1: 2017/02/17(金) 21:43:31.89 ID:Acx++YKBO
【宿屋】
勇者「(……今日はあまり戦闘がなかったな……こういう日は大抵……)」
たったったっ……ばあんっ!
女騎士「うわぁぁん! 勇者ぁー! 財布落としたー!」
勇者「ほら来た……」
勇者「(……今日はあまり戦闘がなかったな……こういう日は大抵……)」
たったったっ……ばあんっ!
女騎士「うわぁぁん! 勇者ぁー! 財布落としたー!」
勇者「ほら来た……」
2: 2017/02/17(金) 21:48:19.54 ID:Acx++YKBO
勇者「またか」
勇者「(必要金額だけ持たせておいたのがせめてもの幸いか)」
女騎士「ど、どうしよう…!」
勇者「どうしようもないだろ。お前の小遣いはその分減らす」
女騎士「そ、そんなぁ…!」
女騎士「わ、わざとじゃないんだよぅ……!」
勇者「わざと落とされてたまるか。これで財布落とした回数は二桁だぞ」
女騎士「ぅぅ……これ以上減らされたらお菓子が買えなくなるぅ……」グスッ
勇者「子どもか」
女騎士「ううっ……気を付けてたのに……」
勇者「ドジめ」
女騎士「ど、ドジじゃない!」
3: 2017/02/17(金) 21:49:43.05 ID:Acx++YKBO
【ピラミッド】
スフィンクス「汝らに問う」
女騎士「人間!」どやっ
スフィンクス「はっ?」
女騎士「答えは人間だ! 知ってるんだぞ!」ふんすっ
スフィンクス「……それが答えでいいのか?」
女騎士「もちろ……もがっ!?」
勇者「すまない。このアホは無視してくれていい。問いを教えてくれ」
女騎士「むー!」もごもご……
スフィンクス「汝らに問う」
女騎士「人間!」どやっ
スフィンクス「はっ?」
女騎士「答えは人間だ! 知ってるんだぞ!」ふんすっ
スフィンクス「……それが答えでいいのか?」
女騎士「もちろ……もがっ!?」
勇者「すまない。このアホは無視してくれていい。問いを教えてくれ」
女騎士「むー!」もごもご……
4: 2017/02/17(金) 21:55:11.81 ID:Acx++YKBO
スフィンクス「川渡り問題だ。制限時間内に狼と山羊とキャベツの問題を答えろ」
女騎士「???」
勇者「分かった」
女騎士「なーなー、川渡り問題ってなんだ?」
勇者「飴やるから、静かにしてろ」
女騎士「ぐぬぬ……」ころころ…
スフィンクス「(大人しく舐めるのだな……)」
勇者「よし、これでどうだ」
スフィンクス「ほう、幾何的に答えたか。うむ、正解だ」
女騎士「ふふんっ、当然だ!」どやっ
スフィンクス「お主は飴を舐めてただけでは……」
勇者「アホめ」
女騎士「あ、アホじゃない!」
5: 2017/02/17(金) 21:58:14.61 ID:Acx++YKBO
【ボス戦】
女騎士「喰らえ! でりゃぁっ! 」がきんっ
ドラゴン「ふん、人間の小娘の剣なぞ効かぬわ!」がっ
女騎士「きゃぁっ……!」
ドラゴン「他愛ない!」
勇者「はっ」ずどっ
ドラゴン「がっ……!? それは、聖剣……!?」
ばちちっ
ドラゴン「」しゅぅぅ……
6: 2017/02/17(金) 22:01:18.12 ID:Acx++YKBO
勇者「やはり、聖剣は魔物に対して絶大な効力を発揮するな」
女騎士「ぅぅ……それズルいぞっ!」ぼろっ
勇者「生きてたか」
女騎士「生きてたよ! ばーか!」
勇者「ばかはお前だ。回復魔法かけてやるから、こっちに来い」
女騎士「そこはこっちに来いよ……! くそぅ……鬼……悪魔……」
勇者「それだけ悪態がつけるなら回復魔法は要らないか」
女騎士「ぐぬぬ……っ……お願いします、回復してください……」
しゅぅぅ……
女騎士「あー、氏ぬかと思った……」はふぅ…
勇者「敵もかなり強くなってきた。お前の攻撃はもうロクに効かないな」
女騎士「う、うるさいなっ」
勇者「……そろそろ限界か」
勇者「(身体強化の魔法をできるだけかけてもこのケガ……もう普通の人の身じゃ無理だ)」
女騎士「っ……アタシは最後まで絶対についてくからな! そ、それにここらでも弱っちいのはまだ倒せるぞ……! あいたたたた……! もうちょい優しく……!」
勇者「ポンコツめ」
女騎士「ぽ、ポンコツじゃない!」
7: 2017/02/17(金) 22:03:16.46 ID:Acx++YKBO
【魔王城近く】
女騎士「つ、ついに辿り着いたな……あそこに魔王がいるんだな!」
勇者「お前みたいなやつとでも来れるもんだな」
女騎士「ふふん、むしろアタシのおかげだろ」
勇者「役立たずがよく言う」
女騎士「役立たずじゃ……うぁ……?」くらっ…
勇者「お前は魔王との戦いには連れていけない。魔法で少し眠ってろ」
女騎士「勇者……っ、おま…………きゅぅっ……」zzz...
勇者「この辺りなら他の魔物もいないな」
女騎士「むにゃ……」zzz....
勇者「ふん、相変わらずのアホ面だな」
勇者「……迷惑かけられてばかりだったが、お前との旅は……悪くなかった」
8: 2017/02/17(金) 22:08:06.74 ID:Acx++YKBO
【魔王戦】
勇者「ぐぁっ……」
魔王「ふん、この程度か勇者!」
勇者「(強い……今まで戦ってきた魔物たちが赤子のようだ……ここまでとは……)」げほっ…
勇者「(……出来れば使いたくなかったが、アレしかないか)」
魔王「ふん、滅びる覚悟は出来たか?」がしっ
勇者「……ばーか。こちとら、念には念を入れてるんだよ」
魔王「む?」
勇者「この距離ならお前でも致命傷だ」ぐぐっ……
魔王「……っ! 女神の力で自爆するつもりか!? くっ、離せ!」
勇者「(利用されるだけのクソったれな人生だった…………まあ、どっかのバカのおかげで最後は少し楽しかったが……)」
勇者「……ありがとな」ぼそっ
女騎士「でやぁぁあ!」ガキンッ
勇者「ぐぁっ……」
魔王「ふん、この程度か勇者!」
勇者「(強い……今まで戦ってきた魔物たちが赤子のようだ……ここまでとは……)」げほっ…
勇者「(……出来れば使いたくなかったが、アレしかないか)」
魔王「ふん、滅びる覚悟は出来たか?」がしっ
勇者「……ばーか。こちとら、念には念を入れてるんだよ」
魔王「む?」
勇者「この距離ならお前でも致命傷だ」ぐぐっ……
魔王「……っ! 女神の力で自爆するつもりか!? くっ、離せ!」
勇者「(利用されるだけのクソったれな人生だった…………まあ、どっかのバカのおかげで最後は少し楽しかったが……)」
勇者「……ありがとな」ぼそっ
女騎士「でやぁぁあ!」ガキンッ
9: 2017/02/17(金) 22:12:09.75 ID:Acx++YKBO
魔王「しめたっ……!」
勇者「…………」
女騎士「ふぅ! 間に合って良かった! まったく、ピンチを救ったんだから感謝しろよ!」
勇者「こぉの…………どアホがぁぁ!」ぐりぐりぐり……
女騎士「あだだだだ……っ!? なんで……!?」
魔王「くっくっくっ、惜しかったな勇者! その小娘さえ邪魔しなければ、我輩を滅ぼすことができたというに!」
女騎士「ええっ!?」
魔王「ここからは、ひたすら魔法でなぶってやる! もはや貴様らに打つ手はないぞ! ふはは!」
女騎士「もしかして、また勇者の邪魔したかぁ……?」うるうる…
勇者「……お前はいつだって俺の邪魔ばかりだ!」
女騎士「うぅ……」
勇者「…………ったく」
勇者「絶対生きて帰るぞ。俺もお前も」
女騎士「!!」
女騎士「ああ!」
10: 2017/02/17(金) 22:17:46.53 ID:Acx++YKBO
・・・
魔王「くくく……」
勇者「はぁ…はぁ…」
女騎士「はひぃぃ……」
魔王「よくぞ我を打ち滅ぼした勇者たちよ……」しゅぅぅ…
女騎士「勝った! 勝ったな勇者!」だきっ
勇者「抱き着くな」
魔王「…………しかし、貴様のその憎しみに囚われた瞳を見れば分かる……貴様は魔王の力に取り込まれ、次なる魔王へと……」
女騎士「勇者ぁ……もう疲れたよぉぉ……」ぐてぇ…
勇者「俺だって疲れた……寄りかかるな、鬱陶しい……」ぐぃぃ
女騎士「あぅぅ……」
魔王「あ、これ、魔王の魂引き継がれねえな……悪態つきながらどこまでも優しい目をしてやがる。憎しみのカケラもねえ」
魔王「ぐわぁぁぁ……リア充爆発しろぉぉぉ………!」
悲痛な叫びと共に魔王は滅びた。
魔王「くくく……」
勇者「はぁ…はぁ…」
女騎士「はひぃぃ……」
魔王「よくぞ我を打ち滅ぼした勇者たちよ……」しゅぅぅ…
女騎士「勝った! 勝ったな勇者!」だきっ
勇者「抱き着くな」
魔王「…………しかし、貴様のその憎しみに囚われた瞳を見れば分かる……貴様は魔王の力に取り込まれ、次なる魔王へと……」
女騎士「勇者ぁ……もう疲れたよぉぉ……」ぐてぇ…
勇者「俺だって疲れた……寄りかかるな、鬱陶しい……」ぐぃぃ
女騎士「あぅぅ……」
魔王「あ、これ、魔王の魂引き継がれねえな……悪態つきながらどこまでも優しい目をしてやがる。憎しみのカケラもねえ」
魔王「ぐわぁぁぁ……リア充爆発しろぉぉぉ………!」
悲痛な叫びと共に魔王は滅びた。
11: 2017/02/17(金) 22:23:18.20 ID:Acx++YKBO
【凱旋の道中】
女騎士「帰ったら、いっぱい褒美が手に入るな!」
勇者「どうだろうな。危険な存在として消されるかもしれない」
女騎士「勇者いつもネガティヴだなぁ……きっと、たくさん感謝されて、美味しいものが食べられるに違いないぞ!」
勇者「能天気なやつめ……」
女騎士「勇者はお姫様と結婚できるんじゃないか? 姫様の勇者を見つめる視線は恋する乙女だったからなー。うりうり、幸せ者めー」
勇者「……やかましい」
女騎士「……」
勇者「……? 急に黙り込んでどうした?」
女騎士「やっぱり……姫さまと結婚できるとしたら、喜んでするよなぁ……」
勇者「……泣いてるのか?」
女騎士「な、泣いてなんかないっ! 別にお前が誰と結婚しようが何とも思わないんだがらな……!」ぐすっ…
勇者「……」
勇者「……お前と結婚するって言ってもか?」
女騎士「は、はあぁ……!?」
勇者「……チョロいな」
女騎士「ちょ、チョロくない!」
12: 2017/02/17(金) 22:28:55.36 ID:Acx++YKBO
女騎士「チョロくなんかない……だって、アタシはずっと前から……お前に助けてもらった、最初のあの時から、お前のことが……!」
勇者「……それ、やっぱりチョロいだろ」
女騎士「うぐっ……」
女騎士「なあ……結婚って……本気なのか……?」
勇者「……俺がそんな冗談を言う男だと思ってるのか?」
女騎士「……」
勇者「……何をぼけっとしてる。早く帰るぞ」ざっざっ
女騎士「ま、待てっ! あっ……勇者の耳が赤い!」
勇者「やかましい……っ」
なーなー! もう一回! ちゃんと言え!
くっつくな! きびきび歩けドジアホポンコツチョロ女騎士!
チョロいのはむしろそっちだ! チョロ勇者! 大好き!
ぎゃーぎゃー……!!
完!
13: 2017/02/17(金) 22:29:24.95 ID:Acx++YKBO
くうつか
これにてかんけつです
これにてかんけつです
14: 2017/02/17(金) 22:38:26.04 ID:rc4mtTobO
すばらしい
15: 2017/02/17(金) 22:39:25.59 ID:LRHhPBs1o
いいと思います
17: 2017/02/18(土) 00:09:39.68 ID:lKSzFGxZo
乙
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