1: 2010/01/27(水) 19:20:06.10 ID:KFSOnbTX0


ガチャ

梓「こんにちはー…って誰もいないや」

梓「じゃあ、何しようかな…」

梓「あっ…唯先輩のヘアピンだ…」

梓「こんなところに忘れるなんて…唯先輩らしいや」

梓「……」キョロキョロ

梓「すこーしだけ、すこーしだけ」ソロー

梓「ああ、唯先輩のヘアピンだ!唯先輩のだよぉ!」スリスリ

4: 2010/01/27(水) 19:26:09.93 ID:KFSOnbTX0
梓「やっべ!なんか唯先輩の匂いがするような気がする!」クンクン

梓「いい!すごくいい!なじむ!実に!なじむぞ!」クンクン

梓「最高にハイってやつだアアアア!!」ハハハ

ガチャ

唯「やっほ~~」

梓「ははは…あ」

唯「何やってんの?あずにゃん」

梓「こ、こここれは違うんです!唯先輩のヘアピンがあまりにもかわいくって、あっ!もちろん唯先輩が世界で一番かわいいですよ?」

唯「な、なに言うの~この子は~///」

5: 2010/01/27(水) 19:31:53.60 ID:KFSOnbTX0
梓「はい、唯先輩のヘアピンです。どうぞ」

唯「うん、ありがとね!」

梓「どういたしまし…!」

唯「? どうしたのあずにゃん?」

梓「あ、あ、あ…」ブルブル

梓(な、なんてこった…!あの唯先輩のかわいらしいお鼻から…鼻毛が出ているじゃないか!?)

梓(くっ!なんで1本だけ『わたしはここよ!』みたいな主張をしてるんだ!あれじゃ鼻毛じゃなくて何か別の生き物みたいじゃないか!)

唯「あずにゃん?」ズイ

梓(! でも…鼻毛が出てる唯先輩もかわいいなんて…)

梓(さすが唯先輩だ…)

6: 2010/01/27(水) 19:39:28.64 ID:KFSOnbTX0
唯「もう、あずにゃんってば~」

梓(これは本人に伝えるべきなのか?『先輩のお鼻から鼻毛が出てますよ』と言うべきなのか?)

梓(いやダメだ!そんなこと言ったら唯先輩に今後の人生において、夜ひとりになったらふいに思い出して悶絶するレベルのトラウマを作ってしまう恐れがある…!)

梓(女子が鼻毛が出てるよと言われるのは、男子がお前のズボンテント張ってるぞと言われるぐらいの破壊力を持っている…!)
※あくまで梓の個人的感覚です

梓(わたしにはどうすることもできないのか!?)

ガチャ

律「おーっす」

7: 2010/01/27(水) 19:45:44.61 ID:KFSOnbTX0
唯「あ!りっちゃんだ~!」

梓「な!?律先輩!?」

律「なんだよ梓。わたしが来るのがそんなにいやだったのか?」

梓「そ、そんなわけないです!律先輩はこの部活のキーパーソンなんですから!」

唯「キーパー?りっちゃんってゴールキーパーだったの?」

律「そうだぞ!わたしはこの軽音部のゴールを守る守護神だからな!」

唯「そうなのか~」

梓(くっ!まずい、まずいぞ!律先輩は人の心の中にずけずけと入ってくるようなガサツな人…)

梓(唯先輩の鼻毛が出ていることに気づいてしまったら『鼻毛出てるぞ』の一言で終わらせてしまうだろう…)

梓(そうなれば唯先輩はゲームオーバーだ!)

律「ん?おい唯」

梓(なあっ!?気づいてしまったのか!?)

8: 2010/01/27(水) 19:51:17.30 ID:KFSOnbTX0
唯「な~に~?」

律「お前…」

梓(終わった~!)

律「タイがほどけてるぞ。ほら、結んでやるよ」グイ

唯「うわ、ほんとだ」

律「うし!オーケイだ!」ポン

唯「ありがと~りっちゃん!」

律「な~に、こんなのお安い御用だぜ!」

梓(あ、危なかった…!というか鼻毛が出てることに注目してしまったばかりにタイがほどけてるのを見逃してしまった…)

9: 2010/01/27(水) 19:59:49.81 ID:KFSOnbTX0
梓(しかし、律先輩は気づいてないのか?いや、さすがに律先輩でも気づいてないふりをしてるんだ。普通はあんなに近づいたら気づくレベルだ…)

梓(まあでも、律先輩はバカだから気づかないか)

ガチャ

澪「ふう、つかれた」

律「! 澪だ!澪じゃないか!」

唯「ほんとだ!澪ちゃんだ!」

澪「…何を言ってるんだ?」

梓(ぐっ!澪先輩まで…これは非常にまずい展開になってきたぞ…!)

律「どうしたんだ?そんなに疲れて?」

澪「いやあ、掃除中にバケツを倒しちゃってさ。後処理が大変だったんだよ」

唯「澪ちゃんもドジっ子だね!」

澪「唯には言われたくないよ」

12: 2010/01/27(水) 20:09:14.81 ID:KFSOnbTX0
梓(だがしかし!澪先輩は私と同じようにそういう扱いはこなれてるはずだ。そう簡単には…)

澪「ん? 唯、お前…」

梓(なっ!?まさかの裏切り!?)

澪「アホ毛が立ってるぞ」

唯「ええっ!?わたしはアホじゃないよ!」

澪「ちがうちがう。髪の毛がはねちゃってるんだよ」

唯「えっ?あっほんとだ~」

澪「ほら、直してやるよ」ワシャワシャ

唯「えっへへ~!澪ちゃんになでられた!」

梓(ああ!!うらやましい!!今すぐにでも澪先輩と代わりたい!!唯先輩をワシャワシャしたい!)

13: 2010/01/27(水) 20:17:13.46 ID:KFSOnbTX0
澪「はい!元通りになったぞ」

唯「ありがと~!澪ちゃん!」

澪「どういたしまして」

梓(なんとかやり過ごしたか…それにしても二人とも、本当に気づいてないのだろうか。今も『ここだ!ここにいるぞ!』と自己アピールしているのに)

ガチャ

紬「ごめんなさい。遅れちゃった」

律「おう、気にしないでいいぞ」

澪「わたしも今来たばっかだからな」

唯「そうそう!ムギちゃんはやさしいから許す!」

梓「そうです!まさに女神です!」

紬「やだ、照れちゃうわ」

梓(ムギ先輩はどうだろうか?いや、みんな気づいてなさそうだし、ムギ先輩も気付かないんじゃ…)

15: 2010/01/27(水) 20:28:05.07 ID:KFSOnbTX0
紬「ん? あら唯ちゃん」

唯「な~に~?」

紬「…今日も元気ね」チラ

梓(気づきやがった!)

唯「ありがと~!」

梓(さすがにムギ先輩は鋭い観察眼をお持ちだ…)

梓(あえて伝えないやさしさを見せたが…わたしは違う!)

梓(わたしがすべき使命…それは、唯先輩に気づかれずにあの鼻毛を処理すること…)

梓(たとえ失うものが大きいとしても…わたしにはやらなければならないことがある!!)

梓(待っててください唯先輩!その無邪気な悪魔をはらってみせます!)

17: 2010/01/27(水) 20:36:46.06 ID:KFSOnbTX0


紬「お茶が入ったわよ」

律「さあティータイムの始まりだ!」

梓「唯先輩」

唯「な~に~?あずにゃん」

梓「この前テレビでやってたんですけど、なんかギターをやってる人は鼻のところの血管が浮き出るそうですよ」

唯「えっ!?そうなの?」

梓「はい」

唯「あわわわわ、浮き出てるのかな」サワサワ

梓(よし!違和感なく鼻を触らせることに成功したぞ!そのまま鼻毛に気づいてほしい…)

19: 2010/01/27(水) 20:43:27.91 ID:KFSOnbTX0
律「唯、それ嘘だぞ」

唯「ええっ!?嘘だったの?」

梓(ああっ!律先輩はなんてことを!)

澪「そんなんで血管が浮き出ると思うと…」ガクブル

律「梓に騙されるなんて…唯もバカだな」

梓(バカじゃないです!天然と呼んでください!)

唯「むー!あずにゃんのせいでバカって言われたじゃん!」

梓「ちょ、ちょっとした冗談のつもりで言ったんですよ!」

唯「ふん!嘘つくあずにゃんなんて嫌いだもん!」

梓「そ、そんな…」

梓(くそっ!鼻毛を取るどころか嫌われてしまったじゃないか!最悪だ…)

20: 2010/01/27(水) 20:51:33.16 ID:KFSOnbTX0
律「まあまあ、梓も唯に構ってほしかったんだよな。そういう年頃だもんな」

梓(くっ!人の苦労も知らないで…)

唯「そうだよね!あずにゃん、もう嘘なんかついちゃだめだよ?」

梓「は、はい…」

梓(ああ、唯先輩の顔がわたしをみつめて…)

梓(鼻毛が飛び出てるというイレギュラーさえなければ…)

唯「ムギちゃん、ムギちゃん!このお菓子とっても美味しいね!」

紬「うん、ありがブホッ!!」

唯「ム、ムギちゃん!?」

律「どうしたムギ!?のどに詰まったのか!?」

紬「なんでもな…ゲホッ、ないの!」

梓(まあ、鼻毛が飛び出てる顔で言われちゃ、さすがのムギ先輩でも噴き出すよね…)

21: 2010/01/27(水) 20:57:59.44 ID:KFSOnbTX0
澪「あ、そういえばりつー」

律「ん?なんだ?」

澪「この前借りたあのマンガ…えーとなんて言ったっけ?」

律「ボーボボか?」

梓「ブフゥッ!?」

澪「うわっ!?どうした梓!?」

梓「なんでもな…ゴホッ、ないです」

澪「そ、そうか」

梓(ちくしょう!何でよりによってその漫画なんだ!?)

23: 2010/01/27(水) 21:03:51.21 ID:KFSOnbTX0
紬「?」

唯「ねえねえムギちゃん、ボーボボって何なのかな?」

紬「さあ…わたしもわからない…」

梓(答えはその鼻から出てますよ!)

澪「あのマンガってどこがおもしろいんだ?」

律「何って…理不尽なところとかだろ」

澪「でも鼻毛真拳とか意味がわからないぞ」

紬「ベフォッ!?」

梓「バフンッ!?」

澪「ム、ムギ!?梓!?わ、私なんか言ったか?」

梓「い、いえ!なんか最近、のどの調子が悪くて…エホン」

紬「そ、そうなの!私もなの!エフン」

澪「そ、そうか…」

25: 2010/01/27(水) 21:09:13.05 ID:KFSOnbTX0
梓(今のでムギ先輩に知ってるのがばれたな…)

梓(どうするべきか…ムギ先輩も仲間に入れてともに立ち向かうべきか…)

梓(いや!ダメだ!これは一歩間違えば唯先輩に嫌われてしまう、ハイリスクノーリターンな仕事…)

梓(ムギ先輩を巻き込むわけには…!)

唯「さっきからあずにゃんとムギちゃん、様子がおかしいよ?なにかあった?」

梓(ああ、人の苦労も知らずに…でもかわいいから許す!)

梓「いえ、大丈夫なんです!唯先輩は心配しないでください!」

紬「そ、そうよ!私は気にしてないから安心して?」

梓(っておい沢庵!何だよ気にしてないって!逆に気にするわ!)

唯「そう?わかった~!」

梓(ああ、馬鹿…いや天然でよかった!)

28: 2010/01/27(水) 21:20:09.02 ID:KFSOnbTX0
唯「でも、面白そうだね!鼻毛真拳って何?」

澪「なんか鼻毛を使って敵を倒すんだ」

唯「あははっ!鼻毛で敵を倒すの?なんかおもしろそう!」

梓「……!」プルプル

紬「……!」プルプル

梓(耐えろ!耐えるんだ梓!笑ったらいけないんだ!)

律「今度貸してやるよ」

唯「ほんと!?わ~い!」

梓(というか今のやり取りで気づかないものなのか?あんなにヒョコヒョコしてるのに)

32: 2010/01/27(水) 21:37:55.55 ID:KFSOnbTX0
律「あっ!そういえば知ってるか?鼻毛って『女に甘い』って意味があるらしいぞ」

梓(やばい!今日の話題が鼻毛に支配されそうだ!これはまずいぞ…)

唯「へえ、そうなんだ!じゃあわたしはあずにゃんに鼻毛だね!」

紬「!!!」プルプル

梓「! そ、そうで…フンッ!、そうですか」

唯「な、なんで途中で力んだの?」

梓「気合いを入れました」

唯「気合い!?」

梓(今のは危なかった!力まなかったらおしまいだった…)

梓(鼻毛をとるどころか笑いをこらえなくちゃいけないだなんて…神はなんてひどい…)

34: 2010/01/27(水) 21:46:25.72 ID:KFSOnbTX0
澪「それってトリビアの泉でやってたやつだな」

律「そうだぜ!なぜかボーボボじゃなくていちご100%を取り上げてたけどな」

唯「なにそれ?」

律「ああ、主人公の男がいっぱいいるヒロインに振り回される漫画だよ」

唯「そいつは鼻毛だね」

紬「~~~~!!!」プルプル

梓(やばい!ムギ先輩が限界だ!)

35: 2010/01/27(水) 21:57:06.75 ID:KFSOnbTX0
梓「そ、それよりも!今日はみなさんどんな感じでしたか!?」

唯「あ~!そういえば今日の国語の授業難しかったね!」

律「なんだっけ?寝てたや」

澪「お前ってやつは…」

紬「たしか夏目漱石の『こころ』って作品ね」

唯「そうそれ!長すぎて意味がわからないよ」

澪「『精神的に向上心のないやつはばかだ』ってやつか…律に言い聞かせたいな」

律「な、なにをー!私だって向上心はあるぞ!」

澪「へえ、どんな?」

律「えーと…いろいろだ!」

唯「りっちゃん男前!」

律「なははっ!そうだろ?って私は女だ!」

梓(よし!なんとか鼻毛による支配から脱却させた!あとは会話が広がれば…)

36: 2010/01/27(水) 22:05:39.67 ID:KFSOnbTX0
澪「そういえばみんな知ってるか?夏目漱石は自分の鼻毛を原稿用紙に植え込む癖があったんだって」

梓「!!」ビクウ

紬「!!」ビクウ

梓(鼻毛、襲来!)

唯「ええ~?不潔だねえ」

律「千円札の人がそんなことしてたなんて…澪、夢を壊さないでくれ」

澪「うっ…ごめん…」

梓(そんなことよりもっと謝るべきことがあるだろ!)

紬「~~~!!!」ジタバタ

梓(ムギ先輩が必氏に耐えている…もう猶予が無い!)

37: 2010/01/27(水) 22:13:47.62 ID:KFSOnbTX0
梓(こうなりゃもう抜いてやる!)

梓「あのゆいせんぱ…」

ガチャ

和「ちょっといいかしら?」

唯「あっ!和ちゃ~ん!」

梓(なっ!?ここで和先輩だと!?)

梓(いや、ここはチャンスでは…?)

梓(唯先輩と長い付き合いになる和先輩なら、さりげなく気付かせることが出来るはず…!)

澪「どうした和?また律が何かしたか?」

律「えっ?こ、今度は何をしましたでしょうか…?」

和「ううん、今日は違う用で来たの。唯にペンを返しにね」

40: 2010/01/27(水) 22:20:14.73 ID:KFSOnbTX0
澪「へえ。和でも忘れ物することあるんだ」

和「書いてる途中でインクが切れちゃって…たまたまいた唯に借りたの」

唯「えへへ~、たまには和ちゃんの役に立たないとね!」

和「ええ、助かったわ。…あれ?唯、あなた…」

唯「ん?なに?」

梓(気づいたか!さあ、鼻毛の呪縛を解いてくれ!)

和「…あははっははっはははっははっ!!」ゲラゲラ

唯「えっ!?なに!?」

和「唯、は、は、あひゃひゃっははっははは!!」ゲラゲラ

梓(なっ!?)

律「ど、どうしたんだ?壊れたのか?」

澪「こわい…」

和「あ~もう、おなか痛い!私帰る!あははは!」バタン

唯「えっ…私のペン…」

44: 2010/01/27(水) 22:27:34.73 ID:KFSOnbTX0
梓(なんということだ…顔を見て笑うだなんて…それが幼馴染のすることか…!)

梓(このままでは…『何か顔についてたのかな?』→『あっ!唯、鼻毛出てるぞ!』→『えっ…?そんな…』という最悪のシナリオに…)

梓(まずい!わたしがフォロー的なことしないと…)

唯「どうしたのかな?私の顔に何かついてたのかな?」

梓「あっ!そういえば和先輩って突然笑い出す病気にかかってるって言ってましたよ!」

唯「えっ!?そうなの?」

澪「そんなの聞いたことないぞ?」

梓(くっ!鼻毛には気づかないのになんでそこには食いつくんだよ!)

46: 2010/01/27(水) 22:33:49.34 ID:KFSOnbTX0
梓「いえ!昨日言ってましたよ!」

律「…梓」

梓(やっぱりダメか!)

律「そういうのはわたしたちにも言えよなー!」

唯「そうだよ!もう和ちゃんったら!私に言わないであずにゃんに言うなんて!」

梓(ほっ、この人たちが馬鹿…ゲフン、純粋でよかった)

唯「そうと決まれば、和ちゃんの助けになろうか!」

律「そうだな!いきなり笑いだすなんて…そうとうきついだろうしな」

澪「わたしも相談に乗るよ」

梓(和先輩、あらぬ誤解をつけてすみませんでした)

紬「さ、さあお茶の続きをしよう?」

47: 2010/01/27(水) 22:39:35.92 ID:KFSOnbTX0


唯「あずにゃん、はいあ~ん」

梓「あ、あ~ん」パクッ

唯「おいしい?」

梓「おいひいでふ」モグモグ

梓(ああ、もう鼻毛のことなんて忘れようかな…)

ガチャ

憂「すみません、失礼します」

唯「あっ!うい~!」

梓(なっ!?ここで憂だと!?)

51: 2010/01/27(水) 22:44:43.08 ID:KFSOnbTX0
梓(まずい…もし憂が気づいたら殺されるのでは!?)

梓(『何でお姉ちゃんの鼻毛が出てるのを無視したの?』とかで…)

梓(いや…さすがにそれはないだろ…動揺しすぎだろ…)

梓(もうこれ以上は混乱したくないからどうか気づかないでくれ…!)

唯「どうしたの?」

憂「うん!今日のご飯はハンバーグだよって伝えに来たの!」

唯「ほんと!?わ~い!」

律「わざわざここまで来なくても…」

憂「お姉ちゃんの喜ぶ顔が見たくなっちゃって…」

澪「さすがは憂ちゃんだな」

56: 2010/01/27(水) 22:50:23.57 ID:KFSOnbTX0
唯「もう!この子は~!」ギュー

憂「あうっ、お姉ちゃん苦しいよ…///」

梓(ああ、うらやましすぎる…今すぐにでも代わってほしい…)

憂「…! お、お姉ちゃん?」

唯「ん?なに?」

憂「あ、あ、あ、あ、あ…」ガクガク

唯「うい?どうしたの?」

鼻毛「ヒョイヒョイ」

憂「こんなの…こんなのお姉ちゃんじゃない!!」ダッバタン

唯「えっ?えっ?」

57: 2010/01/27(水) 22:56:01.01 ID:KFSOnbTX0
梓(…やってしまった)

梓(まさかあまりのショックで逃げ出すなんて…)

梓(これじゃ…『こんなのってどんなの?』→『あ!唯、鼻毛が出てるぞ!』→『えっ…?そんな…』という最悪なシナリオに…)

梓(やはり私がフォローしなければ…!)

唯「どうしたんだろう…こんなのってどんなの?」

梓「ああっ!最近憂がなんか幻覚が見えるようになったのって言ってましたよ!」

唯「ええっ!?そんな…憂が…」

律「例えばどんな?」

梓「唯先輩が化け物に見えるとか…」


62: 2010/01/27(水) 23:01:59.16 ID:KFSOnbTX0
唯「うそ…うい…」

律「…今まで苦労したんだろうな…唯が化け物に見えるようになっても、普段通りに付き合っていったんだ」

澪「そんな…憂ちゃん…」

梓(取り返しがつかないなこれは)

唯「…私、憂を病院に連れてくよ!」

律「ああ、大変だろうけどがんばれよ」

澪「私たちも相談に乗るからな」

唯「うん!」

梓(後で憂に謝ろう…)

紬「み、みんな!お茶の続きをしよ?」


63: 2010/01/27(水) 23:07:14.77 ID:KFSOnbTX0


唯「……」

律「……」

澪「……」

梓(やばい!さっきのは冗談にならなかったか!?)

ガチャ

さわ子「やっほ~!みんなやってる~!?」

シーーン…

さわ子「あ、あれ?何この空気?」

66: 2010/01/27(水) 23:12:45.28 ID:KFSOnbTX0
梓(ついに来たか…核弾頭が)

梓(こうなればその無神経さで鼻毛を抜いてくれ…)

梓(…はっ!ダメだダメだ!そんなことになったら唯先輩が…)

梓(よし!わたしは唯先輩を守って見せる!)

さわ子「ね、ねえ、みんなどうしちゃったの?」

唯「あのね、ういがね、幻覚が見えるようになったって…」

律「唯の顔が化け物に見えるそうなんだ…」

澪「何とかしたいんですけど…どうしたら…」

さわ子「なにそれ?ヤクでもやってるの?」

69: 2010/01/27(水) 23:19:13.26 ID:KFSOnbTX0
紬「そ、そんなことないです!」

梓「そんなわけないでしょう…」

さわ子「じょ、冗談よ」

唯「さわちゃん、ういのこと嫌いにならないでね?いい子だから…いい子だから!」ウワアアン

さわ子「わ、わかったから泣かないでよ!」

梓(これ憂になんて言えば…)

さわ子「…あら?唯ちゃん、あなた…」

紬「!」

梓(こ、このタイミングでー!?やめろ…やめてくれ!)

73: 2010/01/27(水) 23:25:27.55 ID:KFSOnbTX0
さわ子「はな…」

梓「わーわーわー!」

さわ子「うわっ!梓ちゃんどうしたの?」

梓「すみません…なんか叫びたくなって」

紬「梓ちゃん…」

梓(まずい…!これじゃ変人だ…!)

さわ子「そう…で、唯ちゃん、鼻…」

梓「ひゃほーーい!!」

唯「ふえっ!?あずにゃん!?」

律「梓!大丈夫か!?」

梓「すみません…」

澪「梓…」

梓(くそっ!このままじゃ私は黄色い救急車に乗ってしまう!)

75: 2010/01/27(水) 23:31:37.19 ID:KFSOnbTX0
さわ子「大丈夫?…ところで唯ちゃん、はな…」

梓「うわーーーーーーーーーっ!!」ビタン

唯「いやあ!?あずにゃんが壊れた!?」

律「梓!?しっかりしろ!」

澪「いやああああああ!?」

紬「梓ちゃん!しっかり!」

梓「ひょえーーー!ひえーーーー!」バタンバタン

律「もう手遅れだ…遅すぎたんだ」

紬「梓ちゃん…」

澪「ミエナイキコエナイ…」ガクガク

さわ子「かわいそうに…」

唯「ああ…ああ、あずにゃん…」

梓(もうだれか頃してくれ…)

78: 2010/01/27(水) 23:38:01.19 ID:KFSOnbTX0


紬「落ち着いた?梓ちゃん」

梓「はい…ご迷惑をおかけして…」

唯「ううん、あずにゃんが戻ってよかったよ」

律「ほら、澪も戻ってこーい」

澪「ミエナイキコエナイ…」ガクガク

唯「あれ?さわちゃん先生は?」

律「なんか急に仕事はいったんだってさ」

唯「そうなんだ」

梓(ふう、何か大事なものを失った気がするけど、無事に唯先輩の鼻毛を守りきったぞ!)

81: 2010/01/27(水) 23:44:32.11 ID:KFSOnbTX0
梓(…そろそろあの忌まわしい鼻毛を引っこ抜かなければ…!)

梓(だが、どうやって…?)

紬「ね、ねえ唯ちゃん、トイレに行かない?」

梓(なっ!?ついにムギ先輩が実力行使に出たか…!?)

梓(トイレの鏡で鼻毛が出ているのに気付かせる…)

梓(少々暴力的だが、これしか方法が…)

唯「えっ?連れション?」

澪「こら唯!そんな汚い言葉は使うなよ」

唯「えへへ~ごめんごめん」

84: 2010/01/27(水) 23:50:11.15 ID:KFSOnbTX0
律「ムギ!私行きたくなったから、私と行こうぜ!」

紬「えっ!?」

律「えっ!?ってなんだよ…」

梓(このデコ野郎が…邪魔ばっかりしやがって…)

律「ほら!行こうぜ!」グイッ

紬「あっちょっと、りっちゃん!」

バタン

梓(最後の希望もついえたか…)

85: 2010/01/27(水) 23:55:42.60 ID:KFSOnbTX0
澪「あーそういえば、わたしもトイレに行きたくなってきた」

唯「んもう、澪ちゃん、りっちゃんがとられちゃうからって」

澪「ち、ちがう!そんなんじゃない!」

梓(はっ!これはチャンス!二人っきりになったときに何とか抜けば…)

梓「澪先輩、はやくいってきたらどうですか?」

澪「う、うん」

バタン

梓(ふふふ、二人っきり、か…)

梓(よし!…これより、唯先輩に緊急手術を行う!!)

87: 2010/01/27(水) 23:59:15.45 ID:KFSOnbTX0
唯「なんだか、静かになっちゃったね~」

梓「そうですね…」

梓(まずは唯先輩に近寄る…!)ジリ

唯「ねえねえあずにゃん、これおいしいよ?」

梓「ほんとですか?いただきます」パクッ

唯「おいしい?」

梓「おいひいでふ」モグモグ

梓(そして!唯先輩にあ~んさせてそれと同時に抜く…完璧だ!)

88: 2010/01/28(木) 00:05:23.12 ID:sWuMk0yN0
梓「…唯先輩」

唯「なーにー?」

梓「あ、あ~んです」

唯「おおっ!あずにゃんから…じゃ、あ~ん…」

梓(よし!このまま…抜く!)

ヒュン

梓(! 鼻毛が…消えた…?)

梓(そ、そんな!いったいどこへ…)

ヒョイ

梓(!! 反対の穴から出てきた…だと!?)

94: 2010/01/28(木) 00:10:12.95 ID:sWuMk0yN0
唯「あ~ん…」

梓(あ、あ、あ…そんな…どうすれば…)

ヒュン

梓(!!! また消えた!?)

梓(い、いったい何が起こって…)

ヒョイ

梓(!!!! またさっきのところから!?)

唯「あ~ん…」

梓(はやく…抜かなければ…でも…!)

ヒョイ

梓(!!!!! りょ、両方だと!!?)

98: 2010/01/28(木) 00:15:33.83 ID:sWuMk0yN0
唯「…もう、あずにゃん?どうしたの?」

梓「あ、ああ、ああああ…」ワナワナ

唯「? あずにゃん?」

梓「う、う、うわあああああああああ!!」ブチブチ

唯「いてええええ!?」


99: 2010/01/28(木) 00:21:26.68 ID:sWuMk0yN0


律「つまり唯の鼻毛が出てたのか」

澪「全く気付かなかったな」

唯「もう、別にわたしは気にしないから、言ってくれてもいいのに」

梓「すみません…」

唯「でも、ありがとうね!私のためにあずにゃんががんばったなんてうれしいよ!」

梓「ほ、ほんとうですか!?」

唯「うん!あずにゃん大好き!」ダキッ

梓「はう~///」

梓(ああ、今までの苦労が消えたよ…)

102: 2010/01/28(木) 00:28:26.99 ID:sWuMk0yN0
律「まあ、終わりよければすべてよし、だな!」

澪「ああ」

紬「…あの、ちょっといい?」

梓「はい、なんですか?」

紬「その、言いにくいんだけど…」

唯「どうしたの?ムギちゃん」

紬「梓ちゃんも、その…鼻毛…出てるよ」

梓「えっ!?…あ」




おわり

104: 2010/01/28(木) 00:33:24.39 ID:wQiIrnsM0

引用元: 唯「はなげ!」