1: 2011/10/24(月) 22:33:56.24

唯「あずにゃん隊員、隊長の予定は?」

梓「はい、ただいま生徒会室にて部長会議中です。後30分程は戻ってこないかと」

唯「よし。澪ちゃん隊員、ドアの外に誰か居ない?」

澪「大丈夫。ここでの会話は誰にも聞こえて無い筈だ」

唯「よし。ムギちゃん隊員、お茶のおかわりを」

紬「はい、どうぞ~」コポポポ

唯「ごくごく……よし!じゃあ『第三回!りっちゃん隊長マジプリティ!隊員活動会議』を始めるよ!」ドンドンッ

____

律←唯達SSです。

りっちゃんモテモテSS、始まるよ!


2: 2011/10/24(月) 22:35:06.41

紬「はい!よろしいでしょうか!」ハイッ

唯「はい!なんだねムギちゃん隊員!」ビシッ

紬「今日の昼休みに散歩してたらね、カップルを見かけたの」

唯「ふむふむ」

紬「でね?エリちゃんとアカネちゃんだったんだけど」

唯「ムグムグ」モグモグ

梓「真面目に聞いてるかと思いきや自然にクッキー食べましたね、今」

紬「で、アカネちゃんがこうやって両手広げて」パッ

唯「ほう!こふやっへ!」モグモグ

紬「『おいで~』って」

唯「おいへ~っへ。ムグムグ、ゴクン」

紬「ええ。そしたらエリちゃんがスッゴイニッコリして抱きついちゃって」

澪「へ~」

唯「なるほど」

紬「可愛かったわぁ。見てる私までキュンってしちゃった」ホワー

澪「……うん、それで?」

紬「へ?」

3: 2011/10/24(月) 22:36:04.70

梓「え、いや、ただの感想ですか?」

紬「違うわよ~。その時『りっちゃん隊長にアレをやったらキュンってなるかな?』って思ったのよ」

梓「あ、なるほど」

唯「ふむふむ……見えた!」ピカーンッ

紬「見えましたか!?」

唯「じゃあ今日の『第三回!りっちゃん可愛いよりっちゃん!隊員活動会議』のテーマはそれで行こう!」

紬「ありがとうございます!」シュビッ

梓「はぁ」

唯「ほら、あずにゃん隊員書いて書いて」

梓「え~っと……なんて書きましょう?」

紬「そうねぇ……『隊長は女の子に両手広げて『おいで~』ってされるとキュンキュンするのか』でどう?」

澪「バッチリだな」

唯「うん!」

梓「じゃあ……え~っと……両手広げて……キュンキュンする……」キュキュ キュキュ

『今回のお題:隊長は女の子に両手広げて『おいで~』ってされるとキュンキュンするのか?』

唯「あっ!あずにゃん隊員や」

梓「はい?何でしょう唯先輩」

唯「もうっ!唯隊員って呼ばなきゃ!」プンスカ

梓「あぁすみません。……でもソコまで拘らなくても」

唯「ダメだよ!今は『隊員会議』中なんだから」

梓「はいはい。で、何ですか唯隊員」


4: 2011/10/24(月) 22:36:54.90

唯「んとね?『キュンキュン』はひらがなの方が可愛くない?」

澪「……確かに」ウン

紬「そうね。流石は唯ちゃん隊員」ウン

唯「でしょ~?」

梓「はぁ。じゃあ……きゅんきゅん……と」キュキュ

『今回のお題:隊長は女の子に両手広げて『おいで~』ってされるときゅんきゅんするのか?』

澪「隊長がきゅんきゅんするとか、想像するだけでコッチがきゅんきゅんしちゃうな」

紬「……顔を赤らめて、俯きがちに」ボソリ

澪「くっはぁ!?」ガタンッ

唯「ほらほら、妄想は後々!」バンバン

梓「そうですよ。律先輩、じゃなくて隊長が部長会議に行ってる間の時間を有効活用しないと」

澪「そうだな。……で、だ」

唯「うむ、何だね澪ちゃん隊員」

澪「……コレ、『されると』って事はする側じゃ無いんだよな?」

紬「ふ……愚問ね秋山隊員」

澪「何だそのキャラ」

梓「ムギせ……隊員、質問なんですけど」

紬「何?梓ちゃん隊員」


5: 2011/10/24(月) 22:37:31.81

梓「何でコレできゅんきゅんするんでしょうか?」

紬「分からないかしら?」

梓「ちょっと良く分かりません……」

紬「ならそうね……澪ちゃん隊員、やってあげて」

澪「え、私が!?」

唯「そだね、多分澪ちゃん隊員が一番凄いからね」

澪「何がだよ!?」

梓「それじゃあ、お願いします」

澪「う……しょうがないなぁ。私もいまいち分かってないんだけど」ウーン

唯「習うより慣れろだよ!」フンス

澪「何か違くないか?まぁ良いや、梓」

梓「はい」

澪「おいで」パッ

梓「おぉう……」フラッ ポフッ

澪「いや、本当に来なくても」

紬「どう?」

梓「何て言うか……引き込まれる様に飛び込んで、抱き締めたくなりますね」ギュー

澪「飛び込んでる抱き締めてる」

紬「でしょう?」

梓「これは……良いですね」ギュー


6: 2011/10/24(月) 22:39:19.67
紬「『抱きしめてあげる』という包容力、それと同時に見える『自分を抱きしめて良い』という無防備さ」

澪「なるほどな……『おいで』という事で引き寄せ、両手を広げる事で飛びこませるのか」

唯「でもコレってやる人によっても変わるよね」

紬「そうね。例えば幼なじみと後輩、それぞれに違った効果が有るわ」

唯「うんうん」

梓「成る程……澪先輩」スッ

澪「ん?」

梓「どうぞ」パッ

澪「はぅあっ!?」ズキューン

唯「おぉ!あずにゃん隊員の突然の行動に澪ちゃん隊員が悶えてるよ!」

紬「先輩としての理性と、目の前の可愛い子を抱きしめたい感情の狭間で苦しんでるのね!」

澪「落ち着け、落ち着くんだ……」ハァハァ

唯「『どうぞ』でもこの威力、さすがはあずにゃん隊員」

紬「ココで抱き締めれば『頼れる先輩』の澪ちゃん隊員が、そのイメージを自ら崩す事になるわ」

唯「でもこのままじゃ、場はこうちゃくじょうたいだよ」


7: 2011/10/24(月) 22:39:57.34

紬「あら?難しい言葉知ってるわね、唯ちゃん隊員」ナデナデ

唯「それほどでも~」エヘラ

梓「澪先輩」

澪「はひっ!?」

梓「ほら、おいで?」クイッ

澪「ひゅっ!?」ボンッ

唯「あずにゃん隊員、ココでまさかの追い打ちぃ~!」

紬「いつもは敬語を使う後輩の甘える様な誘い。コレは流石の澪ちゃん隊員も」

澪「あぁずさ~!」ガバッ

梓「にゃっ!?」

紬「キャラが壊れるわね」グッジョブ

澪「ぎゅ~」ギュー

唯「スゴい……あの澪ちゃん隊員が『ぎゅ~』だって」

紬「コレはコレで……有りね」

梓「ほぅ……」ハフ-

唯「あずにゃん隊員も満足げ」

梓「え、いや、そんな事ないですよ?」アタフタ

紬「良いのよ、恥ずかしがらなくても」フフ

9: 2011/10/24(月) 22:40:46.31

梓「いやいや。……で、いつまでこのままで?」

唯「そりゃあ、気の済むまでだよ」

梓「気の済むって……きゃっ!」フワッ

澪「梓は軽いな!……よっと」ストン ポスッ

梓「いや、あの、澪先輩?何で私を膝に乗せるんですか?」

澪「だって可愛いんだもん」ギュー

梓「もんって……」

澪「成る程な、コレは確かにきゅんきゅんするよ」ギュー

紬「でしょう?百聞は一見に如かずね」

梓「そしてナチュラルに会議を続けるんですか」

唯「あずにゃん隊員も抱きついといて良いんだよ?」

梓「いえ、もうこのままでいいです」

澪「寂しい事言うなよ、梓ぁ」ギュー

梓「そう言われても後ろ向きですし。それにもう十分心地良いので」テレテレ

紬「まぁ、梓ちゃんったら」

澪「あぁもう!可愛いなぁコイツぅ!」ウリウリ

梓「うにゃぁっ!?」


10: 2011/10/24(月) 22:41:37.41

唯「ファンクラブ会員が見たらどうなるだろうね、コレ」

紬「価値は有るわよ」カシャカシャカシャカシャ

梓「何ですかその一眼レフ」

澪「……律がこんな風になってる姿なんて、私でも見た事無いぞ」ギュー

紬「見てみたいでしょう?」

澪「そりゃもう」ギュー

梓「是非もないですよ」

* * *

律「なんだよ澪、いきなり『昼休みに部室に来て』とか言いだして」

澪「あのな……その……」

律「お腹空いてんだけど」ハァ

澪「すぐ済む!すぐ済むからちょっと待って」

律「じゃあ早くしてくれよ」


11: 2011/10/24(月) 22:42:28.14

澪「律!」

律「なに?」

澪「おいで?」パッ

律「……はぁ?」

澪「ホラ、抱き締めてあげる」

律「何で?」

澪「……嫌か?」

律「いや、嫌とかどうとかじゃなくて」

澪「そうか……いや、か……」ウルウル

律「いやいや!嫌じゃないぞ!抱きしめて欲しいぞ!」アセアセ

澪「ほ、ホントか?」パァ

律「うんうん!」

澪「じゃあ、おいで?」

律「うん……」テクテク ギュッ

澪「いらっしゃい」ギュー

律「……なんていうか……気持ちいいな」

澪「私も……」


13: 2011/10/24(月) 22:43:25.37

律「み~お~」

澪「ん?」

律「なんでもな~い」

澪「フフ、変な律だな」

律「ん~、こんな風に澪に抱き着くのって初めてじゃないかなって」

澪「そうだな」

律「……澪」

澪「なんだ?」

律「……好き」ギュッ

澪「……私も」ギュッ

* * *

澪「……とかなるかな!?なるかな!?」

梓「はいっ!?何ですかいきなり?」

澪「あぁ、ゴメン。ちょっとトんでた」

紬「良い具合に妄想してるわねぇ」

梓「ビックリしますよ、もう」

澪「だってさ、梓も想像してごらん?」

梓「想像、ですか……?」

* * *


14: 2011/10/24(月) 22:44:42.24

タッタッタ ガチャ

律「ふぅ」

梓「こんにちは、律先輩」

律「よっす。アレ?梓一人か?」

梓「そうですね、皆さんまだです」

律「ふ~ん……」ドサッ

梓「というかクラス同じなんですから、一緒に来なかったんですか?」

律「ん~、皆バラバラに出てっちゃってさ~」テクテク ストン

梓「皆さんバラバラに?」

律「うん」

梓「部長に何も言わず?」

律「……そうだな」

梓「そうですか……」

律「……うん」

梓「……」

律「……」

梓「……プッ」

律「中野ぉ!?」ガタン


15: 2011/10/24(月) 22:46:02.27

梓「いえ、スミマセン」クスクス

律「信用無いとか思ったろ~」

梓「いえいえ、そんな事」

律「じゃあ何で笑ったんだよ」ムスー

梓「えと、皆さんが先に教室から出て行ってしまって、一人残された律先輩を想像したら寂しそうだなって思って」

律「寂しくなんかないやい!」

梓「ほんとですか~?」

律「ほんとだい!」

梓「階段、走って上ってきたのに?」プププ

律「うぐっ」グサリ

梓「良かったですね?私が居て」クス

律「な、なんだよぉ。梓だって私がこなかったら一人ぼっちだったろぉ?」

梓「私は別に一人でも。練習捗りますし」

律「ああ言えばこう言う……」

梓「自覚してます」

律「はぁ~あ……」


16: 2011/10/24(月) 22:46:52.32

梓「……」

律「……」ジー

梓「……何ですか?」

律「いや、梓と二人きりってのも珍しいなって思って」

梓「そうですね」

律「なんだよ、冷たいなぁ」

梓「別にそんな事ないですよ」

律「本当か~?」

梓「はい」

律「梓~」

梓「何ですか?」

律「ひま~」

梓「そうですか」

律「やっぱり冷たい!?」ガーン

梓「冗談ですよ」クスクス


17: 2011/10/24(月) 22:48:14.21

律「こいつ~」

梓「でしたら、皆さん来るまで何かしますか?」

律「何かって?」

梓「ゲームとか」

律「ゲーム~?」

梓「二人でする様な勝負とか、お遊び程度で?」

律「勝負ねぇ~……罰ゲーム有りで?」

梓「すぐそういう発想しますよね、律先輩って」

律「だってただやるより盛り上がるだろ?」

梓「まぁそうですけど……」

律「う~ん」ムー

梓「じゃあ手っ取り早く、ジャンケンして負けた方が簡単な命令を聞くとか?」

律「あ、ソレ魅力」

梓「皆さんももうすぐ来るでしょうし、すぐ済む簡単なお願いだけですよ」

律「分かってるよ」


18: 2011/10/24(月) 22:49:59.25

梓「じゃあジャンケンしますか」

律「ちなみに梓は勝ったら何言うつもりだ?」

梓「それは勝ったら言いますよ」

律「なるほど……金は無いぞ!」ドヤッ

梓「知ってます」

律「おぉう……」

梓「そうゆう損得が絡むのは無しにしましょう」

律「そうだな」

梓「『何か買ってきて』でも良いですけど、費用は勝者持ちで」

律「了解」

梓「じゃぁ……じゃ~んけ~んポン」グー

律「ポン!」パー

梓「あ……」

律「いょし!」グッ

梓「う~」

律「言いだしっぺが負けてちゃ世話ないな」ニヤニヤ

梓「仕方ないですね、負けは負けです」

律「そうだな……じゃあどうしようかな~」

梓「簡単なお願いにして下さいよ」

律「オッケー。じゃあ『他の誰かが来るまで梓は私にタメ口』で!」

19: 2011/10/24(月) 22:50:32.12

梓「……何ですかそれ?」

律「だって梓いっつもビシッとしてて敬語でつまんないんだもん」

梓「つまんないって……」

律「憂ちゃんとか代々木さんとかと居る時はダラっとしてる癖にさ~」

梓「代々木って……純の事ですか?まぁそれは友達ですし」

律「ヒドイわ!?私達は友達じゃ無いって言うのね!?」キーッ

梓「いや、先輩後輩じゃないですか……」ハァ

律「そうゆうのじゃなくてさ~、同じ軽音部の仲間だろ~?」

梓「そりゃそうでしょうけど」

律「もっとこうさ~、フレンドリーにさ~」

梓「今でも十分仲良くして戴いてると思ってますけど」

律「まぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁ」

梓「まぁが多いですよ……」


21: 2011/10/24(月) 22:51:27.41

律「誰か来るまでで良いしさ。お遊びだろ?」

梓「そう言われましても……」

律「仲良くしようよぉ~」ユサユサ

梓「そう言ってもらえるのは嬉しいですけど~」ユラユラ

律「ダメ?」

梓「出来れば別のお願いの方が」

律「だったら『今日一日ネコミミ装着』とどっちが良い?」ニヤリ

梓「なっ!?」

律「それだって『損得の無い簡単なお願い』だろ?」

梓「え~……私損じゃないですか?ソレ」

律「私はどっちでも良いぞぉ?」ニヤニヤ

梓「……前者でお願いします」

律「……します?」

梓「……お願い」

律「よろしい」

22: 2011/10/24(月) 22:53:01.52

梓「ハァ……で?」

律「ん?」

梓「いや、じゃあもう、諦めてそうするけど」

律「おっ!良い感じ良い感じ」

梓「何か無いの?」

律「何かって?」

梓「話題。喋らないと意味無いじゃん」

律「……あぁ」ポンッ

梓「何か話振ってよ」

律「そうだな~……う~ん」

梓「……律っていつも行き当りバッタリだよね」

律「うぐぅ」

梓「このまま二人ともダンマリじゃジャンケンした意味すら無いじゃない」

律「ごもっともです……」

梓「そんなんで大学行けるの?」

律「行けるよ!頑張ってるよ!」

梓「ちゃんと勉強してる?」


24: 2011/10/24(月) 22:54:34.64

律「もちろん!」

梓「本当に?」

律「そりゃもう!」

梓「じゃあ6+2×4=?」

律「……えっ、算数!?」

梓「いくつ?」

律「え~っと……8で……だから……」モジモジ

梓「うんうん」

律「14!」ビシッ

梓「え」

律「え?あ、合ってま、すよね?」

梓「律の事だから絶対『6+2=8で8×4だから32!』って言いだすと思ったのに」

律「そんぐらい分からぁ!」ガーッ

梓「えらいえらい」ナデナデ


26: 2011/10/24(月) 22:55:41.38

律「いや~、それ程でも~」テレテレ

梓「御褒美に抱きしめてあげる。ほら、おいで?」パッ

律「わ~い」ダキッ

梓「可愛いね、律は」ギュー

律「あ~ずさ~」ギュー

梓「り~つ~」ギュー

律「あ~ずさ~」ギュー

梓「り~つ~」ギュー

律「あ~ずさ~」ギュー

* * *

梓「……最高ですね!」ムフー

澪「長いよ」

梓「え?」キョトン

澪「別の話が紛れ込んできたかと思った」

梓「良いじゃないですかたまには」


27: 2011/10/24(月) 22:57:23.00

澪「途中から先輩後輩が逆転しちゃってるし」

梓「妄想なんですからその位大目に見て下さいよ」

澪「まぁ良いけど」

梓「っていうか何で澪先輩が私の妄想にツッコミを入れれるんですか?」

唯「あずにゃん隊員、全部口から出てたから」

梓「あ、そうでした?いやお恥ずかしい……」テレテレ

紬「まぁ、妄想は本番までの予行練習って事でね」

澪「そうだな」

唯「じゃあ後はいつも通りで」

紬「ええ。あくまでも二人きりの時に」

梓「行動はこの部室内限定で、ですね」

澪「よし。じゃあ先ずは誰から?」

唯「今週は……ムギちゃん隊員からかな?」

紬「はい!」ビシッ

澪「それじゃ、明日はムギ以外が用事で遅れるって事で」ギュー

唯「よしっ!じゃあ今日の『第三回!りっちゃん隊長可愛過ぎてきゅんきゅんしちゃう!隊員活動会議』はココまで!」ドンドン

ガチャ!

唯澪紬梓「はっ!?」ガタッ

28: 2011/10/24(月) 22:58:39.58

和「やっぱり今日も会議してるのね。もうすぐ先生と一緒に上がってくるわよ」

唯「和ちゃんか~。丁度終わったところだよ」テテテ

和「へぇ、そうなんだ。今回は……両手を広げて『おいで~』?」

唯「うん。こうやって、おいで~って」パッ

和「成る程」ダキッ

唯「わおっ」

和「確かに、キュンとして抱き締めちゃうわね」ギュー

唯「でしょ?」

和「また日替わりで律に仕掛けるの?」

澪「まぁタイミングを見計らってな」ギュー

和「……澪、珍しい事してるわね」

澪「梓の『おいで~』にやられちゃってさ」ギュー

和「そうなんだ。律が来るまでに離れときなさいよ」

梓「そうですね、勘違いされちゃいますしね」

澪「そうだな」スッ


29: 2011/10/24(月) 22:59:59.72

和「今日で三回目?飽きないわね、貴女達も」

紬「飽きる訳ないじゃない」

和「……そうね、そうよね」

唯「ん?どうしたの和ちゃん?」

和「気にしないで。にしても貴女達の会議って前進しないわね」

紬「前進?」

和「律の愛で方を考えるのは結構だけど、律と付き合えるのは一人だけでしょう?」

唯「付き合う?」

和「いや、律とどうなりたいとか無いの?」

唯「ん~」

梓「あぁ~」

澪「そうだなぁ……無い事は無いけど」

紬「皆で愛でる事しか考えてない、かな?」

和「やれやれね。そんな考えじゃ誰かに先を越されるわよ」


30: 2011/10/24(月) 23:01:21.02
唯「その時はその時だよ~」ネー

澪「そうそう。律の幸せが一番だからな」ネー

紬「りっちゃんが好きな人と一緒に居るなら、それで良いわよ」ネー

和「そ。後悔しなければ良いけど」

梓「後悔?」

和「本気の人は貴女達みたいに伊達や酔狂で行動しないのよ」

唯「私達だって本気だよ!愛してるよ!」

和「愛し方のベクトルが違うじゃない」ヤレヤレ

紬「どういう事?」

和「誰かが本気出したら、奪われるのはすぐじゃないのって事」

梓「それは……そうかもしれませんけど」

和「その時、どうするのかしらね?貴女達は」

唯「大丈夫だよ~。りっちゃんの事は私達が一番くわしいもん」

澪「そうそう。今の所私達以上の隊員は居ないさ」

和「……まぁ良いわ。じゃあ私、生徒会室行くね」

唯「うん!また明日ね!」

和「皆も、バイバイ」

澪「うん」

紬「また明日」フリフリ

梓「さようなら、和先輩」

ガチャ バタン


31: 2011/10/24(月) 23:03:00.87

和「やれやれね……ん?」

律「あれ?和」トントン

和「あら、律に先生。ナイスタイミングね」

律「ナイスタイミング?」

和「こっちの話よ」

律「あ、そう」

和「それじゃ。先生も、サヨウナラ」トントン

律「おう!また明日な」

さわ子「ハイ、さようなら」

和「……」トントン ピタッ

律「ん?どうした?」

和「……いや、少し考える節が有ってね」

律「あ、そう。悩み事?」

和「似たような物ね」

32: 2011/10/24(月) 23:03:48.16

律「珍しいな、和が悩み事なんて」ネー

さわ子「そうね。いつも即決即断で動いてる感じだものね」ネー

和「私だって人の子ですよ?」

律「そりゃそうだ」

さわ子「で、どんな悩み事?」

和「悩みというか……進むか進まないか決断を迷っているといいますか」

律「ハッキリしないなぁ」

和「どっちにしろ、階段ですれ違い様に話す様な、軽い話じゃ無いわね」ハァ

さわ子「あらそう?」

律「真面目な話なんだな」

和「まぁ、私にとっては」

律「ふ~ん……」

和「まぁ、気にしないで」

律「……だったら、進んじゃった方が良いんじゃないか?」

和「え?」キョトン

律「今だって足を前に動かして降りないと生徒会室に行けないんだし、何だって進まなきゃ進めないだろ?」

さわ子「あら、良い事言うわね」

和「……」

律「……な、何かちがったか?」

和「いえ、まさか律に背中を押されるとか思ってなかったから」


33: 2011/10/24(月) 23:04:48.56

律「なんだよ、失礼だなぁ」ムー

和「えぇ、そうね。進まなきゃ駄目よね」ウン

律「そうだよ。ウジウジしてるのはらしくないぞ?」

和「ありがと」

律「どういたしまして」

和「そうだ、律?」

律「何だ?」

和「この間の書類、不備が有ったから直しに来てもらって良いかしら」

律「マジで!?ゴメン、すぐ直すよ」

和「お願いするわ」

律「すぐ行こうやれ行こう。さわちゃん、皆に言っといて~」トントン

さわ子「ハイハイ」

* * *


35: 2011/10/24(月) 23:07:56.88

ガチャ 

律「ただいま!我が生徒会室よ!」クルクル

バタン カチャ

和「貴女のでも私のでも無いわよ」

律「相変わらずクールなツッコミですこと」

和「どういたしまして」

律「そういえば間違えてた書類ってどれ?」

和「最近は忘れずにしっかり提出してくれてるし、不備なんて無いわよ」

律「……はぁ?」ポカン

和「しっかりしてるわよね、最近の律は」

律「なんだよ、嘘ついたってのか?」

和「えぇ」

律「なんで?」


36: 2011/10/24(月) 23:09:40.08

和「そうねぇ……律は、女の子同士の恋愛ってどう思う?」

律「はぁ!?いきなり何の話だよ」

和「真面目な話よ。クラスにも居るでしょう?そんなカップル」

律「あぁ~……まぁ別に良いんじゃないか?」

和「そう?」

律「お互いがそれで良いんなら、他人がとやかく言う問題じゃないだろ?」

和「大人ね」

律「分かってないだけだって」

和「第三者だから?」

律「まぁ、そうだな」

和「じゃあ……律が澪とか唯とかに言われたらどう?」

律「どうって……想像出来ないな」

和「……ハァ」

律「なんだよ、もっとしっかり考えろって?」

和「いえ、分かってないわねって」

律「なにが?」

和「まぁ良いわ」

律「なんだか納得いってないみたいだけど」

37: 2011/10/24(月) 23:10:44.53

和「まぁ、ね。例えば同性の子に告白されたらどう?」

律「そりゃ相手によるけど……好きになってくれるのは嫌じゃ、ない……かな?」

和「そう。それは良かったわ」

律「良いのか」

和「律って、甘えたい?甘えられたい?」

律「今度は何だよ?」

和「大事な話よ」

律「ホントか?」

和「ええ、とっても大事な話」

律「……う~ん」

和「律ってどちらかと言えば『甘えられる側』よね」

律「まぁ……そうだな」

和「そっちの方が良い?」

律「どうだろ?でもそれを言えば和だってそうじゃないか?」

和「え?」

律「和もいつも頼られて、甘えられてるじゃないか」

和「そうね」


38: 2011/10/24(月) 23:12:06.02

律「そっちの方が良いか?」

和「……相手によるわ」

律「ふぅん……じゃあ私もそれで」

和「あら、そういう返しはズルいわよ」

律「まぁ実際、和には甘えてるしな」

和「確かにそうね」

律「いつも感謝してるよ」

和「私だって律が好きでやってるんだから、構わないわよ」

律「そっか、ありがと。で?」

和「ん?」

律「今の話と和が嘘をついた事とどう繋がるんだよ?」

和「……ハァ」

律「またタメ息!?」

和「今の話聞いてた?」

律「聞いてたよ!」

和「聞いた上で分かってないの?」

律「分かんないから聞いてるんだろ?」

和「分かったわ……アプローチを変えましょう」


39: 2011/10/24(月) 23:13:08.62

律「あぷろーち?」

和「そうねぇ……先ずは嘘を吐いた理由だったかしら?」

律「おう」

和「律と二人きりになりたかったから、じゃあ不満?」

律「……え?」

和「……駄目だったかしら?」

律「いや……だったらそんな回りくどい事しなくてもさ?普通に誘ってくれれば」

和「普通に誘ったら二人きりになれないでしょう?」

律「んな事ないって」

和「いいえ。例えばさっきの階段で『話が有るんだけど』と誘うとするじゃない」

律「うん」

和「きっと貴女は『じゃあ折角だし一緒にお茶しながら喋ろうぜ!』とか言って私を部室に誘うわ」

律「……あ~、否定出来ない」

和「でしょう?だからこうやって、嘘吐いてまで二人きりになったって訳よ」

律「え~……なんで?」

和「ストレートに言わなきゃ分からない?」


40: 2011/10/24(月) 23:14:21.05

律「ストレートとかシンカーとかじゃなくてだな」

和「そうね……さっきからお分かりの通り律は鈍感だものね」

律「鈍感って……何に対して」

和「私達の気持ちよ」

律「……達?」

和「鈍感な田井中さんには、どんな変化球もボール球なのよね」

律「あのさ和、さっきから何の話なんだよ」

和「自分で気付いて欲しいものなのだけど、ここまで言っても分からないのね」

律「和が自分で今言ってたろ?『田井中さんは鈍感だ』って」

和「あら、認めるの?」

律「認めちゃないけど……そうしとかないと話進まないみたいだし?」

和「確かにそうね」クスクス

律「だからさ、教えてくれよ」

和「分かったわ。じゃあ飛びっきりのストレートをお見舞いしてあげる」

律「おう!しっかりキャッチするぜ!」バッ


41: 2011/10/24(月) 23:15:32.49

和「今は二人きり、誰にも見えない聞こえない、今ココでしてる話は全部、二人だけの秘密よ」テクテク

律「お、おう」

和「私が何をしても、律が何をしても、私達以外誰も知る事が無い、二人だけの空間」テクテク

律「何だよ、『ストレート』っていう割にはヤケに回りくどくないか?」

和「今はまだ投げる構えもしてないわ。マウンドをならしてる様なモノよ」パッパッ

律「そ、そうか」

和「じゃあ、行くわよ」

律「手の届く距離だからっていきなりパンチとか止めろよ?」

和「……そんな要件だったらこの部屋に入った瞬間に後ろからやってるわよ」

律「それもそっか。って怖い事言うなよ」

和「行くわよ」

律「よ、よぉし来い!」

和「はい」パッ

律「……ん?両手広げてどうしたんだ?キャッチするのは私だろ?」

和「ほら、おいで?」

律「……は?」キョトン

和「ね?」


42: 2011/10/24(月) 23:16:48.96

律「……、……いや、おいでって何だよそれいきなりそんな事言われても私としちゃ一体何がなんなんだか訳が分からないよ」

和「律」

律「そんな可愛いカッコしてコッチを見つめられても私としてはいきなり飛び込んで甘えるなんてキャラ的におかしいしってゆうかとにかく」

和「り~つ」ジー

律「……はい」

和「おいで」

律「……良いの?」

和「ええ、たまには誰かに甘えたいでしょう?」

律「……まぁ……うん……」

和「嫌なら良いわよ」スッ

律「あ、いや、嫌じゃない!」アセアセ

和「じゃあはい、おいで」パッ

律「……、……ん」ギュッ

和「よろしい」ギュー

律「……柔らかい」ギュー

和「律だって柔らかいわ」


43: 2011/10/24(月) 23:17:48.60

律「和っていいにおいするな」

和「律だって」

律「……きもちいい」

和「私もよ」

律「なんだろ?こう……」

和「きゅんきゅんする?」

律「あ~、うん。そんな感じ」

和「やっぱり、正解ね」フフッ

律「正解ってなんだよ」

和「いえ、私も同じって事よ」

律「良いなぁ……こうゆうの」

和「そうね。律ってこういう甘え方しないでしょう?」

律「まぁ、キャラじゃないしな」

和「そうね」クスクス

律「な、なんだよ。和から誘っておいて」

和「律がこんなに可愛らしく甘えてくるなんて、確かにらしくないわね」


44: 2011/10/24(月) 23:18:40.10

律「なんだよ~」

和「他の人に知られたくないわね。勿体ないわ」ギュー

律「他の人にこんな事しないよ」

和「ふ~ん」

律「ふ~んってなに?」

和「私なら、また抱き締めても良いって事かしら?」

律「え、あ、まぁ……うん」モジモジ

和「本当、可愛いわね」

律「ちくしょ~」

和「何よ、褒めてるのよ?」ナデナデ

律「あ~、ソレ気持ちいい」

和「そう?じゃあもう少し」ナデナデ

律「ふぃ~……人に甘えるって良いな」

和「私も甘えられるの好きよ?」

律「唯とかがいつもやってるもんな」

和「……こういう雰囲気で他の子の名前出す?」ハァー

律「へ?」


45: 2011/10/24(月) 23:19:31.16

和「律って、本当に鈍感で意地悪よね」ヤレヤレ

律「え?また鈍感?」

和「分かったわ。律がそういうなら私、もう唯とそこまで仲良くしないわよ」

律「は?いや、仲良くしようよ」

和「良いの?私が他の子と仲良くしてても」

律「そりゃそうだろ?幼馴染じゃないか」

和「……もうちょっと独占欲ってものを持ってほしいわね」

律「はぁ?」

和「まぁいいわ」

律「あ、そう」

和「律が甘えるのは私だけだものね」

律「そうだな……あ~、ずっとこのままでも良いかも」

和「嬉しい事言ってくれるわね」


46: 2011/10/24(月) 23:21:03.28

律「あ、でもそれじゃ迷惑だよな」

和「そんな事ないわよ」

律「いやだってそんな、まるで……恋人みたいな」カァァ

和「良いわよ」

律「え?」

和「律とこうしていられるなら、恋人にさせて頂戴」

律「え、え~っと……」

和「むしろ願ったり叶ったりよ」

律「あ、う、はぇ?」

和「だって律の事がずっと好きだったんだもの、当り前じゃない」

律「はぁ!?」バッ

和「離さないわよ」ギュー

律「え~っと……どうゆうこと?」

和「どうもこうも無いわよ。この部屋に入ってから私はずっと『貴女が好き』って言ってるのよ?」

律「……マジで?」

和「というかこんな状態でもまだ『友達同士の戯れ』だと思ってたの?」

律「『和もたまにはこんな事するんだなぁ』って」

和「……ハァ」

律「スミマセン、何度もタメ息つかせちゃって」


48: 2011/10/24(月) 23:22:43.18

和「私としてはずっと貴女に想いを伝えてるつもりだったんだけど」

律「つもりなのは和だけだろ?」

和「そう……そんな言い方するのね……」スッ

律「あっ!?違う!別に嫌いとか嫌とかそうゆう事じゃない!好きだ!」

和「好き……って」カァ

律「いや、え~っと、どう言えば良いのやら」ポリポリ

和「本当に気付いて無かったの?」

律「ハイ……」

和「微塵も?」

律「……ゴメン」

和「ある意味尊敬するわね」

律「いや~、まさか私がそんな風に想われる訳が無いって思ってたからさ」

和「あぁ、そういう事」

律「うん」

和「こんなに可愛いのに」ギュー

律「ちょっ」


49: 2011/10/24(月) 23:23:49.56

和「嫌なら『嫌だ』って言ってくれて良いわよ?そうしたら直ぐに手を離すわ」ギュー

律「いや、嫌って事は……」

和「じゃぁ……どうする?」

律「どうする……って」

和「私を抱き締めるか、突き放すか」

律「何だその二択は」

和「だって、貴女恥ずかしがって、顔を見て言えないでしょう?」

律「う……良くお分かりで」

和「そりゃ大好きな律の事だもの」

律「……え~、そもそも何でイキナリこんな話になってるんだ?」

和「貴女が私の背中を押したからじゃない」

律「あ、階段での話ってコレだったの?」

和「だから言ったでしょう?『律に背中を押されると思ってなかった』って」

律「なるほどな。そりゃ悩みのタネに背中押されるってこたないよな」

和「本人はそんな事、微塵も思ってなかったみたいだけど」


50: 2011/10/24(月) 23:25:15.94

律「うぐ……じゃあまあ背中押した責任は取らないとな」

和「話が早くて助かるわ。……十分遅いけど」

律「遅くないだろ、別に」

和「だって今の今まで私の気持ちに気付きもしなかったんでしょう?」

律「ハイ、まぁ」

和「私が貴女の事をどれだけの間想ってたと思ってるのよ」

律「……ちなみに、いつから?」

和「いつからでも良いでしょ?今も好きなんだから」

律「……そうですね」

和「鈍感よね、本当」

律「……ハイ、ゴメンナサイ」

和「そろそろ良いかしら?」

律「あ、ハイ」

和「どうする?」

律「そうだな……和にそんな風に想って貰ってるのは嬉しいかな」

和「そう」

律「うん。だから……よろしくお願いします」ギュー

和「よろしい」ギュー


51: 2011/10/24(月) 23:26:11.18

律「うん、こんな風に甘えれるのって和だけだな」

和「私もこんな気持ちで抱き締めるのは律だけよ」

律「でもなんかコレって和の気持ちと私の気持ちが違う気がするんだけど、良いのか?」

和「良いのよ。律は律なりに、私を想ってくれるでしょう?」

律「うん……まぁ頑張ります」

* * *

和「……とまぁ、昨日の貴女達の会議の内容は事実だったわ。良かったわね」

唯「のどか、ちゃん……?」

和「何かしら」


52: 2011/10/24(月) 23:28:16.13

唯「私『おはよ~』って言ったよね?」

和「そうね、朝だもの」

唯「で、和ちゃんも『おはよう』って返したよね」

和「そりゃ『こんばんは』なんて時間じゃ無いでしょう?」

唯「そうだね。それから私は『昨日りっちゃんが来なかったんだけど、和ちゃんと一緒に行った後どうしたか知らない?』って聞いたよね」

和「そうね。だから『私と一緒に帰ったのよ』と言ったでしょう?」

唯「うん。で、『なんで?』って聞いたら和ちゃん、かる~く話し始めちゃったけどさ」

和「ええ」

唯「今の話……何?」

和「だから、『昨日の会議のお題は間違ってなかったわよ』って」

唯「違うね!大事なのはソコじゃないね!いいやソコじゃないね!」

和「結局何処なのよ」


53: 2011/10/24(月) 23:29:40.13

唯「何してくれてんの!?何しちゃってくれちゃってんの!?」

和「何って……」

唯「え、和ちゃんそんな夢見たの?」

和「いつも夢の話するのは貴女の方じゃない」

唯「あっ!そっか!コレが夢なんだ!」

和「紛れもない現実よ」

唯「そうだ!早く帰ってもう一回寝ないと!」クルリ

和「寝る前に目を覚ましなさい」

唯「和ちゃん離して!妹が家に居ないんです!探しに行かないと!」

和「先に学校に行ったんでしょ」

唯「じゃあ何!?こんな世界を現実だって認めろっていうの!?」

和「何よその仰々しい話」

唯「いやいやいやいや、だってさぁ、だってさぁ、だってだってさぁ」

和「落ち着きなさいって」

唯「落ち着けないよ!」

和「あらそう?」


54: 2011/10/24(月) 23:31:42.56

唯「私たちの天使に何でそんな独り占めしちゃうみたいなみたいなぁ!」

和「もう、昨日言ったでしょ?」

唯「私聞いてない!」ガー

和「言ったわよ」ハァ

律「おはよ~!和と唯」タッタッタッ

唯「と、だって!と!と、ですってよ!と!後回しですよ奥さん!」プンスカ

律「何だよ朝からテンション高いなぁ。何の話してたんだ?」

和「律が鈍感って話よ」

律「はぁ?なんでまたその話なんだよ」

和「……昨日話したばっかりなのにそうゆう反応するから鈍感だって言ってるの」ハァ

律「え~」

和「澪は?」

律「え?あ~……今日から別に登校だ」

和「何で?」

律「そりゃ、和に合わせる為だよ」

和「ふ~ん。別に良いのに」


55: 2011/10/24(月) 23:33:13.14

唯「りっちゃんりっちゃん!」バンバンッ

律「痛い痛い!?なんだよイキナリ?」

唯「おいで!」バッ

律「……和さん?」クルリ

和「言っとくけど、私が教えたんじゃないわよ」

律「ホントか?」

和「まぁ、事の顛末は話したけど」

律「二人だけの秘密って昨日言ってたろぉ!?」

和「唯には話す必要が有るのよ」

律「何だよソレ?」

唯「そんな事良いから!」バシンバシンッ

律「だから痛いって!良くねぇし!」

唯「ほら、りっちゃんおいで!」バッ

律「……あ~、唯がやっても中々可愛いなぁ」ポンポン


56: 2011/10/24(月) 23:34:31.12

唯「違ぁう!ポンポンじゃあなくって!」

律「でもホラ、和が怒るからさ」ナデナデ

唯「む~!」

和「そんな嫉妬深くないわよ」

律「ホントか~?」

和「だって、律が甘えれるのは私だけでしょう?」ニヤニヤ

律「……唯とかの前でそゆの言うなよ、恥ずかしい」カァァ

和「ストレートじゃないと分かってくれないじゃない」

律「そりゃ昨日はそう言ったけどさ……あれ、唯?」

唯「『とか』って……りっちゃんが私を『とか』って」ズーン

律「ゴメンゴメン、そんなつもりじゃ」

唯「まさか……隊長が和ちゃんに奪われるなんて……」

律「隊長?」

和「『後悔、先に立たず』っていうのはこういうのを言うのよ、律」

唯「うぐぅ!?」グサッ


57: 2011/10/24(月) 23:35:27.57

律「何かわかんないけど、優しくしてやれよ」

和「私が今優しくしたってしょうがないわよ」

律「そ、そうなのか?」

和「ええ」

律「ゆ、唯?」ソッ

唯「ふんす!」ガバッ

律「うぉっ!?」

唯「りっちゃん隊長は……もう人のモノなんですね」ヨヨヨ

律「え、あ、まぁ、うん」

和「私のモノよ」

律「ちょっ!?」

唯「うぅ……こんな所に隊員が潜んでいたなんて……」

和「どうするの?唯」

唯「……とりあえず会議する!」

和「そう?」


58: 2011/10/24(月) 23:37:02.94

唯「和ちゃんに独り占めなんてさせないんだからね!」ビシィッ

和「昨日と言ってる事が違うじゃない」ヤレヤレ

唯「昨日は昨日!今日は今日!」

和「貴女ねぇ……」

唯「今日からは『対策会議』だよ!」

和「そ。じゃあ律が会議中の部室に近づかない様に、授業が終わったら律と二人で帰ってあげるわ」フッ

唯「ムッキ~!」プンスカ

律「いや、えと、あの、何の話?」

唯「良いもん!二人でイチャコラしてれば良いさ!」ブーブー

律「イチャコラって……」

和「言われなくても、そうさせて貰うわよ」ダキッ

律「おまっ!?」アタフタ

唯「うな~!?」ギャーッ

和「何かしら?」

唯「の、の、の、の、和ちゃんのダテメガネ~!」ダダダダ

律「唯っ!?……あ~、行っちゃった」

和「唯ったら……伊達じゃないって昨日言ったでしょうに」ヤレヤレ


59: 2011/10/24(月) 23:38:55.15

律「……良いのか?ほっといて」

和「良いのよ。それより律はもうちょっと自分が想われてる事を自覚しなさい」

律「え~っと……やっぱり、唯もそうゆう事なの?」オズオズ

和「唯だけで済めば良いけど」ヤレヤレ

律「えっ!?」キョロキョロ

和「思い当たる節無い?」

律「……そういえばけいおん部の皆が最近同じ様なイタズラしてきてたなぁ」

和「悪戯じゃないわよ、ソレは」

律「そうなのか?」

和「愛情表現らしいわ、彼女達なりの」

律「愛情、表現……」カァァ

和「まぁ、学校に行ったら色々大変だと思うけど……私以外に甘えちゃ駄目よ?」

律「……はい、頑張ります」

-end-

60: 2011/10/24(月) 23:40:44.99

以上となります。

ご覧戴いた皆々様、ありがとうございました!

引用元: 律「女の子に両手広げて『おいで~』ってされるとキュンキュンする」