1: 2015/02/01(日) 22:34:47.80 ID:1vfWud8K0
ノエル「ののかー!」ダキッ

乃々香「どうしたの、ノエル?」

ノエル「お昼ごはんまだー?」

乃々香「もうちょっと待ってね」

ノエル「今日のお昼はなに?」

乃々香「バジルソースのパスタだよ」

ノエル「ばじるそーす?」

乃々香「ノエルはバジルソースきらい?」

ノエル「ううん! ののかが作るものだったらなんでもだいすき!」

乃々香「そっか、ありがと」ニコッ

ノエル「うんっ」

汐音「……」ジーッ



2: 2015/02/01(日) 22:40:27.06 ID:1vfWud8K0
汐音(ノエルはどうしてあんなに素直に人と接せられるのかしら)

汐音「私も見習うべきよね……」

ノエル「しおね、どうしたの?」

汐音「……別になんでもないわ」

ノエル「ふーん。あ、もしかして、しおねはばじるそーすきらい?」

乃々香「そうだったの、汐音?」

汐音「いいえ、そんなことはないわ。私も乃々香が作るものなら……」ハッ

乃々香「汐音?」

汐音「な、なんでもないわ。とにかく私がバジルソースを嫌っているとか、そんなことはないから」

乃々香「そっか、よかった」ニコッ

汐音「たっ……食べさせてもらう身の私が、文句なんて言うわけないでしょ///」

乃々香「あ、もうすぐできあがるから、コップとお茶の用意してね」

3: 2015/02/01(日) 22:47:09.89 ID:1vfWud8K0
ののえるしお「いただきます!」

ノエル「みどりいろ!」

乃々香「バジルっていうハーブを使っているの。味はちょっと大人向けだったかも。ノエル、大丈夫?」

ノエル「うんっ、おいしいよっ!」

乃々香「よかった。汐音は?」

汐音「ええ、とてもおいしい……。毎日食べたいくらい」

乃々香「そんな、大げさだよ」アハハ

汐音「大げさ……かしら」

汐音(自分の気持ちを素直に言葉にしたつもりだったのだけど、どうもうまくいかないわね)

ノエル「おいしー! デミグヌフソースの次くらいにすき!」

汐音「なによその、禍々しい名前のソースは……」

乃々香「デミグラフソースね。じゃあ今度はそのパスタも作ってあげる」

ノエル「やったー!」

汐音「……」

汐音(ノエルを観察した感じだと、無邪気っぽく振る舞うのが重要なのかしら……)

6: 2015/02/01(日) 22:49:46.27 ID:1vfWud8K0
ノエル「ごちそうさまっ! それじゃあののか、しおね、またね!」

乃々香「もういっちゃうの?」

ノエル「今日はゆずきとペットボトルロケットを飛ばすやくそくしてるの!」

乃々香「そっか。じゃあね」

汐音「またね、ノエル」

ノエル「うんっ!」フリフリ

 スタタタ ガチャ

乃々香「……ふぅ」ストン

汐音「乃々香?」

乃々香「なに、汐音?」

汐音「……なんでもないわ。それより、お皿片づけしちゃいましょう」

乃々香「うん、そうだね」

汐音(ノエルがいなくなって、少し元気がなくなったような気がする……。やっぱり、私と二人きりだと気を使ったりするのかしら)

乃々香「ふんふふーん♪」カチャカチャ

汐音「……」

汐音(私も……ノエルっぽく振る舞えば、ノエルと同じように接してもらえるのかな)

汐音「のっ……」

汐音「ののかー!」ダキッ

乃々香「!?!?」ビクッ

7: 2015/02/01(日) 22:54:18.83 ID:1vfWud8K0
乃々香「しっ、汐音っ!? なにっ、どうしたのいきなり!?」ドキドキ

汐音「な、名前呼んだだけだよ!」

乃々香「名前呼んだだけじゃないよね!? 抱きついてるよね!?」

汐音「抱きつきたくなったからだよっ!!」

乃々香「えー!?」

乃々香(どうしよう……! 汐音が壊れちゃった!)

汐音「ののか……」ギュウ

汐音(これ、思ってたより何十倍も恥ずかしいわね……///)

乃々香「し、汐音……」

乃々香(寒さでおかしく……はないか……普通おかしくなるのって暑いときだよね……)

汐音「……ののか?」

乃々香「う……」

乃々香(でも……汐音に限っていたずらってことはないだろうし……)

汐音「……」

汐音(ここからどうすればいいのかしら)ギュウ

乃々香「?」

乃々香(抱きついてきたと思ったら、動きが止まった……?)

乃々香「汐音?」

汐音「な、なに?」

乃々香「急にそんなことされても、私、どうすればいいのかわからないよ?」

汐音「……そうね。ごめんなさい」パッ

9: 2015/02/01(日) 22:56:07.66 ID:1vfWud8K0
乃々香「……」ジャー

乃々香(どうやらふざけていただけみたいだけど……)チラッ

汐音「……」フキフキ

乃々香(こころなしか、落ち込んでいるような)

汐音「……終わったわ。リビングのソファで待ってるわね」

乃々香「あ、ちょっと待って」

汐音「なに? もう洗い物は残ってないと思うけど」

乃々香「洗い物のことじゃなくて、汐音のこと」

汐音「私の? ……別に、さっきのはちょっとふざけただけよ」

乃々香「私の知ってる汐音っていう女の子は、あんなふうにいきなりふざけたりする子じゃなかったよ」

汐音「……そうかもね。私は冗談とか言えない、つまらない人間だから」

乃々香「……」

10: 2015/02/01(日) 23:00:17.11 ID:1vfWud8K0
汐音「じゃあ、向こう行ってるから」

乃々香「ちょっと、汐音」ガシッ

汐音「なっ、なに?」ビクッ

乃々香「私の大切な友達を、そんなふうにいわないで」

汐音「な……なんのことよ」

乃々香「つまらない人間、って」

汐音「だって事実じゃない。それに自称なんだから、いいでしょ」

乃々香「汐音がよくったって、私がよくないの」

汐音「そんなの……わがままよ」

乃々香「そんなわがままをいいたくなるくらい、私は汐音のことが好きなの」

汐音「すっ……!?///」

乃々香「ねえ汐音、どうしてあんなことしたの? 教えて」

11: 2015/02/01(日) 23:03:14.36 ID:1vfWud8K0
汐音「……乃々香が、ノエルと一緒にいるとき、すごく楽しそうだったから」

乃々香「もしかしてあれって、ノエルの真似だったの?」

汐音「……」コク

乃々香(びっくりしてて全然気づかなかった)

汐音「ノエルみたいに素直な振る舞いができれば、乃々香はもっと気楽に私に接してくれると思って……」

乃々香「それじゃあ汐音は、私が汐音と一緒にいるよりは、ノエルと一緒にいる方が楽なんだと思っているの?」

汐音「だって、ノエルといるときはあんなにニコニコ笑っているのに、私と二人きりになったとたん、あまり笑わなくなるじゃない。さっきだってため息をついていたし」

乃々香「……はぁ」

13: 2015/02/01(日) 23:06:02.69 ID:1vfWud8K0
汐音「な、なによ」

乃々香「汐音って意外と天然なんだね」

汐音「……どういう意味よ」

乃々香「たしかにノエルはかわいいし、おもしろいし、一緒にいると楽しいよ」

汐音「……」

乃々香「ノエルと比べれば、たしかに汐音はあまりしゃべらないし、落ち着いてるから、二人でいても静かになることは多いよね」

汐音「……ええ」

乃々香「でもね、いつもノエルと一緒だと、たぶん私は疲れちゃうよ。ノエルはちょっとわんぱくなところがあるし、目を離すと予想外のこともするし……」

乃々香「だから、私は汐音と一緒にいるのが一番落ち着くの。汐音の隣で本を読んだり、うたた寝したりするのが好き。そういう瞬間だって、ノエルと一緒に遊んだりしているときと同じくらい、私にとって大切なときなんだよ」

14: 2015/02/01(日) 23:07:39.56 ID:1vfWud8K0
汐音「……つまり、私は今のままでいいのかしら」

乃々香「今のままでい続けるのがいいかはわからないけど、無理をして変わる必要はないんじゃないかな。少なくとも、私は今の汐音のことが好きだよ」

汐音「ふ、ふうん……///」

乃々香「汐音は?」

汐音「え?」

乃々香「汐音は、私と一緒にいて、疲れたりしない?」

汐音「……あたりまえでしょ。私も、乃々香の隣が一番落ち着く。乃々香は大切な友達よ」

乃々香「えへへ。ありがと」

汐音「それに……私も、乃々香のことは大好きだから」ボソッ

乃々香「え? なにかいった?」

汐音「なんでもないわ」

終わり

15: 2015/02/01(日) 23:13:12.28 ID:1vfWud8K0
ののしおもっとください

18: 2015/02/02(月) 00:09:12.71 ID:+NvDc7eNo
大層おつであった

引用元: 汐音「ののかー!」