2: 2013/01/21(月) 23:42:50.99
響「たかねーーーーッッ! お誕生日おめでとう!」

貴音「ありがとうございます、響」

響「うんうん……! ん~~!」

貴音「そのようにキスをせがまれても……わたくしは皆の前では……」

響「えーっ! 我慢できない!」

響「今! 今がいい!」

貴音「だめです。お預け」

響「うぎゃーー! 貴音ぇぇーー! そりゃないぞーー!」

5: 2013/01/21(月) 23:46:47.56
響「うぅ……ふぎゅぅ……」

貴音(……我慢しているのですね、わたくしと熱いキスをしたいのに我慢しているのですね!)

響「か、かくなる上は……」ジリ

貴音「な、なんと……! 強硬手段とは!」

響「ふっふっふ……自分、い、いますぐにでも貴音と……い、いますぐ、今すぐキスミー♪」

貴音「WOW WOW」

響「隙あり! とりゃああああ!」

貴音「あぁ! しまりました!」

6: 2013/01/21(月) 23:50:26.11
響「ん? しまりましたってなんだよ」

貴音「……はて?」

響「いやいや、自分で言ったんじゃん」

貴音「しまった! とは言いますが丁寧な言葉になおすと」

貴音「しまりました! ではないのですか?」

響「うーん、違うんじゃないか?」

響「それだとドアが閉まりました! みたいに実況してるっぽくなるぞ」

貴音「なるほど……。しまったでございます!」

響「なんかサザエでございます!みたいだぞ」

9: 2013/01/21(月) 23:53:23.91
貴音「ホタテでございます!」

響「あ、いや、そうじゃなくて」

貴音「わたくしは貝は好きですよ。真、美味です」

響「そんなことより貴音! さあこのスキだらけの自分をなんとでもするがいいぞ!」

響(ふっ、これで貴音は我慢できなくなって自分にキスしてくるに違いない!)

貴音「では放置しましょう」

響「うぎゃーー! 貴音、ほら、チューの時間だぞ!」

貴音「ですからお預けですと」

10: 2013/01/21(月) 23:56:01.23
響「いーやーだー!」

貴音「我慢するのです……! もうすぐゴールですよ」

響「むりだな」

貴音「いけない子はお仕置きが必要ですね」

響「お仕置き!? 何!? チューのお仕置きならいくらでも」

貴音「真とチューです」

響「……」

貴音「そんなに嫌ならばわたくしが真としてきます」

響「ちょ、ちょっと待った! タンマタンマ! お、落ち着こうね」

11: 2013/01/21(月) 23:59:38.96
響「い、いい? 貴音。普通、女の子同士でチューしてるなんておかしいんだぞ」

貴音「えっ」

響「えっ」

響「いや、じゃなくて。だから本当はちょっとおかしなことなんだってば」

貴音「ふふ、ふふふ……ゲホッ、ゲホッ。本当に響はいつも面白いですね、ふふっ」

響「そんなに笑うほどおかしいことじゃないぞ!?」

貴音「はあ。そうですか。では何がおかしいのですか?」

貴音「いつもわたくしと響はしているじゃないですか」

12: 2013/01/22(火) 00:01:40.46
響「だよね!? じゃあ今しよう!」

貴音「今はいけません」

響「なんで?」

貴音「プロデューサーに止められているのです」

貴音「最近……」


P「お前らあんまり事務所でチュッチュッペロペロしてるんじゃないよ!
  お仕事にならないでしょうが! 小鳥さんが」


貴音「と、怒られてしまいました」

13: 2013/01/22(火) 00:05:20.66
響「貴音……。そんな時のためのとってもいい言葉があるんだぞ」

貴音「なんと! それは一体どのような言葉なのですか!」

響「なんくるないさー」ドヤァ

貴音「面妖な!」

響「ピヨコがお仕事していなくっても……なんくるないさー!」

貴音「なんくるないですね」

響「面妖な言葉だね!」

貴音「面妖ですね」

14: 2013/01/22(火) 00:08:57.65
響「ここで……貴音にプレゼントがあるのです」

貴音「よろしいのですか?」

響「お誕生日だからね。自分がよりいいものをと思って選んだんだぞ」

貴音「はい。らあめんですね?」

響「違うぞ」

貴音「風の噂では響がスープのダシをブタ太で」

響「コラーーーー! そんなことしない! 自分しないよ、そんなこと!」

貴音「噂とは面妖ですね」

響「なんでもそれで片付くと思ったら大間違いだからね」

15: 2013/01/22(火) 00:13:18.58
貴音「なんと、響が怒っています!」

貴音「不甲斐ないわたくしが噂などにたぶらかされているのに対して
    怒っているのですね。あぁ、愛しの響……!」

響「自分怒ってるぞ~! すっごく怒ってるぞ~!」

響「テールランプみたいに真っ赤になるぞ~」

貴音「そして……どうなるというのですか!?」

響「そ、そして(?) えっと、た、貴音に襲いかかっちゃうんだぞ~」

貴音「では逃げなくてはなりませんね」

響「自分の中にある貴音探知機でどこまでも追いかけるからな~」

貴音「面妖な!」

16: 2013/01/22(火) 00:16:44.38
貴音「時に響。最近、わたくしは不思議な日本語に怒りを覚えることがあるのです」

響「例えば?」

貴音「例えば……なんくるないさーとかですね」

響「コラーーーー!! さっき自分も使ってたじゃん!」

貴音「ふふ、冗談ですよ。怒ってる響も可愛いですね。眼福ものです」

響「えへへ? もう、しょうがないなぁ~。むちゅ~~」

貴音「それはしませんが」

貴音「ですが、このような言葉を最近聞いたのです」

18: 2013/01/22(火) 00:19:47.50
貴音「『四条さんおこ?』……と」

響「お、おこ?」

響「聞いたことのない方言だね」

貴音「どうやら、これは怒っているんですか? などの意味があるようです」

響「へぇ~。知らなかった」

貴音「このような面妖な日本語。あっていいとは思いません」

響「だけどそうは言ってもなぁ~。今じゃCGのアイドルを見に行く時代だからなぁ」

貴音「し、え? 今なんておっしゃいましたか?」

響「いやさすがにアルファベットレベルで英語分からないことはないだろ!」

19: 2013/01/22(火) 00:24:04.37
貴音「で、そのOGとはなんですか? オールドガールのことでしょうか?」

貴音「それともスパロボの方でしょうか?」

響「なんで貴音がスパロボなんて知ってるんだよ!」

貴音「亜美とやりました。真に面妖でした」

貴音「しかし、そのCGでしたか。なんでしょうかそれは」

響「コンピューターグラフィックスって言うらしいぞ」

貴音「コ、え? もう一度言ってください。コンピューターグラフィックス?」

響「聞こえてるじゃん! しかもちゃんと分かってるし」

21: 2013/01/22(火) 00:29:48.67
響「確か、初音ミクって言ったっけ?」

貴音「私と似ていますね。貴音ミク」

響「いや、似てないだろ。語感だけじゃん」

貴音「十分な響ではありませんか」

響「そうか? でもそれって自分たちアイドルがいらなくなるってことなのかなぁ?」

貴音「それはないでしょう」

響「なぜなら響はわたくしが常に欲しているのです」

貴音「何故わたくしの台詞を勝手に言うのですか……」

響「最近習得したんだぞ。貴音は次に『いけず……』と言う!」

貴音「いけず……ハッ!」

23: 2013/01/22(火) 00:31:56.84
貴音「言わされた感があるのですが」

響「気のせいじゃないか?」

貴音「どうやらそのようですね」

響「順応性高いなぁ」

貴音「しかしですね。響」

響「なに?」

貴音「わたくしはこのツッコミ不在のボケ地獄のようなこの空間をなんとかしたいのです」

響「ボケ地獄って、わざとボケてるくせに」

24: 2013/01/22(火) 00:35:28.60
貴音「今もこうスルーされてきたボケ達が宙を舞っているのです」

貴音「埃と誇りと共に」

響「大事なんだかゴミ扱いなんだか……」

貴音「それらをきちんと整理できて捌ける人材をわたくしは求めているのです」

貴音「求める人材像です」

貴音「わたくしも就職活動を使用と決心した時期がありました」

響「そうなの!?」

貴音「高校を途中で中退し、アイドルの道へ入り、そして挫折」

貴音「765プロへ入る直前までわたくしは所謂ニートでした」

25: 2013/01/22(火) 00:38:18.18
貴音「職業は自宅警備員でした」

貴音「そこを高木殿がわたくしの家へ車で突っ込んできたのです」

響「危なっ!? 飲酒運転でもしてたの!?」

貴音「いえ、狙ったそうです」

響「確信犯!?」

貴音「そして、わたくしは外に出る決意をしたのです。
    なぜなら家にいてもあんなに危険なことが起こりうるのですから」

響「いや、もう一生ないと思うぞ」

26: 2013/01/22(火) 00:41:16.01
貴音「そうして見事にわたくしは再就職したのです。アイドルに復帰したのです」

貴音「一度は奈落の底まで堕ちたのです」

貴音「つばさをもがれ、地の果てまで」

響「自分は割りと765プロにはあっさり決まったけどなぁ」

響「でも、こうして貴音と出会えたんだし、いいじゃん! ね!」

貴音「はい、そのようですね」

貴音「しかして、話は戻りますが」

響「随分脱線したね」

27: 2013/01/22(火) 00:44:38.62
貴音「確か、月の模様が何故いつも同じに見えるのか、という話をしていましたね」

響「してないよ!?」

貴音「ふふ、ではわたくしが最近覚えたてのどや顔というものでご高説いたしましょう」

貴音「古来より日本では月の模様と言えばなんでしたか?」

響「え? うさぎが餅つきしてるんじゃなかったっけ?」

貴音「はい、その通りですね」

貴音「賢い響には1貴音ポイントを贈呈します」

響「何それ!? 何そのポイント? 溜まったら何かあるの!?」

29: 2013/01/22(火) 00:48:02.09
貴音「全部集めるとドラゴンボール6個プレゼントいたします」

響「何その生頃し!? あと1個もちょうだいよ!」

貴音「全部集まってしまったら楽しみがなくなるじゃないですか」

響「ちなみにドラゴンボールなんてどこで覚えたの?」

貴音「真美に借りました」

響「うぎゃーー! もう! 貴音はいつもいつもそうやって自分以外の子とも仲良くして!」

響「ずるいぞ! ふん! もう貴音なんて知らない!」

31: 2013/01/22(火) 00:52:04.70
貴音「響、おこ?」

響「うぎゃーー! 今のイラッとしたぞ! もうチューしてやるからな!」

貴音「面妖ダッシュ……!」

響「あ、逃げた! 待てーー!」

響「ふっふっふ、貴音め! そっちは行き止まりだぞ!」

貴音「追い詰められてしまいましたか……」

響「覚悟! とりゃあああ!」

貴音「奥義、四条ファントム!」


ブォォオオン……


響「た、貴音が3人、いや、4人に見える……!」

32: 2013/01/22(火) 00:58:11.44
貴音「ふふふ、こちらですよ」

響「い、いつの間に後ろに!?」

貴音「捕まえました……」ガシィッ

響「あっ、は、はなしt……あ、離さなくても別にいいけど……」

貴音「ふふふ、このまま先ほどの月の現象について耳元でお話いたしましょう」

響「ふぁ……はい……」

響「ど、どきどきしちゃうから……な、なるべく早めで」

貴音「それほど長い話ではありませんよ。耳まで赤くしてどうしたのですか?」

33: 2013/01/22(火) 01:01:37.80
響「そ、そんなことないぞ!」

貴音「ふぅー」

響「ふひゃぁあっ!? だ、だめだぞ! そ、そんな風に息かけたりしたら!」

貴音「はむっ」

響「み、耳なんて甘咬みし、しても、じ、自分に、はなにも効果はないんだからねっ!」

貴音「ふふっ」

響「いじわるぅ……」

貴音「本日はわたくしの誕生日……」

34: 2013/01/22(火) 01:05:41.72
響「う、うん……知ってる……」

貴音「月と地球の周り回っていますが、月にも重さがありまして、
    地球を向いている側が重くなっていて地球の引力に引かれているのです」

貴音「だからいつも同じように見えるのですよ」

響「本当に説明してきた……」

貴音「わたくしが響を抱きしめているこの状態……」

貴音「まさに響が地球でわたくしが月のようですね」

響「……ご、ごめんそのたとえはあんまり……」

貴音「響の引力、いえ、魅力に惹かれてくっついているのですよ」

35: 2013/01/22(火) 01:09:14.46
響「自分が地球……ということはくるくる回らないといけないってことか!」

貴音「なんと! そのようですね」

響「ところで貴音」クルクル

貴音「なんでしょうか」クルクル

響「どうして自分は抱きしめられながら回ってるんだ?」クルクル

貴音「響がそれは地球の青のごとく美しく愛おしい存在だからです」クルクル

響「目が回ってきたぞ!」クルクル

貴音「あなたは地球なのです。そのようなことはありません。きっと錯覚です」クルクル

響「そっか! わかった!」クルクル

36: 2013/01/22(火) 01:11:41.24
響「でも貴音」ピタッ

貴音「はい」

響「自分は我那覇響だぞ?」

貴音「ええ、そうですね」

響「地球じゃないぞ?」

貴音「ええ、そうですね」

響「なんで今、自分は自分のこと地球だって思い込んでたんだ?」

貴音「面妖ですね」

響「面妖だね」

貴音「回りましょう響」

響「まかせてー!」クルクル

37: 2013/01/22(火) 01:16:25.15
貴音「響?」クルクル

響「なに?」クルクル

貴音「こうしてわたくしは響とともに過ごす時間が何よりも好きです」クルクル

貴音「愛しています」クルクル

響「じ、自分だって、貴音のこと大好きだぞ!?」クルクル

貴音「ええ、わたくしも愛しています」クルクル

響「じゃあチューはむぎぅッ!?」

貴音「んんっ」

響「ぷはっ……ず、ずるいぞ! そんなだまし討みたいなの!」

39: 2013/01/22(火) 01:19:48.86
貴音「本日はわたくしの誕生日です」

響「知ってる」

貴音「わたくしの誕生日に、自分をどうにでもしていいと言ったのは他ならぬ響です」

貴音「だからわたくしは今日はずっと響とくっついて響の髪の素晴らしい香りを嗅いで」

貴音「響「と楽しくお喋りします」

響「うん、いいよ? じゃあチューは?」

貴音「家に帰ればチューしかしません」

響「えへへ」

40: 2013/01/22(火) 01:23:35.28
律子「はいはい、そこの二人……いい加減にしなさいよね」

響「えへへ」

貴音「ふふふ」

律子「だめだ……聞いちゃいない……」

小鳥「は、早くなんとかしてください……鼻血でも倒れそうです!」

律子「ちょっといいかしらお二人さん?」

響「じゃあ今からお家帰ろうよ! 貴音ぇ!」

貴音「響は我慢ができないのですね」

41: 2013/01/22(火) 01:26:34.53
貴音「ええ、では帰るとしましょう」

響「待って、貴音、事務所を出る時のチューは!?」

貴音「はいはい」チュッ

響「えへへへ」

律子「待てってコラ」ガッシィ

響「うげっ!? な、なんだ律子か……誰かと思ったぞ」

律子「あんた達、誕生日だからって見逃してたけどこれから仕事でしょうが!」

貴音「お仕事も……仕方ありません。響が我慢できないのですから」

律子「だめに決まってんでしょうが!」

響「もしかして律子……」

響・貴音「おこ(ですか)?」

律子「シバかれたいんかい!」



END

42: 2013/01/22(火) 01:33:16.41
ラブラブ乙!

43: 2013/01/22(火) 01:35:09.96
乙ラブ!

引用元: 響「貴音が好きで好きで我慢できない!」