1: 2010/01/09(土) 21:52:28.31 ID:+Kxq33lf0
澪「うーん、いい歌詞が思い浮かばないなあ」

澪「歌詞見られるサイトでも参考にしようかなあ」カチカチ

澪「どれもこれも似たような歌詞だな……」カチカチ

澪「ん?」

澪「妖精帝國?」カチ

3: 2010/01/09(土) 22:02:56.65 ID:+Kxq33lf0
翌日、音楽室。

ガチャ
澪「よう」

律「おう、歌詞書いてきたか」

澪「うん、今回のは自信作だぞぉ」

唯「ほほう、それは楽しみ」

紬「見せてもらうわね~」

律「えっと、タイトルは……『薔薇色に染まる背徳』」

紬「……」

唯「今までにない感じのタイトルだね」

4: 2010/01/09(土) 22:10:19.76 ID:+Kxq33lf0
律「……」

紬「……」

唯「……」

澪「どうだ? いい感じだろ?」

律「これ、なんか見て書いたのか」

澪「なんか見てってわけじゃないけどさあ、
  昨日ネットで歌詞のサイト見てたんだよね。
  そしたらたまたま妖精帝國っての見つけてさ、これだ! って思ったね。
  他にもサウンドホライズン、アリプロジェクト……私の求めるものがそこにあったよ」

律「はあ」

唯「この歌詞、難しい漢字ばっかりでよく分かんないよ」

澪「そんなもの慣れちゃえば大丈夫だって。
  そうだ、唯に妖精帝國のアルバム貸してやるよ。
  昨日買ってきたんだ」

唯「う、うん、ありがとう……」

紬「……」

5: 2010/01/09(土) 22:20:06.75 ID:+Kxq33lf0
翌日。

ガチャ
唯「……」

律「よーっす、唯」

紬「今日のお菓子はモンブランよー」

唯「……フン、気安く話しかけるな」

律「え?」

唯「高貴なる我の声を聴かせてもらえるだけ有り難いと思え。
  下賤の民よ、わが足元に跪くがいい」

律「……こいつもか」

紬「みんな影響されやすいわね……」

8: 2010/01/09(土) 22:26:35.67 ID:+Kxq33lf0
ガチャ
澪「よーう」

唯「ああ、澪殿……この音楽、なかなか良きものであったぞ」

澪「おう、聴いたのか。で、どうだった?」

唯「フッ、下界にもこのような音楽があったとはまこと興味深い……
  この世界は騒音ばかりでウンザリしていたが、
  久々に心が洗われた。感謝するぞ、澪殿」

澪「気に入ってもらえたようで何よりだよ」

律「異変はスルーかよ」

澪「そうだ、今日は5つほど歌詞書いてきたんだ。
  インスピレーションが湧き上がってさあ」

紬「そ、そう……」

9: 2010/01/09(土) 22:32:59.51 ID:+Kxq33lf0
律(また気持ち悪いタイトルばっかだ……)

紬(こんなの演奏したくないわ)

紬「あのぉー、澪ちゃん?」

澪「ん?」

紬「えっとその、言いにくいんだけど、
  こういうのは私達のバンドに向いてないと思うの……
  今までに書いてきた歌詞ともぜんぜん違う感じだし」

澪「それもそうだな……
  じゃあ今までに書いた奴、ぜんぶ書きなおすよ!」

紬「……そう」

律「どうしてこうなる」

11: 2010/01/09(土) 22:39:03.97 ID:+Kxq33lf0
紬「と、とりあえず……お茶にしましょうか。
  はい、モンブランよ」

律「おおー、いただきまーす」

澪「美味しそうだなー」

唯「フッ、人間どもの食す菓子か……どれ」パクッ

紬「お味はどう?」

唯「美味だ」

紬「そ、そう……」

唯「この紅茶、血のような色をしているな」

澪「血の色……か。血……鮮血……紅……
  ううん、またインスピレーションが」

律「……」

12: 2010/01/09(土) 22:44:20.82 ID:+Kxq33lf0
律「なあムギ……」ごにょごにょ

紬「なあに……?」ごにょごにょ

律「こいつら、もとに戻せないかなあ……」

紬「戻すって、どうやればいいのかしら」

律「それはわかんないけど……」

紬「とりあえず、2人は歌詞に影響を受けてこうなったのよね」

律「ああ、妖精帝國とかいうやつだったかな」

紬「今日家に帰ったら調べてみるわね。
  まずは原因を知ることが大事よ」

律「ああ、頼む」

16: 2010/01/09(土) 22:50:38.53 ID:+Kxq33lf0
翌日。

ガチャ
紬「……」

律「よう、ムギ。昨日調べてきてくれた?」

紬「……」

律「ムギ?」

紬「人は……なぜ生きなければならないのだろう」

律「ム……ギ……?」

紬「やがて命は尽き肉体は土に還るというのに……
  私達がこうして生の営みを続ける意味はどこにあるというのだろうか!」

律「ムギ――――!!」

18: 2010/01/09(土) 22:57:45.87 ID:+Kxq33lf0
ガチャ
澪「よう」

唯「フッ、また今日もここに足を運んでしまった……
  虚無……ここにはそれしかないというのに」

澪「そうだ、律。和から学園祭のライブやるための書類もらってきたぞ」

律「お、おう、そうか……」

澪「私が書いていいよな。
  バンド名とか、紹介文とか」

律「い、いや駄目だ! 私が書く! 私が部長だから!」

唯「愚かな……澪殿に任せればよかろう?
  澪殿のつむぐ言の葉は人の心を掌握する……
  その力、貴公とて分かっていないわけではあるまい?」

澪「多数決で決まりだな~」

律「多数決って、まだ2対1じゃねえか……おい、ムギはどうなんだ」

紬「この大宇宙の歴史の中で、我ら人は塵でしかない」

律「駄目だ話通じねえ」

20: 2010/01/09(土) 23:05:31.24 ID:+Kxq33lf0
澪「うーん、じゃあそうだな……バンド名はー……えーっと」

唯「名前、か……無意味なようだが重要な意味を持っている……
  そのものを形作り、運命さえも決めてしまう……
  ゆえに安易に名づけてはならぬぞ、澪殿」

澪「うん、分かってるよ。そうだなー……
  天使……地獄……堕天……さかさ十字……」

律「なんか物騒な単語が聞こえてくるんですが」

澪「そうだ、『煉獄に迷う天使』……なんてどうだ?」

唯「フッ、素晴らしいな」

律「絶対に嫌だぁぁぁ!!」

澪「えーっと、じゃあ次は紹介文~っと」

21: 2010/01/09(土) 23:12:33.19 ID:+Kxq33lf0
20分後。

澪「ふう、書けた」

唯「やはり澪殿の文才は素晴らしい……
  もはや文才ではなく、一種の魔法やも知れぬな」

澪「じゃあ、和に渡してくるよ」

唯「ああ」

紬「吹けば消える炎のような命を燃やし尽くすと……それが生きるということ」

律「はあ……ったく……」

律(ああもう、一体何なんだよこいつら……
  このままじゃバンドが崩壊しちまう……
  ていうかこいつら影響されやすすぎだろ、
  澪や唯はわかるけど、ムギまでだもんなあ……
  ん? 影響されやすい……
  そうだ!)

22: 2010/01/09(土) 23:18:19.94 ID:+Kxq33lf0
ガチャ
澪「ただいまー」

律「澪、来たな。よし、じゃあみんな、聞いてくれ」

澪「なんだよ、改まって」

律「実は私……心に悪魔が宿ってるんだ」

唯「……」

澪「……」

紬「……」

唯「そ、それは本当か! 律殿!」

澪「あ、悪魔だって? 本当に存在したのか……」

紬「悪魔……そう、人の悪意が形をなし災厄をもたらすもの……」

律(よーし食いついてきたあー)

23: 2010/01/09(土) 23:25:39.81 ID:+Kxq33lf0
律「その悪魔が言うんだ……私たちはこのままじゃいけないって」

澪「どういうことだ?」

律「お前ら、気づいてないんだな……自分が変わってしまったことに……
  知らず知らずのうちに、魂が冒されてるってことに……」

唯「魂を……? そんな、馬鹿な……」

律「私だってそう思ったさ!
  でも、これは事実なんだ……」

澪「ど、どうすればいいんだ?」

律「私の中の悪魔の能力(ちから)を使って、お前たちを元に戻してやるよ。
  スベラガ……ブンチキ……ナントカカントカ……ハアッ!!!」

澪「はっ……」

紬「あれ? 私達、何をしてたのかしら」

唯「ねえムギちゃーん、お菓子まだあー?」

律「うわ。ホントに戻っちゃったよ」

25: 2010/01/09(土) 23:34:19.63 ID:+Kxq33lf0
月日は流れ、学園祭当日。

和『次は、軽音楽部による演奏です』

澪「ついにこのときがやってきたな」

唯「はじめてのライブだね」

紬「みんな、がんばりましょうね」

律「うーん、なんか忘れてるような……あ」

和『軽音楽部のバンド名は、煉獄に迷う天使。
  天使の生まれ変わりであるメンバー4人が、
  愚民賤民の罪を音楽で浄化するため、
  この現世……天使から見れば煉獄の世界に迷い込んだ。
  救いを待つ愚かなる民よ、我らの奏でる音に魂を共鳴させよ。
  罪を背負いし哀れなる民よ、我らの響かせる歌に希望を見出すがいい。
  その血肉を贄として、汚れし魂を清らかなる世に捧げよ。
  さすれば天国へと誘われるだろう』

和が紹介文を読み終わらないうちに、
4人は恥ずかしさのあまり体育館を飛び出した。


         お        わ                 り



26: 2010/01/09(土) 23:43:41.91 ID:OYcEDi0j0
これは酷いwwwwww

引用元: 唯「下賤の民よ、我が足もとに跪くがよい」