1: 2014/09/08(月) 00:26:19.28

今日も綺麗なお月さまです。


初めまして。ボク、犬って言います。

ご主人に飼われてもう・・・何年???

とにかく、ご主人と2人で暮らしています。



ん?誰かきました。


あぁいつものおじさんです。


毎日朝早くに出掛けて、夜遅くに帰ってくる人です。

今日はお酒飲んでるみたいですね。
 

おじさんは門の柵越しにボクに話し掛けます。


「お前は良いよなぁ、
 毎日寝転がってれば良いんだもんなぁ
 俺なんか、毎日、毎日仕事ばっかりだよ。」


そういうと門に寄り掛かって座り始めました。

おじさんの手が門の内側に少し入っています。

マメだらけでゴツゴツしてて、

決して綺麗とは言えない

いっぱい苦労している手。でも格好良い手。

ボクはその手をペロっと舐めてみました。


「おおぅ!くすぐったいな、お前(笑)
 なんだ、労って(ねぎらって)くれてんのか?
 ありがとうな。」


そう言うとボクの頭をクシャクシャっと撫でてくれました。

撫でてくれる手をボクも舐め返します。
 

「そうかそうか、頑張れってか?
 よっし!!!明日も頑張るか!じゃあなワン公」


そう言って背中越しにボクに手を振って歩いて行くおじさん。

おじさんの背中に向けてエールを込めて


「ワン!」


「ガララ」居間の窓の開く音が・・・
 
「夜なんだから静かにしてね。」


ご主人に怒られてしまいました(泣)


さて怒られたし、今日はそろそろ寝るとします。。。

2: 2014/09/08(月) 00:28:06.33


「ブルルン、ガチャ」



ん?もうこんな時間ですか?



新聞屋さんですね。おはようございます。

まだ薄暗い中、バイクのライトが明るく光ってます。



新聞屋さんのおじさんは小声で


「犬、おはよう。ホレ今日も持ってきたぞ」


そう言うとビーフジャーキーをくれます。

晩酌のおつまみの残りだそうです。



ボクも小声で


「わぅん。」


ありがとうございます、おいしいです。


「よしよし、良い子だ。今日も出迎え有難うな。

 じゃあ、また明日持って来るからな。」


毎朝ご苦労様です。運転気を付けて下さいね。


新聞屋さんを見送りましたので、小屋に戻ってひと眠りです。


3: 2014/09/08(月) 00:29:33.36

日が昇ってきました。今日も良い天気ですね。



高校生の女の子が走って行きます。

通り過ぎた・・・と思ったら戻ってきました。

門の前で足踏みをしながら、



「犬君、おはよ!今日も元気かい?」



元気なのはアナタです(笑)



毎朝遅刻しそうなのにボクに挨拶してくれる

元気な子です。


ボクも門の前まで行って、軽く


「わん。」


元気です。行ってらっしゃいの挨拶。



「うんそう(笑)行ってくるね。じゃあね(笑)」



ちらっと腕時計を見て



「やばいぃぃ、遅刻ぅぅ!」


また凄い速さで走って行きました。


でも不思議ですね、ボクは「わん」しか

言ってないのに。


人間にはボクの言葉は通じないはずなんですが。


まぁ毎日思うんですが、取り敢えずもうちょっと

早起きしたらどうかと思うのです。。。

5: 2014/09/08(月) 00:34:43.79

おっ猫さん。

毎日女の子が走って行った後に現れる彼です。


「おはようございます。」


塀の上の彼に話掛けます。

ツイっとコッチを向いて


「おはよう。今日も良い天気だな。」


毎日話し相手になってくれます。

門柱の上に座ってこっちを向いている猫さん。


後ろの太陽の光に照らされてグレーの

毛色が綺麗に輝いています。


「喉渇いたな。その水貰って良いか?」


「どうぞどうぞ、飲んで下さい。」


「じゃ、ありがたく。」


ストッと飛び降りボクの水桶の水に口を付けてます。


良く犬と猫は仲が悪いと誤解されがちですけど

そんな事も無いんです。


猫さんは水を飲むと毛繕いをしながら

話し掛けてきました。


「どうだい、最近ご主人の調子は?」


実はボクのご主人、足が悪いんです。

だからボクも何年も散歩に行ってません。

ボクに見えるのは門の間からと塀の上の空だけなんです。。。


猫さんはいつもそんなボクとご主人の事を気遣ってくれます。


「最近暖かくなってきて良いみたいですよ。
 庭に出るのも増えたし、良かったです。」


「そうか、それは良かったな。君のご主人には
 たまに食べ物を貰うからな。よろしく言っておいてくれ」


・・・ボク犬ですから…。よろしく言えません…。


「じゃあ、水ご馳走様。またな!」


そう言うとヒラリと塀の上に上がり向こうに歩いて行きました。


猫さんは自由で格好良いです。ボクの憧れです。

7: 2014/09/08(月) 01:55:02.00

猫さんが通り過ぎた後は暫く誰もきません


今日は小春日和で気持ちよいので、

日向ぼっこでもしようかと思います。


玄関前のコンクリートの部分が最適なんです。


下はちょっとヒヤッとするけど、お日様の日差しで

上はポカポカ。


暖かくて気持ちよくて天国です。


暫く寝転がってウトウトしてしまいました。


ん?ヒクヒク。誰の匂いかな?

この匂いでこの時間だと…。

クッキーちゃんですね。朝の散歩の時間です。



「おはよう。」



門に近づいて挨拶します。白い毛並みが

今日も綺麗です。


やっぱ可愛いなぁ。



「おはよう、犬君。今日は何してるの?」



毎日こう聞かれるのですが、

いつも困ってしまいます。


だって、ボクは一日中ここでこうしているので…。



「今日は天気が良いから、日向ぼっこです。」


「あら、良いわね。気持ち良さそう。

 わたしは帰ったら家の中だから中々できないもの。
 羨ましいわ。」


8: 2014/09/08(月) 01:55:57.31

羨ましいですか。感じ方は犬それぞれですね。

ご主人が元気がだったらボクも散歩に行きたいです。


「そうですね。でもお散歩も良いですね。
 気持ち良さそうです。」


「あら、そんな事ないわよ。
 わたし元々歩くのそんなに好きじゃ無いし…。

 ご主人様がダイエットで歩くのにわたしも
 付き合ってるのよ。」


・・・大変ですね。



「ほら、クッキー行くわよ。」


クッキーちゃんのご主人がリードを引っ張ります。


「もぅ、そんなに引っ張らないでよ。
 またね、犬君」


「はい、お気をつけて」


行ってしまいました…

あぁ、後ろ姿も可愛いです。。。

11: 2014/09/08(月) 12:55:50.36

「ガララ」玄関の扉が開きます。

朝ご飯の時間ですね。

いつもとっても優しいボクのご主人です。


猫さんとも言ってましたが、
足が少し悪くて辛そうです。


今日も腰の辺りに手を当ててます。
早く良くなって貰いたいです。


「はい、犬。ご飯だよ。
 お座り。」


はい、ご主人。座りマス!


「お手」


はい、右手ですよね。よいしょっと。


「おかわり」


今度は左手ですよね。毎日やってますから。


「おあずけ」


・・・これがいつもながら辛いです。

ついヨダレが出ちゃいます。。。
でも我慢です。


「はい、食べて良し。今日も良い子ね」


ありがとうございます。いただきます。

おっ今日はドッグフードですか。
半生なこの食感がまたなんとも。。。

ふぅ、おいしかった。ご馳走様でした。


「うん、美味しかったかい?今日も良い天気だね。
 こんな日にもお散歩連れて行けなくてごめんねぇ」


ご主人、そんな事言わないで下さい。
ご主人が大変だったらボク我慢しますから。


ボクに朝ご飯をくれると縁側で座って

佇むのがご主人の日課です。


ボクは縄の届く限りご主人に近づき、
寄り添ってお付き合いします。


少しのんびりとした時間が過ぎご主人は
家の中にいってしまいました。


ちょっと寂しいです。。。

12: 2014/09/08(月) 12:57:09.48
>>9 >>10
お付き合いありがとございます。

13: 2014/09/08(月) 13:09:29.42

また日向ぼっこ再開です。

ふう、本当に今日は良い天気です。


・・・・・・・・・くぅ。


あら?寝てしまったみたいですね。
もう日差しが随分高いです。


ん?クンクン。

この匂いは・・・。


「いぃぬぅさんー(笑)きゃきゃ(笑)」


兄君です!遊びに来てくれたんですね。

ご主人がとっても喜びます。。。


「ほら兄、そんなに走らな・・あっ。
 ほら転んだぁ。だめでしょ」


後ろからママさんが歩いてきました。

腕には弟君が抱っこされてます。

寝てるみたいですね。。。


兄君と弟君とママさんが来ると
ご主人がとっても喜ぶんです。
ボクも嬉しくなります。


あっ!目の前で兄君が転んでるんでした。


「ふえぇぇ。」


あぁ兄君、泣かないで。

ほら、ボクに乗っていいから。よいしょっと。

起き上がった兄君の足の間に頭を入れ、
背中に乗れる様に伏せてみます。


「あら犬ったら。遊んでくれるの?ありがとう」


いえいえ、どういたしまして。

…うっ重い。兄君も大きくなったなぁ。。。


「キャッキャ(笑)」


良かった。泣き止んでくれました。

さて玄関まで兄君を連れて行きますか。


14: 2014/09/08(月) 13:12:12.29

「ワンワン」


ご主人!遊びに来てくれましたよ。

出てきて下さーい。

あ、ご主人が出てきました。



「あら、ママ。来てたの?
 良いわねぇ兄君。犬と遊んでるの?」


うんうん、良かったご主人の顔がとっても明るい。


…に…しても…兄君。

耳を引っ張るのはやめてくれないでしょうか?



「ほら、あに、中入って。犬、ありがとうね。」


そう言うとボクの頭を撫でて家の中に
入っていきました。



さてと、まだ暖かいし日向ぼっこを続けましょう。

大分日も傾いてきましたね。。。


「ガラガラ」


暫くして玄関の扉が開きます。

もう帰るみたいですね。



「うん、母さん。また近いうちに遊びにくるから
 うんうん、分かったわよ。
 出なくていいから。座ってて。」


「兄君、弟君。また遊びに来てね。」


「ほら兄、ご挨拶は?」


「ばあば、ばいばーい」


「犬、母さんを頼んだわよ。」


ボクの頭と顎の下を撫でてくれました。
気持ちいいです。


「わん。」


了解しました!お任せ下さい!


手を振り3人が帰って行きます。


ご主人が寂しそうです。。。

また遊びにきて下さいね。

15: 2014/09/09(火) 00:30:58.94


3人を見送ったご主人が縁側に座ってます。

ちょっと疲れたみたいですね。



じゃあ、ボクもお供します。

またご主人にできるだけ寄り添って

お付き合いします。



しばらく夕日を見ながらボーっと佇みます。

ううーん、今日は良い日でした。



「ドサッ」



あれ?どうしました?ご主人??

ご主人?ご主人?起きて下さい。

こんな所で寝てたら風邪引いちゃいますよ。



「い・・ぬ・・・」



ご主人が苦しそうです。何とかしないと。

そうだ、隣のうちの主婦Cさんを呼ぼう!

早く行かないと・・・。



「キャン!」



走り出そうとしたボクを縄が・・・。


早く行かないとなんだ、邪魔するな!

ボクは縄をかじり必氏に切ろうと頑張りました。

硬いです、でもご主人の為に頑張らないと!



あと少し、あと少し。…切れた!!!


あぁ、でも門が開けられない・・・。どうしよう。

これじゃ外に出られない。

16: 2014/09/09(火) 05:03:14.84


「よう、どうした?」


門柱の上から声が聞こえます。


「猫さん!!」


ボクは必氏にご主人の事を伝えます。


「ご主人が倒れて、誰か、誰か呼ばないと」


「あっホントだ、ちょっと待ってろ!」


そう言うと猫さんはヒラっと門の内側に飛び降り、

門に掛かっている掛け金に向かってジャンプ!

ああ、失敗。頑張って下さい。


2回目、ジャンプ!やった、掛け金が外れた!


「さあ、早くヤツラを呼ぶんだ!」


「ありがとうございます!行ってきます!」


門を身体で押しのけて外に飛び出しました。

全力で隣の主婦Cさんの家に走ります。



玄関の前で


「ワンワンワン!」


吠えてみますが、誰も出てきません。

お出かけ中・・・か。どうしよう。


主婦Cさんの家の門から飛び出し、逆隣の主婦Aさんの家に向かってみます。


19: 2014/09/09(火) 16:16:31.70


門から飛び出すと誰かの姿が見えました。


あっいつもの朝の女の子だ!


「あれ?犬君。どうしたの外に出て?」


大変なんです、ご主人が…ご主人が。


失礼とは思いましたがスカートの裾を咥えて

うちの門の中に引っ張ろうとしました。



「ちょっと、やめて犬君。どうしたの君がそんなになるって?」



大変なんです、来て下さい。あぁこんな時に人間の言葉が話せれば…。



「ワン!ワン!」



やっぱり通じませんか…。

お願いです来て下さい(泣)



「ん?何かあったの?コッチにこいって事?」



そうです!通じました!コッチです。

ご主人を助けて下さい!



女の子を引き連れて家の中に駆け込みます。

ご主人はまだ庭に倒れてます。


しっかり!ご主人!



「あっ飼い主さん!大丈夫ですか?

 救急車呼びますね、ちょっと待って下さい」



そう言うとバックの中から携帯電話を取り出し、

電話してくれました。



「はい、はい、そうです本町通りの

 飼い主さんの家です。

 急いで下さい、お願いします。」



電話をすると、女の子はご主人の脇で

ずっと声を掛けてくれてます。

20: 2014/09/09(火) 16:18:41.10

ボクはその横で見ているしかありません。

何もできない自分が情けないです。



「ワン!ワン!」



ご主人、頑張って!もうすぐ助けが来るから。



「犬・・が女ちゃん・・・を呼んで

 きて・・くれたの? ありがとう・・・」



良いんです、そんな事言わなくても、

無理しないで下さい。


猫さんもずっと心配そうにこっちを見ています。


ピクっと何かの音に気が付いて猫さんが

向こうの方を向きます。



「おい!くるまが来たぞ!もう少しだ!」



猫さんが叫んで教えてくれてます。


ご主人、もうちょっとです。頑張って下さい。


ボクの耳にもサイレンの音が聞こえてきました。

いつもはこの音を聞くとつい遠吠えして

しまいますが、


今はそんな事してる場合じゃないです。


家の前にくるまが着きました。


「通報はこちらですか?患者さんは…

 そちらの方ですね?もう大丈夫ですよ」


そう言うとご主人を担架に乗せてくるまの中に

連れて行きました。


女の子も付き添って一緒に乗って行きました。


「アオーン!」


ご主人をお願いします!助けて下さい!

走り去るくるまに向かって遠吠えしていました。

23: 2014/09/09(火) 22:22:22.89


猫さんが降りてきてボクを勇気づけてくれます。


「きっと大丈夫だ。あとはヤツラに任せよう。」


そう言うと一緒に居てくれました。


不安でいっぱいのボクには猫さんの優しさが

嬉しかったです。


辺りが暗くなった頃、女の子が戻ってきました。


「犬君、頑張ったね。飼い主さん、
 
 もう大丈夫だって」



そうですか、良かった(泣)


ありがとうございます、ありがとうございます、

ありがとうございます。。。


「良かったな。ふぅ安心したよ」


「猫さんもありがとうございました。
 
 お陰でご主人が助かりました。」


「よせよ照れるだろ(笑)

 そんな大した事してないよ」


フっと笑う猫さん。やっぱり格好良いです。

24: 2014/09/09(火) 22:24:35.49

女の子は目の前にしゃがみ込んで

ボクの頭を優しく撫で続けてくれました。


「クゥン。。。」


女の子と猫さんの優しさで泣きそうです。



女の子はボクの頭を撫でながら横にいる猫さんを

見つけ話し掛けました。



「あれ?チビ?こんな所に居たの?

 犬君と友達なんだ(笑)ほら帰るよ。

 今日こそシャンプーの日なんだからね!」



猫さんがビクっして女の子の方を振り向きます。

知りませんでした。彼女は猫さんの

ご主人だったようです(笑)



「え゛・・・いや、まて女、

 何回嫌だって言えば… 犬、じゃあまたな!」


「あっコラ、逃げるな!待て?チビぃ。」



お二人とも、ありがとう。…ってもう見えないです。

やっぱり、足が速いですね・・・。



ん?モゴモゴ。プッ。

あ・・・歯が…。さっき縄を切った時かな?

まぁ良いです。ご主人の為です。


ふぅ。今日は色々あって疲れました。

もう寝ます。

28: 2014/09/10(水) 00:36:34.51

「ブルルン、ガチャ。
 おはよう、犬。今日も出迎えご苦労。」


新聞屋さんです。ご苦労様です。


「おはよう、ワン公!
 さて、今日も行ってくらぁ」


おじさんです。元気そうです。


「おはよ、犬くん。昨日はお手柄だったね(笑)
 ん?んあぁぁ遅刻ぅぅぅ」


女さんです。昨日はありがとうございました。


「よう、おはよう。
 ったく、昨日は酷い目にあったよ」


猫さんです。結局シャンプーされたちゃったみたいですね(笑)


「おはよう、犬君。あれ?その歯どうしたの?」


クッキーちゃんです。この歯ですか?

ボクの名誉の勲章です!



あっご主人がママさんとくるまに乗って
帰ってきました。


「犬、ありがとね、ありがとね。
 心配掛けたねぇ」


走ってこっちに来てボクの事を抱きかかえてくれます。

あぁ足が痛いんですから無理しないで下さい。


でもご主人に抱かれて温かいです。幸せです。



…あと、お腹空きました。。。



これからもずっと、ボクはご主人を守るんです。


ちょっと、歯の間から風が入って
スースーしますが…。


ボクはこれからもこの目の前の、
門の間の景色と空を見て、
ご主人と一緒に過ごしていきます。


この見える景色がボクの世界で十分です。



くぁ。今日も平和ですね。。Zzzz



ー 完 ー

29: 2014/09/10(水) 00:45:02.03
>>1、犬
おつかれさまでした。
素敵な時間をありがとう!

30: 2014/09/10(水) 01:57:42.36

動物を大切にしよう

引用元: 犬「くぁ。今日も平和ですね」