1: 2009/08/09(日) 22:21:29.35 ID:RwyrfZRA0
___

―ジリリリリリッ!

唯「う~ん…うるさい……」ピッ
唯「…あと五分だけ…」

憂「お姉ちゃんもう朝だよ!」

唯「あと五分だけ寝かせてよ……」

憂「駄目だよ早く起きて準備しなきゃ!お仕事遅刻しちゃうよ?」

唯「わかったよぉ。今起きるから…」

憂「もう。早く起きて下に降りてきてね?御飯できてるんだから」

ばたん

唯「………はぁ」
唯「仕事行きたくないなぁ」

2: 2009/08/09(日) 22:22:55.77 ID:RwyrfZRA0
上司「平沢さん!あなた何回同じこと繰り返すの!?
  この前もそれで失敗したばかりじゃない!」

唯「すみません…」

上司「謝るくらいなら同じ失敗を繰り返さないように気をつけなさい!
  大体あなたはいつもいつも……」

唯「…………」

はぁ、また始まったよ。この人の説教長いんだよねぇ。
いつも同じようなことネチネチネチネチと……他に話すことないのかな…?
大体さ、私に説教垂れる前に他にもやることがいっぱいあるんじゃないの?
早く結婚するとかさぁ。40後半にもなって独身はねぇよwこのババァ。大体さぁ…

上司「―ちょっと平沢さん!聞いてるの!?」

唯「え?は、はい!ちゃんと聞いてます…」

上司「ふぅ…もういいわ。仕事に戻りなさい」

唯「はい…失礼します」ペコリ

3: 2009/08/09(日) 22:27:53.41 ID:RwyrfZRA0
就業時間まであと3時間か…。
長いなぁ…。早く家に帰ってギター弾きたいなぁ…。

唯「はぁ……」

客「ちょいと店員さん」

唯「はい?どうされましたか?」

客「このチラシに載っている鯖の缶詰はどこにあるんじゃ?」

唯「それでしたらあちらの方に…」

客「あっち?あっちってどっち?」

唯「ですからあちらの方に…」

客「お前客をなめてるのかっ!場所を聞かれたら案内するのが普通じゃろう!」

唯「も、申し訳ございません!今すぐご案内いたしますので…」

客「お前じゃ話にならんっ!今すぐ上の人間を呼べ!」

4: 2009/08/09(日) 22:34:12.18 ID:RwyrfZRA0
上司「ちょっと平沢さん!あのお客様カンカンだったわよ!?」

唯「す、すみません!」

上司「今度はあなたいったい何をしたのよ…?」

唯「実は………」


上司「………はぁ、呆れた…」

唯「すみません…」

上司「あなた最低ね。それくらいのことも満足に出来ないなんて」

唯「すみません…」

上司「まったく…謝るしか能がないんだったら仕事辞めたら?」
上司「その方がこちらとしても助かるんだけどねぇ」クスクス

唯「!……すみません…」

6: 2009/08/09(日) 22:37:39.56 ID:RwyrfZRA0
謝るしか能がないだって…?ふざけないでよ…。
お前だって怒ることしか能がないくせに…。
人を見下して…。馬鹿にすることしかできない。
本当に最低なのはどっちだ…?

上司「ほら!もういいから早く仕事に戻りなさい」

唯「はい…失礼します」ペコ

上司「あ、そうそう…。仕事を辞めるのかどうか、少し真剣に考えてみてね?」クスクス

唯「…はい。失礼します」ペコ

7: 2009/08/09(日) 22:39:07.40 ID:RwyrfZRA0
唯「ただいま…」ガチャ

憂「お帰りお姉ちゃん。今日もお疲れ様」

唯「………」

憂「お姉ちゃん?」

唯「うぃ~…。私今の仕事辞める…」

憂「お姉ちゃん、そのセリフ何回目?」

唯「だってぇ…。客はわがままなのばかりだし、それに上司は嫌いだし…」

憂「そのセリフも何度も聞いたよ」

唯「とにかく私は辞めたいのぉ~!」

憂「そんなに辞めたいなら早く次の就職先探しなよ…。話はそれから…」

唯「いやだ~!今すぐ辞める~!」

憂「………」

9: 2009/08/09(日) 22:41:59.04 ID:RwyrfZRA0
憂「なら好きにしなよ。でもお金はどうするの?生活費は?その他諸々の支払いは?」
憂「生活費はまだ何とかなるかもしれないけど…。他のことに関しては流石に面倒見切れないよ」

唯「……憂のケチ」

憂「ケチなんかじゃないよ!大体社会人にもなってお父さんやお母さんや私に頼ってばかり…。
  いつまでも子供じゃないんだからもっとしっかりしなきゃだめだよ!」

唯「…憂は学生だからいいよ…。働く者の苦しみなんてわからないんだ…」

憂「ちょっと!その言い方だと私が何も苦労してないみたいじゃない!」

唯「ごめん…今日はもう寝る…」

憂「あ、お姉ちゃん!」

10: 2009/08/09(日) 22:45:06.10 ID:RwyrfZRA0
仕事どうしよう…。確かに憂の言う通りいつまでも周りに甘えるわけにはいかない。
でも仕事は辞めたい…。でも辞めたら家族にまた迷惑かけちゃうし………。
そもそもなんで私は今の職場に就職したんだっけ?あれは確か………

唯『ねえ憂!ここなんてどう思う?』

憂『どれどれ…。スーパー琴吹?』

唯『そう!ここなら家からも近いし仕事の内容も楽しそうなんだよ!』

憂『なになに…。主に接客、品出し等がメインです。あなたの笑顔でお店を明るくしてみませんか?か…。
  うん。ここならお姉ちゃんにも向いてると思うよ。頑張ってみたら?』にこ

唯『うん!私頑張るよ~♪』


12: 2009/08/09(日) 22:49:51.05 ID:RwyrfZRA0






―プルルルルルルッ ガチャッ

憂『はいもしもし平沢です。え?は、はい!少々お待ちください!』

憂『お姉ちゃん電話!スーパー琴吹から!』

唯『えっ!?わかった!!』

唯『…も、もしもしお電話かわりました!』

唯『はい…。はい…。え!?ほ、本当ですか!?はいっ!!ありがとうございます!!
  …はいっ!わかりました!…こちらこそ、よろしくお願いしますっ!』

唯『……ふぅ』ガチャ

憂『お姉ちゃんもしかして・・・!』

唯『~~っ!やった~!やったよ憂!採用だって!!』

憂『おめでとうお姉ちゃん!!』

唯『これも憂のおかげだよ~!ありがとう憂~!そうだ!みんなにも連絡しなきゃ!』

13: 2009/08/09(日) 22:51:51.96 ID:RwyrfZRA0
律『え~、それでは唯の就職を祝して…』

唯憂律澪紬和梓『かんぱ~いっ!!!』

律『いやいやしかし、無事に就職が決まってよかったな~』

和『ほんとね。このまま見つからないんじゃないかと思ってたけど…』

唯『もう!和ちゃんのいじわる!』

澪『ははは、そういえばなんてとこに就職したんだ?』

唯『スーパー琴吹ってところだよ~』

紬『あらあら♪そこは私のお父様の系列のお店よ♪』

唯『へぇ~そうなんだ!』

梓『今度先輩が働いてるところ見に行きますね!』

唯『うんうん!まってるよぉ~♪』
  

14: 2009/08/09(日) 22:57:26.19 ID:RwyrfZRA0
律『しかしそのスーパー唯みたいのを雇っちゃって大丈夫なんだろうか?』

唯『ちょっとりっちゃんどういう意味!?』

澪『まぁまぁ。でも唯がんばれよ?あんまり失敗ばかりしてるとそのうち誰にも相手にされなくなるぞ?』

和『まあ確かにそれは心配ね。唯は昔から同じ失敗ばかり繰り返すし…』

唯『ちょっと二人とも~!私なら大丈夫だよ!それよりみんなも大学頑張ってね』

律『なにを頑張るんだよ…』

15: 2009/08/09(日) 23:00:51.88 ID:RwyrfZRA0
確かに仕事は楽しかった。もともと人と接するのが好きな私は仕事にやりがいを感じていた。
でもそれも最初だけ…。和ちゃんの言う通りいつも同じ失敗を繰り返す私は、澪ちゃんのいった通り
そのうち誰にも相手にされなくなった。職場の人たちはきっと、何度いってもわからない私に愛想が尽きたのだろう。
それから徐々にやりがいを感じられなくなり、あんなに楽しかった接客も、今じゃただ面倒くさいだけ。

唯「…こんな筈じゃなかったのになぁ。とりあえず明日はちゃんと謝ってまだ辞めないでおこう」

この判断も何度目だろう。いつも辞める辞めるって騒いではそれを実行した試しがない。
要は新しく仕事を探すのが面倒くさいんだ。新しい環境を自分で作るのが。
私は昔からちっともかわってないなぁ。いつになったら大人になれるのかな?
いや、もう大人か。なんたって社会人なんだから。

唯「今日はもういいや…。寝ちゃおう…」

そう、寝ちゃおう。

17: 2009/08/09(日) 23:07:15.88 ID:RwyrfZRA0
___

―ジリリリリリッ!

唯「う~ん…うるさい……」ピッ
唯「…あと五分だけ…」

憂「お姉ちゃんもう朝だよ!」

唯「あと五分だけ寝かせてよ……」

憂「また?毎朝同じこと言わせないでよ」

唯「わかったよ~。…あのね憂?」

憂「なぁに?」

唯「…仕事まだ続けてみるよ」

憂「そういうと思ったよ。このやり取りも何回目だか…」

唯「えへへ…。面目ない」

19: 2009/08/09(日) 23:15:27.91 ID:RwyrfZRA0
唯「おはようございまーす。」

上司「あらおはよう」

唯「あ、あの…昨日のことなんですが…」

上司「答えは出たの?」

唯「はい…。き、昨日はすみませんでした!
 私はまだ続けようと思います!」

上司「…そう。ならがんばって」

唯「はい!ありがとうございます」

唯「………ふう」

これでしばらくは仕事が続けられる。
ちょっと嫌だけど、新しい仕事を探すよりはいいよね

21: 2009/08/09(日) 23:21:02.74 ID:RwyrfZRA0
唯「いらっしゃいませー」

?「お、いたいた!唯~!」

唯「あれ?りっちゃん!」

律「すげー久しぶりだな!かれこれ半年はあってないよなぁ」

唯「そうだね!…ごめんね?いつも誘ってくれるのに行けなくて」

律「いーよいーよ気にするな!唯は働いてて忙しいけど私たちは暇な大学生なんだからさ!」
律「それよりさ、私たちこれからみんなで遊ぶんだけど唯も仕事終わったら来ないか?」

唯「うん!行く!」

律「わかったよ。なら仕事終わったら連絡くれよな!まってるからさ」

唯「わかったよ~♪またあとでね♪」


えへへ…。久しぶりにりっちゃん達と遊ぶの楽しみだなぁ♪
早く仕事が終わればいいのに♪

上司「平沢さん?ちょっときてもらえるかしら」

唯「え?わかりました…」

23: 2009/08/09(日) 23:28:18.15 ID:RwyrfZRA0
上司「先ほどの方はあなたのお友達かしら?」

唯「はい。そうですけど何か…」

上司「お友達とあんな大きな声でおしゃべりして、一体どういうつもり?
  あなたはまだ仕事中なのよ?」

唯「はい…すいません」

上司「あなたねぇ…。社会人としてのモラルが欠けてるんじゃない?」

唯「はい…」

上司「だいたいいつもいつも……」

また始まった…。もう聞き飽きたよお前の話は…。
大体ちょっと友達としゃべっただけでなのに。いちいちうるさいなぁ…。
はぁ、早く家に帰って憂の美味しいご飯が食べたいなぁ。今日の晩御飯はなんだろ?


24: 2009/08/09(日) 23:31:29.70 ID:RwyrfZRA0
上司「……平沢さん!?」

唯「は、はい!?」

上司「ちゃんと話聞いてるの!?」

唯「は、はい!もちろんです!」

上司「まったく…。そういうわけだからもういいわ」

唯「どうもすみませんでした!失礼します…」

上司「はい。今までお疲れ様」

唯「………ん?」

今までお疲れ様………?

25: 2009/08/09(日) 23:37:10.47 ID:RwyrfZRA0
唯「あ、あの…」

上司「あら?まだ何か用かしら?」

唯「あの…今までお疲れ様って…どういう意味ですか…?」

上司「ふぅ…。あなたやっぱり人の話聞いてなかったのね。だからあなたはクビってこと」

唯「……へ?おっしゃっている意味がよく…」

上司「だからあなたはクビよ。クビ。意味わかる?もう来なくていいの」

……なにをいってるんだこの人は?
私がクビ?そんな…、家族には…、憂にはなんて説明すればいいの…?
お姉ちゃん明日から無職だよ~☆なんて言えるか?言えない。
どうしよどうしよ……。

28: 2009/08/09(日) 23:45:26.57 ID:RwyrfZRA0
書き駄目なくなった・・・
ここからの展開は俺にもわからない…

憂「お姉ちゃんお帰り。今日もお仕事お疲れ様~」

唯「はっ!?う、憂!?いつの間に!?」

憂「?お姉ちゃん何言ってるの?私が家にいたらおかしい?」

家…?本当だ…。なんてことだ…。言い訳を考えてるうちに家についてしまうとは…。
憂にはなんて説明しよう…?

憂「お姉ちゃん?また仕事で何かあったの?」

唯「な、なにもないよ~♪」ダラダラ

しまった!とっさに嘘をついてしまった…!どうしようどうしよう……!

憂「お姉ちゃん汗すごいよ?本当は何か隠してない?」

唯「か、隠してない隠してないっ!!憂に隠し事するわけないじゃん嫌だなぁ!あはは…」ダラダラ

憂「ふ~ん?」ジー

ああ、そんなじーっと見ないでよ!ぼろが出ちゃう!やめてー!これ以上私をみないでー!
もう限界!ここは避難する!

唯「お、お姉ちゃん疲れたから部屋に戻るね!じゃ!」

憂「あ!お姉ちゃん!」

30: 2009/08/09(日) 23:53:56.07 ID:RwyrfZRA0

…どうしよう。憂にはなんて言おう。クビになったことなんて恥ずかしくて言えないよ…。
なにかいい案はないだろうか?う~ん………。

…そうだ!ばれる前に新しい仕事を探せばいいんだ!ふふふ…。私って天才かも…!
そうときまれば明日から行動に移すぞ~!

唯「お~!」

がちゃ

憂「お姉ちゃんうるさい…」

しかし私はこの時大事なことを忘れていた…。
けっして忘れてはいけない大事な約束を…。

31: 2009/08/10(月) 00:01:29.99 ID:oQ9B9kPO0
律「唯の奴何やってんだよ。電話の電源切ってるみたいだし」

澪「まだ仕事中なんじゃないか?」

紬「かもしれないわね。どうせ暇だし見に行ってみましょうか」

梓「そうですね。そういえば私唯先輩の働いてるところまだ見たことないです」

律「よ~し!そうときまったら早速行ってみようぜ!」

32: 2009/08/10(月) 00:06:41.59 ID:oQ9B9kPO0
律「さて、ついたのはいいけど…」

梓「唯先輩どこにもいませんね」

紬「ちょっと聞いてみましょうか」

律「あ、すみません!」

店員「はい?なんでしょうか」

澪「ここに平沢唯って人が働いてると思うんですけど…」

店員「ああ、彼女なら辞めましたけど…」

律「えっ?」

梓「唯先輩が…」

紬「辞めた…?」

36: 2009/08/10(月) 00:30:50.61 ID:oQ9B9kPO0



ピンポンピンポ~ン!

誰だろうこんな遅くに?まぁ遅くっていってもまだ夜の10時だけど…。

「は~い!」

まぁお客さんのことは憂に任せて…。私は明日の為にもう寝よっと…。
明日は…まず職安にでも行ってみようかな…。そういえば私、何か忘れているような…?

「お~い!唯~!」
「いるんでしょ唯ちゃん!」

そうだ!遊ぶ約束忘れてた!でもそれなら携帯に…。!そうだ!いつもは仕事中に電源切りっぱなしだった!やっぱり電源入れ忘れてるし…。
みんな怒ってるのかな…?とりあえず下に行こう…


37: 2009/08/10(月) 00:32:18.04 ID:oQ9B9kPO0
唯「ごめんみんな…」

律「唯!お前…!」

うわ…!りっちゃんすごい怒ってる…!どうしよお…とりあえずもっと謝らなきゃ!

唯「や、約束忘れてたのは本当に悪かったよ!ごめんなさい!」

律「違う!私が怒ってるのはそんなことじゃねぇ!」

え?じゃあ何に怒ってるの?私他に何かしたっけ…?

澪「…さっきスーパー琴吹に行ってきたんだ」

梓「そこで話…聞いてしまいました」

………え?



53: 2009/08/10(月) 01:03:19.38 ID:oQ9B9kPO0
憂「話?話っていったい・・・」

律「なんだよ唯!憂ちゃんにも話してなかったのかよ!」

澪「律!少し落ち着け!」

梓「憂。話っていうのはね…」

あああああ!あずにゃん!お願いだからそれ以上のことは言わないで!お願い!

梓「実は唯先輩が…」チラッ

!あずにゃんと目があった!あずにゃんなら!あずにゃんなら私のアイコンタクトできっとわかってくれる!

唯(言わないで~!あずにゃ~ん!)パチッパチッ

梓「…今日仕事を辞めたんだって」

あずにゃああああああああああああああああん!!!!

56: 2009/08/10(月) 01:11:54.33 ID:oQ9B9kPO0
憂「えっ!?本当なのお姉ちゃん!?」

唯「………」

憂「お姉ちゃん!!!」

唯「…本当だよ。正確にはクビになったんだ」

憂「っ!そ、そんな…!なんで黙ってたの!?」

唯「そんなこと…憂に言えるわけないじゃん」

憂「……馬鹿…」ぽろぽろ

梓「憂…」

憂「お姉ちゃんの馬鹿っ!!」

唯「…ごめん」



59: 2009/08/10(月) 01:23:59.69 ID:oQ9B9kPO0
憂「もうしらない…。どっかいってよ…」ぽろぽろ

唯「でもね、憂…。私…憂に心配掛けたくなくて…」

憂「うるさいっ!!どっかいってよ!!」

唯「…わかったよ。ごめんね憂…」

律「お、おい唯!どこ行くんだよ!」

唯「…どっか」

律「はぁ!?ガキみたいなこと言ってんなよ!!おい唯!唯!!」

唯「ついてこないでよ!」

律「っ!」

澪「おい律!追いかけるぞ!」

律「で、でもあいつ…」

澪「いいから!」


64: 2009/08/10(月) 01:33:36.61 ID:oQ9B9kPO0
…結局憂にばれちゃった。あの時りっちゃんたちが何も言わなければこんなことにはならなかったのに…。
憂怒ってたなぁ。はは…、当たり前だよね。こんな大切なこと黙ってたんだから…。
…なんで憂に真っ先に話してあげなかったんだろ…?悪いことしちゃったな…。

唯「はぁ…。」

澪「唯!まてよ!」

律「唯~!とまれって!」

唯「りっちゃん…澪ちゃん…」

65: 2009/08/10(月) 01:40:34.58 ID:oQ9B9kPO0
澪「はぁはぁ…。唯、帰るぞ」

唯「……うん」

律「なんだ?やけに素直だな?帰らない!っとかいうと思ったのに」

澪「お前は余計なこと言うな!さぁ、帰ろう」

唯「…わかった」



73: 2009/08/10(月) 02:59:17.51 ID:oQ9B9kPO0
律「おーい。帰ったぞ~」

紬「おかえりなさい」

澪「憂ちゃんは?」

梓「何とか落ち着きましたけど…でも…」

澪「でも?」

憂「お姉ちゃんとなんか喋りたくありません…」

梓「ずっとあんな調子です」

唯「憂……」

74: 2009/08/10(月) 03:10:23.10 ID:oQ9B9kPO0
唯「憂…ごめんね?こんな大事なこと憂に話さないで…」

憂「………」

唯「憂……お願いだよ。私の話を聞いてよぉ…」

憂「……お姉ちゃんとは喋りたくない」

唯「そんなぁ…。許してよ憂…」

憂「…うるさい。話しかけないでよ」

唯「…!」

紬「唯ちゃん…。今日はもう…」

律「…そっとしておいた方がいいんじゃないか?」

澪「そうだな…。唯。今日はそっとしといてあげよう」

唯「…うん」

75: 2009/08/10(月) 03:14:25.95 ID:oQ9B9kPO0
結局あれから憂は口を聞いてくれることはなかった。
私はどうしたら憂が許してくれるのかとずっと考え続け、
その答えは私がまたちゃんと就職することだと思った。

唯「う~…。仕事がみつからないなぁ…。
 やっぱり就職活動は面倒くさいや…。疲れたぁ…」
唯「…ってダメダメ!1日でも早く憂と仲直りするためにも頑張らなくっちゃ!」



それから数日後

77: 2009/08/10(月) 03:20:55.11 ID:oQ9B9kPO0
―ピリリリリリリリッ 

電話?…この前面接に行った○○会社だ…。また不採用かな? 

ピッ

唯「はいもしもし平沢です。…はい。はい。…はい。えっ!?」
唯「本当に採用ですか!?…はい!…はい!ありがとうございます!」
唯「…わかりました!よろしくお願いします!失礼します!」

やった…。ついにやった…!
これで憂とも仲直りできる!!

唯「~~~!!やった~~!!!」

78: 2009/08/10(月) 03:25:24.65 ID:oQ9B9kPO0
早く憂に報告しなくちゃ!憂…。憂…!早く憂の喜ぶ顔が見たいよ!

唯「憂~!聞いて!私ねぇ、やっと就職先が決まったんだよ!!」

憂「………ふぅん」

あれ?なんで…?なんで喜んでくれないの…?

唯「憂……?」

憂「…また前みたいに1年もしないで辞めちゃうんじゃないの?」

唯「そ、そんなことないよ…。次は頑張るよ…」

憂「次はがんばる?なら前の仕事は頑張ってなかったの?」

唯「違うよ…。そういう意味じゃ…」

憂「そういう意味だよ。いつも辞めたいってばっかり…。
 やっぱりやる気がなかったんだよね?次の仕事もいつまでもつんだか…」

なんで…?なんでそんなこと言うの…?なんで喜んでくれないの…?
前みたいに私をほめてよ…。一緒に喜んでよ……!

唯「う…ういの…ぐすっ……憂のばかぁ!」

もう憂なんて知らない……。

79: 2009/08/10(月) 03:31:05.75 ID:oQ9B9kPO0
それから私は、自分から憂に話しかけることもなくなってしまった。
新しい仕事は意外にも私にあっていたらしく、周りからも期待されていた。
前の職場とはまるで逆だな…。

唯「まさか私にデスクワークが向いていたなんて…。自分でもびっくり…」


それから数カ月後…

82: 2009/08/10(月) 03:40:13.86 ID:oQ9B9kPO0
上司「平沢君…。ちょっといいかな…?」

唯「はい。どうしました?」

あれ…。なんだろこの感覚…?前にも同じようなことが…。
…!まさか…!またクビ!?そんなぁ…。こんなのってないよ…。

上司「…平沢君?聞いているのかね?」

唯「!はいっ!?」

上司「…まぁそういう話だから考えといてくれないか?」

唯「い、嫌です!」

上司「…え?」

唯「お願いですっ!!私をクビにしないでください!
 今クビになったら私…わたし……」グス

上司「クビ?だれもそんな話はしとらんが…」

唯「…え?」

83: 2009/08/10(月) 03:48:19.87 ID:oQ9B9kPO0
上司「君の仕事熱心ぶりには周りや私も驚いているんだよ」
上司「それに仕事に対する集中力も素晴らしい」

唯「えへへ…。ありがとうございます」

そういえば和ちゃんも唯の集中力はすごいってよく言ってたなぁ。
私はただ机に向かって淡々と仕事をしていただけなんだけど…。
まさかこんなにも周りに評価されているなんてね…。

上司「それでなんだが…。君を本社に送り出したいと思ってな」

唯「はぁ…。本社ですか…」

上司「そう。一度社長に君の話をしたら是非とも本社で使ってみたいとおっしゃってね」

唯「はぁ…。そうですか…」

上司「それでだ…。君も本社で働いてみる気はないか?」

唯「…ちなみに本社ってどこにあるんですか?」

上司「東京だ」

唯「そうですか……ん?」

…………東京?

84: 2009/08/10(月) 03:55:46.11 ID:oQ9B9kPO0
…ってことは私上京して一人暮らし?
…上京したらみんなにも全然会えなくなっちゃうんだよね?
なんかそれは嫌だなぁ…。でもこんなチャンス逃したら2度となさそうだし…。

唯「あ…あの!少し考えさせてください!」
唯「その…。家族とも少し相談したいので」

上司「…わかった。返事はなるべく早くな」

唯「はい…。失礼します…。」

85: 2009/08/10(月) 04:01:15.48 ID:oQ9B9kPO0
私はまず家で両親に相談した。二人ともやりたいようにやりなさいって言うけど…。
それが決められないから相談してるんだけどな…。
次に私はりっちゃん達にも相談した。みんなは、寂しいけど唯がその気なら応援するって言ってくれた。
えへへ、寂しいだって…。ちょっと嬉しい。
そして最後に相談する相手、それは…。


唯「憂…?ちょっといいかな?話があるんだけど…」

88: 2009/08/10(月) 04:07:39.68 ID:oQ9B9kPO0
ありがとうです。そろそろおわるかも

憂「…何?」

唯「憂…私ね?もしかしたら東京に行っちゃうかもしれないんだ…」

憂「!………」

唯「今働いてる会社の社長さんが、私のこと気に行ってくれたみたいでね?
 本社まできて働いてみないかって…」

憂「…それでお姉ちゃんはどうするの?」

唯「…うん。まだわかんないや。みんなと離れるのも寂しいしね」

憂「………」

唯「…それにやっぱり憂と離れるのが一番寂しいから。…やっぱり断ろうかな?」

憂「…呆れた。まだそんなこと言ってるんだ」

唯「…え?」

憂「早く東京にでもなんでもいっちゃいなよ。私はその方がせいぜいするんだけど?」

唯「…なにいってるの…?ねぇ…憂?」

90: 2009/08/10(月) 04:19:48.99 ID:oQ9B9kPO0
…まさか、憂がそんなこと言うはずがない…。きっと聞き間違いだよね?

唯「ねぇ憂…?今何ていったの?」

憂「……」

唯「こたえてよぉ!」ぽろぽろ

憂「…だから東京にでもどこにでも行けばいいんだよ!」

唯「っ!!」

今度は聞き間違いなんかじゃない…。だって、憂はこんなにも大きな声で言ったじゃないか。
そうか…。私はあの日からずっと憂に嫌われてたんだ…。そんなの今までの態度を見ていればわかる筈なのに。
私は心のどこかでそんな筈がないって、ちょっとだけ期待してたんだ。

唯「…わかったよ。そうする」

憂「…そうしてよ。もう顔も見たくない」

唯「うん…。…憂。本当にごめんね」ぽろぽろ

私はもうこれ以上ここにはいれない…。憂にもっと嫌われてしまうから。

92: 2009/08/10(月) 04:30:45.71 ID:oQ9B9kPO0
上司「本当にいいんだね?」

唯「はい。どこまで役に立てるかわからないですけど…よろしくお願いします」

上司「わかった。よく決断してくれたな」
上司「では詳しい話は後日にでも…」

それから後の話はよく覚えてないや…。

私はずっと憂のことを考えていたから。

96: 2009/08/10(月) 04:43:51.65 ID:oQ9B9kPO0

数日後

律「唯~!あっちにいっても頑張れよ!」

澪「応援してるぞ」

紬「がんばってね♪」

唯「えへへ、みんなありがとう!私頑張るね」

梓「……唯先輩。ちょっといいですか?」

唯「なーに?あずにゃん」

梓「憂のことなんですけど…」

99: 2009/08/10(月) 04:49:19.03 ID:oQ9B9kPO0
憂?憂がなんだろう?

唯「…憂がなに?」

梓「まだ時間ありますよね?今から憂に会いに行ってくれませんか?」

唯「…でも、憂は私のことが…」

梓「…本当にそう思うんですか?だとしたら私は怒りますよ」

唯「………」

梓「はぁ…。いいですか?憂は――」

101: 2009/08/10(月) 04:55:53.20 ID:oQ9B9kPO0



憂「…お姉ちゃんそろそろ飛行機に乗る時間だよね」

憂「…見送りに行かなくてごめんね、お姉ちゃん」

憂「…………」

憂「…………」

憂「……はぁ」

ばたん!

唯「憂~!!」

憂「えっ!?」

104: 2009/08/10(月) 05:08:41.16 ID:oQ9B9kPO0
唯「憂~!!ごめん!ごめんねぇ!!」ぎゅぅ

憂「お、お姉ちゃん!?なんでここに…!それに時間は大丈夫なの!?」

唯「そんなのいいよ!それにあずにゃんから聞いたんだ…ごめんね憂…」

憂「な、なんのこと!?それよりはなれてよ!!」

唯「嫌だ…嫌だ…」グス

憂「はやく…、離れてよ…!」

唯「いやだ……」ぽろぽろ

憂「お願い…だから……私から…離れてよ…」

108: 2009/08/10(月) 05:36:41.04 ID:oQ9B9kPO0
眠い…

梓『いいですか?憂は仕事を辞めたのを隠していたことに対しては怒っていないんですよ』
梓『むしろ今は自分に怒っているんです』

唯『?どういうこと…?』

梓『憂はあの後言っていました。お姉ちゃんがクビになったのは私のせいじゃないかって』

唯『なんで…?憂は関係ないのに…。私のせいなのに…。』

梓『…私がお姉ちゃんを甘やかしすぎたから、もしクビになっても何とかなるって…。お姉ちゃんはそう思っちゃうのかなぁ』

唯『…!憂はそんなことを……?な、なんで…?』

梓『…唯先輩は隠し通そうとしてたじゃないですか。どうせ、憂にばれないようにこっそり仕事を探そう!とか思ってたんですよね?』

唯『うっ!図星…』

梓『はぁ…。唯先輩は憂に心配かけないようにと思ってやったんでしょうけど…。憂にはそれが憂に対する甘えに思えたんですよ』

110: 2009/08/10(月) 05:58:31.17 ID:oQ9B9kPO0
梓『だから憂は自分に甘えないようにとずっと冷たくしていたんです』

唯「憂…絶対はなれないから…」

梓『本当は唯先輩のことが大好きなのに。話したいことだっていっぱいあるのに』

憂「………はな…して…」

梓『憂はずっと自分を押し頃してきたんです。唯先輩の為を思って』

唯「………」ぎゅぅ

梓『だから唯先輩、今すぐ憂のところにいってあげてください』

憂「……お姉ちゃん…」

梓『そして、いつもみたいに抱きしめてあげてください』

唯「…………」ぎゅっ

梓『それが、憂の今の望みだと思います』

憂「………おねぇちゃああん…!寂しいよおお…!」ぽろぽろ

111: 2009/08/10(月) 06:11:25.88 ID:oQ9B9kPO0
数日後


律「結局唯は東京に行かなかったな」

澪「だな。でも私は正直うれしいよ」

律「私も!実は唯がいなくなるのさ、ほんとは寂しかったんだ」

澪「確かにな…。でもよかったな。あの二人」

律「唯と憂ちゃんか?まぁな。でも憂ちゃんも行ってほしくなかったらそういえばいいのにな」

澪「ばーか。私達ですら言えないのに。憂ちゃんにはもっといい辛いだろ」

律「ははは、まあな。でも唯は幸せもんだぜ。あんな姉思いの妹持ってさ」

澪「何言ってんだ。お前の家にだって姉思いの弟がいるだろ?」

律「はぁ?どこが姉思いなんだよ?お前だって知ってるだろあいつのこと…」

澪「知ってるよ。まぁ私の知る限りでは姉思いのいい弟に変わりはないけどね」

律「はいはい…。でもまぁ世界中のどんな姉妹や兄弟も、あの平沢姉妹には敵わねぇよ」

113: 2009/08/10(月) 06:19:11.91 ID:oQ9B9kPO0
___

―ジリリリリリッ!

唯「う~ん…うるさい……」ピッ
唯「……ふぁぁぁぁ…」

がちゃ

憂「お姉ちゃん朝だよ!」

唯「もう朝か…」ボリボリ

憂「ほらお姉ちゃん!早く布団からでて!」

唯「う~ん…。えへへ~、うい~」

憂「…?」

唯「…おはよう♪」

憂「…おはようお姉ちゃん♪」


                            おしまい

114: 2009/08/10(月) 06:20:21.20 ID:v5Iu0ltw0
乙!
面白かったよ!

115: 2009/08/10(月) 06:21:44.88 ID:oQ9B9kPO0
以上でした
こんな時間まで付き合ってくれた人本当にありがとうございます
スレタイの通りもう朝ですね。
自分はこれから寝ないで仕事に行きます
ではごきげんようノシ

引用元: 唯「もう朝か…」