3: 2011/02/14(月) 20:34:14.47
梓「と、言う訳で憂にチョコ作りを教えて貰う為に平沢家にやってきました」

純「誰に言ってんの、梓?」

梓「何事にも説明は必要でしょ。純が気にする事じゃないけど」

純「よくわかんないけど、チャイム鳴らすよ」ピンポーン

憂「お待たせ~。用意できてるよ」

梓「お邪魔します」

純「お邪魔しまーす」

4: 2011/02/14(月) 20:40:23.01
憂「どうぞどうぞ」

純「さぁ、どんなの作ろうかなー」

梓「純はジャズ研の先輩に作るんだっけ?」

純「うん。梓もそうでしょ?」

梓「そうだよ」

純「私も澪先輩に作ろうっかなー」

梓「なっ!? 純はジャズ研だけで手一杯でしょ」

純「実際そうなんだよね。余ったら作る事にするよ」

憂「材料は十分あるから大丈夫だよ」

6: 2011/02/14(月) 20:45:25.01
梓「問題は時間だよね。月曜がバレンタインじゃなければ余裕あったんだけど」

純「日曜になってから教えにもらいにきたのがまずかったなぁ」

梓「毎度毎度、泥縄だよね」

純「いやそれ程でもないよ」

梓「褒めてないよ……」

憂「それじゃあどういうの作ろうか?」

純「普通のでいいんじゃないの? 凝ったの作ろうにもタイムアップじゃ切ないし」

梓「まぁそうだけど……やっぱり先輩方は高校最後なんだしさ、豪華なの作ってあげたいじゃん」

憂「ならどういうのがいいのかな。ケーキとか?」

梓「それは去年やったから……うーん」

7: 2011/02/14(月) 20:51:48.54
純「あ、アレいいんじゃない。あのお酒入ってる奴!」

梓「お酒入ってる奴?」

憂「チョコレートボンボン?」

純「そう、それそれ! たまーに食べると美味しいよね」

梓「なるほど、結構いいかも。なんか大人っぽいし」

純「でしょ。あ、でもお酒ってある?」

憂「確かお父さんのウイスキーがあったと思うけど」

梓「勝手に使って大丈夫なの?」

憂「ちょっと電話して聞いてみてくるね。梓ちゃん達は下準備しておいて」

梓「じゃあとりあえずチョコ刻んでおこうか」

純「オッケー」

8: 2011/02/14(月) 20:56:43.80
梓「これも結構……疲れる作業だよね」

純「まぁ、これしないと先に進めないから仕方ないねー」

憂「聞いてきたよー。残り少ないから、全部使っていいって」

純「お、やったね。それじゃあチョコレートボンボンに決定!」

梓「憂、作れるの?」

憂「うん、大丈夫だよ」

10: 2011/02/14(月) 21:02:31.62
梓「チョコは刻み終わったけど」

憂「何か問題あった?」

梓「ウイスキーってどうやって流し込むんだろうって」

純「固めたチョコを半分に割って、くり抜いて入れるとか」

梓「そんな事したら崩れると思う」

純「じゃあパチンコ玉みたいなのをチョコで包んでさ、後で取り出して流し込めばいいんじゃないかな」

梓「パチンコ玉出すときに壊れちゃうよ」

純「じゃあじゃあ、えーっと……えっと……」

憂「あのー……もう準備できてるよ?」

純「ああ、もうちょっと粘りたかった!」

梓「ああ、もう少し遊びたかった」

純「遊ばれてた!?」

11: 2011/02/14(月) 21:07:48.34
梓「それでどうやって入れるの?」

憂「この小さい醤油入れと楊枝を使うの」

梓「それってお弁当とかによく入ってる醤油入れ?」

憂「うん。これにお水を入れて反対向きに楊枝を刺して……冷凍庫で凍らす、と」

梓「なーるほど」

純「え、それでどうなんの?」

憂「えっと――」

梓「はぁ、純は本当鈍いんだから」

純「むっ。何だと、このチンチクリンが!」

梓「なな、身長は関係ないでしょ!」

12: 2011/02/14(月) 21:12:24.12
憂「えっと、話していいかな?」

梓「あ、ごめん憂」

憂「この水が凍ったら、この醤油入れ型の氷ができるよね」

純「うん」

憂「そしたら底をカッターで切り落としてから取り出して、氷をチョコでコーティングするの」

純「氷はどうなんの?」

梓「その為の楊枝だよね」

憂「そう。何か台に刺して、冷蔵庫に入れておけば氷が溶けて」

純「なるほど! 楊枝の穴があいたチョコができるんだ」

梓「それでその穴からウイスキーを入れて完成だね」

憂「そういうこと~」

13: 2011/02/14(月) 21:17:27.77
純「なんだ、結構簡単にできちゃうんだ」

梓「だね。これなら問題なく作れそう」

憂「それじゃあ必要な分だけ凍らせちゃおうか」

梓「私は先輩方の分だけでいいかな。純は……多っ!」

純「え? だって自分でも食べてみたいじゃん」

梓「気持ちは分かるけど……そんなに時間に余裕あるかな」

憂「チョコの量は大丈夫だからいけるんじゃない?」

梓「憂が言うなら大丈夫なんだろうけど」

純「そんじゃ入れまーす」

15: 2011/02/14(月) 21:22:20.21
憂「後の作業はこれが凍った後だね」

純「あれ、じゃあ今は氷が出来るまで待つしかないってこと?」

憂「そうなっちゃうね」

梓「どうしようか?」

純「うーん……あ、今日は唯先輩っていないの?」

憂「今日は澪さんの家に集まって勉強会って言ってたよ」

純「それならさ、この前読んだ漫画の続きを見せてもらっていいかな?」

憂「大丈夫だと思うよ」

17: 2011/02/14(月) 21:28:49.52
梓「純……」

純「何? 別にいいじゃん、待ってるだけなんて耐えらんないわ」

憂「また散らかってると思うから、私も一緒に探すよ」

純「ありがとう。梓はどうする?」

梓「私はここにいるよ。飾り付けとか考えておく」

憂「じゃあまた後でね」

18: 2011/02/14(月) 21:33:51.78
梓「――さて、ああ言ってはみたものの」

梓「チョコ渡すだけなんだから、特に飾らなくても箱に入れておけばいいか」

梓「純にああ言った以上、すぐにあっちに合流するのも癪だなぁ」

梓「どうしようかな」

梓「あ、メール……唯先輩からだ」

梓「何々……『あずにゃん、憂に聞いたけど今日ウチに来てるの? 夜まで待って一緒に晩御飯食べようよ~』」

20: 2011/02/14(月) 21:40:22.40
梓「……勉強会中だよね……?」

梓「まぁ、『確約はできませんけど、帰る前に戻ってきたら考えます』……と。これでいいかな」ピッ

梓「唯先輩達、ちゃんと勉強してるのかな?」

梓「また怒鳴ってる澪先輩の顔が目に浮かぶよ」

梓「このチョコ、皆さん喜んでくれるかな」

梓「どういう反応してくれるだろうか」

梓「まずはいやしそうな律先輩かな――」

21: 2011/02/14(月) 21:45:21.35
梓「――はい、律先輩。チョコレートです」

律「お、なんだ梓。やっと先輩を敬う気になったのか?」

梓「何言ってるんですか。今日は2月14日ですよ」

律「ああバレンタインかー。すっかり忘れてたわ」

梓「これが女子高生の言動ですか……」

律「まあまあ、いいじゃん。別に渡す相手もいないんだしさ」

梓「律先輩がいいならそれでいいですけど」

律「そういう事。それじゃあ遠慮なくいただきまーす」

梓「どうぞどうぞ」

22: 2011/02/14(月) 21:50:32.51
律「むぐむぐ……」

梓「どうですか?」

律「うん、結構美味いよ。ありがとな、梓」ニコッ

梓「……!」

律「うん? どしたー」

梓「なっ、何でもありません! こっち見ないで下さい」

律「ちょっ、何だそりゃ!」

梓「何でもありませんってばー!――」

25: 2011/02/14(月) 21:55:16.61
梓「――という風に」

梓「普段は大雑把でがさつで粗野な感じだけど」

梓「こう、ひょんな事で笑顔を見せられると……中々いいね!」

梓「さ、更に他の人も考えてみようかな」

梓「次はムギ先輩で――」

27: 2011/02/14(月) 21:59:28.92
梓「――はい、ムギ先輩。チョコレートです」

紬「わ~、これってバレンタインのチョコレートかしら? ありがとう、梓ちゃん」

梓「ムギ先輩のお菓子に比べたら、全然大した物ではないですけど……一応手作りです」

紬「梓ちゃん」

梓「はい」

紬「大した物じゃないなんて、全然そんなことないわ」

梓「え……」

28: 2011/02/14(月) 22:05:40.85
紬「梓ちゃんが心を込めて作ってくれたチョコはお金で買える物じゃないの」

紬「美味しいお菓子は一杯あるけど、どれかを選べっていうなら私は断然梓ちゃんのチョコを選ぶわ」

梓「ムギ先輩…………えいっ!」ギュー

紬「ほわあぁぁぁ……あ、梓ちゃん?」

梓「……何も言わずに、しばらくこのまま抱きつかせて下さい」

紬「う、うん」

梓「……ふうっ、すみませんでした。いきなり抱きついちゃって」

紬「ううん、いいの。少し驚いちゃったけど」

梓「あ、あの! ありがとう……です。私のチョコにこんな風に言ってもらえると思ってなかったもので」

紬「それに関しては本心。やっぱり手作りに勝るものはないわね」

29: 2011/02/14(月) 22:12:24.48
梓「ふふっ、そうですね。どうぞ召し上がって下さい」

紬「じゃあいただきます……うん、美味しいわ」

梓「本当ですか?」

紬「本当。梓ちゃんの味がしたもん」

梓「ふふ、それってどういう意味ですか?」

紬「え? えっと、あれ? 私にもよくわかんない」

梓「ぷっ、ふふふっ」

紬「うふふふ」

梓「あはははは――」

31: 2011/02/14(月) 22:22:41.61
梓「――おおおぉ……」

梓「これは……よろしいです……」

梓「いつも笑顔でおっとりぽわぽわのムギ先輩に、真顔であんな台詞言われたら」

梓「そりゃあ私だって感極まって抱きついちゃうよ」

梓「ムギ先輩ってすっごく柔らかくて、いい匂いするんだよねぇ……」

梓「……はっ、いけないいけない」

梓「それじゃ今度は澪先輩かな」

梓「ええっと――」

34: 2011/02/14(月) 22:26:17.64
梓「――澪先輩、チョコレートです!」

澪「今日はバレンタインだっけ。ありがとう、梓」

梓「こちらこそです。拙いですけど、一応手作りなんです」

澪「そうなのか? なんか畏まっちゃうな」

梓「そんな大仰なものじゃありませんよ」

澪「いや、大事に食べさせてもらうよ」

梓「澪先輩……! あ、それにしても」

澪「うん?」

梓「私以外にも結構チョコもらってるみたいですね」

澪「ああ、これ……例のファンクラブの子達からもらってさ」

35: 2011/02/14(月) 22:31:09.79
梓「はぁ……凄い量ですね」

澪「こっちもゆっくり食べさせてもらうよ。ああ、部活の時にでもみんなで食べようか」

梓「いいんですか?」

澪「私一人じゃちょっとキツいし……太ると嫌だし」

梓「あ、すみません!」

澪「いいんだ……気を付けて食べれば……」

梓「み、澪先輩……」

澪「でも梓からのチョコは皆にはあげないよ」

梓「えっ」

36: 2011/02/14(月) 22:35:11.43
澪「独り占めさせてもらう。大事な後輩からの贈り物なんだし」

梓「……!」

澪「何か迷惑だったかな?」

梓「そ、そんな事ないです! 逆です、凄い嬉しいです!」

澪「うん、私も嬉しいよ」

梓「澪先輩……! 一生付いていきます!!」ガシッ

澪「え!? そ、そこまではどうかと……」

梓「いいえ、この手は離しません! せめて今だけでも……」

澪「梓……」

梓「澪先輩……――」

37: 2011/02/14(月) 22:40:49.12
梓「――お、おおおぅ」

梓「イエス、イエス、イエス!」

梓「そして二人はめくるめくファンタジーの世界に……うっ」

梓「しまった、鼻血が……」

梓「……失礼」

梓「やはり澪先輩は素晴らしい方です」

梓「尊敬です。感服です。心酔しちゃいます」

39: 2011/02/14(月) 22:45:46.00
梓「いつもクールでかっこいい澪先輩が」

梓「チョコを渡した時に少し焦り出して」

梓「落ち着いた後に、それでも顔は赤いままで」

梓「照れ笑いを浮かべたままお礼を言ってくれる」

梓「このシチュエーションにやられない人って、この地球上に存在するのかな」

梓「澪先輩が人気爆発でモテちゃう理由もよくわかるよね」

梓「まぁ、誰にも澪先輩は渡さないけどね」

梓「……ゴホン、それじゃ最後に唯先輩は――」

40: 2011/02/14(月) 22:50:19.65
梓「――唯先輩、チョ」

唯「この匂い! もしかしてあずにゃん、チョコレート作ってきてくれたの~!?」

梓「あ、ああ、はい、そうです……一応手作りで」

唯「あずにゃんのチョコ! しかも手作り!」

梓「よくわかりましたね?」

唯「顔に書いてあるよ~。あずにゃんは表情に出やすいんだもん」

梓「そ、そんな事ないですよ」

唯「それよりも、これ! 食べていいのかな?」

42: 2011/02/14(月) 22:55:56.15
梓「あ、はいどうぞ。憂に比べたら全然な出来ですけど」

唯「そんな事ないよ~。あずにゃんの作ってくれたものなら最高のごちそうだよ~」

梓「そこまで褒められると気持ち悪いです……」

唯「それじゃあいっただっきま~す!」

梓「ど、どうですか?」

唯「うん、すっごく美味しいよ! こりゃ、あずにゃんは将来パティシエだね!」

梓「それじゃ男の人ですよ。女の人はパティシエールです」

唯「へぇ~、そうなんだ。あずにゃん物知りだね」

梓「一応お菓子職人って言う意味合いみたいなんで、どっちでもいいみたいですけど」

唯「勉強になったよ」

44: 2011/02/14(月) 23:00:32.29
梓「って、そんな事はどうでもいいですよ。それよりも、褒めていただいてありがとうございます」

唯「いえいえ、こちらこそ。美味しいチョコだったよ~」

梓「お口に合ったようで何よりです」

唯「じゃあ早く部室行こう! 多分ムギちゃんもチョコ用意して待ってるんじゃないかな!」

梓「今チョコ食べたのにまだ欲しいんですか?」

唯「今のはあずにゃんのチョコだもん。ムギちゃんからも欲しいし……それに」

梓「それに?」

46: 2011/02/14(月) 23:06:17.89
唯「あずにゃんがチョコ食べてないから。私があずにゃんに手渡しするよ~」

梓「唯先輩……ふふっ」

唯「ふぇ? 何で笑うの?」

梓「手渡しされてもそれは唯先輩のチョコじゃなくて、ムギ先輩のじゃないですか」

唯「えぇ~? 一旦私の手に渡るから私のチョコだよ~」

梓「違うと思いますよ」

唯「細かい事は言いっこなしで! とりあえず行こうよ!」

梓「はい!――」

48: 2011/02/14(月) 23:10:29.65
梓「――はああぁ……これも素敵関係……」

梓「いつもダラダラして練習しなくて、お菓子ばっかり食べてて」

梓「いまだに楽譜をろくに読めなくて、ギターのメンテナンスも疎かだし」

梓「すぐに抱きついてきたり、おかしな事ばっかりする唯先輩だけど」

梓「いつも明るくて、その笑顔に何度も励まされたし」

梓「時折、ズバっと確信めいた事言うから……」

梓「そういう時に、何かこう……ひ、惹かれる時もある……かな」

純「へぇ、そうなんだ」

梓「そうなんだよ……って、純!? いつの間に!」

49: 2011/02/14(月) 23:15:17.51
純「一人で何かつぶやき出した辺りかな? まずはいやしそうな~、の辺り」

梓「殆ど最初!」

憂「ありがとう、あずさちゃん!」

梓「な、何が……?」

憂「お姉ちゃんの事、そんなにわかってくれているなんて。私もお姉ちゃんも喜んでると思うよ!」

梓「あ、あああ……い、今のは忘れて!」

51: 2011/02/14(月) 23:20:23.00
憂「そんなぁ。律さん達の事も凄くよく言ってたし、私感動しちゃった」

純「うんうん。やっぱ軽音部の絆は強固だよ」

梓「ううううぅぅぅぅ…………さ、さっきのは全部無し! 私は何も言ってない!!」

憂「あはは、そうだね」

純「そういう事にしておくよ。ほら、水が凍ったからチョコに付けよう」

憂「その後は氷を溶かして、空洞にスポイトでお酒入れて完成だよ」

梓「くっそ~……」

53: 2011/02/14(月) 23:25:17.92
憂「あれ?」

梓「どうしたの?」

憂「うーん……思っていたよりお酒の量が少ないみたい。足りないかも」

梓「えぇ!? でも、チョコに使う量なんてたかが知れてるんじゃ」

純「それは!」

梓「うわ、びっくりした!」

純「それは、私が目一杯チョコを作ったからです!」

憂「威張って言う事じゃないよ、純ちゃん……」

55: 2011/02/14(月) 23:30:21.20
梓「はぁ……憂、他にお酒は残ってないの」

憂「一応ビンはあったけど、ラベルが剥がされてて何のお酒かわからないの」

純「でも、どう見ても酒瓶だし。これでいいっしょ」

梓「そんなに言うなら純がそっち使いなよ」

純「残念でしたー。私の分は既に確保してあるの」

梓「い、いつの間に……せこい」

純「いつの間にっていうか、あんたが妄想してた時なんだけどね……」

梓「うっ……わ、わかったよ、足りなくなったらそっち使うよ」

憂「ごめんね、梓ちゃん」

梓「憂は悪くないよ。それにギリギリ何とかなりそうな感じだし」

憂「うん」

56: 2011/02/14(月) 23:36:14.10
梓「――そしてこれが完成したチョコレートです!」

唯「おお~」

律「美味そうじゃん!」

澪「チョコレートボンボンか。これって難しいんじゃないのか?」

梓「いえ、憂に簡単に作る方法教えてもらったので。問題なくできました」

唯「ということは、家に帰ったら憂にも貰えるんだ~」

紬「それじゃあ私、お茶淹れるわね」

梓「あ、ムギ先輩、今日は私が淹れますよ!」

紬「え? 私は別に構わないんだけど……」

58: 2011/02/14(月) 23:41:35.91
梓「今日は特別な日なんですから、たまには後輩の顔を立てさせて下さい」

紬「梓ちゃん……そうね、それならお言葉に甘えさせてもらおうかしら」

梓「はい! では淹れてきますから、先に食べていて下さい」

唯「お酒が入ってて大人の味だね! 美味しい~」

澪「もう食べ終わってるし……」

律「うん、結構いけてるじゃん。梓もやるなー」

紬「上品な甘さね~」

澪「それじゃあ私も……あれ、電話が鳴ってる? ちょっと失礼」

61: 2011/02/14(月) 23:45:12.98
梓(皆さんに喜んでもらってよかった。作ってよかったなぁ)コポコポ

梓「ん、憂から電話? どうしたんだろ」チャッ

梓「もしもし、憂?」

憂『梓ちゃん? 大変だよ!』

梓「ちょ、ちょっと落ち着いてよ!? 何があったの」

憂『ご、ごめんね。えっと、梓ちゃんのチョコ、一つだけお酒足りなくて別なの使ったよね』

梓「う、うん」

憂『あの中身、デスソースっていって、ハバネロ盛り沢山のソースだったみたい!』

梓「え、えぇー!?」

65: 2011/02/14(月) 23:50:41.02
憂『まだ食べてないんだったら、一度中身を確かめた方がいいよ』

梓「う、うん。わかった、ありがとう」

憂『うん、それじゃあ』ガチャ

梓「なんてこったい」

梓「早く食べるのを止めなきゃ! っていうか、そもそも何で酒瓶にソース入れてるの……気付かない私達もあれだけどさ」

梓「それよりも急げ!」

梓「み、皆さん! ちょっと、そのチョコ食べるの止めて下さい!」

唯「ふぇ?」

66: 2011/02/14(月) 23:54:37.84
律「止めろと言われても」

紬「もう澪ちゃんの分しか残ってないけど……」

梓「え!? だ、大丈夫でしたか?」

律「何がだ?」

紬「とっても美味しいチョコだったわぁ」

唯「うんうん。あずにゃんは将来パティシエだね!」

紬「唯ちゃん、それだと男の人よ」

律「女はパティシエールって言うんだぜ。ま、どっちでもいいみたいだけど」

唯「へぇ~、二人とも詳しいね! りっちゃんが知ってるのは意外過ぎだけど」

律「知ってて悪かったな!」

67: 2011/02/14(月) 23:59:35.64
梓(この分なら本当に大丈夫そうだ。という事は残りの1個が例のチョコ?)

梓(異様な雰囲気を醸し出してる……間違いない!)

梓「そ、そのチョコは――」

澪「いやあ、失礼」ガチャ

梓(ひいいぃぃぃぃぃぃ!!)

律「おー、澪。誰からだったんだ?」

澪「ああ、マ……ごほん、お母さんからだ。大した用事じゃなかったよ」

唯「それじゃあ澪ちゃんも早くチョコ食べなよ」

紬「とっても美味しかったわよ」

澪「うん、それじゃあいただき――」

梓「ダ、ダメええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」ドガッシャアアァン!!

69: 2011/02/15(火) 00:06:23.78
澪「うわ! あ、梓!?」

唯「ああ、チョコが!」

律「ドアの方に吹っ飛んでいった!」

さわ子「やっほ~、皆今日はバレンタインよ。チョコ用意してある?」ガチャ

梓「先生!」

さわ子「うん? なぁに、これ」ヒョイ

紬「それ、梓ちゃんの手作りのチョコレートなんです」

梓「そ、それは!」

さわ子「まぁ、そうなの~! それじゃあ遠慮なくいただきまーす!」パク

澪「わ、私のチョコが……」

梓「あああああああああああああああ!!」

73: 2011/02/15(火) 00:11:34.16
さわ子「あら、美味し…………」

唯「とまった」

律「さ、さわちゃん?」

さわ子「…………」サー

澪「な、なんか顔色悪くないか?」

梓「わ、私! 用事を思い出したんで、これで失礼します!」ガチャバタン!

紬「あ、梓ちゃん!?」

さわ子「――――――――!!!!」ビリビリビリビリ

唯「ちょ、超音波!」

74: 2011/02/15(火) 00:16:30.33
梓(振り返るな梓! 一瞬でも立ち止まれば地獄だぞ!)

梓(振り返――うん?)チラッ

さわ子「あ”す”さ”ち”ゃ”~~~~ん”!!!」

梓「うわあああぁぁぁぁぁぁぁああっぁぁぁ…………」

梓(薄れゆく意識の中、私の眼には……)

梓(楽しそうにティータイムを続ける私達の姿が浮かんでいました……)

梓(あはは……あはは……あはは……)




おしまい!

80: 2011/02/15(火) 00:42:01.62
途中の妄想あずにゃん秀逸だったにゃん
乙!

81: 2011/02/15(火) 01:14:19.65
このシリーズは安心のクオリティーだなwww

乙!

引用元: 梓「バレンタインの中野梓」