1: ◆fwR/vDgRag 2016/02/29(月) 23:47:02.77 ID:WoA/6J9Yo
1
ありす「天体観測ですか?この雪が降ってる時期に」
ありす「……そんな夜更けに山奥だなんて…一歩間違えたら事案です。何を考えてるんですか」
ありす「星空のロマン?こないだのバドミントンリベンジに勝ったから?使ってない望遠鏡あげるから…?わかりました、わかりましたからそれ以上顔を近づけないでください!」
ありす「天体観測……ですか……」
――――――
ありす「流石に屋根に上ると寒いですね…」
ありす「望遠鏡、のぞいても何も見えない…」
ありす「へくちっ…部屋に戻りましょうか…」
ありす「天体観測ですか?この雪が降ってる時期に」
ありす「……そんな夜更けに山奥だなんて…一歩間違えたら事案です。何を考えてるんですか」
ありす「星空のロマン?こないだのバドミントンリベンジに勝ったから?使ってない望遠鏡あげるから…?わかりました、わかりましたからそれ以上顔を近づけないでください!」
ありす「天体観測……ですか……」
――――――
ありす「流石に屋根に上ると寒いですね…」
ありす「望遠鏡、のぞいても何も見えない…」
ありす「へくちっ…部屋に戻りましょうか…」
2: 2016/02/29(月) 23:51:02.58 ID:WoA/6J9Yo
―――郊外の丘
アーニャ「夜は冷え込みますから。防寒…コート、マフラーなど、必須です」
ありす「こ、こんな感じで大丈夫ですか?」
のあ「その恰好……コートにマフラー。初めて貴方がプロデューサーに連れてこられた日と同じね……」
アーニャ「ノア……コーヒー、ですか……スパシーバ……そうですね、懐かしい格好です…」
ありす「……」
のあ「……冬は天体観測に向いた時期……空気が透き通っていてよく見えるわ」
ありす「なるほど、だから……」
3: 2016/02/29(月) 23:54:46.86 ID:WoA/6J9Yo
アーニャ「普段はやみくもに望遠鏡をのぞいても、街の明かりやもやで、見つからないこと、多いです。でもこの場所でこれだけ晴れていれば……」
のあ「待ってなさい。今車のライトを消してくるわ」
ありす「……わあ……」
アーニャ「ハラショー!こんなによく見えるなんて……」
ありす「これからどうすれば……」
のあ「ただ感じればいいの。星たちの瞬きを。その存在の証左を……」
アーニャ「天体観測に、決まったルールなんてありません。ズヴェダ…星を見てきれいだなと思えれば、それもまたひとつです」
のあ「物足りないのなら、予習をおすすめするわ……いつどこでどの星が見えるか……知っていればより多くの星の息吹を感じ取れるはず……」
ありす「なるほど……」
4: 2016/02/29(月) 23:57:22.74 ID:WoA/6J9Yo
――――――
ありす「おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスがあれだから……」
ありす「あれが冬の大三角ですね」
ありす「失礼ですね、私にだってそれくらい見つけることができます」
ありす「……実際に見たのは初めてですけど」
ありす「し、仕方ないじゃないですか!こんな機会今までになかったですし…」
ありす「次は何を見てみますか?調べてあげます」
ありす「……タブレットですか?これには星図早見のアプリが入っているんです」
5: 2016/03/01(火) 00:00:16.35 ID:U/vjSnqDo
ありす「……そうじゃなくて、懐かしい恰好だって?」
ありす「……この服装に、タブレットを持ってる姿が、ですか……」
ありす「……一回座りましょうか。コーヒー、もらえますか?なにも入れなくて大丈夫です」
ありす「そうですね、今までいろいろなことがありました」
ありす「初めて会った時は生意気なことをずいぶん言ったように覚えています」
ありす「ふふふっ」ズズズッ
ありす「……やっぱり砂糖を入れてもらえますか?」
6: 2016/03/01(火) 00:03:35.89 ID:U/vjSnqDo
2
――――――事務所
ありす「……泣いてませんよ。仕事のポスターが届いただけじゃないですか」
ありす「そんなことよりも、ありがとうございます。私の最後の仕事にこんな大きな舞台を取ってきてくれるなんて……」
ありす「仕方のないことです。これから忙しくなってくるからって両親が……」
ありす「私はどう思ってるか、ですか?私は……」
ありす「……いえ、言っても仕方のないことです」
ありす「残された時間もわずかです。最高のパフォーマンスに仕上げてみせます」
――――――事務所
ありす「……泣いてませんよ。仕事のポスターが届いただけじゃないですか」
ありす「そんなことよりも、ありがとうございます。私の最後の仕事にこんな大きな舞台を取ってきてくれるなんて……」
ありす「仕方のないことです。これから忙しくなってくるからって両親が……」
ありす「私はどう思ってるか、ですか?私は……」
ありす「……いえ、言っても仕方のないことです」
ありす「残された時間もわずかです。最高のパフォーマンスに仕上げてみせます」
7: 2016/03/01(火) 00:06:01.69 ID:U/vjSnqDo
――――――
凛「そこっ、ステップがまた遅れてるよ!」
ありす「はいっ…あっ!」
未央「ううん、なんか動きがぎこちないような……」
卯月「それに、なんか表情も暗いです……」
ありす「ぜえ…ぜえ…はい……」
8: 2016/03/01(火) 00:10:15.87 ID:U/vjSnqDo
ありす「はあ…はあ……」
卯月「ありすちゃん、これ……ミネラルウォーター」スッ
ありす「……ありがとうございます…また指導を…お願いします」ハアハア
凛「もう?ありす、いくら最後の舞台だからって……」
ありす「休んでいる時間はありません。すでにアイドルを引退している皆さんの手を取らせているんです……!」
未央「あんまり無理しすぎたらみんな心配するよ!プロデューサーだって、私たちだって……」
ありす「でも……!でも、私は、私は……!」グスッ
ありす「支えてくれたプロデューサーや、いろいろなことを教えてくれた皆さんにもっといいパフォーマンスを披露したいです!」ポロポロ
ありす「期待して待ってくださっているファンの皆さんにも……!」グズグズ
ありす「それなのに気持ちばかりが焦って……!」グスッ
9: 2016/03/01(火) 00:12:47.27 ID:U/vjSnqDo
パシンッ
ありす「!……」
未央「しぶりん?!」
凛「いつまでそうやって泣いてるつもり?」
ありす「……」
凛「はたいてごめんね。でも、ちゃんと聞いて」
凛「焦る気持ちはわかるよ。私だってアイドルだったころは焦ってばかりだった」
凛「先輩たちについていけるように。ユニットのメンバーにおいていかれないように。後輩たちに追い抜かれないように」
凛「だから、見えていなかった。自分一人でアイドルをやっているつもりだった」
凛「今のありすもあの頃の私と同じ。誰かのためにやっているようで、その実独りよがりになっていて、誰の言葉も届かない」
ありす「……」グスッ
10: 2016/03/01(火) 00:14:28.43 ID:U/vjSnqDo
凛「だからさ、今日は休みにして、ちょっと頭を冷やさない?まだ時間はあるんだから」
卯月「そうですね、今日のところは……」
ありす「いえ、まだ、お願いします」グスッ
未央「ありすちゃんっ?!しぶりんの話聞いてた?!」
ありす「いえ、もう大丈夫です」ゴシゴシ
ありす「ありがとうございます……おかげで目が覚めました。」
凛「……そっか、よかった。もう大丈夫みたいだね」
卯月「たしかに、ありすちゃん人が変わったみたいです!」
未央「……?これでいいのかなあ」
11: 2016/03/01(火) 00:16:20.06 ID:U/vjSnqDo
―――――数日後、レッスン場
未央「ほらほら、表情が硬いぞっ!また笑って!」
ありす「はいっ!」ニコッ
凛「ステップにも気を配って!無駄をなくしてスマートに!」
ありす「はいっ!」タタッ
卯月「でも、かわいくキメることも大事ですよ!」
ありす「はいっ!」パッ
未央「……いやー一時はどうなることかと思ったけど……見違えるようになったねー!」
卯月「はいっ、あの様子なら、本番でも大丈夫だと思います!」
未央「これで一件落着!めでたしめでたしってところかな。ねえ、しぶりん!」
凛「まだ落着じゃないでしょ……あとは、ありす次第だね……」
12: 2016/03/01(火) 00:17:47.31 ID:U/vjSnqDo
――――――本番当日
ありす「……緊張するかって?……正直なところ、すごくしています」
ありす「今までだって強がってましたけど……プロデューサーの持ってくる仕事は全部すごく緊張して臨んでいたんですよ」
ありす「なぜって、わざわざ取ってきていただいた仕事で失格するなんてプロ失格ですし、それに……」
ありす「……なんでもないです」
ありす「…ちがいます、決してプロデューサーの前でいい格好をしようとだなんて……」
ありす「……もう時間です。最後の出番、頑張ってきます」
ありす「……我が子の晴れ舞台の見納め、ですか」
ありす「最後まで、私はあなたの娘だったんですね」
ありす「見ていてください…絶対に、絶対にあっと言わせて見せますから……」
13: 2016/03/01(火) 00:20:01.65 ID:U/vjSnqDo
――――――XX年後
ありす「プロ…あなた、ご飯ができましたよ」
ありす「あなたも降りてらっしゃい。お父さんと一緒に何見てたの?」
ありす「私の……最後のステージのビデオ……ですか」
ありす「あ、あなた……む、昔の話は……いえ、たまには昔の話も悪くないです」
ありす「ねえ、お父さんあなたにいろいろ話したと思うけど、このステージが終わった後にわんわん泣いて、私に縋り付いてきた話はした?」
ありす「本当よ。それで私が引退した後に……」
ありす「……昔の話はやめてくれ?あなたが最初に言い出したんでしょう」
ありす「……謝るならいいです。許してあげます」
ありす「さあ、ご飯が冷めますからはやく食べましょう」
ありす「ビデオの続きは……ご飯を食べてから、私も一緒に観ましょう。いいですよね」
14: 2016/03/01(火) 00:20:53.17 ID:U/vjSnqDo
以上でこのシリーズは終わりとなります
ありがとうございました
ありがとうございました
16: 2016/03/01(火) 01:13:10.36 ID:U/vjSnqD0
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