1: 2013/02/26(火) 20:58:04.11 ID:YK0p+m+Z0
※モバマス

※アイドルとちひろさんがひどい目に遭います。注意

ちひろ「はい。考えてみませんか?」

P「せっかく今まで育ててきたアイドルたちを手放すなんて……。
  それに、アイドルたちにも申し訳が立ちません」

ちひろ「あ、それは大丈夫です。
    ただ、一時的に別の事務所にお貸しするだけですので」

P「どういうことですか?」

ちひろ「簡単に言えば、出張です。
    他の事務所での仕事を経験することで、
    アイドルも色々な経験ができます。
    聞いた話では、
    そのおかげで仕事が増えたアイドルも居るとか」

P「ふむふむ」

ちひろ「メリットはそれだけじゃありませんよ?
    これを見てください」スッ
2: 2013/02/26(火) 20:58:47.91 ID:YK0p+m+Z0
P「……何ですか、それ?
  見たところ、ゲームセンターのメダルのようですけど」

ちひろ「これは、レアメダルと呼ばれているものです。
    アイドルを貸す代わりに、相手方からいただけます。対価ですね」

P「何かに使えるんですか?」

ちひろ「非常に高い価値を持っています。
    これを使って、女子寮を建設した事務所もあるとか」

P「それは凄いですね」

ちひろ「アイドルも居なくならないし、仕事も増える。女子寮も建てられる。良いこと尽くめでしょ?」

P「考えてみます」

3: 2013/02/26(火) 20:59:21.79 ID:YK0p+m+Z0
P(才能はあるが、まだ芽が出ていないアイドルはうちにもたくさん居る。
  そういったアイドルたちにも、スポットライトが当たるかもしれない)

ガチャ

あずき「おっはよっ!
    いきなり呼び出したりして、何の用?
    もしかして、あずきの新しいお仕事決まったの?
    とうとう、新作戦を開始する時が来たんだねっ!」

P「仕事というか、移籍の話なんだけど」

あずき「……え?」

P「ちょっと他の事務所に……って」

あずき「うう……ひっぐ……」グス

P「な、なんで泣くんだ?」

あずき「どうぢて……」グス

P「あ、あずき?」オロオロ

あずき「あずき……そ゛んなに駄目だっだの゛……?
    アイドルとして駄目だから他の事務所に……」

P「違う違う!
  すまん、説明不足だったな」

あずき「……」グス

P「あずきは才能がある。
  でも、一つ足りていないものがあるんだ」

あずき「何……?」

4: 2013/02/26(火) 20:59:49.45 ID:YK0p+m+Z0
P「それは、知名度だよ」

あずき「……まあ、確かにね。
    あずき、素顔で歩いてても何にも言われたことないし」

P「そこでだ。他の事務所のアイドルの仕事を手伝うことで、知名度を上げようってのが今回の作戦だ。手伝いが終われば、ちゃんと帰って来れるさ」

P(それだけじゃないけどな)

あずき「作戦?」キラキラ

P「ああ。あずきがトップアイドルになるために、重要な作戦だ。
  その名も……」

あずき「そ、その名も……?」

P「他の事務所でお仕事大作戦だ!」ドヤァ!

あずき「……ちょっと微妙……」

P「」

5: 2013/02/26(火) 21:01:26.64 ID:YK0p+m+Z0
あずき「あずきひとりで行くの?
    ちょっと寂しいよ……」

P「いや、他にも何人か行ってもらいたいと思ってる。
  今考えてるのは……菲菲と雅だな」

あずき「それならいいかなっ」

P「やってくれるか?」

あずき「うんっ!」

P「そうか、ありがとな」

あずき「えへへっ! 頑張るよ!」

P(その後、俺は菲菲と雅にも同じことを説明し、承諾を得た)

P(これで事務所の施設を増設できれば、皆の助けになるだろう。
  そういった考えからの行動だった。それが……)

6: 2013/02/26(火) 21:02:36.31 ID:YK0p+m+Z0
2週間後 事務所にて

P「う~ん……」

ちひろ「どうしたんですか?」

P「思ったような効果がないんです」

ちひろ「特別移籍のお話ですか?」

P「ええ。
  知名度アップに繋がれば、と思ったんですが」

ちひろ「そういえば、あまり見ませんね」

P「そうなんですよ。
  なんでだろう?」

ちひろ「まあ、アイドルの扱いはお貸しした事務所の都合で決められますので……。
    ただの雑用係にされている可能性も無いわけではないですね」

P「なんか、納得いきませんね。
  ただ、良いように使われているだけなような……」

ちひろ「そういった文句を抑えるための、レアメダルですよ。
    凄かったでしょ?」

P「凄かったですね、あれは。
  見せただけで建設業者が首を縦に振りましたから。
  物凄い金持ちになった気分でしたよ」

ちひろ「本当になれるといいですね? アイドルたちと一緒に」

P「ははは……」

7: 2013/02/26(火) 21:03:04.24 ID:YK0p+m+Z0
同時刻 地下スタドリ・エナドリ工場 牢屋

菲菲「ど、どうしてこうなったヨ……」

雅「みやびぃこんな所嫌だよぉ……。帰りたいよぉ……」

あずき「まさか、特別移籍がこんなものだったなんて……」

あずき(特別移籍がプロデューサーさんから告げられた日の夜、それは起こったんだ)

8: 2013/02/26(火) 21:03:33.57 ID:YK0p+m+Z0
2週間前 女子寮にて

ドンドン

菲菲「……Zzz」

ドンドン

菲菲「……むー……」

ドンドン

菲菲「……ふぇいふぇい寝てるネー……起きないヨー……」

ドンドン

菲菲「……」イライラ

ドンドンドンドン

菲菲「ああもう! しつこいヨ!」ガバァ

9: 2013/02/26(火) 21:04:05.44 ID:YK0p+m+Z0
スタスタ

ガチャ

菲菲「こんな時間に何の用ダヨ……って」

黒服A「……」

黒服B「……」

黒服C「……」

菲菲「誰ダヨ!?」

10: 2013/02/26(火) 21:04:32.44 ID:YK0p+m+Z0
黒服A「おい、こいつで間違いないか?」

黒服B「はい。楊菲菲、写真の人物で間違いないかと」

菲菲「な、なんでワタシの名前知ってるネ?」

黒服C「楊菲菲、同行願おうか」

菲菲「い、嫌ダヨ」

菲菲(何この人たち……怖いヨ……)

11: 2013/02/26(火) 21:05:11.79 ID:YK0p+m+Z0
黒服A「おっと、お前さんに拒否権は無いぜ」

黒服B「さあ、来るんだ!」ガシ

菲菲「いっ!? 放してっ!」ジタバタ

黒服C「大人しくしろ!」グイ

菲菲「いやぁー! 誰か助けてネー!」バタバタ

黒服A「ちっ、このままじゃ他の奴が起きちまう。あれを出せ」

黒服B「はっ」スプレープシュー

菲菲「!?」

菲菲(い、意識が……)

バタッ

黒服A「……よし、連れていけ」

黒服B・C「はっ」

12: 2013/02/26(火) 21:05:46.56 ID:YK0p+m+Z0
菲菲「……うーん……」

菲菲「……はっ!?」

菲菲「ここどこダヨ!?」

菲菲(……なんか、牢屋みたいな所ネ……)

13: 2013/02/26(火) 21:06:41.90 ID:YK0p+m+Z0
あずき「あ、気がついた?」

菲菲「アズキ!? どうしてアズキがここに居るネ!?」

雅「みやびぃも居るよぉ」

菲菲「ミヤビも!?」

あずき「どうやら、あずきたち、誘拐されちゃったみたいだね」

菲菲「ええっ!? なんでダヨ!?」

あずき「わかんないよ……」

雅「怖いよぉ……。何されちゃうのかなぁ……」

菲菲「そもそも、ここはどこダヨ? 知ってる?」

あずき「それもわかんない。見た目は牢屋みたいだけど……」

雅「外から丸見えだよぉ。なんか恥ずかしいなぁ」

14: 2013/02/26(火) 21:07:08.88 ID:YK0p+m+Z0
キィ

黒服「時間だ、来い」

菲菲「だ、誰ダヨ!?」

あずき「あずきにこんなことして、何の作戦なのっ!?」

雅「帰してよぉ」

黒服「ぐずぐずするな、来い」スタスタ

菲菲「……ここは従っておくのが良さそうヨ」ヒソヒソ

あずき「……そだね」ヒソヒソ

雅「……」

15: 2013/02/26(火) 21:07:37.56 ID:YK0p+m+Z0
菲菲(長い廊下ネ……)スタスタ

あずき「……」スタスタ

雅「……」スタスタ

黒服「……よし、これをつけろ」

菲菲「首輪?」

雅「変態さん?」

黒服「早くしろ」

菲菲「……仕方ないヨ」ガチャ

あずき「何これ……」ガチャ

雅「……」ガチャ

16: 2013/02/26(火) 21:08:05.90 ID:YK0p+m+Z0
菲菲「……ワタシたち、何させられるネ?」

あずき「何だろうね」

雅「……何か音が聞こえるよぉ?」

黒服「入れ」

菲菲「……!?」

17: 2013/02/26(火) 21:08:32.58 ID:YK0p+m+Z0
幸子「や、やめてください!」

黒服「オラオラ! もっとちゃんと働かんかい!」ビシビシ

薫「せんせぇ、せんせぇ! 助けてよぉ……」

黒服「子供だからって容赦しねえぞ!」ビシビシ

蘭子「わ、我が魔力は既に尽きて……(つ、疲れました……)」

黒服「休んでる暇なんてねえぞ!」ビシビシ

菲菲「いっ……」

18: 2013/02/26(火) 21:09:54.91 ID:YK0p+m+Z0
菲菲(テレビで見たことあるアイドルたちが……)

あずき(働かされてる……?)

雅(つるはしで壁を掘ってる……)

黒服「お前たちは、今日からここで働いてもらう」

菲菲「どういうことネ?」

黒服「ここは、地下スタドリ・エナドリ工場」

あずき「スタドリって、いつもプロデューサーさんが飲んでるやつかな」

雅「あれ、良く飲んでるよねぇ~。美味しいのかなぁ?」

黒服「その中でも最も過酷な材料調達部。
   ここが今日からお前たちの職場だ。
   壁を掘り、その中からスタドリ・エナドリの製造に必要な材料を集めてもらう。
   精々氏なない程度に頑張るんだな」

菲菲「い、嫌ダヨ」

雅「なんでみやびぃがこんなことしなくちゃいけないのぉ?」

あずき「そうだよっ! こんなのおかしいよっ!」

黒服「何を言っている。
   お前たちは『特別移籍』させられたアイドルたちなんだろう?」

菲菲「そ、そうだけど……。何で知ってるダヨ?」

黒服「なら、そのレアメダル分ここで働くのが筋ってもんだろうが」

あずき「レアメダルって、何? 聞いたことないよ?」

19: 2013/02/26(火) 21:10:20.85 ID:YK0p+m+Z0
黒服「何も知らされていないのか。哀れなアイドルだな。
   レアメダルというのは、裏社会で流通している超高額貨幣のことだ。
   それを手に入れるために、お前たちは利用されたんだよ」

菲菲「利用された? 誰に?」

黒服「たった1枚のメダルに目がくらんだ、馬鹿なプロデューサーのためにだ」

菲菲・あずき・雅「!?」

20: 2013/02/26(火) 21:11:15.16 ID:YK0p+m+Z0
あずき「き、聞いてないよっ! そんなこと……」

雅「……みやびぃ捨てられたの……?」

菲菲「そ、そんな……何かの間違いに決まってるヨ!」

黒服「そうなら良かったんだろうがな、これは事実だ。
   まあ、そんなことは俺にとってはどうでも良いことだ。
   さっさと働いてもらおうか。
   さもないと……」

かな子「うう……」ペタ

「おいコラ! 何を休んでる!」

かな子「すっ、すみません!」

「働かない奴は……痛い目に遭ってもらう!」ピッ

菲菲(首輪が……光って……)

かな子「うあぁあああああ゛あ゛あ゛ッ!!!!」

あずき(電撃!?)

「どうだ? 働く気になったか?」

かな子「うう……」ビクビク

菲菲・あずき・雅「!?」

黒服「ああなるぜ?」

21: 2013/02/26(火) 21:12:00.56 ID:YK0p+m+Z0
菲菲「ひっ、ひどいヨ! ワタシたち、こんなことするためにアイドルになったんじゃ……」

黒服「知らんな。恨むなら、お前たちのプロデューサーを恨むんだな。
   仕事は、7時間で1区切りだ。
   7時間働いた後、1時間の休みを与えられる」

菲菲「労働基準法もクソもないヨ……」

雅「そんなに働いたら氏んじゃうよ……」

黒服「精々頑張ることだ」

22: 2013/02/26(火) 21:12:29.72 ID:YK0p+m+Z0
3時間後

菲菲「……」ガコン

あずき「……」ガコン

雅「……腰痛いよぉ……」ガコン

23: 2013/02/26(火) 21:12:58.49 ID:YK0p+m+Z0
雅「……あっ!」

菲菲「どうしたネ?」

あずき「あ、それは……」

雅「これが言ってたスタドリの材料かな?」

菲菲「緑色の石ダヨ」

あずき「……こんな物飲んでたんだ……」

雅「早速持って……」

歌鈴「はわわわっ! どいてください~!」

雅「え?」

ドンッ

24: 2013/02/26(火) 21:13:50.55 ID:YK0p+m+Z0
雅「いったぁ~い……」

歌鈴「ふえええ、すみませんすみません!」ペコペコ

あずき「大丈夫……って、ああ!?」

菲菲「石が……割れちゃてるヨ……」

歌鈴「ええええ!? ほ、本当にすみません! 不注意なもので!」ペコペコ

雅「まあ、そういうことって誰でもあるよねぇ~。だから気にしないでぇ」

歌鈴「本当にすみません! この埋め合わせはいつか……」

25: 2013/02/26(火) 21:14:16.16 ID:YK0p+m+Z0
あずき「あ、慌ただしい人だったね……」

菲菲「あはは……」

雅「……これ、使えるのかなぁ? 一応持っていってみよぉっと」

26: 2013/02/26(火) 21:15:25.25 ID:YK0p+m+Z0
雅「駄目だったよぉ……」

菲菲「厳しいネ」

あずき「あれぐらい別にいいじゃん。ねぇ?」

菲菲・雅「うんうん」

27: 2013/02/26(火) 21:16:12.41 ID:YK0p+m+Z0
4時間後

黒服「よし、自室に戻り、休息しろ」

菲菲「や、やっと終わったネー……」

あずき「お疲れ様」

雅「疲れたぁ」

28: 2013/02/26(火) 21:16:43.97 ID:YK0p+m+Z0
牢屋

あずき「まさか、プロデューサーさんがこんなことするなんて……」

菲菲「本当ダヨ! 帰ったらとっちめてやるネ!」

あずき「……プロデューサーさん……最初に会った時はあんなに優しそうな顔をしてたのに……。
    最初の仕事を貰えた時は、涙を流して喜んでくれたのに……。
    あずきが辛い時は、あんなに励ましてくれたのに……。
    どうして、こんな……ううっ……」

菲菲「アズキ……」

あずき「ううっ……ああ……」ポロポロ

菲菲「アズキ、泣いちゃ駄目ダヨ。
   アズキには笑顔が一番似合ってるヨ。
   だから……笑って、ネ?」

あずき「菲菲……ありがとう」

29: 2013/02/26(火) 21:17:11.65 ID:YK0p+m+Z0
雅「……みやびぃはそうだとは思わないなぁ」

菲菲「どういうことネ?」

雅「あのPにアイドルを簡単に見捨てられるとは思えないよぉ。
  アイドルのために、ロボットみたいにずっと仕事ばっかりしてるし」

菲菲「確かに、事務所で寝てる時とか良くあるヨ」

雅「きっと、誰かに騙されたんだよぉ。
  こうすれば、アイドルのためになるとか言われて」

30: 2013/02/26(火) 21:17:43.85 ID:YK0p+m+Z0
黒服「おい、201番うるさいぞ!
   もう消灯時間だ!」

菲菲「……とにかく、ここから生きて出ることだけ考えるのが良さそうダヨ」

あずき「……そうだね」

菲菲(それから、こんなことが毎日続いたヨ)

31: 2013/02/26(火) 21:18:13.09 ID:YK0p+m+Z0
2週間後

菲菲「……一向に出られそうにないネ……」

あずき「どうなってるの……」

雅「みやびぃもう働きたくなーい……」

バタン ドタン

菲菲「……なんか隣が騒がしいヨ?」

雅「何だろう……!?」

32: 2013/02/26(火) 21:18:45.23 ID:YK0p+m+Z0
「おら、大人しく歩け!」

あやめ「くっ……」

「まさか床に穴を掘って逃げ出そうとするとはな」

あやめ「あ、あれはただ忍術の練習をしていただけ……」

「言い訳するな!」ビシィ

あやめ「あうっ!」

「とにかく、こいつはお仕置き部屋行きだな」

あやめ「そ、そんなぁ~……」

「穴埋めはどうする? そうとう深く掘ってたが」

「後でいいだろ。こんなこと考える奴、他に居ないって」

「そうだな。あの部屋は使用禁止にすればいいだけだし」

菲菲「……」

あずき「……」

雅「……これは、チャンスだねぇ」

33: 2013/02/26(火) 21:19:28.36 ID:YK0p+m+Z0
菲菲「どういうことダヨ?」

雅「さっきの子は隣の部屋だよねぇ?」

あずき「穴を掘ったって言ってたけど……まさか!」

雅「そのまさかだよぉ。
  その子の掘った穴に繋がるように掘れば、
  普通に掘るよりもずっと早くできるよぉ」

菲菲「大丈夫かヨ?」

雅「見つかる前に逃げられれば、こっちのもんだよぉ」

あずき「みんなはどうするの?」

雅「それは、逃げられた時に訴えればいいんだよぉ。
  こんなこと、許されるはずないんだからねぇ。
  みんなには悪いけど、少人数の方が逃げやすいし」

あずき「じゃあ、名付けて大脱出作戦、決定?」

菲菲・雅「おー!」

34: 2013/02/26(火) 21:20:06.30 ID:YK0p+m+Z0
3日後 事務所

P「……やっぱりおかしいなぁ」

ちひろ「特別移籍したアイドルたちのことですか?
    まあ、きっと頑張ってますよ」

P「そうですかね……」

プルルルル

ちひろ「……っと、電話ですね。私が出ます」

P「お願いします」

ちひろ「……」

35: 2013/02/26(火) 21:20:35.16 ID:YK0p+m+Z0
同時刻 スタドリ・エナドリ工場 牢屋

あずき「……」

雅「……」

菲菲「ふぅ」

あずき「お帰り」

菲菲「やっとつながったヨ」

雅「よし、早速逃げようよぉ」

あずき「見張りも休憩時間なはずだしねっ!」

雅「みんな、静かにねぇ?」

36: 2013/02/26(火) 21:21:45.43 ID:YK0p+m+Z0
ちひろ「……すみません、少し呼び出しがあったので、出かけてきますね」

P「わかりました」

37: 2013/02/26(火) 21:23:12.84 ID:YK0p+m+Z0
スタドリ・エナドリ工場

菲菲「相当掘ったネ……あの子……」タッタッタ

雅「通路に出たよ」タッタッタ

あずき「看板によると、こっちに進めば、トロッコがあるらしいよっ!」タッタッタ

雅「多分、出来たスタドリを運ぶ用のトロッコだろうねぇ。
  それに乗れば、地上に出られるはず……」タッタッタ

菲菲「……あったヨ!」

あずき「よし、乗ろう!」

38: 2013/02/26(火) 21:23:38.67 ID:YK0p+m+Z0
ガラガラガラ

雅「……なーんか、拍子抜けだねぇ」

菲菲「あっさりダヨ」

あずき「追手が来る様子もないし……あっ、光が見えてきた!」

39: 2013/02/26(火) 21:24:06.15 ID:YK0p+m+Z0
ガラガラ……キィ

あずき「着いたみたい」

菲菲「階段があるヨ」

雅「あれを登れば地上に……っ!?」

40: 2013/02/26(火) 21:24:35.52 ID:YK0p+m+Z0
ちひろ「あらあら、どうしてあなたたちがここに居るんですか?」

菲菲「チヒロ……」

あずき「……」

雅「……」

41: 2013/02/26(火) 21:25:19.71 ID:YK0p+m+Z0
ちひろ「あなたたちは『移籍』したはずですよね?」

ちひろ「『移籍』した人は、ちゃんと働いてもらわないと」

あずき「もうあんな所で働きたくないよっ!」

菲菲「そうダヨ! ふぇいふぇいたちは奴隷じゃないヨ!」

雅「Pに会って、話を訊くんだよ!」

ちひろ「そんなこという子には、お仕置きですよ?」ピッ

あずき「あ゛ああああ゛あ゛あ゛ッ」ビリビリ

雅「う゛うううう゛う゛う゛ッ!!!」ビリビリ

菲菲「うぐうううう゛う゛ううう゛」ビリビリ

42: 2013/02/26(火) 21:26:07.72 ID:YK0p+m+Z0
菲菲「はぁ、はぁ……」

あずき「い、ぁ……」

雅「うぅ……」

ちひろ「皆さんにはがっかりですよ。
    たった2週と3日働いただけで、逃げてきちゃうなんて」

菲菲「……こ、こんなもので、ふぇいふぇいたちの心を折ることはできないヨ……」

あずき「あ、あずきたちは……」

雅「Pに会って、話を訊かなくちゃならないんだよぉ……」

ちひろ「プロデューサーさんも迷惑してましたよ?
    『大した能力も特技もない癖に』ってね」

菲菲「……」

あずき「……」

雅「……」

43: 2013/02/26(火) 21:26:37.21 ID:YK0p+m+Z0
あずき「……」フラッ

菲菲「ア、アズキ!?」

雅「どうしたの!?」

ちひろ「あら? 気絶しちゃったんですか。
    よっぽどショックだったんですねぇ。
    これだから三流アイドルは……」

菲菲「あ、アズキを……悪く言うなヨ!
   アズキは……トップアイドルになるために必氏で頑張ってたんダヨ!」

ちひろ「そんな努力、お金にならないなら無駄です」

菲菲「あんた……最低ネ!」

44: 2013/02/26(火) 21:27:05.10 ID:YK0p+m+Z0
ちひろ「なんとでも言いなさい。とにかく、持ち場に戻ってもらうわよ」

菲菲「お断りダヨ!
   ワタシは……地上に戻ってこのことを知らしめるヨ!」

ちひろ「あなたたちにそれができますか?」ピッ

菲菲「ぐううううう゛うう゛うううッ!」ビリビリ

雅「ああああ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛っ!」ビリビリ

菲菲「ハァ……ハァ……」

雅「ふぅ……ふぅ……」

ちひろ「耐えましたか。最高出力だったんですけどね」

菲菲「な……舐められたものネ……ワタシも……。
   香港ではこの程度、日常茶飯事ヨ……」

ちひろ「そんな冗談を吐く余裕まであるとは。
    何があなたをそうさせるんです?」

菲菲「そんなことはどうでもいいヨ。
   そこを退くダヨ。さもないと……」

ちひろ「さもないと? どうなるというんです?」

P「こうなるんですよ、ちひろさん」

45: 2013/02/26(火) 21:29:58.67 ID:YK0p+m+Z0
ちひろ「どうしてここが……」

P「何かおかしいと思って後をつけたら……まさかこんなことをしてたなんてね。
  見損ないましたよ、ちひろさん」

ちひろ「……チッ」スッ

雅「トランシーバー!?」

菲菲「応援を呼ぶつもりネ!?」

P「無駄ですよ」

ちひろ「……繋がらない」

P「地下はもう警察が突入済みですよ。
  商品の出荷ルートと職員の出入り口は分けておくべきでしたね。
  諦めてください。ここにもすぐ来ます」

ちひろ「……」

あずき「……なんでこんなことしてたの?」

46: 2013/02/26(火) 21:30:28.04 ID:YK0p+m+Z0
ちひろ「……にいいじゃないですか」

P「?」

ちひろ「別にいいじゃないですか!
    ただお金が欲しかっただけですよ!
    何か悪いことがありますか!」

雅「これは……」

菲菲「同情の余地なしダヨ」

あずき「最低だね」

47: 2013/02/26(火) 21:30:55.77 ID:YK0p+m+Z0
P「俺は説教する気はありません。
  その代わり、しっかりと罪を償ってきてください」

ちひろ「……」

「容疑者確保しました」

48: 2013/02/26(火) 21:32:38.16 ID:YK0p+m+Z0
P(それから、ちひろさんが関わっていた「特別移籍」詐欺は世間に認知され、糾弾された。
  工場は解体され、埋め立てられた。
  行方がわからなくなっていたアイドルたちは、無事元の事務所に戻っていったらしい)

P(俺は彼女たちに、俺のいい加減な考えのせいで迷惑をかけたことを必氏に謝った。
  普通なら許してもらえなくても仕方ないほどのことだった。
  しかし、彼女たちはなぜか俺をあっさりと許してくれた。
  彼女たちをトップアイドルに導くことを、条件として出されたが……。
  その程度のことで許してもらえるなら、俺は努力を惜しまないだろう)

49: 2013/02/26(火) 21:33:31.32 ID:YK0p+m+Z0
P(やはり、アイドルを金儲けに使おうなどという浅はかな考えは、持つべきではないということだろうか)

P(アイドルは金儲けの道具じゃない。もしその答えが正しいのだとしたら、アイドルとは一体何のために存在するのだろうか?)

P(ファンを満足させるためか? 事務所の知名度を上げるためか? それとも、誰かの夢を叶えるためなのか?)

あずき「何難しい顔してるのかなっ?」

菲菲「もうすぐお仕事の時間ダヨー」

雅「行こうよぉっ!」

P「ああ、そうだな」

P(……この子たちと居れば、その答えが見つけられるかもしれないな)

お わ り

50: 2013/02/26(火) 21:41:31.86 ID:XaMTs/FD0
乙乙乙
気軽に特別移籍するもんじゃないな

51: 2013/02/26(火) 21:43:15.62 ID:BacTLEvs0

こんなん読んだら特別移籍を封印せざるを得ないじゃないか……

引用元: モバP「特別移籍、ですか?」