2: 2014/11/14(金) 19:08:16.59

紀子「は?」ギロッ

やえ「それだそれ、その目つき」

良子「先輩たちですらビビッて丸瀬に近寄らないもんな」

日菜「あ、あの…紀子ちゃん、目つきは悪いけど悪い人じゃないの…」

やえ「それは知ってる。インターミドルでは何度か打ったし」

紀子「…小走か…ほっといて」プイッ

良子「いやいや、お前の目つきがそのままだと困る。主に来年の勧誘の時に」

紀子「…は?」ギロッ

良子「ひっ…」ビクッ

日菜「の、紀子ちゃん…知らないひとを睨んじゃダメだよ…」

やえ「いや、一応上田もインターミドルで何度か手合せしてるはずなんだが」

紀子「雑魚は記憶にない」

良子「酷っ!?」


やえ「ということは、私は雑魚カテゴリの外で認識されてるということか」

紀子「…まあ、ね」

やえ「そうか、うれしいよ丸瀬」

紀子「…っ」プイッ

やえ「で、私は何度か手合せした経験から、来年…最悪でも再来年にはお前とチームを組むことになると思っている、だから、その目つきがどうにかならんものかと思案しているわけなんだが」

紀子「…余計なお世話」

日菜「あっ、紀子ちゃん!待って!」

タッタッタ


やえ「うーん、振られたな」

良子「お前が落とせないとはなかなかだな」

やえ「落とすってなんだ?」

良子「いや、お前は知らなくていい。人に好かれやすいってことだよ」

やえ「そうか。人に好かれるのは得難い長所だ、大事にしたいな」

3: 2014/11/14(金) 19:08:47.06

翌日


紀子「…どう?」

日菜「うーん…ごめん、眼鏡ないと見えないからよくわかんない」

紀子「あ…そっか」

ガラッ

やえ「やあ、丸瀬。昨日ぶりだな」

紀子「こ、こばしりしゃっ…コホン。小走さん、何の用?」

日菜「あ、小走さん。こんにちは」

やえ「ああ、木村もいたか。こんにちは」

紀子「…」

やえ「眼鏡か…なるほど、確かに眼鏡をかければ印象が変わるからな。見たところ木村の眼鏡のようだが、私に言われたことを気にしてくれたのか?」

紀子「…日菜が言うから、少しだけ」

日菜「え?紀子ちゃんがかけてみたいって…」

紀子「」ギロッ

日菜「ナンデモナイデス」

やえ「あははは…しかし、残念ながら、あまり効果はないみたいだな」

紀子「残念…」

日菜「紀子ちゃん、眼鏡返してよぉ…」

4: 2014/11/14(金) 19:09:16.58

紀子「ロン、8000」

良子「うげっ…相変わらず恨みでもあるのかってぐらいあたしばっか狙うよなあんた…」

紀子「守備がザルだからアタるだけ。早く払って」ギロッ

良子「へいへい」


やえ「流石だな。私以外の一年だと、やっぱり丸瀬が頭一つ抜けてる」

日菜「紀子ちゃんは阿太中のエースだったから」

やえ「あいつが一年の頃の活躍で、阿太中があの辺の麻雀トップ校になったんだったか?」

日菜「うん。私は足引っ張ってたなあ…」

やえ「そう思うなら努力しろ。晩成の競争は甘くないぞ。各中学からエース級の連中が集まるんだからな」

先輩「そういうあんたもね」

やえ「居たんですか、先輩」

先輩「いくら二年連続インターミドル県優勝って言っても、晩成じゃレギュラー安泰とは言えないよ?さぼってないで練習しな」

やえ「先輩に一度でも順位で負けたらそうしますよ」

先輩「言うわね、クソガキ」

やえ「言われたくなかったら私に勝ってください」

先輩「あはははは!ま、頼りにしてるよ、晩成のエース」バシバシ

やえ「痛いです、先輩」

5: 2014/11/14(金) 19:10:30.32

紀子「…似合うかな?」

やえ「髪型か?そうだな、似合うと思うぞ。私は横に上げる髪型全般が好みだから参考になるかわからんが」

紀子「…」

良子「まあ、目立つ髪型にしとけば目以外に視線が行って多少ましになるかもしれないな」

紀子「…良子、卓について」ギロッ

良子「おい、冗談だって、え?先輩たち、なんであたしの肩を掴むんですか?」

先輩「丸瀬に逆らうと何されるかわかんないし、生贄捧げて済むなら、ね」

良子「ちょっ!?や、やえ、助けてくれーーーー!」

やえ「自業自得だ馬鹿。紀子、ほどほどにな」

紀子「命だけは保証する」

良子「命だけかよ!?麻雀で命の保証しかしてもらえないのかよ!?麻雀で人は氏なねえよ!」

紀子「これから、あなたには千点につき骨一本を賭けて打ってもらう」

良子「命の保証どこ行った!?氏ぬぞそれ!」

紀子「ちなみに青天井、1、3、5、7、9は全部赤で自風牌全てがドラ扱い、ついでにドラ一枚につき10符加算」

良子「頃す気だよね!?絶対頃しに来てるよねそのルール!?」

日菜「割れ目は?」

紀子「考えてなかったけどありで」

先輩「生きろよ、上田」

良子「いや氏ぬでしょ、このルールで千点骨一本て」

紀子「私は良子の骨を賭ける、良子は自分の骨を賭ける」

良子「それあたししかリスクないじゃん!!?」

紀子「…何か問題でも?」

良子「問題しかねえよ!」


やえ「…ふっ、紀子も大分馴染んできたな」

日菜「やえのおかげだよ。紀子ちゃんが自分から人に関わるのはやえだけだし」

やえ「人に好かれることと麻雀ぐらいしか取り柄がないからな。役に立ててなによりだ」

ロン、120符16翻ハ…メンドウダカラホネゼンブオル

エッ、イヤ、ジョウダンダロノリコ…チョッ…ウギャアアアアアアアア!ギブギブ!オレル!

日菜「ねえ、あれ大丈夫かな?」

やえ「命だけは保証すると言ってたから大丈夫だろう、あいつは嘘はつかない」


7: 2014/11/14(金) 19:12:19.14

紀子「…似合うかな?」

やえ「髪型か?そうだな、似合うと思うぞ。私は横に上げる髪型全般が好みだから参考になるかわからんが」

紀子「…」

良子「まあ、目立つ髪型にしとけば目以外に視線が行って多少ましになるかもしれないな」

紀子「…良子、卓について」ギロッ

良子「おい、冗談だって、え?先輩たち、なんであたしの肩を掴むんですか?」

先輩「丸瀬に逆らうと何されるかわかんないし、生贄捧げて済むなら、ね」

良子「ちょっ!?や、やえ、助けてくれーーーー!」

やえ「自業自得だ馬鹿。紀子、ほどほどにな」

紀子「命だけは保証する」

良子「命だけかよ!?麻雀で命の保証しかしてもらえないのかよ!?麻雀で人は氏なねえよ!」

紀子「これから、あなたには千点につき骨一本を賭けて打ってもらう」

良子「命の保証どこ行った!?氏ぬぞそれ!」

紀子「ちなみに青天井、1、3、5、7、9は全部赤で自風牌全てがドラ扱い、ついでにドラ一枚につき10符加算」

良子「頃す気だよね!?絶対頃しに来てるよねそのルール!?」

日菜「割れ目は?」

紀子「考えてなかったけどありで」

先輩「生きろよ、上田」

良子「いや氏ぬでしょ、このルールで千点骨一本て」

紀子「私は良子の骨を賭ける、良子は自分の骨を賭ける」

良子「それあたししかリスクないじゃん!!?」

紀子「…何か問題でも?」

良子「問題しかねえよ!」


やえ「…ふっ、紀子も大分馴染んできたな」

日菜「やえのおかげだよ。紀子ちゃんが自分から人に関わるのはやえだけだし」

やえ「人に好かれることと麻雀ぐらいしか取り柄がないからな。役に立ててなによりだ」

ロン、120符16翻ハ…メンドウダカラホネゼンブオル

エッ、イヤ、ジョウダンダロノリコ…チョッ…ウギャアアアアアアアア!ギブギブ!オレル!

日菜「ねえ、あれ大丈夫かな?」

やえ「命だけは保証すると言ってたから大丈夫だろう、あいつは嘘はつかない」


8: 2014/11/14(金) 19:13:07.15

新年度


由華「巽由華、阿太中出身、インターミドルの成績は県優勝、全国ベスト32です!」

紀子「由華、待ってた」

由華「ありがとうございます、部長のご期待に添えるよう頑張ります」

紀子「もう部長じゃない…」

やえ「そいつか、紀子と日菜が言っていた有望な後輩。ミドルで何度か当った覚えがあるな」

日菜「久しぶり、由華ちゃん」

由華「お久しぶりです、木村先輩…それに、小走さん」

やえ「ああ、有望な後輩が入ってくれて嬉しいよ、今年は二回戦に行きたいな」

良子「インハイは一回戦で7割が消えるからな…あれどうにかなんねーの?」

紀子「…団体戦のメンバーになれない奴は黙ってて」

良子「酷っ!?」

由華「あの…誰ですかこのひと?」

良子「やえを覚えてるならあたしも覚えてろよ!ミドルで三回ぐらい当っただろ!?」

由華「えっと…すみません、雑魚は記憶するなとの部長の言いつけでして…」

良子「お前のせいか紀子おおおおおお!!!!」

紀子「良子、うるさい」

日菜「そうだよ、せっかくの再会なんだから空気読んで」

やえ「すまんな、空気の読めない奴で…」

由華「い、いえ…小走さんのご友人なら仕方ありません」

良子「え?これあたしが悪いの?違うよね?」


先輩「おいこら、そこの二年上位プラス1と大型新人、さぼってないで打て!」


やえ「と、部長様が仰せだ、お手並みを拝見させてもらおう」

良子「先輩!プラス1ってなんですか!?あたし一応部内ランキング10位ですよ!?二年だと4位ですよ!?二年上位に括って下さいよ!」

先輩「いや、だって上田だし…」

良子「ガッデム!!あたしの扱いの改善を要求する!」

紀子「却下」

良子「即答!?」

9: 2014/11/14(金) 19:13:51.83

インハイ団体戦、一回戦


やえ「力及ばず、か。すまないみんな、私が先鋒で負けたせいだな」

先輩「馬鹿言うな、大将のあたしが届かなかったせいだろ」

紀子「私が稼げなかったから…」

日菜「あの時、先に8萬を切ってれば…」

由華「…私の不用意なリーチで…」

良子「いやいや、みんな抱え込みすぎだって、十分良く打ってたよ」


紀子「上田を、私が大会前に始末しておけば…」

良子「おいこら関係ないだろ!てゆうか上田って久しぶりに呼ばれたぞ、なんで今距離作った!?」

やえ「すまない、もともと私が上田を増長させたんだ、私のせいだ…」

由華「いえ、丸瀬先輩が仕留めようとしていたのを私が止めなければ…」

良子「なんであたしの存在が敗因みたいな流れになってるんだよ!?おかしいだろ!」


日菜「…えっ?」

良子「えっ?」


やえ「日菜、えてして当事者には自覚がないものだ」

紀子「忌々しい…」

由華「酷すぎます…こんなのあんまりです…」

良子「おかしい、この流れはおかしい。流石に泣くぞ!?」

先輩「すまんすまん、ふざけすぎたな」

10: 2014/11/14(金) 19:14:40.11

良子「お前ら、あたし相手だったら何やってもいいと思ってるだろ?」

やえ「まあな」

良子「肯定すんな!」

先輩「あはははは、悪いな上田、今はちょっとだけお前に甘えさせてもらうわ」

良子「ま、補欠のあたしに出来ることなんかこれぐらいですから、別に良いんですけどね」

紀子「ちなみに、私は本気で上田が嫌いだから、そこだけは勘違いしないで」

良子「この流れで言うとマジっぽいからやめてくれ!今、本音言うとこだろ!?お前はキャラ的にあたしに抱きついて泣き出すぐらいのシーンじゃねえの!?」

紀子「は?虫唾が走るからやめて」ギロッ

良子「おおう!?久しぶりの人頃しの眼光来ましたよ!」

由華「憎しみで人が殺せればいいのに…」

良子「お前もか!?阿太中出身はこんなのばっかか!?」

由華「初瀬と憧も割とこんな感じですね。あ、初瀬と憧って言うのは私の次の代の阿太中のツートップなんですけど…」

良子「阿太中出身者を入部者選抜で弾こう、そうしよう」

紀子「私の権限で阿太中出身は無審査で入部させる。良子よりは私の権限の方が強い」

良子「最悪だこいつ」

由華「てゆうか、今年の奈良個人戦代表三人のうち二人が阿太中出身ですし、四位も木村先輩ですし、今、奈良には阿太中の波が来てますよ」

良子「奈良県が阿太中に浸食されていく…!?やえ、頼む、こいつらを止めてくれ!」

やえ「私も阿太中に行けばよかったな。今さら言っても仕方ないが」

良子「最後の希望までそっちに行ったーーーー!!!!?」


先輩(はは、ありがとうお前ら。最後の夏、退屈だけはしなかったぞーーー欲を言えば、もう少しだけ、お前らと一緒に戦いたかったな…)

11: 2014/11/14(金) 19:15:26.64

紀子「部長?」

日菜「うん、二年生で話し合って決めろって、先輩が」

やえ「全く、前部長が指名する慣例のはずなんだが、適当な人だ」

良子「あたしたちが選んだ人間を指名するだけだから慣例からは外れないとか言ってたぞ」

由華「詭弁にもほどがありますねえ…」

やえ「まあ、あの人だから仕方ない。で、誰にする?この四人の誰かなのは確実だろう」


紀子「聞く必要、あるの?」

日菜「ないよねえ…それこそ、問答無用で先輩が指名すると思ってたんだけど…」

良子「ま、全会一致だな」

やえ「…?私は紀子か日菜のどちらかで決めかねていたんだが…」

由華「…小走先輩って、時々信じがたいアホになりますよね」

やえ「心外だ。で、お前らは誰が適任だと思うんだ?三人が一致してるなら私が決めかねていても多数決で決まりだろう」

良子「せーので指差すか?」

紀子「うん」

日菜「せーの」



……

………

やえ「…私?」

紀子「至極妥当な結論」

日菜「だよねえ」

良子「むしろ、それ以外に誰が居るんだ」

由華「というわけです。よろしくお願いしますね、部長」


12: 2014/11/14(金) 19:16:32.15

新年度


やえ「しかし、紀子も丸くなったよな。初対面の新入生でも逃げださないところまで来たか」

良子「あたしは最初に会った頃の方がマシだと思うんだが」

日菜「それは良子ちゃんだけだから」

由華「滅多に睨まなくなりましたからね。目つきは相変わらず悪いですけど」

紀子「由華、怒るよ?」

やえ「昔だったらここで『「は?」ギロッ』だったからな、本当に丸くなったものだよ」

日菜「やえちゃんのおかげだと思うけどね」

良子「あたしは『「は?」ギロッ』で済んだのが物理ダメージ入るようになったんだが…」

紀子「良子、首と背骨と頭蓋、どれがいい?」

良子「全部氏に直結してるように思えるのはなんでですかねえ!?」

紀子「選べないなら全部砕いてあげてもいい。サービス」

良子「砕くって頭蓋だけじゃないの!?え?頸椎とか砕かれるの!?」

やえ「今年の一年には良子より上はいなそうだし、こいつ以下のメンバーで戦うのは苦しい、折るだけにしておけ」

良子「あ、折るのは止めてくれないんだ、うん、知ってたけどさ」

紀子「残念」


日菜「この五人で全国かあ…行けたらいいよね」

由華「全国までは行かなきゃダメですよ!私たちは晩成高校なんですから!」

やえ「巽の言うとおりだ、目標は全国優勝、ノルマはインターハイ二回戦突破、ベスト8だ」

良子「県民最高到達点をノルマかよ…大きく出たな」

やえ「それが出来るメンバーだと思っているよ、期待しすぎか?」

紀子「…大丈夫、やえと私、日菜と由華が居れば…きっと」

良子「このシーンでもあたしを外すのな?ここまで来ると徹底してて清々しいわ」

やえ「さあ、練習を始めよう。目標は、県民悲願の決勝戦、そして優勝だ!」

「「「「おう!」」」」



彼女達の熱い夏が始まるーーーー




13: 2014/11/14(金) 19:20:27.98
丸瀬さんの誕生日に上げる予定だった晩成SSが書き終わらなかったので代わりの短編です。

eをaに変えるだけだと思って油断するとこうなるんですね。

14: 2014/11/14(金) 19:40:31.64
乙です

引用元: 【咲-Saki-】やえ「その目つきはどうにかならないのか?」