1: ◆mL2ZRk1cK. 2018/03/29(木) 17:00:15.45 ID:sRggje/u0
――ある日の本栖高校図書室。


なでしこ「リンちゃん! ポッキーゲームしよう!」

リン「――っ!?」

なでしこ「……あれ? 反応がない。……聞こえてなかったのかな?」


なでしこは深く息を吸うと、さっきより大きな声で。


なでしこ「リンちゃん! ポッキーゲームしy」

リン「わ、分かったから! 分かったからちょっと静かにしてっ!」///

なでしこ「分かった!」

なでしこ「(゜H゜)」

リン「……なんでいきなりポッキーゲームなんて言い出したの?」

なでしこ「ああ、それはね……」
第1話 旅のおともにカレーめん
2: 2018/03/29(木) 17:00:52.01 ID:sRggje/u0






数分前、野クル部室にて。

あき「キャンプでやってみたいことといったら、やっぱりポッキーゲームだよな~」

なでしこ・あおい「「…………」」

あき「な、なんだ? 今私何か変なこと言ったか?」

あおい「……いや、変ってわけでもないんやけど。なんやあき、そういうの憧れとるんか?」

あき「いや? 別に、これっぽっちも。この前のビバークでそんな記事あったの思い出して適当に言っただけだ」

あおい「なんやそれ」

なでしこ「……あきちゃん、あおいちゃん、ぽっきーげーむって何?」

あき・あおい「「えっ」」

3: 2018/03/29(木) 17:01:18.69 ID:sRggje/u0

あおい「なんやなでしこちゃん、知らんかったんか? ポッキーゲームってのは……」

あおい「――ポッキーゲームってのは、世界中で遊ばれている大人気ゲームやで。一度やったら抜け出せない、中毒性の高いゲームとして有名や」

あき(まあ、間違ったことは言ってないな)

あおい「せやでー。特に、毎年11月の11日はポッキーゲームをしてる人で溢れかえるんや。そのあまりの盛況っぷりに、近々オリンピックの正式種目入りするのではってもっぱらの噂や」

あき(いやそれは嘘だろ)

なでしこ「へぇ~、そうなんだ。そんなに人気なんだね~」

あおい「せやよー。なでしこちゃんもやらないと流行に乗り遅れるでー?」

なでしこ「そっかぁ……。じゃああおいちゃん、今からそのポッキーゲームってやつ、一緒にやろうよ!」

あおい「えっ」

なでしこ「やらないと流行に乗り遅れちゃうし、今からやろうよ! あおいちゃん、ルール教えて?」

あおい「そ、そうなんやけどっ! そうなんやけど……」

4: 2018/03/29(木) 17:01:50.18 ID:sRggje/u0

あおい「えーと……その……。……うち、実は流行ってるってのを聞いただけで、ゲームの内容は分かってへんのよ。だから私はできへんわぁ、ごめんなぁなでしこちゃん」

あき「うわぁ、白々しい……」

あおい「」イラッ

あおい「……でも、あきならどういうゲームか知ってるかもしれへんでー? なああき?」

あき「えっ」

なでしこ「本当!? あきちゃん、どういうゲームなの!?」

あき「ええっ!? 私!? 私は、えーと……その……私も分かんねえわごめん」

あおい「白々しいなぁ……」

あき「」イラッ

あき「……まあそういうわけで! 我々はポッキーゲームに関しては力になることが出来ない。申し訳ないのだが、他を当たってくれないか、各務原隊員!」

5: 2018/03/29(木) 17:02:16.33 ID:sRggje/u0





リン「――それで、私のところに来たってわけか」

なでしこ「うん! リンちゃんなら知ってるかなって思って!」

リン(……どうしよう。千明や犬山さんみたいに適当に誤魔化すことは簡単だけど、かといって誤魔化してしまったら)

リン「……」チラッ

なでしこ「」ニコニコ


リン(……この笑顔を壊してしまうことになるかもしれない)

リン(一番最初に私に聞きに来たってことは、私なら知ってるだろうという期待と信頼があるからだ)

リン(それを裏切るわけにはいかない)

リン(いかないんだろうけど……)

リン(…………)///

リン(……そうだ)

6: 2018/03/29(木) 17:02:58.98 ID:sRggje/u0


リン「なでしこ、ポッキーゲームがどういうやつか知りたいんでしょ? だったらスマホで調べて見たらよかったんじゃないの?」

なでしこ「あっ、その手があったかあ!」

リン「……気づいてなかったのかよ」

なでしこ「えーと、ちょっと待ってねリンちゃん。『ポッキーゲーム やり方』……っと」

リン「……」

なでしこ「どれどれー……」

なでしこ「…………」

なでしこ「………………」

なでしこ「……………………っ!?」///////


リン(おっ、真っ赤になった)

8: 2018/03/29(木) 17:05:41.48 ID:sRggje/u0



リン「なでしこ、ポッキーゲームがどういうものか分かった?」

なでしこ「……うん」///

リン「そうか。じゃあ、その……。そういうわけだから……」


リン(私はやらないよ、って続けるつもりだった)

リン(しかしそれを遮って、なでしこは言った)


なでしこ「……いい、よ」///

リン「えっ」

なでしこ「リンちゃんとなら……ポッキーゲーム、してもいい、よ……?」

リン「…………マジ?」///


リン(そう尋ねると、なでしこは林檎雨みたいに赤い顔で、こくりと頷いた)

リン(何故だろう。私はやらないよ、と言い添える気はもう、全くなくなっていた)


7: 2018/03/29(木) 17:04:15.59 ID:sRggje/u0





なでしこ「……」///


リン(なでしこは繊細な手つきで箱からポッキーを取り出すと、少々躊躇ってから、先端を咥えた)

リン(もう始めてもいいよと言いたげに、もう片方の先端を私のほうに向けてくる。……上目遣いのおまけつきで)

リン(震える声で、私は尋ねた)


リン「そ、それじゃあ始めるよ。……いい?」

なでしこ「……」コクリ///

リン「先に逃げたほうの負けだからね」


リン(そう囁きながら、私も先端を咥えた)

リン(勿論、私は負けるつもりなんて毛ほどもなかったし、それはなでしこもそうだろう)

リン(……お互い負けるつもりがなくて、勝つつもりもないことを、お互いが理解していたのだ)

9: 2018/03/29(木) 17:06:45.00 ID:sRggje/u0


リン(一口噛み進める。なでしこの顔がより一層赤くなる)

リン(さっき『林檎雨みたいに』赤いと言ったが、今となっては最早ただの林檎雨だ。『みたいに』、なんていらない。本当に、ただの、林檎雨だ)

リン(もっとも、今の私もそういう表情をしているような気がするけれど)

リン(二口目。なでしこがぎゅっと目を閉じるのが分かった)

リン(構わず、私は噛み進める。まるで暴走機関車のように。あるいは、まるで……)

リン(――なでしこの鼓動が伝わってくる。多分、私の鼓動も伝わっている)

リン(こんなに近づいているんだ、それも当然だ。……まるで、私となでしこの輪郭が、境界線が、ぐずぐずと溶けていくようだった)


10: 2018/03/29(木) 17:07:12.92 ID:sRggje/u0


リン(――終点にたどり着いた。たどり着いてしまった)


リン「…………………………………………ん」///////

なでしこ「…………………………………………」//////


リン(唇に触れる、なんだかあたたかくてやわらかいモノ)

リン(なんだかすごく甘ったるくて、それでいて熱い)

リン(この甘さはチョコレートからくるもので。熱さは、まあ、なでしこが持っている熱で)

リン(……いや、この甘さと熱はきっと、私が持っているものでもあるんだ)

リン(なでしこと私が持っている熱と甘さを足して、出来上がったものを二人で共有し、味わっている。そんな感覚)

リン(ずっとこの感覚を味わっていたい。永遠にこうしていたい。……それが不可能であることは分かっていたけれど、それでも確かに、そのときの私はそう思った)


11: 2018/03/29(木) 17:07:38.40 ID:sRggje/u0





リン(それからどれくらいの時間が経った頃だっだろうか。私たちは唇を離した)

リン(長い間息を吸っていなかったせいか、私たちはとても女子とは思えぬ荒い呼吸をした)

リン(やけに空気が美味しかった)


なでしこ「……えへへ」


リン(ふと、なでしこがにっこり笑った)


なでしこ「リンちゃんと、キス、しちゃった」


リン(その笑顔は、野暮ったい形容表現を使うのが躊躇われるくらい可愛くて……)

リン(私は微笑んだ)


リン「……ああ、そうだな」



12: 2018/03/29(木) 17:09:17.39 ID:sRggje/u0
これで終わりです。

この行為の様子を斉藤さんが見ていたら面白いですよね。
コピペミスって読みにくくなってすみませんでした

13: 2018/03/29(木) 20:16:36.77 ID:hjgLAdg0O
もう結婚すればいいんじゃないかな

引用元: 【ゆるキャン△】なでしこ「リンちゃん! ポッキーゲームしよう!」