1: ◆do4ng07cO. 2015/02/01(日) 02:39:46.54 ID:8ivgnMyr0
【真マジンガー 衝撃!Z編 ss】

ヘル「貴様...なんという失態を...!」プルプル

あしゅら「申し訳ございませぬ!つい不注意で...」

ヘル「言い訳は聞かん!足元の段差に蹴躓いて、我らの楽しみ月一の鍋をぶちまけるなど、なんたる恥!」

あしゅら「どうかお許しを!」

ヘル「やかましい!貴様の今晩の食事は白米だけだ!自室で体育座りで反省せい!鉄十字兵よ、連れて行け」

鉄十字「ハッ」

あしゅら「そ、そんな~!」ズルズル

ブロッケン(くくく、あしゅらの間抜けめ。イイザマよ)

ヘル「ブロッケン、ピグマン」

ピグマン「はっ」

ヘル「今晩のワシらの食事も白米だけでよい。あしゅらに命じておいてワシがやらんワケにはいかんからな」

ブロッケン「!?」


2: 2015/02/01(日) 02:40:28.63 ID:8ivgnMyr0
白米「」コンモリ

鉄仮面「あしゅら様、これは?」

あしゅら「...今日の食事だ」

鉄仮面「おかずがありませんが...」

あしゅら「すまない、私の凡ミスのせいだ...」

鉄仮面「い、いえ。ちょうどダイエットをしようかと思ってましたから!」

鉄仮面2「そうです!なにも気にする必要などありません!」

あしゅら「...すまない」

パタン

3: 2015/02/01(日) 02:41:24.84 ID:8ivgnMyr0
ブロッケン「まったく...なぜあのあしゅらの間抜けに付き合わされなければならんのだ」

ブロッケン(とはいえ、Dr.ヘル様のお怒りに触れたくはないからな...というわけで)

ブロッケン「このたまたま懐に入っていた懐かしお菓子、ラムネを白米の中に入れるとア~ラ不思議。一見なんの変哲もない白米も、食感溢れる料理に大変身!」

『ブロッケン、早く食事を持ってまいれ!』

ブロッケン「かしこまりましたぁ!」

ブロッケン(なるべくラムネを奥の方に混ぜて...これで完璧だ)

4: 2015/02/01(日) 02:42:16.85 ID:8ivgnMyr0
ヘル「では、手を合わせて」

「「「いただきます」」」

ヘル「うむ。やはり、日本の主食は米に限る」モグモグ

ピグマン「案外、白米だけというのもいけるものですな」モグモグ

ブロッケン「ささ、おかわりはたくさんありますから存分に召し上がってくだされ」カリッモグ

ヘル「うむ。して、ブロッケンよ。貴様、白米に何を入れておる?」

ブロッケン「えっ!?」ギクッ

ヘル「トボけても無駄だ。ワシの耳はごまかせんぞ」

ブロッケン(くっ、舌で転がしておくべきだったか...だが、それではラムネの良さを頃してしまうし...)

ピグマン「申し訳ございません、Dr.ヘル様。しかし、これもまたブロッケンの忠誠心の形でございます。なにとぞご慈悲を...」

ブロッケン(ピグマン!?)

5: 2015/02/01(日) 02:43:24.09 ID:8ivgnMyr0
ヘル「申してみよ」

ピグマン「ハッ。あしゅらの失態をも包み込んでくださるDr.ヘルの心遣いは身に染みております」

ピグマン「しかし、主君の足を引っ張ることは我らにとっては最大の苦痛。故にブロッケンは、白米だけでも旨みを出せるように工夫をこらしたのであります」

ブロッケン「た、ただ、その手段がラムネしかなかったため、ご飯にあうかどうか微妙なものを献上してはならぬと思い、毒味をさせていただいたのです!」

ヘル「...お主らの忠誠心はわかった。ラムネを混ぜたことは不問に処そう」

ブロッケン(助かったぞ、ピグマン)コソッ

ピグマン(なに、気にするな)コソッ

ヘル「だが、ワシの言いつけを破った罰は受けて貰う。双方、尻を差し出せい」

「「えっ」」

6: 2015/02/01(日) 02:44:08.24 ID:8ivgnMyr0
あしゅらの部屋

あしゅら「う、うう...」グスッ

あしゅら(私は自分が情けない...Dr.ヘルの忠臣を語っておきながら、あのような不様な姿を晒してしまうなんて...)

ガチャリ

ブロッケン「ほほう、ちゃんと言いつけどおり体操座りで反省しているようだな」

あしゅら「...なんの用だ、ブロッケン、ピグマン。もう食事は終わったのか?」

ブロッケン「どこかの誰かさんが鍋を零してしまったのでな」

あしゅら「くっ...!」

ピグマン「そう気を落とすな。ちょっとしたミスくらい誰にでもある」ポン

あしゅら「黙れピグマン!余計な気遣いは不要!」

ピグマン「そ、そうか...すまなかった」

あしゅら「...いや、私の方こそすまなかった。悪いのは私なのだ...」


7: 2015/02/01(日) 02:45:23.21 ID:8ivgnMyr0
ブロッケン「そんな貴様に、Dr.ヘル様からのご慈悲だ」ポイッ

あしゅら「なんだこれは...ラムネ?」

ブロッケン「そいつを混ぜることは許可してくれたのでな。Dr.ヘルは仰った。『それを見て、自分がこれからどうすべきかを考えろ』...とな」

あしゅら「お、おおお...!Dr.ヘル...!」ブワッ

ブロッケン「我らの用はこれだけだ。しっかりと反省するのだぞ」

パタン

ブロッケン「あいたたた...まさか、この歳でケツバットを喰らうとは思わなかった...」

ピグマン「ケツバットならぬケツロッドだがな。絶対あの番組の影響だな」

9: 2015/02/01(日) 02:46:20.35 ID:8ivgnMyr0
ブロッケン「ヘル様の言伝、確かに伝えて参りました」

ヘル「うむ、ごくろうだった」

ヘル「...奴は確かに優秀だが、何かと失敗をしやすいからな。いずれそれが命取りになるやもしれん。これを機に失敗癖が直ればよいのだが...」

ブロッケン「なに、奴がいなくともこの私がおります」

ヘル「そう言うでない。奴もお前達同様ワシの大切な部下よ。氏んでもらっては困るのだ」

ヘル(奴が氏んだら色々と詰んでしまうしな)

ピグマン「ははぁ、ありがたきお言葉」

10: 2015/02/01(日) 02:46:58.15 ID:8ivgnMyr0
ビー ビー


ヘル「なにごとじゃ?」

鉄十字「申し上げます!あしゅら様が自室から脱走しました!」

ヘル「なんじゃと!?」

12: 2015/02/01(日) 02:48:21.32 ID:8ivgnMyr0
山道

ブロロロロ

シロー「うっひゃー、今日は一段とトバしてるねえ兄貴!」

甲児「へへへ、念願の新型に買い替えたからな。スッゲー乗り心地だぜ」

シロー「コイツなら、おじいちゃんが改造すればあの海の上だって走れるかもね!...あれっ?」

シロー(人が...海の上を走ってる!?)

シロー「兄貴、兄貴!」バシバシバシ

甲児「わわわっ、危ないだろうがこらっ!」

シロー「海見てよ、海!」

甲児「んー?あっ、イルカが跳ねてらぁ。ハハッ」

シロー「あ、あれ...?」

シロー(見間違いだったのかな?)

13: 2015/02/01(日) 02:50:04.04 ID:8ivgnMyr0
熱海

あしゅら「なんとか辿りついたな...」

あしゅら(とりあえず、顔は包帯で隠してきたから騒ぎになることはないと思うが...どうしたものか)

あしゅら「スーパーには高級食材は置いていないし」

あしゅら「かといって、パッと見は大層な豪邸もない」

あしゅら「ムムム、どうしたものか...」

「いらっしゃいませ~」

あしゅら「む?」

あしゅら(あれは...温泉宿の呼び込み?そうだ!)


14: 2015/02/01(日) 02:50:54.55 ID:8ivgnMyr0
あしゅら「そこの御方。ひとつお尋ねしたい」

荒野のジャンゴ「はいはい~なんでごぜえましょ~」

あしゅら「旗には、この地域で一番の温泉宿と書いてあるが、それは真かな?」

ジャンゴ「ええ~露天風呂は最高ですしメシもうまいですよ~」

あしゅら「それはありがたい!是非連れて行ってくれないか」

ジャンゴ「はいよ~。お客様一名ご案内~」

15: 2015/02/01(日) 02:51:56.04 ID:8ivgnMyr0
ブロロロ

ジャンゴ「お客さん、いったい何の御用で熱海へ?」

あしゅら「ちょっとした買い物だ。たまたまここが一番近くてな」

ジャンゴ「へ~」

あしゅら「高級な食材を探していてね。あなたたちには失礼かもしれんが、私の目的は宿泊ではないのだ」

ジャンゴ「そうっすか~。まあ、お客さんのご期待通り、うちではイイ食材を扱ってますよ」

あしゅら「なんと!ハハハッ、ここまで来た甲斐があったわ!」

ジャンゴ「ただねぇ、うちの料理人はちと頑固でねぇ。譲ってもらえるかどうか」

あしゅら「なに、念のためにお小遣いは全てもってきた」

ジャンゴ「そういう問題じゃあないんすけどねぇ~。...ま、ついてからのお楽しみってことで」

16: 2015/02/01(日) 02:53:41.56 ID:8ivgnMyr0
くろがね屋

クロス「いらっしゃいませ。番頭のクロスでございます。ただいま、女将は不在ですので、代わりに私めが...」

あしゅら「いや、私は宿泊客じゃないんだ。料理人はいるだろうか?会いたいのだが...」

クロス「料理人...先生ですね?かしこまりました。安、案内を」

イタチの安「へい!ささっ、どうぞお客さん。こちらでございます」

あしゅら「うむ」

17: 2015/02/01(日) 02:54:49.08 ID:8ivgnMyr0
テクテク

あしゅら「ふむ...落ち着いてみれば、中々いいところじゃあないか。流石は高級の宿と名乗るだけはある」

安「ヘヘ、お目が高いですねお客さん」

あしゅら「うむ。言葉では言い表せない安心感が感じられる。仕事が終わったら、是非私の主にご紹介したい」

安「有難きお言葉!宿屋冥利に尽きるってモンでさァ」

安「...さ、着きましたよ。ただ、一つだけご注意を」

あしゅら「なんだ?」

安「うちの料理人は、腕は確かだがチィと厄介で。あっしも手伝いやすが、それでも交渉が成立するかは...」

あしゅら「ぬう...構わん。会わせてくれ」

安「わかりやした。先生、お客様です」

スー

18: 2015/02/01(日) 02:56:07.52 ID:8ivgnMyr0
先生「......」

あしゅら「ぬ...!」

あしゅら(この者の眼光、凄まじき鋭さよ。確かに只者ではないな)

先生「......」

安「お客さん、先生が用件を尋ねてらっしゃいます」

あしゅら「あ、ああ。...実は、些細なミスで主の夕飯を台無しにしてしまってな。その償いの品として、ここの食材を売っていただきたいのだが...」

先生「......」

安「先生、そうおっしゃらずに...」

あしゅら(どうだ...?)

先生「......」

安「はぁ...お客さん、申し訳ございませんが、断固拒否するとのことです」


19: 2015/02/01(日) 02:57:05.15 ID:8ivgnMyr0
あしゅら「なにぃ!?金は払うというのに...何故だ!?」

安「なんでも、ウチの食材はお客様用のもので、上司のご機嫌取りに使うものではないとのことで...」

あしゅら「ぬぬ...そこをなんとか頼む!」

先生「......」

安「意見を変えるつもりはないとのことです」

あしゅら「頼む、この通りだ!」ガバァ

先生「!」

安「ちょっ、お客さん!」

あしゅら「私のこの土下座に免じて、食材を譲ってくれ~!」

先生「......」

20: 2015/02/01(日) 02:57:49.08 ID:8ivgnMyr0
菊之助「まぁまぁ、いいじゃないですか。ここまでしてくださるお客様は中々いませんよ」

あしゅら「ぬ!?」

あしゅら(このババア、いつの間に私の背後に?)

安「あっしもお菊さんの言う通りだと思いますが...」

先生「......」

コクリ

安「おお!さすが先生、話せばわかる!」

あしゅら「いいのか!?」

安「お客さんのその忠誠心に心打たれたそうです。代金は勿論いただきますが、好きな物を買っていけとのことです」

あしゅら「ありがたい!感謝する!」

先生「......」

あしゅら「では、これとこれとこれと...」


21: 2015/02/01(日) 02:58:38.82 ID:8ivgnMyr0
山道

ドドドドド

あしゅら(ふふふ、これさえあれば、ヘル様もお喜びに...)

ビー ビー

あしゅら(む?通信...)

『くぉら、あしゅら!貴様なにをやっておるか!』

あしゅら「その声...ブロッケンか」

ブロッケン『ヘル様はお怒りだ!至急帰って来い!』

あしゅら「ああ。罰でもなんでも喜んで受けよう。だが、その前に時間をくれないか?」

ブロッケン『なんだ?』

あしゅら「実はな...」

22: 2015/02/01(日) 03:00:03.17 ID:8ivgnMyr0
――――――――――――――――――――
バードス島


あしゅら「...あしゅら、ただいま戻りました」

ヘル「来たか...貴様、自分が何をしたのかわかっておるのか?」

あしゅら「存じております。このあしゅら、いかなる罰も受ける覚悟でございます」

ヘル「よかろう。では、さっそく...」

あしゅら「ですが、その前にこれを召し上がっていただきたい」

ヘル「む?」

あしゅら「こちらでございます」

ピグマン「それは...鍋か?」

ブロッケン「なるほど。ぶちまけた鍋を作りなおしたわけだな」

あしゅら「それだけではないぞ」

パカァ

ヘル「おお、これは!」

あしゅら「すき焼きでございます」

23: 2015/02/01(日) 03:01:08.79 ID:8ivgnMyr0
ピグマン(なんという香り...これだけ離れているのに、匂いだけでヨダレが...)ズビッ

ブロッケン(あしゅらめ、料理を作りたいなどと、なにを血迷ったかと思えば...イキなことをしてくれるではないか)

ヘル「...貴様が脱走した理由はこれか」

あしゅら「ハッ」

ヘル「ふむ。では、貴様の望み通り味から見せてもらおうか」

あしゅら「」ドキドキ

ヘル「」パクッ モニュモニュ

ヘル(!こ、これは...)



ヘル「ウマイ!ウマイ、ぞおおおおおおおお!!」

ピシャアアアン

24: 2015/02/01(日) 03:02:02.65 ID:8ivgnMyr0
ヘル「なんちゅう美味さじゃ!箸が鍋に吸い込まれるかのように止まらんわ!」

ピグマン「」ゴクリ

ブロッケン(う、うう...悔しいが食べてみたい...!)

あしゅら「お気に召したようでなによりです。では、もう思い残すことはございません。さあ、なんなりと罰を...」

ヘル「...あしゅらよ。それはもう後回しだ。貴様らには至急やってもらいたいことがある」

あしゅら「?」

ヘル「確かにこのすき焼きは美味い。しかし、この老体で食べきるのは難しいわ」

あしゅら「Dr.ヘル様...」

ヘル「さあ、コタツと人数分の食器を持ってまいれ。鍋物にはコタツだろう」

あしゅら「ハッ!仰せのままに!」

25: 2015/02/01(日) 03:04:48.97 ID:8ivgnMyr0
グツグツグツ

ピグマン「温まりますなぁ...」

ヘル「うむ。やはり、コタツと鍋は切っても離せんわ」

ギャーギャー

ブロッケン「だから貴様はひっこんどれと言うのがわからんか!私がよそうと言っておる!」

あしゅら「お前に任せていては、私とピグマンに肉が回ってこん!それに、これは私が作ったのだ!だから私が鍋奉行だ!」

ブロッケン「やかましい、貴様こそまた失敗されては敵わんわ!」

あしゅら「言ったなコイツめ!」

ピグマン「止めろお前達!コタツで暴れたら」

ガッ

バシャア

あしゅら「あっ」




ヘル「あしゅら貴様ぁ!」

あしゅら「お許しをDr.ヘル!」

26: 2015/02/01(日) 03:06:06.48 ID:8ivgnMyr0
これで終わりです。
ビッグバンパンチとロケットパンチ百連発は普通に大好きな技です。

27: 2015/02/01(日) 03:36:53.46 ID:EP5GuijTo
面白かった。たまにこういう話もいいね。

引用元: ヘル「あしゅら貴様ぁ!」あしゅら「お許しをDr.ヘル!」