじゃなきゃあたしは!」

澪「あたし…は…。」



男『君の勘違いのせいで、俺は…俺は…!』



澪「っ!!」

澪「違う!あいつだったんだ!絶対あいつなんだ!あいつだ!あいつだ!あいつだ!…」

82: 2009/11/13(金) 21:36:27.80
~翌日~

憂「お姉ちゃーん?」トントン

唯「………今日は、学校行きたくない…。」

憂「そう…。」

憂「じゃあ、行くね?」

唯「行ってらっしゃい…。」


唯「………。」

唯「澪ちゃん、仲直りしてくれたのに…。」

唯「澪ちゃんに会うのが、怖い…。」

84: 2009/11/13(金) 21:52:27.94
唯「今、授業中かな?」

唯「ふふ、学校サボっちゃった…。」

唯「…もう、学校行きたくないなぁ。」

唯「なんでだろう…みんな普通に接してくれるのに…」

唯「みんなに嫌われてるんじゃないかって思ってた時より…」

唯「みんなが怖い…。」



唯「…そっか。」

唯「わたし、嘘つきになっちゃったからだね。」

唯「澪ちゃんに嫌われたくないから…。」

唯「………。」

唯「………ぐすっ…。」ポロポロ



90: 2009/11/13(金) 22:30:32.21

~休み時間、教室~

律「唯、休みか…。」

紬「珍しいわね。」

律「ああ。…なあムギ?やっぱりさ、…」

紬「…昨日様子がおかしかったのと…関係ありそうよね。」

憂「あの…。」

律「お、憂ちゃん!どうしたの?」

紬「唯ちゃんのこと?」

憂「はい…お姉ちゃん、部屋から出てきてくれなくて…。
何か悩んでるみたいなんですが…。」

憂「あたし、どうしたらいいか分からなくて…!」

91: 2009/11/13(金) 22:39:44.81
律「やっぱり…何かあったんだな。」

紬「話してくれてありがとう、憂ちゃん。」

律「今日、行くから。」

憂「は、はい!お願いします!」

タッタッ

紬「…どうする?みんなも誘う?」

律「いや…澪は誘わない方がいいと思う。
あたしの気のせいかもしれないけどさ、なんか昨日の唯、澪にビクビクしてた気がするんだ。」

紬「それに、澪ちゃんも少し様子がおかしかったものね。」

律「お、ムギもやっぱりそう思うか?…あいつもあいつで何かあるのかもしれないけど…。」

律「とにかく、唯には会わせない方がいい。そんな気がする。」

93: 2009/11/13(金) 22:56:53.41
紬「梓ちゃんも連れて行かない方がいいわよね。後輩がいると話しにくい、ってこともあるでしょうし。」

律「…だな。2人で行こう。澪達に勘付かれないように、部活終わってから。
…時間大丈夫だよな?」

紬「ええ。」





~夜~

律「おーい唯!」トントン

紬「唯ちゃん。」

唯「っ…!り、りっちゃん、むぎちゃん…!」

律「入っていいかー?」

唯「こないで…。」

律「…そっか。」

紬「唯ちゃん…。」

憂「…お姉ちゃん…。」

97: 2009/11/13(金) 23:28:32.12
律「………。」

律「どりゃあああああ!!」

バーン!

唯「あっ!!」

唯「りっ!りりりりりりっちゃん!開けないでって言ったのにっ!」

紬「ちょっとりっちゃん!」

律「いやぁ~、あはははは…つい手が滑って…」

律「…唯、大丈夫だから。」

唯「え…?」

律「ほら、唯が怖がってたあたしの顔だよ~。見てみたら、別に怖くもなんともないだろ?」プクーッ

唯「べっ、別にりっちゃんなんか怖がってないもん…。」ムッスー

律「はは、どうだか。」

98: 2009/11/13(金) 23:35:29.54
律「唯が怖がってるほど、あたしら軽音部の関係は脆くないから。」

律「壊れたりなんか…させないから、絶対に。」

唯「りっちゃん…。」

律「だから、話してみなよ。大丈夫だから。」

律「…なにがあったの?」

紬「(りっちゃん…。)」

憂「(律さん…!)」

唯「う………。」

唯「うわぁぁぁん!りっちゃあああああん…!」ポロポロ

だきっ

律「おー、よしよし…。」

104: 2009/11/13(金) 23:45:32.22

律「…落ち着いた?」

唯「ひっく…ひっく…。うん…。」

唯「あのね…ひっく…話すから…憂は…聞かないで…ぐすっ…。」

憂「…あたしが聞いちゃ、いけない話なのね?」

唯「うん…ぐすっ…。」

憂「分かった。…律さん、紬さん。お姉ちゃんをお願いしますね。」

律「うん。ごめんね…。」

バタン

紬「じゃあ、唯ちゃん…。」

唯「うん…。」

107: 2009/11/14(土) 00:04:41.81
律「そっか。澪が…。」

紬「そんなことが…。」

唯「うん…。」

律「なんつーか…。」

紬「ええ。」

律「澪には悪いけど…。多分、冤罪だな。」

唯「えんざい?」

律「濡れ衣ってこと。」

紬「どうして唯ちゃんの話、聞いてもらえなかったのかしら…。」

律「あー、なんかテレビで見た気がする。
駅員って、めんどいからとりあえず警察に突き出しちゃおう!みたいな奴が多いんだって。」

唯「あ!あの人、確かにそんな感じだった。」

律「やっぱりか。」

109: 2009/11/14(土) 00:24:11.37
律「…しかし警察に行ったが最後。
そこでも話なんか聞いてもらえなくて、罪を認めるまで取り調べが続くんだってさ。」

紬「それは私も聞いたことがある気がするわ。確か、早く認めちゃった方が得なのよね?」

唯「え…?どういうこと?」

律「罪を認めれば、その場で釈放されるんだよ。」

紬「だから、その人もそれを知って、罪を認めてしまったんじゃないかしら。」

唯「じゃあ、自供したから、っていうのは…。」

律「ああ。全く信用できない。」

110: 2009/11/14(土) 00:46:55.81

唯「やっぱり、濡れ衣なんだね。…それを証明しないと…。」

紬「でも…。」

律「ああ。それをすれば、澪が完全に悪者にされる。」

律「あいつだって、痴漢されたことには間違いないのにな…。」

律「…唯、ムギ。どんなことがあっても、あたしらは澪の味方でいような。」

唯「うん!」

紬「………。」

律「…ムギ?」

121: 2009/11/14(土) 02:27:14.54


紬「私は、約束はできないわ。」

唯「ムギちゃん…。」

律「…はは、もしこのまま澪が逃げたら…って言いたいんだろ?ムギは。」

紬「そうよ。だから…」

律「言うな言うな。あたしも唯も、同じ気持ちだよ。」

律「…やるべきことはやらせる。絶対に逃がさない。
あいつのためにな!」

紬「…うん!」

123: 2009/11/14(土) 02:35:37.76
唯「あのね!りっちゃん、むぎちゃん!」

律「ん?」

唯「やっぱり、二人に話してよかったよ!」ニコッ

紬「ふふっ、こんなことで、澪ちゃんを見捨てたりしないわ。」

律「…それが怖くて、ずっと澪をかばってたんだろ?」

唯「うん…。」

唯「でも、大丈夫だって分かったから。りっちゃんとムギちゃんを信じて…。」

唯「………。」

唯「明日!澪ちゃんともう一回話し合うよ!わたしももう逃げない!」

唯「だから、…一緒に澪ちゃんを説得してくれる?」

律「ああ。」

紬「もちろんよ!」

125: 2009/11/14(土) 03:03:27.75
~翌日の放課後、部室~

律「みんな揃ったな。」

澪「梓がまだだぞ。…珍しいな。」

律「あー、梓には帰ってもらった。今日はこの4人でしなくちゃならない、大事な話があるからな。」

澪「っ!」

澪「…唯!話したのか!」

唯「ごめんね澪ちゃん。でもね、やっぱり…。」

澪「あいつが犯人じゃないって!?まだそんなことを!」

唯「だって、あれは絶対に見間違いなんかじゃなかったから…!」

澪「…律とムギはどう思ってるんだ?」

律「お前の話を聞かないと何とも言えないけど…。」

紬「唯ちゃんの話が事実だとしたら、その人がやったとは考えにくいと思っているわ。」

126: 2009/11/14(土) 03:12:55.57
澪「…あたしは。」

澪「ドアの近くで、ドアに向かって立っていて…。」

澪「そう、電車が揺れて、その拍子に誰かの手がお尻に当たってると思って…。」

澪「そしたら…。」

澪「………。」

紬「澪ちゃん、辛いかもしれないけど、話して…。」

澪「…やっぱり嫌だ!」

澪「大体、あのことはもう終わったことなんだ!思い出させないでくれよ!」

律「終わってない!」

澪「!」

律「ここで終わらせちゃいけないんだよ…!」

127: 2009/11/14(土) 03:32:10.10
律「澪、…痴漢した経歴を持つ人が、その後どういう扱いを受けるか…分かるだろ?」

澪「そ、それは…実際に痴漢をしたんだから仕方ないだろ…。」

律「本当にやったんならな。」

律「でも、もしもそれが冤罪だったら…。」

律「お前は一生、人一人の人生を潰した奴として生きていくんだ。」

澪「っ!」

律「だから、話してくれよ。
もちろん、そいつが犯人だと確信できれば、それにこしたことはないんだ。」

律「でも、ここで逃げるなら…。」

律「あたしらは忘れないからな。澪が、人の人生を潰したかもしれない奴、ってことは。」

澪「…っ。」

130: 2009/11/14(土) 03:39:04.39
澪「…分かったよ。」

澪「その手が、あたしの尻を揉んで…。」

澪「そして、パンツの中に入ってきて…。」

律「どこから?」

澪「左の、足通す穴から…。」

澪「そこで、その腕を掴んで引っ張り上げたら、」

澪「やっぱりパンツの中から腕が抜けたから、その腕が痴漢の腕だって確信して…」

澪「あとは多分、唯から聞いた通りだよ。」

131: 2009/11/14(土) 03:50:12.69
紬「その人と澪ちゃんの位置関係って覚えてる?」

澪「うん…。」

律「唯を澪とすると…その男はどう立ってた?ちょっと移動してみて。」

唯「えっ、わたしはどう動けばいい?」ウロウロ

律「…お前は動くな!微動だにするな!」

唯「はっ、はい!」

澪「んー…」

澪「こう…だった。」

紬「………っ!」

律「ま、間違いないのか…?」

澪「ああ。満員でぎゅうぎゅうだったし、途中で体をよじったということもないと思う。」

律「そう…か…。ありがとう…。」

132: 2009/11/14(土) 04:02:32.68
律「…澪、戻ってきて。代わりに、ムギ。そこに立って。」

澪「…?ああ…。」

紬「…ええ、分かったわ。」

唯「りっちゃん、わたしは…?」ダラー

律「気をつけ!」

唯「はっ、はい!」



律「澪………。」

だきっ

澪「な、なんだよ急に!」

律「…痴漢されて、怖かったな?」ギュウ

澪「い、今さらかよ…。」

133: 2009/11/14(土) 04:09:01.86
律「お前が辛かったのはよく分かってる…。澪はそういうの、人一倍嫌いだもんな。」

律「あたしらは、澪の味方だから…。見捨てたりしないから…。」

律「…一緒に、戦うから!」ギュウウ

澪「律…?」



律「だから、あれを見ろ…。」

澪「………?」

澪「…!!!!」



紬「…そう。この位置からでは、右手を、その穴からパンツの中に入れることは、できないの…。」

唯「澪、ちゃん…。」

律「澪…。」

135: 2009/11/14(土) 04:16:35.06
澪「………。」

澪「………。」

澪「………。」

澪「………。」

澪「………。」

澪「………。」

澪「………。」

澪「………。」

澪「…っ!!」ポロポロ

律「澪…。」

澪「あっ…!あたしは…っ!どっ、どうしたら…!」ガクガク

澪「怖い、怖い、怖い、怖いよっ!律…!」ガクガク

律「澪…。」ギュウウ

136: 2009/11/14(土) 04:30:15.75
唯「澪ちゃん…。」

澪「あたし本当は、ずっと自信がなかった…!あの人が犯人だって…!」

澪「でも怖くて…!それが認められなくて…!」

澪「あの時、唯の言うことを聞いておけば…!」ポロポロ

澪「…律、どうしよう!今さら…。あたし、どうしたら償える?」

律「…澪、大丈夫。今からでもできることは、いくらでもあるよ。」

律「あたしらも付き合うから。最後まで。」

139: 2009/11/14(土) 04:46:48.13
~しばらく後~

紬「落ち着いた?」

澪「うん…。」

律「…でさ。その人の連絡先とか…知らないよな?」

唯「んー、分からない…。」

律「だよなー…。…ムギ、そういうのを調べたりとかは…」

紬「ええ任せて!調べさせるわ!」

律「(調べられるんだ…。)」

唯「(さすがムギちゃん…。)」

律「やっぱり、まずは本人に謝罪だよな。」

澪「うん…。」

141: 2009/11/14(土) 04:57:31.03
律「あとさ、無実の証言は…。」

紬「…裁判まで待った方がいいと思うわ。」

唯「裁判…!」

紬「本人が認めてしまった以上、起訴はされると思うの。
だから、法廷で全てを話すのよ。その方が、効果が高いはず。」

紬「でも…澪ちゃんにはそれだけ、泥を被ってもらうことになるわ…。」

澪「…やるよ、あたし。」

澪「みんなを信じて…いいんだよな。」

律「何度も言わせんな!見捨てたりなんかしないよ!」

唯「そうだよ!澪ちゃん!」

紬「澪ちゃん…!頑張りましょう…!」

142: 2009/11/14(土) 05:05:36.47
~翌日の放課後、男宅前~

律「ムギはさすがだな。」

唯「まさか一晩で調べてくるなんてねー。」

紬「ふふ、調べたのは私じゃないけどね。」

澪「…。」

律「さ、澪。行こうぜ」

澪「…いや、一人で行くよ。」

紬「大丈夫?」

澪「ああ。みんなでいけば怖くない…なんて言うしな。」

澪「一人でいかないと、誠意が伝わらないと思うんだ。」

律「分かった。行ってこい。」

143: 2009/11/14(土) 05:09:55.46
澪「………。」ドキドキ

澪「…っ!」

ピンポーン

澪「………。」ドクッドクッ

男「………。」ガチャ

男「!」

男「な、何しにき…え?」

澪「っ!」ダンッ

男「土下座…?」

澪「…申し訳ありませんでした。」

男「………。」

144: 2009/11/14(土) 05:16:42.94
唯「どうだった?澪ちゃん。」

澪「…ムギ、あの人の…勤め先、分かるか?」

紬「ええ、分かるけど…。」

澪「…痴漢の件が会社に知れて、クビになりそうなんだって…。」

澪「他にも、家族、友達、…色々失った。」

澪「だから、ゴメンで済ますことはできないって…。」

唯「そっか…。」

澪「…ムギ、あの人の会社はどこだ?」

紬「…ふふっ、ここからは近いわよ?行く?」

145: 2009/11/14(土) 05:24:49.48
~会社~

紬「このオフィスね…。」

澪「………。」

澪「…行ってくる!」





律「どうだった?」

澪「クビ、考え直してくれるって。
あの人の人生を狂わせた元凶として、責任を持ってあの人の無実を証明します、って言ったんだ。」

紬「その言葉を、信じてくれたのね。
会社としても、疑惑のある人を残すのは、リスクのあることのはずだから…。」

律「よし、いい手土産ができたことだし、もう一回あの人に会いに行こうぜ!」

146: 2009/11/14(土) 05:32:14.98
~夜、男宅~

ピンポーン

ガチャ

男「君か…。」

澪「あ、あのっ!」

男「いや、もう会社から連絡きたから、報告はいいよ。」

澪「そ、そうですか…。」

男「………。」

澪「………。」

男「…俺はね、やっぱり君を許すことはできないよ。こんなことをされてもね…。」

澪「っ…。」

男「…でも、俺の無実を証明する…その言葉は、信じるよ。」

男「裁判、1週間後に決まったから。…頼んだよ。」

澪「…は、はいっ!」パァァ

147: 2009/11/14(土) 05:41:36.00
澪「裁判、1週間後だってさ。」

律「そうか…。」

唯「それで、許してはもらえた…?」

澪「…考えてみたら、ゴメンで済まそうなんて考え方が図々しいんだよな。いくら謝っても、許されるはずないよ。」

澪「だからまず、法廷で無実を証明してみせて、態度から示す。
…その後でまた、改めて頭を下げに行くよ。」

律「澪…。」

ギュッ

律「あんまり、無理すんなよ?」

澪「無理なんかしてないよ。…みんながいてくれるから、な。」

148: 2009/11/14(土) 05:56:12.44
~裁判前日~

唯「いよいよ明日だね…澪ちゃん。」

澪「ああ…。」

律「明日、法廷で全てを話して…多分、お前は色々なものを失う…。」

紬「でも、私達の関係は、絶対になくならないから。」

唯「だから、澪ちゃん。思いっ切りぶつかってきて!」

澪「ああ…!」





課長「明日、だな。」

男「はい…。」

部長「大丈夫だ。被害者が味方についてる裁判なんか、デキレースみたいなものだからな。」

課長「あの子がそこまで泥を被ってくれると言っているんだ…。」

男「はい。必ず、無罪を勝ち取ってきます!」

150: 2009/11/14(土) 06:17:59.81
~数日後、判決公判~

裁判長「………、以上の点から、被告人が犯行を行ったとは考えにくく、」

裁判長「被告人を、無罪とする!」





澪「こんにちは。」

男「やぁ。…これで晴れて、潔白の身だ。」

澪「よかったです。証言したかいがありました。」

澪「…今日は改めて、謝りに来たんです。
決めてたんです。あなたの潔白を証明できたら、また来るって。」

151: 2009/11/14(土) 06:34:29.68
男「…いや。謝罪の言葉はもう、いらないよ。」

男「正直言って、ね。潔白を証明できても、取り戻せないものがいっぱいあるんだ。」

澪「はい…。」

男「でも君は、自分で泥を被ってまで、俺の潔白を証明するために奮闘してくれた。」

男「それはね、土下座すりゃ許してくれんだろ、みたいな甘ったれた謝り方とは違う、本物の謝罪なんだと思うんだ。」

男「だから俺も、君を許さなくちゃならない。
全て取り戻せなければ許さない、なんていうのは間違ってるからね。」

澪「はい…!」

153: 2009/11/14(土) 06:39:45.32
~学校~

澪「………。」



「聞いた?秋山さんの話…。」ヒソヒソ

「知ってる!あの人、痴漢をでっち上げてたんでしょ?」ヒソヒソ

「どうかしてるよねぇ。人の人生潰しておいて、平気な面して学校に来れるんだから。」ヒソヒソ

「厚顔無恥っていうか何ていうか…。」ヒソヒソ



澪「………。」

和「おはよ、澪。」

澪「和…!う、うん、おはよう。」

155: 2009/11/14(土) 06:49:17.95
「ちょっとどうする?真鍋さん、あの子に話し掛けてるわ…!」ヒソヒソ

「まだ知らないんじゃないの、秋山さんがどんな人か…。」ヒソヒソ

「あの人、噂話とか疎そうだもんね…。」ヒソヒソ

「どうする…?教えてあげる…?」ヒソヒソ



和「澪、数学の宿題やってきた?
1つ分からないところがあって、教えて欲しいのだけれど…。」

澪「へ、へぇ…。和が数学で詰まるなんて、珍しいな…。」

澪「(和は…知らないのかな。あのこと。)」

澪「(知らないままでいて欲しい…。和には、嫌われたくない…。)」

158: 2009/11/14(土) 07:00:34.80

「真鍋さん!」

澪「っ!!」

澪「(頼む…!和には言わないで…!)」

「秋山さんが何したか知ってる?」

「この人ね、電車で痴漢をでっち上げたんだってー。」

「真鍋さんも、あんまりこの人に近付かない方がいいよー?」

「真鍋さんも、犯罪者にされちゃうかもー!」

澪「………。」

澪「…のど…か…。」

和「………。」

159: 2009/11/14(土) 07:05:55.91
和「…ああ、そのこと?」

澪「…和?知ってたのか?」

和「どうしてでっち上げなんてことになってるのかは、知らないけれどね。
…バカって怖いわ。」

「バッ…!な、何よ!あたし達は真鍋さんのために!」



澪「和…。」

和「大丈夫よ。私はバカじゃないから。」

和「…澪がどれだけかっこよかったか、理解できるわ。」

澪「和…!」パァァ

160: 2009/11/14(土) 07:12:46.71
~放課後、部室~

律「澪、大丈夫だったか?」

紬「ここまで尾ひれがついて、噂が広がるなんてね…。」

唯「教室で、なんか言われなかった?」

澪「大丈夫だよ。和が味方についてくれた。」

唯「和ちゃんが?」

律「そっか!やっぱり、分かってくれる奴は分かってくれるんだな!」



梓「先輩…!」

律「よ、梓。」

梓「よ、じゃないですよ!私だって軽音部のメンバーなのに、どうして何も話してくれなかったんですかぁ!」

161: 2009/11/14(土) 07:33:02.87
紬「ふふ。ごめんね、梓ちゃん。」

梓「…なんですか、たった1年早く生まれたくらいで。」

唯「ごめんねあずにゃーん!」ギュッ

梓「…唯先輩も他人事じゃないですよ。憂も怒ってましたから。」

唯「えっ!?」ガバ

澪「あはは…。」

律「お、久しぶりに見たな。澪の笑顔。」

澪「…え?そうだったか?」

唯「うん…。澪ちゃん、ずっと笑ってなかったんだよ?」

澪「そっ、か…。何だかんだ言っても、ヘコんでたのかもなぁ…。」

澪「でも、大丈夫。分かってくれる奴はどこにでもいるって、今日気付いたからな。」

162: 2009/11/14(土) 08:04:13.24
律の言ってた通り、あたしは本当に色々なものを失った。
あたしから離れていった人も少なくない。

でも、後悔はしていない。

あたしの勘違いから、人一人の人生が潰れかけたんだ。
何を犠牲にしても、それは修正しないとな。

あたしは必氏にかけずり回って、何とか償った、許してもらえた…。
だから、これからも堂々と生きていける。
少なくとも、痴漢冤罪で人の人生を破壊して、それでも平気で被害者面ができる人達なんかよりはな。

そして何より、一番大切なものは、そう簡単に壊れたりなんかしなかった。
それどころか、あたしを導いてくれた。
…それだけで、十分過ぎるくらいだ。

律、唯、ムギ…それに、梓や和も…。
みんな、本当にありがとうな…。

165: 2009/11/14(土) 08:16:06.66
最後に。あたしに痴漢をした、真犯人。
もはや、そいつが誰かなんて調べようも無いことなんだけど…。

捕まらなくったって、やったことが無くなるわけじゃないんだ。

そいつにも何らかの形で裁きが下ることを、あたしは信じている。





乗客「あー、澪ちゃんの尻の感触…忘れらんね…。」

乗客「しっかし、あの子も…。痴漢から助けてやったってのに…恩知らずな奴だったよなぁ。」

乗客「ま、いいや。隠し撮りした写真が携帯に入ってるしぃ。」

カチャッ

乗客「へへ、よく撮れてる…。これなら澪ちゃんも、ヤらせてくれるでしょ。」

乗客「って、おっとっと!」

ポトッ

166: 2009/11/14(土) 08:18:08.98
乗客「やべ、線路に落ちちゃったよ…。」

乗客「よいしょっと…ん?」




ゴォォォォォォォォォォ!!キキィィィィィ!!



~完~

170: 2009/11/14(土) 08:29:57.80

引用元: 唯「それでもあの人はやってないよ」