1: 2011/04/30(土) 16:56:09.55
良く寝た休日の朝は気持ちがいい。
私は鏡を見た。いつも通り爆発している頭に軽く溜息をつくが、今日は
休日である。ここは休戦し、ヤツの思うまま爆発させておいてやるのが、
人情ってもんであろう。
そして朝食に買い置きしていたドーナツを薄めのミルクコーヒーと共に
食する。うまい、うますぎる。ムフフ、これが私の生きる意味なのだ。
母「やっと起きたの純? もうお昼になるわよ」
純「はいよー、起きたのは八時。二度寝しただけ」
母「同じ事じゃない」
純「正論ですな」
私は鏡を見た。いつも通り爆発している頭に軽く溜息をつくが、今日は
休日である。ここは休戦し、ヤツの思うまま爆発させておいてやるのが、
人情ってもんであろう。
そして朝食に買い置きしていたドーナツを薄めのミルクコーヒーと共に
食する。うまい、うますぎる。ムフフ、これが私の生きる意味なのだ。
母「やっと起きたの純? もうお昼になるわよ」
純「はいよー、起きたのは八時。二度寝しただけ」
母「同じ事じゃない」
純「正論ですな」
4: 2011/04/30(土) 16:59:01.33
母「ホンマでっかの澤口先生?」
純「うん。似てるでしょ?」
母「あんた好きよね澤口先生」
純「ダンディですからな」
母「髪、酷いわよ」
純「分かってる」
母「親の前だからってだらしないわよ」
純「ふぁい」
純「うん。似てるでしょ?」
母「あんた好きよね澤口先生」
純「ダンディですからな」
母「髪、酷いわよ」
純「分かってる」
母「親の前だからってだらしないわよ」
純「ふぁい」
6: 2011/04/30(土) 17:01:57.30
私自慢のボンバーヘッド。それを放置する事は世間どころか肉親にさえ
許されない暴挙らしかった。こんなめんどくさい頭に産んでおいて、文句
つけるのは理不尽な気がするけど仕方ない。扶養家族はつらいよ。
……んん、こんなもんか。手強いが私の敵じゃなかったのであった。
いつもの両サイドポンポンのヘアーセットが完了した。試行錯誤の結果、
私に似合い、かつボンバーを抑える一石二鳥な髪型。やっぱりこれだね。
自分で言うのもなんだが私は割と要領がいい。人よりも特に秀でた所が
あるとは思ってないけど、無駄な事はせずピッタリと生きてるとは思う。
赤点も取った事ない。けれども、いつもスレスレっていうか、ギリギリで
生きてる感じ。それが私。
許されない暴挙らしかった。こんなめんどくさい頭に産んでおいて、文句
つけるのは理不尽な気がするけど仕方ない。扶養家族はつらいよ。
……んん、こんなもんか。手強いが私の敵じゃなかったのであった。
いつもの両サイドポンポンのヘアーセットが完了した。試行錯誤の結果、
私に似合い、かつボンバーを抑える一石二鳥な髪型。やっぱりこれだね。
自分で言うのもなんだが私は割と要領がいい。人よりも特に秀でた所が
あるとは思ってないけど、無駄な事はせずピッタリと生きてるとは思う。
赤点も取った事ない。けれども、いつもスレスレっていうか、ギリギリで
生きてる感じ。それが私。
8: 2011/04/30(土) 17:05:02.89
しかし手間をかけ折角セットしたくなると、どこかへ出かけたくなる。
私は無駄が嫌いなのだ。でもダラダラする事は好きだ。えっ、矛盾してる
って? 細かいことは気にしない、気にしない。
とりあえず、憂に電話してみる事にする。彼女とはただの仲のいい友達
ではあるが、スキンシップ過多な所があり、抱きつかれると最高にハイな
気分ってヤツになれる。
誤解のない様に申し上げると、私にはそのケはないのだが、彼女はその
幼顔に似合わずけしからんボディをしており、無邪気にそれを押し付けら
れると、理性がヤバイ。たまに襲い掛かりたくなる。
……よっし、いっちょもんでみっか。
私は無駄が嫌いなのだ。でもダラダラする事は好きだ。えっ、矛盾してる
って? 細かいことは気にしない、気にしない。
とりあえず、憂に電話してみる事にする。彼女とはただの仲のいい友達
ではあるが、スキンシップ過多な所があり、抱きつかれると最高にハイな
気分ってヤツになれる。
誤解のない様に申し上げると、私にはそのケはないのだが、彼女はその
幼顔に似合わずけしからんボディをしており、無邪気にそれを押し付けら
れると、理性がヤバイ。たまに襲い掛かりたくなる。
……よっし、いっちょもんでみっか。
9: 2011/04/30(土) 17:07:45.56
憂『はい、もしもし憂ですが』
憂に電話をかける。彼女の明朗快活でハキハキした声を聞くと、私は
元気が出る。なんというか光のフォースを感じる。ごめん、自分でもなに
言ってるのか分からない。
純「ういー、暇ぁ? 今から遊び行っていい?」
憂『えぇっ、今から? ええと……』
純「あれ、なんか都合悪かった?」
憂『そうじゃないけど、多分大丈夫だと思うけど』
純「多分? じゃあいいの?」
憂『待って純ちゃんっ! 一応お姉ちゃんに確認とってみる』
憂に電話をかける。彼女の明朗快活でハキハキした声を聞くと、私は
元気が出る。なんというか光のフォースを感じる。ごめん、自分でもなに
言ってるのか分からない。
純「ういー、暇ぁ? 今から遊び行っていい?」
憂『えぇっ、今から? ええと……』
純「あれ、なんか都合悪かった?」
憂『そうじゃないけど、多分大丈夫だと思うけど』
純「多分? じゃあいいの?」
憂『待って純ちゃんっ! 一応お姉ちゃんに確認とってみる』
10: 2011/04/30(土) 17:09:56.58
純「ちょ、ちょっと待って」
憂『お姉ちゃ~~ん、純ちゃん家に呼んでもいい~~!?』
純「憂……」
憂『いいって、純ちゃん! お姉ちゃん歓迎するって!』
純「ありがとう。でもどういう事だか説明して」
憂『あ、うん、そうだね』
純「全く、しっかりしてるようでどっか抜けてるよね、憂は」
憂『エヘヘ……ゴメンね?』
純「別に謝る事ないけど」
憂『お姉ちゃ~~ん、純ちゃん家に呼んでもいい~~!?』
純「憂……」
憂『いいって、純ちゃん! お姉ちゃん歓迎するって!』
純「ありがとう。でもどういう事だか説明して」
憂『あ、うん、そうだね』
純「全く、しっかりしてるようでどっか抜けてるよね、憂は」
憂『エヘヘ……ゴメンね?』
純「別に謝る事ないけど」
11: 2011/04/30(土) 17:13:07.45
憂『実は今日、梓ちゃんがお姉ちゃんにギター教えに来るんだよ』
純「ホーホー、なるほどねー」
憂『分かりましたか、ふくろう博士?』
純「私来たら、お邪魔虫ですよね?」
憂『そうだね、嬉しいなぁ』
純「どういう意味よ」
憂『だってそれなら、私が純ちゃんを独り占め出来るでしょ?』
純「ま、まぁ、手持ち無沙汰な憂の相手位してやれるか」
憂『アハハッ、そうしてくれる?』
純「ホーホー、なるほどねー」
憂『分かりましたか、ふくろう博士?』
純「私来たら、お邪魔虫ですよね?」
憂『そうだね、嬉しいなぁ』
純「どういう意味よ」
憂『だってそれなら、私が純ちゃんを独り占め出来るでしょ?』
純「ま、まぁ、手持ち無沙汰な憂の相手位してやれるか」
憂『アハハッ、そうしてくれる?』
13: 2011/04/30(土) 17:17:00.44
純「んー、じゃ気が向いたら行くわー」
憂『手薬煉引いて待ってるよ』
純「しかしまー、相変わらずシスコンですか?」
憂『う、うん、シスコンかも』
純「否定せずかっ」
憂『だって好きなんだもん』
純「でも将来とか、いつかは離れる時期が来るんだよ」
憂『将来かぁ……二人暮し出来たらいいなって』
憂『手薬煉引いて待ってるよ』
純「しかしまー、相変わらずシスコンですか?」
憂『う、うん、シスコンかも』
純「否定せずかっ」
憂『だって好きなんだもん』
純「でも将来とか、いつかは離れる時期が来るんだよ」
憂『将来かぁ……二人暮し出来たらいいなって』
14: 2011/04/30(土) 17:21:06.22
純「ふへぇー、それはないわぁ」
憂『あ、あるもんっ!』
純「ま、まァ、憂達ならありえなくはないかも」
憂『エヘヘッ』
純「でもさ、お姉ちゃんがお嫁に行ったらどうすんの?」
憂『おォッ、おおお姉ちゃんがお嫁に!?』
純「例え、例えばの話だって」
憂『……つ、ついてく』
純「えっ」
憂『あ、あるもんっ!』
純「ま、まァ、憂達ならありえなくはないかも」
憂『エヘヘッ』
純「でもさ、お姉ちゃんがお嫁に行ったらどうすんの?」
憂『おォッ、おおお姉ちゃんがお嫁に!?』
純「例え、例えばの話だって」
憂『……つ、ついてく』
純「えっ」
15: 2011/04/30(土) 17:23:54.49
憂『だってお姉ちゃんいなくなったら、私生きていけないかも知れない』
純「……」
憂『――な~んちゃって♪』
なんという事でしょう。本人は冗談のつもりでしょうが、全く冗談に
聞こえません。これがシスコンの性なのでしょうか。
純「ちょっと思い詰めないでよっ、憂!」
憂『うん?』
純「一人が寂しくなったら私もいるでしょ? ねっ?」
憂『あ、ありがと純ちゃん』
お母さん……この子、いつか間違いを起こさないか心配です。
純「……」
憂『――な~んちゃって♪』
なんという事でしょう。本人は冗談のつもりでしょうが、全く冗談に
聞こえません。これがシスコンの性なのでしょうか。
純「ちょっと思い詰めないでよっ、憂!」
憂『うん?』
純「一人が寂しくなったら私もいるでしょ? ねっ?」
憂『あ、ありがと純ちゃん』
お母さん……この子、いつか間違いを起こさないか心配です。
24: 2011/04/30(土) 18:34:33.95
ともあれ憂ん家へ向かう事にした私。憂と唯先輩に加え、梓もいると
なると、ツッコミのし甲斐があるというものだ。
その道中の折、私は意外な人物と鉢合わせした。
一際目を惹くポニーテールと巨乳を揺らして駆けて行く、我がアイドル
であり、学園のアイドルでもある、澪先輩のお姿。
そりゃ、矢も盾もたまらず、これは声を掛けるのが、当然の振る舞いと
いえますでしょう。
純「澪先輩!!」
澪「えっ――うわァッ!?」
なると、ツッコミのし甲斐があるというものだ。
その道中の折、私は意外な人物と鉢合わせした。
一際目を惹くポニーテールと巨乳を揺らして駆けて行く、我がアイドル
であり、学園のアイドルでもある、澪先輩のお姿。
そりゃ、矢も盾もたまらず、これは声を掛けるのが、当然の振る舞いと
いえますでしょう。
純「澪先輩!!」
澪「えっ――うわァッ!?」
25: 2011/04/30(土) 18:37:04.67
しかし澪先輩はイヤホンをつけていたらしく、私の声は届かず、あえず
に衝突してしまった。
体格的に小さい私が景気よく吹っ飛ばされた……ものの、丁度澪先輩の
大いなる二つのエアバッグがクッションとなり、全く痛くはなかった。
何とも言えない、ふわふわタイムな感触。これは不幸な……ウィヤ、
幸福な事故である。内心、いや実際、ほくそ笑んだ。自分の顔が相当ニヤ
けてるって、見なくても分かった。
澪「だっ、だだだっ、大丈夫ですかっ!?」
澪先輩はそんな不純な私を気遣い、涙目になってるようにも見える。
逆に済まない気持ちになりますね、これは。
に衝突してしまった。
体格的に小さい私が景気よく吹っ飛ばされた……ものの、丁度澪先輩の
大いなる二つのエアバッグがクッションとなり、全く痛くはなかった。
何とも言えない、ふわふわタイムな感触。これは不幸な……ウィヤ、
幸福な事故である。内心、いや実際、ほくそ笑んだ。自分の顔が相当ニヤ
けてるって、見なくても分かった。
澪「だっ、だだだっ、大丈夫ですかっ!?」
澪先輩はそんな不純な私を気遣い、涙目になってるようにも見える。
逆に済まない気持ちになりますね、これは。
26: 2011/04/30(土) 18:40:23.46
純「全然平気です。澪先輩は?」
澪「わ、私は全然っ! 私の不注意だった! ゴメン!」
純「いえ、私が急に前に飛び出したのがいけなかったんです」
澪「本当? どっか痛むんだったら、無理しないで」
純「心配には及びませんよ、むしろ気持ちよかったですし」
澪「えっと……え?」
純「あ、あの、空を自由に飛べてるような感じだったんで?」
澪「良く分からないけど良かった?」
澪「わ、私は全然っ! 私の不注意だった! ゴメン!」
純「いえ、私が急に前に飛び出したのがいけなかったんです」
澪「本当? どっか痛むんだったら、無理しないで」
純「心配には及びませんよ、むしろ気持ちよかったですし」
澪「えっと……え?」
純「あ、あの、空を自由に飛べてるような感じだったんで?」
澪「良く分からないけど良かった?」
28: 2011/04/30(土) 18:42:48.39
純「所で私の事……」
澪「分かってる! 君はその、梓の友達の……す、すぎ」
純「そうです鈴木純です! 憶えて頂いてて光栄です!」
澪「あはは……す、鈴木さん。手貸すよ、ほら」
澪先輩がそう言って、その白くて長くて綺麗な手を差し出した。
思わず生唾をのみ握ってみると、やわらかいけど指はプニプニ、それで
いてじんわりと湿り気を帯びており、冷たくて気持ちがいい。
澪「あっ、ゴメンッ! 手汗ッ!」
澪「分かってる! 君はその、梓の友達の……す、すぎ」
純「そうです鈴木純です! 憶えて頂いてて光栄です!」
澪「あはは……す、鈴木さん。手貸すよ、ほら」
澪先輩がそう言って、その白くて長くて綺麗な手を差し出した。
思わず生唾をのみ握ってみると、やわらかいけど指はプニプニ、それで
いてじんわりと湿り気を帯びており、冷たくて気持ちがいい。
澪「あっ、ゴメンッ! 手汗ッ!」
29: 2011/04/30(土) 18:46:02.74
むしろご褒美だというのにそんな事を言う澪先輩。かわいすぎる。私が
男なら惚れてまうやろ。いいえ、女でも。
純「いえっ! 好きですから!」
澪「は、はいっ!?」
純「汗ばんだ手の感触」
澪「えっ」
純「私乾燥肌なんで、潤ってて羨ましいです!」
澪「そ、そうなんだ……」(私に気を遣って……いい子だなぁ)
澪先輩は黙って、私についた泥を優しくはたいてくれている。澪先輩が
私に何度も触れている。ああ、これを至福といわずして何と言う?
男なら惚れてまうやろ。いいえ、女でも。
純「いえっ! 好きですから!」
澪「は、はいっ!?」
純「汗ばんだ手の感触」
澪「えっ」
純「私乾燥肌なんで、潤ってて羨ましいです!」
澪「そ、そうなんだ……」(私に気を遣って……いい子だなぁ)
澪先輩は黙って、私についた泥を優しくはたいてくれている。澪先輩が
私に何度も触れている。ああ、これを至福といわずして何と言う?
30: 2011/04/30(土) 18:49:40.22
ああ、誰か時を止めて。そしてフォルダに保存して、いつでも楽しめる
ようにしてくれないかな。
もしかしたら私、今までの人生最高のイベントを迎えているのかも知れ
ない。大袈裟でなく。
純「――あのぅ、その格好、ジョギングですか?」
私がそう何となしに澪先輩に尋ねると、先輩は微笑んで、やんわりと
返答してくれた。
澪「うん。家で勉強してたんだけど」
純「あんまり家にこもりっきりじゃってヤツですね?」
澪「そうそう、気分転換って所」
ようにしてくれないかな。
もしかしたら私、今までの人生最高のイベントを迎えているのかも知れ
ない。大袈裟でなく。
純「――あのぅ、その格好、ジョギングですか?」
私がそう何となしに澪先輩に尋ねると、先輩は微笑んで、やんわりと
返答してくれた。
澪「うん。家で勉強してたんだけど」
純「あんまり家にこもりっきりじゃってヤツですね?」
澪「そうそう、気分転換って所」
31: 2011/04/30(土) 18:52:12.17
純「でも、イヤホンつけっぱで走るのは危ないですよ」
澪「面目ない。イヤホンつけていれば、知らない人から話かけられても
無視できるから、癖で」
純「それってナンパとかですか?」
澪「あ、あははっ、そうなのかな?」
純「モテるのも大変だっ」
澪「モテるというか、絡まれやすいんだよ私」
純「ご謙遜を~」
澪「もう! あんまり先輩をからかうもんじゃないぞ!」
純「でもカッコいい人だったら付き合ったりとか、考えないんですか?」
澪「面目ない。イヤホンつけていれば、知らない人から話かけられても
無視できるから、癖で」
純「それってナンパとかですか?」
澪「あ、あははっ、そうなのかな?」
純「モテるのも大変だっ」
澪「モテるというか、絡まれやすいんだよ私」
純「ご謙遜を~」
澪「もう! あんまり先輩をからかうもんじゃないぞ!」
純「でもカッコいい人だったら付き合ったりとか、考えないんですか?」
32: 2011/04/30(土) 18:55:01.68
澪「ま、まだ高校生だし早いよ。興味ないし」
純「ホーホー、さすが澪先輩! ファンの事、考えていらっしゃる!」
澪「考えてるのは、自分の事だけど」
純「私ベースやってまして! 澪先輩に憧れてて!」
澪「へぇ、ベースを」
純「おこがましいですが、一度でいいから澪先輩とセッションできたら」
澪「いいよ。機会があったら、私もWベースってやってみたかったし」
純「本当ですかぁッ!?」
澪先輩と競演できるなんて……こんなに嬉しい事はない。私は夢を叶え
る事ができるんだ。梓、いいよね。梓には唯先輩がいるもんね。
純「ホーホー、さすが澪先輩! ファンの事、考えていらっしゃる!」
澪「考えてるのは、自分の事だけど」
純「私ベースやってまして! 澪先輩に憧れてて!」
澪「へぇ、ベースを」
純「おこがましいですが、一度でいいから澪先輩とセッションできたら」
澪「いいよ。機会があったら、私もWベースってやってみたかったし」
純「本当ですかぁッ!?」
澪先輩と競演できるなんて……こんなに嬉しい事はない。私は夢を叶え
る事ができるんだ。梓、いいよね。梓には唯先輩がいるもんね。
33: 2011/04/30(土) 18:58:30.65
澪「うん。所で鈴木さんってひょっとして、左利きの人?」
純「えっ、いやあの、左利きではないですけど」
澪「あ、ああ、そっか。そうだよね」
澪先輩からの唐突な質問。しかし私はその期待に応える事は出来ず、
心なしか、澪先輩が残念そうだ。
そこで私は間髪いれず、澪先輩に言い放った。
純「じゃあ今から私、左で練習しますっ!」
澪「え……えぇっ!? そっ、それはやめた方が!?」
純「えっ、いやあの、左利きではないですけど」
澪「あ、ああ、そっか。そうだよね」
澪先輩からの唐突な質問。しかし私はその期待に応える事は出来ず、
心なしか、澪先輩が残念そうだ。
そこで私は間髪いれず、澪先輩に言い放った。
純「じゃあ今から私、左で練習しますっ!」
澪「え……えぇっ!? そっ、それはやめた方が!?」
35: 2011/04/30(土) 19:02:29.63
純「出来ますっ! 澪先輩に手取り足取りされれば何だって!」
澪「はいっ!?」
純「冗談です!」
澪「なんだ冗談か」
純「冗談じゃないです!」
澪「えぇっ!?」
純「ダメですか! 私じゃ澪先輩になれませんか!?」
澪「お、落ち着いて。右を左にかえるとかムチャだから」
澪「はいっ!?」
純「冗談です!」
澪「なんだ冗談か」
純「冗談じゃないです!」
澪「えぇっ!?」
純「ダメですか! 私じゃ澪先輩になれませんか!?」
澪「お、落ち着いて。右を左にかえるとかムチャだから」
36: 2011/04/30(土) 19:06:01.05
純「アドバイスですね?」
澪「う、うん」
純「ありがとうございます! ありがとうございます!」
澪「アハハッ、何だかおもしろい子だなぁ、鈴木さんって」
澪先輩が私に笑いかけてくれるなら、いくらでも道化になりましょう。
純「あの――純。純って呼んでもらえませんか?」
澪「へっ? あ……えと、じゅ、純?」
純「はうぅぅっ!!」
澪「う、うん」
純「ありがとうございます! ありがとうございます!」
澪「アハハッ、何だかおもしろい子だなぁ、鈴木さんって」
澪先輩が私に笑いかけてくれるなら、いくらでも道化になりましょう。
純「あの――純。純って呼んでもらえませんか?」
澪「へっ? あ……えと、じゅ、純?」
純「はうぅぅっ!!」
37: 2011/04/30(土) 19:08:44.81
何で私如きを呼び捨てする位で、ほのかに頬を赤らめてるんですか?
これが下級生が決めた、私女だけど抱かれてもいいランキン一位の実力、
噂の萌え萌えキュンってヤツですか?
ありがとうございます、ありがとうございます。
澪「な、何で私に拝んでるの?」
純「澪先輩は女神様なので」
澪「やめてそういうの。ホントやめて」
純「程々にしておきます」
これが下級生が決めた、私女だけど抱かれてもいいランキン一位の実力、
噂の萌え萌えキュンってヤツですか?
ありがとうございます、ありがとうございます。
澪「な、何で私に拝んでるの?」
純「澪先輩は女神様なので」
澪「やめてそういうの。ホントやめて」
純「程々にしておきます」
38: 2011/04/30(土) 19:12:24.75
澪「所で純は、何か用事があったんじゃない?」
純「いえっ、大した事は。ヒマなんで憂ん家行く所でしたんで」
澪「そっかー、構わせて悪かったな」
純「いえっ、出来ればずっと構いたい位で。純の心の相合傘、澪先輩には
いつでも空いてますんで」
澪「それはさすがに私も困るぞ」
純「澪先輩が困ったら、私も困りますよ~」
澪「フフ、何だか純とは話し易いな」
純「本当ですか? 奇遇ですね、私も気が合うなって思い始めてました」
純「いえっ、大した事は。ヒマなんで憂ん家行く所でしたんで」
澪「そっかー、構わせて悪かったな」
純「いえっ、出来ればずっと構いたい位で。純の心の相合傘、澪先輩には
いつでも空いてますんで」
澪「それはさすがに私も困るぞ」
純「澪先輩が困ったら、私も困りますよ~」
澪「フフ、何だか純とは話し易いな」
純「本当ですか? 奇遇ですね、私も気が合うなって思い始めてました」
40: 2011/04/30(土) 19:16:25.11
澪「私なんかとしゃべっても、おもしろくないだろ?」
純「とんでもない。楽しくて仕方ないですよ」
澪「それは純が、勝手に盛り上げてくれてるからだよ」
純「澪先輩は人が良すぎるから、人のいい所ばかり目につくんですよ」
澪「純は私の事、美化しすぎてるんじゃないか?」
純「美しいものは美しいですから」
澪「調子いいんだから。どっかの誰かさんみたいだ」
純「澪先輩じゃなきゃ、こんなにはしゃぎませんよぉ~」
すごい、澪先輩がこんなに私に話し掛けてきてくれてる。澪先輩の吐く
息が、私のと混ざり合っている。これは間接キスといっても差し支えある
まい。でへへ。
純「とんでもない。楽しくて仕方ないですよ」
澪「それは純が、勝手に盛り上げてくれてるからだよ」
純「澪先輩は人が良すぎるから、人のいい所ばかり目につくんですよ」
澪「純は私の事、美化しすぎてるんじゃないか?」
純「美しいものは美しいですから」
澪「調子いいんだから。どっかの誰かさんみたいだ」
純「澪先輩じゃなきゃ、こんなにはしゃぎませんよぉ~」
すごい、澪先輩がこんなに私に話し掛けてきてくれてる。澪先輩の吐く
息が、私のと混ざり合っている。これは間接キスといっても差し支えある
まい。でへへ。
41: 2011/04/30(土) 19:19:46.95
澪「とにかく、憂ちゃんと約束あるんだろ? 行かなくちゃ」
純「はぁ、まぁ……澪先輩の家ってこの近くだったんですか?」
澪「う~ん、そうでもないな。結構走ってきたから」
純「じゃあ本当に偶然だったんですね」
澪「そのようですね」
純「あの、もしかしておヒマですかね?」
澪「ン~?」
純「一緒に憂の家行きませんか? 唯先輩と梓もいますし」
純「はぁ、まぁ……澪先輩の家ってこの近くだったんですか?」
澪「う~ん、そうでもないな。結構走ってきたから」
純「じゃあ本当に偶然だったんですね」
澪「そのようですね」
純「あの、もしかしておヒマですかね?」
澪「ン~?」
純「一緒に憂の家行きませんか? 唯先輩と梓もいますし」
44: 2011/04/30(土) 19:23:32.26
澪「えっ? 突然私が行ったら迷惑じゃないかなぁ……」
純「そんな事ありませんよ、私も急だし」
澪「で、でも、ジャージだし恥ずかしい……」
純「全然カッコいいですよ。黒豹みたいで」
澪「そんな訳ないだろ、騙されないぞ」
純「ゴメンなさい。でもそんなの気にするような人達じゃないですよ」
澪「わ、分かってるさ私だって」
純「アハッ! じゃあ行きましょっ?」
純「そんな事ありませんよ、私も急だし」
澪「で、でも、ジャージだし恥ずかしい……」
純「全然カッコいいですよ。黒豹みたいで」
澪「そんな訳ないだろ、騙されないぞ」
純「ゴメンなさい。でもそんなの気にするような人達じゃないですよ」
澪「わ、分かってるさ私だって」
純「アハッ! じゃあ行きましょっ?」
48: 2011/04/30(土) 19:27:40.99
澪「ハー、全く強引だな」
純「うぅ……生意気でしたか?」
澪「勘違いするな。先輩の私が後輩に引っ張られてるってのがね?」
純「澪先輩、私っ……」
澪「もういいから。行くぞ」
純「……」
澪先輩がそう言って私に微笑みかけ、私の手を引いた。身体中が熱く
なり、卒倒しそうになった。
純「うぅ……生意気でしたか?」
澪「勘違いするな。先輩の私が後輩に引っ張られてるってのがね?」
純「澪先輩、私っ……」
澪「もういいから。行くぞ」
純「……」
澪先輩がそう言って私に微笑みかけ、私の手を引いた。身体中が熱く
なり、卒倒しそうになった。
50: 2011/04/30(土) 19:31:00.38
しおらしくするなんて私らしくない。でも意識するなというのが無理。
どんだけカッコいいんですか、澪先輩は。
ていうか何、このいいムード。これフラグ? フラグが立ったの?
とまあ、脳内シミュレーションでは、こういった展開になるのだが、
現実では私は澪先輩に声を掛けることすら出来ず、ただ見送るだけで
イベントは終了するのであった。
どんだけカッコいいんですか、澪先輩は。
ていうか何、このいいムード。これフラグ? フラグが立ったの?
とまあ、脳内シミュレーションでは、こういった展開になるのだが、
現実では私は澪先輩に声を掛けることすら出来ず、ただ見送るだけで
イベントは終了するのであった。
55: 2011/04/30(土) 19:54:03.34
澪「純、唯ん家ついたぞ」
純「――えっ? あ、ハイッ!」
……って、あれ? げ、現実? 現実だったのこれ? あまりにも妄想
爆発な展開で、リアリティがないんですが。
ともあれ私は、憂の家に澪先輩を伴って到着した。これはちょっとした
サプライズと言えるのではないでしょうか。
憂「いらっしゃい、純ちゃんっ! 遅かった……あれっ、澪さん?」
澪「は、ははは、どうも憂ちゃん」
純「イヤー、実は途中で澪先輩とバッタリと合っちゃってぇ~!」
純「――えっ? あ、ハイッ!」
……って、あれ? げ、現実? 現実だったのこれ? あまりにも妄想
爆発な展開で、リアリティがないんですが。
ともあれ私は、憂の家に澪先輩を伴って到着した。これはちょっとした
サプライズと言えるのではないでしょうか。
憂「いらっしゃい、純ちゃんっ! 遅かった……あれっ、澪さん?」
澪「は、ははは、どうも憂ちゃん」
純「イヤー、実は途中で澪先輩とバッタリと合っちゃってぇ~!」
56: 2011/04/30(土) 19:59:51.29
憂「そうなんだ」
純「もし憂の家で遊ぶのに澪先輩もいたら、ポッキーゲームやツイスター
で確実に盛り上がる事うけ合いでしょ。その際、密着する役得を考え
れば、ナチュラルにムネタッチもありえるよね。とすれば、澪先輩の
綺麗な黒髪を口に含み、堪能したとしても許されるかもという、年頃
の少女らしい淡い期待を抱いても仕方ない。ていうか、例えその行為
によって下心が見透かされ、澪先輩から汚物を見るかの様な蔑んだ目
で罵倒されて唾を吐かれようとも、それはそれでご褒美じゃありませ
んか。そこで私は足蹴にされてもすかさずスンスンする事を目標に、
土下座で澪先輩の脚をロックし、お誘いしたという訳さぁ。ビックリ
した?」
憂「へ、へぇ~」
私はマシンガントークで捲くし立てた。憂は若干ひいているが、これは
照れ隠しである。彼女に澪先輩の事を説明するのが、何となくアガって
しまっていたのだ。
いくら仏の憂相手とはいえ、私が予告もなく勝手に澪先輩を連れてきた
のは事実で、それを引け目に感じたフクザツな乙女心ってヤツだね。
純「もし憂の家で遊ぶのに澪先輩もいたら、ポッキーゲームやツイスター
で確実に盛り上がる事うけ合いでしょ。その際、密着する役得を考え
れば、ナチュラルにムネタッチもありえるよね。とすれば、澪先輩の
綺麗な黒髪を口に含み、堪能したとしても許されるかもという、年頃
の少女らしい淡い期待を抱いても仕方ない。ていうか、例えその行為
によって下心が見透かされ、澪先輩から汚物を見るかの様な蔑んだ目
で罵倒されて唾を吐かれようとも、それはそれでご褒美じゃありませ
んか。そこで私は足蹴にされてもすかさずスンスンする事を目標に、
土下座で澪先輩の脚をロックし、お誘いしたという訳さぁ。ビックリ
した?」
憂「へ、へぇ~」
私はマシンガントークで捲くし立てた。憂は若干ひいているが、これは
照れ隠しである。彼女に澪先輩の事を説明するのが、何となくアガって
しまっていたのだ。
いくら仏の憂相手とはいえ、私が予告もなく勝手に澪先輩を連れてきた
のは事実で、それを引け目に感じたフクザツな乙女心ってヤツだね。
58: 2011/04/30(土) 20:05:08.57
澪「えっ? なに言ってんだ?」
純「私にも分かりません」
憂「分かったよ、純ちゃん」
純「良かった」
澪「ゴメン。やっぱり突然で、迷惑だったよね?」
憂「そんな事! お姉ちゃん達も喜びますよ!」
唯「ふぁっ、純ちゃんと一緒に澪ちゃんもいる!」
梓「どうして澪先輩が!?」
私達が玄関でもめていると、奥から唯先輩と梓もやってきた。やはり、
澪先輩に驚いている様子だ。ペロッ、これは私が空気になる予感。
純「私にも分かりません」
憂「分かったよ、純ちゃん」
純「良かった」
澪「ゴメン。やっぱり突然で、迷惑だったよね?」
憂「そんな事! お姉ちゃん達も喜びますよ!」
唯「ふぁっ、純ちゃんと一緒に澪ちゃんもいる!」
梓「どうして澪先輩が!?」
私達が玄関でもめていると、奥から唯先輩と梓もやってきた。やはり、
澪先輩に驚いている様子だ。ペロッ、これは私が空気になる予感。
59: 2011/04/30(土) 20:09:43.60
澪「やあ、唯、梓。純に誘われて来ちゃったんだ」
唯「歓迎だよ、澪ちゃん! 楽しんでって!」
梓「私も感激です!」
純「ぬははは、私の手柄だよ梓君」
憂(あれ澪先輩、今、純って呼び捨てだった?)
梓「でも澪先輩、いつの間に純と連絡とりあう仲になってたんです?」
澪「ああ、違うよ。これは単なる偶然というか」
純「福留っていうかデスティニー? なんちてなんちて!」
唯「歓迎だよ、澪ちゃん! 楽しんでって!」
梓「私も感激です!」
純「ぬははは、私の手柄だよ梓君」
憂(あれ澪先輩、今、純って呼び捨てだった?)
梓「でも澪先輩、いつの間に純と連絡とりあう仲になってたんです?」
澪「ああ、違うよ。これは単なる偶然というか」
純「福留っていうかデスティニー? なんちてなんちて!」
60: 2011/04/30(土) 20:15:52.46
唯「アラアラ、何だか澪ちゃん、純ちゃんとおでんの様ですねぇ?」
澪「意味が分からないぞ」
純「アツアツって事ですか? いやー照れる!」
梓「何バカみたいにはしゃいでるのよ」
純「おっ、妬いてますかぁ? 私の先輩ですってか? ジュワッチ!」
梓「その鶴のポーズは何なの?」
唯「何だか格ゲーっぽい! 純ちゃん後でゲームやろうよ!」
純「やりますか唯先輩!」
梓「唯先輩は私とギターの練習やるんでしょ!?」
澪「意味が分からないぞ」
純「アツアツって事ですか? いやー照れる!」
梓「何バカみたいにはしゃいでるのよ」
純「おっ、妬いてますかぁ? 私の先輩ですってか? ジュワッチ!」
梓「その鶴のポーズは何なの?」
唯「何だか格ゲーっぽい! 純ちゃん後でゲームやろうよ!」
純「やりますか唯先輩!」
梓「唯先輩は私とギターの練習やるんでしょ!?」
62: 2011/04/30(土) 20:19:46.20
唯「分かってるよぉ。でも折角澪ちゃんと純ちゃんもいるんだし?」
梓「それとこれとは話が別です」
唯「ほえぇ、あずにゃんそんなに私と練習したいのー?」
梓「あ、当たり前です! 練習しなかったら私何の為に来たんですか!」
純「ふへー、耳がいてぇー、焼けるー」
澪「何も目的を持たず、ぶらりと来てすみません」
憂「熱血だね」
唯「コーチと呼ばせていただきます」
梓「な、なんなんですかもーっ!」
梓「それとこれとは話が別です」
唯「ほえぇ、あずにゃんそんなに私と練習したいのー?」
梓「あ、当たり前です! 練習しなかったら私何の為に来たんですか!」
純「ふへー、耳がいてぇー、焼けるー」
澪「何も目的を持たず、ぶらりと来てすみません」
憂「熱血だね」
唯「コーチと呼ばせていただきます」
梓「な、なんなんですかもーっ!」
64: 2011/04/30(土) 20:27:29.43
唯先輩にからかわれ、真っ赤になって照れる梓。素直ではないが顔には
出やすい。こういう所がカワイイヤツだ。
純「ほいじゃ、先生のお手並み拝見といきましょうか」
梓「ちょっ、純!」
澪「そうだな。私達は見学してるよ」
梓「澪先輩まで!?」
唯「あずにゃん、期待されてるね~」
純「唯先輩のカッコいい所も見たーいっ!」
唯「あははっ、そう? 緊張しますなぁ~、あずにゃん」
梓「全然そうは見えませんが」
出やすい。こういう所がカワイイヤツだ。
純「ほいじゃ、先生のお手並み拝見といきましょうか」
梓「ちょっ、純!」
澪「そうだな。私達は見学してるよ」
梓「澪先輩まで!?」
唯「あずにゃん、期待されてるね~」
純「唯先輩のカッコいい所も見たーいっ!」
唯「あははっ、そう? 緊張しますなぁ~、あずにゃん」
梓「全然そうは見えませんが」
67: 2011/04/30(土) 20:31:07.65
唯「よ~し、折角なんだし、二人でギターバトルしない!?」
梓「えっ……の、望む所ですよ!」
純「おおっ、何だかおもしろそう!」
澪「唯がやる気になるなんて!」
憂「頑張って、お姉ちゃん! 梓ちゃん!」
純「あれっ? これからって時に憂はどこ行くの?」
憂「私は今、みんなにお菓子作ってるから」
そういえば憂はエプロンをしていて、仄かに甘い香りも漂わせている。
思い返せば私が憂の家に訪れた時、彼女は大体エプロン姿だった。
全くいいお嫁さんになれるわ、この子は。むしろ、私が貰ってやりたい
くらいだ。
梓「えっ……の、望む所ですよ!」
純「おおっ、何だかおもしろそう!」
澪「唯がやる気になるなんて!」
憂「頑張って、お姉ちゃん! 梓ちゃん!」
純「あれっ? これからって時に憂はどこ行くの?」
憂「私は今、みんなにお菓子作ってるから」
そういえば憂はエプロンをしていて、仄かに甘い香りも漂わせている。
思い返せば私が憂の家に訪れた時、彼女は大体エプロン姿だった。
全くいいお嫁さんになれるわ、この子は。むしろ、私が貰ってやりたい
くらいだ。
70: 2011/04/30(土) 20:37:30.98
純「何作ってるの?」
憂「ドーナツだけど?」
純「わああぁーっ! 私の大好物だ!」
朝に食べたとはいえ憂の作るドーナツなら別。彼女が作るドーナツは、
プロ顔負けの絶品なのだ。
唯「私も! 私もっ!」
憂「エヘヘッ、張り切って作るからね!」
梓「憂のドーナツは本当おいしいんですよ、澪先輩」
澪「へぇー、でも私飛び込みなんだけどいいのかな?」
憂「全然! よろしかったらお土産にもどうぞ!」
いつもの事だけど、どんだけ作るつもりだろうか。
憂「ドーナツだけど?」
純「わああぁーっ! 私の大好物だ!」
朝に食べたとはいえ憂の作るドーナツなら別。彼女が作るドーナツは、
プロ顔負けの絶品なのだ。
唯「私も! 私もっ!」
憂「エヘヘッ、張り切って作るからね!」
梓「憂のドーナツは本当おいしいんですよ、澪先輩」
澪「へぇー、でも私飛び込みなんだけどいいのかな?」
憂「全然! よろしかったらお土産にもどうぞ!」
いつもの事だけど、どんだけ作るつもりだろうか。
71: 2011/04/30(土) 20:46:49.63
純「ねっ憂、私も手伝おっか?」
澪「それなら私も」
憂「あ、大丈夫です一人で。お姉ちゃん達の練習見てあげてて下さい」
純「でも私の大好物だし、もしかして私の為に?」
憂「アハハッ、たまたまドーナツの気分だったんだよー」
確かに彼女がお菓子作りをするのは、日常茶飯事。別にうぬぼれでは
なく、ただの軽口だ。
しかしこうもあっさり返されるのは、何だか悔しい。
そうだ、私が来た目的。それは彼女の成長の確認ではなかったか。思い
出したら吉日、私は早速実行に移す事にした。
澪「それなら私も」
憂「あ、大丈夫です一人で。お姉ちゃん達の練習見てあげてて下さい」
純「でも私の大好物だし、もしかして私の為に?」
憂「アハハッ、たまたまドーナツの気分だったんだよー」
確かに彼女がお菓子作りをするのは、日常茶飯事。別にうぬぼれでは
なく、ただの軽口だ。
しかしこうもあっさり返されるのは、何だか悔しい。
そうだ、私が来た目的。それは彼女の成長の確認ではなかったか。思い
出したら吉日、私は早速実行に移す事にした。
73: 2011/04/30(土) 20:54:28.15
純「でも憂、そんなにお菓子ばかり食べて太らない?」
澪「ハッ!? ふ、太っ!?」
憂「やだなぁ、平気だよ。常時食べてる訳じゃないもん」
純「ふぅん、確かめていい?」
憂「えっ……な、なに?」
私はそれには答えず、やや強引に憂を抱きしめた。
憂「ひゃっ、純ちゃん! 急にどうしたの!?」
憂は多少モゾモゾと暴れたが、それ程強い抵抗ではない。嫌がられては
いない様なので、私は憂の身体を、主に胸とお尻を中心に撫で回した。
澪「ハッ!? ふ、太っ!?」
憂「やだなぁ、平気だよ。常時食べてる訳じゃないもん」
純「ふぅん、確かめていい?」
憂「えっ……な、なに?」
私はそれには答えず、やや強引に憂を抱きしめた。
憂「ひゃっ、純ちゃん! 急にどうしたの!?」
憂は多少モゾモゾと暴れたが、それ程強い抵抗ではない。嫌がられては
いない様なので、私は憂の身体を、主に胸とお尻を中心に撫で回した。
74: 2011/04/30(土) 21:00:16.15
純「ホホー、なるほど太ってはいませんね。これは健康的な肉付きと言え
ます。しかしこの触り心地、私とちょっと違う! やわらか過ぎる!
掴んだ瞬間、指がニュッと吸収されてく感じ! おもしろい!」
憂「ダ、ダメッ、純ちゃん! みんなの前でっ!」
澪「あわわ……」
唯「ほぇ~」
梓「やめなよ純! 憂困ってんじゃん!」
私の行動に、みんなが目を丸くして驚いている。思ったより憂の抵抗が
ないのと、憂の身体に触る気持ちよさの為、私は少々調子に乗り過ぎて
しまったみたいだ。
別に彼女を傷つけたかった訳ではないので、私は照れ笑いをしながら
憂から離れ、素直に頭を下げる。
ます。しかしこの触り心地、私とちょっと違う! やわらか過ぎる!
掴んだ瞬間、指がニュッと吸収されてく感じ! おもしろい!」
憂「ダ、ダメッ、純ちゃん! みんなの前でっ!」
澪「あわわ……」
唯「ほぇ~」
梓「やめなよ純! 憂困ってんじゃん!」
私の行動に、みんなが目を丸くして驚いている。思ったより憂の抵抗が
ないのと、憂の身体に触る気持ちよさの為、私は少々調子に乗り過ぎて
しまったみたいだ。
別に彼女を傷つけたかった訳ではないので、私は照れ笑いをしながら
憂から離れ、素直に頭を下げる。
76: 2011/04/30(土) 21:05:45.41
純「ゴメンゴメン、最近憂の発育具合が気になってさぁ」
唯「純ちゃん、それでどうだったの?」
純「服の上からでも最高でした」
憂「もうっ……バカ」
唯「へぇ~、どれどれ~?」
憂「お、お姉ちゃん! めっ!」
唯「え~、純ちゃんばっかずるい~」
梓「ふ、二人共信じられません! ねっ、澪先輩?」
澪「あれっ、それで終わりなのか?」
梓「えっ」
唯「純ちゃん、それでどうだったの?」
純「服の上からでも最高でした」
憂「もうっ……バカ」
唯「へぇ~、どれどれ~?」
憂「お、お姉ちゃん! めっ!」
唯「え~、純ちゃんばっかずるい~」
梓「ふ、二人共信じられません! ねっ、澪先輩?」
澪「あれっ、それで終わりなのか?」
梓「えっ」
79: 2011/04/30(土) 21:09:43.45
さて一悶着あったものの、やはりお菓子作りはプロである憂に任せる事
にし、唯先輩と梓のギター披露会の見物と相成ったのであります。
唯先輩は実に楽しげに演奏をする。ミスってもそれが愛嬌になって、逆
にいい味になるというか。これは見習いたいテクニックですね。
唯「ズギャギャーン!」
梓「口に出てますよ」
純「あはははっ!」
澪(ああ、私もやりたくなってきた……)
にし、唯先輩と梓のギター披露会の見物と相成ったのであります。
唯先輩は実に楽しげに演奏をする。ミスってもそれが愛嬌になって、逆
にいい味になるというか。これは見習いたいテクニックですね。
唯「ズギャギャーン!」
梓「口に出てますよ」
純「あはははっ!」
澪(ああ、私もやりたくなってきた……)
80: 2011/04/30(土) 21:14:56.09
一方梓の演奏は安定しており、まるでCDのよう。プロみたいな熟練さを
感じさせた。
澪「梓はさすがだな」
唯「あずにゃん、やっぱりすごいなぁ」
梓「ま、まだまだです」
純「精進せいよ」
梓「……分かってるから。純に言われるとむかつくから」
ハッキリ言えば、私はおろか唯先輩と比べても、梓の方がダントツで
上手い。そんな分かり切った事、わざわざ言うものか。
感じさせた。
澪「梓はさすがだな」
唯「あずにゃん、やっぱりすごいなぁ」
梓「ま、まだまだです」
純「精進せいよ」
梓「……分かってるから。純に言われるとむかつくから」
ハッキリ言えば、私はおろか唯先輩と比べても、梓の方がダントツで
上手い。そんな分かり切った事、わざわざ言うものか。
81: 2011/04/30(土) 21:19:40.23
もっとも年下とはいえ、幼少からギターを嗜む梓と、高校生からギター
を始めた唯先輩では、経験値の差が圧倒的に違う。比較する方が間違って
いるのかも知れない。
唯「ね~ね~、純ちゃん。私はどうだった?」
純「カッコよかったですよ」
唯「えへへ……本当?」
純「本当ですよぉ」
唯「えぇ~、ハッキリ言ってもいいんだよ?」
純「私は唯先輩のギター、好きです」
唯「ふえぇ~、照れますなぁ」
を始めた唯先輩では、経験値の差が圧倒的に違う。比較する方が間違って
いるのかも知れない。
唯「ね~ね~、純ちゃん。私はどうだった?」
純「カッコよかったですよ」
唯「えへへ……本当?」
純「本当ですよぉ」
唯「えぇ~、ハッキリ言ってもいいんだよ?」
純「私は唯先輩のギター、好きです」
唯「ふえぇ~、照れますなぁ」
82: 2011/04/30(土) 21:24:27.21
梓「調子に乗らないで下さい、また同じ所ミスしてるじゃないですか」
唯「うひゃぁ~、さすがあずにゃん! 手厳しい!」
澪「ハハハ、でも唯も良かったよ」
純「ですよね~」
唯「ワ~イ♪」
梓(わ、私だって本当は、唯先輩の良さは分かってるもん……)
純「フフッ」
ウソではなかった。上手いのは梓だが、実際どちらを多く聴いていたい
かといえば、唯先輩の方だ。それほど唯先輩のギターには、得体の知れ
ない魅力があった。
もっとも、私はシロウトだし、単に唯先輩の人柄に惹かれてしまってる
だけかも知れないが。
唯「うひゃぁ~、さすがあずにゃん! 手厳しい!」
澪「ハハハ、でも唯も良かったよ」
純「ですよね~」
唯「ワ~イ♪」
梓(わ、私だって本当は、唯先輩の良さは分かってるもん……)
純「フフッ」
ウソではなかった。上手いのは梓だが、実際どちらを多く聴いていたい
かといえば、唯先輩の方だ。それほど唯先輩のギターには、得体の知れ
ない魅力があった。
もっとも、私はシロウトだし、単に唯先輩の人柄に惹かれてしまってる
だけかも知れないが。
84: 2011/04/30(土) 21:32:16.65
唯「ねぇ、考えたんだけどさ、こうやって弾くとカッコよくない?」
そう言って唯先輩は、マトリックス的なポーズでギターを構え、そして
そのままその場へ崩れ落ちるのだった。
梓「もう、そんなポーズで弾ける訳ないじゃないですか」
唯「イシシシ! 特訓だね、あずにゃん!」
梓「やりません! そんな事!」
唯「えぇ~、ぶぅ~ぶぅ~!」
純「なんだかんだ言っていいコンビだ」
澪「うんうん」
そう言って唯先輩は、マトリックス的なポーズでギターを構え、そして
そのままその場へ崩れ落ちるのだった。
梓「もう、そんなポーズで弾ける訳ないじゃないですか」
唯「イシシシ! 特訓だね、あずにゃん!」
梓「やりません! そんな事!」
唯「えぇ~、ぶぅ~ぶぅ~!」
純「なんだかんだ言っていいコンビだ」
澪「うんうん」
88: 2011/04/30(土) 21:37:28.93
唯「おおっ、お二人のお墨付きが出ました!」
梓「だから何ですか」
唯「ゆいあずだよ! ゆいあずー!」
梓「はいはい」
口ではああ言ってるものの、梓は満更でもなく、表情は嬉しそうだ。
ちょっと羨ましいかな。
純「……なんて、思ってないんだからね!」
澪「へっ?」
梓「だから何ですか」
唯「ゆいあずだよ! ゆいあずー!」
梓「はいはい」
口ではああ言ってるものの、梓は満更でもなく、表情は嬉しそうだ。
ちょっと羨ましいかな。
純「……なんて、思ってないんだからね!」
澪「へっ?」
90: 2011/04/30(土) 21:44:33.16
純「あっ、違います! こっちはみおじゅんです!」
澪「どういう事なんだ?」
純「Wギター対Wベース、泥沼血みどろの戦いが今!」
唯「そんなっ! 何で私達が争わなきゃならないのっ!?」
純「しかし生憎エモノがないです。休戦しましょう」
唯「諦める事はないよ、純ちゃん!」
純「なんですと?」
唯「心のベースだよ! エアーでカモン!」
澪「どういう事なんだ?」
純「Wギター対Wベース、泥沼血みどろの戦いが今!」
唯「そんなっ! 何で私達が争わなきゃならないのっ!?」
純「しかし生憎エモノがないです。休戦しましょう」
唯「諦める事はないよ、純ちゃん!」
純「なんですと?」
唯「心のベースだよ! エアーでカモン!」
92: 2011/04/30(土) 21:48:52.06
純「そっか! やりましょう澪先輩!」
澪「えっ、む、無理無理無理! 絶対出来ない!」
梓「ていうか、やる必要ありませんから」
唯「あずにゃん! 絶対に負けられないんだよ!」
純「澪先輩、自分を信じて下さい!」
憂「ドーナツ出来ました! 皆さん一休みどうですか?」
最終決戦へ向け、場が沸騰してきたその時、背後から憂が満面の笑みで
ドーナツを持って来た。
澪「えっ、む、無理無理無理! 絶対出来ない!」
梓「ていうか、やる必要ありませんから」
唯「あずにゃん! 絶対に負けられないんだよ!」
純「澪先輩、自分を信じて下さい!」
憂「ドーナツ出来ました! 皆さん一休みどうですか?」
最終決戦へ向け、場が沸騰してきたその時、背後から憂が満面の笑みで
ドーナツを持って来た。
93: 2011/04/30(土) 21:51:37.89
正直助かった。勢いで唯先輩に乗せられてみたものの、私は実際、そこ
までハジけられるキャラではないし。澪先輩や梓も、ホッと胸を撫で下ろ
している様子。
唯「わぁっ! ドーナツ、ドーナツ♪」
唯先輩も先ほどの勢いはどこへやら、すっかりドーナツに心を奪われて
いる。いい意味で単純な人だ。
澪「憂ちゃん、ありがとう。いただきます」
憂「お飲み物は何にしますか?」
唯「私、牛乳!」
澪「じゃあコーヒーお願い、ミルク入りで」
までハジけられるキャラではないし。澪先輩や梓も、ホッと胸を撫で下ろ
している様子。
唯「わぁっ! ドーナツ、ドーナツ♪」
唯先輩も先ほどの勢いはどこへやら、すっかりドーナツに心を奪われて
いる。いい意味で単純な人だ。
澪「憂ちゃん、ありがとう。いただきます」
憂「お飲み物は何にしますか?」
唯「私、牛乳!」
澪「じゃあコーヒーお願い、ミルク入りで」
94: 2011/04/30(土) 21:55:44.86
憂「すぐ用意しますね! 二人は?」
純「憂、今度こそ手伝うよ」
梓「私も」
憂「うん。じゃあお願いするね」
純「よし! トリオでがんばろーっ!」
梓「もうそういうノリいいから」
憂「アハハハッ」
私達は力をあわせ、飲み物も配り終え、さてブレイク。ミルクコーヒー
と共に、憂のドーナツをいただく。
純「憂、今度こそ手伝うよ」
梓「私も」
憂「うん。じゃあお願いするね」
純「よし! トリオでがんばろーっ!」
梓「もうそういうノリいいから」
憂「アハハハッ」
私達は力をあわせ、飲み物も配り終え、さてブレイク。ミルクコーヒー
と共に、憂のドーナツをいただく。
97: 2011/04/30(土) 21:59:56.34
外はサクサク、中フワッで最高。私は思わず唸った。
純「憂は至福の一時を提供する天才だね~」
憂「あ、ありがとう、純ちゃん」
唯「はひふほいふは!」
憂「ありがとう、お姉ちゃん」
梓「甘さ控えめだし、つい食べ過ぎちゃうよ。本当おいしい」
澪「……」
憂「エヘヘッ……あれっ、澪さんはもういいんですか?」
澪先輩は一個食べただけで、それから手をつけようとしなかった。それ
は控えめというより、何か我慢しているように思える。
澪「えっ、いやその、ドーナツはすごくおいしいんだけど、その……」
純「憂は至福の一時を提供する天才だね~」
憂「あ、ありがとう、純ちゃん」
唯「はひふほいふは!」
憂「ありがとう、お姉ちゃん」
梓「甘さ控えめだし、つい食べ過ぎちゃうよ。本当おいしい」
澪「……」
憂「エヘヘッ……あれっ、澪さんはもういいんですか?」
澪先輩は一個食べただけで、それから手をつけようとしなかった。それ
は控えめというより、何か我慢しているように思える。
澪「えっ、いやその、ドーナツはすごくおいしいんだけど、その……」
99: 2011/04/30(土) 22:04:09.26
唯「そういえば澪ちゃん、ジャージだね」
澪「今更かっ!」
梓「もしかして澪先輩、ダイエット中ですか?」
唯「エッホエッホしてたの?」
澪「うん……このままじゃマズいんだ。危険水準に突入してしまう」
純「えーっ! 澪先輩全然太ってないですって!」
それなら私はどうなるって話だ。アウトか、ゲッツーなのか。
澪「そう見える? でも私、すごく太り易いんだ……憂ちゃんには悪い
けど、油断したらホントやばいから」
澪「今更かっ!」
梓「もしかして澪先輩、ダイエット中ですか?」
唯「エッホエッホしてたの?」
澪「うん……このままじゃマズいんだ。危険水準に突入してしまう」
純「えーっ! 澪先輩全然太ってないですって!」
それなら私はどうなるって話だ。アウトか、ゲッツーなのか。
澪「そう見える? でも私、すごく太り易いんだ……憂ちゃんには悪い
けど、油断したらホントやばいから」
101: 2011/04/30(土) 22:09:17.50
憂「大丈夫ですよ、澪さん。このドーナツ、実はおからなんです」
澪「おからっ!? あの食物繊維をたくさん含むという幻の食材ッ!!」
憂「幻ではないと思いますけど」
純「おからでこの味だったんだ……」
梓「一体どんな魔法を使ったというの……」
憂「やだ、大袈裟だよ梓ちゃん」
唯「おからはおかし!」
憂すごすぎ……彼女はいつも私の予想より少し斜め上を行く。
澪「おからっ!? あの食物繊維をたくさん含むという幻の食材ッ!!」
憂「幻ではないと思いますけど」
純「おからでこの味だったんだ……」
梓「一体どんな魔法を使ったというの……」
憂「やだ、大袈裟だよ梓ちゃん」
唯「おからはおかし!」
憂すごすぎ……彼女はいつも私の予想より少し斜め上を行く。
102: 2011/04/30(土) 22:15:16.88
私は何でもソツなくこなせるといえば聞こえはいいのだが、要するに
器用貧乏。
その点、憂は何をやらせても標準以上、もしくはトップレベル。言うな
れば器用富豪。
全くどういうステータス分けしたら、こんな風になるのだろう。
私は憂の事を尊敬している。しかしそれは、彼女の才能に対してでは
なく、それだけの才能を持ちながら、嫌味ったらしさや、鼻につく所が
まるでないからだ。そこが憂の本当にすごい所だと思う。
澪「じゃ、じゃあ後一個だけ、いただこうかな」
純「あっ、澪先輩! 私が食べさせてあげますよ~」
澪「ちょっ、純! それ自分の食べかけのヤツじゃないか!」
憂「……」
器用貧乏。
その点、憂は何をやらせても標準以上、もしくはトップレベル。言うな
れば器用富豪。
全くどういうステータス分けしたら、こんな風になるのだろう。
私は憂の事を尊敬している。しかしそれは、彼女の才能に対してでは
なく、それだけの才能を持ちながら、嫌味ったらしさや、鼻につく所が
まるでないからだ。そこが憂の本当にすごい所だと思う。
澪「じゃ、じゃあ後一個だけ、いただこうかな」
純「あっ、澪先輩! 私が食べさせてあげますよ~」
澪「ちょっ、純! それ自分の食べかけのヤツじゃないか!」
憂「……」
104: 2011/04/30(土) 22:19:09.19
純「いいからいいから~」
唯「純ちゃんは澪ちゃんがホントに好きなんだねぇ」
梓「いいや純、あんたどうせ自分で食べきれなくなっただけでしょ?」
純「ぎくっ」
憂「な、なら私が食べるよ、それ!」
純「んっ、そう? ほんじゃ憂、あ~んして?」
憂「あ、あ~ん……」
純「やっぱ自分で食べるっ、はむ」
憂「えっ」
唯「純ちゃんは澪ちゃんがホントに好きなんだねぇ」
梓「いいや純、あんたどうせ自分で食べきれなくなっただけでしょ?」
純「ぎくっ」
憂「な、なら私が食べるよ、それ!」
純「んっ、そう? ほんじゃ憂、あ~んして?」
憂「あ、あ~ん……」
純「やっぱ自分で食べるっ、はむ」
憂「えっ」
106: 2011/04/30(土) 22:26:08.30
これはちょっとした悪戯心だった、その筈だったのに……憂の目に、
みるみる涙が溜まっていく。私は慌てた、予想だにしなかった事だった。
恐らく、「もう~、純ちゃんたら! おちゃめ!」的なリアクションが
あると思っていたのに。
純「あのっ、憂、あのねっ――」
どうしようこれどうすればいい? 動揺する私。しかし弁明のヒマさえ
与えられず、私は唐突に、憂に抱き締められていた。
純「う、憂?」
みるみる涙が溜まっていく。私は慌てた、予想だにしなかった事だった。
恐らく、「もう~、純ちゃんたら! おちゃめ!」的なリアクションが
あると思っていたのに。
純「あのっ、憂、あのねっ――」
どうしようこれどうすればいい? 動揺する私。しかし弁明のヒマさえ
与えられず、私は唐突に、憂に抱き締められていた。
純「う、憂?」
107: 2011/04/30(土) 22:34:45.98
そして……その、憂が私に、いやらしい事をしてきたのだった。
いや、行為自体は幼児の戯れ程度でしかなかったが、私はされる事に
耐性がなく、しかもそれが、工口とは無縁に思えた、高校生らしからぬ
無垢で純真な憂からである。
私は自分が、顔を真っ赤にして狼狽しているのが、鏡を見るまでもなく
分かった。
純「わっ、わわわ……ういっ! ちょっとタンマッ!」
憂「ゴ、ゴメン……気持ち悪かったよね」
私が憂を思わず突き放すと、憂は視線を落とし、謝罪した。しかしこれ
は、先ほど私が憂にしたのと同じ。気持ち悪いなんて事はない。
むしろ憂にいじられて、私は、私は……
いや、行為自体は幼児の戯れ程度でしかなかったが、私はされる事に
耐性がなく、しかもそれが、工口とは無縁に思えた、高校生らしからぬ
無垢で純真な憂からである。
私は自分が、顔を真っ赤にして狼狽しているのが、鏡を見るまでもなく
分かった。
純「わっ、わわわ……ういっ! ちょっとタンマッ!」
憂「ゴ、ゴメン……気持ち悪かったよね」
私が憂を思わず突き放すと、憂は視線を落とし、謝罪した。しかしこれ
は、先ほど私が憂にしたのと同じ。気持ち悪いなんて事はない。
むしろ憂にいじられて、私は、私は……
110: 2011/04/30(土) 22:44:37.79
純「あ、愛してるぞっ!! 憂ー!!」
思わず口走ってしまっていた。
みんなが呆気にとられてる中、憂はツンと顔をそむけ、吐き捨てた。
憂「な、何言ってんの……純ちゃんのバカ。知らないっ」
そう言って憂は唯先輩の方へ逃げて行き、それから私に顔すら合わせ様
ともしなかった。何でそうなるの……まあ変な空気になりかけたし、これ
でよかったのかも知れない。
憂は唯先輩が好きなんだし。
あれっ、なんだろ。何かちょっと悲しいな。なんでだろ?
おかしい、普通じゃないよこんなの。普通こそがアイディンティティー
の私が。私は平静を装った。何もとりえはないけど、これだけは得意なん
だよね。人よりも、少しだけ得意なんだ。多分ね。
思わず口走ってしまっていた。
みんなが呆気にとられてる中、憂はツンと顔をそむけ、吐き捨てた。
憂「な、何言ってんの……純ちゃんのバカ。知らないっ」
そう言って憂は唯先輩の方へ逃げて行き、それから私に顔すら合わせ様
ともしなかった。何でそうなるの……まあ変な空気になりかけたし、これ
でよかったのかも知れない。
憂は唯先輩が好きなんだし。
あれっ、なんだろ。何かちょっと悲しいな。なんでだろ?
おかしい、普通じゃないよこんなの。普通こそがアイディンティティー
の私が。私は平静を装った。何もとりえはないけど、これだけは得意なん
だよね。人よりも、少しだけ得意なんだ。多分ね。
112: 2011/04/30(土) 22:49:49.11
その日は結局、憂とはぎこちないまま、軌道修正は出来なかった。私は
何もないフリをしていたが、憂は少し怒ってる感じのままだった。
憂とこのままなんて嫌だ。翌日、私は努めていつもと変わらぬ私でいる
事を意識した。
憂「おはよー、純ちゃん」
純「あ、憂……うん」
学校での憂は拍子抜けするほど平常通りだった。私の方が意識しすぎて
いただけかも知れないが。
もしくは、憂が私のように、何もないフリをしているのかも知れない。
だとしたら上手だ、不気味なくらい自然だったもの。
まあそれは、私の自意識過剰ってヤツだろうけどね。
何もないフリをしていたが、憂は少し怒ってる感じのままだった。
憂とこのままなんて嫌だ。翌日、私は努めていつもと変わらぬ私でいる
事を意識した。
憂「おはよー、純ちゃん」
純「あ、憂……うん」
学校での憂は拍子抜けするほど平常通りだった。私の方が意識しすぎて
いただけかも知れないが。
もしくは、憂が私のように、何もないフリをしているのかも知れない。
だとしたら上手だ、不気味なくらい自然だったもの。
まあそれは、私の自意識過剰ってヤツだろうけどね。
113: 2011/04/30(土) 22:57:53.04
それから数年後、私は憂と一緒に寮生活をしていた。憂や梓が唯先輩達
を追いかけるようにN女子大に進学し、私もそれに付き合ったのだ。
なんだかんだ言って私は、振り回されるタイプの人間らしい。
憂「ねえ純ちゃん、今夜お姉ちゃんを夕食に呼ぼうと思ってるんだけど」
純「んー? 別にいいんじゃない」
憂「えへへ……ありがと」
純「いつもの事だしいいけどさ、いつまでお姉ちゃん子でいるんだか」
憂「あーっ、今日の純ちゃんはイジワルだ」
純「でもマジな話、唯先輩がお嫁に行ったらどうすんのよ?」
憂「えっ……そ、その時は純ちゃんが、私と一緒に暮らしてくれる?」
おしまい。
を追いかけるようにN女子大に進学し、私もそれに付き合ったのだ。
なんだかんだ言って私は、振り回されるタイプの人間らしい。
憂「ねえ純ちゃん、今夜お姉ちゃんを夕食に呼ぼうと思ってるんだけど」
純「んー? 別にいいんじゃない」
憂「えへへ……ありがと」
純「いつもの事だしいいけどさ、いつまでお姉ちゃん子でいるんだか」
憂「あーっ、今日の純ちゃんはイジワルだ」
純「でもマジな話、唯先輩がお嫁に行ったらどうすんのよ?」
憂「えっ……そ、その時は純ちゃんが、私と一緒に暮らしてくれる?」
おしまい。
114: 2011/04/30(土) 22:59:02.85
過程をふっとばし過ぎだろキンクリかよ
118: 2011/04/30(土) 23:19:19.62
俺達の戦いはこれからだ!乙!
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