3: 2013/02/23(土) 06:27:49.18 ID:Tj4ck2Hb0
[ ??? ]
『高木…お前はなぜ、この世界に入った』
「…それは…」
「…頑張る人を応援したい…横で支えてあげたい…そう思ったからだ」
「みなで何かを協力し、作り上げ… それが、1番の理由だよ」
「何か才能が私にあると言えるわけではないがね」
「―――その気持ちだけなら、誰にも負けないつもりだよ」
―――
――
―
4: 2013/02/23(土) 06:30:49.79 ID:Tj4ck2Hb0
『…高木、お前とは、もう、これまでのようだな』
「君は、間違っているよ」
『…それがどうかは、これからすぐに分かるだろう』
「…もう、戻れないのか」
『私は、お前のそういうところが気に入らないのかもしれない』
「……」
『友情、仲間、絆… どれも、数値化出来ない非論理的なもの』
「君は」
『昔は、少し考えもしたものだ、それが、必要ではないかと』
「君は、間違っているよ」
『…それがどうかは、これからすぐに分かるだろう』
「…もう、戻れないのか」
『私は、お前のそういうところが気に入らないのかもしれない』
「……」
『友情、仲間、絆… どれも、数値化出来ない非論理的なもの』
「君は」
『昔は、少し考えもしたものだ、それが、必要ではないかと』
5: 2013/02/23(土) 06:34:48.27 ID:Tj4ck2Hb0
.
「なら―――」
『―――今ではもう、私に必要のないものだ』
『……だが、悪くはなかったと、思っている』
『今までの、日々を』
『…手放さざるをえなくなった未来は、後はお前がなんとかするがいい』
「…1つだけ、いいかな」
「もし…もし、その未来を、取り戻せる時が来たら―――」
「力を貸してくれないか」
『―――いいだろう』
『さらばだ、高木』
「なら―――」
『―――今ではもう、私に必要のないものだ』
『……だが、悪くはなかったと、思っている』
『今までの、日々を』
『…手放さざるをえなくなった未来は、後はお前がなんとかするがいい』
「…1つだけ、いいかな」
「もし…もし、その未来を、取り戻せる時が来たら―――」
「力を貸してくれないか」
『―――いいだろう』
『さらばだ、高木』
6: 2013/02/23(土) 06:40:14.18 ID:Tj4ck2Hb0
.
[ 現在 ]
律子「はい!みんな居るわね!?じゃ、オーディション行くわよ!」
美希「…ふぁ…律子……さん、起こさないでほしいの…ミキ、まだ眠いし寒いの」
小鳥「この季節は寒いけど…ほら、起きなきゃダメよ?頑張ってきて」
美希「ん…ふぁ、ミキ、もう起きるの」
律子「…反応違いますね」
小鳥「え、ええ…ど、どうしてでしょうね…」
律子「あ、全員のオーディション終わるまで帰ってこれないので…」
律子「すみませんが、報告書お願いします」
小鳥「いいですよ、行ってらっしゃい」
律子「はい… って、こら、走らない!早く車のって!…じゃ、行ってきます!」
パタン
社長「…ははは、みな、元気で何よりだね」
小鳥「元気はいいことですけど、人手が足りないようですね、やはり…」
社長「…そうだね」
[ 現在 ]
律子「はい!みんな居るわね!?じゃ、オーディション行くわよ!」
美希「…ふぁ…律子……さん、起こさないでほしいの…ミキ、まだ眠いし寒いの」
小鳥「この季節は寒いけど…ほら、起きなきゃダメよ?頑張ってきて」
美希「ん…ふぁ、ミキ、もう起きるの」
律子「…反応違いますね」
小鳥「え、ええ…ど、どうしてでしょうね…」
律子「あ、全員のオーディション終わるまで帰ってこれないので…」
律子「すみませんが、報告書お願いします」
小鳥「いいですよ、行ってらっしゃい」
律子「はい… って、こら、走らない!早く車のって!…じゃ、行ってきます!」
パタン
社長「…ははは、みな、元気で何よりだね」
小鳥「元気はいいことですけど、人手が足りないようですね、やはり…」
社長「…そうだね」
7: 2013/02/23(土) 06:43:41.35 ID:Tj4ck2Hb0
.
小鳥「しかし…」
小鳥「この報告書見る限り…今月も」
社長「…ああ」
社長「小さいが、事務所を建ててここまで来たけれど…なかなか、厳しいよ」
小鳥「律子さんが現状に気付くまで、そう遠くないかもしれません」
社長「…そうだね…このまま変化が無ければ…我が765プロダクションは」
社長「倒産することになる、かもしれない」
小鳥「しかし…」
小鳥「この報告書見る限り…今月も」
社長「…ああ」
社長「小さいが、事務所を建ててここまで来たけれど…なかなか、厳しいよ」
小鳥「律子さんが現状に気付くまで、そう遠くないかもしれません」
社長「…そうだね…このまま変化が無ければ…我が765プロダクションは」
社長「倒産することになる、かもしれない」
8: 2013/02/23(土) 06:47:37.79 ID:Tj4ck2Hb0
.
小鳥「ええ… 金庫のお金も含めて少なく見積もっても…半年」
小鳥「長く見積もって、1年…を切るぐらいでしょうか…月の収入も含めて」
社長「……そろそろ、自分の経営手腕も衰えを感じるよ…懐かしい、あの日々とは違う」
小鳥「そんな!社長はまだ…」
社長「いや、私はそろそろ、現役を退くべきだ…」
社長「老人の小さいプライドと、皆の居場所を天秤にはかけられないよ」
社長「私は、もし、この事務所が倒産したとしても、細々と生きていけるだけのお金はある」
社長「無論、音無くんも含め、皆の世話は最後まできちんとやらせてもらうよ」
小鳥「ええ… 金庫のお金も含めて少なく見積もっても…半年」
小鳥「長く見積もって、1年…を切るぐらいでしょうか…月の収入も含めて」
社長「……そろそろ、自分の経営手腕も衰えを感じるよ…懐かしい、あの日々とは違う」
小鳥「そんな!社長はまだ…」
社長「いや、私はそろそろ、現役を退くべきだ…」
社長「老人の小さいプライドと、皆の居場所を天秤にはかけられないよ」
社長「私は、もし、この事務所が倒産したとしても、細々と生きていけるだけのお金はある」
社長「無論、音無くんも含め、皆の世話は最後まできちんとやらせてもらうよ」
9: 2013/02/23(土) 06:51:20.20 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「…長い、夢を見たんだ… 私の夢は、きっと誰かが引き継いでくれる」
社長「それに、春はもう、巡り巡ってすぐそこだ」
社長「私は、来年の春も、ここで、みなと迎えたい」
小鳥「……社長」
社長「これが、彼女たちにしてあげられる、最後の、社長しての仕事かな」
社長「我が子同然のみなを、もう、不安にさせたくないのだよ… さあ、はじめるとしよう」
社長「―――起氏回生の、スタートだ」
社長「…長い、夢を見たんだ… 私の夢は、きっと誰かが引き継いでくれる」
社長「それに、春はもう、巡り巡ってすぐそこだ」
社長「私は、来年の春も、ここで、みなと迎えたい」
小鳥「……社長」
社長「これが、彼女たちにしてあげられる、最後の、社長しての仕事かな」
社長「我が子同然のみなを、もう、不安にさせたくないのだよ… さあ、はじめるとしよう」
社長「―――起氏回生の、スタートだ」
11: 2013/02/23(土) 06:56:37.33 ID:Tj4ck2Hb0
.
P「起氏回生のST@RT」
P「起氏回生のST@RT」
12: 2013/02/23(土) 06:59:17.73 ID:Tj4ck2Hb0
.
小鳥「金庫に残っているお金も僅か…とりあえず、ここからどうしましょうか」
小鳥「…人員も少ないですから…これ以上の仕事は律子さんも負担になります」
社長「…まずは、私の給与を最大限まで削ってくれないか」
小鳥「そ、それは…」
社長「…言っただろう?生きていけるだけのお金はあるんだ、気にすることはないよ」
小鳥「はい…限界まで減らすと…このぐらいです」
社長「…事務所の帳簿はあるかな」
小鳥「ええ… えと、こちらです」カチカチ
社長「ふむ… ああ、では…ここをこっちに回して、そう、そこを増やすんだ」
社長「その代わり減った額を――――」
―――
――
―
小鳥「金庫に残っているお金も僅か…とりあえず、ここからどうしましょうか」
小鳥「…人員も少ないですから…これ以上の仕事は律子さんも負担になります」
社長「…まずは、私の給与を最大限まで削ってくれないか」
小鳥「そ、それは…」
社長「…言っただろう?生きていけるだけのお金はあるんだ、気にすることはないよ」
小鳥「はい…限界まで減らすと…このぐらいです」
社長「…事務所の帳簿はあるかな」
小鳥「ええ… えと、こちらです」カチカチ
社長「ふむ… ああ、では…ここをこっちに回して、そう、そこを増やすんだ」
社長「その代わり減った額を――――」
―――
――
―
14: 2013/02/23(土) 07:04:45.86 ID:Tj4ck2Hb0
.
小鳥「…案外、ここまで浮くんですね…律子さんも金銭管理はすごいと思っていましたが」
社長「ははは、長く生きていると知恵もつくものだ…さて」
小鳥「しかし…月にこれだけの額を浮かせても…現状維持するので精一杯です」
社長「…現状維持はしないさ」
小鳥「…わかりました」
社長「あ…すまないが音無くん、お茶を淹れてくれないか」
小鳥「はい、分かりました…すぐに」
社長「…君は…音無くんは、私がそれをどう使うか、気にならないのかね」
小鳥「…ふふっ、気になるといえば、なりますけど…」
小鳥「わたし、社長を信じてますから」ニコッ
小鳥「…案外、ここまで浮くんですね…律子さんも金銭管理はすごいと思っていましたが」
社長「ははは、長く生きていると知恵もつくものだ…さて」
小鳥「しかし…月にこれだけの額を浮かせても…現状維持するので精一杯です」
社長「…現状維持はしないさ」
小鳥「…わかりました」
社長「あ…すまないが音無くん、お茶を淹れてくれないか」
小鳥「はい、分かりました…すぐに」
社長「…君は…音無くんは、私がそれをどう使うか、気にならないのかね」
小鳥「…ふふっ、気になるといえば、なりますけど…」
小鳥「わたし、社長を信じてますから」ニコッ
16: 2013/02/23(土) 07:07:40.46 ID:Tj4ck2Hb0
.
小鳥「………」カタカタ
律子「………」カタカタ
小鳥「…ふぅ…今日の分は、終わりました…」
社長「…いつも、済まないね…私が上手くやれれば」
律子「こっちも終わりました…社長、いつも言ってるじゃないですか…助け合いだー、って」
社長「ははは…そうだったかな」
小鳥「では、今日はそろそろ」
律子「私もこれで…今日はちょっとだけ、疲れました」
社長「ああ、お疲れ様…戸締りぐらいは私がやっておこう」
パタン
社長「また、春がくるのか」
小鳥「………」カタカタ
律子「………」カタカタ
小鳥「…ふぅ…今日の分は、終わりました…」
社長「…いつも、済まないね…私が上手くやれれば」
律子「こっちも終わりました…社長、いつも言ってるじゃないですか…助け合いだー、って」
社長「ははは…そうだったかな」
小鳥「では、今日はそろそろ」
律子「私もこれで…今日はちょっとだけ、疲れました」
社長「ああ、お疲れ様…戸締りぐらいは私がやっておこう」
パタン
社長「また、春がくるのか」
18: 2013/02/23(土) 07:12:57.38 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「……」
社長「まだ、夜風は冷たいようだ」
社長「…きれいな月も出ている」
社長「久しぶりに、足を伸ばしてみるかな」
―――
――
―
社長「……」
社長「まだ、夜風は冷たいようだ」
社長「…きれいな月も出ている」
社長「久しぶりに、足を伸ばしてみるかな」
―――
――
―
19: 2013/02/23(土) 07:15:23.70 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「…やあ、久し振りだね」
店員「あ…お久しぶりです」
社長「最近来ていなかったが、変わっていなくてよかった」
店員「ええ… いつもので?」
社長「ああ」
社長「…まだ、あそこで誰かが歌を歌っているんだね」
店員「この界隈の店は、大抵そうですよ」
社長「そうだね」
店員「以前社長が3人で通われていたあのお店も、そうでしょう」
社長「……ああ」
社長「懐かしい、話だね」
店員「久しぶりなものですから」
社長「…やあ、久し振りだね」
店員「あ…お久しぶりです」
社長「最近来ていなかったが、変わっていなくてよかった」
店員「ええ… いつもので?」
社長「ああ」
社長「…まだ、あそこで誰かが歌を歌っているんだね」
店員「この界隈の店は、大抵そうですよ」
社長「そうだね」
店員「以前社長が3人で通われていたあのお店も、そうでしょう」
社長「……ああ」
社長「懐かしい、話だね」
店員「久しぶりなものですから」
20: 2013/02/23(土) 07:19:11.73 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「……っ、ふぅ…この味も、久しぶりだ」
社長「以前は角ばった氷だったのに、今は丸くなっているんだね」
店員「…今はその方が流行りだそうで。うちのような小さい店は、ついていくのが精一杯です」
社長「時代は、変わるんだね」
店員「ええ」
社長「………」
社長「…あの角の青年は、常連かね?」
店員「…最近、よくいらっしゃいますよ。気になりますか?」
社長「そうだね、歌っている人を、ずっと楽しそうに見つめていれば」
店員「あの方は、よくそうしていらっしゃいますよ。誰であろうと、あのように」
社長「そうか…てっきり、今歌っている人の、彼氏のような存在かと思っていたよ」
店員「ああ、私も最初そう思いましたが…違うみたいですね」
店員「気になるのであれば、声をかけてみては?こういうところだからこそ、ですよ」
社長「そうしてみようかな」
社長「……っ、ふぅ…この味も、久しぶりだ」
社長「以前は角ばった氷だったのに、今は丸くなっているんだね」
店員「…今はその方が流行りだそうで。うちのような小さい店は、ついていくのが精一杯です」
社長「時代は、変わるんだね」
店員「ええ」
社長「………」
社長「…あの角の青年は、常連かね?」
店員「…最近、よくいらっしゃいますよ。気になりますか?」
社長「そうだね、歌っている人を、ずっと楽しそうに見つめていれば」
店員「あの方は、よくそうしていらっしゃいますよ。誰であろうと、あのように」
社長「そうか…てっきり、今歌っている人の、彼氏のような存在かと思っていたよ」
店員「ああ、私も最初そう思いましたが…違うみたいですね」
店員「気になるのであれば、声をかけてみては?こういうところだからこそ、ですよ」
社長「そうしてみようかな」
21: 2013/02/23(土) 07:23:03.16 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「…すまない、ちょっと、いいかい?」
『はい?』
社長「ああ、何か用というわけではないんだが… 少し、話し相手が欲しくてね」
『ああ…いいですよ、俺…いえ、自分でよければ』
社長「君は、彼女を見つめていたようだが」
『…ええ。あの人、すごく、いいですよね…なんて言うべきか、わからないですけど』
社長「ああ…綺麗な歌声だと思う」
『はい。それもありますし…演奏者の方々も、彼女の魅力を引き立たせてる、って言うか…』
『…皆で協力して…って、何か恥ずかしいこと、言っちゃってますね』
社長「いや… そんなことはない。人の魅力を素直に褒められるのは、美徳だよ」
社長「…にしても、君は若いね、もう、働いているのかい?」
『ああ、えと…その』
社長「…すまない、私としたことが、無礼だったね」
『いえ… あ、せっかくですから、少しだけ聞いてもらえませんか』
社長「ああ、私で良ければ、構わないよ」
社長「…すまない、ちょっと、いいかい?」
『はい?』
社長「ああ、何か用というわけではないんだが… 少し、話し相手が欲しくてね」
『ああ…いいですよ、俺…いえ、自分でよければ』
社長「君は、彼女を見つめていたようだが」
『…ええ。あの人、すごく、いいですよね…なんて言うべきか、わからないですけど』
社長「ああ…綺麗な歌声だと思う」
『はい。それもありますし…演奏者の方々も、彼女の魅力を引き立たせてる、って言うか…』
『…皆で協力して…って、何か恥ずかしいこと、言っちゃってますね』
社長「いや… そんなことはない。人の魅力を素直に褒められるのは、美徳だよ」
社長「…にしても、君は若いね、もう、働いているのかい?」
『ああ、えと…その』
社長「…すまない、私としたことが、無礼だったね」
『いえ… あ、せっかくですから、少しだけ聞いてもらえませんか』
社長「ああ、私で良ければ、構わないよ」
22: 2013/02/23(土) 07:28:44.16 ID:Tj4ck2Hb0
.
『その…自分には、将来の夢、というか、具体的な目標がなくて』
『いえ…別に…ないわけじゃ、ないんですけど、これだ!って思うもの、というか』
『大学で、色々な事を学んで… でも、自分にはやりたいことがなかったんです』
『でも、やはり就職しないと、と思って…世間体もありますから』
社長「ああ」
『色々、受けたんです… 自慢じゃないんですけど、真面目にやってきました』
『だから、いくつかから内定をいただいて… でも、まだ、返事が出来ていないんです』
『まだ、どこか受けてみるべきか、落ち着くか…少し考える時間が欲しくて…最近、ここに』
社長「…だが、どうにも、君は酒に逃げてるようには見えないね」
『ええ…どちらかと言えば、歌ってる人たちを見に来ているんです』
『何か、元気がもらえる気がして』
『ああいう、何て言うか…輝いてる人って、応援したくなるんですよ』
社長「…ふむ」
『その…自分には、将来の夢、というか、具体的な目標がなくて』
『いえ…別に…ないわけじゃ、ないんですけど、これだ!って思うもの、というか』
『大学で、色々な事を学んで… でも、自分にはやりたいことがなかったんです』
『でも、やはり就職しないと、と思って…世間体もありますから』
社長「ああ」
『色々、受けたんです… 自慢じゃないんですけど、真面目にやってきました』
『だから、いくつかから内定をいただいて… でも、まだ、返事が出来ていないんです』
『まだ、どこか受けてみるべきか、落ち着くか…少し考える時間が欲しくて…最近、ここに』
社長「…だが、どうにも、君は酒に逃げてるようには見えないね」
『ええ…どちらかと言えば、歌ってる人たちを見に来ているんです』
『何か、元気がもらえる気がして』
『ああいう、何て言うか…輝いてる人って、応援したくなるんですよ』
社長「…ふむ」
23: 2013/02/23(土) 07:31:46.59 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「君は…」
社長「君は、人を支える仕事なんて、向いているんじゃないかな」
『人を、支える…ですか』
社長「ああ‥例えば、学校の先生、医師、秘書なんてそうじゃないかな、それに…」
社長「アイドルたちのプロデューサー、が」
『…プロデューサー…』
社長「…ああ」
社長「もし君がプロデューサーになるのだとしたら」
社長「今歌っている彼女のような存在を、間近で支えていくことになる」
社長「共に笑い、共に涙し、成長し、輝くさまを、1番身近で見られるんだ」
社長「それこそ、プロデューサーの特権、というやつかもしれないね」
社長「君は…」
社長「君は、人を支える仕事なんて、向いているんじゃないかな」
『人を、支える…ですか』
社長「ああ‥例えば、学校の先生、医師、秘書なんてそうじゃないかな、それに…」
社長「アイドルたちのプロデューサー、が」
『…プロデューサー…』
社長「…ああ」
社長「もし君がプロデューサーになるのだとしたら」
社長「今歌っている彼女のような存在を、間近で支えていくことになる」
社長「共に笑い、共に涙し、成長し、輝くさまを、1番身近で見られるんだ」
社長「それこそ、プロデューサーの特権、というやつかもしれないね」
24: 2013/02/23(土) 07:36:02.80 ID:Tj4ck2Hb0
.
『………特権…』
『…あの』
『本当に、ありがとうございました』
社長「ははは、礼なんて…気にしなくて構わない、こちらこそ、だ」
社長「君の未来の手助けになったのだとしたら、光栄だよ」
『…ははっ』
・ ・ ・
店員「あなたも、まだまだ現役ですね」
社長「ははは…もう、私はそんな歳ではないよ」
店員「…そうでしょうか?私にはまだ、現役時代と、何ら変わりなく見えますよ」
社長「…ありがとう」
『………特権…』
『…あの』
『本当に、ありがとうございました』
社長「ははは、礼なんて…気にしなくて構わない、こちらこそ、だ」
社長「君の未来の手助けになったのだとしたら、光栄だよ」
『…ははっ』
・ ・ ・
店員「あなたも、まだまだ現役ですね」
社長「ははは…もう、私はそんな歳ではないよ」
店員「…そうでしょうか?私にはまだ、現役時代と、何ら変わりなく見えますよ」
社長「…ありがとう」
26: 2013/02/23(土) 07:39:29.78 ID:Tj4ck2Hb0
.
翌日
社長「おはよう」
小鳥「おはようございます」
律子「おはようございます!」
社長「今日は、みなは、レッスンかね」
律子「ええ、いつも通りですよ…私はあと1時間ほどで、店頭販売の打ち合わせに出ます」
社長「わかった、今日もよろしく頼む」
―――
――
―
律子「では、行ってきます…急がないと!」パタン
小鳥「…そろそろ、限界かもしれません、律子さんも」
社長「…決めるよ」
社長「どうするかを」
社長「私も…義務を、果たさねばならないな」
翌日
社長「おはよう」
小鳥「おはようございます」
律子「おはようございます!」
社長「今日は、みなは、レッスンかね」
律子「ええ、いつも通りですよ…私はあと1時間ほどで、店頭販売の打ち合わせに出ます」
社長「わかった、今日もよろしく頼む」
―――
――
―
律子「では、行ってきます…急がないと!」パタン
小鳥「…そろそろ、限界かもしれません、律子さんも」
社長「…決めるよ」
社長「どうするかを」
社長「私も…義務を、果たさねばならないな」
27: 2013/02/23(土) 07:43:25.15 ID:Tj4ck2Hb0
社長「…やあ…もう、春だね」
店員「ええ、今度は、早いですね… 桜も、もうすぐでしょうか」コトッ
社長「そうだね、ああ、ありがとう…この前の彼は、来ているかな」
店員「…いえ、今日も」
社長「…そうか…」
店員「どうか、したんですか」
店員「ええ、今度は、早いですね… 桜も、もうすぐでしょうか」コトッ
社長「そうだね、ああ、ありがとう…この前の彼は、来ているかな」
店員「…いえ、今日も」
社長「…そうか…」
店員「どうか、したんですか」
28: 2013/02/23(土) 07:47:43.47 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「…我が社が、経営不振でね…私のせいだが」
社長「まだ微々たるものだが、資金はある…けれど、私には分からなくなってしまったよ」
社長「このまま歩みを進めるべきか、このまま…」
店員「…そうでしたか」
社長「何が、彼女らの幸せになるのか…とね」
社長「…各所に手をつくしてみたが…上手くは行かなくてね」
社長「…私は自らやってきた事を、否定するつもりはない…」
社長「後悔もするつもりはない、けれど」
社長「けれど…」
店員「…何か、心残りが?」
社長「ああ… また、取り戻してあげたかった―――」
社長「―――彼女の、未来を」
社長「…我が社が、経営不振でね…私のせいだが」
社長「まだ微々たるものだが、資金はある…けれど、私には分からなくなってしまったよ」
社長「このまま歩みを進めるべきか、このまま…」
店員「…そうでしたか」
社長「何が、彼女らの幸せになるのか…とね」
社長「…各所に手をつくしてみたが…上手くは行かなくてね」
社長「…私は自らやってきた事を、否定するつもりはない…」
社長「後悔もするつもりはない、けれど」
社長「けれど…」
店員「…何か、心残りが?」
社長「ああ… また、取り戻してあげたかった―――」
社長「―――彼女の、未来を」
29: 2013/02/23(土) 07:52:05.13 ID:Tj4ck2Hb0
『……あれ?』
社長「…珍しいことも、あるものだね…彼に、何か」
店員「はい」
『ええ…あ、すみません』
社長「いや…あれから…どうだい」
『…やりたいことは、見つかりました…けど』
社長「……」
『いくつか回ってみましたが…採用してもらうことは…ありませんでした』
社長「…そうか…」
社長「…珍しいことも、あるものだね…彼に、何か」
店員「はい」
『ええ…あ、すみません』
社長「いや…あれから…どうだい」
『…やりたいことは、見つかりました…けど』
社長「……」
『いくつか回ってみましたが…採用してもらうことは…ありませんでした』
社長「…そうか…」
30: 2013/02/23(土) 07:56:22.18 ID:Tj4ck2Hb0
.
『やっと、見つけたのに…自分の、やりたい事が…夢が、未来が…』
社長「…世の中は、上手く回らないものだね」
『はい…頑張ったんですけどね…ははっ』
社長「…私も、君と会うのはこれで最後になるかもしれない…」
社長「最後に、聞きたいんだ」
社長「君は、どんなやりたいことを見つけたんだ?」
『……前、あなたがおっしゃっていた』
『―――アイドルの、プロデューサーがいいな、って思えて』
社長「……」
社長「……それは」
社長「……それは、どうして…」
『やっと、見つけたのに…自分の、やりたい事が…夢が、未来が…』
社長「…世の中は、上手く回らないものだね」
『はい…頑張ったんですけどね…ははっ』
社長「…私も、君と会うのはこれで最後になるかもしれない…」
社長「最後に、聞きたいんだ」
社長「君は、どんなやりたいことを見つけたんだ?」
『……前、あなたがおっしゃっていた』
『―――アイドルの、プロデューサーがいいな、って思えて』
社長「……」
社長「……それは」
社長「……それは、どうして…」
32: 2013/02/23(土) 08:00:58.23 ID:Tj4ck2Hb0
.
『………』
『上手く説明できるか、わかりませんけど…」
『…それは…』
『…頑張ってる人を応援したりするのが好きで…横で支えてあげたい、って』
『…あとは、みんなで何か、1つのものを作り上げていくのって、楽しいと思いませんか?』
『ははっ… 特筆する事が自分にあると自信を持って言えるわけではないんですけど』
『―――その気持ちだけなら、誰にも負けないつもりです』
『……他にも』
『他にも…自分は前に立つよりも、元気をあげる人に、その人に隣で元気をあげたいな、って』
『むかし、よく、聞いてたんです…落ち込んだ時、元気をもらいたいとき』
『アイドルの歌や、笑顔に、いつも、元気をもらっていたから』
『今度は、俺の…じゃなくて、自分の番かな、なんて、思って…でも…』
『………』
『上手く説明できるか、わかりませんけど…」
『…それは…』
『…頑張ってる人を応援したりするのが好きで…横で支えてあげたい、って』
『…あとは、みんなで何か、1つのものを作り上げていくのって、楽しいと思いませんか?』
『ははっ… 特筆する事が自分にあると自信を持って言えるわけではないんですけど』
『―――その気持ちだけなら、誰にも負けないつもりです』
『……他にも』
『他にも…自分は前に立つよりも、元気をあげる人に、その人に隣で元気をあげたいな、って』
『むかし、よく、聞いてたんです…落ち込んだ時、元気をもらいたいとき』
『アイドルの歌や、笑顔に、いつも、元気をもらっていたから』
『今度は、俺の…じゃなくて、自分の番かな、なんて、思って…でも…』
34: 2013/02/23(土) 08:04:20.69 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「………」
社長「………はは、…そうだった…私も、そうだったよ…そうだ…」
社長「長らく…忘れていたのかも、しれないな」
社長「この、感情を」
社長「君」
社長「―――765プロダクション、という会社を知っているかい?」
社長「………」
社長「………はは、…そうだった…私も、そうだったよ…そうだ…」
社長「長らく…忘れていたのかも、しれないな」
社長「この、感情を」
社長「君」
社長「―――765プロダクション、という会社を知っているかい?」
35: 2013/02/23(土) 08:09:50.90 ID:Tj4ck2Hb0
.
・ ・ ・
『……失礼します』
『……本当に、良かったんですか?』
社長「今月から、私の割いた給与と、浮いた事務所の資金の一部を、月々の君の給与として支払う」
社長「音無くんはともかく、律子くんはどういう反応をするか分からないがね、ははは」
『…いえ、そういうことでは』
社長「これで、よかったんだよ」
社長「君と出会えて、本当によかったと思っている」
社長「後悔など、してはいないさ」
『…ありがとうございます』
社長「ほら、君も今日から我が社の一員なのだから」
社長「もっとも、今は私と君としか知らないがね、はははっ」
社長「…実際に、彼女たちアイドルとふれあってみるといい」
社長「先にある程度、彼女たちの話はしたが…きっとその方が早く馴染んでいくだろう」
『はい!』
・ ・ ・
『……失礼します』
『……本当に、良かったんですか?』
社長「今月から、私の割いた給与と、浮いた事務所の資金の一部を、月々の君の給与として支払う」
社長「音無くんはともかく、律子くんはどういう反応をするか分からないがね、ははは」
『…いえ、そういうことでは』
社長「これで、よかったんだよ」
社長「君と出会えて、本当によかったと思っている」
社長「後悔など、してはいないさ」
『…ありがとうございます』
社長「ほら、君も今日から我が社の一員なのだから」
社長「もっとも、今は私と君としか知らないがね、はははっ」
社長「…実際に、彼女たちアイドルとふれあってみるといい」
社長「先にある程度、彼女たちの話はしたが…きっとその方が早く馴染んでいくだろう」
『はい!』
37: 2013/02/23(土) 08:14:54.68 ID:Tj4ck2Hb0
.
社長「ほら、カメラを構えたまえ…ああ、ここをこうして…そう、そうだ」
社長「彼女たちには、今日から取材のカメラマンが来ると伝えてある」
社長「ま、音無くんや律子くんに、近いうちに人員を増やすことは伝えておいてあるから」
社長「もしかしたら、途中で気付くかもしれないね、ははは」
社長「ああ、でも、みなには、私が言うまで君がプロデューサーということは秘密だよ」
『はい…本当に…ありがとうございます』
『この恩は…必ず』
『彼女たちを、きっと、トップアイドルにしてみせます!それが、俺の夢ですから』
社長「ははは、やはり、私がティンと来ただけの事はある」
社長「君なら、きっと、彼女たちの夢も、彼女の未来も…」
社長「期待しているよ」
社長「ほら、カメラを構えたまえ…ああ、ここをこうして…そう、そうだ」
社長「彼女たちには、今日から取材のカメラマンが来ると伝えてある」
社長「ま、音無くんや律子くんに、近いうちに人員を増やすことは伝えておいてあるから」
社長「もしかしたら、途中で気付くかもしれないね、ははは」
社長「ああ、でも、みなには、私が言うまで君がプロデューサーということは秘密だよ」
『はい…本当に…ありがとうございます』
『この恩は…必ず』
『彼女たちを、きっと、トップアイドルにしてみせます!それが、俺の夢ですから』
社長「ははは、やはり、私がティンと来ただけの事はある」
社長「君なら、きっと、彼女たちの夢も、彼女の未来も…」
社長「期待しているよ」
39: 2013/02/23(土) 08:19:50.10 ID:Tj4ck2Hb0
社長「…君は」
社長「君は最初に、彼女らに何と話しかけるのかな?」
社長「私には、それが気になって、仕方がないんだ」
『…そうですね…やっぱり、彼女らに1番尋ねたい事でしょうか』
『と言っても、既に決まっているんですよ…では、行ってきますね』
社長「ああ」
社長「では、よろしく頼むよ」
社長「新しい、プロデューサー」
『…はい!それでは、行ってきます』
社長「君は最初に、彼女らに何と話しかけるのかな?」
社長「私には、それが気になって、仕方がないんだ」
『…そうですね…やっぱり、彼女らに1番尋ねたい事でしょうか』
『と言っても、既に決まっているんですよ…では、行ってきますね』
社長「ああ」
社長「では、よろしく頼むよ」
社長「新しい、プロデューサー」
『…はい!それでは、行ってきます』
41: 2013/02/23(土) 08:23:53.26 ID:Tj4ck2Hb0
.
.
.
『こんにちは、皆さん。いきなりですが、質問です―――』
『―――――――あなたにとって、「アイドル」とは、なんですか?』
--
P「起氏回生のST@RT」
おわり
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『こんにちは、皆さん。いきなりですが、質問です―――』
『―――――――あなたにとって、「アイドル」とは、なんですか?』
--
P「起氏回生のST@RT」
おわり
42: 2013/02/23(土) 08:28:00.92 ID:Tj4ck2Hb0
キャラクターの崩壊、呼称の間違いなどがあるかもしれませんが、すみません。
お付き合いありがとうございました。
また、代理スレ立てしていただいた方、本当にありがとうございました。
お付き合いありがとうございました。
また、代理スレ立てしていただいた方、本当にありがとうございました。
43: 2013/02/23(土) 08:30:26.35 ID:zVLtT9LgO
乙でござった!
引用元: P「起死回生のST@RT」
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