2: 2014/09/06(土) 16:14:55.33 ID:yZLbCpQ60
―第501JFW ロマーニャ基地―
エーゲル部屋
バルクホルン「いいかハルトマン! 朝はきちんと起きて、指定時刻までに朝食を済ませるんだぞ!? 勿論、制服に着替えてからだ!」
エーリカ「…ん~」モゾ
バルクホルン「私の用意した訓練メニューも毎日こなすんだぞ!? ミーナにチェックしてもらうからな!」
エーリカ「ん~~…」モゾモゾ
バルクホルン「それから、これが最優先事項だが……ジークフリート線は絶対に超えるな!! 私のスペースを使用するのは構わんが――」
バルクホルン「借用した物は片す! 元に戻す!! 清潔にすること!! いいな?」
エーリカ「はいはい、いってらっしゃーい……」モゾ
バルクホルン「聞いているのかっ!!」
3: 2014/09/06(土) 16:15:49.70 ID:yZLbCpQ60
エーリカ「…ぅん……起きる…おきるから………あと10分…」
バルクホルン「~~~ッ!! もうしらん!」プイ
バルクホルン「まったく…!」スタスタ
エーリカ「……ぁ、トゥルーデ行くの?」ムク
バルクホルン「ふん! 私の居ない間、好きなだけ寝るがいい。 だが後悔するのはお前だか――」プンスカ
エーリカ「いってらっしゃい! 成功、祈ってるよ?」
バルクホルン「! ………ああ、行ってくる」ニッ
ガチャ パタン
エーリカ「……」
エーリカ「…それじゃ、寝よーっと」グデ
4: 2014/09/06(土) 16:20:59.74 ID:yZLbCpQ60
執務室
バルクホルン「ミーナ、失礼する! 私はそろそろ発つが、ヘルマ曹長の件は――」ガチャ
ミーナ「あら、丁度良かったわ! ……ヘルマさん、今のうちよ? 挨拶だけでも」
ヘルマ「…っ!! ば、バルクホルン大尉!!?」ドキィ
バルクホルン「ヘルマ曹長! もう着いていたのか」
ヘルマ「は、はい…!! 申し訳ありません!!」ペコー
ミーナ「ヘルマさん、そこは謝る必要はないわよ?」アラアラ
バルクホルン「すまなかったな曹長、せっかくここまで足を運んでもらったのに」
ヘルマ「い、いえ!! 大尉は大変に優秀で、お忙しい身でありますからっ! ……きょ、恐縮ながら“極秘の任務”、成功を祈らせていただきますっ!!」ビシッ
5: 2014/09/06(土) 16:25:15.44 ID:yZLbCpQ60
バルクホルン「……曹長になんて言ったんだ、ミーナ?」ジト
ミーナ「うふふ、給金を積み立ててようやく訪れた日よ? 妹さんの手術、私も成功を祈らせてもらうわ」
バルクホルン「…う、うむ。 ありがとう」
ウルスラ「私も請謁ながら応援させていただきます」ニュ
バルクホルン「わっ!?」ビク
ウルスラ「しかし残念です。 改良したジェットストライカーについて、ご意見を頂きたかったのですが」
バルクホルン「う、ウルスラ中尉か…(気づかなかった!)」
6: 2014/09/06(土) 16:30:20.14 ID:yZLbCpQ60
ウルスラ「ご無沙汰しております、バルクホルン大尉」
ヘルマ「中尉!! バルクホルン大尉殿に対していささか失礼かと思います! まずは挨拶が先では!?」
ミーナ「大丈夫よヘルマさん、落ち着いて」
バルクホルン「…そうか、元々ジェットの件でふたりとも来たんだったな?」コホン
ウルスラ「はい。 前回の実地試用トラブルで発覚した問題点を踏まえて、まずは使用者の安全を最優先にした改良型のトライアルをさせていただきます」
ミーナ「ヘルマさんと実験機体を数日間預かって記録をとる話だったけど、ウルスラ中尉はまた貴女にも試乗してもらおうと期待していたそうよ?」ウフフ
ウルスラ「前回の事もありますし、本格的な実測は本機テストパイロットが行います。 大尉にはその後に簡単に試乗していただいて、所感を頂戴できればと思いましたが……またの機会という事になりそうです」
7: 2014/09/06(土) 16:34:31.29 ID:yZLbCpQ60
バルクホルン「それはすまなかった。 …約束はできないが、もしかしたら引上げまでには戻れるかもしれない。 その時は是非履かせてもらおう」
ウルスラ「…はい、わかりました。 楽しみにしております」
ミーナ「……それでね、バルクホルン大尉? ヘルマさんの滞在中の監督役とデータ測定の航空指導役なんだけど――」
バルクホルン「すまないミーナ。 …私としたことが準備でバタついてしまって、まだ代わりの手配を付けていないんだ」
ミーナ「あら、そうなの? ……困ったわね、貴女の事だからと完全にあてにしていたわ」
ヘルマ「任せてください! この“ハルプ”のヘルマ・レンナルツ曹長、ひとりでも立派に役目を果たしてみせますっ!」ピッ
ウルスラ「いえ、必ず指導員を付けてください。 よろしくお願いします」
ヘルマ「ちゅ、中尉~!?」ガーン
8: 2014/09/06(土) 16:41:27.94 ID:yZLbCpQ60
ウルスラ「私の立場から言えることではありませんが、先行実験体の一員ならばそういう自覚は不可欠なのではありませんか? 曹長」
ヘルマ「ぅ……申し訳ありません…」シュン
バルクホルン「しかし、その意気は大切だぞ曹長」ポン
ヘルマ「た、大尉…!///」ジーン
バルクホルン「……ミーナ、ヘルマの監督役は少佐に任せたいと思うのだがどうだ?」
ミーナ「そうねぇ…。 生活面での監督なら最適任だけど、時間の調整がつくかしら…?」
ミーナ「…ジェットに関しては超スピードの測定もあるし、面倒見もいいシャーリーさんとかも私は良いと思うけど」
10: 2014/09/06(土) 16:47:54.76 ID:yZLbCpQ60
バルクホルン「リベリアンだと? 絶対駄目だ!!」
ミーナ「そ、そう…?」
バルクホルン「ヘルマ曹長は誰かと違って規律に正しく、素直で、真面目なカールスラント軍人の新芽だ! 他の者に任せたらこいつの有望な将来像を歪める恐れが、大いに、有りうる!」
ウルスラ「……」クイ
バルクホルン「少佐かミーナが望ましい。 それ以外はやめてくれ」
ヘルマ「…大尉? 少佐…とおっしゃいますと、まさかあの“扶桑のサムライ”でありますか?」
バルクホルン「ああ。 私の尊敬するウィッチの1人だ」
ヘルマ「…! た、大尉の尊敬に価する方でありますか!?」ムフー
11: 2014/09/06(土) 17:09:48.70 ID:yZLbCpQ60
バルクホルン「ウィッチとしての実力もそうだが、後進への指導に関しても大変優秀な人だ。 少佐から学べる事は本当に多い」
ヘルマ(あ、憧れのバルクホルン大尉の……先生!!)キラキラ
ヘルマ「…わたし! その方に是非ともご指導たまわりたく思います!!!」
ミーナ「……わ、わかりました。 けど…楽じゃないわよ? いいのね、ヘルマさん?」
ヘルマ「はい!! 自分の望むところであります!!」
ウルスラ「……」
バルクホルン「よくぞ言った、曹長! それでこそカールスラント軍人だ!」ガシッ
ヘルマ「ありがとうございますっ!!//」
12: 2014/09/06(土) 17:13:55.48 ID:yZLbCpQ60
バルクホルン「……よし! お前を真のカールスラント軍人と見込んで頼みがある。 私が留守の間、あのエーリカ・ハルトマンの自堕落が悪化しないよう指導してやって欲しい!」
ヘルマ「は、はい!! ……更正させてしまっても構わないでありますか!?」
バルクホルン「ほぅ、言うな曹長? …勿論だ、期待するぞ!」
ヘルマ「お任せください!!!///」
ミーナ「…完全に言い成りね」アラアラ
ウルスラ「はい」
バルクホルン「よし! ならば宿は私の部屋を使うがいい、不在中の管理を頼んだぞ?」
ヘルマ「ひぇ!!!? たたた、大尉殿のお…お部屋をであっ……ありましゅか!?!?///」アワワ
13: 2014/09/06(土) 17:16:17.65 ID:yZLbCpQ60
バルクホルン「……あ、すまない。 ハルトマンの監視には最適の場所なのだが、他人の部屋はやはり嫌か。 なら――」
ヘルマ「いぃいいえっ!! そのようなことは決して、けっっっしてありません!! 光栄の極みであります!//」ペコペコ
バルクホルン「そうか、それはよかった」ゴソ
バルクホルン「…これは私の外泊先の番号だ、なにかあれば遠慮せずに連絡をしろ?」ピラ
ヘルマ「はい!! 毎日報告するでありますっ!///」
ミーナ「……程々にね、ヘルマさん」
※そしてお姉ちゃんは真の妹の所へ旅立った
14: 2014/09/06(土) 17:41:38.68 ID:yZLbCpQ60
基地ハンガー
ミーナ「――というわけなんだけど、お願いできるかしら坂本少佐?」
美緒「バルクホルンにそこまで言われてしまっては断れんな…」ムゥ
美緒「……うむ、委細承知した! 私が預かろう」
ヘルマ「ありがとうごさいます!!」
ウルスラ「よろしくお願いします、坂本少佐」
ウルスラ「……では、ツヴァイ〈実地用試作2号機〉の搬入も終わりましたので私はそろそろ失礼します」
美緒「む? ウルスラ中尉は帰ってしまうのか?」
15: 2014/09/06(土) 17:43:47.93 ID:yZLbCpQ60
ウルスラ「はい。 本来であれば、テストの安全も考えて開発者が絶対に立ち会うべきなのですが……技術省の人手も慢性的に不足しているので」
美緒「そうか。 それは仕方ないな」
ウルスラ「引き上げ日にはまた朝からお邪魔して、最終テストに立ち会わせていただきますのでよろしくお願いします」
ミーナ「ええ。 …それじゃあ私はウルスラ中尉を輸送機まで見送りしてくるから。 坂本少佐、あとをお願いするわね?」
美緒「了解した」
ウルスラ「ヘルマ曹長。 ジェットツヴァイは、安全装置は付いていますが試作機です。 運用には十分注意してください」
ヘルマ「了解であります!」
ウルスラ「……それでは失礼します」ペコ
スタスタスタ
16: 2014/09/06(土) 17:50:52.86 ID:yZLbCpQ60
ヘルマ「っ……」ドキドキ
美緒「…ふむ。 では先ず、何からするべきか――」
ヘルマ(とても大きく眩しい背中…!)
。
○
~~~~~~~~~~~~~~
〈※ヘルマ ヴィジョン〉
美緒「そうだな、やはり――」キラキラキラリ
~~~~~~~~~~~~~~
○
。
ヘルマ(一糸乱れぬ姿勢に佇まい…! 輝くオーラ! さすがバルクホルン大尉の先生であります!)
17: 2014/09/06(土) 17:53:15.39 ID:yZLbCpQ60
美緒「――よし! では時間がとれるうちに早速始めたいのだが、いいか?」クル
ヘルマ「い、イエスマムッ!(こんな機会二度とないかもしれない! 大尉、私頑張るであります!)」ビッ
美緒「お、張り切っているな? ………えーっと…すまない」
ヘルマ「はいっ! カールスラント空軍131先行実験隊第3中隊所属、ヘルマ・レンナルツ曹長であります!」ビシ
美緒「わっはっは! そう力む必要はない、なおれ」
ヘルマ(なんと器の大きい!!)ジーン
美緒「私は扶桑海軍原隊少佐、現501“ストライクウィッチーズ”の坂本美緒だ。 バルクホルンが不在故、代わりに曹長のここでの生活の監督とユニットデータ収集任務の航空指導役を務める。 以後よろしく頼むぞ?」
ヘルマ「はい! よろしくお願いします、大先生!!」キビ
18: 2014/09/06(土) 17:56:43.96 ID:yZLbCpQ60
美緒「む? ……なんだそれは?」
ヘルマ「も、申し訳ありません!! バルクホルン大尉殿の先生でいらっしゃると伺いましたのでっ!」
美緒「いや、別に謝る必要はないのだが(いつの間にか、私はバルクホルンの師になっていたのか…!)」ムムゥ
ヘルマ「はい! も、もうしわけありませんっ!!///」
美緒「(2~3言葉を交わしただけで精一杯になっているな…)……訓練校の生徒にも似た様な者がいたか?」タシカ
ヘルマ「~~っ!///」キンチョー
美緒「……ヘンナルツ曹長、少し硬すぎる。 ひとつ笑ってみろ?」
ヘルマ「えっ!?」ビク
19: 2014/09/06(土) 17:58:12.69 ID:yZLbCpQ60
美緒「いくらなんでもそれでは話にならん。 緊張を笑い飛ばして少し楽になれ」
ヘルマ「しし、しかし…! どうすれば…!?」
美緒「笑い方も知らんのか、困ったやつだな? わっはっは!」ベシ
ヘルマ「へぅ!?」
美緒「さぁ私に続け!! 命令だ! わっはっはっは!」
ヘルマ「ふぁ………は、はっはっはー」
美緒「わーっはっはっはっは!! いいぞ、もっとだ!」ワッハッハ
ヘルマ「わ、…わーっはっはっはー」
――――
――
―
21: 2014/09/06(土) 23:07:12.25 ID:yZLbCpQ60
――――
――
―
ヘルマ「……ぜぇ…はぁ…」ガク
美緒「うむ。 適度に背筋も曲がり、良い感じに柔らかくなったな」
ヘルマ「は、はぃ…」
美緒「では、いよいよ本題に入るぞ?」
ヘルマ「イエスマム!」
美緒「……資料によれば、最初のテストは起動および安定離着陸の評価だな」ペラ
美緒「これは…、記録は私がとるのか?」
ヘルマ「いえっ! 自分が結果を即日にまとめて、報告書で提出するであります!」
22: 2014/09/06(土) 23:09:39.72 ID:yZLbCpQ60
美緒「そうか。 しかし纏めるにしても、その場で記録する必要はあるだろう。 曹長はテストに集中すべきだし、…私が結果をメモしておこう」
ヘルマ「恐縮至極であります!」
美緒「…よし、それでは早速準備をしろ」
ヘルマ「了解であります!」ダッ
美緒「? ……おい、止まれ! どこへ行く!?」
ヘルマ「えっ? …す、ストライカーを――」
美緒「何を言っている。 ストライカーユニットを履く前に、まずはお前の基礎力のチェックだ」
ヘルマ「…?」
美緒「滑走路へ行くぞ? さっさと済ませて直ぐテストに移るからな」
ヘルマ「……??」ポケ
美緒「ボケっとするな、急げっ!!」カッ
ヘルマ「っ!!? ひゃい!」ビクゥ
23: 2014/09/06(土) 23:17:14.10 ID:yZLbCpQ60
滑走路
美緒「どうした!! もうへばったかっ!? ペースを落とすな!」
ヘルマ「い、……イエ~ス…マム」タッタッタ
美緒「その程度ではレシプロも履かせられんぞっ! それで本当にジェットのパイロットなのか!!」
ヘルマ「うぅ……っ…グス……」タッタッタ
美緒(…んー確かに、バルクホルンが目をかけるだけは有りそうだ。 見た感じの年齢を考えれば、そう悪くはない)
ヘルマ「ひぃ……へぅ…っ……ぜぇ…!(こ、こんなに走るなんて生まれて初めてで……もぅ…~)」タッタッタ
美緒「馬鹿者!! 下を向くな!」ビシ
24: 2014/09/06(土) 23:24:46.21 ID:yZLbCpQ60
――――
――
―
ヘルマ「」チーン
美緒「ふむ、この辺りが限界か」
ヘルマ「……ぐ…」
美緒「大丈夫か、レンナルツ曹長? …水だ」バシャー
ヘルマ「わぁっぷ!? ご、ゴホ…っ!」
美緒「いつまでも寝ているな。 何日で任務を消化する気なのか知らんが、今日のテストは無しにするか?」
ヘルマ「…い、いえ…っ! やるで…あります!」ゼェハァ
25: 2014/09/06(土) 23:29:18.12 ID:yZLbCpQ60
美緒「わかった、……飲み水とタオルはここに置いておく。 私の準備が終わるまでに格納庫へ戻ってこい」トス
美緒「……良い根性だったぞ、曹長?」
ヘルマ「!」
美緒「ルーキーにしては、だがな」スタスタ
ヘルマ「…~っ……」ゼェゼェ
ヘルマ「……」
ヘルマ「ふへへ………やりました、大尉…」グデ
28: 2014/09/07(日) 13:09:44.82 ID:JlAbevYf0
格納庫
美緒「安全確認!」
ヘルマ「アイマム! 安全確認! 準備完了であります!」ピシ
美緒「……曹長、口だけでは意味ないぞ? そこの留め具が閉まったままだ」
ヘルマ「へ? ……あっ!!///」
ヘルマ「もも、申し訳ありませんっ~~!」カチャカチャ
美緒(そそっかしい所も誰かに似ているな)
ヘルマ「……出来ました! 準備完了であります!」
29: 2014/09/07(日) 13:12:42.00 ID:JlAbevYf0
美緒「よし、非常時の対応については問題ないか? 私はこの機体にそこまで詳しくはない」
ヘルマ「はいっ! 事前に研修は受けているであります!」
美緒「……研修さえ受ければ大丈夫、ということか曹長?」ジロ
ヘルマ「いえっ!! 自分でシミュレートも重ねました!」
美緒「いくつだ?」
ヘルマ「5回であります!」
美緒「甘い!! 10回はやれ!」
ヘルマ「申し訳ありません!!!」ビシ
美緒「…まあいいだろう。 それでは魔導エンジン起動のテストに入る。 ストライカー装着用意!」
30: 2014/09/07(日) 13:15:10.23 ID:JlAbevYf0
ヘルマ「イエスマム!」クツヌギ
ヘルマ「……」ステテテ
ヘルマ「完了であります!」
美緒「遅い!!」
ヘルマ「も、申し訳ありません!!」
美緒「ストライカーを履いていないからと気を抜くな! …装着っ!」
ヘルマ「装着!」ピョン
シュポッ
31: 2014/09/07(日) 13:16:45.51 ID:JlAbevYf0
ヘルマ「装着完了であります!」ピョコ
美緒「エンジン起動!!」
ヘルマ「イエスマム!」フィィィン
ゴォォオオオォオオ
美緒(相変わらず凄まじい轟音だな…)
ヘルマ「~~!//(あぅ……やっぱり少しもよおしが…)」ムズ
美緒「よぉし! しばらくそのままだ、曹長!!」
ヘルマ「りょ、了解であります…!」
32: 2014/09/07(日) 14:13:33.77 ID:JlAbevYf0
ゴォォオオォオ
美緒「……エラー無し、後はー…圧力数値? ………これか。 うむ、安定しているな」フムフム
美緒「起動テスト完了、次は離着陸の確認か」スッ
美緒「管制、こちら坂本だ。 テスト機が出るぞ、進路の確認を頼む」
ガザッ
『はっ! …進路クリア、風は北北東に微風。 行けます』ガザザ
美緒「了解。 風速値とテスト機速度の記録も忘れるな?」
『管制、了解!』
33: 2014/09/07(日) 14:16:39.47 ID:JlAbevYf0
美緒「曹長―! 離着陸テストへ移行するー! 発進しろぉ!」
ヘルマ「はいぃ! ……ヘルマ・レンナルツ、ジェットツヴァイ発進であります!」
ゴァァアオオォ
ビュォォオンッ
美緒「っ…! なんて離陸スピードだ、これが噴流式か…!?」バサバサ
ヘルマ「っ…!」ビュオォオオ
美緒「……難なく発った。 やはりアレが普通なのか…、間近で見ると違うな」
美緒(しかし、流石テストパイロットと言ったところか? あの急出力をコントロールするとは)
美緒「多少とも履き慣れてはいるのだろうが……大した才能だな」フッ
34: 2014/09/07(日) 14:20:21.89 ID:JlAbevYf0
――――
――
―
美緒「機体にさしたる問題は今の所無い。 曹長、身体に異変は無いか?」
ヘルマ「はい! 問題ありません」
美緒「……ここに関して強がる必要はないぞ? 何か感じたら正直に言え?」
ヘルマ「アイマム!」
美緒「うむ。 …そろそろ昼食だな、午前はこの辺にしておこう」
美緒「レンナルツ曹長は荷物を部屋に置いてから食堂に来い。 場所は解るか?」
ヘルマ「あ、いえ……宿舎にはまだ」
美緒「そうか。 ならば案内しよう、ついて来い」スタスタ
ヘルマ「はい!」トテテテ
35: 2014/09/07(日) 16:32:05.46 ID:JlAbevYf0
宿舎 エーゲル部屋
ヘルマ「……な、なんでありますかこれは…!?」ワナワナ
美緒「バルクホルン大尉とハルトマン中尉の部屋だ。 確か曹長はバルクホルンの部屋に泊まるんだったな?」
ヘルマ「あ……あぅ…」
美緒「安心しろ、お前が寝るのは左ではなく右のスペースだ」
ヘルマ「そ、そういう問題では……(なんですか…左の、この散らかり方は!?)」アワアワ
美緒「少ししたら迎えに来る。 着替えが必要なら済ませておけ」
――パタン
36: 2014/09/07(日) 16:35:45.02 ID:JlAbevYf0
ヘルマ「……バルクホルン大尉はこのような場所で毎日過ごされて…?」キョロキョロ
ヘルマ「…さすが大尉殿のスペースは整頓が行き届いています!」スタスタ
ヘルマ「荷物はここへ起かせていただきましょう。 …よいしょ」トサ
ヘルマ「……」
ヘルマ「…………(あの恐ろしい無秩序空間も気になりますが、その前に…)」チラ
ヘルマ「…大尉のベッド……であります…」ドキドキ
ヘルマ(違います、違いますっ! 私は決してそういう趣味の人ではありません! 憧れの大尉殿にそんな無礼な事は断じて許されません!!)ブンブン
ヘルマ「……しかし、意識してしまうのもまた事実…」ソー
37: 2014/09/07(日) 17:18:53.59 ID:JlAbevYf0
ヘルマ「っ…///」ゴクリ…
ポフッ
ヘルマ「~~! ///」
ヘルマ(な、なんて柔らかい! それになぜか暖かい!! こ、これが憧れのバルクホルン大尉の――)サスサスサスサス
『ぅあっ…なんだ~? 誰だよ…、くすぐったぃ』
ヘルマ「えっ!??」
モゾモゾ
エーリカ「ふわぁ~~……もうお昼?」ムクリ
ヘルマ「なっ…! エーリカ・ハルトマン中尉!?」
38: 2014/09/07(日) 17:22:23.08 ID:JlAbevYf0
エーリカ「ん? ……あ、ヘルマじゃん。 久しぶりー…遊びに来たの?」
ヘルマ「ぇ…、あれ?? だってこっち側は大尉殿のスペースだって…。 ……ま、まさかあのゴミ屋敷がバルクホルン大尉の…!」
エーリカ「む? ゴミ屋敷だなんて失礼だなー、私なりに整頓してあるんだから!」
ヘルマ「…よかった、やはり大尉はこっちですよね」ホッ
エーリカ「言っておくけど、私も上官だからね?」ムッ
ヘルマ「ならば上官らしく、こんな時間に居眠りはやめてください! そもそもどうして中尉がこちらのベッドで寝ているのですか!?」
エーリカ「え? だってこっちの方が綺麗だし、トルゥーデは今いないからね」ゴロン
ヘルマ「そんなもの、屁理屈にもなりません! 起きてください!!」バサッ
エーリカ「……あーもー、トルゥーデがいないと思ったら同じようなのが来た…」
39: 2014/09/07(日) 17:24:03.06 ID:JlAbevYf0
ヘルマ「さぁ! ご自分の場所へ戻ってください! ここはバルクホルン大尉殿のお部屋です」
エーリカ「…それってさ、トゥルーデからの伝言?」
ヘルマ「ぇ…?」ピク
エーリカ「ヘルマの言う通り、ここはトゥルーデの場所だよね。 だから持ち主のトゥルーデがそう言うなら、私はどくよ」
ヘルマ「……」
エーリカ「トゥルーデが私にどけって言ったの?」
ヘルマ「ぁ……いえ、私の判断で…あります」
40: 2014/09/07(日) 17:25:11.52 ID:JlAbevYf0
エーリカ「じゃあ仕方ないね。 おやすみ」ゴロン
ヘルマ「は、はい。 ……失礼しました」
エーリカ「~zzz」
ヘルマ「……」ポカーン
ガチャ
美緒「曹長、荷下ろしは済んだか? 食堂へ行くぞ」
42: 2014/09/07(日) 17:29:41.94 ID:JlAbevYf0
廊下
美緒「……」スタスタ
ヘルマ「……」スタスタ
ヘルマ「…? ……――」ピタ
ヘルマ「!! …やっぱりおかしいですっ!」
美緒「どうした、いきなり?」ピタ
ヘルマ「騙しましたね、中尉――!!」ズンズン
43: 2014/09/07(日) 17:31:41.86 ID:JlAbevYf0
美緒「おい、どこへ行く?」グイ
ヘルマ「…ハルトマン中尉を起こしに行くであります!」プンスカ
美緒「放っておけ、煙に巻かれたお前の負けだ」
ヘルマ「そんな、大先生までっ…!?」
美緒「行くぞ」スタスタ
ヘルマ「……あうあぅ~~~」ズルズル
45: 2014/09/07(日) 17:42:25.18 ID:JlAbevYf0
― 午後 ―
美緒「さて、食後間も空かずに悪いがテストの続きだ」
ヘルマ「アイマム!」
美緒「午後は宮藤達の訓練を見なくてはならんのでな。 あまり時間は取れん、急ぐぞ」
ヘルマ「…恐れながら大先生!」ビシ
美緒「ん? なんだ?」
ヘルマ「ジェットツヴァイのテスト任務は、一日一項目の消化で良いと上から指示を受けているであります!」
美緒「そうなのか。 …ならば続きは明日へまわすか?」
ヘルマ「私は平気であります!! しかし、大先生のお時間が…」
46: 2014/09/07(日) 17:46:53.83 ID:JlAbevYf0
美緒「……んー、まぁ正直予定がズレ込む覚悟でいたが――」
美緒「…そうか、わかった。 すまないがテスト任務は明日から続きだ」
ヘルマ「イエスマム!」
美緒「ではお前もこの後、1330時にハンガー出口へ集合しろ」
ヘルマ「ぇ…? なにをするのでありますか?」
美緒「残り一日遊べるとでも思ったか? お前も一緒に訓練だ」
ヘルマ「!!!」ビクッ
美緒「心配するな、今日はお前のために特別メニューにしてやろう!」ワッハッハ
ヘルマ「あ、あわわわ……」ガクガク
47: 2014/09/07(日) 17:50:06.81 ID:JlAbevYf0
― 数時間後 ―
ヘルマ「」チーン
芳佳「はぁ……はぁふ…」
リーネ「……ケホッ……はぁ…」
美緒「よぉし! 今日の訓練はここまでだ! 残りはしっかり休め」
リーネ「あ、ありがとうございましたぁ…」
芳佳「…シャワーしに行こうリーネちゃん? 坂本さん達もどうですか?」
美緒「私は諸用があるので遠慮しておこう、…レンナルツ曹長を連れて行ってやってくれ」
芳佳「わかりました!」
美緒「……では解散」スタスタ
48: 2014/09/07(日) 17:52:08.03 ID:JlAbevYf0
芳佳「……ヘルマちゃん、ここのお風呂初めてだよね? 一緒に行こうよ?」チラ
ヘルマ「」
芳佳「…あれぇ? どうしたの、ヘルマちゃん?」
リーネ「芳佳ちゃん、ヘルマさん気絶してる…」
芳佳「そっかぁ。 ……よし、こんな時はアレだね!」
リーネ「ぇ…! もしかしてアレをやるの、芳佳ちゃん?」オズオズ
芳佳「うん! 私達がこうなっちゃった時も、よく坂本さんがやってくれたよね?」ヨイショ
リーネ「う、うん……でも私はあまり――」
芳佳「それ!」バシャシャー
ヘルマ「っ…!? ぅわっぶ!! ゲホッ、…ガボボ!?」
49: 2014/09/07(日) 17:55:49.12 ID:JlAbevYf0
― 夜 ―
通信室
バルクホルン『そうか、それは大変だったな』
ヘルマ「は、はい…」グッタリ
ヘルマ「……しかし坂本少佐は大尉殿のおっしゃったとおり、規律に正しく、素晴らしい方でありました!」
バルクホルン『そうだろう? 確かに特別厳しいと感じるかもしれないが、少佐のそれは考え尽されてのことだ。 しっかり付いて行けば、必ず見えるものが有る筈だからな?』
ヘルマ「はい! 頑張るであります!」
バルクホルン『うむ、その調子だヘルマ曹長』
ヘルマ「大尉殿も極秘の任務、頑張ってください!」
バルクホルン『ふふ、ありがとう。 今日は一通り説明を受けてな、…明日から遂に始まるんだ』
50: 2014/09/07(日) 17:57:34.16 ID:JlAbevYf0
バルクホルン『明日は晩くまで宿にはいないだろうから、何かあればフロントに伝言を残しておいてくれ』
ヘルマ「了解であります!!」
バルクホルン『ではな、ヘルマ曹長。 ハルトマンの起床…頼んだぞ?』
ヘルマ「お任せください! 必ず私が更正させるであります!!」
バルクホルン『ああ、楽しみだ。 ……おやすみ、曹長』
ヘルマ「お、おやすみなさいませっ!!//」ドキィ
――ブツッ
ヘルマ「~~…… ///」
ヘルマ「……」カチャン
ヘルマ「……よぉーーし! 明日も頑張るでありますっ!!」ムフー
【ヘルマちゃんの501生活】~初日編~
完であります!
51: 2014/09/07(日) 18:00:53.53 ID:JlAbevYf0
山も落ちも無くてごめんなさい
また気がむいたら続きスレ立てます
また気がむいたら続きスレ立てます
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