1: 2013/02/06(水) 23:05:39.22
杏子(……なんだ? この結界)
杏子(壁に貼ってあるのはポスターかな。なんで魔女が告知なんかしてるんだろ?)
杏子(それに、遠くの方から聞こえるこの音色…)
杏子(聞いた事ある曲だ。どこで聞いたのかな… こんな悲しい曲を……)
『聞いてく?』
杏子「誰だ!?」
『もっと奥へおいでよ』
杏子「魔女なのか…? この結界を作った……」
杏子(壁に貼ってあるのはポスターかな。なんで魔女が告知なんかしてるんだろ?)
杏子(それに、遠くの方から聞こえるこの音色…)
杏子(聞いた事ある曲だ。どこで聞いたのかな… こんな悲しい曲を……)
『聞いてく?』
杏子「誰だ!?」
『もっと奥へおいでよ』
杏子「魔女なのか…? この結界を作った……」
3: 2013/02/06(水) 23:09:24.46
杏子「この部屋かな」
ギイィ……
杏子(映画館みたいな部屋だな。いや、使い魔が踊ってるから劇場か)
杏子(ここの魔女は…… おお、あそこか)
杏子(でもおとなしくしてるみたいだな。もう少し聞いていこうか)
『ずっといてもいいよ』
杏子「なんだ、聞こえてたの?」
『テレパシーの使い方はわかるよ』
杏子「喋る魔女なんて珍しいな」
ギイィ……
杏子(映画館みたいな部屋だな。いや、使い魔が踊ってるから劇場か)
杏子(ここの魔女は…… おお、あそこか)
杏子(でもおとなしくしてるみたいだな。もう少し聞いていこうか)
『ずっといてもいいよ』
杏子「なんだ、聞こえてたの?」
『テレパシーの使い方はわかるよ』
杏子「喋る魔女なんて珍しいな」
7: 2013/02/06(水) 23:11:41.73
『わたしも前は魔法少女だったの』
杏子「ホントに!?」
『願いから生まれた魔法少女』
『希望が絶望に変わる時、魔法少女は魔女へと生まれ変わる……』
杏子「ほぉ~ そんなこともあるのか。知らなかったわ」
『あんまり驚かないね』
杏子「実感わかないからさ。もしそうなら、あたしだって希望も何もないし」
『悲しいことを言わないで』
杏子「ホントに!?」
『願いから生まれた魔法少女』
『希望が絶望に変わる時、魔法少女は魔女へと生まれ変わる……』
杏子「ほぉ~ そんなこともあるのか。知らなかったわ」
『あんまり驚かないね』
杏子「実感わかないからさ。もしそうなら、あたしだって希望も何もないし」
『悲しいことを言わないで』
8: 2013/02/06(水) 23:14:58.20
杏子「あんたこそ、さっきからずいぶん湿っぽい曲をかけているね」
『この歌、知ってる?』
杏子「聞いた事あるような気がするけど、思い出せないんだ。何だっけ?」
『外へ出て、知ってそうな子に聞いたらいい…… もう帰りなよ』
杏子「え? ああ…… そうしようかな」
『出口はわかる?』
杏子「元来た道を帰ればいいんだよね。わかるよ」
『この歌、知ってる?』
杏子「聞いた事あるような気がするけど、思い出せないんだ。何だっけ?」
『外へ出て、知ってそうな子に聞いたらいい…… もう帰りなよ』
杏子「え? ああ…… そうしようかな」
『出口はわかる?』
杏子「元来た道を帰ればいいんだよね。わかるよ」
9: 2013/02/06(水) 23:17:43.22
『……あなたは魔法少女なのに、わたしを狩らないのね』
杏子「戦う気分じゃないし、思い出せないまま頃しちゃうのも、後でひっかかるでしょ」
杏子「いい演奏だね。また聴かせてよ」
『また来てくれる?』
杏子「この街にいるならね。ここ、一応あたしの縄張りだからさ」
『それなら、他の魔法少女から守ってもらえるね』
杏子「代わりに人を襲うなよ。そういうのを放っとくと、よそから乗り込んできそうなのがいるからな」
杏子「戦う気分じゃないし、思い出せないまま頃しちゃうのも、後でひっかかるでしょ」
杏子「いい演奏だね。また聴かせてよ」
『また来てくれる?』
杏子「この街にいるならね。ここ、一応あたしの縄張りだからさ」
『それなら、他の魔法少女から守ってもらえるね』
杏子「代わりに人を襲うなよ。そういうのを放っとくと、よそから乗り込んできそうなのがいるからな」
10: 2013/02/06(水) 23:20:15.93
『うん。ここでおとなしくしてるから安心して』
杏子「じゃあまたね。そうだ、あたしは佐倉杏子。あんたは?」
『わたしはもう、魔女になっちゃったから……』
杏子「魔女の名前はないの?」
『オクタヴィア』
杏子「ずいぶん立派な名前があるんだな」
杏子「じゃあまたね。そうだ、あたしは佐倉杏子。あんたは?」
『わたしはもう、魔女になっちゃったから……』
杏子「魔女の名前はないの?」
『オクタヴィア』
杏子「ずいぶん立派な名前があるんだな」
11: 2013/02/06(水) 23:22:04.88
・
・
・
杏子(魔女オクタヴィア……)
杏子(話せる魔女なんて初めてだな)
杏子(でも、あの曲を知ってそうな子っていったってなぁ……)
QB「あの魔女を狩らないのかい?」
杏子(コイツが知ってそうにも思えないし)
杏子(ゲーセンでよく一緒になる子たちならたぶん… ダメか、結界に連れてけないね)
杏子(となると、魔法少女の知り合いしかいないか……)
・
・
杏子(魔女オクタヴィア……)
杏子(話せる魔女なんて初めてだな)
杏子(でも、あの曲を知ってそうな子っていったってなぁ……)
QB「あの魔女を狩らないのかい?」
杏子(コイツが知ってそうにも思えないし)
杏子(ゲーセンでよく一緒になる子たちならたぶん… ダメか、結界に連れてけないね)
杏子(となると、魔法少女の知り合いしかいないか……)
12: 2013/02/06(水) 23:25:49.00
魔法少女「よぅ、久しぶり。魔女でも追ってきたの? でもこっから先は」
杏子「違うよ。ちょっと聞きたい事があってさ」
魔法少女「私に?」
・
・
・
魔法少女「歌う魔女か。なんだよそれ…」
杏子「なんて歌か気になるんだよ。一緒に来て、聞いていってよ」
魔法少女「やだよ、気味悪い。他の人に頼みな」
杏子「他って誰に?」
魔法少女「巴マミと仲直りするチャンスなんじゃないの?」
杏子「……冗談でも怒るよ」
杏子「違うよ。ちょっと聞きたい事があってさ」
魔法少女「私に?」
・
・
・
魔法少女「歌う魔女か。なんだよそれ…」
杏子「なんて歌か気になるんだよ。一緒に来て、聞いていってよ」
魔法少女「やだよ、気味悪い。他の人に頼みな」
杏子「他って誰に?」
魔法少女「巴マミと仲直りするチャンスなんじゃないの?」
杏子「……冗談でも怒るよ」
13: 2013/02/06(水) 23:29:53.66
マミ「あれから一週間」
まどか「そろそろ、クラスの皆も気付いてます。もう普通の状態じゃないって」
ほむら「美樹さやかの抜け殻を維持していくのは大して重荷にならないわ」
ほむら「だけどこのまま、彼女を元に戻せると思い込み続けるのは、あなたたちに負担をかける」
まどか「でも、さやかちゃんが……」
ほむら「辛いかもしれないけど、私はあなたまで失いたくないの」
マミ「暁美さんの言うことも一理あるわ。それに、この子は何度もこの戦いを経験しているのよ」
マミ「元に戻す方法なんていうのがあるのなら、とっくに知っているでしょう」
まどか「ほむらちゃんも知らないことなんだもんね… きっとないんだよね……」
まどか「そろそろ、クラスの皆も気付いてます。もう普通の状態じゃないって」
ほむら「美樹さやかの抜け殻を維持していくのは大して重荷にならないわ」
ほむら「だけどこのまま、彼女を元に戻せると思い込み続けるのは、あなたたちに負担をかける」
まどか「でも、さやかちゃんが……」
ほむら「辛いかもしれないけど、私はあなたまで失いたくないの」
マミ「暁美さんの言うことも一理あるわ。それに、この子は何度もこの戦いを経験しているのよ」
マミ「元に戻す方法なんていうのがあるのなら、とっくに知っているでしょう」
まどか「ほむらちゃんも知らないことなんだもんね… きっとないんだよね……」
14: 2013/02/06(水) 23:32:47.30
マミ「だからハッキリ伝えておかないといけないわね」
マミ「美樹さんから生まれた魔女は、必ず私と暁美さんの手で頃す」
まどか「うん… お願い。さやかちゃんを止められるのは、マミさんたちだけだから」
ほむら「でも問題はあの魔女の居場所ね」
マミ「なかなか見つからないわね」
マミ「美樹さんから生まれた魔女は、必ず私と暁美さんの手で頃す」
まどか「うん… お願い。さやかちゃんを止められるのは、マミさんたちだけだから」
ほむら「でも問題はあの魔女の居場所ね」
マミ「なかなか見つからないわね」
15: 2013/02/06(水) 23:33:19.20
まどか「どこかよそへ行っちゃったとかは?」
マミ「考えられるわね。でも…」
ほむら「もうなりふり構ってられない。明日、佐倉杏子に協力を要請してくるわ。それでいい?」
マミ「……おとなしく協力してくれるかしら」
ほむら「何度か実現しているわ。あの子の扱い方は心得ているつもりよ」
マミ「だといいけど」
マミ「考えられるわね。でも…」
ほむら「もうなりふり構ってられない。明日、佐倉杏子に協力を要請してくるわ。それでいい?」
マミ「……おとなしく協力してくれるかしら」
ほむら「何度か実現しているわ。あの子の扱い方は心得ているつもりよ」
マミ「だといいけど」
16: 2013/02/06(水) 23:35:58.17
——翌日——
マミ「本当に来るの?」
ほむら「彼女はよくここで遊んでいたのよ」
ほむら「いきなり結界で会うと、私たちの時みたいに警戒しちゃうでしょう」
マミ「あの時は…」
ほむら「もう気にしないで。接触するなら肩の力抜ける場所がいいでしょう」
まどか「でも来ないね」
ほむら「おかしいわね。いつもなら来るはずなのに…」
マミ「もうしばらく待ってましょうか」
まどか「時間もったないし、探そうよ」
マミ「本当に来るの?」
ほむら「彼女はよくここで遊んでいたのよ」
ほむら「いきなり結界で会うと、私たちの時みたいに警戒しちゃうでしょう」
マミ「あの時は…」
ほむら「もう気にしないで。接触するなら肩の力抜ける場所がいいでしょう」
まどか「でも来ないね」
ほむら「おかしいわね。いつもなら来るはずなのに…」
マミ「もうしばらく待ってましょうか」
まどか「時間もったないし、探そうよ」
17: 2013/02/06(水) 23:40:35.97
ほむら「どうやって?」
まどか「杏子ちゃんって、どんなゲームやってたの?」
ほむら「あの曲に合わせて踊るやつね」
まどか「どれどれ…」ヒョイ
マミ「何? そのノート」
まどか「こういうとこには置いてあるんだよ」
まどか「ゲームやる人が書き置きしていくの。掲示板みたいに使うんだよ」
マミ「そんなものがあったのね…」
ほむら「あんまり来た事ないから、知らなかったわ…」
まどか「杏子ちゃんって、どんなゲームやってたの?」
ほむら「あの曲に合わせて踊るやつね」
まどか「どれどれ…」ヒョイ
マミ「何? そのノート」
まどか「こういうとこには置いてあるんだよ」
まどか「ゲームやる人が書き置きしていくの。掲示板みたいに使うんだよ」
マミ「そんなものがあったのね…」
ほむら「あんまり来た事ないから、知らなかったわ…」
18: 2013/02/06(水) 23:43:37.34
まどか「最近の書き込みから順に見ていくと…… あ、あったよ!」
まどか「ほら名前書いてある。この『杏子』って、探してる杏子ちゃんじゃない?」
ほむら「意外とイラストうまいのね」
マミ「確かにこんなの描いてたような気がするわ…」
ほむら「でも、それがわかったからってどう探すの?」
マミ「また来るというのはわかったから、私たちが書き込んでおけばいいんじゃないかしら」
まどか「見て、今やってる人。あれけっこういいスコアなんだよ」
マミ「ちょうど終わった所みたいね」
まどか「ほら名前書いてある。この『杏子』って、探してる杏子ちゃんじゃない?」
ほむら「意外とイラストうまいのね」
マミ「確かにこんなの描いてたような気がするわ…」
ほむら「でも、それがわかったからってどう探すの?」
マミ「また来るというのはわかったから、私たちが書き込んでおけばいいんじゃないかしら」
まどか「見て、今やってる人。あれけっこういいスコアなんだよ」
マミ「ちょうど終わった所みたいね」
20: 2013/02/06(水) 23:46:40.45
まどか「ねぇ、このゲーム好きなの?」
マミほむ(!!?)
ほむら(いきなり話しかけた!? 知り合いだったの?)
マミ(わからないわ…… でもよその学校の子みたいね)
少女「けっこうやりこんでるからね」
まどか「わたしたち、この『杏子』を探してるの。知らない?」
少女「知ってるよ。でもごめんね、連絡先とかわからないんだ。あの子携帯持ってないからさ」
まどか「やっぱり?」
マミほむ(!!?)
ほむら(いきなり話しかけた!? 知り合いだったの?)
マミ(わからないわ…… でもよその学校の子みたいね)
少女「けっこうやりこんでるからね」
まどか「わたしたち、この『杏子』を探してるの。知らない?」
少女「知ってるよ。でもごめんね、連絡先とかわからないんだ。あの子携帯持ってないからさ」
まどか「やっぱり?」
21: 2013/02/06(水) 23:48:18.63
少女「今度会ったら、あなたたちが探してたって伝えとこうか」
まどか「ありがとう。でも杏子ちゃんはわたしのこと知らないから…」
マミ「巴マミが探してたってお願い」
少女「わかった。あの子もよく来るから、会いたいならまたおいでよ」
まどか「そうしよっかな。じゃあまたね」
少女「はいよ~」
まどか「ありがとう。でも杏子ちゃんはわたしのこと知らないから…」
マミ「巴マミが探してたってお願い」
少女「わかった。あの子もよく来るから、会いたいならまたおいでよ」
まどか「そうしよっかな。じゃあまたね」
少女「はいよ~」
23: 2013/02/06(水) 23:52:12.79
——帰り道——
まどか「見つかりそうで良かったね」
ほむら「それにしても驚いたわ。いきなりあんな、友達みたいに」
マミ(これがコミュ力というやつかしら……)
まどか「これで杏子ちゃんと会えたら、みんなで探せるかな」
マミ「手伝ってもらえるとは限らないけど」
ほむら「彼女の縄張りで探すのを黙認してもらえるだけで、だいぶ範囲が広がるでしょう」
まどか「さやかちゃん、見つかるよね」
マミ「勿論見つけるわ」
マミ(見つけて、私が殺さないと……)
まどか「見つかりそうで良かったね」
ほむら「それにしても驚いたわ。いきなりあんな、友達みたいに」
マミ(これがコミュ力というやつかしら……)
まどか「これで杏子ちゃんと会えたら、みんなで探せるかな」
マミ「手伝ってもらえるとは限らないけど」
ほむら「彼女の縄張りで探すのを黙認してもらえるだけで、だいぶ範囲が広がるでしょう」
まどか「さやかちゃん、見つかるよね」
マミ「勿論見つけるわ」
マミ(見つけて、私が殺さないと……)
24: 2013/02/06(水) 23:54:10.10
杏子「また同じ曲聴いてるんだな」
オクタヴィア「これが好きだったの。前から何度も聴いてた……」
杏子「前は魔法少女だったんだよね。どこかよその街から来たの?」
オクタヴィア「すぐ近くだよ」
杏子「…どんな子だったの? 武器とか、戦い方とか……」
オクタヴィア「あの頃から剣を使ってた、かな」
杏子(…訊けなかった……)
オクタヴィア「夢中で戦ってたよ。あんまり考えないで、すぐ突っ込んでいっちゃってた」
オクタヴィア「これが好きだったの。前から何度も聴いてた……」
杏子「前は魔法少女だったんだよね。どこかよその街から来たの?」
オクタヴィア「すぐ近くだよ」
杏子「…どんな子だったの? 武器とか、戦い方とか……」
オクタヴィア「あの頃から剣を使ってた、かな」
杏子(…訊けなかった……)
オクタヴィア「夢中で戦ってたよ。あんまり考えないで、すぐ突っ込んでいっちゃってた」
26: 2013/02/06(水) 23:56:15.47
杏子(コイツがマミだったかもしれないって考えた時、思わず武器の話題を振った)
杏子(ストレートに訊くのを、避けてたのか? まさかね……)
オクタヴィア「……」
杏子「あ、ゴメン。辛いこと思い出させちゃったかな」
オクタヴィア「違うの。むしろ反対… きっとね、あの頃は楽しかったんだと思う」
杏子「なによ、『思う』って」
オクタヴィア「魔女になってから、だんだん前のこと忘れてるみたいなの……」
オクタヴィア「でも、あの頃の楽しかった思い出が、どこかに残ってる」
オクタヴィア「わたしの脚、魚みたいでしょ?」
杏子「そうだね。人魚みたいだ」
杏子(ストレートに訊くのを、避けてたのか? まさかね……)
オクタヴィア「……」
杏子「あ、ゴメン。辛いこと思い出させちゃったかな」
オクタヴィア「違うの。むしろ反対… きっとね、あの頃は楽しかったんだと思う」
杏子「なによ、『思う』って」
オクタヴィア「魔女になってから、だんだん前のこと忘れてるみたいなの……」
オクタヴィア「でも、あの頃の楽しかった思い出が、どこかに残ってる」
オクタヴィア「わたしの脚、魚みたいでしょ?」
杏子「そうだね。人魚みたいだ」
27: 2013/02/06(水) 23:59:26.91
オクタヴィア「わたしは人魚の魔女。人間だった頃の、楽しかった思い出を提げて泳ぐ、人魚の魔女」
オクタヴィア「荷物が重くて、どんどん底のほうへ沈んでいくのに、手放す勇気もない……」
杏子「持ってたらいいだろ… 大事なものなんだから…」
オクタヴィア「ありがとう」
オクアヴィア「あなたも同じようなのを持ってるけど、まだ沈むには早いみたいね」
杏子「そうかもな。こんなもん、大して中身入ってないんだから、重りどころか浮き輪代わりになるよ」
オクタヴィア「今日はもう帰りなよ。あなたに会いたいっていう人がいるから」
杏子「いないよ」
オクタヴィア「じゃあ、あなたが会いたがってる人」
杏子「……それもいない」
オクタヴィア「荷物が重くて、どんどん底のほうへ沈んでいくのに、手放す勇気もない……」
杏子「持ってたらいいだろ… 大事なものなんだから…」
オクタヴィア「ありがとう」
オクアヴィア「あなたも同じようなのを持ってるけど、まだ沈むには早いみたいね」
杏子「そうかもな。こんなもん、大して中身入ってないんだから、重りどころか浮き輪代わりになるよ」
オクタヴィア「今日はもう帰りなよ。あなたに会いたいっていう人がいるから」
杏子「いないよ」
オクタヴィア「じゃあ、あなたが会いたがってる人」
杏子「……それもいない」
30: 2013/02/07(木) 00:01:54.54
まどか「杏子ちゃん、来てない?」
少女「見かけないね。今日は一人?」
まどか「うん。あとの二人は用事があるから、あんまり来られないの」
まどか(ワルプルギスの夜のために罠を仕掛けてるんだけどね)
少女「そっか。携帯の番号教えてよ。杏子見つけたら連絡するから」
まどか「いいよ~」
少女「見かけないね。今日は一人?」
まどか「うん。あとの二人は用事があるから、あんまり来られないの」
まどか(ワルプルギスの夜のために罠を仕掛けてるんだけどね)
少女「そっか。携帯の番号教えてよ。杏子見つけたら連絡するから」
まどか「いいよ~」
31: 2013/02/07(木) 00:04:27.95
少女「鹿目まどか、ね… これからヒマ? 時間あるなら遊んでこうよ」
まどか「いいけど、わたしあんまり上手くないんだよね」
少女「教えてあげる。うまくいけば面白いよ」
杏子「なんだい、新しい友達?」
少女「おお噂をすれば」
まどか「あなたが杏子ちゃん?」
まどか「いいけど、わたしあんまり上手くないんだよね」
少女「教えてあげる。うまくいけば面白いよ」
杏子「なんだい、新しい友達?」
少女「おお噂をすれば」
まどか「あなたが杏子ちゃん?」
32: 2013/02/07(木) 00:07:03.20
杏子「知ってるのかい」
まどか「わたし、鹿目まどか。杏子ちゃんに会いたかったの!」
杏子「あたしに? なんで?」
杏子(……会いたかった人なら、いる)
まどか「マミさんも探してるの。あなたのことを」
杏子「アイツか……」
杏子(会いたくなかった人もいる)
まどか「わたし、鹿目まどか。杏子ちゃんに会いたかったの!」
杏子「あたしに? なんで?」
杏子(……会いたかった人なら、いる)
まどか「マミさんも探してるの。あなたのことを」
杏子「アイツか……」
杏子(会いたくなかった人もいる)
33: 2013/02/07(木) 00:09:46.42
——マミ部屋——
マミ「ありがとう。よく来てくれたわね」
杏子「ずるいぞ。普通の子をけしかけるなんて」
ほむら「無用な衝突を避けるため、あなたに話しておきたいことがあったのよ」
杏子「来る途中、まどかに聞いたよ。この街の魔女が、こっちへ来たかもしれないんだって?」
マミ「そうよ。しかもただの魔女じゃない」
杏子「元は魔法少女だった、とか?」
ほむら「知っているの?」
杏子「そいつに会ったよ。剣を持ってて、脚が魚みたいなヤツだろ?」
マミ「それだわ!」
マミ「ありがとう。よく来てくれたわね」
杏子「ずるいぞ。普通の子をけしかけるなんて」
ほむら「無用な衝突を避けるため、あなたに話しておきたいことがあったのよ」
杏子「来る途中、まどかに聞いたよ。この街の魔女が、こっちへ来たかもしれないんだって?」
マミ「そうよ。しかもただの魔女じゃない」
杏子「元は魔法少女だった、とか?」
ほむら「知っているの?」
杏子「そいつに会ったよ。剣を持ってて、脚が魚みたいなヤツだろ?」
マミ「それだわ!」
34: 2013/02/07(木) 00:11:43.30
まどか「…さやかちゃん、いたんだ……」
杏子「さやか? それが魔法少女だった頃の名前か」
マミ「あの魔女は私たちが殺さなくてはいけない。ワルプルギスの夜も来るし、早めに済ませたいのよ」
まどか「お願い、マミさんたちをその魔女の所へ連れて行って」
杏子「やだよ」
マミ「どうして?」
杏子「アイツは人を襲わない。狩っておかなきゃいけないってものでもないだろう」
杏子「さやか? それが魔法少女だった頃の名前か」
マミ「あの魔女は私たちが殺さなくてはいけない。ワルプルギスの夜も来るし、早めに済ませたいのよ」
まどか「お願い、マミさんたちをその魔女の所へ連れて行って」
杏子「やだよ」
マミ「どうして?」
杏子「アイツは人を襲わない。狩っておかなきゃいけないってものでもないだろう」
35: 2013/02/07(木) 00:12:28.32
ほむら「でもグリーフシードは手に入る。美樹さやかと関係ないあなたにとって、悪い話ではないと思うけど」
杏子「じゃもう一つ、気が乗らないわけを話しとこうか」
杏子「今のマミの言う事、あんまり聞きたくない」
マミ「昔の事を引きずってる場合じゃないのよ」
杏子「わかってるよ。『今の』って言ったろ」
杏子「じゃもう一つ、気が乗らないわけを話しとこうか」
杏子「今のマミの言う事、あんまり聞きたくない」
マミ「昔の事を引きずってる場合じゃないのよ」
杏子「わかってるよ。『今の』って言ったろ」
36: 2013/02/07(木) 00:15:37.07
杏子「この間話したよね。あんまり暴れると、よそから乗り込んできそうなのがいるって」
オクタヴィア「言ってたね。でも私はずっとここでおとなしくしてたよ」
杏子「そいつに会ってきたんだ」
オクタヴィア「友達だったの?」
杏子「前は仲良くしてくれた。いつまでだって一緒にいたかった…… でも今は違うな」
オクタヴィア「その子のこと、好きならそう言ったらいいよ」
杏子「どっちかというと嫌いな方に入るんだけど」
オクタヴィア「どうして嫌いなの?」
杏子「……好きだったからさ」
オクタヴィア「言ってたね。でも私はずっとここでおとなしくしてたよ」
杏子「そいつに会ってきたんだ」
オクタヴィア「友達だったの?」
杏子「前は仲良くしてくれた。いつまでだって一緒にいたかった…… でも今は違うな」
オクタヴィア「その子のこと、好きならそう言ったらいいよ」
杏子「どっちかというと嫌いな方に入るんだけど」
オクタヴィア「どうして嫌いなの?」
杏子「……好きだったからさ」
37: 2013/02/07(木) 00:17:08.35
オクタヴィア「ならもう一度話しておいで」
杏子「またあの演奏… いつもの曲か…」
オクタヴィア「この曲、何か思い出せた?」
杏子「AKBの『会いたかった』でしょ。こんなに暗くアレンジするから、なかなか気付かなかったよ」
オクタヴィア『やっぱり知ってたんだ』
杏子「知ってるよ。聞いた事ある。本物はもっと元気な感じだよね」
オクタヴィア『わたしにはこう聞こえるの。魔法少女だった頃から、ずっと聞こえていたように思う……』
オクタヴィア『この歌を聞いていると胸が痛むよう…… その痛みをいつまでも忘れられない』
杏子「……あれのどこに、痛みを見つけたんだよ」
杏子「またあの演奏… いつもの曲か…」
オクタヴィア「この曲、何か思い出せた?」
杏子「AKBの『会いたかった』でしょ。こんなに暗くアレンジするから、なかなか気付かなかったよ」
オクタヴィア『やっぱり知ってたんだ』
杏子「知ってるよ。聞いた事ある。本物はもっと元気な感じだよね」
オクタヴィア『わたしにはこう聞こえるの。魔法少女だった頃から、ずっと聞こえていたように思う……』
オクタヴィア『この歌を聞いていると胸が痛むよう…… その痛みをいつまでも忘れられない』
杏子「……あれのどこに、痛みを見つけたんだよ」
38: 2013/02/07(木) 00:22:02.41
オクタヴィア「これはね。好きな人のところへ行って、素直になっちゃおうっていう歌」
オクタヴィア『正直に気持ちを伝える勇気が、伝えられなかった哀しみを描き出す……』
杏子「ああ…… あるわ…」
オクタヴィア『わたしはもう泣く事もないのに、これを聞いている時だけ、涙がこぼれそうになるよ』
杏子「……好きな人とか、いたの?」
オクタヴィア『うん。そうだと思う』
オクタヴィア『だからきっと、なくしたはずの『痛み』を懐かしく感じるんだね……』
オクタヴィア『正直に気持ちを伝える勇気が、伝えられなかった哀しみを描き出す……』
杏子「ああ…… あるわ…」
オクタヴィア『わたしはもう泣く事もないのに、これを聞いている時だけ、涙がこぼれそうになるよ』
杏子「……好きな人とか、いたの?」
オクタヴィア『うん。そうだと思う』
オクタヴィア『だからきっと、なくしたはずの『痛み』を懐かしく感じるんだね……』
39: 2013/02/07(木) 00:23:08.64
杏子「…やめなよ」
オクタヴィア「?」
杏子「あたしさ、学校行ってた頃も男の子たちと遊んだ事とか、あんまりないし、その……」
杏子「……恋とか? そういうのもしたことないから、あんまり口出しできないかもしれないけどさ…」
杏子「昔の痛みを大事に抱えてるなんて、もうやめなよ」
オクタヴィア『フラフラしてるようで、杏子も案外お節介だね』
杏子「うるさいなぁもう」
オクタヴィア「?」
杏子「あたしさ、学校行ってた頃も男の子たちと遊んだ事とか、あんまりないし、その……」
杏子「……恋とか? そういうのもしたことないから、あんまり口出しできないかもしれないけどさ…」
杏子「昔の痛みを大事に抱えてるなんて、もうやめなよ」
オクタヴィア『フラフラしてるようで、杏子も案外お節介だね』
杏子「うるさいなぁもう」
40: 2013/02/07(木) 00:26:47.28
ほむら「マミはもう限界近いわ…」
まどか「朝も見かけたよ。なんだかヨタヨタしてた」
ほむら「夜は見滝原の魔女狩りの他に、杏子の言ってた魔女を探しに行ってるのよ」
まどか「どうしてそこまでするの? 相手はさやかちゃんだったのに」
ほむら「だからこそでしょう。あの美樹さやかだもの……」
まどか「そうなんだよねぇ… さやかちゃん、マミさん大好きだったもんね」
マミ「…二人とも、ちょっといいかしら」
まどか「マミさん!? やつれてるよ」
ほむら「今日はもういいから、休んでなさい」
マミ「そんなヒマはないわ… ついにあの魔女を見つけたのよ」
まどか「ほんとに?」
マミ「ええ、昨夜ね。今夜二人がかりで狩りに行くわよ」
まどか「朝も見かけたよ。なんだかヨタヨタしてた」
ほむら「夜は見滝原の魔女狩りの他に、杏子の言ってた魔女を探しに行ってるのよ」
まどか「どうしてそこまでするの? 相手はさやかちゃんだったのに」
ほむら「だからこそでしょう。あの美樹さやかだもの……」
まどか「そうなんだよねぇ… さやかちゃん、マミさん大好きだったもんね」
マミ「…二人とも、ちょっといいかしら」
まどか「マミさん!? やつれてるよ」
ほむら「今日はもういいから、休んでなさい」
マミ「そんなヒマはないわ… ついにあの魔女を見つけたのよ」
まどか「ほんとに?」
マミ「ええ、昨夜ね。今夜二人がかりで狩りに行くわよ」
41: 2013/02/07(木) 00:29:01.35
杏子「…なんだ…… 地震か?」
オクタヴィア『揺れた?』
杏子「浮いてるからわからなかったか。ちょっと揺れたような」
オクタヴィア『違う! 遠くで音がするよ!』
杏子「誰か来たの? ……マミか!」
オクタヴィア『この間言ってた子? わたし、何もしてないのに…』
杏子「止めに行ってくる。ここで待ってな」
オクタヴィア『揺れた?』
杏子「浮いてるからわからなかったか。ちょっと揺れたような」
オクタヴィア『違う! 遠くで音がするよ!』
杏子「誰か来たの? ……マミか!」
オクタヴィア『この間言ってた子? わたし、何もしてないのに…』
杏子「止めに行ってくる。ここで待ってな」
42: 2013/02/07(木) 00:32:01.82
マミ「ふぅ……」
ほむら「飛ばしすぎよ。少しは抑えないと、最深部へ着くまでもたないわ」
マミ「いいのよ。使い魔だって一体も逃さず殲滅する」
ほむら「あなたが倒れたら、私たちも困るのよ」
ほむら(…まどか、聞こえる?)
まどか(うん、いざとなったら、わたしがマミさんを止めるんだね)
ほむら(お願いね。わたしの言葉は届かなくても、あなたの言う事なら、可能性はある)
ほむら(ごめんなさい。無理をさせて……)
まどか(そんなの気にしなくていいんだよ。むしろ嬉しいんだから、ほむらちゃんに頼ってもらえるのが)
ほむら(……そういうことは、今度じっくり聞かせてもらうわ)
ほむら「飛ばしすぎよ。少しは抑えないと、最深部へ着くまでもたないわ」
マミ「いいのよ。使い魔だって一体も逃さず殲滅する」
ほむら「あなたが倒れたら、私たちも困るのよ」
ほむら(…まどか、聞こえる?)
まどか(うん、いざとなったら、わたしがマミさんを止めるんだね)
ほむら(お願いね。わたしの言葉は届かなくても、あなたの言う事なら、可能性はある)
ほむら(ごめんなさい。無理をさせて……)
まどか(そんなの気にしなくていいんだよ。むしろ嬉しいんだから、ほむらちゃんに頼ってもらえるのが)
ほむら(……そういうことは、今度じっくり聞かせてもらうわ)
44: 2013/02/07(木) 00:34:30.93
杏子「やっぱりお前らか」
まどか「杏子ちゃん!」
杏子「しかもまどかまで巻き込んだりして」
マミ「もうあなたに用はないわ。奥にいる魔女を渡しなさい」
杏子「オクタヴィアはやらせないよ!」
マミ「その恰好、どうやら私と戦う気みたいね」
杏子「戦わずに止められるとは思ってない」
まどか「杏子ちゃん!」
杏子「しかもまどかまで巻き込んだりして」
マミ「もうあなたに用はないわ。奥にいる魔女を渡しなさい」
杏子「オクタヴィアはやらせないよ!」
マミ「その恰好、どうやら私と戦う気みたいね」
杏子「戦わずに止められるとは思ってない」
45: 2013/02/07(木) 00:35:56.42
マミ「わかってるじゃない!」ザッ
ドジュウウゥッ!!!
まどか「ちょっと、マミさん!」
マミ「この程度でやれる相手じゃないわ!」
杏子「その通り!」
ブンッ!! カッ
ドジュウウゥッ!!!
まどか「ちょっと、マミさん!」
マミ「この程度でやれる相手じゃないわ!」
杏子「その通り!」
ブンッ!! カッ
46: 2013/02/07(木) 00:36:45.91
マミ「腕を落とせば殺さずに止められると思ったかしら?」
杏子(ウソだろ? 喰い込んでる!)
マミ「残念だったわね!」
杏子(やばい、このまま近くにいたら…!)
ズッ
マミ「槍を抜いたわね。この距離なら!」
杏子「しまった!!」
杏子(ウソだろ? 喰い込んでる!)
マミ「残念だったわね!」
杏子(やばい、このまま近くにいたら…!)
ズッ
マミ「槍を抜いたわね。この距離なら!」
杏子「しまった!!」
47: 2013/02/07(木) 00:38:33.96
まどか「…杏子ちゃんは……」
マミ「消滅したわ」
まどか「なにも、殺さなくたって…… 杏子ちゃんだって、そこまでしようとしてなかったのに」
マミ「魔女をかばっていたわ。使い魔と同じ、魔女の仲間と見て間違いないわ」
ほむら「その魔女も元をたどれば、私たち魔法少女…」
マミ「……行くわよ。一刻も早く、ここの魔女をたおさないと」
マミ「消滅したわ」
まどか「なにも、殺さなくたって…… 杏子ちゃんだって、そこまでしようとしてなかったのに」
マミ「魔女をかばっていたわ。使い魔と同じ、魔女の仲間と見て間違いないわ」
ほむら「その魔女も元をたどれば、私たち魔法少女…」
マミ「……行くわよ。一刻も早く、ここの魔女をたおさないと」
49: 2013/02/07(木) 00:41:23.86
・
・
・
オクタヴィア『杏子?』
杏子「…逃げろ…… ここにいたら、殺されるぞ…」
オクタヴィア『ケガをしたの? 痛い?』
杏子「大丈夫… 久しぶりに分身を出して、ちょっと疲れただけさ……」
オクタヴィア『そんなの使えたんだ』
杏子「使えないはずだった…… でも、まだあったんだな… 魔法の力で守りたいものが……」
オクタヴィア『それって、わたしのこと?』
杏子「わかったらさっさと逃げな。マミの戦い方はよくわかってるんだ。足止めくらいしてみせる」
・
・
オクタヴィア『杏子?』
杏子「…逃げろ…… ここにいたら、殺されるぞ…」
オクタヴィア『ケガをしたの? 痛い?』
杏子「大丈夫… 久しぶりに分身を出して、ちょっと疲れただけさ……」
オクタヴィア『そんなの使えたんだ』
杏子「使えないはずだった…… でも、まだあったんだな… 魔法の力で守りたいものが……」
オクタヴィア『それって、わたしのこと?』
杏子「わかったらさっさと逃げな。マミの戦い方はよくわかってるんだ。足止めくらいしてみせる」
52: 2013/02/07(木) 00:44:25.39
オクタヴィア『…行かない。杏子が一緒に来てくれないなら、わたしも戦うよ!』
杏子「バカ言ってないで、早く……」
ドォッ!!
杏子「来た!」
マミ「あら、生きてたのね」
杏子「いいか、あの金髪がマミ、長いストレートのがほむら、結わいてるのがまどかだ」
オクタヴィア『うん、覚えた』
杏子「まどかには絶対に手を出すなよ。魔法少女じゃないんだから」
オクタヴィア『マミって子を抑えればいいんだね!』
杏子「その通り。行くぞ!」
杏子「バカ言ってないで、早く……」
ドォッ!!
杏子「来た!」
マミ「あら、生きてたのね」
杏子「いいか、あの金髪がマミ、長いストレートのがほむら、結わいてるのがまどかだ」
オクタヴィア『うん、覚えた』
杏子「まどかには絶対に手を出すなよ。魔法少女じゃないんだから」
オクタヴィア『マミって子を抑えればいいんだね!』
杏子「その通り。行くぞ!」
53: 2013/02/07(木) 00:46:05.50
マミ「あなたに用はないと言ったでしょう!」ドジュゥ!!
杏子「ぐわぁっ!」
マミ「久しぶりね美樹さんんっ!!」
オクタヴィア『そんな子、知らない!』
ブンッ!
マミ「ぐっ…! でもこの程度で、今日の私は止められないわ!」
オクタヴィア『ひっ!』
杏子「ぐわぁっ!」
マミ「久しぶりね美樹さんんっ!!」
オクタヴィア『そんな子、知らない!』
ブンッ!
マミ「ぐっ…! でもこの程度で、今日の私は止められないわ!」
オクタヴィア『ひっ!』
54: 2013/02/07(木) 00:48:22.03
杏子「そうはいくかよ!」ゴッ
マミ「まだ生きていたの?」
杏子「散弾でなければやられていたさ…」
ガシガシガシッ!!
マミ「結界の魔法…? それで私を抑えたつもり?」
杏子「説得する時間を稼げればいい」
杏子「なぁマミ… 一体どうしたんだよ? コイツが何をしたんだ? どうしてそこまで拘るんだよ……」
マミ「……その魔女の前の名前は美樹さやか」ガッ!
マミ「案外カタいのね」
マミ「とてもいい子だったわ…… 魔法少女になって、街のみんなを守りたいって」
杏子「今でもそうだよ… いい子だから苦しむんだ……」
マミ「まだ生きていたの?」
杏子「散弾でなければやられていたさ…」
ガシガシガシッ!!
マミ「結界の魔法…? それで私を抑えたつもり?」
杏子「説得する時間を稼げればいい」
杏子「なぁマミ… 一体どうしたんだよ? コイツが何をしたんだ? どうしてそこまで拘るんだよ……」
マミ「……その魔女の前の名前は美樹さやか」ガッ!
マミ「案外カタいのね」
マミ「とてもいい子だったわ…… 魔法少女になって、街のみんなを守りたいって」
杏子「今でもそうだよ… いい子だから苦しむんだ……」
55: 2013/02/07(木) 00:50:33.93
マミ「だから一緒に戦ってこられた!」
ドゴッ!!
マミ「それなのに、最後は魔女になるなんて……」
ピキッ…
杏子「壁がもたない!」
マミ「あの子だったらそんなのイヤだったはずよ!」
杏子(やるしかないのか… オクタヴィア!)
杏子(マミが壁を破ると同時に叩き込むぞ! タイミングをあわせられるな?)
ドゴッ!!
マミ「それなのに、最後は魔女になるなんて……」
ピキッ…
杏子「壁がもたない!」
マミ「あの子だったらそんなのイヤだったはずよ!」
杏子(やるしかないのか… オクタヴィア!)
杏子(マミが壁を破ると同時に叩き込むぞ! タイミングをあわせられるな?)
56: 2013/02/07(木) 00:53:33.41
オクタヴィア『いい。一人でやるから』
ドガッ
杏子「おい…… どうしたんだよ、オクタヴィア……」
まどか「床が崩れてくよ!」
ほむら「私に捕まって! 杏子、あなたも!」
杏子「放せよ!」
ほむら「最悪、結界ごと崩れるわ! あなたまで氏にたいの?」
杏子「『まで』とか言うな! まだ二人とも…」
オクタヴィア『早く行って。平気だよ。私も氏なないから』
ドガッ
杏子「おい…… どうしたんだよ、オクタヴィア……」
まどか「床が崩れてくよ!」
ほむら「私に捕まって! 杏子、あなたも!」
杏子「放せよ!」
ほむら「最悪、結界ごと崩れるわ! あなたまで氏にたいの?」
杏子「『まで』とか言うな! まだ二人とも…」
オクタヴィア『早く行って。平気だよ。私も氏なないから』
57: 2013/02/07(木) 00:55:53.65
杏子「無茶するな! 今のマミは手加減しないぞ!」
オクタヴィア『この子はただの魔法少女。きっと誰かを救いたかっただけ……』
オクタヴィア『それより杏子、歌ってよ。わたしの好きだった歌を。知ってるんでしょ?』
杏子「そんなことやってる場合か!」ダッ
ほむら「待って! そっちは危険よ!」
マミ「来たわね… よほどトドメをさされたいようね!」
杏子「もうよせよ! コイツは人を襲うような魔女じゃないんだってば!」
マミ「だとしても、美樹さんの変わり果てた姿なのよ!」
ドゥッ!!
マミ「私と一緒に戦ってくれて… 私を見て、魔法少女に憧れたの……」
オクタヴィア『この子はただの魔法少女。きっと誰かを救いたかっただけ……』
オクタヴィア『それより杏子、歌ってよ。わたしの好きだった歌を。知ってるんでしょ?』
杏子「そんなことやってる場合か!」ダッ
ほむら「待って! そっちは危険よ!」
マミ「来たわね… よほどトドメをさされたいようね!」
杏子「もうよせよ! コイツは人を襲うような魔女じゃないんだってば!」
マミ「だとしても、美樹さんの変わり果てた姿なのよ!」
ドゥッ!!
マミ「私と一緒に戦ってくれて… 私を見て、魔法少女に憧れたの……」
59: 2013/02/07(木) 00:58:38.58
マミ「そんな子が絶望に堕ちてしまったんだから! 私が止めてあげなきゃいけないのよ!」
ジュウウウッ!!!!
杏子「うっ…! ぐあああっ!!!」
オクタヴィア『杏子!』
マミ「会いに来たわよ、美樹さん!」ドギュウウゥッ!!!!
ジュウウウッ!!!!
杏子「うっ…! ぐあああっ!!!」
オクタヴィア『杏子!』
マミ「会いに来たわよ、美樹さん!」ドギュウウゥッ!!!!
60: 2013/02/07(木) 01:00:44.30
ガシッ
杏子「だったらさ、マミ……」ヨロッ
ほむら「さがりなさい、杏子!」
まどか「あのケガじゃあ… 杏子ちゃんまで氏んじゃうよ…」
杏子「さやかに会いに来たなら……」
ホロリ
杏子「どうしてもっと早く来てくれなかったんだよぉっ!」
ボロッ…
杏子「だったらさ、マミ……」ヨロッ
ほむら「さがりなさい、杏子!」
まどか「あのケガじゃあ… 杏子ちゃんまで氏んじゃうよ…」
杏子「さやかに会いに来たなら……」
ホロリ
杏子「どうしてもっと早く来てくれなかったんだよぉっ!」
ボロッ…
61: 2013/02/07(木) 01:02:47.55
マミ「なによ、急に……」
杏子「あの時最後まで引き止めてくれて… そのうち追いかけてくると思ってた……」
杏子「久しぶりに会ったらコレだ…… 友達が魔女になって、自分もそうなるのが怖かったんだろ?」
杏子「そんなんでキリキリしてるマミに会って、さやかは喜ぶのかよ!」
マミ「そうよ… だってあの子、私みたいになりたいって、言ってくれたの……」
杏子「あたしだってなりたかったよ! だからずっと会いたかった!」
杏子「あの頃見た、『憧れのマミさん』にもう一度会いたかったんだよ!」
杏子「あの時最後まで引き止めてくれて… そのうち追いかけてくると思ってた……」
杏子「久しぶりに会ったらコレだ…… 友達が魔女になって、自分もそうなるのが怖かったんだろ?」
杏子「そんなんでキリキリしてるマミに会って、さやかは喜ぶのかよ!」
マミ「そうよ… だってあの子、私みたいになりたいって、言ってくれたの……」
杏子「あたしだってなりたかったよ! だからずっと会いたかった!」
杏子「あの頃見た、『憧れのマミさん』にもう一度会いたかったんだよ!」
62: 2013/02/07(木) 01:06:18.68
・
・
・
まどか「……終わったのかな? マミさんが止まったよ……」
ほむら「帰りましょう」
まどか「でも、マミさんと杏子ちゃんは?」
ほむら「私たちが見てはいけないわ。二人きりにしておきましょう」
・
・
まどか「……終わったのかな? マミさんが止まったよ……」
ほむら「帰りましょう」
まどか「でも、マミさんと杏子ちゃんは?」
ほむら「私たちが見てはいけないわ。二人きりにしておきましょう」
63: 2013/02/07(木) 01:07:24.31
ほむら「オクタヴィア、あなたもこっちへおいで」
オクタヴィア『うん……』
まどか「放っといていいの? 床が割れてるから、池に落ちちゃうよ」
オクタヴィア『いいんだよ、落ちたって』
オクタヴィア『杏子は浮き輪を持ってきてるから』
オクタヴィア『うん……』
まどか「放っといていいの? 床が割れてるから、池に落ちちゃうよ」
オクタヴィア『いいんだよ、落ちたって』
オクタヴィア『杏子は浮き輪を持ってきてるから』
64: 2013/02/07(木) 01:10:31.20
——マミ部屋——
マミ「……やっと落ち着いたわ」パタン
まどか「杏子ちゃんは?」
マミ「泣き疲れて寝ちゃったわ。寝室にいるから、静かにしててね」
まどか「マミさんも一緒に寝てきたら? 疲れたでしょ」
マミ「もうしばらくは我慢するわ。見逃せないもの」
ほむら「それじゃあ、マミが力つきる前に始めましょうか」コトン
マミ「……やっと落ち着いたわ」パタン
まどか「杏子ちゃんは?」
マミ「泣き疲れて寝ちゃったわ。寝室にいるから、静かにしててね」
まどか「マミさんも一緒に寝てきたら? 疲れたでしょ」
マミ「もうしばらくは我慢するわ。見逃せないもの」
ほむら「それじゃあ、マミが力つきる前に始めましょうか」コトン
65: 2013/02/07(木) 01:11:55.44
マミ「グリーフシードに戻して持って帰ってきた魔女……」
まどか「さやかちゃん、気分はどう?」
オクタヴィア『そんな名前じゃないのに… でも、なんだか緊張してきたな』
ほむら「QBによると前例はないそうよ。できそう?」
オクタヴィア『杏子とマミに希望のパワーを分けてもらったからね』
オクタヴィア『あの二人の分なら、できないワケないでしょう!』
まどか「早くもさやかちゃんらしくなってきたよ!」
オクタヴィア『だからさ、今はまださやかじゃないんだって』
オクタヴィア『……でもありがとう、まどか』
まどか「さやかちゃん、気分はどう?」
オクタヴィア『そんな名前じゃないのに… でも、なんだか緊張してきたな』
ほむら「QBによると前例はないそうよ。できそう?」
オクタヴィア『杏子とマミに希望のパワーを分けてもらったからね』
オクタヴィア『あの二人の分なら、できないワケないでしょう!』
まどか「早くもさやかちゃんらしくなってきたよ!」
オクタヴィア『だからさ、今はまださやかじゃないんだって』
オクタヴィア『……でもありがとう、まどか』
66: 2013/02/07(木) 01:15:17.09
——それから数日後——
杏子「相手はあのワルプルギスの夜。いざって時に備えて、心残りをなくすってのはわかるけどさ」
杏子「なにも前日に行くことはないだろ……」
さやか「うっさいなぁ。これでも予定より遅れたんだよ」
杏子「せっかく戻れたのに、これまで明日の練習で大変だったからね」
杏子「で、どうだったの?」
さやか「……あんた、知ってて言ってるでしょ」
杏子「相手はあのワルプルギスの夜。いざって時に備えて、心残りをなくすってのはわかるけどさ」
杏子「なにも前日に行くことはないだろ……」
さやか「うっさいなぁ。これでも予定より遅れたんだよ」
杏子「せっかく戻れたのに、これまで明日の練習で大変だったからね」
杏子「で、どうだったの?」
さやか「……あんた、知ってて言ってるでしょ」
67: 2013/02/07(木) 01:17:08.84
杏子「ゴメン…… でもさ、仁美だっけ? まどかたちとゲーセンへ連れてきたことあったじゃない?」
杏子「あの時しか会った事ないけど、かわいかったし、いい子そうだしさ…」
さやか「うん、それは知ってる。恭介にはもったいないくらいだわ」
さやか「だから正直言うと、悔しい気持ちもないことはないんだけどさ」
さやか「スッキリして気分爽快な方が上回ってるかな」
杏子「……もう一つゴメン、先に謝っとくから怒んないでよ」
さやか「言ってみなさい」
杏子「今、ちょっと『いいな』って思った」
さやか「お、言ったな~!」
杏子「だからゴメンって!」
杏子「あの時しか会った事ないけど、かわいかったし、いい子そうだしさ…」
さやか「うん、それは知ってる。恭介にはもったいないくらいだわ」
さやか「だから正直言うと、悔しい気持ちもないことはないんだけどさ」
さやか「スッキリして気分爽快な方が上回ってるかな」
杏子「……もう一つゴメン、先に謝っとくから怒んないでよ」
さやか「言ってみなさい」
杏子「今、ちょっと『いいな』って思った」
さやか「お、言ったな~!」
杏子「だからゴメンって!」
68: 2013/02/07(木) 01:21:12.34
杏子「……あたしも、そのうち好きな人とかできるのかな」
さやか「できるよ。きっと、いい人が来てくれる」
杏子「ドキドキするかな。そしたらさ、さやかみたいにちゃんと告白するの」
杏子「相手がどんな人かわからないけど、たぶんフラれるだろうね… 女の子っぽくないし」
さやか「どうかな~ まだ先の話になりそうだよ」
杏子「でもいいよね、それもまた」
さやか「よくわかってるじゃない」
さやか「いいもんだよ」
さやか「できるよ。きっと、いい人が来てくれる」
杏子「ドキドキするかな。そしたらさ、さやかみたいにちゃんと告白するの」
杏子「相手がどんな人かわからないけど、たぶんフラれるだろうね… 女の子っぽくないし」
さやか「どうかな~ まだ先の話になりそうだよ」
杏子「でもいいよね、それもまた」
さやか「よくわかってるじゃない」
さやか「いいもんだよ」
69: 2013/02/07(木) 01:24:46.55
おわりです
ここまで読んでくれてありがとう!
ここまで読んでくれてありがとう!
70: 2013/02/07(木) 01:27:46.33
乙乙乙
引用元: 杏子「会いたかった」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります