1: 2011/04/01(金) 16:34:18.74
          ○ 軽音部部室 ○

純「そろそろ帰ろっか」

憂「うん、そうだね」

純「それにしても、憂って上達早いなぁ」

憂「オルガンは小さい頃にやってたからだよ」

純「はぁ……あたしも上手くなりたい」

憂「純ちゃん上手だよ?」

純「澪先輩くらいになりたいのぉ~」

憂「じゃぁ、次の練習はもっともっと頑張ろ♪」

純「新歓ライブまであまり時間ないしね」

憂「量よりも密度で勝負だよ」

純「乗りかかった船だし、憂や梓と一緒に練習するのも楽しいし……頑張るかぁ」

憂「ジャズ研の方は大丈夫?」

純「うん、問題なし」

2: 2011/04/01(金) 16:35:23.97
憂「そっか♪ ……そういえば梓ちゃん、やっぱり今日は来れなかったね」

純「まぁ、卒業前の先輩達との貴重な時間だし……仕方ないんじゃない?」

憂「うん。そうだね」

純「それに……憂と二人っきりで練習っていうのも、普段と雰囲気違って良いものだし」

憂「……そ、そうだね。二人っきりっていうのも……良いよね」

純「ん? どしたの? 憂」

憂「な、なんでもないよ」

純「そ?」

憂「うんっ」

純「ま、いいか……んじゃ、帰ろー」

憂「はぁい」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

3: 2011/04/01(金) 16:36:02.77
          ○ 下駄箱 ○

≪ザーッ≫

純「…………」

憂「…………」

≪ザーッ≫

純「うそぉ~ん……」

憂「急に降ってきたね」

純「天気予報じゃ何も言ってなかったのにーっ」

憂「確かに曇り空だったけど、まさかこんなに急に来るとは思ってなかったよ」

純「一応聞くけど……憂、傘持ってきた?」

憂「うぅん、持ってきてないよ」

純「はぁ……どうせなら家に着いてから降ってくれればいいのに」

憂「どうしようか? 止むまで待つ?」

4: 2011/04/01(金) 16:37:11.80
純「でも止みそうもないよ?」

≪ザーッ≫

憂「……みたいだね」

純「しょうがない……職員室行って、忘れ物の傘とかないか聞いてくるよ」

憂「わたしも行くよ」

純「んじゃ、一緒に行こっか」

憂「うん♪」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

5: 2011/04/01(金) 16:38:08.37
          ○ 職員室 ○

≪ガラガラ~≫

純「失礼しまぁす」

憂「失礼します」

さわ子「あら? 二人とも……部室に忘れ物でもしたの?」

憂「いえ、そうじゃないんです」

純「山中先生、忘れ物の傘とか余ってませんか?」

さわ子「なるほど、この雨ね。確かあったと思うから取ってくるわ」

純憂「ありがとうございます」

さわ子「じゃ、ちょっと待っててね」

≪てくてくてく≫

純「あるみたいだね」

憂「よかったね~」

6: 2011/04/01(金) 16:39:06.43
純「うんうん……あ、それにしてもさ」

憂「ん?」

純「山中先生って、カッコいいよねぇ」

憂「…………」

純「綺麗で優しいっていうのもあるんだけど、なぁんとなく『カッコいい!』って思っちゃうんだよね」

憂「そう……だね」

純「あ、憂もそう思ってた?」

憂「えっとぉ……うん」

純「何でだろうね? やっぱり大人の女ってあーいう人のこと言うのかなぁ」

憂「…………」

純「きっとモテるんだろうなぁ……いや、やっぱり仕事第一って感じなのかな」

憂「…………」

純「澪先輩も良いけど、山中先生みたいにもなりたいよね~♪」

憂「それはどうかと……」

7: 2011/04/01(金) 16:39:46.82
純「ん? 何か言った?」

憂「な、なんでもないよっ」

純「んぅ?」

≪てくてくてく≫

さわ子「お待たせ。あったわよ」

純憂「ありがとうございます」

さわ子「でもね……一本しか無かったのよ」

純「ぉおぅ」

憂「何とかなる……かな?」

純「ま、平気でしょ」

さわ子「大丈夫そう?」

純「はい、何とかします」

憂「それじゃぁ、お借りしていきます」

8: 2011/04/01(金) 16:40:29.66
さわ子「あまり長くならないのなら、いつ返しにきてもいいわよ」

憂「はい」

純「それじゃ、失礼しまぁす」

憂「失礼します」

≪ガラガラ~ ピシャンッ≫

さわ子「……良い子達ね~」

さわ子「唯ちゃん達なら『さわちゃん車出してよっ』とか言ってきそうだもの」

さわ子「…………」

さわ子「違うわ。あの二人が普通で、唯ちゃん達がズレてるのよ」

さわ子「ふっ……私も毒されたわね……」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

9: 2011/04/01(金) 16:41:24.01
          ○ 下駄箱 ○

純「んじゃ、オープンッ」

≪バサッ≫

純「ではでは……そこの可愛らしいお嬢さん、どうぞこちらへ」

憂「ふぇっ!?」

純「傘が一本しかないんだから、一緒に入るしかないでしょ?」

憂「え? あ、うん……そ、そだね……」

純「女の子二人ならこの傘でも十分いけるでしょ」

憂「でも……さすがに濡れちゃわないかな?」

純「こんだけ降ってるんだもん、どうやったって濡れちゃうって」

≪ザーッ≫

憂「……そうだね」

純「というわけで、ささっ 早く入った入った」

憂「はぁい」

10: 2011/04/01(金) 16:42:25.45
≪ぱしゃぱしゃ ザーッ≫

純「それにしても凄い雨だ」

憂「季節外れだよね……あ、ベース大丈夫?」

純「うん、なんとか」

憂「気をつけてね? わたしは少しくらい濡れても大丈夫だから」

純「何言ってんの。いくらなんでも憂の方が大事に決まってるでしょ?」

憂「…………」

純「さすがに、楽器と大事な親友を天秤にかけたりしないってば」

憂「え、えっとぉ……その……あ、ありがと……」

純「いえいえ、どーいたしましてー」

憂「えへへ♪」

純「まぁ、梓だったら濡れちゃってもいいけどね」

憂「え?」

純「…………」

憂「…………」

11: 2011/04/01(金) 16:43:42.00
純「冗談だよ?」

憂「う、うんっ わわ分かってるよっ!?」

純「ホントに? 一瞬信じなかった?」

憂「信じてない信じてないっ」

純「ホントかなぁ~」

憂「本当だよっ」

純「ぅわっと! こらこら、暴れないの。分かってるってば」

憂「ご、ごめん」

純「あ、そだ。憂……もっとこっち寄って」

≪ぐいっ≫

憂「わっ」

純「っていうか、腕組んで行こう。じゃないと、傘に入りきらない」

憂「あ、ああ歩きづらくないかな?」

純「ちょっと窮屈かもしれないけど、雨に濡れるよりは良いでしょ?」

憂「う、うん」

12: 2011/04/01(金) 16:44:30.95
純「放課後デートみたいで楽しいしね。相合傘だし♪」

憂「でっ!?」

純「……で?」

憂「なな何でもっ……ない……です……」

純「んん? 変な憂だなぁ」

憂「うぅ……」

純「とにかく、ささーっと帰ろう~」

憂「お……おぉ~」

純「♪~」

憂「……ふぅ」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

13: 2011/04/01(金) 16:45:50.16
          ○ 帰り道 ○

≪ぱしゃぱしゃ ザーッ≫

純「……でね? 梓とメールし合ってたら、気がついたら3時頃になっててさ~」

憂「あははっ でも夜更かしは身体に悪いよ?」

純「あと美容にもねっ」

憂「うんうん……って、バス停通り過ぎちゃったけど……純ちゃん?」

純「あぁ、このまま憂を家まで送るよ」

憂「えぇ!? さすがにそれは悪いよっ」

純「いいのいいの♪ 憂を送った後、ちょっと寄りたいお店あるしね」

憂「じゃぁ……先にそっち行っちゃおうよ」

純「何か買いたい物あった?」

憂「わたしは無いけど……付き合うよ」

純「はいはい、スルースル~♪」

14: 2011/04/01(金) 16:46:40.36
憂「わたしなら平気だよ?」

純「ふんふふ~ん♪」

憂「ねぇ、純ちゃん……」

純「それにね……先に憂の家に行かないといけない理由があるんだよ」

憂「そうなの?」

純「うんうん」

憂「それってどんな理由?」

純「それは秘密です」

憂「嘘だよね? 付き合わせちゃ悪いって思って、気を使ってるんでしょ?」

純「ブブーッ 外れでーす」

憂「じゃぁ、理由を教えて?」

純「どうしても知りたい?」

憂「うん」

純「ふぅ……しょうがないなぁ。そこまで聞くなら教えてあげよう」

15: 2011/04/01(金) 16:47:50.05
憂「…………」

純「それはねぇ……」

憂「う、うん」

純「なんとっ」

憂「…………」

純「…………」

≪ぱしゃぱしゃ ザーッ≫

憂「……なんと?」

純「お喋りしてる間に商店街を通り過ぎてしまったから……でした~♪」

憂「あ」

純「今から戻るのも手間だし、このまま平沢家にGO~ってことで」

憂「もう~」

純「えへへっ ゴメンね?」

憂「謝るくらいならこんなやり方して欲しくないよ」

16: 2011/04/01(金) 16:48:40.56
純「怒った?」

憂「……ちょっとだけ」

純「今度、美味しいドーナッツ奢るから許してよ~」

憂「送ってもらって、その上お菓子まで奢ってもらったんじゃ……わたしの方が困るよ」

純「んじゃ、今度奢って?」

憂「それくらいなら全然構わないけど……」

純「あ、でも……奢ってもらうより作ってもらった方が嬉しいかも」

憂「作ったのでいいの? だったら喜んで作るよ♪」

純「へ? 冗談だったんだけど……作れるの? ドーナッツ」

憂「うん、出来るよ?」

純「おぉ~……すご~いっ」

憂「結構簡単だよ?」

純「……じぃ~」

憂「?」

17: 2011/04/01(金) 16:49:30.22
純「憂……いや、平沢憂さん」

憂「な、なに?」

純「結婚してください」

憂「……えぇーっ!?」

純「…………」

憂「なっ!? え? あの、そのっ……冗談だよね?」

純「うん」

憂「……ぁぅ」

純「いや~、可愛い反応だ♪」

憂「も、もぅ~っ」

純「あはははっ」

憂「純ちゃんなんて知らないっ」

≪ぷいっ≫

純「そーやってほっぺた膨らませてる憂も可愛いなぁ~」

18: 2011/04/01(金) 16:50:21.80
憂「…………」

純「眉寄せて『わたしは怒ってるんだよ?』って顔してる憂も可愛いなぁ~♪」

憂「…………」

純「あ~……えっと……ぴょこぴょこ揺れてるポニーテイルも可愛いなぁ~」

憂「…………」

≪もそもそ ほどきっ≫

純「そーやって反応するところは普通に可愛いよね」

憂「う」

純「どっちにしろ商店街は過ぎちゃったんだし……機嫌直して?」

憂「…………」

純「お願いっ」

憂「はぁ……純ちゃんには敵わないよ」

純「よしっ 勝った♪」

憂「でも、帰りは気をつけてね?」

純「それはもちろん」

19: 2011/04/01(金) 16:51:26.58
憂「こんなに暗くなっちゃったし……雨も降ってるし……犯罪者とか変質者とか怖いし」

純「暗いのは怖いけど……雨が降ってれば、悪い人達もちょっとは大人しくなるんじゃない?」

憂「それは関係ないと思うけど」

純「でも、放火魔とかは大人しくなるよね」

憂「…………」

純「でしょ?」

憂「それは……そう……かも……」

純「そー考えると雨も良いモノだよねぇ♪」

憂「そういう事を言ってるんじゃなくてっ」

純「ゴメンゴメン、分かってるって。心配してくれてありがと」

憂「もう~」

純「憂って時々からかいたくなるんだよね。梓と違って」

憂「梓ちゃんの事はいつもからかってるもんね」

純「だって梓ってリアクション良いんだもん。あれはからかいたくなるよ」

20: 2011/04/01(金) 16:52:29.97
憂「ふふっ でもやり過ぎちゃ駄目だよ?」

純「その辺は大丈夫だと思う」

憂「うん、横で見てると二人とも楽しそうだし」

純「梓って可愛いよねぇ。真面目だし、ちっこいし」

憂「うんうん♪」

純「あ、もちろん憂も可愛いよ?」

憂「純ちゃんもね♪」

純「あたしは可愛いよりカッコいいがいいなぁ」

憂「じゃぁ……純ちゃんはカッコいいよ♪」

純「『じゃぁ』って何よ『じゃぁ』って」

憂「さぁ?」

純「むぅ」

憂「えへへっ さっきからかったお返しだよ♪」

21: 2011/04/01(金) 16:53:23.33
純「憂もやるようになったじゃない」

憂「わたしだって成長してるんだよ♪」

純「ふむ……確かに成長している」

憂「うんうん♪」

純「じぃ~」

憂「?」

純「じぃ~~っ」

憂「……っ! じゅ、純ちゃんどこ見てるのっ!?」

純「主に胸周り? いやぁ、成長著しいなぁ……と」

憂「も、もう~っ!」

純「あとお腹周りも」

憂「えっ! 嘘っ!? 何で分かったのっ!?」

純「…………」

憂「…………」

純「憂? 普通に考えて、コートの上からそこまで分からないと思うよ?」

22: 2011/04/01(金) 16:54:31.45
憂「……だよね」

純「聞かなかったことにしてあげる」

憂「あ、ありがと……」

純「ちょっとは運動とかしないと駄目だよ?」

憂「結構動いてるつもりなんだけどなぁ」

純「食べ過ぎとか?」

憂「そんなことない……はず……だと思う……かも」

純「ふむ……心当たりがある、と」

憂「う……ん」

純「どんな理由?」

憂「えっとね……わたしがよくお姉ちゃんにご飯作ってあげてるの、知ってるよね?」

純「うん」

憂「でね? お姉ちゃんって凄く美味しそうにご飯食べるんだよ」

純「うんうん」

23: 2011/04/01(金) 16:56:01.57
憂「それを見てると何だか楽しくなってきて……一緒になってつい……」

純「あ~……分かる分かる。美味しそうに食べる人と一緒だと、食が進むってあるよねぇ」

憂「だよねっ」

純「ということは、唯先輩も……」

憂「あ、お姉ちゃんいくら食べても太らないから」

純「なにそれズルイッ!」

憂「凄いよね~♪」

純「いや、凄いっていうか……反則でしょ、それ」

憂「えへへ~♪」

純「あたしにもその体質があれば甘いものをもっと……いや、お小遣い的に厳しいか……」

憂「でもさ?」

純「うん?」

憂「実は純ちゃんも成長著しいよね」

純「へ?」

24: 2011/04/01(金) 16:56:53.47
憂「じぃ~」

純「ちょっ! どこ見てるのよ!」

憂「主に胸周り?」

純「や、やだ……見るなー!」

憂「自分が見られるのは恥ずかしいんだ……」

純「当たり前だよっ」

憂「……ふふっ♪」

純「な、何よ……」

憂「じぃ~♪」

純「あ、こらっ やだってばぁっ」

憂「じぃ~~♪」

純「この~っ」

憂「えへへ~♪」

純「じゃぁ、あたしも見てやるっ」

憂「わたしだってっ」

25: 2011/04/01(金) 16:58:17.61
純「じぃ~っ」

憂「じぃ~っ♪」

純「まじまじ」

憂「まじまじ~♪」

純「…………」

憂「…………」

純「……ぷっ あははは♪」

憂「ふふっ あはは♪」

純「何やってるんだろうね、あたし達」

憂「だね♪」

純「あはははっ」

憂「えへへ♪」

純「……っと、もうすぐ憂の家だね」

憂「あ、本当だ……」

26: 2011/04/01(金) 16:59:09.51
純「お喋りしてたらあっという間だったね」

憂「うん……もう着いちゃったんだね」

純「何でしょんぼりしてるのさ。こんな雨だもん……早く着いた方がいいでしょ?」

憂「う、うん」

純「とか言っても、体感で短く感じるだけだけどね」

憂「本当にあっという間」

純「んじゃ、さっさと平沢家に行きますか」

憂「うん……って、純ちゃん車っ」

純「え?」

≪ゴォ~ッ バシャーッ≫

純「とぅわぁっ!?」

憂「きゃぁっ!?」

27: 2011/04/01(金) 16:59:56.91
≪ゴォ~……≫

純「デンジャーッ!」

憂「純ちゃん大丈夫っ!?」

純「わっ! わぁっ!? これマズイッ! 染み込んで来たっ! 冷たい冷たいっ!」

憂「大変っ 早く家まで行こうっ!」

≪バシャバシャッ≫

純「ちょっ 走ったら憂まで濡れちゃうってっ!」

憂「そんなこと言ってる場合じゃないよっ!」

純「ぅわぁっ!? そんな引っ張らないでぇっ!」

憂「早く早くっ!」

純「うわーんっ コートが重いーっ! 中まで染み込んで来たーっ!?」

憂「頑張って純ちゃん!」

≪バシャバシャバシャバシャッ≫

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

28: 2011/04/01(金) 17:00:49.37
          ○ 平沢家 ○

憂「ただいまーっ! 純ちゃん早く早くっ」

純「待って待ってっ! 靴まで濡れてるからこのまま上がれないってばぁ」

憂「後で拭くからそんなのいいよっ!」

唯「憂、おかえり~……お? 純ちゃんも一緒?」

憂「姉ちゃんただいまっ」

純「お邪魔してますっ」

唯「ほいほい~……って、どうしたのそれ? この季節に水浴び?」

純「いやいや」

憂「すぐそこで純ちゃんが車に水かけられちゃったんだよっ お姉ちゃんタオル……じゃなくて、バスタオル持ってきてっ!」

唯「らじゃ~」

≪とてとてとて≫

29: 2011/04/01(金) 17:01:29.39
純「うぅ……さ、寒いぃ~」

憂「コートとマフラーは脱いじゃおう」

純「う、うん」

≪ぬぎぬぎ≫

憂「ベースは大丈夫?」

純「とっさに庇ったから多分……うん、平気そう」

憂「ふぅ」

純「まぁ、そのせいでびしょ濡れになったんだけど」

憂「もぅ、純ちゃんってば」

純「いや、だってさ? 高かったんだよ? ついつい庇っちゃうって」

憂「それはそうかもだけど……」

30: 2011/04/01(金) 17:02:08.85
唯「おまちどーさま~」

≪とてとてとて≫

憂「お姉ちゃんありがと……はい、純ちゃん」

純「さんきゅ……唯先輩、ありがとうございます」

唯「いえいえ~♪」

純「……ぅわ~、駄目だ。完全に中までしみ込んでる……くしゅんっ」

憂「このままじゃ風邪引いちゃうよ。とにかく上がって上がってっ」

純「待って待って、まず足拭いちゃうからっ」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

31: 2011/04/01(金) 17:02:49.15
          ○ リビング ○

憂「濡れたものは全部脱いでね。乾燥機に入れてくるから」

純「下着まで濡れちゃってるんだけど……」

憂「…………」

純「…………」

憂「じゃ、じゃぁ、下着も……」

純「……うん」

≪ぬぎぬぎ≫

憂「…………」

純「…………」

≪ぬぎぬぎ≫

憂「…………」

純「……あのさ」

憂「え?」

純「その……じっくり見られてると、さすがに恥ずかしいんだけど……」

32: 2011/04/01(金) 17:03:58.87
憂「ご、ごめんなさいっ」

≪くるっ≫

純「えと……こっちこそ迷惑かけてゴメン」

憂「い、いえ……お気になさらず……」

≪ぬぎぬぎ≫

純「…………」

憂「……終わったら言ってね?」

純「うん」

≪ぬぎぬぎ ガチャガチャッ≫

和「憂? 帰ったの?」

唯「着替えもって来たよ~」

憂「あ……」

純「え」

33: 2011/04/01(金) 17:05:00.18
和「…………」

唯「…………」

憂「…………」

純「…………」

和「……お尻」

唯「おっOい」

憂「…………」

純「……き」

和「き?」

唯「き……喜多方ラーメンっ」

純「っきゃあぁぁぁぁぁぁっ!!?」

憂「の、和ちゃんただいまっ お姉ちゃん着替えありがとっ! でも今は入ってきちゃ駄目っ!」

和「そ、そうみたいね。ごめんなさい」

唯「ほ~い……あ、ここに着替え置いていくね~」

≪ガチャガチャッ ばたばたっ≫

34: 2011/04/01(金) 17:05:55.47
純「ぅうーっ」

憂「だだだ大丈夫だよっ 女の子同士だしっ」

純「……見られた……ぐすっ……全部見られた……くしゅんっ」

憂「えっと……えっとぉ……わ、わたし、服を乾かしてくるね?」

純「ひっく……うん、ありがと」

憂「……あの……元気出してね?」

純「うん……くしゅんっ」

≪ガチャッ たたたたっ≫

憂「…………」

憂「…………」

憂「見ちゃった……全部見ちゃったよぉ……」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

35: 2011/04/01(金) 17:07:06.96
          ○ リビング(10分後) ○

憂「……はい、お茶だよ」

和「ありがと」

唯「ありがと~♪」

純「……ありがと」

憂「純ちゃん大丈夫?」

純「う、うん」

和「えっと……鈴木さん? こう言っては何だけど、運が悪かったと思って諦めなさい?」

純「……はい」

和「幸い、女の子だけだったんだし」

唯「それにさ? そんなに悲しむことは無いよ……むしろ胸を張るべきだとわたしは思うよっ! その立派な胸を♪」

純「…………」

憂「お、お姉ちゃんっ」

和「唯……トドメ刺してどうするのよ」

36: 2011/04/01(金) 17:07:51.50
唯「え~? だってさ? 大きさも形も良い感じだったと思うんだけどなぁ」

和「まぁ、お尻も小振りで可愛かったけど」

純「…………」

憂「二人ともっ」

和「ご、ごめんなさい。つい……」

唯「でもでも~」

憂「お姉ちゃん…………めっ!」

唯「ぅひぃっ!? ご、ごめんなさいっ」

純「憂、もういいよ。あたしも悪かったんだし」

和「まぁ、あんな状況なんて誰も予想出来ないだろうし、みんなが忘れるってことでこの話は終わりにしましょう」

憂「うん」

純「はい」

唯「わたしは覚えてるけどねっ ふんすっ!」

純「……ぐすん」

37: 2011/04/01(金) 17:08:39.54
和「唯~?」

憂「お姉ちゃん?」

唯「あぅっ……ご、ごめんなしゃい……」

憂「もう……あ、そういえば和ちゃんはうちで何してたの? こんな時間に珍しいよね?」

和「唯に料理を教えてたのよ。少しずつでいいから覚えたいって」

憂「そうだったんだ」

純「真鍋先輩も料理出来るんですか?」

和「まぁ、それなりに……だけどね。あぁ、私の事は名前でいいわよ」

純「じゃぁ、私のことも名前で……純で結構ですよ、和先輩」

和「えぇ、分かったわ。純」

純「はい」

唯「そーいえば……お鍋の火、そろそろ止めた方がいいかなぁ?」

和「もう少しね」

唯「そかー……じゃぁ、お茶でも飲んでまったりしようか」

憂「純ちゃんも身体、暖めた方がいいしね」

38: 2011/04/01(金) 17:09:25.03
純「うん……こくり……お茶が暖かぁい」

唯「んくんく……炬燵もあったか~」

憂「こくこく……お茶のおかわりいる?」

和「ずず~っ あ~……お茶が美味しい」

唯「…………」

憂「…………」

純「…………」

和「? どうしたの? みんな」

純「な、なんでもありません」

憂「うん、なんでもないよ」

和「そう?」

唯「……和ちゃん」

和「何?」

唯「今の……仕草がおばさんっぽかったよ?」

和「え?」

39: 2011/04/01(金) 17:10:06.22
憂「…………」

純「…………」

和「そ、そんなこと無いわよ。普通よ」

唯「え~? そんなことないことないよ~。ねぇ、憂も純ちゃんもそう思うよね?」

憂「え、えっと……わたしは普通だと思うよ? ね? 純ちゃん」

純「え? あ、うん。私も特に問題はないと思います……よ?」

和「…………」

唯「嘘だ~? 二人とも『今の仕草はおばさんっぽい』って顔してたもん~」

憂「そ、そこまで思ってないよっ」

純「ですですっ」

和「そ。二人とも私の事をおばさんっぽいって思ったのね」

憂「ぅ……え、えっと……」

純「いえ……その……」

40: 2011/04/01(金) 17:11:14.25
和「いいのよ。たまに言われるしね」

唯「だよね~♪」

憂「お姉ちゃんっ」

純「ゆ、唯先輩っ」

和「構わないわよ? えぇ、そうね。真鍋和はおばさんっぽい……これでいい?」

唯「和ちゃん……ちょっと怖い……」

和「何よ……唯と同い年なのに……何で私だけ……ぶつぶつ……」

純「ぇ……えっと……あ、そうだっ 唯先輩、和先輩っ お鍋の火、見なくていいんですか?」

憂「そ、そうだよっ 吹き零れてたら大変だよっ 見てこないとっ!」

唯「そだね~♪ じゃぁ、ちょっと見てくるよ」

和「そうやって追い出そうとして……分かったわよ、行けばいいんでしょ? まったく……どっこい、しょっと」

唯「…………」

憂「…………」

純「…………」

和「…………」

41: 2011/04/01(金) 17:12:30.19
≪のそのそ≫

唯「和ちゃん? やり直そうとしても駄目だよ?」

和「違うのよっ! 今のは……そうっ たまたまっ! 偶然声が出ちゃったのよっ!」

唯「あ、わたしキッチンに行ってるね?」

≪とてとて≫

和「ちょっと待ちなさい、唯っ! あ、二人とも……今のはたまたまよ? いつもあんな声出してるわけじゃないからね?」

純「は、はい」

憂「だ、大丈夫だよ。分かってるからっ」

和「本当よ? 本当だからねっ? あぁ、もうっ! 唯っ 待ちなさいっ!」

唯「そんなこといいからお鍋見ようよ~」

和「そんなことって何よっ!? あ、こらっ まだ話は終わってないわよっ」

≪ばたばたっ ガチャッ バタンッ≫

純憂「…………」

純「……ぷっ ふふっ あはははっ♪」

憂「ふふっ あははっ♪」

42: 2011/04/01(金) 17:13:17.50
純「あの二人、仲良いんだね」

憂「うん。幼馴染だしね♪」

純「ということは、憂とも幼馴染ってことか」

憂「うん」

純「なんかそれって羨ましいかも」

憂「羨ましい? 純ちゃんも幼馴染が欲しかったの?」

純「そうじゃなくて……幼馴染ってことは、憂と昔から一緒だったわけでしょ?」

憂「うん」

純「憂のこと色々知ってて羨ましいなぁ……ってね」

憂「え、えっと……それってどういう……」

純「ほら、憂とは中学から数えて……結構長い間、友達やってるでしょ?」

憂「だね」

純「でもさー? そんな自分よりも沢山? 深く? 憂の事を知ってる人がいるっていうのが、羨ましくてね」

憂「…………」

純「ま、ただの我侭だけどさ♪」

43: 2011/04/01(金) 17:14:22.62
憂「…………」

純「……どしたの? 憂」

憂「えと……その……」

純「ん?」

憂「あ、あの……ね?」

純「うん」

憂「……じゅ、純ちゃんが知りたいならっ! なな何でも答えるよっ! わたしっ!」

純「ぅわっ!? びっくりしたぁ……どうしたの? 急に」

憂「だってだってっ わたしのこと知ってもらえば、純ちゃんともっと仲良くなれるかなって思うしっ!」

純「ちょっ! 憂? お、落ち着け~?」

憂「それに、そのっ! わ、わわわたしの事をもっと知って欲しいって……思うし……純ちゃん……に……」

純「テンション上がったり下がったり、忙しいね。憂」

憂「うぅ……」

純「何か今日は様子が変じゃない?」

憂「そんなことは……ないよ」

44: 2011/04/01(金) 17:15:04.87
純「ならいいけど……」

憂「うん」

純「ん~……それにしても、憂のことで知りたいことかぁ」

憂「うんうんっ」

純「そーやって改めて言われると、何を聞くか困るなぁ」

憂「な、何でもいいよ?」

純「む~……う~ん……ぬぬぅ~~……」

憂「…………」

純「あ、そうだっ あるある、聞きたいこと」

憂「どんなことっ!?」

純「スリーサイズ教えて?」

憂「それは駄目っ!」

純「じゃぁ、体重」

憂「もっと駄目っ!!」

純「えぇ~」

45: 2011/04/01(金) 17:15:53.65
憂「だってそれはっ……その……いくらなんでも言いづらいよぉ」

純「何でも教えてくれるって言ったのに~」

憂「ご、ごめん……」

純「まぁ、冗談だったからいいけどね」

憂「うぅ……純ちゃんのイジワル~」

純「えっへへ~♪」

憂「あ、そうだっ……純ちゃんも教えてくれたら、わたしも言うよ?」

純「いやぁ~、それは……」

憂「?」

純「恥ずかしいって……特に体重とかウェストとか……」

憂「わたしだって恥ずかしいよっ」

純「ですよねー♪」

憂「もう~」

46: 2011/04/01(金) 17:16:50.58
純「ん~……他に聞きたいこと~……聞きたいこと~……くしゅんっ!」

憂「寒い? 暖房ちょっと強くする?」

純「大丈夫大丈夫。炬燵にもっとこう、深く入れば……」

≪もぞもぞ ごそごそ≫

憂「背中が寒くない?」

純「これくらいなら平気平気♪」

憂「それならいいけど……」

≪ピーッ ピーッ≫

純「ん? 何の音?」

憂「お風呂が沸いたみたい……お姉ちゃ~ん?」

唯「ん~? なーに~?」

憂「お風呂沸いたよ~」

唯「そいや、沸かしてたっけ……じゃぁ、ちょっと入ってきちゃおうかな」

和「こらこら、料理の途中でしょ」

唯「むむぅ~……あ、そうだっ」

47: 2011/04/01(金) 17:17:57.22
≪てってってっ≫

唯「純ちゃ~ん」

純「はい?」

唯「雨に濡れて身体冷えたでしょ? お風呂入ってっていいよ~」

純「えぇっ!? いや、さすがにそれは……」

唯「お風呂入って暖かくした方がいいよ? でないと風邪引いちゃうかも」

純「でも突然お邪魔して、お風呂までもらうっていうのは……」

和「遅くなったらお家の人に怒られたりする?」

純「いえ、今日は家に誰も居ないんでそれは大丈夫です」

憂「そうなの?」

純「お母さんとお父さん、二人で旅行に行ってるんだよ」

唯「だったらいいじゃない? 入っていっちゃいなよ~」

和「どうせ、服が乾くまでにまだ時間がかかるだろうしね」

48: 2011/04/01(金) 17:18:57.50
唯「なんだったら、泊まっていってもいいしね~」

憂「それ、いいかも♪」

純「え……いいの?」

憂「うんっ いいよね? お姉ちゃん」

唯「もちろんだよ~」

純「えと……じゃぁ……泊まってっちゃおう……かな?」

憂唯「はぁい♪」

和「そうと決まったら、さっさと入ってきちゃいなさい」

純「あ、だったら憂が先に入ってよ。憂もかなり濡れちゃったでしょ?」

憂「純ちゃんほどじゃないよ。だから、純ちゃんが先に入っていいよ」

純「でも、家の人を差し置いて先に入るっていうのはなぁ」

49: 2011/04/01(金) 17:19:49.18
唯「だったら、わたしに名案がありますっ」

和「それはどうかと思うけどね」

純憂「?」

唯「まだ何も言ってないのに~」

和「大体予想出来るけど……試しに言ってみていいわよ」

唯「こほんっ……二人で一緒に入ればいいと思うよっ!」

和「……だと思ったわ」

純「…………」

憂「…………」

純憂「え?」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

50: 2011/04/01(金) 17:21:11.53
          ○ お風呂 ○

≪ちゃぽんっ シャァーッ≫

純「…………」

憂「…………」

純「……えっと」

憂「う、うん……」

純「な、何かちょっと恥ずかしいねっ」

憂「……うん」

純「温泉とかならまだしも、家のお風呂に二人で入るっていうのは……アレだねっ」

憂「うん……」

純「あ、あはは」

憂「…………」

純「…………」

51: 2011/04/01(金) 17:22:03.60
≪ちゃぽんっ シャァーッ≫

純「えと……」

憂「…………」

純「そ、それにしても……今日はジェットコースターにでも乗ってる気分だよ」

憂「……ジェットコースター?」

純「うん」

憂「どういうこと?」

純「ほら、急に雨が降ってきたり……その帰りに車に水かけられたり……でもって憂の家に転がり込んだら、和先輩とエンカウントしたり」

憂「うん」

純「それだけでも珍しいことなのに、今はこうやって憂と一緒にお風呂入ってたりとか」

憂「確かに今日は色々あったね」

純「でしょ? だからジェットコースターみたいに慌しいなぁ……って」

憂「そう言われると、確かにそんな気もする……かな」

純「うんうん……まぁ、楽しいからいいんだけどね♪」

52: 2011/04/01(金) 17:22:50.22
憂「水かけられたのも?」

純「アレは冷たかった……」

憂「……ごめんね?」

純「何で憂が謝るのよ」

憂「だって、アレって……わたしのこと庇ったせいでしょ?」

純「…………」

憂「だよね?」

純「そこは気付かないでほしかったデスヨー」

憂「ご、ごめん」

純「あー……えっと、うん……気にしないでよ。あたしが勝手にやったことだしさ」

憂「…………」

純「ほら、位置的にさ? どうやったってあたしは濡れちゃっただろうし、気がついたら反射的に動いてたんだって」

憂「…………」

純「だから、庇ったとかそんな大袈裟なものじゃないんだって」

憂「……うん」

53: 2011/04/01(金) 17:23:44.85
純「…………」

憂「…………」

純「あ~……だったらさ」

憂「?」

純「『ごめん』じゃなくて……『ありがとう』にしてくれない?」

憂「え?」

純「あたしは友達に謝らせるのは嫌だし……でも、憂も何か言わないと気に病んじゃうでしょ?」

憂「うん……」

純「だから『ごめんなさい』じゃなくて『ありがとう』」

憂「…………」

純「これもあたしの我侭だけどね」

憂「…………」

純「駄目?」

憂「……うぅん……わたしもそっちの方が良い……」

純「そっか。よかった♪」

54: 2011/04/01(金) 17:24:23.33
憂「じゃぁ、純ちゃん……助けてくれてありがと♪」

純「いえいえ、どーいたしまして~♪」

憂「うん……ありがと」

純「二回も言わなくていいってば♪」

憂「えへへ♪」

純「あははっ」

憂「純ちゃんって……何か凄いね♪」

純「そう?」

憂「うんっ」

純「よく分かんないけど、素直に褒められておくよ♪」

憂「ふふっ♪」

純「えへへ~……あ、そうだ。話は変わるんだけどさ」

憂「うん」

純「憂、気がついてる?」

55: 2011/04/01(金) 17:25:05.21
憂「え? 何が?」

純「やっぱ気がついてなかったか」

憂「?」

純「なら、言わない方がいいかなぁ」

憂「そんな言い方されたら気になるよ~」

純「……言ってもいい?」

憂「う、うん」

純「なら言うよ? よぉ~っく聞いてね?」

憂「……うん」

純「実はね……」

憂「うん」

純「さっきから丸見えだよ」

憂「……へ?」

純「胸……というか、身体全部」

56: 2011/04/01(金) 17:25:57.74
憂「…………」

≪ちゃぽんっ シャァーッ≫

純「ホントに成長著しいねぇ」

憂「…………」

純「あれ? 実は別に恥ずかしくなかったとか?」

憂「……き」

純「き……きなこボール?」

憂「きゃぁーっ! きゃぁっきゃぁっ!? きゃぁ~~っ!!」

≪シャーッ! シャァーッ!≫

純「ぅわっ!? こ、こらっ シャワーこっちに向けるなーっ!」

憂「だってだってだってぇ~っ!」

≪シャーッ! シャァーッ!≫

純「わっ……ぷっ! ごめっ 黙ってたの謝るから止めてぇっ!」

57: 2011/04/01(金) 17:26:42.46
憂「う~っ」

純「ふぅ……びっくりした」

憂「恥ずかしいよぉ~」

純「恥ずかしがることないって。十分立派なんだから」

憂「あぅ……」

純「いやぁ~、間近で見ると迫力あるねぇ」

憂「言わないでよぉ~」

純「だがしかぁしっ……憂よ、これだけは言いたい」

憂「?」

純「やっぱりちょっとは運動した方がいいかもよ?」

憂「…………」

純「いや、触り心地良さそうでいいんだけどさ?」

58: 2011/04/01(金) 17:27:31.26
≪キュッキュッ ジャァーッ!≫

純「ぉわぁっ!? ちょ、冗談だって……わっぷ……がぼっ!?」

≪キュッキュッキュッ ジャァーッ! ジャジャァーッ!!≫

純「シャワー強すぎ……ストーップッ! やめぶふぉっ! げほげほっ! は、はだにはいっだ……おでがいやべでぇっ!」

憂「もぉっ もぉ~っ!」

≪ジャーッ! ジャジャァーッ!!≫

純「げっほげほっ! がふっ ごべ……ごべんだざいっ! ずびばぜんっ! ごほっ! もういわだいがらーっ!」

憂「純ちゃんの馬鹿ーっ!」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

59: 2011/04/01(金) 17:28:25.47
≪ちゃぽんっ シャァーッ≫

憂「ぶくぶくぶくぶく……」

純「もう機嫌直してよぉ」

憂「ぶくぶくぶくぶく……」

純「ゴメンってば」

憂「ぶくぶくぶくぶく……」

純「そんなに気にしてるとは思わなかったんだよぉ」

憂「ぶくぶく……気にしてるとかはないんだけど……」

純「そーなの?」

憂「その……純ちゃんに見られて、ちょっと恥ずかしかったっていうか……」

純「ちょっと恥ずかしかっただけで、あの騒ぎ様か」

憂「だって恥ずかしかったんだもん……ぶくぶく……」

純「ホントにゴメンってば。もうしないからさ」

憂「うん……ならいいけど……ねぇ、純ちゃん?」

60: 2011/04/01(金) 17:29:41.02
純「あ、こっち見ちゃ駄目だよ?」

≪シャァーッ!≫

憂「わっ!? ……ズルイよぉ……ぶくぶく……」

純「だ、だって恥ずかしいもんっ」

憂「わたしだって恥ずかしかったんだよ?」

純「それは隙を見せた憂が悪い」

憂「そんなぁ~」

純「とにかくこっち見ちゃ駄目っ OK?」

憂「……うん……ぶくぶく……」

純「大体、憂はスタイル良い方なんだから、恥ずかしがること思うんだけどなぁ……っと。シャンプーシャンプー」

≪わっしゃわっしゃっ≫

憂「そんなことないよぉ……それ言ったら、純ちゃんの方がスタイル良いと思うよ?」

純「スタイルが良いっていうのは、澪先輩みたいな人のこと言うんだよ」

憂「それは確かに……ぶくぶく……」

純「いいよねぇ、澪先輩。カッコよくてさー……何食べたらあんなにカッコよくなれるんだろ?」

61: 2011/04/01(金) 17:30:33.07
憂「食べ物より遺伝とかじゃないかな?」

純「うわぁ……そうなったらもう希望が持てない」

憂「純ちゃんもカッコいいと思うんだけどなぁ」

純「はいはい、ありがと」

憂「本当にそう思ってるのに……ぶくぶく……」

純「……あ、また話は変わるんだけどさ」

憂「うん」

純「憂って髪を洗う時、目を開けて洗うんだね」

憂「特に意識したことないけど……うん、そうだね」

純「どうやって開けるの?」

憂「どうって……普通に?」

純「あたし、出来ないんだよねぇ。目にシャンプーが入っちゃうから」

憂「そういえば、お姉ちゃんもそんなこと言ってたかも」

純「怖い話とか聞いた後だと、髪洗うの嫌なんだよね……何かコツとかない?」

憂「それもお姉ちゃんと同じだ♪ ……でも、コツとかは分からないかなぁ」

62: 2011/04/01(金) 17:31:15.40
純「そっかぁ……残念」

憂「コツが分かったら教えるね……ぶくぶぶふっ!? ごほっ!」

純「な、なにっ!?」

憂「ごほっ! な、何でも……けほっ 何でもないよっ……こほんっ」

純「どうしたの?」

憂「うん……ちょっと咽ちゃっただけだよ……けほっ」

純「ぶくぶく沈んでるからじゃない? 憂って時々ドジだよね」

憂「あはは……そ、そだね」

純「もうちょっとで終わるから、待っててね~」

憂「ごゆっくりどうぞ」

純「何故に敬語?」

憂「何となく……だよ」

純「今日の憂は何だかちょっぴり変だ」

憂「……そうかも」

63: 2011/04/01(金) 17:31:53.75
純「♪~」

憂「…………」

純「ん~……パーマかけようかなぁ」

憂「…………」

純「憂も梓も髪が綺麗で羨ましいよ」

憂「揺れた」

純「……憂?」

憂「…………」

純「ん? 憂~?」

憂「……ふぇ? あ、何っ!?」

純「どうしたの? 急に静かになって」

憂「え? あ、うん……えっと、考え事? じゃなくて、ちょっとのぼせちゃったかも」

純「何で焦ってるの?」

憂「焦ってないよっ」

純「そ、そう?」

憂「うんうんっ」

64: 2011/04/01(金) 17:32:30.51
純「だったらいいけど……とりあえず、ぱぱっと終わらせちゃうね」

憂「…………」

純「?」

憂「…………」

純「ま、いっか……♪~」

憂「……ピンク」

純「よし、お~わり……っと」

≪シャァーッ≫

純「ふぅ~……お待たせ~」

憂「…………」

純「のぼせちゃう前に、さっと暖まって出よう……か……」

憂「また揺れた」

純「…………」

憂「…………」

純「……憂」

65: 2011/04/01(金) 17:33:09.67
憂「ふんすっ」

純「…………」

≪キュッキュッキュッ ジャァーッ!≫

憂「きゃぁっ!? え? わっ わぁっ!?」

純「見ちゃ駄目って言ったでしょーっ!」

≪ジャジャァーッ!≫

憂「わっぷっ!? み、見てないよっ!?」

純「今、思いっきり目が合ったでしょーがっ!」

憂「い、いつの間に洗い終わったの……」

純「憂」

憂「……な、何?」

純「いつから見てた?」

憂「見てない……よ?」

純「い・つ・か・らっ……見てた?」

66: 2011/04/01(金) 17:33:58.06
憂「…………」

純「…………」

憂「髪を洗い始めてちょっとしてから……」

純「…………」

≪キュッキュッキュッ≫

憂「純ちゃん待ってっ! だって純ちゃんも見たよね? だから、あのっ」

純「問答無用っ!」

≪ザーッ!!≫

憂「きゃぁっ! 待って待ってっ……わっぷっ!?」

純「憂のエOチッ!」

憂「わたしエOチじゃないもんっ」

純「一心不乱に見てたくせに何言ってんのさっ こうなったら憂のスケベ心を洗い流してやるーっ」

≪ザーッ! ザーッ!!≫

67: 2011/04/01(金) 17:34:54.72
憂「わわっ!? だったらこっちだって~っ」

≪バシャーンッ≫

純「ぅわぁっ!? このぉ……負けるかぁーっ」

≪ザザーッ!≫

憂「きゃぁっ!? もう~……えーいっ」

≪バシャバシャーンッ!≫

純「洗面器ズルイー♪」

憂「シャワーの方がズルイよぉ~♪」

≪ザーザーッ! バシャーンッ!≫

純「あははっ うりゃー♪」

憂「あははっ え~い♪」

≪ザーッ パシャーンッ≫

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

68: 2011/04/01(金) 17:36:56.24
          ○ リビング ○

純「ぼへぇ~……」

憂「あぅ~……」

和「暖まれ……とは言ったけど、のぼせるまで入ってるのはどうかと思うわよ?」

唯「おまけにお風呂のお湯を無くしちゃうなんて」

純「しゅみましぇん~」

憂「ごめんにゃはぃ~」

唯「二人とも? 小さい子供じゃないんだから、お風呂遊びなんてしてちゃ駄目だよ?」

憂「う、うん……」

純「わかり……ましたぁ……」

唯「よしよし」

純「はふぅ……」

憂「ふにゃぁ……」

唯「今のわたし……凄くお姉さんって感じだったよねっ」

和「その台詞が無ければ完璧だったわね」

69: 2011/04/01(金) 17:37:38.80
唯「あぁん……和ちゃん、きびしぃよぉ~」

和「じゃぁ、ご飯食べちゃいましょうか」

唯「華麗にスルーッ!?」

和「はいはい、唯はお姉さんお姉さん」

唯「うぅ……和ちゃんはいつでもクールだ」

和「憂、純。二人とも食べられそう?」

憂「うん。もう平気」

純「な、なんとか……」

唯「ではでは~……わたし特製のお鍋で~す。召し上がれ~♪」

憂「頂きま~す♪」

純「いただきまぁす」

和「頂きます」

唯「いただきまーす♪ あ、食べ終わったら感想聞かせてね~」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

70: 2011/04/01(金) 17:38:27.50
憂「ご馳走様でした~♪」

純「ごちそうさまでしたぁ♪」

和「ご馳走様」

唯「ごちそうさまぁ~♪ ふぅ……お腹いっぱい~♪」

和「じゃぁ、私は片付けしたら帰るわね」

憂「片付けはわたしがやるよ、和ちゃん」

和「そう? なら、お願いしようかしら」

唯「あ、感想は? 感想。美味しかった?」

憂「凄く美味しかったよ♪」

純「はいっ 美味しかったです」

唯「やった♪ ねぇねぇ、和ちゃんはどうだった?」

和「普通」

71: 2011/04/01(金) 17:39:31.85
憂「あ、あはは……」

純「バッサリだぁ」

唯「えぇ~……も、もっとこう……ちょっと美味しかった~とか、かなり美味しかった~とか……ないのぉ?」

和「普通」

唯「むぅ」

和「……だけど、料理初心者にしては良い方かしらね」

唯「ほんとっ!?」

和「えぇ」

唯「わぁい♪ 褒められたーっ♪」

憂「よかったね。お姉ちゃん♪」

和「これからも、時間がある時は練習することね」

唯「了解しましたーっ」

憂「ふぁいとだよっ お姉ちゃん♪」

唯「うんっ」

純「……唯先輩の扱いがスマートかつクールだ」

72: 2011/04/01(金) 17:40:08.09
和「それじゃ、私は帰るわね」

唯「ほーい。気をつけてね~」

和「憂、片付けよろしく」

憂「うん」

和「純? 油断しないで身体を暖めておきなさい?」

純「はい。ありがとうございます」

和「じゃぁ、そろそろ……どっこいしょっと」

唯「…………」

憂「…………」

純「…………」

和「……え、えっと……」

唯「…………」

憂「…………」

純「…………」

和「待って……待ってね。三人とも落ち着いて……慌てずに聞いてね?」

73: 2011/04/01(金) 17:41:30.77
唯「わたし、玄関まで送るね~」

憂「わ、わたしは後片付けしちゃうね」

純「かか片付けなら、あたしも手伝うよ」

和「違うのよ? 違うから……ねぇ、聞いて?」

唯「和ちゃん、早く~」

憂「さ、さ~てとっ 片付け頑張ろうっ」

純「しょ、食器持っていくね」

和「ホントにたまたまなの……偶然なのよっ ねぇ、三人とも聞いてってばっ!」

唯「とてとてとて~♪」

憂「お鍋は空だから、食器は入れちゃっていいよ」

純「お皿とか傷つかない?」

≪てくてくてく ガチャガチャッ キィ~ パタンッ≫

和「……違うのに……私、おばさんっぽくないのに……くすんっ」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

74: 2011/04/01(金) 17:42:09.20
          ○ キッチン ○

≪ジャーッ キュッキュッ≫

憂「はい、純ちゃん♪」

純「ほいほい♪」

≪ふきふき カチャカチャ≫

唯「和ちゃん帰ったよ~」

憂「はぁい」

唯「ねぇ、憂? アイス食べていい?」

憂「一個だけだよ?」

唯「分かってるよ~」

純「まだ食べるんですか?」

唯「アイスは別腹だからねっ」

≪とてとて がちゃっ≫

唯「アイスっ♪ アイス~っ♪」

75: 2011/04/01(金) 17:42:56.36
憂「♪~」

純「幸せそうだね、憂」

憂「うん♪ アイス食べてるお姉ちゃんって可愛いんだもん♪」

唯「むぐむぐ♪ ぺろぺろ♪」

憂「ね?」

純「あははっ 確かに♪」

憂「お姉ちゃん。もうお風呂沸いてるだろうから、食べ終わったら入っちゃいなよ」

唯「ひょーふる~」

≪とてとてとて ガチャッ≫

憂「純ちゃんも休んでていいよ?」

純「お風呂もご飯も貰った上に泊めてもらうんだもん。これくらい手伝うよ」

憂「そっか……ありがと」

純「いえいえ」

76: 2011/04/01(金) 17:43:33.65
≪ジャーッ キュッキュッ ふきふき カチャカチャ≫

純「そういえば、服……もう乾いたかな」

憂「コートとブレザー以外は乾いたと思うけど……着替える?」

純「そーしようかな、と」

憂「泊まっちゃうんだからそのままでもいいんじゃない?」

純「いや、ほら……せめて下着だけでも着けたくて」

憂「…………」

純「実はさっきから擦れてて、ちょっと落ち着かない」

憂「そ、そだよね」

純「…………」

憂「…………」

純「憂……目線目線」

憂「はっ!?」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

77: 2011/04/01(金) 17:44:14.48
          ○ リビング ○

純「……ってな感じでさ、お母さんうるさいんだよね。言ってること矛盾してるし」

憂「確かに部屋の片付けとか、面倒くさい時もあるよね」

唯「お風呂上がった~」

純憂「はぁい」

唯「何してたの?」

憂「お喋りだよ。今、お茶淹れるね」

唯「うん。ありがとー」

純「あ、手伝うよ」

憂「一人で大丈夫だよ。純ちゃんもいる?」

純「えと……うん、もらう」

憂「それじゃぁ、淹れてくるね」

≪とてとてとて ガチャッ≫

純「…………」

唯「はふぅ~……まったり~♪」

78: 2011/04/01(金) 17:44:52.35
純「…………」

唯「それにしても、今日は災難だったね~。車に水を引っ掛けられるなんてさ?」

純「そ、そうですね……まぁ、運が悪かったと諦めますよ」

唯「だよね~。嫌なことなんてさっさと忘れて、楽しいこと考えるようにした方がいいしね」

純「はい」

唯「うんうん♪」

純「…………」

唯「お茶、まだかな~」

純「…………」

唯「ん? 純ちゃんどうしたの? 急に静かになっちゃって」

純「い、いえっ 別にそういうわけじゃ……」

唯「そぉ?」

純「はい……あ、そういえば……唯先輩、大学合格おめでとうございますっ」

唯「へ? あ、うん……ありがとぅ?」

純「え~と……えっとぉ……」

79: 2011/04/01(金) 17:45:54.01
唯「??」

純「あのぉ……」

唯「純ちゃん?」

純「その……って、憂……何やってんの」

憂「あ、バレた」

≪カチャッ とてとてとて≫

憂「はい、お待ちどうさま」

唯「ありがと~」

純「ありがと……んで、なんでドアの隙間からこっそり覗いてたの?」

憂「お姉ちゃんと純ちゃんのお喋りを観察したくて……えへへ♪」

純「なんでそんなことを……」

憂「緊張してる純ちゃんが可愛くて♪」

純「ぐっ」

憂「ゴメンね?」

純「いいけどさ……分かってたんなら助け舟出してよぉ」

80: 2011/04/01(金) 17:46:28.28
憂「次からそうするよ♪」

唯「…………」

憂「どうしたの? お姉ちゃん」

唯「ねぇ、純ちゃん……わたしって怖いかな」

純「え? いえ、決してそんなことはありませんけど……なんでです?」

唯「だって緊張してるって……こ、怖がらせちゃったかなって思って……」

純「怖くて緊張してたんじゃありませんよ」

唯「じゃぁ、どうして?」

憂「慣れてなかったからだよね?」

純「うん。唯先輩のことは前から知ってましたけど、二人っきりで話す機会って無かったものですから」

唯「そかー、それで緊張か~……純ちゃんって変わってるね」

純「そ、そうでしょうか……」

憂「あはは……」

81: 2011/04/01(金) 17:47:13.75
唯「そうだっ! じゃぁ、お喋りしよう。お喋りして仲良くなるのだよっ ふんすっ!」

憂「うん♪」

唯「なによりさ~……この時間は暇だしね。受験も終わったし」

純「軽音部の三年生、全員同じ大学に合格したんですよね?」

唯「そだよー。また春からみんな一緒で楽しみだよ♪」

憂「よかったね、お姉ちゃん♪」

唯「ふっふっふ……二人とも、進路は今のうちに決めておいた方がいいよ? のんびりしてると後で苦労するからねっ」

憂「わたしはもう決めてるよ」

純「私も大体決まってますね」

唯「……あれ?」

純「二年生も終わりですからね。さすがにある程度は決まってますよ……ね?」

憂「うん」

唯「……しっかりしてらっしゃる」

82: 2011/04/01(金) 17:47:59.69
純「そ、そうですか?」

憂「お姉ちゃん……進路決めるの結構ギリギリだったから」

唯「……しょぼん」

純「あ、あはは……あ、でも……ギリギリで決めてN女って、別の意味で凄いと思いますよ」

唯「そぉ?」

純「はい。あそこ結構レベル高いし」

唯「でへへ~♪ ……まぁ、澪ちゃんとムギちゃんの協力あってこそ、だったけどね~」

純「……あたしも憂に助けてもらおうっと」

憂「わたしで出来ることなら何でもするよ」

唯「あずにゃんには助けてもらわないの?」

純「梓に言ったら『自分でやんなきゃ意味無いよ』って言われそうです」

憂「確かに……」

唯「あずにゃん厳しいもんね~」

憂「梓ちゃん真面目だからね」

83: 2011/04/01(金) 17:48:49.94
純「真面目なのが梓の長所で、真面目過ぎるのが梓の短所だよねぇ」

唯「うんうん……純ちゃん分かってるねっ」

純「まぁ、梓は分かりやすいですし」

唯「そこがまた可愛いんだよ~……あ、そだ。純ちゃん純ちゃん」

純「はい?」

唯「純ちゃんって好きな人いる?」

純「ぶふぁっ!?」

憂「んぐっ!?」

唯「わぁっ!?」

純「げほげほっ ご、ごめ……憂、拭くものがし……貸して……げっほげほっ」

憂「けほんっ う、うん……けほけほっ」

≪ふきふき≫

純「あー、びっくりした……けほっ」

唯「そんなにびっくりした?」

純「だ、だって話飛び過ぎですよっ! しかも好きな人が~とか。今の話の流れでどうしてそんな質問が出るんですかっ」

84: 2011/04/01(金) 17:49:58.97
唯「えっとね……あずにゃん可愛いなぁ→純ちゃんも可愛いなぁ→恋人いるのかなぁ→その前に好きな人いるのかなぁ……って考えて」

純「一瞬でそこまで考えたんですか?」

唯「うん」

純「……やっぱ色んな意味で凄いですね」

唯「で? 好きな人いる? それとも恋人がもういるとか?」

憂「…………」

純「えぇ~……あ、そだ。唯先輩も教えてくれるならいいですよ?」

唯「むむっ!?」

純「こーいう話はお互い言い合うのが鉄則ですからねぇ」

唯「じゃぁ、わたしが好きなのは……憂に和ちゃんでしょ~? あずにゃんでしょ~? それにりっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんでしょ~……」

純「ブッブ~ッ 駄目でーす……っていうか、その好きでいいなら、私は憂と梓とジャズ研の先輩と後輩と~……って言いますよ?」

唯「むぅっ ガードが固い」

純「当然ですっ」

唯「軽音部ではこーいう話ってほとんどしないから、純ちゃんとなら出来ると思ったのに~」

純「えっへっへ~♪ だからと言って、ただで教えるつもりはありませんよ。たとえ先輩と言えどもっ」

85: 2011/04/01(金) 17:50:42.37
唯「ぶーぶーっ」

純「そんな顔しても駄目で~す♪」

唯「むぅ……あ、そーだ。憂?」

憂「なぁに? お姉ちゃん」

唯「憂は? 憂は好きな人いる?」

憂「わ、わたしっ!?」

唯「や~……姉としては、妹の『れんあいじじょー』とかに興味があるし」

純「それって単なる好奇心じゃ……でも、あたしも興味あるかなぁ。憂に好きな人がいるかどうか」

唯「だよねっ だよねっ! で、いるの? そーいう人」

憂「え? えぇ~……その……」

純唯「うんうんっ」

憂「……い……いない……よ?」

純唯「……え」

憂「え?」

86: 2011/04/01(金) 17:51:48.81
唯「いるのっ!?」

純「ホントにっ!?」

憂「い、いない……いないよ? いないって言ったよね?」

唯「それ嘘だよね? 絶対に『いる』って顔してたもんっ」

純「ですよねっ 私もそー思いました」

憂「いないもんっ ホントにホントにいないもんっ!」

純唯「怪しい~♪」

憂「そうだっ 純ちゃんさっき言ったよね? こういうのはお互い言い合うのが鉄則だって。だったら二人とも言わないと駄目なんだよ?」

純「じゃぁ、あたしが言ったら教えてくれるの? だったら言っちゃうよ?」

唯「あ、だったらわたしも言おうかなぁ」

憂「え? あ、あの……その……あ、あれ?」

純「ふっふっふっ♪ そこで困るってことは、やっぱり好きな人がいるってことだよね?」

唯「うんうん♪」

憂「ぁ……うぅ……」

87: 2011/04/01(金) 17:52:28.75
純「もう観念しちゃいなよ~♪」

唯「そうだよっ お姉ちゃんに全てを話すんだよっ!」

憂「だ、だって……いない……もん……」

純「あたしも知ってる人? 中学の同級生とか?」

唯「それとも学校以外で知り合ったとか? 年上? 年下?」

憂「うぅ……」

純唯「お~し~え~て~よ~♪」

憂「うーっ」

純唯「じぃ~~~♪」

憂「いないったらいないのっ! もうっ 二人の意地悪っ!」

≪ガバッ たったったったっ ガチャバタンッ!≫

純「…………」

唯「…………」

純「いじめ過ぎちゃいましたかね」

唯「うん」

88: 2011/04/01(金) 17:53:07.77
純「でもあの反応は絶対いますよっ」

唯「だよねぇ~♪ う~ん……誰だろ?」

純「唯先輩は心当たりとかないですか?」

唯「ないかなぁ……そーいう純ちゃんは?」

純「私もないです」

唯「じゃぁさ、もし分かったらわたしに教えてよっ」

純「OKですっ 唯先輩も分かったら私に教えてくださいね?」

唯「おっけ~♪」

≪かちゃり こそこそ≫

憂「…………」

唯「あ、戻ってきた」

純「憂~? もういじめないから戻っておいでー」

憂「…………」

唯「そんなとこにいると寒いし、炬燵入んなよ~」

純「ホントにごめんってば。もう言わないからさ」

89: 2011/04/01(金) 17:53:50.47
憂「……うん」

≪ぱたんっ とてとてとて もそもそ≫

純唯「おかえり~」

憂「……ただいま」

純「ほらほら。そんなに俯いてたら可愛い顔が台無しだよ?」

唯「お茶でも飲んで元気をお出しよ」

憂「二人のせいなのに……」

純「…………」

唯「…………」

純唯「ごめんなさいっ」

憂「……うん」

純「憂はこーいう話は苦手だったか。からかってゴメンね?」

≪なでなで≫

唯「憂は恥ずかしがり屋さんだからね~。よしよし」

≪なでなで≫

90: 2011/04/01(金) 17:54:30.25
憂「もう、やだよ?」

純唯「は~い♪」

憂「うん……だったら、もういいよ」

純「んじゃ、憂の機嫌も直ったことだし……ちょっと一息入れますか」

唯「そだね~♪ んくんく……憂~、お代わり頂戴?」

憂「うん。純ちゃんもお代わりいる?」

純「こくこく……うん、お願い」

≪こぽこぽこぽっ≫

憂「二人とも、はいどうぞ♪」

唯「ありがと~♪ ……あちちっ」

純「さんきゅ♪」

唯「でもさ~……純ちゃんって面白いよね~」

純「そうですか?」

唯「うん♪ りっちゃんっぽい感じがしてノリも良いしっ」

91: 2011/04/01(金) 17:55:23.40
純「むむぅ……律先輩ですか」

唯「ぅん?」

憂「ふふっ 澪さんっぽいって言われたかったんだよね?」

純「言われたら嬉しいな……かな?」

唯「澪ちゃんキレイでカッコいいもんね~」

純「はぁ……ホント、何食べたらあんなにカッコよくなれるんだろ」

唯「甘いものとか?」

純「太っちゃいますよぉ」

唯「ん~……わたしはいくら食べても太らないからなぁ」

純「くぅ~……羨ましすぎる」

憂「ふふっ♪」

唯「……ふむぅ」

純憂「?」

唯「ぅむむむむぅっ」

憂「お姉ちゃん?」

92: 2011/04/01(金) 17:56:14.47
純「どうしたんです? 突然」

唯「あのね? 本物の純ちゃんは、あずにゃん情報と違うなぁ~って思ってね~」

純「ほ、本物って……というかあずにゃん情報ってなんです? っていうかまた話が飛びましたね」

唯「えっとね……あずにゃん、時々純ちゃんのこと話してくれるんだけど……」

純「あぁ、それと今の私が違う……と」

唯「そそ」

純「……ちなみに梓……私のこと何て言ってました?」

唯「えっとね~……マイペースで~……我侭で~……」

純「…………」

唯「ちょっとだらしなくて~……変なことばっかし考えてて~……」

純「…………」

憂「あ、あはは……」

唯「そうだ……髪留め取ると頭がボンバーするって言ってた……ボンバーって何?」

純「よし、許さんっ」

93: 2011/04/01(金) 17:57:05.89
≪がさごそ ピッピッピピピピッ≫

唯「携帯?」

憂「何するの?」

純「ちょっと待ってて……梓にメールで文句言ってやる」

≪ピピピッ ピッピッピッ≫

純「よしっ」

唯「終わった? ……で、ボンバーって何?」

純「ぅぐっ」

唯「時々思い出して気になってるんだよ」

純「なら、すぐに忘れるでしょうから気にしないで下さい」

唯「今、気になってるんだよっ だから教えてっ!」

憂「お姉ちゃん? あんまりしつこく言っちゃ駄目だよ?」

唯「だってぇ~……このままじゃ気になって寝られないよぅ~。じゅ~ん~ちゃ~ん~」

純「……はぁ~……分かりました。教えますよ。だからそんな、捨てられた子犬みたいな目をしないで下さい」

唯「やった♪」

94: 2011/04/01(金) 17:58:01.34
純「えっとですね……私すごい癖っ毛なんです。だから髪留め取ると……」

≪もそもそ ほどきっ ぶわっ≫

唯「ぅわっ!?」

純「こうなるんです」

唯「すごい……頭が爆発してる……」

純「うぅ」

憂「髪、纏めるの手伝おうか?」

純「もういいよ。このままでいる」

唯「ふぇ~……ねぇ、触ってもいい?」

純「どぞ」

≪わさわさ≫

唯「おぉ~……朝とか大変そうだね~」

純「大変ですよぉ。髪をセットするのに早起きしなきゃいけないんですから」

唯「あ~、分かる分かる。わたしも癖っ毛だからね~」

95: 2011/04/01(金) 17:58:38.83
純「癖っ毛……じぃ~」

唯「触る?」

純「はい」

≪さらさら ふわ~≫

純「うわ……さらさらで柔らかい」

唯「そぉ?」

純「何という手触りの良さっ」

唯「あ、憂の髪は?」

憂「触る?」

純「うん」

≪ふんわり さらさら~≫

純「うわぁ……お風呂入った後だとやっぱ違うねぇ」

憂「えへへ~。ちょっとくすぐったい♪」

純「うぅ……ズルイ……」

96: 2011/04/01(金) 17:59:43.75
唯「でも純ちゃんの髪も個性的で良いと思うけどな~」

憂「うんうんっ」

純「個性なんて無くていいから、さらさらした髪が良かったよぅ……」

≪メ、メールダニャーン メールダニャーン≫

純「お、梓からメールだ」

唯「なに今のっ!? あずにゃんの声っ!?」

純「えへへ~♪ ちょっと前に、梓に録音させてもらったんですよ~」

≪ピッピッピッ≫

憂「ちょっと強引だったけどね」

純「賭けに負けた梓が悪いんだよ」

唯「いいな~、いいなぁ~」

純「後でデータあげましょうか?」

唯「いいのっ!?」

憂「でも梓ちゃん、人にあげちゃ駄目って言ってなかったっけ?」

純「唯先輩なら大丈夫でしょ」

97: 2011/04/01(金) 18:00:39.23
憂「そ、そうかな。むしろ余計嫌がるんじゃ……」

唯「大丈夫だよっ こんなに可愛いんだもんっ!」

純「軽音部の先輩方にも、聞かせてあげるといいですよ」

唯「うんうん。そーするっ」

憂「もう、純ちゃんってば」

純「へーきへーき♪」

≪コトッ≫

憂「返事、返さないでいいの?」

純「いいのいいの」

唯「可哀相じゃない?」

純「一、二回返信しなかったらかけてきますよ。それにちょっと考えがあるんです」

≪メ、メールダニャーン メールダニャーン≫

純「またきた……ふむふむ……っと。次あたりかけてくるかなぁ」

唯「ふぉ~……何回聞いても可愛い~♪」

98: 2011/04/01(金) 18:01:19.81
純「憂ヴァージョンもあるんだよね」

憂「アレは恥ずかしかったよ……」

唯「どんなのどんなの?」

純「えっとですね……あ、これだ」

≪メールダワン メールダワーン≫

唯「わん?」

純「憂って何か犬っぽいイメージあったもんで」

憂「純ちゃんヴァージョンは猫だよね……えっと……あ、これこれ」

≪メールダニャーッ ニャーニャーッ≫

唯「ぅおっ!? こっちも可愛いっ」

純「えっへへ~♪」

憂「三人で録音し合ったんだよね♪」

≪デンワダニャーン デンワダニャーン≫

純「お、きた」

99: 2011/04/01(金) 18:01:58.76
唯「で、電話ヴァージョンっ!?」

純「こっちも後であげますよ」

唯「やったっ♪」

純「その代わりと言っては何ですが……私の代わりに電話に出てくれませんか?」

唯「へ? 純ちゃんの代わりに? わたしが?」

純「ですです♪」

唯「なんで? …………はっ!」

純「にひっ♪」

唯「にゅふっ♪ にゅふふふふっ♪ ……お主も悪よの~♪」

純「いえいえ、お代官様こそぉ♪」

憂「ん?」

≪デンワダニャーン デンワダニャーン≫

純「はい、お願いします……あ、周りに聞こえるようにして下さいね」

唯「ほいほい……このボタンだね? ……にゅふっ♪」

純「最初は返事しないで、しぃ~……ですよ」

100: 2011/04/01(金) 18:02:38.22
唯「了解♪」

≪ぴっ≫

梓『ちょっと純っ! 出るの遅いよっ!』

純憂唯「っ!?」

純「……声でか」

梓『いつもだったらすぐ出るくせに……そもそも最初のメール何っ!?』

純唯「…………」

憂「純ちゃん……」

純「しぃーっ 静かに」

梓『ちょっとっ!? 何で黙ってるのっ! 聞いてるっ!?』

唯「……ぷっ」

純「くくくっ」

憂「もう、二人とも~?」

梓『大体さっ! この超高校級幼児体型ってどーいう意味よっ!』

憂唯「ぶっ」

101: 2011/04/01(金) 18:03:35.05
純「ぷふっ く……くくくっ」

梓『ちょっと純っ! 返事しなよっ!?』

唯「ぷふっ……お、OK?」

純「どぞ♪」

梓『おーいっ じゅーんっ! 返事しろーっ!』

唯「ご、ごめんなさいっ」

梓『……え?』

唯「なな何で怒ってるか知らないけど、わたしが悪いんだよね? ま、また何かやっちゃったんだよね?」

梓『え……え? あれ? 唯先輩?』

唯「ぐすん……先輩失格だよね……ごめんね、あずにゃん……しくしく~」

梓『あ、やっ ちょっ……ちが……す、すみません、違うんですっ』

唯「いいんだよ、あずにゃん……きっとわたしが悪いんだよ……めそめそ~」

梓『ホント違うんですっ! あのっ……じゅ、純に電話しようと……でも間違えて……あれ……あれぇ?』

純「ぷっ くくっ……あ、あははっ もう駄目っ♪ あはははははっ♪」

梓『え? 純の声?』

102: 2011/04/01(金) 18:04:22.59
唯「駄目だよ……ぷぷっ 純ちゃん……あはっ……あはははっ♪」

憂「二人とも? それ以上は梓ちゃんが可哀相だよ?」

梓『憂の声も……なんで?』

唯「ぷふっ はい、純ちゃん」

純「ど、どもです……くくくっ」

梓『一体どうなって……』

純「やほー♪ あーずさっ」

梓『純……え、何がどーなってるの?』

純「や~……梓ってひどいねぇ。いきなり唯先輩に怒り出すなんて」

梓『それは間違え電話っ……じゃない? けど……ねぇ、唯先輩と一緒にいるってこと? さっき憂の声も聞こえたけど……』

純「憂も居るよ。だって今、憂の家に居るんだもん」

唯「やっほ~♪ あ~ずにゃん♪」

憂「やっほー、梓ちゃーん♪」

梓『あ、唯先輩と憂の声』

103: 2011/04/01(金) 18:05:07.72
純「そーいうこと」

梓『でもこんな時間に? 何で?』

純「色々あったんだよ」

梓『何それ?』

純「今度教えるよ」

梓『ならいいけど……ん? んん?』

純「どしたの?」

梓『……ねぇ純。ちょっと聞き取りづらいかもしれないから、音大きくして?』

純「うん? いいけど……」

≪ぴっぴっぴっ≫

梓『えっとね……ぼそぼそ……ごにょごにょ……』

純「え? 何? 聞こえないよ?」

梓『……バーカッ!! バカ純っ! 子供っぽい悪戯するなぁっ!』

≪ブツッ ぴーっ ぴーっ ぴーっ≫

純「ぐ……あぁ……み、耳が……」

104: 2011/04/01(金) 18:05:56.35
唯「あずにゃん声大きい……」

憂「あ、あはは……でも、今のは梓ちゃんが怒ってもしょうがないかも……」

純「うぐぐ……き、気の短い奴め」

≪デンワダニャーン デンワダニャーン≫

唯「あ、またかかってきた」

純「だったら切らなきゃいいのに……」

≪ぴっ≫

純「もしもーし」

梓『……お母さんに怒られた』

純「夜に大声出してるんだもん、当たり前だよ」

梓『純のせいでしょぉっ』

純「あたしのせいじゃないじゃん……っていうか、元はと言えば梓が悪いんだよ」

梓『何でよっ』

純「唯先輩に聞いたよ? あたしのこと、だらしないとか我侭とか言ってたみたいじゃない?」

梓『だって事実だもん』

105: 2011/04/01(金) 18:07:01.51
純「事実じゃないよっ 大嘘じゃんっ」

梓『嘘じゃないもん。全部本当のことだもんっ』

唯「……あずにゃんと純ちゃんって仲良いね♪」

憂「うん♪」

純「ふっ……梓とは一度決着をつけた方がいいみたいだね」

梓『ヤッテヤルデスッ!』

純「梓のヘタレっ 意地っ張りっ」

梓『行き当たりばったりでカッコつけの純に言われたくないよっ』

純「何をーっ」

梓『何よーっ』

憂唯「あはは♪」

純「ふしゃーっ!」

梓『に゛ゃーっ!』

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

108: 2011/04/01(金) 18:29:34.06
          ○ キッチン(一時間後) ○

純「へぇ~……紅茶ってそんな風に淹れると良いんだ。でも難しそうだなぁ」

憂「練習は必要かも」

純「よし、覚えておこう」

唯『でね~? りっちゃんがさ~……そそ♪ やっぱ、りっちゃんと澪ちゃんは夫婦だよね~♪』

純「唯先輩、楽しそうだね」

憂「お姉ちゃん、梓ちゃんのこと大好きだからね♪ でもそろそろ終わるかも」

純「そうなの?」

憂「だって……ほら」

≪かちゃっ こそこそ≫

唯「あははっ あずにゃんは相変わらず真面目さんだなぁ……あふぅぁ~……ん? あくび~。眠くなってきちゃったかも」

憂「ね?」

純「ホントだ♪」

唯「うん、そーする~……じゃぁ、純ちゃんに代わるね? ほいほい~。おやすみ~」

109: 2011/04/01(金) 18:30:33.64
≪もそり とてとてとて≫

唯「純ちゃんありがと~。はい、電話~」

純「どもです」

唯「わたしそろそろ寝るね……ふぁ~」

憂「お休み、お姉ちゃん」

純「唯先輩、お休みなさい」

唯「おやふみ~……ぁふぅ~……」

≪もたもた ふらふら~ かちゃぱたんっ≫

純「……大丈夫? 階段で転びそうな雰囲気だけど」

憂「時々危ないけど大丈夫だよ」

純「時々危ないんだ……」

梓『純~? おーい』

純「っと……ごめんごめん。唯先輩にお休みの挨拶してた」

梓『そっか……じゃぁ、そろそろ切るね。私も眠くなってきた』

110: 2011/04/01(金) 18:31:45.57
純「うん。お休み~」

憂「梓ちゃん、お休み~」

梓『二人とも、お休み~……って……あ、そうだ。純?』

純「何?」

梓『明日の休みって予定ある?』

純「あたしは特に無いけど……あぁ、遊ぶ?」

梓『急かな?』

純「あたしは平気だけど……ちょっと待ってね」

梓『うん』

純「憂、明日予定あった?」

憂「特にないかな」

純「梓が遊ばないかって」

憂「わたしはOKだよ♪」

純「了解♪ 梓ー? 憂もOKだって」

梓『そっか』

111: 2011/04/01(金) 18:32:39.99
純「なぁにぃ~? あたしが憂の家に泊まるからって寂しくなった?」

梓『……またそうやってからかうし』

純「うそうそ、ごめんってば。これ以上からかうと本気で怒られそうだから、止めておくよ」

梓『もぅ……で、どうしようか』

純「今から決めるのもアレだし、細かいことは明日でいいんじゃない? お昼頃電話してよ」

梓『ん……わかった』

純「それじゃ、また明日ね」

梓『うん。また明日』

≪ぴっ≫

純「っていうわけで、明日は三人で遊ぼうっ」

憂「うんっ」

純「ん~……これからどうしようか? もうちょっとお喋りする?」

憂「だったらわたしの部屋でしない? この紅茶持って」

純「深夜のティータイムね……いいかも♪」

112: 2011/04/01(金) 18:33:33.51
憂「うん……あ、ミルクティーにしようか」

純「賛成っ」

憂「じゃぁ、淹れちゃうね」

純「……深夜のティータイム……か」

憂「どうしたの?」

純「Midnight ティータイム☆☆☆……なんちゃって」

憂「ん?」

純「……ごめん。言ってみただけ」

憂「う、うん……?」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

113: 2011/04/01(金) 18:34:22.43
           ○ 憂の部屋 ○

純「こくこく……ふぅ、美味しい~♪」

憂「明日はお昼までうちにいる?」

純「休みの日に制服でいるのは嫌だよ……朝になったら一回帰るよ」

憂「そっか……朝ご飯はうちで食べてく?」

純「いいの?」

憂「うん♪」

純「やった♪ ご馳走になりますっ」

憂「はぁい」

純「ん~っ……それにしても、今日はホントに忙しい一日だったぁ~」

憂「そうだね。学校を出た時は、純ちゃんが泊まりに来るなんて思いもしなかったよ」

純「ホント、感謝してます」

憂「いえいえ」

純「でも、憂と一緒にお風呂入ったりご飯食べたり、唯先輩とたくさんお喋りしたり……良い一日だったかな」

憂「わたしもそうかな……お姉ちゃんを前に緊張してる純ちゃんも見れたし♪」

114: 2011/04/01(金) 18:36:18.65
純「それは言わないでよぉ。大体、上級生相手だったら緊張もするってば……知ってただけで慣れてなかったんだし」

憂「……確かにそうかも」

純「ま、結局仲良くなれた……と思うから良しとするけどね」

憂「お姉ちゃんも楽しそうだったよ♪」

純「そう?」

憂「うん♪」

純「憂が言うなら間違いないか。よかった♪」

憂「あ、今日はどうする? そろそろ寝ちゃう?」

純「寝るには早すぎない?」

憂「そうかな?」

純「……憂、ひょっとして眠い?」

憂「う~ん……ちょっとだけ?」

純「じゃぁ、布団に入ってお喋りでもしようか」

憂「そうだね……あぁっ!?」

純「な、なに?」

115: 2011/04/01(金) 18:37:09.62
憂「お客様用のお布団、干してないや」

純「泊まり自体が急な話だしねぇ」

憂「うぅ~ん……お母さんのお布団を持ってきて……でも……うぅ~ん……」

純「てきとーでいいよ?」

憂「う~ん……」

純「あ、だったら憂のベッドで一緒に寝る?」

憂「へ?」

純「結構スペースあるし、二人で寝るくらい平気でしょ」

憂「…………」

純「寝相は……あたしはちょっと自信ないけど、憂は平気だよね?」

憂「…………」

純「どっちにしろ、布団を持ってくるよりはマシでしょ」

憂「…………」

純「……憂? 聞いてる?」

憂「……ぁ……ぅぇ……え……えぇぇぇぇぇっ!?」

116: 2011/04/01(金) 18:37:49.95
純「ぅわっ!? ちょ、憂? 声大きいってっ」

憂「だだだだってだってふ、二人でって……二人っきりでってことだよねっ!?」

純「そ……そう、だね」

憂「そんな急にっ だってわたし達友達同士だしっ!」

純「う、うん」

憂「それにそれに女の子同士だしっ!」

純「知ってる」

憂「えっとえっとぉ……ほら……あの……」

純「友達で女の子同士なら問題ないでしょ?」

憂「…………」

純「…………」

憂「……そだね」

純「うん……?」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

117: 2011/04/01(金) 18:39:03.70
憂「じゃぁ、電気消すね」

純「はいよー」

≪カチッ スタスタ≫

憂「…………」

純「……何でベッドの脇に突っ立ってるの?」

憂「き、緊張してしまいまして」

純「また敬語か」

憂「うぅ……」

純「早く布団に入らないと風邪引いちゃう……ぞっ」

≪ぐいっ ぼふっ≫

憂「きゃっ」

純「そして……とぅっ!」

≪バッ ふわっ≫

憂「わわっ」

純「いらっしゃぁ~い♪」

118: 2011/04/01(金) 18:40:07.21
憂「お、お邪魔します」

純「まぁ、憂の布団なんだけどね」

憂「う……ん」

≪もぞもぞ≫

純「……何故離れる」

憂「えと……その……」

純「だーいじょぶだって。寝相はちょっと悪いかもだけど、蹴っ飛ばしたりとかはしないから。絶対に」

憂「そうじゃないんだけど……」

純「そんな端っこで寝てると落っこちちゃうよ? ほら、もっとこっち来なってば」

≪ぐいぐいっ ぎゅぅ≫

憂「ぁ……ぅ……」

純「つっかまえた~」

憂「じゅ、純ちゃんっ その……色々と……くっついて……」

純「憂だって普段からくっついてくる時あるでしょー? たまにはこっちからくっつかせてよぉ」

憂「うぅぅっ」

119: 2011/04/01(金) 18:41:04.83
純「でもまぁ、このままじゃ寝にくいか」

憂「……ふぅ」

純「あ」

憂「どうしたの?」

純「布団に入ったら急に眠気が……ふぁ~ぅ……」

憂「わたしは目が冴えちゃったかも」

純「でもここで寝たら負けだ。頑張って起きてよう」

憂「素直に寝ちゃった方が良いんじゃない?」

純「今日は何か『いつもとちょっとだけ違う日』って感じがするから、最後まで普通じゃない方が面白いじゃん」

憂「ふふっ そうなんだ♪」

純「というわけでお喋りターイム。さっき憂、なんでも聞いて良いよって言ったよね?」

憂「うん……あ、でもっ」

純「分かってるって。体重とかウェストの話じゃないから」

憂「……よかった」

純「ホントに気にしてるんだね」

120: 2011/04/01(金) 18:41:53.93
憂「う、うん」

純「自信持って良いのに」

≪じぃ~≫

憂「純ちゃんはスタイル良いから分からないんだよ……」

≪もじもじ≫

純「まだ言うか……でもまぁ、気をつけてはいるかなぁ」

憂「ちなみにどんな風に気をつけてる?」

純「……なんとなく? これ以上食べたらヤバイかなぁ……って感じで」

憂「ホントに? それだけ?」

純「うん」

憂「それだけでそんな立派に……」

≪じぃ~≫

純「じ、じっくり見ちゃ駄目だってばっ」

≪まるまりっ≫

純「むぅーっ」

121: 2011/04/01(金) 18:42:51.24
憂「えへへ♪ あ、それで……聞きたいことって何?」

純「あ……うん……」

憂「?」

純「えっと、その……さ」

憂「聞きづらいこと?」

純「そうじゃないんだけど……」

憂「…………」

純「憂」

憂「う、うん」

純「音楽……始めてみて、どう? 楽しい?」

憂「…………」

純「…………」

憂「えっと……」

純「…………」

憂「…………」

122: 2011/04/01(金) 18:43:28.33
純「…………」

憂「……うん、楽しいよ」

純「…………」

憂「うん、楽しい♪」

純「ホントに?」

憂「楽しそうに見えなかった?」

純「見えた」

憂「? じゃぁ、どうして?」

純「だって、憂っていつもにこにこしてるんだもん。時々分かんなくなる時があるんだよ」

憂「そう……なんだ」

純「あ、それが悪いって言うんじゃないよ?」

憂「うん」

純「でもさ……え~っと、ほら……梓って来年大変でしょ?」

憂「軽音部?」

123: 2011/04/01(金) 18:45:02.82
純「うん……でさ? あたしは音楽好きだし部活やってるから、梓の気持ちをちょっとは分かってるつもりなんだよ」

憂「うん」

純「深く考えないで梓のこと手伝ってるけど、憂はどうなのかなぁ……って」

憂「…………」

純「憂は優しいし、梓は友達だし、その……何ていうか……」

憂「……ひょっとして、義務感とか同情だけで手伝ってると思ってた?」

純「ちがっ……う、けど……ちょっと……ちょっとだけ疑ったかも……しれない……」

憂「…………」

純「でもでもっ! 『もしかしたら?』とか『可能性もあるかも?』とか、そーいう……えっと……あー、うぅ……」

憂「…………」

純「待って……待ってね……ちゃんと考えるから……」

憂「うん」

純「…………」

憂「…………」

純「……あたしはさ……音楽が好きなんだよ。で、憂も梓も好き」

124: 2011/04/01(金) 18:45:48.20
憂「う、うん」

純「だから、憂にも音楽を好きになって欲しいって思ってる……楽しいって感じて欲しいって思ってる」

憂「うん」

純「でも時々、憂のこと分かんなくなる時がある。結構知ってるつもりなんだけどね」

憂「…………」

純「楽しそうに演奏してるなぁ……でもホントにそうなのかなぁ……いやいや、きっと好きになってくれるよ……とか、たまに考えちゃう」

憂「うん」

純「あたしのキャラじゃないのは分かってるんだよ? でも梓と軽音部が大変な時だし、憂は優しいし」

憂「…………」

純「もしかしたら無理やりつき合わせちゃってるのかなぁ……とか、仕方なく手伝ってるのかなぁ……とか」

憂「…………」

純「時々……ホント~に時々だけど、考えちゃう時があるんだよ」

憂「うん」

純「そんなことをさっき、ふっと思い出しまして……確認した次第であったりなかったりなんてねてへへ」

憂「うん」

125: 2011/04/01(金) 18:46:22.29
純「…………」

憂「…………」

純「えと……い、以上です」

憂「うん」

純「…………」

憂「…………」

純「……ぅ」

憂「?」

純「うっわぁ~……駄目じゃんこれ。言葉にしてみてハッキリ分かったよ……これ、全部あたしの我侭だぁ」

憂「…………」

純「はぁ……何言ってんだろ、あたし……ダメダメ過ぎる」

憂「…………」

純「憂が音楽とかをどう思うか、憂が決めることだもんね……」

憂「……ぁ」

純「?」

126: 2011/04/01(金) 18:47:04.74
憂「ふふっ……あはっ あはははっ♪」

純「へ?」

憂「あはははっ♪ もうっ 純ちゃんってば♪」

純「な、何? あたしそんなに面白いこと言った?」

憂「違うよ♪ そうじゃなくて……あははっ♪ ご、ゴメンね? 笑ったりして……ふふっ♪」

純「別にいいけど……何かツボに入った?」

憂「ふふっ……うぅん、そうじゃないよ」

純「じゃぁ、何でそんなにウケてるの?」

憂「うん……純ちゃんらしいなぁって思って」

純「えぇ~? あたしが言うのもアレだけどさ……全然あたしらしくないなぁって思ったんだけど?」

憂「そんなことないよ。純ちゃんらしいと思う」

純「そうかなぁ」

憂「だって、心配してくれたんでしょ? わたしのこと」

純「…………」

127: 2011/04/01(金) 18:47:56.62
憂「音楽が好きで、友達のことが大事で、キャラじゃないなぁって思いながらも悩んで」

純「…………」

憂「わたしや梓ちゃんの事もちゃんと分かってて、気を使ってくれる」

純「…………」

憂「だから、純ちゃんらしいなぁ……って思ったんだよ」

純「そう……かな」

憂「まぁ、真剣に考えて……ってところはちょっとだけ意外だったけど、時々考えるってところが純ちゃんらしいよね♪」

純「むぅ……真面目な考え事なんてのは、たまにするくらいで丁度良いんだよぉ」

憂「そうなの?」

純「だって、いっつも難しい顔して考えたりしたら、楽しい事とか見逃しちゃうかもしれないじゃん」

憂「あははっ そうかも♪」

純「また笑った」

憂「だって、さっきの純ちゃんもそうだけど……真面目だったり照れてたり、忙しそうで可愛いんだもん♪」

純「ぅ……ぐ……」

憂「ほら、また照れた♪」

128: 2011/04/01(金) 18:48:58.39
純「照れてないっ」

憂「あははっ♪」

純「笑うなーっ」

憂「ごめ~ん♪」

純「もうっ」

憂「ふふっ……じゃぁ、質問にちゃんと答えるね」

純「質問?」

憂「音楽を始めて楽しい? って質問の答え」

純「それさっき答えなかった?」

憂「きちんと答えたいんだよ」

純「…………」

憂「えっとね……本当に、凄く楽しいって思ってるよ」

純「……うん」

129: 2011/04/01(金) 18:49:41.70
憂「実はね? 結構前から憧れてたんだよ」

純「音楽に?」

憂「うぅん……純ちゃんと梓ちゃんと一緒に演奏すること……純ちゃんと梓ちゃんと一緒に何かをやるってこと」

純「…………」

憂「覚えてる? 去年、家に泊まりにきた時のこと」

純「う、うん」

憂「色々あって、最後に軽音部で演奏したよね」

純「うん」

憂「あの時からかなぁ……三人で何かをやるってことにハッキリと憧れ始めたの」

純「…………」

憂「それまでは『純ちゃんと梓ちゃんって良いなぁ』って思ってる程度だったんだけどね」

純「良いなぁ?」

憂「うん。だって二人には音楽っていう共通点があるんだもん」

純「まぁ……ね」

130: 2011/04/01(金) 18:50:28.02
憂「わたしにはそういうのなかったから……でもあの時、純ちゃんが『セッションしようよ』って言ってくれて」

純「…………」

憂「それまでも友達だったけど、なんていうか……もっと仲良くなれたって言うか……」

純「うん」

憂「一体感っていうと……生意気かな? えへへ」

純「うぅん、そんなこと……ない」

憂「ふふっ よかった♪」

純「うん」

憂「あの日、あの部室で……それまで以上に、純ちゃんと梓ちゃんに近づけた気がしたんだ」

純「そっか」

憂「うん♪ だから今はすっごい楽しいよ。一緒に演奏できて」

純「うん」

憂「以上が、純ちゃんの質問に対するわたしの答えです♪」

純「うん、ありがと」

憂「いえいえ♪」

131: 2011/04/01(金) 18:51:06.79
純「…………」

憂「純ちゃん?」

純「ん?」

憂「どうしたの? 元気ないみたいだけど」

純「ん」

憂「?」

純「…………」

憂「えっと」

純「憂のせいじゃないよ」

憂「…………」

純「えと……あたしが勝手に…………へこんでるだけ」

憂「え?」

純「ちょっと、ね……思い出しちゃっただけだよ……色々……」

憂「純……ちゃん?」

133: 2011/04/01(金) 18:51:44.48
純「…………」

憂「あの……大丈夫?」

純「ん」

憂「…………」

純「あのさ……」

憂「う、うん」

純「ちょっと聞いてくれる?」

憂「うん」

純「今のお泊り会の時の話なんだけどさ」

憂「うん」

純「その……何ていうか」

憂「…………」

純「いじけてたんだよね、あたし」

憂「え?」

134: 2011/04/01(金) 18:52:30.85
純「あの日さ? 学校にいる時から唯先輩からメール着てたでしょ?」

憂「うん。修学旅行先からのやつだよね?」

純「うん……メールがくる度に憂と梓、楽しそうにしてたじゃない?」

憂「う、うん」

純「さっきの憂の話じゃないけど……二人とも良いなぁって……」

憂「…………」

純「あ、別に僻んでたりしたわけじゃないよ? ただ、楽しそうだなぁ……良いなぁ……って思ってね」

憂「そうだったんだ……ゴメンね?」

純「待った待った、謝んないでよ。あたしが勝手にそー思ってただけなんだしさ」

憂「でも……」

純「それに、最初っからいじけてたわけじゃないんだよ」

憂「…………」

純「でも気にはなってた……かな。憂の家に来て、また唯先輩からメール着て……それで一気に爆発しちゃったんだと思う」

憂「そっか……」

純「自分でも嫌だな~って思ってたんだよ? うじうじしてる自分って、あたしは嫌だし」

135: 2011/04/01(金) 18:53:25.56
憂「…………」

純「でもどうしていいか分かんなかった。憂も梓も唯先輩も、誰も悪くないのにね」

憂「…………」

純「だからさっさと布団に入って考えるの止めちゃった」

憂「もしかして、純ちゃんあの時……」

純「えへへっ 寝たふりでした♪」

憂「そう……だったんだ……」

純「まぁ、すぐに本当に寝ちゃったけどね」

憂「…………」

純「あたしは寝れば大抵気持ちが切り替わるんだけど……あの日は無理だったなぁ」

憂「…………」

136: 2011/04/01(金) 18:53:55.02
純「朝になっても全然気持ち変わらなくてさ」

憂「うん」

純「歯を磨いてる時も意地になっちゃって……憂が新しいのくれるって言うのに、絶対二人と同じの使ってやるんだー、とか」

憂「…………」

純「ホント、馬鹿みたいだった」

憂「純ちゃん……」

純「今の憂の話を聞いてて……その時の気持ち思い出しちゃってさ。ゴメンね? 変な話しちゃって」

憂「うぅん……でも、その……」

≪スッ ふにっ≫

憂「んゅ?」

137: 2011/04/01(金) 18:54:37.45
純「しぃ~」

憂「ひゅんひゃん?」

純「こればっかりはホントに謝らないでね? 本気の本気であたしが悪かったんだから」

憂「ひぇも……」

純「今でさえカッコ悪いところ見せちゃったのに、これで憂に謝らせたらもっとカッコ悪くなっちゃうよ」

憂「…………」

純「だから……お願いっ 謝んないで?」

憂「…………」

純「ね?」

憂「ぅん」

純「ありがと♪」

≪スッ≫

憂「ふぅ」

純「とっさに指当てちゃったけど……憂の唇って柔らかいね」

憂「ぁぅ」

138: 2011/04/01(金) 18:55:32.62
純「赤くなっちゃって、愛い奴よのぉ……憂だけに」

憂「も、もぅっ」

純「あはははっ♪」

憂「……ふふ♪」

純「それにさー? その後、うじうじしてたのが馬鹿馬鹿しくなるくらい、気持ちが晴れちゃったし……今となっては良い思い出だよ」

憂「そうなの?」

純「ほら、三人でやったセッション」

憂「う、うん」

純「演奏し終わったらさ……『な~に下らない事で悩んでたんだろー』ってなっちゃってね」

憂「なんで?」

純「さっき憂が言った一体感? 多分そういうの感じたからかも。自分でもよく分からないけどね」

憂「そっか」

純「変に気後れしないで、自分から近寄っていけば良いんだー……って気持ちになってたんだよ」

憂「自分から……か」

純「そそ♪ だから一緒に演奏してくれた憂と梓にも感謝してる。ありがと♪」

139: 2011/04/01(金) 18:56:47.49
憂「そんな……わたしの方こそありがとうって言いたいよ」

純「いえいえ~♪ どういたしまして~♪」

憂「いえいえ、こちらこそ~♪」

純「…………」

憂「…………」

純「ぷっ」

憂「ふふっ」

純「あははは♪」

憂「えへへへ♪」

純「アレかな? こーいうのを青春してるっていうのかな?」

憂「う~ん……そうかも?」

純「何にしてもさ、あたし達ってまだまだお互い知らないこといっぱいあるね」

憂「そうだね」

純「今度、梓も一緒に一晩かけてお喋りでもしようか?」

憂「うんっ それいいかも♪」

140: 2011/04/01(金) 18:57:56.57
純「ふっふっふっ……その時は憂の全てを教えてもらおうかな」

憂「う」

純「あははは……って、そうだ」

憂「ん?」

純「今のあたしの話……梓には内緒ね?」

憂「別にいいけど……なんで?」

純「だって梓に教えたら『え~? 純らしくないね』って言われそうだもんっ」

憂「あ、似てる」

純「だから内緒ね?」

憂「う……ん」

純「二人だけの秘密ってことで……お願いしますっ」

憂「二人だけの秘密……」

純「うんうん」

憂「……うん、分かったよ。内緒にする」

純「ありがとっ」

141: 2011/04/01(金) 18:58:48.55
憂「うぅん、いいよ」

純「梓に弱み見せるとさー、すっごいからかわれそうな予感がするんだよねぇ」

憂「二人の秘密……かぁ~…………ふふっ♪」

純「まぁ、梓は隙が多いからいくらでもやり返せるんだけど……? 憂?」

憂「えへへ♪」

純「おーい、憂? どしたー?」

憂「……はっ!?」

純「ん?」

憂「な、なんでもないよ。大丈夫大丈夫っ」

純「そ? ならいいけど」

憂「うんうん」

純「今日の憂はやっぱりちょっと変だ」

憂「あ……そ、それより純ちゃん。時間時間」

純「え? ……ぉわぁっ!? もうこんな時間っ!?」

憂「明日起きられなくなっちゃうし、そろそろ寝よ?」

142: 2011/04/01(金) 18:59:40.16
純「だねぇ……う~ん……お喋りの魔翌力は恐ろしい……」

憂「ホントにね♪」

純「じゃ、寝ますかー」

憂「はぁい」

純「あ、何か急に眠くなってきた……ぁふぅ……ぁ」

憂「うん、わたしも……ふぁ~」

純「それじゃぁ、おやすみぃ~」

憂「おやすみなさぁ~い」

純「…………」

憂「…………」

純「……くー……すー……」

憂「……純ちゃん?」

純「むにゃ……くかー……」

憂「もう寝ちゃった……」

純「んゅ……くー……かー……」

143: 2011/04/01(金) 19:00:17.72
憂「…………」

純「……くー……かー……」

憂「……よいしょっと」

≪もぞもぞ ぴとっ≫

憂「えへへ……暖かぁい♪」

純「憂?」

憂「きゃぁぁぁっ!?」

純「ぅわぁっ!?」

憂「じゅ、純ちゃんっ!? 寝たんじゃ……」

純「いや、起きてる」

憂「ぅ……うぅ……」

純「なぁにぃ? そんなに引っ付いてぇ~?」

憂「えと……その……」

純「まったく憂はしょうがない……なっ!」

≪ガバッ ぎゅぅ~≫

144: 2011/04/01(金) 19:01:44.85
憂「わっ わぁっ!? 純ちゃんっ!?」

純「ぎゅぅーっ♪」

憂「わっ わ、わ、わぁ!?っ あ、あのっ そのっ!」

純「はぁ~♪ 憂って抱き心地いいねぇ……暖かいし♪」

憂「ぁぅ……あ……う……」

純「あ、ノーブラだとやっぱ感触がダイレクトに伝わるね……っていうか、でかっ」

憂「っ!? もうっ! こうなったら~……えいっ!」

≪ガバッ ぎゅぅ~≫

純「きゃぁっ!? え、ちょっ 憂!?」

憂「純ちゃんも暖か~い♪」

純「や、やだっ ねぇ、憂? 憂ってばぁっ!」

憂「……そして細い」

≪なでなで さすり≫

145: 2011/04/01(金) 19:02:53.33
純「ひゃぁっ!?」

憂「わ、わっ ホントに細~い」

≪さすりさすり さわさわ≫

純「ぁんっ もうーっ! どこ触ってんのよぉっ!」

憂「腰が細い……すべすべ……」

≪なでなで さわさわ つつ~ぅ≫

純「ひゃぅっ!? 憂っ ちょ……んんっ ぁ……んっ こ、こらぁっ!」

憂「ふんすっ」

≪さすりさすり なでなで むにゅっ≫

憂「あ、柔らかい」

純「……憂」

憂「え?」

純「そこお尻」

憂「…………」

146: 2011/04/01(金) 19:03:30.82
純「…………」

≪ふにふに ふにゅっ≫

憂「ご、ごめん……ね?」

純「触りながら言うなーっ!」

憂「てて手が勝手に」

純「嘘吐くなーっ」

≪ガバッ ばたばたっ≫

純「こーなったらあたしも触るっ 憂のお尻揉んでやるっ」

憂「駄目駄目駄目っ! お尻とかお腹とか足とかは絶対に駄目っ!」

≪ばたばたっ ドタドタッ≫

純「じゃぁ、胸っ!」

憂「そっちも駄目ーっ!」

純「我侭すぎるっ!」

憂「そんなこと無いもんっ!」

≪ドシンッ ばたばたばたっ≫

147: 2011/04/01(金) 19:04:27.52
純「このぉーっ!」

憂「きゃぁぁぁっ!?」

≪ギシギシッ どたどたっ バタンッ!≫

純「わっ!?」

憂「えっ!?」

唯「…………」

≪キィ~≫

憂「お、お姉ちゃん……」

純「唯先輩……」

唯「二人とも? 今、何時だと思ってるのぉ?」

憂「夜の0時過ぎ……」

純「です……」

唯「…………」

憂「…………」

純「…………」

148: 2011/04/01(金) 19:05:13.62
唯「何か言うことはぁ?」

純憂「……ごめんなさい」

唯「憂も純ちゃんも子供なんだからぁ……もう寝なさいっ」

純憂「は、はいっ」

唯「まったくもぅ……折角ケーキ食べてたのに……ぶつぶつ……」

≪キィ~ ぱたんっ≫

純「……ケーキ?」

憂「夢……じゃないかな」

純「あ、あはは……」

憂「えへへ……」

純「…………」

憂「…………」

純「改めてみると、二人ともスゴイ格好だね」

憂「そ、そだね……」

≪もぞもぞ いそいそ なおしなおし≫

149: 2011/04/01(金) 19:05:44.31
純「あ、あはは」

憂「えへへ」

純「…………」

憂「…………」

純「寝よっか」

憂「う、うん」

純「あ、憂。もっとこっちに」

憂「……うん」

≪もぞもぞ≫

純「うん、暖かい♪」

憂「……うん♪」

150: 2011/04/01(金) 19:07:17.46
純「明日はいっぱい遊ぼうね」

憂「うん、そうだね」

純「それじゃ……」

憂「おやすみなさい♪」

純「おやすみ♪」

憂「…………」

純「…………」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

151: 2011/04/01(金) 19:08:15.18
          ○ リビング(翌朝) ○

純「ごちそーさまでしたぁ」

憂「お粗末さまでした♪」

純「唯先輩まだ起きてこないね」

憂「お昼まで起きてこないかも」

純「そっかぁ……家に戻る前に、ちょっとくらいお喋りしたかったんだけどなぁ」

憂「でもホントに一回家に帰るの? もう10時だよ?」

純「制服で休みを過ごすなんて嫌だよ」

憂「そっか」

純「ダッシュで家に戻ってちょっと休んだら電話するよ」

憂「うん、分かった」

純「んじゃ、ささーっと帰ろっかな」

憂「玄関まで送るよ」

純「うん」

152: 2011/04/01(金) 19:08:58.06
          ○ 玄関 ○

純「それじゃぁ、また後で」

憂「うん、気をつけて帰ってね」

純「はーい」

≪てってってってっ≫

憂「……さて、片付けしちゃおっと」

唯「う~い~……ねぇ、純ちゃんは~?」

憂「お姉ちゃん、おはよー。純ちゃんなら今帰ったよ?」

唯「ちぇ~……もっとお喋りしたかったのになぁ~」

憂「あはは♪ 純ちゃんも同じこと言ってた♪」

唯「そかー……あ、ご飯ある?」

憂「うん。リビングで待ってて」

唯「ほぉ~い」

・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

153: 2011/04/01(金) 19:09:46.57
          ○ 帰り道 ○

純「夢見るのはぁ~乙~女の~大~事な~仕事でしょ~♪」

純「…………」

純「駄目だ、歩きながら歌うのは疲れる……そだ」

≪ごそごそ ピピピッピッピッピッ≫

純「…………」

梓『もしも~し。どうしたの? まだ早くない?』

純「やほー♪ いや、帰り道が暇でさ」

梓『帰り道? 何それ。一回家に帰るの?』

純「制服のままだしね」

梓『どーいう状況よ』

純「後で説明してあげる」

梓『……じゃぁ、切るね』

純「え~? 電話付き合ってよー……それとも忙しかった?」

梓『……暇だけどさ』

154: 2011/04/01(金) 19:10:29.44
純「じゃぁ、いいじゃん」

梓『何となくイヤ』

純「それより今日、どうする?」

梓『聞いてないし』

純「聞いてるってば……で、何か希望ある?」

梓『特にないかなぁ』

純「あ、だったら一回憂の家に集まらない? 憂がOKしてくれたらだけど」

梓『じゃぁ、純が家に帰る必要ないんじゃない?』

純「制服で休みの日を過ごすなんて嫌ですぅー」

梓『そーいうもん?』

純「そーいうもん」

梓『分かった。じゃぁ、憂の方には私が連絡するよ』

純「OK~。その後こっちに電話頂戴」

梓『ん、分かった』

純「うん、お願い……っと、バス停だ」

155: 2011/04/01(金) 19:11:30.57
梓『あ、だったら連絡はメールにしとく?』

純「そだね。メールでお願い」

梓『はぁい。それじゃ、また後でね』

純「ほいほい」

≪ピッ≫

純「さて、バスは何時に来る……って、来たーっ グッドタイミングっ!」

≪ダッダッダッダッ≫

純「ふぅ……セーフ」

純「……うんうん、やっぱ休みの日は空いてるね」

≪ぽふっ≫

純「ん~……今日は何着ていこうかなぁ」

≪メ、メールダニャーン メールダニャーン≫

純「っと……この着信、外で鳴ると結構恥ずかしいな……後で変えとこ」

≪ごそごそ ピッ≫

純「ふむふむ……『憂の家に集合』ね。OKOK」

156: 2011/04/01(金) 19:12:21.18
純「ふぅ……なんかまったりだぁ~♪」

純「…………」

純「あ、そだ」

≪ガコッ サーッ≫

純「う~ん、良い風ー♪」

純「さぁ~て……今日は何して遊ぼうかなぁ」

純「昨日より面白い日になれば最高だね」

純「ま、兎にも角にも……」







純「頑張って遊ぶぞ~♪」



          おしまい

158: 2011/04/01(金) 19:15:07.27
超乙
すごいほのぼのした

引用元: 純「いつもとちょっとだけ違う日」