1: 2009/08/05(水) 16:16:29.35 ID:4ghYiNEb0
いつもと変わらない日曜日
変った事と言えば唯が早起きをしたことくらいか

唯「ふぃー、気持ちのいい朝だー」

カタンッ

ポストの新聞をとる唯

唯「あれ?なんだろこれ」

一通の手紙が入っていた

唯「ふんふん………」

唯「よくわかんないから憂に読んでもらおう♪」

3: 2009/08/05(水) 16:19:28.95 ID:4ghYiNEb0
唯「ういー、なんか変な手紙入ってたー」

憂「変な手紙? 見せて」

唯「懸賞でも当たったのかなー」ワクワク

憂「おお、お姉ちゃんこれ」

唯「どうしたの?」

11: 2009/08/05(水) 16:22:30.65 ID:4ghYiNEb0
憂「裁判員の候補に選ばれたんだよ!」

唯「へ? なにそれ」

憂「知らないの? ニュース見たり新聞読んだほうがいいよ」

唯「だってニュースは芸能しか見ないし、新聞はテレビ欄くらいしか読まないもん」

憂「だからって裁判員制度を知らないっていうのは……」

15: 2009/08/05(水) 16:28:45.10 ID:4ghYiNEb0
憂「分かりやすく説明するね」

唯「お願い」

憂「お姉ちゃん裁判はわかるよね?」

唯「それくらい分かるよー」

憂「今までの裁判っていうのは裁判官3人だけで議論されていたの」

唯「あー……」

憂「裁判員制度っていうのは一般の人たちに裁判に参加してもらうことなんだよ!」

唯「ほう……」

憂「その裁判に参加する人の候補にお姉ちゃんが選ばれたんだよ!」

唯「何となくわかったー! 大変だー」

憂「まぁ、まだ候補だけど」

20: 2009/08/05(水) 16:32:12.64 ID:4ghYiNEb0
唯「もし選ばれたら、静粛に!って言えるの?」

憂「それは言えないと思うよ…」

唯「ちぇー、あれ憧れてたのに」

唯「静粛に!」キリッ

憂「お姉ちゃん、そのセリフを言いたいならいっぱい勉強しないと」

唯「で、候補の人の中からどうやって選ぶの?」

憂「くじで選ぶんだよ」

唯「私くじ運いいから選ばれるかも♪」

憂(心配だなー……)

21: 2009/08/05(水) 16:33:39.49 ID:4ghYiNEb0
憂(まぁ、選ばれる確率は低いよね)

唯「静粛に!」キリッ

憂「いつまで言ってるのお姉ちゃん、早く朝ごはん食べようよ」

唯「やったー」

24: 2009/08/05(水) 16:34:51.92 ID:4ghYiNEb0
―数ヶ月後―
候補に選ばれたことなど二人はすっかり忘れていた


憂「あっ、お姉ちゃん夕刊とってきて」

唯「はーい」

ポストを覗く唯

唯「ん? また難しい手紙……」

唯「憂に読んでもらおー♪」

27: 2009/08/05(水) 16:35:46.79 ID:4ghYiNEb0
唯「ういー、難しい手紙があったー」

憂「見せて」



憂「…………」

唯「どうしたの?」

憂「選ばれた…」

唯「何に?」

憂「この前、裁判員の候補に選ばれたでしょ?」

唯「そういえばそんなことあったね」

28: 2009/08/05(水) 16:36:45.14 ID:4ghYiNEb0
憂「お姉ちゃん、裁判所に行かないとだよ……」

唯「どういうことかな?」

憂「この前よりさらに裁判員に選ばれる可能性が上がったんだよ」

唯「ホント!? わーい」

憂(心配だよぉ……)

唯「静粛に!」バンバン!

29: 2009/08/05(水) 16:37:52.84 ID:4ghYiNEb0
唯「そういえば、どんな事件の裁判に参加するの?」

憂「刑事裁判だよ」

唯「……」

憂「殺人、強盗致氏、放火とかの重い犯罪を対象とした事件だよ」

唯「へぇー、勉強になるな~」

憂「お姉ちゃん大丈夫?」

唯「大丈夫だよ」

憂「心配だからちょっと勉強しない?」

憂「あと一カ月以上あるし」

唯「憂がそこまで言うなら」

33: 2009/08/05(水) 16:39:10.45 ID:4ghYiNEb0
唯は裁判について勉強した


憂「普段からニュースとか新聞を読むことが大事だよ」

唯「ふんふん」



―3週間後―


唯「すぐにでも裁判に参加できそうだよ!」

憂「じぁあ、問題を出すよ」

唯「うん」

憂「裁判員に選ばれる人数は?」

唯「6人!」

憂「正解、じゃあ、裁判員制度はいつから始まった制度?」

唯「平成21年5月21日!」

憂「すごい、大正解だよ!」

唯「えへへ」

36: 2009/08/05(水) 16:40:26.03 ID:4ghYiNEb0
憂「じゃあ、ちょっと難しい問題いくよ」

唯「どんとこーい」

憂「被告人が知人の場合、裁判員を辞退しなくてはいけないか?」

唯「えーっと……」

40: 2009/08/05(水) 16:42:51.72 ID:4ghYiNEb0
唯「んーとね……」

憂「がんばって、お姉ちゃん」

唯「辞退しなきゃいけない?」

憂「うーん、おしい」

憂「ただ単に被告と知り合いってだけで辞退しなきゃいけないわけじゃないんだよ」

唯「へぇー」

憂「不公平な裁判をする恐れがあるって裁判所が判断したときは辞退させられるけどね」

41: 2009/08/05(水) 16:44:12.81 ID:4ghYiNEb0
憂「でもだいぶ裁判についての知識がついてきたね!」

唯「えへへ」

憂(これで少しは心配がなくなるかな)



一週間後、裁判当日


唯「うわー、緊張してきた」

憂「裁判所までついて行くね」

44: 2009/08/05(水) 16:46:32.29 ID:4ghYiNEb0
ー裁判所内、候補者集合場所―


憂「じゃあ、私はここまでね」

唯「う、うん」ドキドキ

憂「選ばれたら多分5時くらいまで裁判に参加することになるから先に帰ってるよ」

唯「うん、おいしい夕飯作って待っててね」

憂「わかった!」

46: 2009/08/05(水) 16:47:45.80 ID:4ghYiNEb0
唯「憂帰っちゃった……」


キョロキョロ


唯(サラリーマンから普通のおばさんまでいろんな人がいるなぁ)

説明係「本日はお集まりいただきありがとうございます」

説明係「皆様に参加していただくのは殺人、放火などの重大事件です」

男1「あのー、裁判員に選ばれるとお金とか出るんですか?」

説明係「日当はちゃんと出ます」

男1「交通費は出たりするんですか?」

説明係「往復の交通費がちゃんと出ます」

唯(あのおじさんこんなことも知らなかったんだ)

47: 2009/08/05(水) 16:48:42.21 ID:4ghYiNEb0
説明係「皆さんにはこれから裁判長と個別に面談を行ってもらいます」

唯(面談かー、勉強もしてきたし大丈夫だよね)


―面談室―

裁判長「この度はご苦労様です、では早速ですかいくつか質問をさせていただきます」

唯「は、はい」ドキドキ

裁判長「裁判員制度というのは一般の方からの意見を取り入れることが最大の目的です」

裁判長「ですから、緊張しなくても大丈夫ですよ」

唯「は、はい」



面接では辞退を希望するか、事件関係者との利害関係があるかどうかが質問される

48: 2009/08/05(水) 16:50:17.55 ID:4ghYiNEb0
この面接で残った人からくじ引きで結果を決める


唯「ええ、選ばれちゃった!」ドキドキ

男1「げっ、選ばれたか、まぁ金ももらえるしいいか」

唯(あの人も選ばれたんだー)

51: 2009/08/05(水) 16:52:07.25 ID:4ghYiNEb0
全員で男3人、女3人の構成となった



―法廷―

唯(うわー、ドラマで見たとおりだー)

女1「ちょーすごーい」

男2「ちょっと静かにしろよ」

女1「えー、おじさんのほうがうるさいんだけど」

53: 2009/08/05(水) 16:52:58.97 ID:4ghYiNEb0
男1 30代サラリーマン

男2 40代自営業

男3 50代サラリーマン


女1 20代雑貨屋店員

女2 40代主婦

55: 2009/08/05(水) 16:54:07.40 ID:4ghYiNEb0
この場で事件の詳しい概要を知らされる

被告人の罪名は殺人罪である


唯(殺人……私なんかで本当ににいいのかな)

男1(殺人かよ、面倒そうだな…)

56: 2009/08/05(水) 16:55:54.56 ID:4ghYiNEb0
検察官「被告人は持っていたナイフで被害者のAさんを刺頃しました」

検察官「これは紛れもない事実であります」

裁判長「被告人は今の検察官の意見に対し何か言いたいことはありますか?」

被告人「確かに僕はAさんを頃してしまいました」

被告人「でもそれは、自分の身を守るためだったんです」


唯(えーっと、こういうのって正当防衛っていうんだっけ?)

57: 2009/08/05(水) 16:57:12.51 ID:4ghYiNEb0
唯(あ…でも相手が氏んじゃってるし正当防衛とは限らないかも)

被告人「Aさんに殺されるかと思って、自分の身を守るために……」

裁判長「詳しく聞かせてください」

61: 2009/08/05(水) 17:03:08.92 ID:4ghYiNEb0
弁護人「ではお願いします」

被告人「はい、僕はあの日電車に乗ってました」

被告人「かなり混んでいたので、入口付近に立っていたAさんにぶつかってしまったんです」

被告人「そしたら、電車に乗ってる間ずっと僕のことを睨んできて……」

弁護人「あなたは睨まれたことに恐怖を感じましたか?」

被告人「はい、なにしろずっと睨まれましたから……」

唯(ふんふん)

66: 2009/08/05(水) 17:08:27.28 ID:4ghYiNEb0
被告人「電車を降りて階段を下りてたら後ろからAさんに声をかけられたんです」

弁護人「なんと言われたんですか」

被告人「えっと……待てよ!って」

弁護人「それでいきなりAさんが襲ってきたと」

被告人「いえ、口論になって」

72: 2009/08/05(水) 17:13:02.22 ID:4ghYiNEb0
被告人「そのあとAさんがカッとして僕に襲いかかってきたんです」

被告人「僕は階段から転がり落ちて……」

弁護人「Aさんはそれでもあなたを殴り続けたんですか?」

被告人「はい……」

唯(うわー、ひどい)

99: 2009/08/05(水) 21:23:27.62 ID:4ghYiNEb0
弁護人「こちらからは以上です」

裁判長「では、本日の評議はここまでとします」

裁判長「明日も本日と同じ時間に評議を行います」


唯「うわー、緊張したー」

唯「早く帰って憂のご飯食べたいな~」

101: 2009/08/05(水) 21:33:46.05 ID:4ghYiNEb0
裁判官「私達でこれから本日の評議を行いますので評議室に来てください」

唯(えー、まだ帰れないの……)


―評議室―

裁判長「ただいまより評議を行います」

裁判長「まず、本日の法廷を終えて何か気付いたことはありますか? 平沢さん」

唯「え? えーっと…」


105: 2009/08/05(水) 21:41:37.48 ID:4ghYiNEb0
唯「確かに被告人は人を頃したけど、被告人だけを責めるのはちょっと気がひけます……」

男2「人を頃したことには間違いないんだからさっさと有罪にしたほうがいいと思いますけどね」

女1「私は早く終わるならなんでもいいやー」

裁判長「そうですか、わかりました」

裁判長「今回皆さんには被告人に正当防衛が適用するかどうか
 執行猶予つきの判決にするかの2点を重点的に考えてもらいます」

108: 2009/08/05(水) 21:48:33.28 ID:4ghYiNEb0
裁判長「では、本日はここまでにしましょう、明日もよろしくお願いします」

唯(やっと終わった……)



―家―

唯「ただいまー」

憂「お帰りー、どうだった?」

唯「なんかどっと疲れちゃった、ご飯できてる?」

憂「できてるよー、食べよう」

唯「わーい♪」


110: 2009/08/05(水) 21:51:57.25 ID:4ghYiNEb0
唯「でさー、憂はどう思う?」モグモグ

憂「うーん、正当防衛は難しいと思うなー」

唯「なんで?」

憂「だって頃しちゃったんでしょ? 過剰防衛になると思うよ」

唯「そっかー」

111: 2009/08/05(水) 21:53:48.44 ID:4ghYiNEb0
憂「って、お姉ちゃん 内容を言ったらダメなんだよ!」

唯「はっ! そうだった……」

憂「……もう、私だったからいいけど外で言っちゃだめだよ」

唯「はーい」

115: 2009/08/05(水) 21:57:38.16 ID:4ghYiNEb0
唯「起きてると話しちゃいそうだからもう寝るね」

憂「おやすみ、明日も頑張ってね!」


唯の部屋

唯(はー、気が重いよ…)



117: 2009/08/05(水) 22:05:48.58 ID:4ghYiNEb0
―翌日―

裁判長「では、本日の評議を行います」

裁判長「まず、被告人は昨日の発言に間違いはないですか」

被告人「はい……」

裁判長「では、検察官どうぞ」

検察官「本日は目撃者の方に来ていただきました」



119: 2009/08/05(水) 22:12:52.84 ID:4ghYiNEb0
検察官「あなたは事件当日に二人の争いを目撃しましたね?」

目撃者「はい」

検察官「では詳しいことを教えてください」

目撃者「えっと、被告人が被害者に殴られてました」

検察官「それは被告人の命を脅かほどす激しかったですか?」

目撃者「いえ、被害者の人は被告人を殴った後、捨て台詞みたいなのを吐いてどこかに行こうとしました」

122: 2009/08/05(水) 22:16:29.10 ID:4ghYiNEb0
検察官「捨て台詞ですか」

目撃者「ふざけんなよ、みたいなことを言って立ち去ろうとしたんです」

目撃者「そしたら被告人が被害者に向かって行って…」

検察官「持っていたナイフで刺したと」

目撃者「はい」

123: 2009/08/05(水) 22:21:48.96 ID:4ghYiNEb0
検察官「立ち去ろうとした相手にナイフを刺す……これは明らかに過剰防衛ですね」

検察官「被告人、あなたの意見を聞かせてください」

被告人「……」


127: 2009/08/05(水) 22:31:19.17 ID:4ghYiNEb0
被告人「その日は父の一回忌だったんです」

弁護人「確認をしましたが事実です」

被告人「せっかく正装をして、前々から準備をしたのにその場に行けないほどのケガを負わされて」

被告人「それで…」


129: 2009/08/05(水) 22:35:10.99 ID:4ghYiNEb0
唯(なるほど……)

検察官「それとこれとは別問題だと思いますが」

目撃者「あの……」

裁判長「どうぞ」

133: 2009/08/05(水) 22:55:40.26 ID:4ghYiNEb0
目撃者「よく考えたんですがふざけんなよ、というのは捨て台詞になりますかね?」

目撃者「また戻ってくることも考えられるんじゃ……」

検察官「ですが被害者はその場を立ち去ろうとしたわけですよね?」

目撃者「そうですけど、あの興奮具合からいってなにをしでかすか分らなかったですし」

136: 2009/08/05(水) 23:00:06.75 ID:4ghYiNEb0
検察官「そもそもなぜナイフを持ってたんですか?」

被告人「父の趣味が釣りで、魚をさばくナイフを供えたかったんです」

検察官「それほど大事なお父様のナイフを刺殺に使うとは、矛盾してませんか?」

140: 2009/08/05(水) 23:12:46.00 ID:4ghYiNEb0
すいません、ちょっと用事ができました

残ってたら再開します

157: 2009/08/06(木) 02:03:10.10 ID:gKpDowe90
被告人「………」

裁判長「本日の評議はここまでとします」


―評議室―

裁判長「明日、判決を出さなければいけません」

裁判長「皆さんの意見を多数決で決めます」

唯「あ、あの」

裁判長「平沢さん」

唯「執行猶予をつけるべきだと思います」




159: 2009/08/06(木) 02:07:25.78 ID:gKpDowe90
裁判長「それはなぜですか?」

唯「被告人はお父さん思いだったっぽいし……」

唯「あまり重い判決っていうのも…」

女2「私もそう思うわ」

男2「そんなの演技かもしれないだろ」

男3「そうだそうだ」

161: 2009/08/06(木) 02:13:01.03 ID:gKpDowe90
男2「殺人がどれほど重い罪か知らしめるためにも、執行猶予などつけるべきではありません」

裁判長「女1さんはどう思いますか?」

女1「よくわかんないです、けど被告人がそこまで悪い人だとは思えませんでした」

裁判長「みなさんの考えはわかりました」

裁判長「では、執行猶予をつけたほうがいいと思う方は手を上げてください」





裁判長「わかりました」

163: 2009/08/06(木) 02:19:27.32 ID:gKpDowe90
―唯の家―


唯「ただいまー」

憂「おかえり、ご飯できてるよ」

唯「あっ、うん…」

憂(なんか元気ない……?)


唯「気が重いよ」モグモグ

憂「でも明日判決が出るんでしょ?」

唯「まーねー、あっ、もう寝るね」

憂「もう寝るの?おやすみ」

165: 2009/08/06(木) 02:23:43.68 ID:gKpDowe90
―判決の日―

裁判長「判決を言い渡します」




裁判長「主文、被告人を殺人罪で懲役5年の実刑に処する」

被告人「………」

唯「……」

167: 2009/08/06(木) 02:38:00.43 ID:gKpDowe90
裁判長「ただし、被告人が深く反省している点や事件当時の被告人が
いきすぎともいえる暴力を受けたことを考慮して執行猶予3年とする」


裁判長「これから3年間、まじめに更生してください」

裁判長「あなたを信じた私たちを裏切らないように」

被告人「うっうっ……ありがとうございます……」





唯「これが私たちが出した結論です 皆さんも裁判員に選ばれたら自信を持って頑張ってください!」



              ―完―

170: 2009/08/06(木) 02:40:11.26 ID:gKpDowe90
細かい部分でいろいろおかしな点がありますが大目に見てやってくださいw
読んでくれた方、保守してくれた方ありがとうございました

173: 2009/08/06(木) 02:45:12.50 ID:gKpDowe90
実刑をつけたのは完璧なミスですw
見なかったことにしてください

引用元: 唯「裁判員に選ばれちゃった!」