1: 2009/11/27(金) 19:55:28.61 ID:r089hK3BO
翠星石「チビ雛、冷蔵庫なんか漁って何してやがるですか?」

雛苺「昨日の余りのうにゅーを食べるのよー!ん~…あったのー!」

翠星石「もう少ししたらスコーン作ってお茶にするから、それまで待つですよ!」

雛苺「ぶー……お絵かきして待ってるのよー」タタタ

翠星石「はぁ……まったく世話がやけるやつですぅ」

2: 2009/11/27(金) 19:58:30.49 ID:r089hK3BO
ガチャ

蒼星石「やあみんな、開いてたから入ってきちゃったけど……お邪魔じゃなかったかな?」

雛苺「蒼星石なのー!」

真紅「あら、今からくんくんを見る邪魔をしなければ歓迎するのだわ」

蒼星石「あはは、じゃあ歓迎されるように気をつけるよ」

翠星石「蒼星石!ちょうどスコーンを作るところだったですぅ!手伝うですよ!」

蒼星石「うぅ……タイミングが悪かったかな……」

3: 2009/11/27(金) 20:03:23.71 ID:r089hK3BO
―10時10分―


翠星石「まずは材料を揃えて……」

雛苺「ふんふーん♪」

蒼星石「それは何?蛇を切った断面かい?」

雛苺「うにゅーなのよー!蒼星石発想が気持ち悪いの……」

翠星石「蒼星石!油売ってる暇があったら手伝うですよ!」

蒼星石「あはは、はいはい」

真紅『くんくん……やっぱり何度見てもいいのだわ』

4: 2009/11/27(金) 20:05:47.69 ID:r089hK3BO
翠星石「これでよし……あとは焼くだけですぅ」

蒼星石「へー、思っていたより簡単なんだね」

翠星石「オーブンに入れて……15分にセットですぅ」ピッ

蒼星石「雛苺、もう少しで……って寝ちゃってるね」

雛苺「すぅ……すぅ……うにゅーおいしーのー……」

翠星石「まったくガキみたいなやつですぅ!」

蒼星石「あはは……」

真紅『くんくん!後ろよ!後ろなのだわ!』

7: 2009/11/27(金) 20:08:32.90 ID:r089hK3BO
―10時22分―


翠星石「おっと、そういえば牛乳があと少ししかなかったですぅ」

蒼星石「冷蔵庫にまだ残ってなかったかい?確か奥の方に……」ゴソゴソ

ガタッ

翠・蒼「あっ」

ベチャ

蒼星石「い、苺大福が……」

翠星石「潰れちまったですぅ……」

9: 2009/11/27(金) 20:12:10.43 ID:r089hK3BO
蒼星石「ど、どうしよう……雛苺あんなに楽しみにしてたのに……」

翠星石「それに苺大福は真紅の分もあったですぅ……」

真紅『いいわ!そこよくんくん!右ストレートよ!』

蒼星石「ええ!?……素直に謝るしか……」

翠星石「……ちょっと待つです!いいことを思いついたですぅ!」

翠星石「苺大福紛失事件を迷宮入りさせるいい考えが浮かんだですよ!」

蒼星石「えっ……それはなんなんだい翠星石?」

翠星石「説明してる暇はないから、とりあえず翠星石の言うことに従うですよ!」

蒼星石「う……わ、わかったよ!」

10: 2009/11/27(金) 20:15:41.50 ID:r089hK3BO
―10時24分―


翠星石「蒼星石は苺大福をトイレの窓から捨ててくるですよ!」

蒼星石「え……わ、わかったよ!でも翠星石、すぐそこに真紅が……」

翠星石「大丈夫、真紅はくんくんを見てる間は他のものは見えないし聞こえないですぅ!」

蒼星石「そ、そうか……」

11: 2009/11/27(金) 20:18:47.65 ID:r089hK3BO
真紅『で、でたのだわ!必殺くんくんアッパー!』

蒼星石「よし……本当に大丈夫みたいだ……」ソロソロ

ガチャ

蒼星石「よい……しょっ!」ガラッ

蒼星石「なんだかすごく罰当たりな気がするけど……えーい!」ポーン

グシャ

蒼星石「こ、これでいいんだよね……」

12: 2009/11/27(金) 20:22:42.73 ID:r089hK3BO
翠星石「とりあえず落ちた痕跡はなくしたですぅ……」

翠星石「それじゃあ蒼星石が帰ってくる前に保険をかけておくですか……」

翠星石「こうして手についた粉を……」

雛苺「うゆー……蛇の断面は嫌なのよー……」

翠星石「もしもの時は恨むなよ、ですぅ!」

13: 2009/11/27(金) 20:26:53.21 ID:r089hK3BO
―10時25分―


翠星石「ここからはアリバイ作りですぅ、これからスコーンが焼けるまでジュンの部屋にいるですよ!」

蒼星石「アリバイって……」

翠星石「とにかく、一緒にくるですぅ!」

蒼星石「う、うん……」

蒼星石(翠星石は悪だくみになると妙に頭が冴えるんだよね……)

15: 2009/11/27(金) 20:31:11.64 ID:r089hK3BO
翠星石「チビにんげーん!いるですかー!」ガチャ

ジュン「いるに決まってるだろ……お、蒼星石来てたのか」

蒼星石「やあジュンくん、お邪魔してます」

ジュン「えーと、それで何かようなのか?」

翠星石「なっ!せっかく来てくれたレディに何言いやがるですぅ!」

蒼星石(なんとか間は持ちそうだね)

16: 2009/11/27(金) 20:36:27.53 ID:r089hK3BO
ジュン「こんな性悪人形のどこがレディだって?」

翠星石「むきゃー!根暗ヒッキーには言われたくねーですぅ!」

蒼星石「あはは……あっ!」

翠星石「!?」

翠星石(ど、どうしたですか蒼星石!?)

蒼星石「………」

18: 2009/11/27(金) 20:41:24.28 ID:r089hK3BO
蒼星石「ち、ちょっと一階の戸締まりを忘れてたから行ってくるよ!」バタン

翠星石「蒼星石!……」

ジュン「やっぱり蒼星石はしっかりしてるよなあ、お前も少しは見習ったらどうなんだ?」

翠星石「おめーに言われたかねーですぅ!」

翠星石(一体何が……いえ、そもそもこれは翠星石の
ためのアリバイですから蒼星石ならきっと大丈夫ですぅ)

21: 2009/11/27(金) 20:45:26.12 ID:r089hK3BO
―10時25分―


金糸雀「ふっふっふ……侵入を試みて573回目!ついに成功かしら!」ガラッ

金糸雀「まあカナとしてはトイレからの侵入というのは不本意ではあるけれど……ん?」

金糸雀「これは……?」

23: 2009/11/27(金) 20:50:43.71 ID:r089hK3BO
蒼星石「確かドアノブを触ってたから……やっぱりあった!」

蒼星石「危ないところだった……」フキフキ

蒼星石「そういえばトイレの中では……」ガチャ

金糸雀「か、かしらー!?」

蒼星石「うわぁ!か、金糸雀!?」

25: 2009/11/27(金) 20:52:26.55 ID:r089hK3BO
蒼星石「まったく普通に玄関から入ってくればいいのに……」

金糸雀「うう……見つかってしまったならしょうがないかしら……さあ煮るなり焼くなr」

蒼星石「はいはい……真紅がくんくん見てるから静かにね、あと雛苺も寝てるから」

金糸雀「そ、そうかしら……」

蒼星石(金糸雀をこのままにしておくと彼女に疑惑がかかってしまう……)

蒼星石「そろそろお茶にするんだけど、それまでチェスでもやらないかい?」

金糸雀「あら、チェスなら薔薇乙女一の才女、金糸雀が受けてたつかしらー!」

26: 2009/11/27(金) 20:54:35.71 ID:r089hK3BO
金糸雀「雛苺ったらお絵かきの途中で寝てるかしら」

蒼星石「あはは、金糸雀だってこの前来たときに雛苺と一緒に寝てただろう?」

金糸雀「か、カナはそんなこと知らないかしら!早くチェスでもやるかしら!」

蒼星石「はいはい……ふふっ」

金糸雀「ふぅ……あら?雛苺の口にも……」

蒼星石「どうかしたのかい?」

金糸雀「いや、何でもないかしら……」

27: 2009/11/27(金) 20:57:27.57 ID:r089hK3BO
―10時35分―


金糸雀「これでチェックメイトかしら!」

蒼星石「えっ!………」

金糸雀「カナの勝ちかしらー!」

蒼星石「うーん負けちゃった……しかし金糸雀本当に強かったんだね」

金糸雀「なっ!信じてなかったのかしら!?頭脳勝負なら誰にも負けないかしらー!」

蒼星石「あはは、ごめんごめん」

チーン

蒼星石「おや、焼けたみたいだね」

29: 2009/11/27(金) 21:00:31.09 ID:r089hK3BO
翠星石「むっ、スコーンが焼けたみたいですぅ!ジュンも来やがれ、ですぅ!」

ジュン「はいはい……そういえば昨日大量に買った余りの苺大福があったよな」

翠星石「そ、そうですねぇ、雛苺が食べてなきゃいいんですけど……」

ジュン「ははっあいつなら全部食いかねないな」

翠星石(ついに蒼星石が帰って来なかったですぅ……)

30: 2009/11/27(金) 21:04:23.37 ID:r089hK3BO
真紅「ふぅ……面白かったのだわ……あら?もうお茶の時間ね」

蒼星石「う、うん……今持って行くよ」

ドタドタドタ

翠星石「蒼星石、翠星石も手伝うですよ!」

ジュン「げっ!金糸雀まで来てたのか」

金糸雀「げっ!て何かしらー!」

翠星石(金糸雀!?蒼星石……これはどういうことですか!)

蒼星石(ちょっとアクシデントがあってね……でもアリバイのことなら大丈夫だよ)

翠星石(そうですか……まあおバカなチビカナならきっと大丈夫ですぅ)

31: 2009/11/27(金) 21:09:30.98 ID:r089hK3BO
翠星石「ほら、雛苺も起きるですよ!」

雛苺「うゆ……お茶の時間……うにゅーなのー!」

ジュン「はは、やっぱり覚えてたのか」

雛苺「ふんふーん♪うにゅーはここにー♪」バタン

翠・蒼「………ゴクリ」

雛苺「……な、ないのー!!」

32: 2009/11/27(金) 21:12:29.12 ID:r089hK3BO
ジュン「おいおい、昨日の余りが5個ぐらいあっただろ?」

雛苺「で、でもでも……どこにもないのよ……」

真紅「そんなわけないでしょう?物がいきなり消えるわけないのだわ」

ジュン「それじゃあ誰かが食べちゃったんじゃないか?」

金糸雀「ゴミ箱に苺大福の箱があったかしら!」

翠・蒼「………」

35: 2009/11/27(金) 21:17:19.16 ID:r089hK3BO
ジュン「まあだいたいは目星がつくけど……」チラッ

翠星石「ちょっ!なんで翠星石を見るですか!翠星石は食べてねーですぅ!」

雛苺「でも雛が寝ちゃう前には冷蔵庫の中にあったのよ?」

真紅「確か翠星石たちはスコーンを作るために冷蔵庫の近くにいたのだわ」

ジュン「じゃあもう確定だな」

翠星石「ちょっと待つですぅ!」

36: 2009/11/27(金) 21:19:37.74 ID:r089hK3BO
真紅「翠星石、言い訳は見苦しいのだわ」

翠星石「翠星石たちにはちゃーんとアリバイがあるですぅ!」

ジュン「アリバイだって?」

翠星石「まず真紅!ずっとくんくんに夢中になってたおめーには
翠星石たちがずっとキッチンにいたなんて証言はできねーですぅ!」

真紅「う……まあ、そうね……」

38: 2009/11/27(金) 21:22:15.71 ID:r089hK3BO
ジュン「だからといってお前が食べなかったって証明にはならないじゃないか」

翠星石「まあまずは翠星石の話を聞くですぅ!証人なら蒼星石がいるですよ!」

蒼星石「っ!」

翠星石「蒼星石はいくら双子の姉妹であっても聞かれたことに対して嘘をつく子じゃあねーですぅ」

ジュン「確かにそうだな……」

蒼星石(……翠星石、君ってやつは……)

39: 2009/11/27(金) 21:25:40.21 ID:r089hK3BO
真紅「蒼星石、本当なのね?」

蒼星石「……ああ、翠星石は苺大福を食べたりなんかはしていないよ」

金糸雀「……ふむ」

翠星石「だぁーから言ったですよ!」

ジュン「わ、悪かったって……」

翠星石(クックック……嘘はついてないですからねぇ……)

40: 2009/11/27(金) 21:27:59.23 ID:r089hK3BO
翠星石「翠星石たちはずっと二人でスコーンを作ってたですぅ、雛は寝てやがりましたが」

雛苺「お絵かきしてたらいつのまにか寝てたのよー」

翠星石「そしてスコーンをオーブンに入れて、そのあとすぐに
翠星石たちはジュンのところに遊びにいってやったですぅ」

ジュン「ああ、確かに来たな……でもそのあと蒼星石は確か」

蒼星石「うん、戸締まりするのを忘れてて一階に降りていったんだ」

41: 2009/11/27(金) 21:30:35.71 ID:r089hK3BO
蒼星石「するとトイレの窓を閉めようとしたら金糸雀と
出くわして……まああとは金糸雀が証言してくれるよ」

金糸雀「やっとカナの出番かしら!カナは華麗にも
侵入に成功したのだけれど、一瞬の気の緩みg」

真紅「金糸雀、さっさと話すのだわ」

金糸雀「うぅ……酷いかしら……」

42: 2009/11/27(金) 21:32:51.47 ID:r089hK3BO
金糸雀「そこで蒼星石に見つかってしまって今までチェスをしてたかしら!」

ジュン「なるほど……完璧なアリバイだ……」

翠星石「翠星石には苺大福を食べるための時間なんてなかったです!
これで翠星石たちの無実は決定ですぅ!」

蒼星石(ふぅ……)

真紅「ちょっと待つのだわ!」

翠・蒼「っ!?」

真紅「この事件、くんくんの弟子であるこの真紅が解決してみせるのだわ!」

翠・蒼(……これなら大丈夫そう(ですぅ)(だね))

43: 2009/11/27(金) 21:35:19.18 ID:r089hK3BO
真紅「事件と言ったらまずは聞き込み調査よ!」

ジュン「えらく気合い入ってるなぁ……」

真紅「まずはあなたよジュン、あなたが犯人ではないとは言い切れないのだわ」

ジュン「ちょっ!僕は犯人じゃないぞ!ずっと部屋にいたんだから!」

44: 2009/11/27(金) 21:37:31.11 ID:r089hK3BO
―桜田ジュンの証言―


ジュン「えっと確か僕は10時ぐらいからPCで通販を見てて……」

――また悪趣味な買い物をしていたのね?

ジュン「うるさいなぁ!えーっと……それから10時25分に翠星石と蒼星石が部屋に来たよ」

――さっきの証言通りね、それから?

ジュン「すぐに蒼星石は部屋を出て行って、僕は翠星石とさっきまでずっといたんだ」

――翠星石と……ねぇ

ジュン「な、なんだよ……アリバイは成立しただろ?」

――ふん……まあまだ完全に白とは言えないけれど、もういいのだわ

ジュン「………」

46: 2009/11/27(金) 21:40:07.58 ID:r089hK3BO
―雛苺の証言―


雛苺「雛は寝ちゃってたから何も知らないのよー」

――それじゃあ具体的にいつ寝たのかは分かる?

雛苺「うーんと……確かくんくんが猫男爵の館に入るところまでは見えてたのー」

――あの場面には肝を冷やされたわ、なんたって入ってすぐ後ろに猫男爵がh

ジュン「早く証言取れよ」

――うるさいのだわ!

47: 2009/11/27(金) 21:41:17.80 ID:r089hK3BO
―雛苺の証言2―


雛苺「それから後は眠くなっちゃってずっと寝てたのよ」

――その場面は確かDVDが始まって9分28秒のところ……
  見始めたたのが10時10分だからおよそ10時20分ね

ジュン「いちいちそんなの確認しながら見てるのか?」

――いえ、何回も見てるから体に刻まれてるのだわ

ジュン「気持ち悪いなお前」

48: 2009/11/27(金) 21:43:58.23 ID:r089hK3BO
―金糸雀の証言―


金糸雀「カナは朝みっちゃんの作ってくれた卵焼きを食べていたのかしら!」

――そんなことはどうでもいいのだわ、早く話しなさい

金糸雀「うぅ……それから10時くらいにここに来て、いろんな場所から侵入を試みたかしら」

――その結果トイレの窓から?

金糸雀「かしら」

――怪しいわね……蒼星石と出会うまでのアリバイがないのだわ

金糸雀「か、カナは犯人じゃないかしらー!」

翠星石(これは思わぬ拾い物かもしれねーですね……くっくっく……)

蒼星石(………)

49: 2009/11/27(金) 21:46:17.55 ID:r089hK3BO
真紅「みんなの証言から金糸雀が犯人だということが分かったのだわ!」

金糸雀「だからカナは何もしていないかしらー!」

ジュン「でも他のみんなにはちゃんとアリバイが成立してるんだぞ?」

金糸雀「まだ翠星石と蒼星石には証言してもらってないかしら!」

真紅「それはさっき自分たちから言っていたでしょう?」

金糸雀「もしかしたら新たな情報が得られるかもしれないかしら!」

真紅「まったく往生際が悪い……」

52: 2009/11/27(金) 21:49:14.69 ID:r089hK3BO
―翠星石の証言―


翠星石「翠星石のアリバイはさっきいった通りですぅ!」

金糸雀「オーブンをセットしてすぐにジュンの部屋に行った、かしら?」

翠星石「ですぅ」

――ちょっと金糸雀!これは私n

金糸雀「んー……スコーンっていうのは何分ぐらい焼くものなのかしら?」

翠星石「はあ?スコーンですか?翠星石は15分ですけど……」

金糸雀「ふむ……よく分かったかしら」

――だから意味がないと言ったでしょう?まったく……

53: 2009/11/27(金) 21:52:26.10 ID:r089hK3BO
―蒼星石の証言―


蒼星石「僕の証言は翠星石とまったく同じだよ」

蒼星石(うーん……嘘をつくのはなんか気持ちが悪いな……)

金糸雀「蒼星石はなんで戸締まりをしに行ったのかしら?」

蒼星石「えっ!……僕は始めに玄関から入ってきたから……」

金糸雀「そして自分が二回に行くと一階にはくんくんに夢中の真紅、
寝てる雛苺の二人しかいなくなってしまい危険だと思った…かしら」

蒼星石「……そう、その通りさ」

――私にも何か言わせるのだわ………

55: 2009/11/27(金) 21:53:22.31 ID:r089hK3BO
―蒼星石の証言2―


蒼星石「こ、これでいいかい?」

――よく分かったわ、蒼星石

金糸雀「最後に質問してもいいかしら?」

蒼星石「なんだい?」

金糸雀「トイレの窓まで念入りに閉める必要はあったのかしら?」

蒼星石「っ!………」

金糸雀「……いや、やっぱりなんでもないかしら」

――?もういいわ、これで証言はおしまいよ

56: 2009/11/27(金) 21:55:47.77 ID:r089hK3BO
蒼星石「………」

真紅「ほらみなさい金糸雀、やっぱり何もでてこなかったのだわ」

金糸雀「ふむ………」

真紅「それじゃあ素直に自白してもらおうかしら?」

金糸雀「ちょっと待つかしらー!ここはカナに任せるかしら!」

雛苺「金糸雀何か分かったなのー?」

57: 2009/11/27(金) 21:58:49.95 ID:r089hK3BO
金糸雀「あと少し……あと少しで何かを掴めそうな気がするのかしら……」

金糸雀「必ずや真犯人を見つけだしてカナの潔白を証明してみせるかしら!」

真紅「あなたねえ……」

ジュン「いいんじゃないか?面白そうだし」

雛苺「なのー!」

真紅「はぁ……好きにしなさい」

翠星石(ちぃっ……小賢しい真似をしやがるですぅ)

58: 2009/11/27(金) 22:01:39.93 ID:r089hK3BO
金糸雀「苺大福……完璧なアリバイ……オーブン……」

金糸雀「戸締まり……トイレの窓……ブツブツ……」

ジュン「な、なんか急に頭が良さそうに見えてきたな……」

真紅「ふ、ふん!どうせ格好だけなのだわ!」

翠星石(ちぃ……これはまずいです……使いたくなかったけど仕方がねーですぅ!)

59: 2009/11/27(金) 22:04:22.90 ID:r089hK3BO
翠星石「あーっ!!」

真紅「い、いきなりなんなの翠星石!」

翠星石「ひ、雛苺の口元を見るですぅ!」

雛苺「うゆ?口元?」

ジュン「……こっこれは!……粉?」

真紅「……!苺大福の粉ね!」

蒼星石(!?)

60: 2009/11/27(金) 22:08:18.47 ID:r089hK3BO
ジュン「雛苺……おまえ」

雛苺「ひ、雛は知らないのよ!ずっと寝てたのよ!」

真紅「そういえば雛苺だけはちゃんとアリバイが成立しているとは言えないわね……」

ジュン「寝てるフリをして翠星石たちがいなくなった後に食べた……ということか?」

真紅「一番の被害者のように見せることでまんまと氏角に入っていたってわけね……」

雛苺「違うのー!雛は本当に寝てたのよー!」

61: 2009/11/27(金) 22:10:45.47 ID:r089hK3BO
翠星石「ちょっと待つですよ真紅、チビ雛はそこまで悪だくみはできねーですぅ」

雛苺「翠星石ぃ……」

翠星石「でも口元に苺大福の粉がついてることは事実ですぅ」

翠星石「きっとあまりにも楽しみにしていたから寝ぼけて食べちまったんでしょう」

蒼星石(翠星石!僕はこんなこと聞いてないよ!)

翠星石(だからっていまさら自白したって遅いですぅ!
これはみんなの怒りが最小になるための合理的判断ですぅ!)

蒼星石(くっ………)

蒼星石(………ごめん、雛苺……)

62: 2009/11/27(金) 22:14:36.47 ID:r089hK3BO
雛苺「うゆ……みんな……ごめんなさいなの……」

真紅「はぁ……まあ寝ぼけていたのならしょうがないのだわ」

ジュン「あとでまたみんなの分買ってきてやるから」

翠星石「これにて一件落着ですぅ!さあ気を取り直してみんなでお茶でも……」

金糸雀「雛苺……粉……トイレの窓!」

真紅「金糸雀?いつまで名探偵になってるつもり?もう事件は解決したのだわ」

金糸雀「……わかったかしらー!!」

ジ・紅・翠・蒼・雛「!?」

63: 2009/11/27(金) 22:17:14.17 ID:r089hK3BO
翠星石「いったい何がわかったって言うですかチビカナ!もう事件は解決したって……」

金糸雀「いえ、全然解決なんかしていなかったのかしら……」

真紅「な、なんですってぇ!?」

ジュン「えらくリアクションがいいな」

雛苺「演出は大事なのよー!」

64: 2009/11/27(金) 22:20:33.11 ID:r089hK3BO
金糸雀「まず始めに言うと、雛苺は苺大福を食べていないかしら」

雛苺「うゆ?でも雛の口には……」

ジュン「それじゃあ苺大福はいったい誰が……?」

金糸雀「苺大福は誰にも食べられてなんかいなかったのかしら!」

真紅「なっ…!それはいったいどういうことなの!?」

金糸雀「それは今から犯人を見つけるために消去法を使ってみれば分かるかしら」

65: 2009/11/27(金) 22:23:39.11 ID:r089hK3BO
金糸雀「始めに真紅、ジュンは完璧にアリバイが成立しているかしら」

金糸雀「真紅はくんくんを見てるときに苺大福のことなんて考えるわけがないかしら」

金糸雀「ジュンはずっと二階にいたことが翠星石たちからの証言からも分かるかしら」

ジュン「なるほど……」

67: 2009/11/27(金) 22:26:21.52 ID:r089hK3BO
金糸雀「次に雛苺、彼女にも犯人ではないと言える証拠があるかしら」

翠星石「雛苺は寝ぼけてたかもしれねーのに!あるわけねーですよ!」

金糸雀「いえ、ちゃーんとあるかしら!これはとっても簡単なことよ」

ジュン「な、なんだよ……」

金糸雀「……雛苺はいったいどれだけ早食いできるのかしら?」

翠・ジ「………あっ!」

真紅「え?……え?」

69: 2009/11/27(金) 22:30:10.13 ID:r089hK3BO
ジュン「そうか……言われてみれば簡単なことだな……」

真紅「ち、ちょっと、どういうことなの!早く説明するのだわ!」

金糸雀「よくみんなの証言を思い出してみるかしら、
そこから推測できるキッチンに誰もいなかった時間は……」

真紅「………っ!ほとんどないのだわ!」


金糸雀「Exactly」

70: 2009/11/27(金) 22:33:08.14 ID:r089hK3BO
金糸雀「翠星石たちはオーブンのスイッチを入れてジュンの部屋へ」

金糸雀「それからすぐに蒼星石だけ戸締まりをしに一階へ、そこでカナと出会ったかしら」

金糸雀「そのあとすぐにリビングへ行ってカナとチェスを
していたから……その間約1、2分というとこかしら」

金糸雀「その間に冷蔵庫にしまってある苺大福5個を取り出し全て食べてまた机に戻って寝る」

金糸雀「寝ぼけていたにせよ意図的だったにせよ、そんなことが可能かしら?」

真紅「不可能……なのだわ」

72: 2009/11/27(金) 22:39:08.70 ID:r089hK3BO
金糸雀「こうして雛苺のアリバイは成立したかしら」

ジュン「確かに筋が通ってるな……」

真紅「ま、まあこのぐらいは少し考えれば分かることなのだわ!」

金糸雀「そして残るは二人かしら……」

翠星石(こ、ここまでチビカナが頭がいいとは思わなかったですぅ……!)

76: 2009/11/27(金) 22:42:16.43 ID:r089hK3BO
金糸雀「ここまではみんなの証言から容易に分かることかしら、ねえ真紅?」

真紅「え?あ、そうね!そうなのだわ!」

ジュン(こいつ何にもわかってないな……)

金糸雀「だけどここからはちょっと複雑になるから、二人が共犯だったと仮定して話すかしら」

翠星石「なっ!何を言うですか!翠星石たちh」

蒼星石「翠星石、騒げば騒ぐほど僕たちが不利になるよ」

ジュン「自分たちが無実なら何も心配することないだろ?」

翠星石「う……わ、わかったですよぉ!」

80: 2009/11/27(金) 22:46:20.17 ID:r089hK3BO
金糸雀「恐らく2人はキッチンでスコーンを作っていて、
何かの拍子に苺大福をダメにしてしまったのかしら」

ジュン「おいおい……それはいくら何でも無理がないか?」

金糸雀「いいえ、これにもしっかり証拠があるかしら」

金糸雀「カナの推測が正しければ……みんなちょっと付いてきてほしいかしら」

82: 2009/11/27(金) 22:48:58.42 ID:r089hK3BO
真紅「ここは……トイレね」

金糸雀「そう、誰がなんと言おうとトイレかしら」

ジュン「ドールもオシッコするのか?」

金糸雀「ちょっと黙ってかしら、この窓の先の景色……何か見えるかしら?」

真紅「道路よ?……あ、あれは!」

雛苺「うにゅーなのー!」

翠・蒼「………」

84: 2009/11/27(金) 22:54:12.88 ID:r089hK3BO
金糸雀「そう、あれは紛れもなく今日食べようとしていた苺大福かしら」

雛苺「うにゅーもったいないのー!」

ジュン「でも……なんでダメにしたって分かるんだ?」

金糸雀「もし食べていたのなら余りを残す、もしくはすべて平らげるはず」

金糸雀「残りを窓から捨てるなんて真似はしないかしら」

ジュン「あ、そっか」

85: 2009/11/27(金) 22:58:14.66 ID:r089hK3BO
真紅「待つのだわ金糸雀、なぜここに捨てられたと分かったの?」

金糸雀「まずはそこのトイレの窓、何か見えないかしら?」

真紅「窓?……これは……苺大福の粉!」

ジュン「なんでこんなところに粉が……」

86: 2009/11/27(金) 23:03:26.52 ID:r089hK3BO
金糸雀「実は言い忘れていたのだけど、カナは侵入に成功したときにこの粉を発見してたかしら」

金糸雀「その後すぐに蒼星石に見つかってビックリしていて忘れていたのだけれど」

翠星石「そんなの信じられるわけねーですぅ!」

真紅「金糸雀が初めからここに侵入していて、翠星石たちが二階に行った隙に苺大福を持ち出す」

真紅「トイレから逃げようとしたときに誤って放り投げてしまっい、そして蒼星石に見つかった」

真紅「そう考えたって不都合はないはずよ?」

ジュン「うん……これには僕も真紅と同じ意見だな、金糸雀にはアリバイがないし」

金糸雀「これについては信じてもらうしかないかしら……まあカナの
推測に納得できなかったら煮るなり焼くなりなんなりすればいいかしら!」

雛苺「カナかっこいーのー!」

87: 2009/11/27(金) 23:07:15.37 ID:r089hK3BO
金糸雀「それじゃあ続けるけど……これは蒼星石が
苺大福を捨てているときに付いてしまったものかしら」

翠星石「ちょっと待つですぅ!なんでそんなことが分かるですか!」

金糸雀「それは翠星石が蒼星石にそう指示をしたからよ」

金糸雀「翠星石は雛苺の口元に粉を付けるため、蒼星石と離れる必要があったからかしら」

雛苺「翠星石だったのー!?」

翠星石「そ、そんなのでたらめですぅ!」

88: 2009/11/27(金) 23:10:45.84 ID:r089hK3BO
金糸雀「もちろんこのことは蒼星石は聞かされていなかった、そんなこと許すはずがないもの」

金糸雀「そして常に一緒に行動するはずの2人が唯一離れるのもこの時」

蒼星石「………」

金糸雀「なによりもこんなことをするのは翠星石以外に考えられないかしら」

ジ・紅「ああ……」

翠星石「なに納得してるですかー!」

90: 2009/11/27(金) 23:13:52.26 ID:r089hK3BO
金糸雀「そして2人でジュンの部屋へ行き、スコーンが焼けるまでアリバイを作ろうとした」

金糸雀「ここまではきっと計画通りだったかしら
けど……蒼星石はあることに気づいてしまったかしら」

ジュン「なるほど……それがあの窓の粉ってわけか」

真紅「……え?ああ、そういうわけね!」

金糸雀「真紅本当に分かってるのかしら?」

真紅「し、失礼ね!ちゃんと分かっているのだわ!」

91: 2009/11/27(金) 23:17:40.56 ID:r089hK3BO
金糸雀「それじゃあ続けるけど……蒼星石はある過ちを犯してしまったかしら」

金糸雀「それは手に粉をつけたまま苺大福を捨てに行き、
その軌跡を残してしまったこと」

ジュン「だから蒼星石は慌てて戸締まりをすると言って一階に戻った……」

翠星石(そういうことだったですか……)

金糸雀「だけどこの行為は皮肉にも犯人を特定する大きな手がかりになってしまったかしら」

92: 2009/11/27(金) 23:21:45.11 ID:r089hK3BO
金糸雀「蒼星石の過ち、そしてもう一つの想定外の
要因が重なりあって、それは起こったかしら」

ジュン「それは金糸雀がトイレ侵入してきたこと……でいいのか?」

金糸雀「そう、それは犯人もまったく予想していなかった出来事だったかしら」

雛苺「うゆ?なんで二人が出会っちゃうとダメなのー?」

93: 2009/11/27(金) 23:24:53.06 ID:r089hK3BO
金糸雀「まず一つは常識的に考えればトイレの窓まで
戸締まりをしにくるというのは少しおかしいかしら」

ジュン「そこから侵入してきたお前もおかしいけどな」

金糸雀「う、うるさいかしらー!とにかく、何かしら疑惑をかけられてしまうかしら!」

金糸雀「そしてもう一つは、カナと出会うことで蒼星石は
カナにアリバイを作らなければいけなくなるからよ」

蒼星石(まったく……本当に君は僕をよく分かっているよ……)

95: 2009/11/27(金) 23:28:02.57 ID:r089hK3BO
ジュン「金糸雀に蒼星石がアリバイを?」

真紅「まったく意味が分からないのだわ」

金糸雀「これはカナの買いかぶりじゃなければだけど……」

金糸雀「蒼星石はカナと出会ったあとにまたジュンの部屋に戻ってもよかったかしら」

金糸雀「でも蒼星石はそれだとカナにアリバイが成立
しなくなって犯人にされるかもしれない、そう思ったかしら?」

蒼星石「………」

金糸雀「……まあ結果的にはそうなってしまったけれど……」

96: 2009/11/27(金) 23:31:38.07 ID:r089hK3BO
金糸雀「カナを一緒にジュンの部屋へ連れて行くという手もあったけれど……
ゴタゴタしそうだからしなかったんじゃないかしら、これはよく分からないかしら」

金糸雀「それにカナと一緒に行動することで戸締まりをしに行った時のアリバイも成立するかしら」

真紅「そうね……一石二鳥なのだわ」

金糸雀「しかしこれによって雛苺のアリバイが
成立し、翠星石の思惑は外れることとなったかしら」

翠星石(くっ……そういうことですか……!)

97: 2009/11/27(金) 23:35:50.05 ID:r089hK3BO
金糸雀「だけどこのとき、恐らく蒼星石がカナに出会わずアリバイが
成立しなくても犯人に仕立て上げられることはなかったんじゃないかしら?」

ジュン「?それは何故だ?」

金糸雀「だって、蒼星石だもの」

ジ・紅「……ああ」

翠星石「何ですかこの扱いの違いは!」

蒼星石「あはは……」

98: 2009/11/27(金) 23:40:21.18 ID:r089hK3BO
金糸雀「もともとアリバイの成立は翠星石に必要なものだったかしら」

金糸雀「蒼星石に口止めをし、かつ自分にもアリバイを作る」

金糸雀「蒼星石には自白する以外に犯人にはなり得ないかしら」

真紅「すごい説得力なのだわ……」

ジュン「これが人徳のなせる技か……」

雛苺「二人ともお腹いたいのー?」

翠・蒼「うぅ………」

100: 2009/11/27(金) 23:46:23.98 ID:r089hK3BO
翠星石「くぅ……チビカナ!いい加減にするですぅ!いくらこれがつじつまの合う話
だとしても、所詮は仮説に過ぎねーじゃねーですか!」

ジュン「……つい納得してたけどよく考えたらそうだな……」

真紅「ええ、二人の証言が一致してる以上、
二人が共犯だと言う証拠は見つけられないのだわ」

ジュン「つまり……今までの仮説はすべて無駄になる」

金糸雀「いいえ……この仮説が正しいことを証明する決定的な証拠があるのかしら!」

ジュン「な、なんだってー!」

雛苺「ジュンうるさいのー」

ジュン「ごめん……」

101: 2009/11/27(金) 23:52:59.10 ID:r089hK3BO
翠星石「そそそそんなものあるわけねーですぅ!
翠星石たちの証言に矛盾はねーんですから!」

ジュン「ああ、確かにおかしなところは見つからないな……、
25分からはずっと僕の部屋にいたんだし」

金糸雀「ちっちっち、そこが甘いのかしらジュン」

ジュン「な、なんだとぉー!」

金糸雀「翠星石の証言を思い出してみるかしら」

ジュン「翠星石の?」

102: 2009/11/27(金) 23:55:51.57 ID:r089hK3BO
ジュン「確かオーブンをセットしてからすぐに僕の部屋に……」

金糸雀「そう、そこかしら!」

真紅「それがなんだと言うの?」

金糸雀「少しこの証言はおかしくないかしら?オーブンを
15分でセット……ジュンの部屋に来たのが25分……」

金糸雀「そこから計算できる焼き上がりの時間は……」

ジュン「……そうか!40分だ!」

103: 2009/11/27(金) 23:58:50.72 ID:r089hK3BO
金糸雀「そう、翠星石の証言が正しければ40分に
焼き上がるはず……でも実際には35分だったかしら」

金糸雀「これは翠星石たちは20分にオーブンをセットしていたということを示すかしら」

真紅「20分……ちょうど雛苺が寝始めた頃ね」

金糸雀「つまり、そこからジュンの部屋に行くまでに……」

金糸雀「証言にはなかった空白の5分間が存在してしまうのかしらー!」

ジ・紅・雛・翠・蒼「!!!」

105: 2009/11/28(土) 00:05:49.79 ID:jzwPcXdXO
ジュン「ほ、本当だ……!」

真紅「だからオーブンの焼き時間を聞いていたのね……」

雛苺「金糸雀すごいのよー!」

金糸雀「さて、これなら文句はあるかしら、翠星石?」

翠星石「あ……う……」

蒼星石(どうやらここまでみたいだね……翠星石……)

翠星石(………)

106: 2009/11/28(土) 00:10:18.82 ID:jzwPcXdXO
金糸雀「……もう反論はないみたいだから、続けるかしら」

金糸雀「そして最後に、二人の内どちらが苺大福を落とした犯人なのかと言うと……」

蒼星石「ああ……さすがだよ金糸雀……」

翠星石「……ふっふっふ、ここまで見抜くとは思わなかったですぅ!」

金糸雀「かしら?」

翠星石「その通り!実は翠星石がぜーんぶやったことなんですよ!」

蒼星石「翠星石っ!?」

107: 2009/11/28(土) 00:14:08.42 ID:jzwPcXdXO
翠星石「罪をチビ雛になすりつけて、ついでに蒼星石も共犯にしてやったですぅ!」

真紅「翠星石……あなた……!」

ジュン「やっぱりお前だったのか……」

翠星石「だから煮るなり焼くなりなんなりするですよ!」

蒼星石「何を言っているんだ翠星石!」

109: 2009/11/28(土) 00:18:01.83 ID:jzwPcXdXO
ジュン「開き直りやがって……それじゃあお望み通り……!」

蒼星石「待ってジュンくん!犯人は翠星石じゃない!僕なんだ!」

金糸雀「そうよジュン、自白したからって犯人と
決めつけるのは少しばかり気が早いってやつかしら!」

ジュン「そ、それなら早くそのわけを言えよ!」

金糸雀「………こほんっ」

110: 2009/11/28(土) 00:20:56.33 ID:jzwPcXdXO
金糸雀「まずこれが翠星石が犯人だったと想定場合、
蒼星石はここまで耐えられなかったんじゃないかしら?」

ジュン「耐えられなかった?罪の意識にってことか?」

金糸雀「いいえ、自分の姉の行いによ」

蒼星石「………」

111: 2009/11/28(土) 00:22:52.54 ID:jzwPcXdXO
金糸雀「たとえ初めは渋々協力したとしても、翠星石が雛苺に罪を
なすりつけようとしてると分かった時点で全て話すんじゃないかしら」

金糸雀「蒼星石が翠星石のことを大切に思ってるのは
よく知っているわ、だからこそ……と思うのかしら」

ジュン「ああ、なんだか目に見えるな……」

金糸雀「それに、翠星石が自分のために蒼星石を共犯にして、雛苺にぬれぎぬを
着せてまで助かろうとするなんて……まあ思えないこともないけれど」

真紅「ええ、思えなくもないのだわ」

翠星石「いいセリフが台無しですぅ!」

112: 2009/11/28(土) 00:25:56.90 ID:jzwPcXdXO
金糸雀「そして蒼星石が犯人だったと想定場合、
まあこれは消去法の結果ともいえるのだけど」

金糸雀「蒼星石は自分のために一生懸命になって
くれている翠星石に甘えたかったんじゃないかしら」

蒼星石「!」

金糸雀「そして翠星石がまさか雛苺に罪をなすりつけるとも知らずに
誰も犯人にならないのなら……って自分を許してしまったのかしら」

翠星石「う………」

金糸雀「でもそこでも蒼星石は自白できなかった、
なぜならそれも翠星石の歪んだ愛情だったから……」

蒼星石「………」

113: 2009/11/28(土) 00:28:06.68 ID:jzwPcXdXO
金糸雀「最後は完全にこじつけになってしまったけれど……どうかしら?」

蒼星石「ああ……まったくもって完璧だよ……」

翠星石「ちげーですぅ!翠星石は……翠星石は……!」

蒼星石「もういいんだよ翠星石……ありがとう、それにごめん……」

翠星石「そ、蒼星石ぃ………ごめんなさいですぅうう!!」

114: 2009/11/28(土) 00:32:02.78 ID:jzwPcXdXO
金糸雀「妹を守ってやりたい姉の気持ち、姉に頼りたい妹の気持ち……
それが今回の事件を引き起こしてしまったのかしら」

金糸雀「二人がしたことは確かに悪いことよ……でも」

金糸雀「どうか二人の愛情に免じて許してあげてほしい……とカナは思うのかしら」

雛苺「うゆ……雛は全然気にしてないのよー!」

ジュン「僕も最初は怒ってたけど……今はそんな気にはなれないよ」

真紅「ええ、そうね……」

蒼星石「みんな……本当にごめんなさい」

翠星石「悪かったですぅ……」

115: 2009/11/28(土) 00:35:10.97 ID:jzwPcXdXO
真紅「ふぅ……これにて一件落着ね!」

ジュン「何でお前が解決したみたいな態度してるんだよ……」

金糸雀「これはカナのおかげかしらー!報酬は甘い卵焼きでお願いするかしらっ!」

蒼星石「あはは……金糸雀らしいね」

翠星石「しょーがねーですぅ……特別に作ってやるですよ!」

雛苺「雛も手伝うのよー!」

真紅「私もたまには一肌脱いであげるのだわ」

金糸雀「や、やっぱりお断りしようかしら……」



おわり

116: 2009/11/28(土) 00:36:21.26 ID:xgGvxCYq0
乙!
カナかわいいよ

117: 2009/11/28(土) 00:38:33.57 ID:jzwPcXdXO
色々とおかしな点があるかもしれませんが終わりです

支援してくれた人ありがとう

金糸雀マジクレバー

引用元: 金糸雀「カナは名探偵かしら!」