1: ◆yfWmR9mD4k 2015/04/22(水) 02:30:54.89 ID:2JdkaIn/o
――――――――――――事務所
拓海「……」
向井拓海(18)
涼「……」
松永涼(18)
夏樹「……」
木村夏樹(18)
P「……おめでとう」
2: 2015/04/22(水) 02:31:51.49 ID:2JdkaIn/o
P「拓海、CDデビューだ」
拓海「なっ……!」
夏樹「…マジかよ」
涼「……」
3: 2015/04/22(水) 02:32:36.53 ID:2JdkaIn/o
P「これからデビューに向けてレッスンやレコーディング、取材に打ち合わせと忙しくなるぞ」
拓海「夢じゃ……ねえんだな?」
P「ああ、夢じゃない」
拓海「そうか……って、それじゃあ今のこいつらとのユニットは?」
P「一時休止だ。2つを並行してやっていけるほど甘いモノじゃない」
拓海「でもよ……」
夏樹「何言ってんだ、拓海? 折角のチャンスだぞ?」
拓海「……そうだけど」
5: 2015/04/22(水) 02:34:06.68 ID:2JdkaIn/o
夏樹「アタシらのことは心配いらないって。なあ、涼?」
涼「……ムカつく」
夏樹「おい、涼?」
涼「なんだよ、その態度? 憐れんでるつもり? 馬鹿にすんなよ!」
拓海「は? そんなんじゃんねえよ!」
涼「こっちはアンタみたいなのがいなくてせいせいしてんだ。さっさと行っちまいな」
拓海「あ゛? ケンカ売ってんのか?」
涼「ワガママでやりたい放題しやがって、振り回される身にもなれっての。夏樹と二人のほうがよっぽどやりやすいよ」
拓海「てんめぇ……」グイッ
6: 2015/04/22(水) 02:34:53.10 ID:2JdkaIn/o
涼「なに? 殴る気? 殴れば? デビュー前に暴力事件とかアンタらしいよ」
夏樹「やめろ! お前ら! 涼! 言い過ぎだぞ!」
拓海「チッ! ひがんでんじゃねえよ! 人気もねえ落ちぶれロッカーが!」
夏樹「拓海!!」
涼「言ってくれんじゃん。もう腐れヤンキーと組むなんて懲り懲りなんだよ!」
拓海「上等だ!! こっちから辞めてやらあ!」
P「……」
7: 2015/04/22(水) 02:35:29.70 ID:2JdkaIn/o
――――――――――――屋上
涼「……はぁ」
夏樹「……ここにいたのか」
涼「……何の用? 謝るつもりなんかねえからな」
夏樹「わかってるよ。何年の付き合いだと思ってんだ?」
涼「……」
夏樹「寂しくなるな……」
涼「全然っ! あんなヤツ、いらねえって!!」
8: 2015/04/22(水) 02:36:16.95 ID:2JdkaIn/o
涼「だいたい、二人でロックなユニット目指すつもりが、突然Pが押しこみやがって!」
涼「歌もめちゃくちゃ、声も出てない! リズム感もまるで無いし、ダンスも合わせる気がない」
涼「おまけに気に入らなけりゃ、仕事のお偉いさんにまで歯向かうし、いい迷惑だったっつうの」
夏樹「……」
涼「最初のライブなんてマイク使わず拡声器だぜ? ヤンキーの集会じゃあるまいし」
涼「あんなのより、よっぽどアタシの方がデビューしてやっていけるよ!」
夏樹「そうか……」
9: 2015/04/22(水) 02:37:08.03 ID:2JdkaIn/o
夏樹「……悔しいのか」
涼「ち!ちが……違わ……ない……でも」
夏樹「本当は嬉しいよな」
涼「あったりまえだろ! いつも一緒にいたんだ! あいつが頑張ってる姿は間近でいつも見てきたんだ! 夏樹もそうだろ?」
夏樹「……そうだな」
涼「あいつは頭の悪いヤンキーだよ……でも」
涼「でも、根性だけはある。他の誰よりも悔しい思いをして、歯がゆさに耐えて努力してんだ」
涼「なにくそって、頑張ってきたんだ!」
涼「それはアタシ以上にさ……だから嬉しいよ」
10: 2015/04/22(水) 02:37:46.76 ID:2JdkaIn/o
涼「なんなんだろうな……この気持ち……すっげえ……腹立つ」
涼「でも……本当は叫びたいくらい嬉しいんだ……」
夏樹「……ほら」
涼「なにこれ?」
夏樹「ハンカチ……とりあえず顔拭きな」
涼「!!……べ、別に泣いてなんか……」グスッ
夏樹「わかってるよ」
涼「ちくしょー、笑うな」
夏樹「はいはい……これから、アタシたちがやること、わかってるよな?」
涼「……」
11: 2015/04/22(水) 02:38:14.94 ID:2JdkaIn/o
――――――――――――屋上扉裏
拓海「……」
12: 2015/04/22(水) 02:38:49.04 ID:2JdkaIn/o
――――――――――――翌日、事務所
拓海「……」
拓海(あまり、眠れなかった……)
がちゃ
P「来たか、拓海。今日は記者会見だからな。そろそろ…」
拓海「P……」
P「ん?」
拓海「あのな……あたし、やっぱ」
ばあん
夏樹「うーっす!」
涼「おはー」
拓海「!」
13: 2015/04/22(水) 02:39:25.88 ID:2JdkaIn/o
夏樹「おわっ! なんだ? 拓海、その顔? クマができてんぞ?」
拓海「え? こ、これは…」
涼「なになに? 緊張で眠れなかったとか? アンタ遠足で寝不足で楽しめなかったほうだろ?」
拓海「う、うるせえよ!!」
夏樹「とりあえず、こっちに来いよ。メイクで隠してやるから」
涼「ったく、最後まで世話の焼ける」
拓海「……」
14: 2015/04/22(水) 02:40:24.67 ID:2JdkaIn/o
――――――――――――メイク室
夏樹「ほら、動くなって」
拓海「わーってるよ……なあ?」
夏樹「なんだよ?」
拓海「あたし……本当にいなくても…」
涼「まだ、そんなこと言ってんのか」
拓海「そりゃあ…」
涼「調子にのんなっての。第一、別にアンタがNo1じゃなくて1位はシューコじゃん」
拓海「は?」
15: 2015/04/22(水) 02:41:12.65 ID:2JdkaIn/o
涼「人の心配するならトップ取ってから言えって」
拓海「う、う、うるせえ! この圏外女が!!」
涼「……」
拓海「あ……」
涼「……」ブルブル
拓海「ち、違う! い、今のは……」
涼「ばあ」
拓海「!!」
涼「あっはっはっは!」
拓海「!」
16: 2015/04/22(水) 02:42:07.47 ID:2JdkaIn/o
涼「馬鹿だなーアンタ。レースはコーナー回ってからが面白いだろ?」
拓海「は?」
涼「ゴール手前で呑気に構えたヤンキーを、最後の末脚で交わしてこそロックってもんだ」
夏樹「それをさらに交わす、バイクのあたしこそロックだな」
拓海「てんめえら……」
涼「悔しかったら一番になってみな」
夏樹「そういうこと。天狗になるには10年はええよ」
拓海「てめえらこそ、ゴール前に出てこいよ!」
涼「心配しなくても、来年見てなって」
夏樹「だな」
拓海「……」
涼「……」
夏樹「……」
17: 2015/04/22(水) 02:42:35.96 ID:2JdkaIn/o
P「そろそろ時間だぞ、拓海」
拓海「わかってるよ」
18: 2015/04/22(水) 02:43:18.41 ID:2JdkaIn/o
拓海「待ってるからな」
涼「おう」
夏樹「そんときはまたライブやるか」
拓海「ちっ、しょうがねえ。付き合ってやるよ」
涼「偉そうに……じゃあな」
夏樹「じゃあな」
拓海「必ず来いよ」
おしまい
19: 2015/04/22(水) 02:46:11.16 ID:2JdkaIn/o
※これで終わりです。
たくみんデビュー記念に急いで書きました。
これまでと違ってコメディ路線ではないです。申し訳ない。
これでこのいつものあいつらは一区切りつけます。
また三人での話を書かないわけではないです。
涼や夏樹がデビューする可能性も十分あるわけで。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
たくみんデビュー記念に急いで書きました。
これまでと違ってコメディ路線ではないです。申し訳ない。
これでこのいつものあいつらは一区切りつけます。
また三人での話を書かないわけではないです。
涼や夏樹がデビューする可能性も十分あるわけで。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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