1: 2013/03/02(土) 02:17:35.61 ID:NQuFsC2F0
美穂子「冗談…ですよね?」

久「いえ、本気よ?」

美穂子「なんでですか!?悪いところがあれば直します!言ってください!!」

久「はぁ~。あのね、私はあなたのそういうところが嫌なの」

久「正直もうこっちも限界なのよ。ここまで言われれば幾らあなたでも分かるでしょ?」

美穂子「嫌です!私は絶対に別れません!!」

久「………」

久(私だって本当は別れたくなんかないわよ…。)

久「…さよなら、美穂子」

美穂子「待って!!上埜さ……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2: 2013/03/02(土) 02:19:01.96 ID:NQuFsC2F0
ピピピピピピッ

久「…んっ、んんん~、朝かぁ。ふわぁ~っ」

久(またあの日の夢かぁ)

久(美穂子と別れてから数年が経った今でも、私はまだ夢に見てしまう)

久(自分で振っておいて…全く未練がましいったらありゃしない)

久「……ま、仕事にいきますか」

3: 2013/03/02(土) 02:20:20.34 ID:NQuFsC2F0
久(私は大学を卒業後教師となり、母校の清澄高校へと舞い戻った)

久(なかなか手のかかる子達ばかりだけど、それでも毎日退屈しない日々を過ごしている)

久(ちなみに偶然にも…)

加治木「おはようございます、竹井先生」

久「あら、二人で話す時は下の名前でって言わなかったっけ?」

加治木「ああそうだったな、久」

久(ゆみと一緒の職場だったりするのよね)

4: 2013/03/02(土) 02:23:34.47 ID:NQuFsC2F0
~~~放課後の職員室~~~


久「ん~~ッ!今日の仕事終了!!」

加治木「お疲れ様」

久「さてと、ゆみはこれから何か用事とかある?」

加治木「いや、私は特にないが」

久「そっ、じゃあ一緒にお酒でも飲みに行かない?この前良い店見つけたのよ~」

加治木「そうだな、偶には同僚と親睦を深めるのも悪く無いか」

久「決まりね。ささっと行きましょ」

加治木「ちょっと待て、モモに連絡を入れる」

久「あらあらお熱いことで」

加治木「お前にだって福路がいるだ……いや、すまん失言だった」

久「……いいのよ、もう」

加治木「久…」

5: 2013/03/02(土) 02:25:18.18 ID:NQuFsC2F0
久(自分で言うのもなんだけど私はモテる方だ)

久(大学時代なんて可愛い子を取っ替え引っ替え何人も落としてきた)

久(ほんと我ながら節操がなかったと思う)

久(ただ、それでも美穂子は私の側にいてくれた)

久(それが嬉しくて、嬉しくて嬉しくて、堪らなかった)

久(でも、だからこそ彼女には幸せになって欲しくて…)

6: 2013/03/02(土) 02:27:22.44 ID:NQuFsC2F0
~~~とあるバー~~~


久「さぁて、明日は休みだし今日はジャンジャン飲むわよ~!」

加治木「それは構わないが酔い潰れるのは勘弁してくれよ」

久「大丈夫大丈夫、そこら辺はちゃんと弁えてるから」

加治木(前に飲んだ時もそう言ってベロンベロンになってたんだが…)


---数時間後---


久「だ~か~らぁ、わたしわぁ~、いまでもみほこがぁ~~」

加治木(やはりこうなったか…)

7: 2013/03/02(土) 02:29:40.73 ID:NQuFsC2F0
加治木「ほら、肩貸すから駅のタクシー乗り場までいくぞ」

久「はいはいはーいっ!おぶってくださ~い」

加治木「ばっ…!ほらっ、いいから歩く!!」

久「も~、あいかわら~ず、ゆ~ず~がぁきかないわねぇ~」

加治木「まったk……ん?あれは…」

久「ん~~~?どうかしたの……って、え、美穂…子…?」

8: 2013/03/02(土) 02:32:02.16 ID:NQuFsC2F0
美穂子「今日もお仕事ご苦労様です」

華菜「え、美穂子!?わざわざ迎えに来てくれたし?」

美穂子「ふふっ、一生懸命働いてきた旦那様を出迎えるのは妻の役目よ、華菜」

華菜「いやぁ~、何だか照れるし///」

華菜「よーし、なら今日は華菜ちゃん頑張っちゃおうかなぁ!」

美穂子「華菜っ!?もうっ、こんな場所でそんなこと言わないで///」

華菜「だって美穂子があまりにも……って、あれ鶴賀のキャプテンじゃないか?あと隣にいるのは……」

美穂子「え?加治木さ…………上埜………さん……」

9: 2013/03/02(土) 02:34:10.76 ID:NQuFsC2F0
加治木「や、やぁ奇遇だな」

華菜「……美穂子、早く帰ろう」

久「………美穂子」

美穂子「………」

華菜「おい清澄!気安く『うち』の美穂子に話しかけるな!!」

美穂子「華菜っ!!」

久「うちのって…え……?二人は、その………結婚………したの?」

華菜「そうだし!だからもうキャプテンには関わるなし!」

美穂子「…………ごめんなさい……上埜さん………………ごめんなさい………」

10: 2013/03/02(土) 02:35:11.70 ID:NQuFsC2F0
久(それから先のことはよく覚えていない)

久(気が付いたら私はゆみの部屋のベッドに寝ていた)

久(ゆみの話によれば私は一晩中泣き続けていたらしい)

久(ただ過去への後悔と懺悔の言葉を吐きながら…)

12: 2013/03/02(土) 02:36:51.24 ID:NQuFsC2F0
~~~ゆみの部屋~~~


加治木「落ち着いたか?」

久「ええ、大分ね」

加治木「そうか…」

久「………」

加治木「そういえば、これ、久に渡してくれって福路かr…」

久「貸して!!」バッ!!

(明日の同じ時間、繁華街の近くの公園で待っています 美穂子より)

加治木「………行くのか?」

久「……」

加治木「お前の問題だから口は出さないが、きっと辛いぞ」

久「それでも…私は行かなきゃいけないの」

加治木「そうか…」

13: 2013/03/02(土) 02:37:51.90 ID:NQuFsC2F0
久「ほんとありがと、今度しっかり埋め合わせするわ」

加治木「ああ、期待して待ってる」

久「じゃ、またね」

バタンッ

加治木「頑張れ…久」

14: 2013/03/02(土) 02:39:06.05 ID:NQuFsC2F0
久(今更何を言ってもどうにもならない)

久(もう二度とあの日に戻ることは出来ない)

久(それでも会わなければいけない)

久(あの日からまだ繋がっている私たちの絆に決着を付けるため)

久(そうでしょ、美穂子)

15: 2013/03/02(土) 02:40:38.57 ID:NQuFsC2F0
~~~美穂子サイド~~~


美穂子(数年前のあの日、私は上埜さんに振られた)

美穂子(何日もひたすら泣き続けた、本当に何日も)

美穂子(そんな時に親身になってくれたのが華菜で)

美穂子(華菜の優しさに触れ私は少しずつ元気を取り戻していった)

美穂子(そんな日々を紡ぎ合わせ、そして今は…)

華菜「美穂子?元気無いようだけど大丈夫だし?」

美穂子「ええ大丈夫よ、心配してくれてありがと、華菜」

美穂子(私は華菜と夫婦になった)

17: 2013/03/02(土) 02:42:24.12 ID:NQuFsC2F0
華菜「そう言えばこの前試合の帰りに文堂と会ったし!」

美穂子「まぁ文堂さんに?」

華菜「彼氏と一緒にデートしてる最中で、凄く幸せそうだったし」

美穂子「ふふふ、素敵ね」

華菜「しかしまさか文堂に彼氏が出来るとはなぁー、華菜ちゃん想定外」

美穂子「こら華菜、文堂さんに失礼よ」

華菜「えー、でも文堂だよ?プロ麻雀せんべいのカード集めが趣味のあの」

美穂子「確かにあまりモテそうにはない趣味だけど…ってそうじゃなくて!」

華菜「ほらキャプテンだってそう思ってるじゃないですかー、ニャハハ」

美穂子「もう華菜!」

美穂子(私はこうやって華菜と過ごす時間を大切に思っている、本当に大切に)

18: 2013/03/02(土) 02:44:12.27 ID:NQuFsC2F0
美穂子(でも私は気付けば加治木さんに上埜さんへのメッセージを手渡していた)

美穂子(華菜のことが好きで、華菜と過ごす時間は掛け替えのないもので)

美穂子(だけど、私はきっと今でも上埜さんのことを…)

華菜「………」

華菜「………竹井久」ボソッ

美穂子「!!?」ビクッ

華菜「…まだ、忘れられない?」

19: 2013/03/02(土) 02:46:17.92 ID:NQuFsC2F0
美穂子「そんなことは…」

華菜「…私は美穂子のことが好きだ!」

美穂子「華菜?」

華菜「竹井なんかよりもずっとずっと美穂子のことを想っている!!」

美穂子「………」

華菜「高校生だった時からずっと、本当にずっと!!」

美穂子「華菜…」

華菜「だから、だから、もし竹井のことが今でも忘れられないなら…」

華菜「…いいですよ?竹井のところに行っても」

美穂子「……え?」

20: 2013/03/02(土) 02:48:41.82 ID:NQuFsC2F0
華菜「私はキャプテンに幸せになって貰いたい」

華菜「そしてずっと幸せにする自信だってある」

華菜「でも、もし私じゃ駄目なら、私じゃ幸せに出来ないのなら」

華菜「私は、潔く身を引きます」

美穂子(華菜…今にも泣きそうなのを堪えて……)

美穂子(……私は一体何をやっているのだろう)

美穂子(こんな近くに、こんなにも私を想ってくれている旦那さんがいるのに)

21: 2013/03/02(土) 02:50:45.14 ID:NQuFsC2F0
美穂子(ずっと、会えたら話したいと思っていた)

美穂子(話したいことが沢山あった)

美穂子(ずっと、話を聞きたいと思っていた)

美穂子(上埜さんの声がもう一度聞きたいと思っていた)

美穂子(でも、私たちはもう、違う道を歩いてきたから…)

美穂子「華菜、私は……」

――――――
――――
―――
――

22: 2013/03/02(土) 02:52:42.59 ID:NQuFsC2F0
~~~公園~~~


久「…久しぶりね、美穂子」

美穂子「はい…上埜さん」

久「相変わらず、いえ、前よりずっと綺麗になったわね」

美穂子「上埜さんも、お変わりなく」

久「あら?私は成長してないってこと?」

美穂子「いえ!そういうわけでは!!」

久「ふふっ」

美穂子「クスッ」

23: 2013/03/02(土) 02:53:59.16 ID:NQuFsC2F0
久「……ねぇ美穂子、覚えてる?あの日のこと」

美穂子「………はい」

久「私ね、自信がなかったの」

美穂子「………」

久「こんな女にルーズな人間が美穂子みたいな人を幸せに出来るのかって」

美穂子「………」

久「私よりももっと良い人がいるんじゃないかって」

美穂子「………」

久(『そんな人いません!』って言ってはくれないのね、もう………)

24: 2013/03/02(土) 02:55:25.69 ID:NQuFsC2F0
久「だからあなたを振ったの」

久「限界だなんて言ったのも嘘、本当は日を重ねる毎にあなたをいっそう好きになっていった」

美穂子「上埜さん…」

久「………その指輪、綺麗ね」

美穂子「え?」

久「知ってる?互いに好き同士でも結ばれないことって、あるのよ」

美穂子「………はい、知っています」

久(そして私たちは笑いながら泣き合った)

久(まるであの頃の二人に戻ったかのように、長い時間ずっと…)

――――――
――――
―――
――

25: 2013/03/02(土) 02:56:59.64 ID:NQuFsC2F0
久「……じゃ、そろそろお別れね」

美穂子「…はい」

久「あ~あ、ホント過去の私に言ってやりたいわ、こんな良い女絶対に手放すなって」

美穂子「ふふっ」

久「……さよなら、美穂子。」

美穂子「さようなら上埜さん……本当に大好きでした」

久(こうして長かった私たちの恋は終わりを告げた)

26: 2013/03/02(土) 02:59:01.63 ID:NQuFsC2F0
~~~翌日学校にて~~~


加治木「おはようございます、竹井先生」

久「あら、二人で話す時は下の名前でって言わなかったっけ?」

加治木「その様子だとちゃんと決着を付けたみたいだな、久」

久「ええ、お陰様でね」

加治木「そう言えば埋め合わせをしてくれるんだったな、今日あたりどうだ?」

久「へぇ~、ゆみからお誘いなんて珍しいじゃない」

加治木「偶には、な」

久「ふふっ、いいわよ~、バッチリ奢ってあげるから覚悟しなさい?」

加治木「あぁ、覚悟しておくよ」

キーンコーンカーンコーン

久「おっと予鈴ね。さ~てっ、じゃあ今日も元気に働くとしますか!」


―――さようなら、美穂子。私もあなたのことが、本当に大好きだった。


カン!!

27: 2013/03/02(土) 02:59:53.59 ID:WsoRGiRn0

32: 2013/03/02(土) 06:36:58.96 ID:8cJDqxJX0
乙!

引用元: 久「私たちもう別れましょ」 美穂子「…え?」