1: 2022/02/04(金) 18:02:04.317
男(仕事帰りの楽しみはやっぱりスパ銭でのサウナだ……)ガラッ
男(……ん)
若者「……」
中年「……」
男(今日の“敵”はこの二人か……)
若者「……」
中年「……」
男「……」スッ
男(……ん)
若者「……」
中年「……」
男(今日の“敵”はこの二人か……)
若者「……」
中年「……」
男「……」スッ
2: 2022/02/04(金) 18:05:28.013
男(く……ちょっとキツくなってきた。出ようかな。水分補給して再挑戦……)
若者「……」ニヤッ
中年「……」ニッ
男(こいつら……今笑った!?)
若者「……おっと」
中年「失敬」
男(後に入ったくせにってツラしてやがる! 許せん! ……そうだ!)
若者「……」ニヤッ
中年「……」ニッ
男(こいつら……今笑った!?)
若者「……おっと」
中年「失敬」
男(後に入ったくせにってツラしてやがる! 許せん! ……そうだ!)
4: 2022/02/04(金) 18:07:11.520
男「……」ガシッ
男「あれ!? 開かない!」
若者「え!?」
中年「なんだって!?」
男「どうしよう! この扉開かない! 出られない!」
若者「マジかよ!」
中年「ひいい、大変だ! 蒸されて氏んでしまう!」
男「あれ!? 開かない!」
若者「え!?」
中年「なんだって!?」
男「どうしよう! この扉開かない! 出られない!」
若者「マジかよ!」
中年「ひいい、大変だ! 蒸されて氏んでしまう!」
6: 2022/02/04(金) 18:10:14.887
若者「……!」
若者「開くじゃねえか!」
中年「ホントだ!」
男「……」ニヤッ
若者「くそっ、やられたぜ!」
中年「こんな嘘に引っかかってしまうとは……」
男(上手く騙せたおかげで、気力を回復できた。もうちょっと中にいるとしよう)
若者「開くじゃねえか!」
中年「ホントだ!」
男「……」ニヤッ
若者「くそっ、やられたぜ!」
中年「こんな嘘に引っかかってしまうとは……」
男(上手く騙せたおかげで、気力を回復できた。もうちょっと中にいるとしよう)
7: 2022/02/04(金) 18:12:52.639
男「……」ダラダラ
若者「……」ダラダラ
中年「……」ダラダラ
男(いよいよきつくなってきたな……だが、これを耐えてこそ後のビールが美味いってもんだ)
若者「……」スッ
男(お、やっと行くか? これでおっさんとの一対一か)
若者「……」ダラダラ
中年「……」ダラダラ
男(いよいよきつくなってきたな……だが、これを耐えてこそ後のビールが美味いってもんだ)
若者「……」スッ
男(お、やっと行くか? これでおっさんとの一対一か)
8: 2022/02/04(金) 18:15:02.146
若者「あれ!? 開かねえ!」
男「!?」
中年「!?」
若者「やべえ、マジやべえ! 出られねえ!」
男(嘘つけ……どうせ俺への仕返しのつもりだろ。引っかかるかってんだ)
若者「どうしよう! 干からびちまう!」
男(だけど本当だったら……!)
男「俺も手伝うよ!」
中年「私も!」
男「!?」
中年「!?」
若者「やべえ、マジやべえ! 出られねえ!」
男(嘘つけ……どうせ俺への仕返しのつもりだろ。引っかかるかってんだ)
若者「どうしよう! 干からびちまう!」
男(だけど本当だったら……!)
男「俺も手伝うよ!」
中年「私も!」
11: 2022/02/04(金) 18:17:29.275
男「開くじゃん!」
中年「くっ……!」
若者「へへっ、さっきのお返しだよ!」
男「ぐぬぬ……」
若者「さ~て、もう少し中にいるかな」
男「……」
中年「……」
男(こうなったら意地でもこいつらより後に出てやる!)
中年「くっ……!」
若者「へへっ、さっきのお返しだよ!」
男「ぐぬぬ……」
若者「さ~て、もう少し中にいるかな」
男「……」
中年「……」
男(こうなったら意地でもこいつらより後に出てやる!)
13: 2022/02/04(金) 18:20:33.721
男「……」ダラダラ
若者「……」ダラダラ
中年「……」ダラダラ
男(二人とも粘りやがる。若い方はともかく、おっさんは無理すんなよ。本当に倒れちゃうぞ)
中年「……」スッ
男(お、やっと出る? よかった……流石に先に入ってたおっさんには負けられないもんな)
中年「開かない!」
男「!?」
若者「……」ダラダラ
中年「……」ダラダラ
男(二人とも粘りやがる。若い方はともかく、おっさんは無理すんなよ。本当に倒れちゃうぞ)
中年「……」スッ
男(お、やっと出る? よかった……流石に先に入ってたおっさんには負けられないもんな)
中年「開かない!」
男「!?」
14: 2022/02/04(金) 18:23:38.409
中年「どうしよう、開かないよぉ!」
男(いい加減にしろよ……二番煎じどころか三番煎じじゃねえか)
男「流石にもうだまされませんよ」
若者「三度目はウケねーぞおっさん」
中年「開かない! もうダメだぁ!」
男「……!」
男(こんなおっさんがウソつくとは思えない……真面目そうだし)
男「大丈夫ですか!」
若者「手伝うよ!」
男「……開くじゃねえか!」
中年「……」ニヤリ
男(いい加減にしろよ……二番煎じどころか三番煎じじゃねえか)
男「流石にもうだまされませんよ」
若者「三度目はウケねーぞおっさん」
中年「開かない! もうダメだぁ!」
男「……!」
男(こんなおっさんがウソつくとは思えない……真面目そうだし)
男「大丈夫ですか!」
若者「手伝うよ!」
男「……開くじゃねえか!」
中年「……」ニヤリ
16: 2022/02/04(金) 18:26:21.014
若者「いい加減にしろよ、おっさん!」
男「そうだ! いい年して!」
中年「おいおい、最初にやったのは君たちだろうが!」
若者「そうだぜ! あんたが下らないことしたから……」
男「俺のせいかよ!? お前が二番煎じやらなきゃよかっただけだろうが!」
若者「なんだと!?」
中年「まあまあ、喧嘩はやめたまえよ」
男「同じ穴のムジナのくせに中立ぶらないでもらえますか!」
若者「ホントだぜ、いい年してイタズラなんてよ!」
中年「何を言うか!」
男「そうだ! いい年して!」
中年「おいおい、最初にやったのは君たちだろうが!」
若者「そうだぜ! あんたが下らないことしたから……」
男「俺のせいかよ!? お前が二番煎じやらなきゃよかっただけだろうが!」
若者「なんだと!?」
中年「まあまあ、喧嘩はやめたまえよ」
男「同じ穴のムジナのくせに中立ぶらないでもらえますか!」
若者「ホントだぜ、いい年してイタズラなんてよ!」
中年「何を言うか!」
17: 2022/02/04(金) 18:29:21.874
男「……やめよう。ただでさえ熱いのに、さらに熱くなる」
若者「ちっ……」
中年「……」
男「……」
若者「……」
中年「……」
男(こうなったら純粋な我慢比べだ。先に出た奴が負け! 一番最後に入ってる俺は絶対負けるわけにはいかない!)
若者「ちっ……」
中年「……」
男「……」
若者「……」
中年「……」
男(こうなったら純粋な我慢比べだ。先に出た奴が負け! 一番最後に入ってる俺は絶対負けるわけにはいかない!)
18: 2022/02/04(金) 18:32:01.304
男「……」
若者「……」
中年「……」
男「……」
若者「……」
中年「……」
男(ダメだ……きつくなってきた。出よう……)フラッ
男(もういいや、負けで……。プライドより命だ……)フラフラ
若者「……」
中年「……」
男「……」
若者「……」
中年「……」
男(ダメだ……きつくなってきた。出よう……)フラッ
男(もういいや、負けで……。プライドより命だ……)フラフラ
19: 2022/02/04(金) 18:35:39.406
男「……あれ?」
男「開かない……!」
若者「もういいって!」
中年「さすがにもう引っかからんよ」
男「いやホントだって!」
若者「うぜえ……」
中年「さっさと出たまえよ。見苦しいよ。勝ち誇ったりしないから」
男「ホントなんだって!」
男「開かない……!」
若者「もういいって!」
中年「さすがにもう引っかからんよ」
男「いやホントだって!」
若者「うぜえ……」
中年「さっさと出たまえよ。見苦しいよ。勝ち誇ったりしないから」
男「ホントなんだって!」
21: 2022/02/04(金) 18:38:07.513
男(マジで開かねえ……!)
男「頼むよ、手伝ってくれ! 俺もうヤバイんだ!」
男「開けてくれたら金払うから! お願い! 頼む!」
若者「……ホントに金もらうからな。金払わなきゃぶっ飛ばす」
中年「やれやれ、そこまでしてイタズラしたいかね。近頃の若者は……」
男「早くぅ!」
男「頼むよ、手伝ってくれ! 俺もうヤバイんだ!」
男「開けてくれたら金払うから! お願い! 頼む!」
若者「……ホントに金もらうからな。金払わなきゃぶっ飛ばす」
中年「やれやれ、そこまでしてイタズラしたいかね。近頃の若者は……」
男「早くぅ!」
23: 2022/02/04(金) 18:41:28.445
若者「あれ!?」
中年「開かない……!」
男「な、開かないだろ!?」
若者「扉を押しても……」
中年「引いても……」
男「ビクともしないだろ!?」
三人(どうすんだよ……!)
中年「開かない……!」
男「な、開かないだろ!?」
若者「扉を押しても……」
中年「引いても……」
男「ビクともしないだろ!?」
三人(どうすんだよ……!)
24: 2022/02/04(金) 18:43:16.246
男「まさか……本当にこんなことになるとは……」
若者「こういうのって……なんて言うんだっけ? ことわざで……」
中年「ええと、たしか瓢箪から、瓢箪から……」
男「やべえ、こんな小学生レベルのことわざすらすぐ出てこない……。熱さでIQ落ちてる……」
若者「タコじゃなかった?」
男「全然違う!」
若者「じゃあ、駒?」
男「なんで瓢箪から駒が出てくんだよ!」
中年「バカかね、君は! もっと考えて発言しろ!」
若者「す、すんません!」
若者「こういうのって……なんて言うんだっけ? ことわざで……」
中年「ええと、たしか瓢箪から、瓢箪から……」
男「やべえ、こんな小学生レベルのことわざすらすぐ出てこない……。熱さでIQ落ちてる……」
若者「タコじゃなかった?」
男「全然違う!」
若者「じゃあ、駒?」
男「なんで瓢箪から駒が出てくんだよ!」
中年「バカかね、君は! もっと考えて発言しろ!」
若者「す、すんません!」
27: 2022/02/04(金) 18:46:20.409
男「ひええ……とうとう汗も出なくなってきた……」
若者「俺も……」
中年「典型的な脱水症状だねえ……」
男(俺は……サウナで氏ぬのか……)
男「あのさ……二人とも……」
若者「あ……?」
中年「なんだい……?」
男「どうせ氏ぬなら……最後にとっておきの秘密暴露して、氏なないか……」
若者「俺も……」
中年「典型的な脱水症状だねえ……」
男(俺は……サウナで氏ぬのか……)
男「あのさ……二人とも……」
若者「あ……?」
中年「なんだい……?」
男「どうせ氏ぬなら……最後にとっておきの秘密暴露して、氏なないか……」
28: 2022/02/04(金) 18:49:47.744
若者「そりゃいい……」
中年「いいね、やろうやろう……」
男「じゃあ……俺から……」
男「実は俺……もう30近いのに、女と付き合ったことないんだ……」
若者「へえ……そうなんすか」
中年「今はそういう人が多いと聞くねえ……草食系、だっけ……?」
男「草食というか、絶食……ですね……。今まさに絶命しそうですけど……」
中年「いいね、やろうやろう……」
男「じゃあ……俺から……」
男「実は俺……もう30近いのに、女と付き合ったことないんだ……」
若者「へえ……そうなんすか」
中年「今はそういう人が多いと聞くねえ……草食系、だっけ……?」
男「草食というか、絶食……ですね……。今まさに絶命しそうですけど……」
29: 2022/02/04(金) 18:52:35.103
若者「ってことはヤったことも?」
男「ない……」
若者「へえ……見た目はわりといいのに……もったいない」
男「え、そう?」
中年「うん、若い頃の○田×夫に似てる……」
若者「誰すかそれ?」
中年「私の世代にとってはスターだけど……知らないか」
男「俺は……ギリ知ってますね……」
男「ない……」
若者「へえ……見た目はわりといいのに……もったいない」
男「え、そう?」
中年「うん、若い頃の○田×夫に似てる……」
若者「誰すかそれ?」
中年「私の世代にとってはスターだけど……知らないか」
男「俺は……ギリ知ってますね……」
31: 2022/02/04(金) 18:55:57.138
若者「なんなら……合コンでもセッティングしますよ?」
男「え、マジ?」
若者「大マジ」
中年「うん、こういうのは結局きっかけがあるかないかだからね。ガンガン行った方がいいよ……」
男「そっか……そうしようかな。もし生きて出られたら……合コンしよう……」
若者「じゃあ、次は……俺が……」
男「おお……どんな秘密があるんだ……?」
男「え、マジ?」
若者「大マジ」
中年「うん、こういうのは結局きっかけがあるかないかだからね。ガンガン行った方がいいよ……」
男「そっか……そうしようかな。もし生きて出られたら……合コンしよう……」
若者「じゃあ、次は……俺が……」
男「おお……どんな秘密があるんだ……?」
32: 2022/02/04(金) 18:59:24.087
若者「実は俺……結構女の子向けアニメ好きで……」
男「え、意外……」
若者「日曜朝やってるやつとか大ファンなんす」
男「プで始まるやつ……?」
若者「プで始まるやつっす……」
男「へえ……だけどあれ大人が見ても面白いらしいし……いいんじゃない?」
若者「そうっすかね……?」
中年「うん、私も漫画好きだしね……」
若者「そっすか……よかった……」
男「え、意外……」
若者「日曜朝やってるやつとか大ファンなんす」
男「プで始まるやつ……?」
若者「プで始まるやつっす……」
男「へえ……だけどあれ大人が見ても面白いらしいし……いいんじゃない?」
若者「そうっすかね……?」
中年「うん、私も漫画好きだしね……」
若者「そっすか……よかった……」
33: 2022/02/04(金) 19:01:59.304
若者「じゃあ、最後は……」
中年「私だね。実は今度……娘が結婚するんだ」
男「ええっ……!」
若者「おめでたいっすね……」
中年「ありがとう……二人とも」
中年「だけど晴れ姿を見ることは……できそうにない。最後に……このことを話せてよかったよ……」
男「……」
若者「……」
中年「私だね。実は今度……娘が結婚するんだ」
男「ええっ……!」
若者「おめでたいっすね……」
中年「ありがとう……二人とも」
中年「だけど晴れ姿を見ることは……できそうにない。最後に……このことを話せてよかったよ……」
男「……」
若者「……」
35: 2022/02/04(金) 19:05:07.896
男「そんな秘密知っちゃったら……なおのこと倒れてられませんよ。なぁ?」
若者「うっす」
中年「まさか……」
男「最後の力振り絞って……サウナの扉を開けてみせます。行くぞっ!」
若者「おうっ!」
男「うおおおっ……!」ググッ
若者「うおおおっ……!」ググッ
中年「やめるんだ……残り少ない体力を使ってしまう!」
男「いいんです……何とかこの扉を押し開いてみせる……!」
男「動けっ、動けぇっ!」
若者「うっす」
中年「まさか……」
男「最後の力振り絞って……サウナの扉を開けてみせます。行くぞっ!」
若者「おうっ!」
男「うおおおっ……!」ググッ
若者「うおおおっ……!」ググッ
中年「やめるんだ……残り少ない体力を使ってしまう!」
男「いいんです……何とかこの扉を押し開いてみせる……!」
男「動けっ、動けぇっ!」
38: 2022/02/04(金) 19:08:06.854
ガラッ!
男「うおっ!?」
若者「え……開いた!?」
客「うわっ、びっくりした!」
男「え……なんで開いたの……? あんた、今どうやって開けたの……?」
客「どうやってって、ドアを横にガラッと」
男「……」
男(どうりで……押しても引いても開くわけないわけだ……)
男(ホントにIQ落ちてたんだな……)ドサッ
男「うおっ!?」
若者「え……開いた!?」
客「うわっ、びっくりした!」
男「え……なんで開いたの……? あんた、今どうやって開けたの……?」
客「どうやってって、ドアを横にガラッと」
男「……」
男(どうりで……押しても引いても開くわけないわけだ……)
男(ホントにIQ落ちてたんだな……)ドサッ
40: 2022/02/04(金) 19:11:09.000
カチンッ!
三人「カンパーイッ!」
グビグビッ!
男「いやー、生き返るねえ!」
若者「ホントホント!」
中年「こんな美味いビールは生まれて初めてだよ!」
三人「カンパーイッ!」
グビグビッ!
男「いやー、生き返るねえ!」
若者「ホントホント!」
中年「こんな美味いビールは生まれて初めてだよ!」
41: 2022/02/04(金) 19:14:20.955
男「娘さんの式にはさすがに行けないけど、ちょっとしたお祝いぐらいはさせて下さい」
若者「俺も!」
中年「ありがとう、二人とも!」
男「あと合コン……忘れるなよ?」
若者「男さんにマッチしそうな女の子、連れてくるっすよ!」
男「頼むぞ~!」
アッハッハ……
男(サウナの扉は開けなかったけど……三人の心の扉は開くことができたな)
おわり
若者「俺も!」
中年「ありがとう、二人とも!」
男「あと合コン……忘れるなよ?」
若者「男さんにマッチしそうな女の子、連れてくるっすよ!」
男「頼むぞ~!」
アッハッハ……
男(サウナの扉は開けなかったけど……三人の心の扉は開くことができたな)
おわり
42: 2022/02/04(金) 19:15:50.236
乙
おもしろかった
おもしろかった
44: 2022/02/04(金) 19:17:09.990
乙
46: 2022/02/04(金) 19:17:46.288
全滅endでなくてよかった
乙
乙
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります