1: 2011/02/28(月) 19:49:33.34
なかのけ!
梓「……平沢姉妹?」
純「うん。どうしたもんか」
梓「知らないよ……ってか好き同士なんだから付き合っちゃえばいいんじゃない?」
純「そんな簡単に進まないよ! まったく梓は子どもだなあ」
梓「子どもじゃないもん」
純「じゃあなんか考えようよ。くっつける方法」
梓「そんなの私たちが考えることじゃないでしょ」
純「面白そうじゃん!」
梓「えー……」
2: 2011/02/28(月) 19:54:54.60
梓「ってか、それって本当に恋の相談なの?」
純「どういう意味っ」
梓「だって純ってよくそういう勘違いするじゃん」
純「今回はちゃんと二人から相談されたんでーす」
梓「二人からって・・・・・それぞれ?」
純「うん。こないだ憂の家行ったときに」
梓「べつべつに?」
純「当たり前でしょ…」
3: 2011/02/28(月) 19:59:54.94
――――――
――――
――
憂「……純ちゃん、ぜったい、わらわない?」
純「まあ……憂の悩みだし、ちゃんと聞くって」
憂「………」
純「大丈夫、まかせなさい! 私はこう見えても恋愛成就のコンサルタント、恋の大宰府天満宮といわれた――」
憂「……ぅ…」ぐすっ
純「わっごめんごめん! からかうつもりはないからね?! ごめんって!」
憂「……好きなの、おねえちゃんが…」
純「……お姉ちゃんが?」
憂「うん……」
純「……それは、その、恋愛対象的な意味で?」
憂「……うん……おかしいよね…」ぐすっ
純「お、おかしくなんかないって! そりゃあんなにかわいいお姉さんだもんね、うん!」あせっ
――――
――
憂「……純ちゃん、ぜったい、わらわない?」
純「まあ……憂の悩みだし、ちゃんと聞くって」
憂「………」
純「大丈夫、まかせなさい! 私はこう見えても恋愛成就のコンサルタント、恋の大宰府天満宮といわれた――」
憂「……ぅ…」ぐすっ
純「わっごめんごめん! からかうつもりはないからね?! ごめんって!」
憂「……好きなの、おねえちゃんが…」
純「……お姉ちゃんが?」
憂「うん……」
純「……それは、その、恋愛対象的な意味で?」
憂「……うん……おかしいよね…」ぐすっ
純「お、おかしくなんかないって! そりゃあんなにかわいいお姉さんだもんね、うん!」あせっ
4: 2011/02/28(月) 20:04:55.32
――
――――
――――――
純「……とまあこんなことがあったのが二日前」
梓「太宰府天満宮って……」
純「そこじゃないよばか」
梓「う、うん。今は純のセンスじゃないよねうん」
純「そうだよ! 憂のコイバナなのー!」
梓「はいはい……それで? それからどうしたの」
純「私もさー、言ったんだよ。普通に好きだろうから告白してみれば? って」
梓「うわー……私が言うのもなんだけど、安易だなあ……」
純「人のこと言えないっつの。……で、やっぱ無理だって」
梓「そりゃあねえ……純もいきなりお兄さんから告白されたら」
純「あー、寒気する」ぶるっ
梓「……純ってそんなお兄さんのこと嫌いだったっけ?」
純「好き嫌いの種類がちがうの! そんぐらい分かれよ一人っ子!」
――――
――――――
純「……とまあこんなことがあったのが二日前」
梓「太宰府天満宮って……」
純「そこじゃないよばか」
梓「う、うん。今は純のセンスじゃないよねうん」
純「そうだよ! 憂のコイバナなのー!」
梓「はいはい……それで? それからどうしたの」
純「私もさー、言ったんだよ。普通に好きだろうから告白してみれば? って」
梓「うわー……私が言うのもなんだけど、安易だなあ……」
純「人のこと言えないっつの。……で、やっぱ無理だって」
梓「そりゃあねえ……純もいきなりお兄さんから告白されたら」
純「あー、寒気する」ぶるっ
梓「……純ってそんなお兄さんのこと嫌いだったっけ?」
純「好き嫌いの種類がちがうの! そんぐらい分かれよ一人っ子!」
6: 2011/02/28(月) 20:09:55.72
梓「でも、唯先輩も憂のことが好きなんでしょ? そういう意味で」
純「うん。びっくりしちゃったよ、っていうか吹きだしそうになった」
梓「純さいてー」
純「いやいやいや! 梓も同じ立場だったらシンクロっぷりに笑っちゃうってば?!」
梓「純と一緒にしないでよ。でもまあ……あの二人は、ねぇ…」
純「でね? 昨日、憂のうちに行った時なんだけどさ」
梓「唯先輩に打ち明けられた、と」
純「うん……あのときはやばかった」
7: 2011/02/28(月) 20:14:56.02
――――――
――――
――
唯「……純ちゃん、ぜったいわらわないでね?」
純(えっなにこの展開)
純「ま、まあ……唯先輩の悩みですし、ちゃんと聞きますって!!」
唯「………」
純(……何か言わなきゃダメなのかな私…)
純「まっ任せてください! 私はこう見えても一級フラグ建築士、ってそれは意味が違――」
唯「……うぅ…」うるうる
純(おいおい、まさか「憂が好き」とか言い出すんじゃ……)
――――
――
唯「……純ちゃん、ぜったいわらわないでね?」
純(えっなにこの展開)
純「ま、まあ……唯先輩の悩みですし、ちゃんと聞きますって!!」
唯「………」
純(……何か言わなきゃダメなのかな私…)
純「まっ任せてください! 私はこう見えても一級フラグ建築士、ってそれは意味が違――」
唯「……うぅ…」うるうる
純(おいおい、まさか「憂が好き」とか言い出すんじゃ……)
9: 2011/02/28(月) 20:19:56.39
純「あ、あのすいません……別にちゃかすとかじゃなくって、その、かるーい気持ちで話していただけれb」
唯「…妹が……すきになっちゃったの……」
純「い、いもうとさんが?」
唯「うん……たぶん」
純「それはその、恋愛対象的な……ぷふっ……くふふっ……」
唯「じゅんちゃあん……ひどいよっ、わらうなんて……ぐすっ…」
純「わ、わっ! そういう意味じゃないですって!? 私もいま頭が混乱してて――」
10: 2011/02/28(月) 20:25:10.65
――
――――
――――――
梓「とりあえず純が最っ低なのはわかった」
純「いや、しょうがないでしょう?! どんだけシンクロしてんのよって!」
梓「あはは……なーんか幸せそうでいいですねーみなさん」ごろん
純「いじけないの。よしよし」なでなで
梓「……猫じゃないんだから」
純「……いやならどけばいいじゃん。ていうかあの二人の話だよ」
梓「いいんじゃないの? そのうちくっつくよ」
純「でも……お互いがこう、変なとこで遠慮しあってるから見てていらつくっていうか……」
梓「――ああもうっ! 純はなにが言いたいのっ!?」
純「おこんないでよぉ……えっとね、梓だったらどうアプローチする? とか」
――――
――――――
梓「とりあえず純が最っ低なのはわかった」
純「いや、しょうがないでしょう?! どんだけシンクロしてんのよって!」
梓「あはは……なーんか幸せそうでいいですねーみなさん」ごろん
純「いじけないの。よしよし」なでなで
梓「……猫じゃないんだから」
純「……いやならどけばいいじゃん。ていうかあの二人の話だよ」
梓「いいんじゃないの? そのうちくっつくよ」
純「でも……お互いがこう、変なとこで遠慮しあってるから見てていらつくっていうか……」
梓「――ああもうっ! 純はなにが言いたいのっ!?」
純「おこんないでよぉ……えっとね、梓だったらどうアプローチする? とか」
11: 2011/02/28(月) 20:30:11.07
梓「どうって……私よりも詳しそうな人いるんじゃないの?」
純「普通の恋愛と違うじゃん、憂たちの場合は」
梓「……うーん。そうかなあ」
純「そうなの! だって同性愛だよ? 人には言えない禁断の愛なんだよ?!」
梓「そうやって他人事で盛り上がるのもどうかと思う」
純「他人事じゃないし」
梓「まあ唯先輩と憂の話だもんねー。……うーん、私だったらどうだろう」
純「気になる気になる」
梓「私だったら……とりあえず、あぷろーちかけるとか?」
純「あ、アプローチ?」
梓「それとなーく『つきあってるひといるんですかー』とか『どんな人好きですかー』とか」
純「ふむふむ」
14: 2011/02/28(月) 20:35:11.51
梓「もともと仲よかった分、かえって意識しちゃうときつい部分もあるだろうしねー」
純「……あー、それは分かるかも」
梓「え。やっぱ純ってブラコ――」
純「ちがうし!」
梓「冗談だって。で、それでもやっぱ親密でも見えない部分ってあるわけじゃん?」
純「まあねえ」
梓「そういうとこを、こう、ちょっとずつ埋めてく……みたいな?」
純「なるほどー」
梓「ま、私だれともつきあったことないから想像だけどね」
純「ううん、参考になった! ありがと梓!」
梓「あはは、ならいいけど」
16: 2011/02/28(月) 20:40:12.08
つぎのひ!
純「ところでさー、梓の好きなタイプってどんな感じの人?」
梓「それ憂たち関係ないじゃん…」
純「えー、なんか気になるー。だって梓ってなに考えてるか分かんないとこあるじゃん」
梓「ひどい言われよう! もう一人で考えればいいじゃんっ」
純「ごめんってー。で、どんな人が好きなの? ねえねえっ」
梓「えー……うーん、見てないようで見てくれてる人、とか」
純「うーん…」
梓「ギャップ萌えとかあるのかも。私のこととか気にしてないような人が急に心の深く見てくれると、どきってくる」
純「……うーん」
梓「そういう純はどうなのさ」
純「……いや、別に。てか梓とか本当どうでもいいし」
梓「なにその落差?!」
17: 2011/02/28(月) 20:45:12.52
純「冗談だって! ……で、憂たちの話なんだけど」
梓「うん、まあ、私はほっとけばいいと思うんだけど……」
純「うそつけー、気になってるくせにい」
梓「気になってないもん」
純「梓って本音突かれるとよけい子どもっぽくなるよね」
梓「……しらないし」
純「まあまあ。でさー、ちょっと動きあったっぽいよ! あの二人!」
梓「動きもなにも、家族じゃないですか」
純「だから大変なんだってば」
梓「ああ……気まずくなったりとか」
純「ほらあ、最近の憂ってすごいダウナーだったじゃん? 病んでたでしょ?」
梓「確かに……でも昨日は元気そうだったけどねえ」
純「それが進展あったってことだよ!」
18: 2011/02/28(月) 20:50:12.94
――――――
――――
――
憂「……♪」
純「うまくいった?」
憂「うん、昨日よりは自然に話せたかな……純ちゃんのおかげだよ、えへへ」
純「よかったじゃん。それでお姉さんはなんて言ってたの?」
憂「えっとねえ……お姉ちゃんが好きな人は……あったかくて、やさしくって、」
純「ふんふん」
憂「いっつもそばにいてくれて、料理がうまくって、笑顔でいてくれる人……だって」
純「……憂じゃん」
憂「そっそんなことないよお!?」
――――
――
憂「……♪」
純「うまくいった?」
憂「うん、昨日よりは自然に話せたかな……純ちゃんのおかげだよ、えへへ」
純「よかったじゃん。それでお姉さんはなんて言ってたの?」
憂「えっとねえ……お姉ちゃんが好きな人は……あったかくて、やさしくって、」
純「ふんふん」
憂「いっつもそばにいてくれて、料理がうまくって、笑顔でいてくれる人……だって」
純「……憂じゃん」
憂「そっそんなことないよお!?」
21: 2011/02/28(月) 20:55:34.13
――
――――
――――――
梓「……もうほっといてもいいんじゃないの?」
純「いやあ、でもここまで来たら応援してあげたいっていうか!」
梓「だって他人事……まあそれはいいか」
純「そうだよ梓、これは私の戦いでもあるんだからっ!」
梓「やけに気合い入ってるね…」
純「その方が楽しいじゃーん」
梓「そういうとこだけ純を見習いたくなるよ…」
純「他も見習ってよ」
梓「さすがにうざい」
純「ちぇー」
――――
――――――
梓「……もうほっといてもいいんじゃないの?」
純「いやあ、でもここまで来たら応援してあげたいっていうか!」
梓「だって他人事……まあそれはいいか」
純「そうだよ梓、これは私の戦いでもあるんだからっ!」
梓「やけに気合い入ってるね…」
純「その方が楽しいじゃーん」
梓「そういうとこだけ純を見習いたくなるよ…」
純「他も見習ってよ」
梓「さすがにうざい」
純「ちぇー」
22: 2011/02/28(月) 21:00:34.56
梓「で、まだ何かあるの?」
純「うん。ほらさ、こう……もう一歩! 距離を縮める方法ってないかなっ」
梓「自分で考えればいいじゃん。天満宮なんでしょ」
純「私だって考えてるけど、梓の意見がききたいの!」
梓「正直に言いなさい。押しつけてるでしょ」
純「そんなことないってばあ、頼むよあずさー」ゆさゆさ
梓「…うざい」
23: 2011/02/28(月) 21:05:35.03
純「ちぇー。……ってか、他の人に聞くこともできるけどさ」
梓「………」
純「憂たちのことよく知ってるのって梓じゃん。だから、特別なんだって」
梓「……これだけだからね」
純「ありがとあずさぁ!」ぱあっ
梓「唯先輩だったら抱きついてきてるタイミングだね…」
純「私そんなことしないって」
梓「ふうん。意外だねー」
純「乙女でしょっ」
梓「自分で言うと価値なくなる」
純「ちぇー。……で、なんか考えた?」
24: 2011/02/28(月) 21:10:35.45
梓「うーん……あ。じゃあプレゼントとか」
純「ぷれぜんと? 別にプレゼントいるイベントないじゃん」
梓「……テレビで言ってた話なんだけどさ」
純「うん」
梓「いっつも女の人のことをほったらかしにしてる男がいてね。誕生日とかもガン無視で」
純「わー、ひどっ」
梓「だけど女の人はすっごい愛されてるなって感じるんだって」
純「え、なんで?」
梓「その男の人が、たとえば旅行行ったりしたときちっちゃいストラップとか買ってくるんだって」
純「う、うん」
梓「それで一言。『……旅先でおまえのこと思い出してさ。似合うかなって』」
純「ああー……!」
28: 2011/02/28(月) 21:33:41.69
梓「ごめん、これ参考になんないよね」
純「いやいやそれは知らなかった! こう、さりげない贈り物がいいんだよねっ」
梓「うーん……私にはよく分からないけど。ていうかそんなの贈られてうれしいのかな?」
純「自分で言ったんじゃん・・・・」
梓「まあでも唯先輩と憂ぐらい気の置けない仲だと、そういうサプライズはかえって新鮮なのかも」
純「そうだよ! わあっ、参考にしよっと」
梓「……なに。純も好きな人とかいるの?」
純「えっ? 違うってば、憂たち二人に教えてあげよって」
梓「ふーん……ならいいけど」
30: 2011/02/28(月) 21:38:42.13
純「なんでさ」
梓「だって、純に好きな人とかできたら……」
純「できたら?」
梓「……ぜったいうざいと思うから。毎日その人のこと聞かされて」
純「ひどっ」
梓「まったく、純一人でもうざいのに」
純「そんなこと言って聞いてくれるくせにい」
梓「うるさい……ってかそろそろ帰んなよ、外暗いよ」
純「べつにいーじゃん」
梓「遭難されたら私がやだもん」
純「さすがに家の近所で遭難しないって!」
32: 2011/02/28(月) 21:43:51.69
つぎのひ!
純「はいこれあげる。ねこのアクセサリー。かわいーでしょ」
梓「……な、なんで?」
純「昨日の帰りに寄った店で見つけちゃってさー。ね、ね! つけてみてよっ!」
梓「はあ……まあ、いいけどさ」
純「じゃあつけたげるね! ……梓、シャンプーどんなのつかってるの?」
梓「えー、別に普通のだよ?」
純「そっか…」
梓「なんで?」
純「いや、きれいな髪でうらやましいなあって……はい、できた」
梓「くすぐったいよ…」
34: 2011/02/28(月) 21:48:52.12
純「……うん、似合ってる似合ってる! さっすが私! センスあるー!」
梓「そ、そうかな…?」
純「ほら鏡! みてみて」
梓「あ……うん。……あ、ありがと純」
純「でっしょー? やば、私スタイリストとかもいけそうかも!」
梓「調子のりすぎだよ……っていうか本題は? 憂たちどうなったの?」
純「ほほーう、そろそろあずにゃんも気になって――」
梓「あずにゃんとか言うな」
純「ちぇー。かわいいじゃーん」
梓「純が言うとなんかむずがゆいんだってば」
35: 2011/02/28(月) 21:53:52.59
純「唯先輩がうらやましいよ……あ、そうそう唯先輩の話なんだけど」
梓「うん。ってかあの二人のために集まってるんじゃなかったの?」
純「なんだ、梓だって気になってるんじゃん」
梓「そんな目でにやにやしないでよ」
純「はいはい……でね、さっき唯先輩と会ったんだ」
梓「うん。プレゼント作戦、うまくいった?」
純「それがねえ……なんと憂にあげるだけじゃなくて、憂からももらっちゃったんだって!」
梓「………」じとーっ
純「い、いやあ不思議だねえ…こんなサプライズもあるもんだねえ……」
梓「ぜんぶ純のせいでしょうが!」
36: 2011/02/28(月) 21:58:53.01
純「ごめんってえ!」
梓「はぁ…二人に同じ作戦言っちゃったらさすがに気づくでしょうが」
純「だって二人ともその日のうちに試すなんて思わなかったんだもん……」
梓「それで平沢姉妹は大丈夫だったの?」
純「あーもうそれはばっちし! なんだか急接近したみたいだよ?」
梓「あの二人の『急接近』が分からないよ…」
純「うーん…」
ずいっ
梓「えっ? えっ?!」あたふた
純「……とか」
梓「きゅ、きゅうに顔近づけないでよ!!」
純「……あははっ、冗談だってば!」
梓「はぁ……それでどうなったのさ」
37: 2011/02/28(月) 22:04:58.85
――――――
――――
――
唯「純ちゃんありがとう……憂、気に入ってくれたかなっ」
純「大丈夫ですよ、憂ならなんでも喜びますって」
唯「……でも、気を使ったりしてないかな…」
純「え?」
唯「だってわたしは、いっつもういに迷惑ばっかりかけて、だめなおねえちゃんで……ぐすっ…えぐっ……」
純「いやいやっ、そんなことないですって! 憂も心から喜んでますよ、ぜったい!」
唯「……ありぁとっ、じゅん…ゃん……ぐすっ……」だきっ
純「ちょ――ひとに見られますってえ?!」
唯「ありあどう……ぐすっ……」ぎゅー
純(……う、憂にだけは見られないようにしなきゃ…)
――――
――
唯「純ちゃんありがとう……憂、気に入ってくれたかなっ」
純「大丈夫ですよ、憂ならなんでも喜びますって」
唯「……でも、気を使ったりしてないかな…」
純「え?」
唯「だってわたしは、いっつもういに迷惑ばっかりかけて、だめなおねえちゃんで……ぐすっ…えぐっ……」
純「いやいやっ、そんなことないですって! 憂も心から喜んでますよ、ぜったい!」
唯「……ありぁとっ、じゅん…ゃん……ぐすっ……」だきっ
純「ちょ――ひとに見られますってえ?!」
唯「ありあどう……ぐすっ……」ぎゅー
純(……う、憂にだけは見られないようにしなきゃ…)
38: 2011/02/28(月) 22:11:59.33
――
――――
――――――
梓「やーい浮気あいてー」
純「ちょ…ちがっ、不可抗力だって!」
梓「まったくもう、純はあぶなっかしくて見てられないよ。プレゼントのこととかさあ」
純「はんせいします…」
梓「それで、憂たちはくっつきそうなの?」
純「だといいんだけど……いい雰囲気なんだけどなあ」
梓「あと一歩…ってとこなんだ」
純「うん……なんかないかな? くっつくきっかけとか」
――――
――――――
梓「やーい浮気あいてー」
純「ちょ…ちがっ、不可抗力だって!」
梓「まったくもう、純はあぶなっかしくて見てられないよ。プレゼントのこととかさあ」
純「はんせいします…」
梓「それで、憂たちはくっつきそうなの?」
純「だといいんだけど……いい雰囲気なんだけどなあ」
梓「あと一歩…ってとこなんだ」
純「うん……なんかないかな? くっつくきっかけとか」
40: 2011/02/28(月) 22:18:59.93
梓「うーん……じゃあ、どっか出かけてみるとか」
純「あー、そういえばデート! ……でも、あの二人が出かけてもデートにならないんじゃ…」
梓「意識しだしてからは別だよ。……たぶん」
純「そ、そういうものかな…?」
梓「そうなんじゃないの、お互いが違った目で見えてくるものだもん」
純「……そーですか。はいはい」
梓「え……どしたの純?」
純「なーんか経験ありげな感じがやだなー。っていうか梓さん実は経験豊富なんじゃないですかー」
梓「そんなこと……ないよ」
純「……ほんとに?」
梓「ほんとだってば。……そういう体験あったら、もっとちゃんとしたアドバイスしてるよ」
純「そっかそっかあ! まああずにゃん子どもだもんねえ!」
梓「帰れっ」
42: 2011/02/28(月) 22:26:45.27
つぎのひ!
梓「私なんでこんなところ来てるんだろう…」
純「いいじゃん、せっかく晴れた日曜日なんだし! そうだ、あとで展望台のぼろっか?」
梓「いいよ、人が多いとこってめんどくさいし」
純「そんなこと言わずにさー。ね、気分転換気分転換!」
梓「そんなこと言うなら純もなにかアイデアだしなよ」
純「うぐっ…」
43: 2011/02/28(月) 22:33:45.71
梓「ていうか今までの案、ぜんぶ私が考えてるじゃん…」
純「だって私が考えるよりずっとうまくいってるじゃん、今んとこ」
梓「それはそうだけどさー…」
純「まんざらでもないくせにっ」
梓「そんなことないし」
純「ていうか梓に聞かなきゃ意味ないもん」
梓「なんで?」
純「……憂と唯先輩両方の友達って、軽音部の先輩以外だと少ないじゃん」
梓「まあ確かに……あ、でもそれだったら澪先輩はだめなの?」
純「こみいった話をする仲じゃないよ」
梓「それもそっか」
44: 2011/02/28(月) 22:40:46.31
純「ていうか暑いね、今日」
梓「え、そう? ……うーん、ここ数日では晴れた方だけど…」
純「気のせいか。ううん、なんでもない」
梓「ふーん……ところで純、進展は?」
純「あ、そうそう。……ねえ聞いて! すごいんだよ憂!」
梓「えっ、なんかあったの?!」
純「なんと……あこがれのお姉ちゃんと手をつないだらしいよ!!」
梓「………」
純「……つっこみなしはきついんですけど、ボケ的には」
46: 2011/02/28(月) 22:47:46.78
梓「うーん……発展してるのかなあ」
純「でもさ、梓だって言ってたじゃん。見え方変わると意識変わるとかって」
梓「確かにそっか。でもよく分かんないなあ。純はどうなの?」
純「え?」
梓「ほら、お兄さんいるじゃん。……っていうかお兄さんいるって最近まで知らなかったんだけど」
純「えー、前に言ったと思うんだけど……あれ、言ったっけ?」
梓「知らないってば。でさ、もし仮にお兄さんのこと好きだとしたら、振る舞い変わると思う?」
純「どうだろう……変わる、と思うよ」
梓「……そっか」
47: 2011/02/28(月) 22:54:20.31
純「でも、それがどうしたの?」
梓「えっと……ううん、なんでもない」
純「……そっか」
梓「なに、その目。……ていうかそんなとこ突っ立ってたら車にひかれるよっ」ぎゅ
純「ひゃっ」
梓「……とりあえずマックかなんか入ろうよ」
純「うん……そだね」
48: 2011/02/28(月) 23:01:20.69
梓「………」てくてく
純「………」てくてく
梓「……あの」
純「あのさぁ――」
梓「じゅ、じゅんから先でいいよっ」
純「いや、あずさからで……」
純「……」
梓「……」
純「……ぷふっ……くふふっ……」
梓「…ふふっ……な、なんで純わらってるのさ……くふっ……」
純「だって……あは……あずさらしくないし…」
梓「それは……純だってそうじゃんっ」
50: 2011/02/28(月) 23:08:20.81
まっくにて!
梓「……ここ暑くない?」
純「気のせいだよ。ほら、向こうのサラリーマンだって背広脱いでないし」
梓「そっか……うん。たしかに、そうだったかも」
純「……なにが?」
梓「いや、純の言うとおりだなって…」
純「?」
梓「ううん、なんでもない! それより憂たちの話だよ」
純「あ、ああ……うんそうだね! それで集まったんだもんね…」
53: 2011/02/28(月) 23:18:55.00
純「憂、言ってたんだ」
梓「うん」
純「唯先輩が好きだって気づいてから手をにぎったら、なんか違って見えたんだって」
梓「……そういうもの、だよね」
純「のどの奥で声が出かかって……でも、声が言葉にならない、みたいに言ってた」
梓「……そっか」
純「……」
梓「……」
純「……とっとにかくもう一押しなんだよ! 梓、いっしょにがんばろう!」
梓「だから考えてるの私じゃんっ」
純「……ぷふっ」
梓「えへへ…」
54: 2011/02/28(月) 23:24:03.83
梓「……うーん」
純「うーん……どうなんだろ」
梓「さすがにさ、憂だって唯先輩が自分のこと嫌いじゃないとは分かってると思うんだ」
純「本人は否定するけどねー。予防線だよ絶対あれ」
梓「……本当に引かれてても傷つかないように、的な?」
純「そうそう。なんか分かる。キャラ演じたりとかさ」
梓「そういうものかなあ」
純「ま、梓も成長すればわかるよ」
梓「うるさいし」
55: 2011/02/28(月) 23:29:18.49
梓「やっぱ、関係変えるのがこわいんだよね」
純「……本音出すって難しいしね」
梓「だろうねえ。……想像だけどさ」
純「私だって想像だよ」
梓「……うん」
純「でも、後戻りきかないのは怖いよねえ。『ごめん、やっぱ今のなし!』とか」
梓「あは、それは逆に傷つくってば」
純「……梓は、さ。どういうのがベストだと思う?」
梓「……わかんないよ」
純「梓の好きなシチュエーションとかでいいからさあ」
56: 2011/02/28(月) 23:34:39.56
梓「……やだ、答えたくない」
純「え……なんで?」
梓「さすがにさ、それぐらいは憂たちが考えるべきだよ。……どっちが言うかはわかんないけどさ」
純「わっ私は参考にしようかなーって……」
梓「……」
純「そう、だね。ありがと梓」
梓「ごめんね、今日はあんまり役に立てなくて」
純「ううん、うれしかった! いろいろ聞けて」
梓「……そっか。純ありがと」
純「……えへ」
57: 2011/02/28(月) 23:42:11.87
それから!
純「憂、おめでとう!」
梓「これで一安心だねー」
憂「えへへ……ありがと、純ちゃん」
純「いっやあそれほどでもぉ」
梓「……」じー
純「……わ、わかってるって!」
憂「それに……梓ちゃんも、ありがとうね」
梓「え、知ってたの?」
憂「ううん、あとで純ちゃんから聞いたの。一生懸命考えてくれてたって」
純「……いっ言わないわけないじゃん! さすがにさあっ」
憂「ふたりには感謝してもしきれないよ……背中おしてくれて、ありがとう」
58: 2011/02/28(月) 23:47:16.11
~♪
憂「あ…」
梓「いいって、行きなよ」
純「いとしのお姉ちゃんからお出迎えだもんねえ。昨日はいちゃいちゃできた?」
憂「もっもう……純ちゃん、ひどいよぉ」
純「あははっ、これぐらいいいじゃん!」
梓「親戚のおっさんみたいだよ」
純「梓が一番ひどいし……ぐすん」
憂「ふふ。じゃあ行くね、みんなありがとう!」
純「あーい、またねえ」
憂「……純ちゃんもがんばってね」
純「え?」
梓「えっ」
憂「あ、ううん! なんでもないっ」
61: 2011/02/28(月) 23:51:28.52
純「はぁ……いっちゃったか」
梓「でもよかったね、あの二人」
純「元のさやどころか元以上にらぶらぶだよね。うらやましいなあ」
梓「……そうだね」
純「……ここ茶化すとこだよ。じゅんにそんなひといるのかー、とかっ」
梓「知らないよ。ってか私、そんなこと考えて人と話さないし」
純「そういうとことか梓を見習いたくなるよ…」
梓「見習ってもしょうがないよ」
純「そうかなあ」
63: 2011/02/28(月) 23:53:59.64
梓「……えっと、これから。どうする?」
純「うん……二人見送ったし、ひまだよね」
梓「うん……そう、だね」
純「あのさ、ちょっとあっち行かない?」
梓「え……うん、いいけど」
純「ちょっと話っていうか……まあ、すぐ済むけどさあっ」
梓「……べつにいいよ。ひまだし、時間あるし。長くたって」
純「……そっか、ありがとね」
64: 2011/02/28(月) 23:56:28.42
純「……えっと」
梓「うん」
純「ありがとうね、いろいろ意見聞かせてくれて」
梓「うん」
純「憂もよろこんでたよ。って、さっきも言ってたけどね。あは」
梓「……そうだね」
純「それに……うん、すっごく参考になった。んじゃないかな、憂も! あははっ」
梓「……純。ふつうに話していいってば」くすっ
純「……それができたら苦労しないってばあ」
梓「じゃあ、それまで待ってる」
純「……」
梓「……どうせ、私もひまだもん。せっかくだから、付き合うよ」
純「……うん」
65: 2011/02/28(月) 23:58:18.18
純「……」
梓「……」ぎゅ
純「……あついよ」
梓「やならやめるけど」
純「ううん、そのままがいい」
梓「子どもっぽい?」
純「でもいいから、そのままにして」
梓「……うん」
66: 2011/02/28(月) 23:59:29.63
梓「……あのね」
純「うん」
梓「あれ、ほとんど私の願望だったんだよね」
純「どういう、こと?」
梓「……こんなこと、好きな人からしてほしいなあって」
純「……そっか」
梓「……ありがと」
純「え?」
梓「してくれて」
純「やだ、言わないで」
梓「えっ――」
純「その続きは……言うから」
梓「うん、聞くよ」
67: 2011/03/01(火) 00:10:23.73
純「あのね、梓――」
梓「――うん。わたしも、おんなじ」
純「……ちゃんとことばにしなきゃ、やだよ…」
梓「あは…泣かないでよ。子どもみたいじゃん」
純「あずさだってえ…」
梓「……ありがと、純」
68: 2011/03/01(火) 00:10:36.82
――――――
――――
――
純「……ねえ」
梓「なあに?」
純「……前にさ、梓が、言ってたじゃん。好きになったら見方変わるって」
梓「うん」
純「……また、見え方かわったかも」
梓「……どんな風に?」
純「……すっごく、おちついた。怖かったけど、よかった」
梓「……わたしも」
純「それにね、」
ぎゅっ
69: 2011/03/01(火) 00:10:50.47
純「……なんだか、子どもでいいやって。ふつうになれたかもって」
梓「えへへ……」
純「そう、思ったかも」
梓「……うん」
純「ありがと。……だいすき」
梓「……うん、わたしも。」
おわり。
70: 2011/03/01(火) 00:11:11.33
読んでくれた人ありがとう
抜いた親知らずから血が止まらない腹いせに書いt 純ちゃんかわいい!
次は梓の一人芝居か唯の孤軍奮闘か澪の孤立無援を書いたSSになるかも
抜いた親知らずから血が止まらない腹いせに書いt 純ちゃんかわいい!
次は梓の一人芝居か唯の孤軍奮闘か澪の孤立無援を書いたSSになるかも
75: 2011/03/01(火) 00:20:14.44
よかったよかった
おつ!!
おつ!!
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