1: 2010/02/13(土) 21:05:23.59
1話「ムギの恩返し」

むか~しむかし、ある村にとても仲のいい姉妹が住んでおったそうな。

唯「そんじゃあ、わだすは薪を拾ってくるだぁ」

憂「……えっと、お姉ちゃん、その喋り方は何?」

唯「えー、昔話だから雰囲気を出した方がいいと思って」

憂「もう、無理しなくていいの」

唯「はぁ~い。じゃ、行ってきまーす」

憂「美味しいご飯作って待ってるね!」

唯「ほぉーい」

2: 2010/02/13(土) 21:07:43.43
やまみち!

唯「こんなもんでいいよね」

唯「えへへっ、早く帰って憂のご飯食べようっと!」

ぴぃー!

唯「ほえ?」

唯「あっ! 鶴さんが罠にかかっちゃってる!」

鶴「ぴぃぴぃ」

唯「よしよし、今取ってあげるねー」

がちゃこん

唯「あわわ、足怪我しちゃってるよ。ウチに帰って憂に手当てしてもらわなきゃ」

鶴「ぴぃぴぃ」

唯「あはは。大人しくていい子だねー」ナデナデ

鶴「ぴぃぴぃ」

唯「うんうん。今手当てしてあげるから待っててね」

3: 2010/02/13(土) 21:10:59.65
唯の家!

唯「ういー、大変大変!」

憂「お姉ちゃん、お帰り~。って、どうしたの、その鶴さん?」

唯「罠にかかって足を怪我しちゃったんだよー。手当てしてあげて!」

憂「大変! お薬箱持ってくるね!」

……………

憂「ちょっと沁みるけど、我慢してね」

唯「うぅ~」ガタガタ

憂「お姉ちゃんが怖がらないの」クス

唯「だって~」

4: 2010/02/13(土) 21:13:56.79
鶴「……」

憂「わあ、この鶴さん、頭大人しくて頭いいね! もしかして手当てしてるのわかってるのかな?」

唯「ねぇ、憂。この鶴さん、怪我が治るまでウチで飼ってあげようよ~」

憂「そうだね。でも鶴さんって、何食べるのかな~?」

唯「う~ん……ちなみに今日のご飯は?」

憂「…鳥のから揚げ」

鶴「ぴぃぴぃ!」

唯「あわわ、鶴さんのじゃないよ~。ニワトリのお肉なんだよ~」

憂「でも、問題ありそうだよね。鶴さんが何食べるのか、ちょっとぐぐってみるよ!」

唯「さすが憂!」

5: 2010/02/13(土) 21:18:45.03
それから!

唯「いいこいいこ」ナデナデ

鶴「ぴぃぴぃ」

憂「鶴さん、すっかり良くなったね」

唯「そ、そんなことないよね? まだ治ってないよね?」

鶴「ぴぃぴぃ」バサバサ

憂「ほら、元気になった、って言ってるよ」

唯「そんなことないもん!」

憂「……お姉ちゃん、そろそろ鶴さんを自然に還してあげよう?」

唯「…………」

憂「鶴さんにだって家族や仲間がいるんだよ?」

唯「うぅ……」グス

8: 2010/02/13(土) 21:23:14.24
憂「ね?」

唯「ぐしゅぐしゅ……わかった……」ヒック

憂「いいこいいこ」ナデナデ

唯「うい~~」グスグス

鶴「……」

……………

唯「それじゃ、鶴さん、元気でね」ナデナデ

憂「もう罠にかかっちゃ駄目だよ」ナデナデ

鶴「………」

9: 2010/02/13(土) 21:25:55.64
唯「さよなら!」

ばさばさばさ……

憂「元気でね~~~!」

唯「また遊びに来てもいいよ~~!」

ぴぃ~~~~~

憂「…行っちゃったね」

唯「うん…」グシュグシュ

憂「さあ、帰ろう?」

唯「うい~、今日は一緒に寝てくれる~?」

憂「もちろんだよ、お姉ちゃん!」

12: 2010/02/13(土) 21:29:57.55
数日後!

トントン

唯「あれ? こんな雪の日にお客さんかな?」

憂「お姉ちゃん、ちょっと出てくれる?」

唯「らじゃ! どちら様ですか~」ガラガラ

紬「こんばんは。私は旅の者で紬と言います。今晩の宿を探しているのですが、もしよろしければ…」

唯「わかったよ! 上がって上がって~」

紬「は、はい」

………………
………………

憂「お話はわかりました。でもこの雪ですから、今晩だけでなく、しばらくここに留まってはどうですか?」

紬「そ、そんな。ご迷惑じゃ…(なんて出来た子なのかしら)」

唯「全然迷惑じゃないよー。ムギちゃんがいた方が賑やかでいいもん!」

13: 2010/02/13(土) 21:32:43.67
憂「む、ムギちゃん?」

唯「うん。紬ちゃんだからムギちゃん!」

憂「お姉ちゃん、勝手にあだ名なんて付けて」

紬「いいえ。どんとこいです///」

唯「わーい! ムギちゃんで決まりだね!」

憂「それじゃ、紬さん。ご飯を作りますから、苦手なものを教えてください」

紬「そんな、わがままを言っちゃ悪いわ」

唯「ムギちゃん、これから一緒に住むのに遠慮しちゃ駄目だよ~」

紬「そ、それじゃ、トリ肉がちょっと…」

唯「ムギちゃんはトリ肉が駄目なんだー」

紬「ええ。倫理的に問題があるので」

唯「へ?」

14: 2010/02/13(土) 21:36:03.72
ばんごはん!

紬「わあ、美味しそう! 憂ちゃんはお料理上手なのね」

憂「えへへ///」

唯「ういー。あ~ん」

憂「はい、あ~ん」

唯「んぐんぐ。おいひい!!」

紬(こ、これは…///)

唯「美味しいよ、憂!」ダキッ

憂「んもう、お食事中に抱きつかないの」

唯「えへへ。面目ない」

紬(女の子同士っていいなぁ///)ドキドキ

15: 2010/02/13(土) 21:41:32.79
……………

憂「紬さんのお布団、奥の部屋に敷きましたから」

紬「はい………あの」

憂「はい?」

紬「決して、部屋を覗かないでくださいね」

唯「わかったよ、ムギちゃん!(きっと寝相が悪くて恥ずかしいんだね!)」

16: 2010/02/13(土) 21:44:32.13
ムギの部屋!

紬(女の子同士でいちゃいちゃしてるのをもっと見たくて、姿を変えて戻ってきてしまったけど…)

紬(あんなに優しい子たちなんだもの。何か恩返しがしたいわ)

紬(私にできること……)

紬(2人とも、喜んでくれるかしら?)

17: 2010/02/13(土) 21:47:34.76
2人の部屋!

憂「お姉ちゃん、紬さんって怪しくない?」

唯「え~、ムギちゃんはいい子だよぉ~」

憂「ううん。私が言いたいのはそういうことじゃなくて、『鶴の恩返し』は覚えてる?」

唯「もちろんだよ~。はっ!? ムギちゃんってあの鶴さんなの?」キラキラ

憂「お姉ちゃん、喜ぶのはまだ早いよ。お話を思い出して」

唯「え~と、何だっけ?」

憂「鶴は恩返しをするために、自分の羽根で反物を作って贈るんだよ。そのせいで体を悪くして……」

唯「!! ムギちゃんが禿げちゃう!!」

憂「いや、それはわからないけど」

唯「ど、どうしよう、憂」オロオロ

憂「とにかくやめさせなきゃ」

18: 2010/02/13(土) 21:50:09.38
唯「よし! ムギちゃんのお部屋に踏み込もう!」

憂「うーん、確か姿を知られたら、鶴は逃げちゃうんだよ」

唯「じゃあ、駄目だね…」

憂「こんな雪の日に追い出すことになっちゃうもんね」

唯「うーん」

憂「考えたんだけど、今日は黙って反物を作らせてあげようよ」

唯「それで?」

憂「でも明日、反物は受け取らないの」

唯「え~、なんか悪い気がするなぁ」

20: 2010/02/13(土) 21:52:40.81
憂「聞いて。それでこう言うの。『こんなものより、紬さんが元気でいることの方が私たちにとってはずっと恩返しです』って」

唯「おぉ~、憂、いいこいいこ」ナデナデ

憂「お姉ちゃん/// お芝居だよ~。でもそう言えば、紬さんも身を削ってまで恩返しができなくなるよね」

唯「うんうん! いいアイデアだよ、さすが憂だね!」

憂「じゃあ、さっそく明日、作戦開始だね」

唯「おー!」

21: 2010/02/13(土) 21:55:45.83
つぎのひ!

紬「おはようございます」

唯「おはよー!」

憂「おはようございます、紬さん。今、ご飯の用意をしちゃいますね」

紬「その前に、2人に贈り物があるの」

憂「!!(お姉ちゃん!)」

唯「(よしきた!)そんなものいらないよ!」

紬「えっ?」

憂「私もいりません」

紬「そんな……私、2人に恩返しがしたいの。受け取ってもらえないと困るわ」オロオロ

唯「だから、そんなものいらない!」

憂「紬さん。私もお姉ちゃんも、贈り物をされるより、紬さんが元気でいる方がよっぽど恩返ししてもらうことになるんです」

唯「そうだよ、ムギちゃん! だから無理するのは駄目なんだからね!」プンプン

22: 2010/02/13(土) 21:58:31.88
紬「ふ、2人とも……なんて言えばいいのか……本当にありがとう」ウルウル

唯「えへへ。さあ、お話が終わったところで、朝ご飯にしようよー」

憂「うふふ、お姉ちゃんったら。それじゃ、すぐ用意しちゃうね」

紬「待って。せっかく作ったものだから、これだけは受け取って」

唯「うぅ~、もう無理はしない?」

紬「ええ、約束するわ」

唯「わかった。じゃあ今日だけね!」

紬「それじゃ、これを…」

23: 2010/02/13(土) 22:02:09.36
唯憂「たくあん?」

唯「え? え?(反物じゃないの?)」

憂「そ、それじゃ、朝ご飯に…(あれぇ? おかしいなぁ)」

ぱりぱり…

唯憂「うまい!」テッテレー

紬「うふふ、良かったわ」

唯「これ本当に美味しいよ~、って、ああっ!?」

憂「あっ!!」

唯憂「まゆげがない!!」

ムギの恩返し―fin―

26: 2010/02/13(土) 22:05:32.07
2話「唯頭巾ちゃん」

澪「おーい、唯~」

唯「ほーい。って、澪ちゃん!? 澪ちゃんがお母さん役なの?」

澪「うん、そうだぞ」

唯「ふぇー、てっきり憂がやるのかと思ってたよー」

律「私もいるよーん」

唯「りっちゃん!」

律「ちなみに私はお父さん役だぞー」

唯「えぇ~、『赤頭巾ちゃん』にお父さんって出てきたっけ?」

律「こうでもしないと私の出番がなくなるんだよ!」

唯「わかったよ! お父さんがりっちゃんでお母さんが澪ちゃんなんだね!」

律「そうそう、私がお母さん役じゃなくて、澪がお母さん役だ」

27: 2010/02/13(土) 22:09:03.44
唯「なるほどねー」ジー

澪「な、何?」

律「そうそう、わかるだろ?」ジー

唯「うぅ~」ジー

律「な? ムカつくよなー」ジー

澪「な、何で2人して私の胸を凝視するんだぁ!?」

律「うるせー!! 立派なモン付けてるからって威張んじゃねー!!」

唯「そうだー! しぼめしぼめー!」

律「しぼめしぼめー!」

ごんっ

28: 2010/02/13(土) 22:11:58.61
唯「」

律「うぅ~、何で私だけ~?」

澪「うるさいっ、馬鹿律!!///」

唯(!! ここはムギちゃんの『まぁまぁまぁ…』がないと収拾がつかない! ここは私がムギちゃんの代わりに!)

唯「も~ひとこえ~~」

澪「?」

律「何言ってんだ、唯?」

唯「…間違っちった…」

……………

29: 2010/02/13(土) 22:14:11.27
澪「唯、お婆さんの所へお裾分けを持って行ってくれないか?」

唯「え~、めんどくさ~~い」

澪「…唯?」

唯「ひぃっ!? 持って行くであります、サー!」ビシッ

澪「よろしくね」

律「自分で食べちゃ駄目だぞー」

唯「ほ~い、行ってきま~~~す!」ダダッ

澪「ふぅ、まったく」

律「2人きりになっちゃったな」

澪「え? ああ、そうだけど」

律「せっかく夫婦なんだ、こっちはこっちでしっぽり盛りあがろうぜー!」モニュ

澪「きゃああああああああっ!! どこを触ってるんだ!?///」

ごんっ!

31: 2010/02/13(土) 22:16:58.18
窓の外「///」ハァハァ…

律「いーじゃんさー、夫婦なんだしー」

澪「役ってだけだろぉ!」

窓の外「りっちゃんと澪ちゃんが夫婦…」ハァハァ

律「いいからちゅーしましょ、澪ちゅわん」ンー

澪「いい加減にしろ!」

ごんっ!

窓の外「澪ちゃん、駄目よ。自分に素直になって…」ハァハァ

律澪「……………」

がちゃ

32: 2010/02/13(土) 22:22:23.73
律「ムギ、何やってんの?」

紬「あらあらあらあら/// 私に構わず続けて」

澪「何を!?」

律「って言うか、ムギは狼役かー」

狼の着ぐるみを着てけもの耳を付けた紬「そうなの。似合うかしら?」シャランラー

澪「いや、唯、もう行っちゃったんだけど…?」

紬「ええ、知ってるわ。でも私には、ここで2人の夫婦生活を見守ると言う大役が!」

澪「しないから! あれは律の悪ふざけだから!」

律「んもう、澪ちゃんってば照れちゃってー」

紬「やっぱり!!///」ドキドキ

澪「いい加減にしろ―――――――――――――――!!」

33: 2010/02/13(土) 22:26:47.43
紬「追い出されちゃった…」

紬「仕方がないから、唯ちゃんの後を追いましょう」

紬「えーと、私はこれから赤ず、じゃなくて唯頭巾ちゃんを襲って食べるのね」

紬「……唯ちゃんを食べる……」

―――――紬の脳内―――――

唯「いやあ、ムギちゃん、何するの?」

紬「うふふ、その通り、ナニをするのよ」

唯「いやっ、怖いよぉ!」

紬「怖くなんてないわ。とっても気持ちいいことなの」

唯「そうなの? ムギちゃん、優しくしてくれる?」

紬「もちろんよ。だって私、唯ちゃんが大好きなんだもの」

唯「えへへ、照れちゃうよぉ///」

34: 2010/02/13(土) 22:34:12.69
紬「可愛い」チュッ

唯「ん……ムギちゃん、唯を美味しく食べてね」

――――――――――――――

紬「唯ちゃん……」ダラダラ

紬「はっ!」

紬「狼の着ぐるみに赤いブチが出来てしまったわ…」

35: 2010/02/13(土) 22:38:14.00
そのころ!

唯「お婆ちゃんちに~、おっつかいだ~♪」

唯「……………」

唯「お婆ちゃん役は誰だろ?」

唯「まあ、いいや!」

唯「お婆ちゃんちに~、おっつかいだ~♪」

紬「唯ちゃ~~~~~ん!(ああ、唯ちゃんの赤頭巾姿可愛い! こっちに来て正解ね!)」

唯「おぉ~、ムギちゃん!」

紬「うふふ、やっと追いついたわ」

唯「ムギちゃん、可愛い!」

紬「そ、そうかしら?///」

唯「それ、犬?」

紬「……違うわ」

36: 2010/02/13(土) 22:40:17.49
唯「じゃ、クイズだね! えーと、狐とは色が違うしなー。尻尾の形が猫とは違うし……狸!?」

紬「唯ちゃん、『赤頭巾ちゃん』に出てくるものを思い出して。狼よ」

唯「なーんだー。可愛いから狼とは思わなかったよ!」

紬「ゆ、唯ちゃん……///」

唯「で、私に何か用?」

紬「唯ちゃんはどこに行くところなの?」

唯「お婆ちゃんちにお届けものをするんだー」

紬「そうなの、偉いわね」

唯「えへへへー///」

38: 2010/02/13(土) 22:48:07.91
紬「(唯ちゃん、可愛い///)なら、向こうのお花畑に寄って、お婆さんにお花もプレゼントしたら、もっと喜ばれるんじゃないかしら?」

唯「おぉー、さすがムギちゃん、冴えてるね!」

紬「うふふふ(確か、赤頭巾ちゃんがお花を摘んでる間に狼はお婆さんを襲って、お婆さんに成りすますんだったわね)」

唯「じゃ、ムギちゃん。一緒に行こう?」

紬「えっ!? わ、私はちょっと…」

唯「駄目?」ウルウル

紬「いえ、一緒に行くわ」キリッ

唯「わーい、ムギちゃんとお花摘みだー!」

紬「うふふ///」

39: 2010/02/13(土) 22:52:23.34
そのころ!

律「……ムギは行ったみたいだな」

澪「そうだな」

律「今度こそ2人きりだ」チュッ

澪「ね、ねぇ。明るいトコじゃヤダ…///」

律「しょーがないなー、この恥ずかしがり屋めー」

澪「ご、ごめんね、律…」シュン

律「ふふっ、澪のそう言うトコも好きだよ」チュッ

澪「ん……ん……えへ、私も律が大好き///」

律(コンチクショー、何でえOちのときは素直になるんだよー。私を萌え頃す気か!!///)

40: 2010/02/13(土) 22:57:53.52
おはなばたけ!

唯「花冠できたー!」

紬「まぁ、上手にできたわね。お婆さんもきっと喜ぶわ」

唯「違うんだー、これはムギちゃんへのプレゼント!」

紬「えっ!?」

唯「はい、これ」ノセノセ

紬「ゆ、唯ちゃん……///」

唯「似合うよ、ムギちゃん! 凄く可愛いよ!」

紬「うふふ、ありがとう(唯ちゃんの方が何倍も可愛いけど、ね///)」

紬「はっ!!」キュピーン!

唯「どうしたの、ムギちゃん」

紬「い、今、乙女電波を受信したの」ソワソワ

唯「何、それ?」

紬(今、澪ちゃんとりっちゃんがとんでもないことになってる気がする…)

41: 2010/02/13(土) 23:00:44.34
唯「ムギちゃん?」

紬(戻るべきか……)

唯「ムギちゃんってばぁ」

紬(戻らざるべきか……)

唯「ムギちゃん、返事してよぅ」

紬(どうしよう、決められない)オロオロ

唯「……………」

紬(ああ、百合の神様、私はどうしたら…?)

唯「」グスッ

紬「えっ!?」

唯「ムギちゃん……私といるの、つまんない?」ヒック

紬「ええっ!? そ、そんなことないわ」

43: 2010/02/13(土) 23:03:20.39
唯「でも、話し掛けても上の空だし」ウルウル

紬「ご、ごめんなさい、考え事をしてたの。お願いだから泣かないで」ナデナデ

唯「うん…」グスッ

紬(びっくりした。いきなり泣き出すなんて……唯ちゃんってこんな子だったかしら?)

唯「だってムギちゃんと2人きりになれて嬉しかったのに、ムギちゃんは違うのかな、って思ったら悲しくなっちゃって…」

紬「えっ!? ど、どういう意味?」

唯「あの、あのね」

紬「え、ええ」

唯「私、ムギちゃんのことが好き///」

紬「えっ!?」

唯「あ、ごめんね。女の子同士でこんなこと…」

紬「そ、そんなこと(むしろどんとこいです)」

唯「ムギちゃんって、お嬢様で可愛くて優しくて、初めは憧れてたんだけど、その内ムギちゃんとキスしたいとか、そんなことばっかり考えるようになっちゃって…」

紬(あれ? 何かしら、これ。え? 違うわよね? 唯ちゃんが私を好きなんじゃなくて、私が唯ちゃんを好きなのよね?)

45: 2010/02/13(土) 23:07:47.07
唯「///」モジモジ

紬(ああ、そうか。これは夢なのね。納得だわ)

むぎゅううううううう

紬「痛い!」

唯「む、ムギちゃん!? 何で自分のほっぺをつねるの?」

紬「そ、そんな……唯ちゃん、これは夢じゃないの!?」

唯「へ? ゆ、夢じゃないと思うけど…」

紬「そんな馬鹿なっ!!」

唯「何で否定されてるのかわかんないんだけど!?」

紬「だって私、唯ちゃんに片思いをしてるのよ!?」

唯「ええっ!?///」

紬「唯ちゃんが軽音部に来たあの日から、なんて可愛くて純粋な女の子なんだろう、ってそれからずっと唯ちゃんと恋人になれたらいいのに、とか、唯ちゃんとキスできたら幸せだろうな、とか、そんなことばかり考えてるのよ?」

唯「嘘……嘘……」ドキドキ

紬「だからこれは夢なの!」

47: 2010/02/13(土) 23:11:18.11
唯「え―――っ!? なんでそんな結論になっちゃうの!? 私たち、両思いってことじゃないの!?」

紬「えっ?」

唯「えっ?」

紬「でも……それじゃあ……私、唯ちゃんにいっぱいえOちなことしちゃうわ……」

唯「私だって、ムギちゃんとえOちなこといっぱいしたいよぉ!///」

紬「ゆ、唯ちゃん……」ドキドキ

唯「ムギちゃん……」ドキドキ

ちゅ…

紬(凄い……唯ちゃんとキスしてる……もう氏んでもいい!)

唯(夢みたいだよぉ……ムギちゃんの唇だぁ///)

紬(キスってこんなに幸せになれるものだったのね)

唯(こうやって抱き合ってると、ムギちゃんの髪が手にかかって気持ちいいな)

49: 2010/02/13(土) 23:14:19.90
ちゅ、ちゅ…

紬「んっ(ああ、唯ちゃん、大好き!)」

唯「んっ、んっ(ムギちゃんムギちゃん!)」

ちゅばっ

紬「唯ちゃん……好きよ」ハァハァ

唯「私だって」ハァハァ

紬「…唯ちゃん、知ってる? 今の私は狼なの」

唯「うん、知ってるよ?」

紬「だから、今から唯ちゃんを襲っちゃうわ」ドキドキ

50: 2010/02/13(土) 23:17:37.95
唯「う、うん。わかった…///」

紬「唯ちゃん!」ガバッ

唯「ムギちゃん!(ああ、夢みたいだよ)」

紬(両思いってわかったばかりなのに、こんなことしちゃっていいのかしら?)モフモフ

唯(ムギちゃんとえOちしちゃうんだ……ちょっと怖いけど、頑張らなきゃ)

紬「……」モフモフ

唯「ムギちゃん?」

紬「着ぐるみじゃ、何もできないわ!」ガーン

唯「な、なんだって――――っ!!」ガーン

52: 2010/02/13(土) 23:21:34.42
……………

唯紬「ぷっ」

紬「うふふふふ」

唯「あははは」

紬「ごめんね、唯ちゃん。私、暴走しちゃうとこだったわ」

唯「うん、私たち両思いだもんね! 焦らなくてもいいよね!」

紬「ええ」

唯「でもぉ、その代わりキスはいっぱいしたいなぁ///」

紬「そうね///」

ちゅっ

53: 2010/02/13(土) 23:26:47.31
じご!

澪「律……」ハァハァ

律「澪、可愛かったぞ」ハァハァ

澪「んもう///」

律「ふふ(ヤベェ、何でこいつこんなに可愛いんだ!)」ナデナデ

澪「ん……こうしてさ、えOちした後、裸で抱き合ってるのって気持ちいいな」

律「イッた後は敏感になってるもんな」ナデナデ

澪「そうじゃなくてさ、律をもっと近くに感じるんだ///」

律「澪…(コノヤロー、可愛過ぎだろー!!)」

ちゅっ

澪「ん…(律……これ以上ないってぐらい、律のことが好きなつもりなのに、キスのたびにもっと好きになってる気がする……)」

律「ん…(へへーん、こんな可愛い子が私だけのものだもんねー!)」

54: 2010/02/13(土) 23:32:04.52
そのころ!

てくてく…

唯「ムギちゃん」

紬「ええ、ん~」

ちゅっ

唯「えへへ///」

紬「///」

てくてく…

紬「唯ちゃん」

唯「らじゃ! ん~」

ちゅっ

紬「うふふ///」

唯「えへへ///」

55: 2010/02/13(土) 23:33:43.26
てくてく…

唯「ム~ギちゃん」

紬「ええ、ん~」

ちゅっ

唯「でへへへぇ~///」

紬「うふふ///」

てく…

紬「ああっ!?」

唯「ムギちゃん、どうしたの?」

紬「もう夕方だわ! いつの間にこんなに時間が経ったのかしら?」オロオロ

唯「ほえ!? ほ、本当だ!」オロオロ

56: 2010/02/13(土) 23:36:36.50
紬「ほら、あそこにお花畑が見えるもの、そんなに長い距離は歩いてないわ。一体どうしたのかしら?」

唯「も、もしかして魔法使いのしわざかなぁ?」

紬「わからないけど…(でも『赤頭巾ちゃん』に魔法使いって出てきたかしら?)」

唯「とにかく急いでお婆ちゃんちに行かないと夜になっちゃう!」

紬「そうね、急ぎましょう」

てくてく…

唯「ムギちゃん」

紬「はい。ん~」

ちゅっ

……………
……………

57: 2010/02/13(土) 23:39:25.97
唯「結局、お婆ちゃんちに来るのに、夜までかかっちゃったね」

紬「本当に不思議ね…(やっぱり魔法使いのしわざなのかしら…?)」

唯「まぁ、いいや。お婆ちゃあ~~~ん」ガチャ

さわ子「遅いわよ!!」

紬「まぁ」

唯「さわちゃんがお婆ちゃんだったんだー!」

さわ子「私はまだ若いのに!! どぉ~~してお婆さん役なのよぉ~~~~!!」シクシク

唯「わ、私たちに言われましてもぉ~」

紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ。先生、唯ちゃんがお菓子を持ってきてくれましたから」

さわ子「いただきます!」

唯紬「ほっ」

58: 2010/02/13(土) 23:42:23.84
さわ子「それはそうと、2人とも遅かったわね」ムグムグ

唯「なんか知らないけど、今日は時間が経つのが早いんだ~」

紬「ええ、びっくりしました」

さわ子「だから狼や赤頭巾ちゃんより先に、猟師が来ちゃったじゃない」

唯「猟師?」

59: 2010/02/13(土) 23:44:57.46
憂「お姉ちゃん♪」

唯「あ、憂」

紬「憂ちゃん、こんばんは」

憂「もう、お姉ちゃん、遅いよぉ~」

唯「えへへ、ごめんね」

憂「でも良かったよ、狼も一緒に連れてきてくれて……」

がしゃこん!

紬「え…?」

憂「うふ。うふふふふふふ」ユラァ

唯「ういー、危ないよ! ムギちゃんに銃を向けないで!」

紬「ああ……あ…」ガクブル

憂「何言ってるの、お姉ちゃん。お姉ちゃんを襲った狼を退治するのが私の役目なんだよ?」オブツハショウドクダー!

唯紬「ひょえええええええええええええええええ!!!!」

唯頭巾ちゃん―fin―

61: 2010/02/13(土) 23:52:46.11
3話「ムギえもん」

唯「ムギえも~~~ん、助けて~~」

紬「ゆい太くぅん、またジャ○アンに虐められたのかい、って唯ちゃん」

唯「ほえ?」

紬「『ド○えもん』は昔話じゃないと思うの」

唯「うん、そうだね! でもいいじゃん!」

紬「そ、そうね」

唯「ところでムギちゃんの着てるド○えもん模様の全身タイツ、ちゃんと手のトコがグーになってるんだね! 芸が細かい!」

紬「尻尾もついてるのよ~」シャランラー

唯「さすがムギちゃん!」

紬「うふふ」

62: 2010/02/13(土) 23:55:14.22
唯「でも、今のままじゃ駄目だね」

紬「え? どこが駄目かしら…?」オロオロ

唯「頭のフードを取って、髪の毛を出してくれないと!」

紬「そんな、髪の毛を出したらド○えもんっぽくなくなっちゃう」

唯「ハァ……いい、ムギちゃん。ド○えもんの仕事は何?」

紬「え? えーと(仕事? 押入れで寝てドラ焼きを食べて……って、それじゃニートだわ……ド○えもんの仕事……え~と、『ド○えもん』をよく思い出して)」

唯「わかんない?」

紬「そうだわ! の○太君を更正させるのが仕事じゃなかったかしら?」

唯「何それ?」

紬「あれ? 違う?」

唯「もー、ちゃんとド○えもんの歌を思い出してよぉ」

紬「歌? ちょっと待ってね(あんなこといいな、できたらいいな♪)……」フンフン

唯「ね? の○太君の夢を叶えることがドラえもんの仕事なの!」

紬「ああ、本当ね。ごめんなさい、よく知らなくて」

63: 2010/02/13(土) 23:58:24.47
唯「そんで、今のゆい太君の夢はムギちゃんの髪を撫でることです!」フンス

紬「え…?///」

唯「だからフード取って!」

紬「そ、そうね。ゆい太君の夢を叶えてあげなきゃね…」パサ

唯「わーい、ふわふわ~」ナデナデ

紬「///」

唯「ムギちゃんの髪の毛って綺麗だよね~。こんなに綺麗なものを衣装とは言え、隠すのは罪なんだからね!」フンス

紬「ゆ、唯ちゃん…///」

唯「ふわふわ~。ふわふわ~」ナデナデ

紬「///」

唯「……ゆい太君の夢は、ムギえもんといちゃいちゃすることに変わりました!」

紬「え?」

67: 2010/02/14(日) 00:07:04.28
じご!

紬「///」ハァハァ

唯「ムギちゃん、凄く可愛かったよ」ナデナデ

紬「唯ちゃんに恥ずかしいところ、いっぱい見られちゃった…」ハァハァ

唯「えへへ~。ムギちゃんがいっぱい気持ちよくなってくれて嬉しいよ」

紬「唯ちゃん、大好き///」

唯「私も」チュッ

紬「/// 今度は私が唯ちゃんを気持ちよくさせてあげる番ね」

唯「ごめんね、それはできないんだよ。今度もムギちゃんが気持ちよくなる番なの」

紬「あら、どうして?」

唯「だってムギえもんは、未来の世界のネコ型ロボットだから!」

紬「ちゃんちゃん♪」

ムギえもん―fin―

70: 2010/02/14(日) 00:18:01.18

引用元: 唯「おはなし!」